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【発明の名称】 蓄熱式輻射冷暖房装置
【発明者】 【氏名】神田 哲郎

【氏名】杉浦 武雄

【要約】 【課題】かさばらず、簡単に操作できて、放熱を自由に調節可能なカバー手段を備えた蓄熱式輻射冷暖房装置を提供すること。

【解決手段】室内の蓄熱槽1の放熱面2を覆う断熱カバー10として複数枚の布を使用する。布としては、厚さ0.5mm以下の薄い布、紙または多孔性のプラスチックシートを例えば2重に使用する。布はそれ自体は断熱性が小さいが2重にすることにより放熱面からの放熱防止効果が向上する。また、断熱性能の調節も容易となる。布は透湿性であるので冷房時に室内の水蒸気は布を通過して放熱面に達するので断熱カバーが濡れることがなく、かつ断熱カバーを閉じていても常に除湿は行われている。従って、室内の湿度は常に50%以下であり室内温度が高くても爽やかで快適となる。また、室内温度が高いため冷房負荷が小さくなり省エネルギーとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蓄熱材を内有し、室内に設置された蓄熱槽の少なくとも前面を放熱面とし、前記放熱面からの放熱量を調節するカバー手段を有する蓄熱式輻射冷暖房装置において、前記カバー手段が複数枚の布で構成されていることを特徴とする蓄熱式輻射冷暖房装置。
【請求項2】 前記布の厚さが2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱式輻射冷暖房装置。
【請求項3】 前記布が透湿性であることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱式輻射冷暖房装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蓄熱式輻射冷暖房装置に関し、特に、夜間の安価な電力を使って氷または温水によって蓄熱すると共に、輻射による快適な冷暖房を図った蓄熱式輻射冷暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、安価な夜間電力を使用して夜間に製氷し、昼間には解氷しながら空調を行う氷蓄熱装置はビルディングまたは工場などの大規模な装置では普及が著しいが、家屋の小規模な空間を対象にした家庭用の蓄熱式冷暖房装置は少数提案されているにすぎず、未だ実用化の域に達していない。家庭用の蓄熱式冷暖房装置の1例として特開平9-210415号公報に蓄熱式輻射冷暖房装置が開示されている。図2は、従来の蓄熱式輻射冷暖房装置の構造を示す断面図である。この例では蓄熱槽1を室内に設置し、蓄熱槽1内には蓄熱材を保有して、夜間電力によって公知のヒートポンプ式室外機5を駆動し、伝熱コイル6を介して蓄熱槽1に冷熱または温熱を蓄熱し、昼間は蓄熱した冷熱または温熱によって冷暖房を行っている。背面および下面には断熱材7が設置されている。
【0003】冷熱または温熱の室内への放熱は、蓄熱槽の前面または前面と側面を放熱面2として自然対流伝熱および輻射伝熱によっており、ファンによる気流がないので快適である。蓄熱材として水を使った場合には冷房時に氷となるので放熱面は0℃近くになり、室内の除湿がさかんに行われて低湿度となるので、室内の温度が高くても快適である。
【0004】またこの例では冷暖房を行わない時には断熱カバー3を閉じて放熱を制限し、冷暖房が必要なときには巻き上げ部4に断熱カバー3を巻き上げることによって断熱カバー3を開けて放熱面2から放熱する。断熱カバー3は、蓄熱槽1の放熱面を覆って室内から蓄熱槽1を断熱するための断熱被覆体である。断熱カバー3としては、好適には、例えば、結露水により濡れることもあるので、不織布などの不透水性の材料で出来た表面材からなる袋体の中に断熱性の材料、例えばナイロン、グラスウール等の繊維をフェルト状にした繊維質断熱材を入れてカバー状に形成した巻き上げ、巻き戻し容易な断熱カバーが使用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記した特開平9-210415号に開示された蓄熱式輻射冷暖房装置においては断熱カバー自体に断熱性を持たせているため、常識的には断熱カバーの厚さは最低5mm以上は必要である。従って、この断熱カバーを巻き上げた場合には直径の大きなロールとならざるを得ず、外見上も好ましくない。更に、巻き上げるために大きな力を必要とするという問題点があった。また、断熱カバーが1枚であると事実上は開と閉の調節しかできない。半開の場合には輻射伝熱は半分になるが自然対流伝熱は半分にならないため調節が難しい。さらに冷房時に断熱が不十分であるときは断熱カバーの室内側表面に結露が生じ、断熱カバーが濡れるという問題点もあった。本発明の目的は、前記のような従来技術の問題点を解決し、かさばらず、簡単に操作できて、放熱を自由に調節可能なカバー手段を備えた蓄熱式輻射冷暖房装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、カバー手段として複数枚の布を使用した点に特徴がある。本発明によれば、断熱カバーを構成する物として厚さ0.5mm以下の薄い布、紙または多孔性のプラスチックシート(以後布と総称する)を2重に使用している。布はそれ自体は断熱性が小さいが2重にすることにより2枚の布の間の空気および放熱面と布の間の空気が断熱材の働きをして放熱面からの放熱を防止する。また、1枚は閉じて1枚が開いている場合は布と放熱面との間の空気だけになり弱い断熱となる。より断熱性能を高めるためには布を3重にすることもできる。
【0007】また、布は透湿性であるので冷房時に室内の水蒸気は布を通過して放熱面に達するので断熱カバーが濡れることもない。布は透湿性であるため断熱カバーを閉じていても常に除湿は行われている。従って、室内の湿度は常に50%以下であり室内温度が高くても爽やかで快適である。また、室内温度が高いため冷房負荷が小さくなり省エネルギーとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用した蓄熱式輻射冷暖房装置の構成を示す断面図である。なお、従来例(図2)と同じものには同じ番号が付与してある。蓄熱槽1は高さ2m、幅80cm、奥行き10cmのステンレス製で蓄熱材として水が入っている。水の中には直径9mmの銅製の伝熱コイル6が敷設されていて、ヒートポンプの室外機5につながっている。
【0009】伝熱コイル6内の冷媒によって蓄熱材である水が加熱または冷却されて蓄熱される。加熱の場合は約55℃に加熱され、冷却の場合には水は伝熱コイル6の周りに氷となる。蓄熱槽1の前面の放熱面2は伝熱面積を大きくするために山形の折り板となっていて、背面、側面および底面は厚さ20mmの断熱材7で断熱されている。
【0010】断熱カバー10を構成する布は幅90cm、長さ1.8mで厚さ0.5mm以下のポリエステルまたは綿の織物である。布10はバネによって蓄熱槽の上部の巻き上げ部11に巻き上げ可能に構成されており、かつ任意の位置で停止させることができる。布は2枚あり、1枚は放熱面の山と15mmの間隔をもって放熱面を覆い、他の1枚の布はさらに15mmの間隔を持っている。2枚の布は放熱面2の両端に設けられたカバーガイドによって所定の間隔に保たれると共に冷気または暖気が漏れないようにシールされている。
【0011】布10を巻き上げた時のロール状の布の直径は約50mmであり大きすぎる感じは無い。布10は織物であり、透湿性であるので冷房時に2枚の布を閉じた時でも室内の水蒸気は布を通過して放熱面2へ達し、布10が濡れることは無い。水蒸気は放熱面2で結露し、蓄熱槽1の下に設けた結露水受けを経て室外へ排出される。
【0012】冷房時において、背面などの断熱面からの放熱を含む蓄熱槽1からの放熱量は、2枚の布を閉じたときには断熱カバー10を開けたときの約30%であり、1枚の布を閉じたときには断熱カバー10を開けたときの約50%であった。夜間には布を2枚とも閉じているのが普通であるが、2枚とも閉じていても除湿は行われるので、室内の湿度は常に50%以下であり快適である。室内温度が高くても快適であるため冷房負荷は通常のルームエアコンを使った場合の60%で済み、省エネルギーである。
【0013】以上、本発明の実施例を開示したが、本発明には下記のような変形例も考えられる。実施例においては、バネによって断熱カバー10の布を巻き上げる例を開示したが、例えばモーターを使用して巻き上げ、巻き下ろしができるように構成してもよい。また、布を上部に巻き上げる代わりに、カーテンのように左右に開閉/巻き取り可能に構成してもよい。
【0014】
【発明の効果】以上述べたように、本発明においては、カバー手段として複数枚の布を使用したので、布の間の空気および放熱面と布の間の空気が断熱材の働きをして、薄い布を使用しても放熱面からの放熱防止効果が向上する。そして、1枚は閉じて1枚を開くことにより布と放熱面との間の空気だけになり弱い断熱となり、また、より断熱性能を高めるためには布を3重にすることもでき、断熱性能の調節が容易である。
【0015】また、布は透湿性であるので、冷房時に室内の水蒸気が布を通過して放熱面に達するので断熱カバーが濡れることがない。かつ、布は透湿性であるため断熱カバーを閉じていても常に除湿は行われている。従って、室内の湿度は常に50%以下となり、室内温度が高くても爽やかで快適である。また、室内温度が高いため冷房負荷が小さくなり、省エネルギーとなるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】593100156
【氏名又は名称】株式会社ラジアント
【出願日】 平成11年1月19日(1999.1.19)
【代理人】 【識別番号】100099173
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 孝
【公開番号】 特開2000−205610(P2000−205610A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−10808