| 【発明の名称】 |
空調制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 浩史
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| 【要約】 |
【課題】空調空間全体の空調効率を向上させつつ、各空調エリアをそれぞれ目標温度に制御することが可能な空調制御方法を提供する。
【解決手段】予め、空調空間1について温熱環境シミュレーションを行うと共に空調エリア単位に温度サンサS1〜S10を設定し、上記温熱環境シミュレーションに基づいて、上記各空調設備単位に上記複数の温度サンサS1〜S10位置への寄与率をそれぞれ求めると共に上記各温度サンサS1〜S10位置での目標温度をシミュレーション結果からそれぞれ抽出しておき、各空調設備による空調制御温度を、それぞれ上記寄与率を重みとして、上記複数の温度センサ位置のうちの3つの温度サンサS1,S2,S10の位置における各目標温度と実際の温度との差に基づき調整する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続した1つの空調空間を複数の空調設備で空調する際に、上記空調空間を複数の空調エリアに区画し、各空調エリア毎に所定の空調環境に制御する空調制御方法において、予め、上記空調空間について温熱環境シミュレーションを行うと共に当該空調空間内に複数の温度検出位置を設定し、上記温熱環境シミュレーションに基づいて、上記各空調設備単位に上記複数の温度検出位置への寄与率をそれぞれ求めると共に上記各温度検出位置での目標温度をそれぞれ抽出しておき、各空調設備による空調制御温度を、それぞれ各温度検出位置への当該空調設備の寄与率を重みとして、上記複数の温度検出位置のうちの2以上の温度検出位置における各目標温度と実際の温度との差に基づき調整することを特徴とする空調制御方法。 【請求項2】 上記各空調設備による空調制御温度の調整は、吹出し温度を変化させることで行うことを特徴とする請求項1に記載した空調制御方法。 【請求項3】 各空調設備からの吹出し気流が、複数の空調エリアに到達するように設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した空調制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数の空調エリアに区画される1つの空調空間の空調環境を複数の空調設備で空調制御する方法に係り、特に、空調空間内の設備構成や使用状況その他の要因によって空調空間内に気流分布や温度分布等が形成される空調空間の空調制御に有効な空調制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】大空間を構成するドームや劇場などにあっては、一般に、空調すべき空調空間を複数の空調エリアに区画し、その各空調エリア単位にそれぞれ空調設備を設けると共に当該空調エリアを代表すると思われる位置にそれぞれ温度センサを配置している。 【0003】そして、各空調エリア毎に、それぞれ当該空調エリアに配置した上記温度センサで検出した実際の温度が、空調設計の際に決定した当該空調エリアでの目標温度となるように、各空調設備からの調和空気の吹出し風速や吹出し温度を制御している。 【0004】ここで、例えば,大空間を空調するための空調設備の吹出し口は、一般には天井面や壁面上部に設けられると共に、到達距離を稼ぐために、ノズル式やスリット式の吹出し口が採用されていて、その吹出し口から調和空気を対象とする空調エリアに吹出して給気すると共に、当該空調エリアにおける例えば,床面に近い壁面に設けられたガラリから還気を吸い込んで空調している。 【0005】なお、本発明の対象となる空調空間は、別に大空間に限定されるものではない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】各空調エリアは連続しているため、各空調エリアを空調する空調設備から吹き出した調和空気の気流等は、隣の空調エリアの空調環境にも影響を与えている。しかし、従来の空調制御では、各空調エリア単位に個別に所定温度となるように制御するため、空調エリア同士の境界位置で混合ロスが発生して省エネ効率が良くないと共に、隣の空調エリアの空調設備による影響が無視されているので、使用環境によっては、目標温度への制御に時間が掛かったり目標温度に収束しにくくなるおそれがある。 【0007】特に、空調空間内に温度分布があったり、各空調エリアでの目標温度が異なる場合にこの影響が大きくなる。また、空調空間全体の空調効率を向上させるなどの目的から、空調空間全体の空気を循環・対流させるように各調和空気の気流を制御する場合もあるが(特開昭8−068559号などを参照)、このような制御を行った場合には、特に各空調設備による他の空調エリアへの影響が大きくなり、上記従来の問題が顕著となる。 【0008】ここで、空調空間全体の空気を積極的に循環・対流させるように調和空気の気流を制御した場合には、空調空間に対しその設備構成や使用状況等で要求される気流分布が形成されることなどから、当該空調空間に所定の温度分布が形成される。 【0009】本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、空調空間全体の空調効率を向上させつつ、各空調エリアをそれぞれ目標温度に制御することが可能な空調制御方法を提供することを課題としている。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、連続した1つの空調空間を複数の空調設備で空調する際に、上記空調空間を複数の空調エリアに区画し、各空調エリア毎に所定の空調環境に制御する空調制御方法において、予め、上記空調空間について温熱環境シミュレーションを行うと共に当該空調空間内に複数の温度検出位置を設定し、上記温熱環境シミュレーションに基づいて、上記各空調設備単位に上記複数の温度検出位置への寄与率をそれぞれ求めると共に上記各温度検出位置での目標温度をそれぞれ抽出しておき、各空調設備による空調制御温度を、それぞれ各温度検出位置への当該空調設備の寄与率を重みとして、上記複数の温度検出位置のうちの2以上の温度検出位置における各目標温度と実際の温度との差に基づき調整することを特徴とする空調制御方法を提供するものである。 【0011】実際の空調制御の準備処理として、対象とする空調空間について温熱環境シミュレーションを行うことで、その空調空間内の環境に応じた当該空調空間全体からみた最適な温度分布等が推定されると共に、各空調設備による空調空間内の全ての位置に対する影響度の指標(寄与率)をそれぞれ求めることできる。 【0012】したがって、上記温熱環境シミュレーションの結果から、空調空間が想定される温度分布となったとき、つまり使用環境その他の諸条件からの制限を加味した上で各空調エリアで最適温度となるときの、各温度検出位置での目標温度及び、その温度検出位置での各空調設備の空調(特に温度)の寄与率が求められる。 【0013】そして、空調設備毎の寄与率で重み付けを行いながら、それぞれの温度検出位置における各目標温度と実際の温度との差に基づき、各空調設備による空調制御温度を調整することで、一の空調設備によって、複数の空調エリアについて空調制御が寄与率に応じた分だけ行われる。 【0014】すなわち、各空調設備による空調制御が各空調エリア毎に重ね合わされて空調空間全体の空調制御が図られる。この結果、空調空間全体からみてバランスのとれた制御となって、空調の省エネに繋がると共に制御の速応性及び安定性が向上する。 【0015】ここに、本発明は、シミュレーション結果に基づいて空調制御を行うという新しい発想を有すると共に、各空調設備で重畳的に複数の空調エリアの温度を制御するというものである。また、一の空調設備によって、複数の空調エリアを空調制御を行うので、各空調設備は、必ずしも空調エリア単位に設置する必要はない。すなわち、空調エリアの設定自由度が向上したり、空調設備の配置自由度が向上する。 【0016】また、上記温熱環境シミュレーションは、最大発熱条件で行うことが好ましい。これによって、最大発熱以下の場合、空調制御温度が上昇し、結果的に省エネルギー運転となるからである。また、温熱環境シミュレーションは、1つに限定されず、例えば、夏モード及び中間期(春・秋)モード等、対象とする空調空間で代表される複数のモードに応じて設けておいて、切り替えて使用してもよい。 【0017】次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記各空調設備による空調制御温度の調整は、吹出し温度を変化させることで行うことを特徴とするものである。空調制御には、吹出し温度による調整と吹出しの風量による調整があるが、風量を変化させると、気流分布等が変化してシミュレーション結果と現実の状態とが大幅に乖離するおそれがあるので、今回の制御方式では対象外とする。 【0018】このため、請求項2の発明では、空調制御温度の調整を、吹出し温度で調整することとして、予め求めたシミュレーション結果を、維持するようにしている。次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、各空調設備からの吹出し気流が、複数の空調エリアに到達するように設定されていることを特徴とするものである。 【0019】本発明は、各空調設備からの吹出し気流が、空調空間の空気を循環等させる目的で対象とする空調エリアばかりでなく他の空調エリアまで積極的に到達するように空調設計されているような場合における空調制御である。このような場合、各空調エリア毎に個別に空調制御を行うと、各空調エリアでの目的とする温度への収束性が悪いが、本発明を採用することで、各空調エリア毎の目的とする温度への収束性が向上する。 【0020】 【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、制御対象としてドーム内の空間を空調空間として空調制御する場合を例に説明する。そして、図1に示すような空調空間1を想定し、この空調空間1が10個の空調エリアA1〜A10に区画される場合を例とする。 【0021】そして、従来と同様に、各空調エリアA1〜A10単位に空調設備が設けられて、各空調エリアA1〜A10に設けられた各空調設備の吹出し口からそれぞれ所定温度の調和空気を対応する空調エリアに向けて吹出し可能に構成されている。なお、図1中、矢印は、各吹出し口から吹き出す調和空気の気流を示す。 【0022】本実施形態では、実際の制御アルゴリズムを構築する前に、次のような処理を行う(図2参照)。まず、空調空間1内に想定される使用状態や空間内の環境要素(温度・気流・湿度・放射)等に基づいて、最大発熱条件(各空調設備が最大負荷となり、照明を全てつけ且つ観客席も満席となるような条件)を想定した温熱環境シミュレーションを実施する(ステップ1)。このとき、各空調設備からの調和空気の吹出し温度及び吹出し速度も設計温度として入力を行なう。 【0023】なお、上記吹出し速度は、各空調エリアA1〜A10への調和供給量等の諸条件で制限されるものであり、設計の際に決定された値を使用する。次に、上記シミュレーション結果を解析して得られた空調空間1全体での気流分布に基づいて、各空調設備の吹出し口から異なる拡散物質を排出させ定常状態となるまで拡散させるシミュレーションを行うことで(ステップ2)、空間内の全ての点での各空調設備の影響度を定義する指標(寄与率)を求める(ステップ3)。この寄与率は、一の空調設備についてみると、全空間位置の値を足し合わせると100%となる。 【0024】また、各空調エリアA1〜A10に1個ずつ温度センサS1〜S10(温度検出手段)を配置することを想定する(ステップ4)。なお、各空調エリアA1〜A10に複数の温度センサを配置しても問題はない(この場合であっても、各センサ毎の寄与率を考慮すればよい)。また、温度センサS1〜S10の配置場所は、上記シミュレーションを行う前に決定してよい。この温度センサS1〜S10の配置場所は任意に決定しても良いが、各空調エリアA1〜A10の温度を代表するような場所に設定すると良い。また、温度センサS1〜S10は、各空調エリアA1〜A10同士の境界に設置しても良い。 【0025】次に、上記温熱環境シミュレーション結果に基づいて空調空間1内に形成される温度分布から、各温度センサS1〜S10の位置(温度検出位置)での目標温度Tn(n:1〜10)を抽出する。同様に、拡散物質の分布から、各温度センサS1〜S10の位置(温度検出位置)での寄与率Kn−m(n,m:1〜10)を抽出する(ステップ5,ステップ6)。ここで、nは温度センサS1〜S10の番号であり、mは対応する空調設備が設置された空調エリアA1〜A10を表す。 【0026】上記各温度センサS1〜S10の位置での目標温度Tnは、使用環境その他の諸条件を満足させることを前提とした上での、空調空間1内に最適な温度分布を形成する際の各温度センサS1〜S10の位置での設定温度となる。また、ここで求めた各寄与率Kn−mが、後述のように各空調設備の制御を行う際の重みとなる。 【0027】次に、各空調設備の制御で使用する2以上の温度センサS1〜S10を選択する。これは、例えば、空調エリアA1に対応する空調設備による温度センサS6の位置での寄与率K6-1 の値は、殆ど無視できるためである。本実施形態では、各空調設備単位に寄与率Kn−mの大きな3つの温度センサS1〜S10を使用する。なお、選択する温度センサS1〜S10の数は2個でも良いし4個以上でも良い。また、10個全部の温度センサS1〜S10を使用しても良い。 【0028】そして、各空調設備の吹出し口から吹き出される気流が、対象とする空調エリアA1〜A10に向けて放射状に噴射されている場合には、例えば、空調エリアA1に対応する空調設備については、空調エリアA1及びその空調エリアA1の両隣の空調エリアA2,A10に設置した温度センサS1,S2,S10からの実際の温度及び各温度センサS1,S2,S10の位置での目標温度T1,T2,T10及び寄与率K1-1 ,K2-1 ,K10-1を使用する。 【0029】以上のような実際の制御アルゴリズムを構築する前の処理を行った後に、各空調設備は、次のような処理で空調制御される。まず、空調エリアA1に対応する空調設備の空調制御だけに着目すると、所定サンプリング時間、例えば1分毎に、上記3つの温度センサS1,S2,S10から当該温度センサ位置の実際の温度G1,G2,G10を入力する(ステップ7)。 【0030】そして、下記(1)式の基づき、制御温度B1を計算する(ステップ8)。 B1={(K1-1 ×(T1−G1) +(K2-1 ×(T2−G2) +(K10-1×(T10−G10)} ÷(K1-1 +K2-1 +K10-1) ・・・(1) 次に、下記(2)式によって、空調設備1での吹出し温度を決定し、その吹出し温度I1となるように、空調制御温度を調整する(ステップ9)。 【0031】 吹出し温度I1=吹出し設計温度1+制御温度B1 ・・・(2) ここで、吹出し設計温度1とは、上述の温熱環境シミュレーションを行う際に設定した、上記空調設備1からの調和空気の吹出し温度である。また、上記説明は空調エリアA1に対応する空調設備の制御を説明しているが、他の空調エリアA2〜A10に対応する空調設備についても、同様な空調制御を行う。 【0032】ここで、温熱環境シミュレーションは、発熱条件が最大となる条件で行ったものであるので、実際の各空調設備からの吹出し温度は、一般に吹出し設計温度よりも高くなる。以上の制御によって、一の空調設備によって、対象とする空調エリアの空調の制御ばかりでなく隣合う他の空調エリアについても当該空調エリアへの影響度に応じた空調の制御が行われることとなる。この結果、空調エリア同士の境界位置での混合ロスが低減するなど、空調空間1全体の空調効率が向上するばかりか、空調空間1全体に目的とする温度分布を実現、つまり、空調空間1全体でバランスのとれた空調制御が行われて、各空調エリアA1〜A10を使用条件や設定された気流条件等の諸条件を考慮した上での最適な温度にそれぞれ制御することが可能となる。 【0033】ここで、上記制御温度の計算は、P(比例)制御のみを示したが、各空調設備での調和空気の温度調整の遅れや、各吹出し口から吹出した気流の各センサ位置への到達する時間の違い等によって、上記(1)式に補正をかけてもよい。また、上記実施形態では、従来のように、各空調エリアA1〜A10対応に空調設備を配置した例を説明しているが、本実施形態では、各空調設備でそれぞれ複数の空調エリアA1〜A10を寄与率Kn−m(影響度)に応じた分だけ空調制御を行い、各空調設備による空調制御の重ね合わせで各空調エリアA1〜A10の空調温度を制御しているので、各空調エリアA1〜A10と空調設備とは必ずしも一対一に対応付ける必要はない。 【0034】また、上記説明では、各空調エリアA1〜A10にそれぞれ1つの温度センサS1〜S10位置を設定した場合を例に説明しているが、各空調エリアA1〜A10に複数の温度センサを設定しても構わない。また、上記実施形態では、一つの温熱環境シミュレーションに基づいて実際の空調制御を行うように説明しているが、対象とする空調空間1で行うイベント(スポーツ観戦,コンサート等)や使用スペースの変化等の使用状況や冬場,夏場,入場者の多い少ない等の諸条件に基づき、代表的な環境モードを複数,想定し、各環境モード対応に上記温熱環境シミュレーションを行い、各シミュレーション結果に基づいて、それぞれ上記のような空調温度を調整するための計算式を用意しておいて、実際の使用環境等に応じて空調モードを切り替えるようにしてもよい。 【0035】また、上記実施形態では、それぞれの空調設備からの吹出しを対象とする空調設備に向けて放射状に吹き出す場合を例に説明しているが、これに限定されない。例えば,特開平08−068559号公報に記載されているように、各空調設備からの吹出し気流を、右側の空調エリアA1〜A10にも積極的に到達するように、気流の風速や吹出し方向を設定して、図3に示すように、ドーナツ状の気流の流れD(旋回流)を形成するような空調環境に適応しても良い。 【0036】なお、このような旋回流状Dの気流分布を形成させると、旋回気流Dに直接影響を受けない部分つまりドーム中央部1aの温度を余り下げることなく、旋回気流Dが形成される観客席の温度を低く設定することが可能となると共に、気流の流れによる風によって観客席での体感温度が下がって吹出し温度を上げても観客席に快適空間が設定されて省エネを図ることができるものである。 【0037】上記のような空調環境にあっては、例えば、空調設備1からの気流Eは、例えば上記図3に示すように、対象とする空調エリアA1ばかりでなく、空調エリアA2,及びA3にも到達して大きく影響する。すなわち、空調エリアA1の空調設備による寄与率Kn−mが大きいのは温度センサS1,S2,S3であるので、上記(1)式の代わりに下記(3)式に基づき、制御温度を計算すればよい。他の空調設備の制御についても同様である。 B1={(K1-1 ×(T1−G1) +(K2-1 ×(T2−G2) +(K3-1 ×(T3−G3)} ÷(K1-1 +K2-1 +K3-1 ) ・・・(3) このように各空調エリアA1〜A10の空調環境が、他の空調エリアA1〜A10用の空調設備からの調和空気に大きく影響を受ける場合であっても、本発明に基づく空調制御を実施することで、各空調エリアA1〜A10における他の空調設備の影響も加味した制御が行われて、各空調エリアA1〜A10の温度を目的とする温度に制御することが可能となるばかりか、各空調エリアA1〜A10で目標とする温度への収束性も良い。 【0038】ここで、従来の空調制御方法は、上記(3)式における寄与率K1-1 の値を1とし寄与率K2-1 ,K3-1 の値を0とした場合に対応すると考えられ、この場合には、他の空調設備からの影響を考慮しない結果、容易に目的とする温度とならないばかりか安定性も悪いことが想定される。 【0039】ここで、寄与率Kn−mはどの空調空間位置においてもいずれかの空調機に寄与する。したがって、一の空調設備による寄与率Kn−mは空調空間全域で全て足し合わせることで100%となるため、空調エリアA1から空調エリアA10まで同様な手法で制御値を求めることにより、全ての温度センサS1〜S10の位置での当該温度センサS1〜S10で測定される実際の温度G1〜G10は全ての空調設備に寄与率に応じた影響をもたらすものと考えられる。 【0040】次に、第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。上記第1の実施形態は、ドームや大劇場等の大空間に適用した場合の例であるが、図4に示すオフィスのような環境空間であって複数の空調設備で空調制御される場合であっても適用できる。 【0041】図4に示す空調空間1は、3つの空調エリアA1〜A3に区画され、各空調エリアA1〜A3は、それぞれが天井に配置されたアネモ型等の2つの吹出し口3〜5からの調和空気によって空調制御される。なお、符号6は窓の位置を示す。また、符号S1〜S3は、各空調エリアA1〜A13で代表的な環境温度を検出する温度センサである。 【0042】さらに、本実施形態では、各空調エリアA1〜A3の境界位置近傍にも温度センサS4,S5を配置している。そして、空調空間1の想定される使用条件における代表的な複数の環境モード(例えば,各空調エリアA1〜A3での設定温度や吹出し気流、送風・冷房等を変更する)についてそれぞれ温熱環境シミュレーションを行い、各モード単位に、第1の実施形態と同様にして、各空調エリアA1〜A3の吹出し口3〜5(空調設備)による各温度センサS1〜S5位置での寄与率Kn−m及び目標温度Tnを予め求めておく。 【0043】そして、例えば、空調エリアA1に対応する空調設備については、使用する温度センサとしてS1,S4,S2を選択し、空調エリアA2に対応する空調設備については、使用する温度センサとしてS2,S4,S5を選択し、空調エリアA3に対応する空調設備については、使用する温度センサとしてS2,S3,S5を選択する。 【0044】そして、各空調エリアA1〜A3での実際の空調設定状態から最適な温熱環境シミュレーションのモードを選択し、そのモードに対応した上述の(1)式と同様な計算式で、各空調設備の制御温度を計算して、各空調設備からの吹出し温度を調整する。 【0045】なお、基本的な前処理や実際の制御については、基本的に第1の実施形態で説明したものと同様である。これによって、各空調エリアA1〜A3での設定温度等が相違していても、空調エリアA1〜A3同士の境界位置での混合ロスが小さくなると共に、他の空調エリアA1〜A3の空調設備からの調和空気も加味して各空調エリアA1〜A3の空調が制御されることで、早期に空調空間1全体としてバランスをとりつつ目的の空調環境になるばかりか、空調効率が向上する。 【0046】ここで、上記全実施形態では、平面的な空調空間1の制御を例にしているが、上下の空間が連続していて上下方向(各階)にも異なる空調環境を形成するように空調制御する場合であっても適用できる。 【0047】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明を採用すると、複数の空調エリアからなる空調空間を複数の空調設備で空調制御する場合に、空調空間全体における空調効率を向上させつつ、空調空間全体にバランスのとれた空調制御が行われて、各空調エリアをそれぞれ目的とする空調環境に制御することができる。 【0048】このとき、請求項2の発明を採用することで、温熱環境シミュレーションによる空調分布を維持できることで、上記空調制御の性能を向上させることができる。さらに、請求項3の発明を採用することで、他の条件から各空調設備からの吹出し気流が、複数の空調エリアに到達するように設定されている空調環境であっても、空調空間全体にバランスのとれた快適な環境を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000206211 【氏名又は名称】大成建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年12月9日(1998.12.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066980 【弁理士】 【氏名又は名称】森 哲也 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−171071(P2000−171071A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願平10−350148 |
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