トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F23 燃焼装置;燃焼方法




【発明の名称】 ガスタービン
【発明者】 【氏名】渡辺 泰行

【氏名】笹田 哲男

【氏名】竹原 勲

【氏名】森友 嘉一

【氏名】笹尾 俊文

【氏名】森脇 文治

【氏名】繁田 政治

【氏名】伊藤 和行

【要約】 【課題】本発明の目的は、燃焼器缶の燃空比を所定の安定燃焼範囲に保持できるガスタービンを提供することにある。

【解決手段】複数の缶型の燃焼器が設けられており、前記燃焼器が火炎伝播管20により連結されているガスタービンにおいて、前記火炎伝播管20と、該火炎伝播管20の外周を覆う外筒との間隙に、該間隙を流れうる流体の流量を低減する流量低減手段30を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の缶型の燃焼器が設けられており、前記燃焼器が火炎伝播管により連結されているガスタービンにおいて、前記火炎伝播管と、該火炎伝播管の外周を覆う外筒との間隙に、該間隙を流れうる流体の流量を低減する流量低減手段を設けたことを特徴とするガスタービン。
【請求項2】予混合バーナを有する複数の缶型の燃焼器が設けられており、前記燃焼器が火炎伝播管により連結されているガスタービンにおいて、前記火炎伝播管と、該火炎伝播管の外周を覆う外筒との間隙に、該間隙を流れうる流体の流量を低減する流量低減手段を設けたことを特徴とするガスタービン。
【請求項3】請求項1,2に記載のガスタービンにおいて、前記流量低減手段として、流体の流れの抵抗となる複数の溝を設けた部材を用いたことを特徴とするガスタービン。
【請求項4】請求項1,2に記載のガスタービンにおいて、前記流量低減手段として、前記間隙が形成する流体の流路に対してその配置位置が移動可能で流体の流れの抵抗となる仕切部材を用いたことを特徴とするガスタービン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は1基のガスタービンに対して複数の缶型の燃焼器が設けられており、該燃焼器が火炎伝播管により連結されているガスタービンに関する。
【0002】
【従来の技術】1基のガスタービンに対して複数の缶型の燃焼器が設けられているガスタービン設備においては、通常、燃焼器はガスタービンの周囲に円環状に配置される。隣接するこれら燃焼器は火炎伝播管で相互に連結されており、燃焼器の内、1缶あるいは数缶の燃焼器に点火装置が設置される。ガスタービンの起動時には、点火装置を作動させて当該燃焼器を点火すると、燃焼ガスによって未点火の隣接燃焼器缶よりも圧力が高くなるから、火炎伝播管を通って火炎が順次隣接する燃焼器缶に流入し、最終的に全燃焼器缶を点火することができる。
【0003】火炎伝播管は、上記の操作を確実に行わせるために必要な構成部品であり、これに関する従来技術としては、特開昭57−142423号公報,特開昭62−200112号公報,特開平3−158619 号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】火炎伝播管は、燃焼器の点火時に隣接燃焼器間に発生する圧力差により火炎を管内に通過させるものである。したがって、全燃焼器缶が点火を終了すれば圧力差が無くなり、火炎伝播管を通した流れは無くなるはずである。しかし、実際には各燃焼器缶毎に空気流量や燃料流量圧力にバラツキが生じるため、隣接する燃焼器間に圧力差が生じる場合がある。火炎伝播管は、この様な場合においても高温の燃焼ガスが火炎伝播管を通過して損傷を与えることがないように冷却空気が適切に流れるようにしてある。
【0005】一般的に、圧縮機を出た空気は複数の燃焼器に分配されるが、燃焼器はその圧力損失が一定範囲に入る様に製作され、管理されるから、各燃焼器に流入する空気の入口圧力はほぼ均一になる。したがって平均的には各燃焼器缶の燃焼空気流量はほぼ同一になっている。しかし、圧縮機出口の圧力分布は時間的に常に一定ではなく、突発的に変化することがありうる。例えば燃料の発熱量変化により燃焼器毎に燃焼温度が異なる時間帯が生じると燃焼器内圧力が変化し、燃焼器に流入する空気の圧力分布も変化する。また、燃焼器への空気流路にある構造物から剥離渦が放出される場合には、流れの乱れにより局所的に圧力分布の時間変動が起きうる。燃焼器が外筒で周囲を覆われている火炎伝播管により接続されているガスタービンにおいては、このような原因で隣接する燃焼器缶の前記外筒部分に圧力差が生じると、該外筒の内壁と前記火炎伝播管の外壁との間隙が流路になるから、当該間隙に空気が流れることになる。この結果、平均的には各燃焼器缶に流入する空気流量が均一になっていても、実際の燃焼場に到達する前に火炎伝播管の外壁とそれを覆う外筒の内壁との間隙で燃焼空気の移動があるために、燃焼器缶毎に燃焼場では局所的な空気のアンバランスが生じることになる。
【0006】近年、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減するために燃焼器に予混合バーナを使用するケースが多くなっており、年々予混合燃焼比率が増大している。しかし、予混合燃焼は拡散燃焼に比べて安定燃焼できる燃空比(燃料流量と空気流量の比率)範囲が狭く、火炎の吹き消えや燃焼振動を起こしやすい。したがって、予混合バーナの燃空比管理は木目細かく実施されるが、前述の様に火炎伝播管の外筒の内壁と火炎伝播管の外壁との間隙を通って空気が隣接燃焼器缶に流れると、燃焼場での燃空比が設定値を外れて不安定燃焼範囲に入る場合がある。特に、火炎伝播管が予混合バーナの燃焼室に連結されている場合には、必然的に予混合バーナの空気流入部分は火炎伝播管外部より下流側に位置するから、前記間隙を流れる空気流量が局所的に予混合バーナの燃空比に影響を及ぼす。
【0007】本発明の目的は、燃焼器缶の燃空比を所定の安定燃焼範囲に保持できるガスタービンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は複数の缶型の燃焼器が設けられており、前記燃焼器が火炎伝播管により連結されているガスタービンにおいて、前記火炎伝播管と、該火炎伝播管の外周を覆う外筒との間隙に、該間隙を流れうる流体の流量を低減する流量低減手段を設けたことを特徴とするものである。
【0009】また、上記目的を達成するために、本発明は予混合バーナを有する複数の缶型の燃焼器が設けられており、前記燃焼器が火炎伝播管により連結されているガスタービンにおいて、前記火炎伝播管と、該火炎伝播管の外周を覆う外筒との間隙に、該間隙を流れうる流体の流量を低減する流量低減手段を設けたことを特徴とするものである。
【0010】また、前記ガスタービンにおいて、前記流量低減手段として、流体の流れの抵抗となる複数の溝を設けた部材を用いたことを特徴とする。
【0011】また、前記ガスタービンにおいて、前記流量低減手段として、前記間隙が形成する流体の流路に対してその配置位置が移動可能で流体の流れの抵抗となる仕切部材を用いたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】図1に本発明によるガスタービンの一実施例を示す。ガスタービンを構成する缶型の燃焼器1aは、拡散燃焼用の燃料10を燃焼室2を構成する内筒19内に噴射する燃料ノズル3を有する拡散バーナ7と、予混合燃焼用の燃料11を予混合器4に噴射する燃料ノズル5を有する予混合バーナ8を備えている。
【0013】燃焼用空気12は、図示しない圧縮機から燃焼室2の内筒19と、該内筒19の外周を覆う外筒21との間に形成される流路32を通って燃焼器1aに供給される。拡散バーナ7では、燃焼用空気12と燃料ノズル3から供給された燃料10は旋回器6により内筒19の燃焼室2内に燃焼ガスの循環渦を形成し、安定な拡散火炎となる。一方、予混合器4に流入した燃焼用空気12は、旋回器9により燃料ノズル5から噴射された燃料と混合し、内筒19の燃焼室2に噴射され燃焼する。予混合バーナ8の下流側に位置する燃焼室2の壁面には、隣接する燃焼器1bと接続する火炎伝播管20が配置される。火炎伝播管20は、外筒21の一部である外筒21aによりその周囲を覆われている。火炎伝播管20の外壁と外筒21との間には流路22が形成されるが、この流路22には具体的に後述する流量低減手段30が配置される。
【0014】図2に示すように、本実施例による缶型の燃焼器1a〜1nは、図示しない1基のガスタービンの周囲に例えば14缶の燃焼器が配置され、それぞれ火炎伝播管20a〜20n(図示せず)とこの火炎伝播管20a〜20nを覆う外筒21a〜21nとで接続されている。ガスタービンの起動時には、例えば燃焼器1m,1nに設けられた点火栓13を作動させ、図1に示す燃焼器の燃焼室2に火炎を形成すると、内筒19内の当該燃焼室2の圧力が上昇するから、火炎伝播管20の内部を通って燃焼ガスが隣接缶1aあるいは1lに流れ次々に隣接燃焼器缶1b〜1kを点火させる。こうして、全燃焼器1a〜1nの点火が完了すると、燃焼器間の差圧は小さくなるので、火炎伝播管20の内部を通る燃焼ガスは実質的に無くなる。
【0015】一方、図1で説明した様に、火炎伝播管20の外壁とこれを覆う外筒21aの内壁の間隙には流路22が形成される。このため、仮に圧縮機から燃焼器に供給される空気流量が各燃焼器缶1a〜1nで均一であっても、流れの乱れ等の原因によって燃焼室2の内筒19と外筒21との間の流路である外側の流路32に周方向に圧力分布の差が生じると、前記流路32と連通した前記流路22に燃焼用空気が流れることになる。この結果、最終的に各燃焼器に流入する空気量は局所的にアンバランスを生じる。本実施例の様に予混合バーナ8が燃焼室2を構成する内筒19内の内壁側に配置される場合には、火炎伝播管20の部分に生じる空気流量の局所的なアンバランスは、予混合バーナ8に流入する空気流量に影響を及ぼすから、空気流量のアンバランスが大きくなれば予混合バーナ8の燃空比が設定している安定燃焼範囲を外れ、不安定燃焼領域に入る恐れがある。そこで、本実施例では、燃焼室2の外側の流路32に周方向の圧力分布が生じても流路22に流れる空気流量を低減できる手段30が配置される。
【0016】図3に、図1に示した流量低減手段30の具体的な一実施例を示す。本実施例では、隣接する燃焼器缶の燃焼室2を構成する内筒19を連結する火炎伝播管20の外周を覆う環状の外筒21aの内側に、複数の環状の溝41を設けた円筒状のブロック40が配置される。ここで、流路22に設置されたブロック40の内周壁と火炎伝播管20の外壁との間隙dの距離は1〜5mmに設定される。ブロック40の内壁側に複数の環状溝41を設けることによって、流路22に燃焼用空気が流入しブロック40の内周壁に沿う流れが生じた時に溝41に渦が生じて流体抵抗となるから、溝41を設けない場合に比べて、同じ間隙dの距離と燃焼器間の差圧に対して流れる空気流量を低減できる。したがって、間隙dの距離を比較的大きく設定できるので、ブロック40を設けることによる火炎伝播管20を組み立てる際の作業性の低下を最小限に止めることができる。また、ガスタービンの運転中に、熱伸びや振動によりブロック40が火炎伝播管20に接触し、摩耗や場合によっては損傷する可能性も回避することができる。
【0017】尚、本実施例では溝41を設けたブロック40を外筒21aの内周壁に配置したが、火炎伝播管20の外周壁に前記ブロック40を配置しても同様な効果が得られるのは明白である。
【0018】本実施例によれば、火炎伝播管20とそれを覆う外筒21aとの間の流路に流れうる空気流量を低減する手段について、火炎伝播管を組み立てる際の作業性を悪化させず、また、ガスタービンの運転中の熱伸びや振動によっても火炎伝播管等の部品の損傷を回避できる。したがって、ガスタービン燃焼器の各缶毎に燃焼器流入空気流路に異なる圧力分布が生じ、火炎伝播管20を覆う外筒21a間に差圧が生じても各缶の空気流量を均一に保持できるから、各缶の燃空比を燃焼安定範囲の設定値に管理することができる効果がある。
【0019】図4に、前記流路低減手段30の具体的な他の実施例を示す。本実施例では、火炎伝播管20の外壁とそれを覆う外筒21aの内壁との間に形成される流路22に、流路22に対して直角方向にその位置を移動でき、流路22を流れる空気の流れの抵抗となる仕切板50を配置する。また、移動出来る仕切板50を保持するために仕切板50を挟むように支持板51が外筒21aの内壁に配置される。ここで、仕切板50の中心側には図5,図6に示すように、火炎伝播管20を通すことができる孔52が開けられており、火炎伝播管20を燃焼器の燃焼室2に配置すると孔52が火炎伝播管20の外壁で塞がり、流路22を実質的に塞ぐことができる。また、仕切板50は流路22に対して直角方向に移動できるようになっているから、火炎伝播管20の組み立ての際には火炎伝播管20を容易に仕切板50の孔52に差し込むことができ、組み立ての作業性を悪化させることは無い。また、ガスタービン運転中の熱伸びや振動があっても過度の応力がこれら構成部品にかかるのを回避できる。なお、前記仕切板50としては円周方向に分割され全体でリング状となる分割仕切板を用いても良い。
【0020】本実施例では、前記支持板50と前記火炎伝播管20との間隙をできる限り小さくするとより確実に当該流路22を流れる空気流量を低減できる。しかし、余り小さくすると接触面が摩耗する恐れがあり、また、通常は圧力差あるいは重力により仕切板50は上下の支持板51のどちらかに接触するから、過度に当該間隙を小さくしなくても実質的にこの部分を閉止することになる。したがって、当該間隙は、望ましくは0.5〜3mm に設定される。また、接触面に耐摩耗性のコーティングを施すのが望ましい。
【0021】本実施例によれば、火炎伝播管の組み立ての作業性を悪化させず、また、ガスタービン運転中の熱伸びや振動による構成部品の応力発生を回避して、火炎伝播管の外壁とそれを覆う外筒の内壁との間隙を実質的に閉止することができ、当該間隙を流れる空気流量を低減できる効果がある。
【0022】
【発明の効果】本発明により、火炎伝播管と該火炎伝播管を覆う外筒との間隙を流れる空気流量を低減して、各燃焼器缶の燃空比を所定の安定燃焼範囲に保持できるガスタービンを実現できるという効果が達成される。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成10年10月14日(1998.10.14)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開2000−121056(P2000−121056A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−291731