| 【発明の名称】 |
気化式燃焼装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】跡部 嘉史
【氏名】秋山 隆
【氏名】田中 良彦
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| 【要約】 |
【課題】バーナの通路部に専用ヒータを設けることなく、良好な着火が可能でかつ着火直後から最大能力で燃焼させることのできる気化式燃焼装置を提供する。
【解決手段】気化器20から噴出する気化燃料は、バーナ30の通路部31を通って炎孔32から噴出する。通路部31は、高熱伝導率の部材で形成されかつ気化器20と大きな接触面積を有し、気化器20から熱が良好に伝わるようになっている。着火制御部51は、燃料の気化に適した気化適正温度より高い目標温度までヒータ21で気化器20を一旦昇温し、その後当該気化器が気化適正温度まで下がったときに実際の着火動作に入る。予熱時に気化適正温度を越える目標温度までオーバーシュートさせるので通路部31を短時間で昇温し、通路部31の内部での混合気の再液化が防止され、良好な着火と着火直後からの最大能力での燃焼が可能になる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】気化された燃料と空気との混合気を炎孔から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置において、バーナと、燃料を気化させる気化器と、前記気化器を加熱するヒータと、前記バーナを着火する際の一連の動作を制御する着火制御部とを有し、前記バーナは、前記炎孔と、前記気化器で気化された燃料を前記炎孔まで導く通路部とを有し、前記バーナの通路部は、前記気化器から熱が伝導するように構成されており、前記着火制御部は、燃料の気化に適した気化適正温度より高い所定の目標温度まで前記ヒータによって前記気化器を一旦昇温し、その後当該気化器が前記気化適正温度まで下がったときに前記バーナを着火することを特徴とする気化式燃焼装置。 【請求項2】気化された燃料と空気との混合気を炎孔から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置において、バーナと、燃料を気化させる気化器と、前記気化器を加熱するヒータと、前記バーナを着火する際の一連の動作を制御する着火制御部とを有し、前記バーナは、前記炎孔と、前記気化器で気化された燃料を前記炎孔まで導く通路部とを有し、前記バーナの通路部は、前記気化器から熱が伝導するように構成されており、前記着火制御部は、燃料の気化に適した気化適正温度より高い所定の目標温度まで前記ヒータによって前記気化器を一旦昇温してから前記気化適正温度に維持し、前記気化器が前記気化適正温度に維持されている状態で前記通路部の温度が所定の温度まで上昇するのを待ってから前記バーナを着火することを特徴とする気化式燃焼装置。 【請求項3】前記ヒータで前記気化器の加熱を開始する加熱開始時点における前記通路部の温度が低いほど前記目標温度が高くなるように当該目標温度を前記加熱開始時点における前記通路部の温度に応じて設定変更することを特徴とする請求項1または2記載の気化式燃焼装置。 【請求項4】前記気化器は、一次空気導入口と燃料導入口とを備え、前記燃料導入口から流入した燃料を気化させるとともに、気化した燃料と前記一次空気導入口から流入した空気とを内部で混合して得た混合気を生成するものであり、前記着火制御部は、前記目標温度を前記気化器の内部に付着している不要な油分を除去し得る清掃可能温度に設定し、前記ヒータによって前記気化器を前記清掃可能温度まで一旦昇温した後に空気を前記一次空気導入口から送り込んで前記気化器を前記気化適正温度に向けて急冷することを特徴とする気化式燃焼装置。 【請求項5】気化された燃料と空気との混合気を炎孔から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置において、バーナと、燃料を気化させる気化器と、前記気化器を加熱するヒータと、前記バーナを着火する際の一連の動作を制御する着火制御部とを有し、前記バーナは、前記炎孔と、前記気化器で気化された燃料を前記炎孔まで導く通路部とを有し、前記バーナの通路部は、前記気化器から熱が伝導するように構成されており、前記着火制御部は、燃料の気化に適した気化適正温度に前記気化器を前記ヒータで昇温するとともにその後もその温度に保持し、前記気化器が前記気化適正温度に維持されている状態で前記通路部の温度が所定の温度まで上昇するのを待ってから前記バーナを着火することを特徴とする気化式燃焼装置。 【請求項6】前記着火制御部は、前記通路部で混合気が結露しない所定の良好着火可能温度以上に前記通路部が暖まっている通常時よりも空気比を小さく設定した状態で前記バーナに着火することを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の気化式燃焼装置。 【請求項7】前記気化器と前記バーナの通路部との接触面積を大きくし前記気化器から前記通路部への伝熱効率を高めたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の気化式燃焼装置。 【請求項8】前記通路部を熱伝導率の高い部材で形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の気化式燃焼装置。 【請求項9】前記気化器または前記通路部に接触する部材であって前記気化器と前記通路部以外のものを熱伝導率の低い部材で形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の気化式燃焼装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、気化された燃料と空気との混合気を炎孔から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置に関する。 【0002】 【従来の技術】石油などの液体燃料を気化して燃焼させる気化式燃焼装置では、高温に加熱した気化器で燃料を気化し、これに一次空気を混ぜた所定の空気比の混合気をバーナの炎孔から噴出させて燃焼させている。 【0003】気化器には、通常、ヒータと温度センサが取り付けてあり、点火の際には、まず、液体燃焼を気化し得る温度まで気化器をヒータで予熱する。図6は、冷えた状態から行う初期着火動作における気化器温度と着火タイミングとの関係を示している。 【0004】図6の実線601で示すように、ヒータによる気化器の加熱は、当初は急速に行われるが、気化器の温度が液体燃焼を気化するのに適した気化適正温度に近づくにつれて温度上昇の勾配を小さくし、気化器の温度が気化適正温度を越えずに漸近的に気化適正温度になるように予熱が行われる。 【0005】これは、気化に適した温度は、250℃±5℃程度のわずかの温度範囲に限定されるからである。すなわち、上限の255℃を越えると気化の勢いが過剰になり、気化した燃料に邪魔されて気化面の近傍に燃料の液滴が到達できなくなり、一時的に気化量が減少する。一方、気化量が減少すると再び液滴が気化面に到達し、今度は盛んに気化して気化量が増大する。このように気化適正温度よりも気化面の温度が高くなると、気化燃料の噴出量が波打つように変動して安定しない。このため、気化適正温度を越えないように気化器の加熱(予熱)が行われる。 【0006】気化器の温度が気化適正温度まで昇温すると、実際に燃焼を気化器に送り込んで気化させ、混合気を作り、これに点火するという着火動作が実行される。また、気化させる燃料の量が変化して気化熱として奪われる熱量が変動しても、気化器の内部温度が気化適正温度に維持されるように、点火後も常時、ヒータの通電状態が制御される。 【0007】このように気化器の温度を制御して燃料の気化が確実に行われたとしても、気化器からバーナの炎孔までの間に存する通路部(バーナ本体内の通路部分)が冷えている状態では、ここを通過する過程で燃料の一部が再液化し、実質的に空気比が大きくなってしまう。たとえば、先の図6では、再液化がほとんど起こらずに良好な着火の得られる良好着火可能温度602よりも通路部の温度603がまだ低い状態(符号604で示す時点)で着火動作に入るので再液化が発生し、炎孔から噴出する混合気の空気比は、気化器から噴出した燃料の量と送り込む空気量とから求まる設定空気比よりも大きくなっている。 【0008】このような状態で点火すると、良好に着火できなかったり、炎がいわゆるリフトを起こしてしまうので、バーナの通路部専用にヒータを別途設け、このヒータによって点火前からバーナ本体内の通路部を再液化の起きない温度に予熱したり保温するように対策した器具もある。 【0009】またバーナの通路部が冷えた状態では空気比が大きくなって炎のリフト現象が生じ易いので、通路部が冷えた状態にあると想定される初期着火直後の運転での最大燃焼量を、器具の最大能力よりも小さく制限するものもある。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】バーナの通路部を専用のヒータで暖めるものでは、装置価格が高騰するとともに消費電力が嵩んでしまう。また、気化式燃焼装置がストーブ等の場合には、点火直後ほど最大能力での燃焼が望まれるにもかかわらず、初期着火直後の運転での最大燃焼量を制限するものでは、着火後、バーナの通路部が暖まるまで、器具の最大能力を発揮することができないという問題があった。 【0011】本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、バーナの通路部に別途のヒータを設けることなく、良好な着火が可能でかつ着火直後から最大能力で燃焼させることのできる気化式燃焼装置を提供することを目的としている。 【0012】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。 [1]気化された燃料と空気との混合気を炎孔(32)から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置において、バーナ(30)と、燃料を気化させる気化器(20)と、前記気化器(20)を加熱するヒータ(21)と、前記バーナ(30)を着火する際の一連の動作を制御する着火制御部(51)とを有し、前記バーナ(30)は、前記炎孔(32)と、前記気化器(20)で気化された燃料を前記炎孔(32)まで導く通路部(31)とを有し、前記バーナ(30)の通路部(31)は、前記気化器(20)から熱が伝導するように構成されており、前記着火制御部(51)は、燃料の気化に適した気化適正温度より高い所定の目標温度まで前記ヒータ(21)によって前記気化器(20)を一旦昇温し、その後当該気化器(20)が前記気化適正温度まで下がったときに前記バーナ(30)を着火することを特徴とする気化式燃焼装置。 【0013】[2]気化された燃料と空気との混合気を炎孔(32)から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置において、バーナ(30)と、燃料を気化させる気化器(20)と、前記気化器(20)を加熱するヒータ(21)と、前記バーナ(30)を着火する際の一連の動作を制御する着火制御部(51)とを有し、前記バーナ(30)は、前記炎孔(32)と、前記気化器(20)で気化された燃料を前記炎孔(32)まで導く通路部(31)とを有し、前記バーナ(30)の通路部(31)は、前記気化器(20)から熱が伝導するように構成されており、前記着火制御部(51)は、燃料の気化に適した気化適正温度より高い所定の目標温度まで前記ヒータ(21)によって前記気化器(20)を一旦昇温してから前記気化適正温度に維持し、前記気化器(20)が前記気化適正温度に維持されている状態で前記通路部(31)の温度が所定の温度まで上昇するのを待ってから前記バーナ(30)を着火することを特徴とする気化式燃焼装置。 【0014】[3]前記ヒータ(21)で前記気化器(20)の加熱を開始する加熱開始時点における前記通路部(31)の温度が低いほど前記目標温度が高くなるように当該目標温度を前記加熱開始時点における前記通路部(31)の温度に応じて設定変更することを特徴とする[1]または[2]記載の気化式燃焼装置。 【0015】[4]前記気化器(20)は、一次空気導入口と燃料導入口とを備え、前記燃料導入口から流入した燃料を気化させるとともに、気化した燃料と前記一次空気導入口から流入した空気とを内部で混合して得た混合気を生成するものであり、前記着火制御部(51)は、前記目標温度を前記気化器(20)の内部に付着している不要な油分を除去し得る清掃可能温度に設定し、前記ヒータ(21)によって前記気化器(20)を前記清掃可能温度まで一旦昇温した後に空気を前記一次空気導入口から送り込んで前記気化器(20)を前記気化適正温度に向けて急冷することを特徴とする気化式燃焼装置。 【0016】[5]気化された燃料と空気との混合気を炎孔(32)から噴出させて燃焼させる気化式燃焼装置において、バーナ(30)と、燃料を気化させる気化器(20)と、前記気化器(20)を加熱するヒータ(21)と、前記バーナ(30)を着火する際の一連の動作を制御する着火制御部(51)とを有し、前記バーナ(30)は、前記炎孔(32)と、前記気化器(20)で気化された燃料を前記炎孔(32)まで導く通路部(31)とを有し、前記バーナ(30)の通路部(31)は、前記気化器(20)から熱が伝導するように構成されており、前記着火制御部(51)は、燃料の気化に適した気化適正温度に前記気化器(20)を前記ヒータ(21)で昇温するとともにその後もその温度に保持し、前記気化器(20)が前記気化適正温度に維持されている状態で前記通路部(31)の温度が所定の温度まで上昇するのを待ってから前記バーナ(30)を着火することを特徴とする気化式燃焼装置。 【0017】[6]前記着火制御部(51)は、前記通路部(31)で混合気が結露しない所定の良好着火可能温度以上に前記通路部(31)が暖まっている通常時よりも空気比を小さく設定した状態で前記バーナ(30)に着火することを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]または[5]記載の気化式燃焼装置。 【0018】[7]前記気化器(20)と前記バーナ(30)の通路部(31)との接触面積を大きくし前記気化器(20)から前記通路部(31)への伝熱効率を高めたことを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]、[5]または[6]記載の気化式燃焼装置。 【0019】[8]前記通路部(31)を熱伝導率の高い部材で形成したことを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]または[7]記載の気化式燃焼装置。 【0020】[9]前記気化器(20)または前記通路部(31)に接触する部材であって前記気化器(20)と前記通路部(31)以外のものを熱伝導率の低い部材で形成したことを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]または[8]記載の気化式燃焼装置。 【0021】前記本発明は次のように作用する。気化器(20)から噴出する気化燃料は、バーナ(30)の通路部(31)を通って炎孔(32)から噴出する。このバーナ(30)の通路部(31)は、気化器(20)と大きな面積で接触しており、気化器(20)から熱伝導が良好に行われるように構成されている。 【0022】着火制御部(51)は、燃料の気化に適した気化適正温度より高い所定の目標温度まで気化器(20)の有するヒータ(21)で当該気化器(20)を一旦昇温する。これにより気化器(20)から熱伝導を受けるバーナ(30)の通路部(31)は、別途のヒータ(21)を用いなくても短時間で昇温される。 【0023】また、気化器(20)が目標温度から気化適正温度に下がった時点で実際の着火動作に入るので、燃料を適正に気化できるとともに、着火動作に入ったときにバーナ(30)の通路部(31)が暖まっているので、良好な着火を得ることができる。さらに既に通路部(31)が暖まっているので、当初から最大能力での燃焼が可能になる。 【0024】また、気化適正温度に下がってから気化器(20)をその温度に維持し、この状態下でバーナ(30)の通路部(31)が所定温度まで上昇するのを待ってからバーナ(30)を着火するように構成してもよい。 【0025】目標温度は、ヒータ(21)で気化器(20)の加熱を開始する時点における通路部(31)の温度に応じて定める。すなわち、加熱開始時点での通路部(31)の温度が低いほど目標温度を高く設定する。このように、通路部(31)の当初温度に応じてヒータ(21)で気化器(20)を加熱する際の最高温度である目標温度を変更するので、たとえば、通路部(31)が再液化の起こり難い規定の温度に昇温した時点で、丁度、気化器(20)が気化適正温度まで降下するような目標温度に設定することができる。 【0026】さらに、気化させた燃料と一次空気とを内部で混合して、混合気を生成するタイプの気化器(501)を用いる場合には、目標温度を気化器(501)の内部に付着している不要な油分を除去し得る清掃可能温度に設定し、ヒータ(502)によって気化器(501)を清掃可能温度まで一旦昇温した後に、空気を一次空気導入口から送り込んで気化器(501)を気化適正温度に向けて急冷してもよい。不要な油分は、たとえば安定気化に悪影響を及ぼすタール分等である。 【0027】これにより、初期着火動作時の予熱中に気化器(501)の内部を清掃することができ、別途のクリーニング動作を廃止することができる。また、清掃時には目標温度を400℃程度に設定するので、通路部(511)を短時間のうちに昇温することができるとともに、空冷中においても、気化器(501)を経由した暖かい空気によって、バーナの通路部(511)を暖めることができる。 【0028】このほか、燃料の気化に適した気化適正温度にオーバーシュートさせることなく気化器(20)をヒータ(21)で昇温するとともにその後も気化器(20)をヒータで気化適正温度に保持し、この状態下で、通路部(31)の温度が所定の温度まで上昇するのを待ってからバーナ(30)を着火するように構成してもよい。この場合には、気化適正温度より高い目標温度まで気化器(20)を一度昇温する場合に比べると、通路部(31)を昇温するために長い時間を要するが、通路部(31)が暖まってから着火動作に入るので、確実な着火を得ることができる。 【0029】なお、通路部(31)で混合気が結露しない所定の良好着火可能温度以上に通路部(31)が暖まっている通常時に設定する空気比よりも、バーナ(30)に着火するときの空気比を一次的に小さく設定することを併用すれば、通路部が良好着火温度より低い温度までしか昇温しなくても、確実かつ良好な着火を得ることができる。このように目標温度まで一旦昇温することと空気比を下げることを併用すれば、着火までの予熱時間を短縮しつつ適正な着火と安定な燃焼を得ることができる。 【0030】さらに、気化器(20)とバーナ(30)通路部(31)との接触面積を大きくして気化器(20)から通路部(31)への伝熱効率を高めたものでは、通路部(31)をより短時間のうちに昇温することができる。またバーナ(30)の通路部(31)を、たとえば炎孔(32)部分よりも熱伝導率の高い部材で形成すれば、当該通路部(31)の昇温時間をさらに短くすることができる。 【0031】このほか、気化器(20)または通路部(31)に接触する部材であって気化器(20)と通路部(31)以外のもの、たとえば、バーナ(30)の支持部材などを、熱伝導率の低い部材で形成すれば、通路部(31)や気化器(20)から熱が他の部分に逃げることが防止され、通路部(31)の昇温時間をより短縮することができる。 【0032】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる気化式燃焼装置10の主要部を示している。気化式燃焼装置10は、燃料を気化させる気化器20と、気化器20に石油等の液体燃料を送り込む燃料ポンプ11と、混合気を生成するために用いる空気を送り込む燃焼ファン12と、バーナ30と、燃焼ファン12の送り出す空気を一次空気および二次空気としてバーナ30へ導くための空気案内路40と、本装置の動作を統括制御する制御部50とを備えている。 【0033】バーナ30は、通路部31と、その上面に一列交代で配置された炎孔32および二次空気の噴出口33とから構成されている。通路部31は、気化器20で気化された燃料と燃焼ファン12から送り出された一次空気とを混合する混合室としての機能と上面に配置されている各炎孔32から混合気を一様に噴出させるための均一室としての機能を果たすようになっている。 【0034】気化器20は、気化熱を得るための電気式のヒータ21と、気化器の内部温度を検出するサーミスタ22を有している。また気化器20の背面上部には吸熱フィン23が設けてある。気化器20は、バーナ30の通路部31と比較的広い接触面25で面接触するように取り付けてある。また気化器20の吸熱フィン23は、バーナ30の炎孔面に所定量突出している。 【0035】気化器20は、バーナ30で混合気が燃焼している間は、その炎から当該吸熱フィン23を介して気化熱を獲得するようになっている。但し、気化すべき燃料の量が増大して多量の気化熱が奪われ、炎から獲得できる熱だけで気化器20の内部温度を液体燃料が気化するために必要な温度(気化適正温度…約250±5℃)に維持できないときには、ヒータ21が併用される。 【0036】気化器20の有する燃料噴出ノズル24は、通路部31の側壁面を貫通して通路部31の内部に突出しており、気化した燃料が当該燃料噴出ノズル24から通路部31の内部に向けて噴出されるようになっている。また燃焼ファン12は、空気案内路40の端部入口に接続されている。 【0037】燃焼ファン12から送り出された空気は、空気案内路40を通じて一次空気として通路部31の空気導入口34に流入する。また燃焼ファン12から送り込まれた空気の一部は、図示省略した経路を通じて二次空気ダクトに送り込まれ、二次空気の噴出口33から噴出するようになっている。 【0038】気化器20の燃料噴出ノズル24から噴出した気化燃料は、通路部31の中を通る間に一次空気と混合され、所定の空気比の混合気となって炎孔32から噴出するようになっている。 【0039】気化器20およびバーナ30の通路部31は、銅など熱伝導率の高い材料で形成されている。またバーナ30のうち炎孔32および二次空気の噴出口33は、耐熱性の高い材料で形成されている。空気案内路40は、熱伝導率の低い材料、たとえばステンレス鋼(SUS)で形成されている。 【0040】制御部50は、着火時の動作を制御する着火制御部51と、着火後に行われる通常の燃焼動作を制御する燃焼制御部52と、燃焼ファン制御部53と、燃料ポンプ制御部54と、ヒータ制御部55と、バーナ温度判定部56とを有している。 【0041】燃焼ファン制御部53は、着火制御部51または燃焼制御部52からの指示に従って燃焼ファン12の動作を制御する回路部分である。燃料ポンプ制御部54は、着火制御部51または燃焼制御部52からの指示に従って燃料ポンプ11の動作を制御する回路部分である。 【0042】燃料ポンプ制御部54は、要求された熱量に対応する量の燃料が出るように燃料ポンプ11の送油量を調整するようになっている。燃焼ファン制御部53は、燃料ポンプ制御部54の設定した送油量に対して着火制御部51あるいは燃焼制御部52から指定された空気比が得られるように、燃焼ファン12から送り出す空気量を制御するようになっている。 【0043】ヒータ制御部55は、着火制御部51あるいは燃焼制御部52からの指示に従ってヒータ21の通電状態を制御する回路部分である。ヒータ制御部55は、トライアック等の素子を備え、ヒータ21による発熱量をその最大能力の0%〜ほぼ100%まで無段階に変更制御し得るようになっている。 【0044】バーナ温度判定部56は、前回までの動作履歴に基づいて通路部31の温度を判定する回路部分である。たとえば、前回バーナ30をオフしてからの経過時間の長短に応じて、通路部31の温度を推定するようになっている。なお、制御部50は、CPU(中央処理装置)と、ROM(リード・オンリ・メモリ)とRAM(ランダム・アクセス・メモリ)とを主要部とする回路で構成されている。 【0045】次に作用を説明する。図1は、バーナ30の通路部31が冷えている状態から点火する際(初期着火動作時)に気化式燃焼装置10が行う動作の流れを示している。なお、通路部31が冷えた状態にあるか否かは、装置の動作履歴に基づいてバーナ温度判定部56によって判定される。たとえば、ヒータ21もオフにされた完全な運転停止状態から行う初期着火動作の場合には、通路部31が冷えた状態にあると判定し、初期着火動作以外(たとえばヒータ21によって気化器20が所定温度に保温されている待機状態など)では通路部31が冷えていないと判定する。 【0046】通路部31が冷えている初期着火動作の場合には、まず、吸気温度(外気温度)を図示しない温度センサで直接あるいは気化器20のサーミスタ22で間接的に認識し、その温度に基づいて通路部31がどの程度冷えているかを推定し、これに従って着火前に気化器20のヒータ21によって行う予熱動作のピーク温度としての目標温度の値を設定する(ステップS201)。 【0047】図3は、外気温度と設定すべき目標温度との関係を示している。外気温度が下がるほど通路部31がより冷えた状態にあると推定されるので、図示するように外気温度が低下するほど目標温度を高く設定するようになっている。なお目標温度を選定することは、燃料が気化するのに最適な気化適正温度に対するオーバーシュート量を定めていることになる。また通路部31の当初温度(外気温度)と目標温度との対応関係は、予め実験等によって求めておき、これをテーブル形式でROMに記憶している。もっとも、外気温度から目標温度を所定の演算で求めるようにしてもよい。 【0048】このように吸気温度に基づいて目標温度の設定が終了すると、次に気化器20のヒータ21を最大能力で駆動し、急速な加熱を開始する(ステップS202)。図4は、初期着火動作を行う際における気化器20や通路部31の温度変化を表している。ここで、実線401は、気化器20の温度変化を示し、点線402は、通路部31の温度変化を示している。また、最下段に示した矩形状の実線403は、ヒータ21の駆動状態を示している。 【0049】図示するように、時刻T1以後は、ヒータ21を最大能力で発熱させるので、気化器20の温度は急速に上昇する。その後、サーミスタ22によって監視している気化器20の温度が目標温度に到達すると(ステップS203;Y、時刻T2)、ヒータ21をオフにし(ステップS204)、気化器20の温度が燃料の気化に適した気化適正温度404まで下降するのを待機する(ステップS205)。 【0050】なお、図4に示したものでは、気化器20の温度が気化適正温度よりやや高い温度まで下降した時点の時刻T3からヒータ21を所定の中能力でオンにし、気化器20の温度をアンダーシュートさせることなく気化適正温度に到達させている。 【0051】気化器20を気化適正温度を越える目標温度まで昇温したので、通路部31の温度変化は、図6に示した従来のものに比べると、温度の上昇勾配が急になっている。また図4の例では、気化器20の温度が気化適正温度まで降下した時点の時刻T4には、ほぼ良好着火可能温度405まで昇温している。この良好着火可能温度とは、通路部31の内部で混合気がほとんど再液化しない状態における通路部31の温度である。 【0052】気化器20の温度が気化適正温度まで下降した時刻T4からは、ヒータ21は、気化器20の温度が気化適正温度(250±5℃)に維持されるように制御される(ステップS206)。また気化器20の温度が気化適正温度まで下降した時刻T4から燃料ポンプ11および燃焼ファン12が駆動され、さらに図示省略したイグナイタがオンにされて、点火動作が行われる(ステップS208)。 【0053】点火時の空気比は、安定燃焼に入った後の通常値よりも小さい値に設定される(ステップS207)。なお、ここでは、点火時の通路部31の温度が良好着火可能温度まで上昇していないと想定して空気比を通常値よりも下げているが、図4に示すように点火の際に通路部31が良好着火可能温度あるいはそれ以上に昇温している場合には、空気比を通常値より小さい値に変更する必要はない。 【0054】着火後は、通常の燃焼制御に移行する(ステップS209)。また着火後に通路部31の温度が規定温度(ここでは、良好着火可能温度)まで昇温したとき(ステップS210;Y)、空気比を通常値に戻す(ステップS211)。その後は燃焼動作の終了指示が入力されるまで、通常の空気比での燃焼制御を継続し(ステップS212;N)、終了指示を受けると(ステップS212;Y)、一連の消火動作を行って(ステップS213)、処理を終了する。 【0055】このように、ヒータ21を最大能力で発熱させて気化器20を一旦、気化適正温度を越える目標温度まで昇温し、その後、ヒータ21をオフにして気化器20が気化適正温度まで下降した時点で着火動作に入るので、着火時までに通路部31の温度を良好な着火が可能な良好着火温度により近づけることができる。その結果、点火時から、通路部31の内部で混合気が再液化し難く、点火時の空気比の下げ幅を小さくしたり空気比を通常値のままとすることができる。したがって、当初から最大燃焼あるいは最大燃焼に近い燃焼量で燃焼させることが可能になる。 【0056】また、気化器20と通路部31との接触面積を大きくとって、伝熱効率を高めているので、気化器20の有するヒータ21によって通路部31の温度を効率良く上昇させることができる。さらに、バーナ30の通路部31を熱伝導率の高い銅などで形成しているので、気化器20からの熱によって通路部31の全体を迅速に昇温することができる。 【0057】また通路部31と直接接触する空気案内路40などの部材を、熱伝導率の低い材料で形成することにより、通路部31から熱が外部へ逃げにくくなり、通路部31の昇温速度の増加に寄与している。このほか、燃焼ファン12からの空気を空気案内路40の内部に導き、ファンからの風が気化器20に直接当たらないようにしているので、気化器20自身が燃焼ファン12からの風で空冷されることが防止されている。この効果は、着火後に気化器20を気化適正温度に維持する際に主に発揮される。 【0058】以上説明した実施の形態では、目標温度から気化適正温度に下降するまでの冷却を自然冷却で行ったが、これを燃焼ファン12から空気を送って強制冷却するようにしてもよい。たとえば、図5に示すように、気化器501が、液体燃料と一次空気の双方を導入し、気化した燃料と一次空気とを内部で混合して混合気を生成するタイプの場合には、目標温度まで昇温した気化器501に一次空気だけを送ることで強制的に空冷することができる。 【0059】またこのようなタイプの気化器を用いる場合には、初期着火動作の予熱時に気化器501の内部に付着しているタール分を除去するクリーニング動作を行うようにすると効率的である。すなわち、目標温度を、タール分の除去可能な約400℃に設定し、当該温度までヒータ502で昇温する。その後、燃焼ファンで一次空気を気化器501に送り込み、気化器を400℃から気化適正温度まで強制冷却する。 【0060】燃焼ファンから送られてきた空気は、高温に加熱された気化器501の内部を通過する際に暖められる。したがって、強制冷却中に気化器501からバーナ510の通路部512に向けて送り出される暖かい空気によって、バーナの通路部511を暖めることができる。すなわち、気化器501の冷却を行いつつ、通路部511の加熱に寄与することができる。 【0061】なお、図5に示したものでは、気化器501とバーナ510の通路部511とを一体化し、熱伝導効率を高めている。またこれらは熱伝導率が高くかつ耐熱性に優れた銅などの部材で構成してある。 【0062】このほか、実施の形態では、装置の動作履歴に基づいて通路部31の温度を判別したが、通路部31の温度をセンサで実測してもよい。 【0063】また、実施の形態では、気化器20が目標温度から気化適正温度に下降した時点で、バーナ30に着火するようにしたが、気化適正温度まで下降した時点からその温度を維持するようにヒータ21を制御し、通路部31が良好着火可能温度になった時点で着火動作に入るようにしてもよい。通路部31が良好着火可能温度に達したか否かは、実際に通路部31に温度センサを設けて測定してもよいが、予熱開始前の外気温度や気化適正温度に至るまでのヒータ21の駆動履歴および気化適正温度になってからの経過時間などから、通路部31の温度を推定してもよい。 【0064】さらに実施の形態では、気化適正温度を越える目標温度まで一旦気化器20を加熱してから気化適正温度まで下降させることで、通路部31の昇温時間を短縮したが、通路部31が良好着火可能温度などの必要な温度まで昇温するのを待ってから着火動作に入るように構成すれば、オーバーシュートすることなく気化器20を漸近的に気化適正温度に向けて昇温してもよい。 【0065】つまり、気化適正温度まで昇温した後も気化器20をその温度で維持し、通路部31が良好着火可能温度等まで昇温した時点で着火動作に入るようにすれば、通路部31の内部での混合気の再液化が防止され、良好な着火および燃焼状態を得ることができる。 【0066】なお、目標温度は、気化適正温度まで下降した時点で丁度、通路部31が良好着火可能温度まで上昇するような温度に設定することが望ましい。また目標温度は必ずしも、外気温度(通路部温度)に応じて変更しなくてもよい。すなわち、通路部が最も冷えている状態に対応した目標温度を固定的に採用してもよい。ただし、この場合には、気化適正温度まで下降するまでの時間、すなわち、着火までにかかる予熱時間が必要以上長くなる場合がある。 【0067】 【発明の効果】本発明にかかる気化式燃焼装置によれば、気化器からバーナの通路部へ熱が良好に伝導するようにしておき、予熱時に、燃料の気化に適した気化適正温度より高い所定の目標温度まで気化器をヒータで一旦昇温し、その後、気化器の温度が気化適正温度に下降した時点で、着火動作に入るように構成している。このため、通路部専用に別途のヒータを設けなくても、着火時における通路部の温度を高めることができ、バーナの通路部内で混合気の再液化が起こり難く、良好な着火を得ることができる。 【0068】また着火時には、既にバーナの通路部が暖まっているので、当初から最大能力で燃焼させることが可能になる。さらに気化適正温度に下降してから着火動作、すなわち、燃料の気化を行うので、予熱中に気化器を目標温度まで昇温しても、燃料の気化を安定かつ適切に行うことができる。 【0069】そのうえ、気化器とバーナとの接触面積を大きくし、かつ通路部を高熱伝導率の材料で形成したので、気化器の熱で通路部を迅速に昇温することができる。また気化器または通路部に接触する部材を熱伝導率の低い部材で形成したので、通路部等から熱が逃げることが防止され、昇温速度をより一層高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000129231 【氏名又は名称】株式会社ガスター
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| 【出願日】 |
平成11年3月26日(1999.3.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100084261 【弁理士】 【氏名又は名称】笹井 浩毅
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| 【公開番号】 |
特開2000−274676(P2000−274676A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月3日(2000.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−82746 |
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