| 【発明の名称】 |
取鍋の予熱表示システム |
| 【発明者】 |
【氏名】リチャード ジェイ.グロス
【氏名】ロベルト バンデリ
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| 【要約】 |
【課題】取鍋の予熱において、取鍋耐火材の全体が均一加熱された時を、作業者に対して正確に示すことのできる装置及び方法を提供する。
【解決手段】予熱中、取鍋への入熱量を計算して監視し、入熱量の時間経過における変化を表す移動平均勾配を計算し、入熱量の測定における不可避の変化に対する移動平均勾配を修正し、時間経過における移動平均勾配(近似第2導関数)の変化を計算し、取鍋が十分に予熱されたことを示す設定基準より下に第2導関数があるとき、取鍋の読みを表す信号を作業者へ送る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耐火材が敷設された取鍋を予熱する方法であって、制御温度としての取鍋耐火材温度を測定し、加熱されるべき取鍋の設定温度を予め決定し、制御温度と設定温度を比較して取鍋への入熱量を制御し、入熱と時間の関係について平均勾配を計算し、取鍋への入熱量の変化量を求め、平均勾配を用いて、取鍋の熱含量を監視し、取鍋耐火材が全体に亘って十分に加熱されて、取鍋が使用可能状態となる時を決定する取鍋の予熱方法。 【請求項2】 耐火材が敷設され、溶融金属を容れて移送するための取鍋を予熱する方法であって、取鍋耐火材の高温面について測定された実際の制御温度と、加熱されるべき取鍋耐火材の所定の設定温度を表すデータを作成し、該データをプログラマブル論理制御器へ入力し、該制御器内で制御温度と設定温度との論理比較を実行して取鍋への入熱量を制御し、取鍋への入熱量の変化量を表す移動平均勾配を計算し、移動平均勾配の時間経過による変化がほぼゼロになったとき、取鍋耐火材が十分に加熱されていること、及び取鍋が使用可能な状態となったことを示す適当な信号を発生する取鍋の予熱方法。 【請求項3】 移動平均勾配(CFH/時間区間)は、式4A及び式4Bの関係式に基づいて決定される請求項2に記載の方法。 【数1】
【数2】
ここで、Lは時間区間を合計した時間;nは時間Lにおける測定回数;yiは取鍋への伝熱量の計算値であって、燃料ガス流量、空気流量(これら流量は1時間当たりの立方フィート(CFH)で測定される)、及び制御温度の関数;iは時間区間の順序;xiはi番目の時間区間である。 【請求項4】 入熱量と時間の関係について、式5に基づいて最大勾配を計算することにより、移動平均勾配の計算精度を向上させ、その最大勾配の変化を利用して取鍋の熱含量を監視し、取鍋耐火材が十分に均一加熱されて、取鍋が使用可能状態になる時を決定する請求項3に記載の方法。 【数3】
ここで、σは勾配の標準偏差、nは標準偏差の数である。 【請求項5】 nは2であり、信頼性水準が96%のとき、取鍋耐火材への入熱量の測定された変化量は、最大勾配によって示された変化量以下である請求項4に記載の方法。 【請求項6】 最大勾配の第2導関数を計算し、第2導関数が、第2導関数の値に殆んど変化がないか又は全く変化がないことを示す設定値よりも小さいとき、取鍋耐火材は厚さ全体に亘って十分に予熱されていること、及び取鍋が使用可能な状態にあることを示す信号を発生する請求項5に記載の方法。 【請求項7】 第2導関数を、指数関数etと時間との間で負勾配の指数関係を規定した式6に基づいて推定し、第2導関数を用いて、取鍋への入熱量の時間経過による変化を監視する請求項6に記載の方法。 【数4】
ここで、iは時間区間の順序、xiはi番目の時間区間、Lは時間区間を合計した時間である。 【請求項8】 第2導関数を連続的に計算し、指数関数etの値が36%よりも大きいときは、取鍋の耐火材がまだ均一加熱されていないことを示す信号を発生し、第2導関数の値が36%以下のときは取鍋が均一加熱されて使用可能な状態にあることを示す信号を発生する請求項7に記載の方法。 【請求項9】 制御温度及び入熱量の不可避の変化に対する移動平均勾配を、式5に基づいて修正し、取鍋が十分に均一加熱されて使用可能状態にある時を決定する際、最大勾配は移動平均勾配の精度を向上させる上限を構成する請求項3に記載の方法。 【数5】
ここで、σは勾配の標準偏差、nは標準偏差の数である。 【請求項10】 式6に基づいて最大勾配の第2導関数を推定することにより、取鍋耐火材への入熱量の時間経過における変化が、取鍋が十分に均一加熱された状態に近づいていることを示すレベルに達した時を決定し、第2導関数の値が36%以上のときは予熱を継続し、第2導関数の値が36%よりも小さいとき、取鍋が使用可能状態にあることを示す信号を発生する請求項9に記載の方法。 【数6】
ここで、iは時間区間の順序、xiはi番目の時間区間、Lは時間区間を合計した時間である。 【請求項11】 耐火材が敷設された取鍋が十分に均一加熱されるように予熱されて、使用可能状態にある時を決定する方法であって、取鍋への入熱量の時間経過における変化を表す平均勾配を計算し、平均勾配に実質的な変化がないとき、取鍋が使用可能状態にあることを示す信号を発生する取鍋の使用可能状態決定方法。 【請求項12】 予熱工程における不可避の変化に対する平均勾配を修正して、式5により最大勾配を求め、最大勾配の変化が実質的にゼロのとき、予熱終了の信号を発生する請求項11に記載の方法。 【数7】
ここで、σは勾配の標準偏差、nは標準偏差の数である。 【請求項13】 最大勾配の第2導関数を計算し、第2導関数の値が36%以下のとき、予熱終了の信号を発生する請求項12に記載の方法。 【請求項14】 耐火材が敷設された取鍋の予熱状態を表示する方法であって、取鍋への入熱量を、実際の取鍋の制御温度及び予熱されるべき取鍋の設定温度に基づいて制御し、制御温度が設定温度に達した後は入熱量を少なくし、入熱量の時間経過における変化を表す移動平均勾配を計算し、移動平均勾配に基づいて入熱量の第2導関数を計算し、第2導関数の変化を監視し、第2導関数の値が、取鍋が十分に予熱されたことを示す設定基準よりも小さくなった時、取鍋の予熱を終了する取鍋の予熱状態表示方法。 【請求項15】 設定基準は、取鍋の予熱時間に対してプロットされた第2導関数の値であって、36%以下である請求項14に記載の方法。 【請求項16】 取鍋の予熱を表示するシステムであって、耐火材が敷設され、液体金属を取鍋へ導入する前に予熱されるべき取鍋と、熱エネルギーを取鍋の内部へ入力する手段と、取鍋への入熱量を制御する手段と、取鍋の耐火材表面における実際の制御温度を測定する手段と、加熱されるべき取鍋耐火材の設定温度を受信するプログラマブル論理制御器手段と、取鍋へのエネルギーの入量を表す第1の信号及び制御温度を表す第2の信号をプログラマブル論理制御器へ入力する手段と、プログラマブル論理制御器手段にプログラミングされ、制御温度と設定温度を比較して、制御温度が設定温度以上のとき、熱エネルギーの入量の第2導関数を計算する手段と、第2導関数の計算値が設定基準よりも下にあるとき、取鍋耐火材が十分に予熱されていること、及び取鍋が使用可能状態にあることを示す信号を発生させる手段とを具えている取鍋の予熱指示システム。 【請求項17】 設定基準は、取鍋の予熱時間に対してプロットされた第2導関数の値であって、36%以下である請求項16に記載のシステム。 【請求項18】 取鍋を予熱するシステムであって、実際の取鍋の制御温度及び予熱されるべき取鍋の設定温度に基づいて、取鍋への入熱量を制御する手段と、制御温度が設定温度に達すると入熱量を少なくする手段と、(a)入熱量の時間経過における変化を表す最大平均勾配を計算すると共に、(b)最大平均勾配に基づいて入熱量の第2導関数を計算する手段と、第2導関数の変化を監視し、第2導関数が設定基準よりも下にあるとき、取鍋が十分に予熱されたことを示す信号を発生する取鍋予熱システム。 【請求項19】 設定基準は、取鍋の予熱時間に対してプロットされた第2導関数の値であって、36%以下である請求項18に記載のシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】本発明は、耐火材が敷設され、溶融金属を容れて移送するための取鍋(ladle)に関する。本発明は、より具体的には、予熱中、取鍋の熱含量(heat content)を監視して、取鍋耐火材が全体に均一に加熱された時を正確に表示するシステム及び方法に関するものであり、特に、時間経過に対する入熱量(即ち燃料流量)の勾配、特に、取鍋への入熱量の変化について修正された量の第2導関数(second derivative)を測定することにより、取鍋が均一加熱された時を決定するシステム及び方法に関する。 【発明の属する技術分野】 【0002】製鋼工場では、液体金属を製鋼炉から工場の処理セクションへ、又は連続鋳造のような成形工程へ移送するのに、レンガやキャスタブルなどの耐火材が敷設された取鍋が用いられている。鋳造工程の場合、工程は連続的に行なわれるので、工場内を幾つかの取鍋を同時に移動させる必要がある。取鍋の熱的状態(thermalstate)は、取鍋の加熱に直接かつ大きな影響を及ぼし、また、製鋼炉から第2製鋼工程及び連続鋳造機へ輸送する間の液体鋼の温度損失に対しても顕著な影響を直接及ぼす。 【0003】この取鍋に液体金属が入れられると、耐火材ライニングから溶湯の熱を吸収するため、取鍋は昇温する。一方、取鍋の中が空になると、取鍋の温度は下降する。取鍋が空である時間の長さは、非常に変動し易く、予測不可能である。例えば、主取鍋の修理が遅れて修理完了までに長時間要すると、取鍋は非常に冷たくなる。もしその状態で取鍋を使用すると、液体金属の温度損失がかなり大きくなる。連続鋳造工程において、キャスタータンデッシュに導入される液体金属は、金属液相温度より約40OFほど高いにすぎない。このような場合、取鍋への大きな熱損失或は予期し得ぬ熱損失に対応し得るほどの余裕はない。 【0004】一方、取鍋を過度に加熱することは、非効率的でコスト高となり、また耐火材の損傷が増す。それゆえ、金属製造分野では、取鍋の予熱が一般的に行われている。これは重要なことであり、修理のために回転使用サイクルから取り出された取鍋や、使用サイクルに初めて導入された取鍋に対する熱損失を平均化させる役割を有すると共に、冷たい耐火材ライニングの中へ高温の液体金属を注湯した際、取鍋耐火材に生ずる熱応力を最小にする役割を有する。 【0005】例えば、取鍋が水平な予熱スタンドの側部に配置されるとき、取鍋の内部へ火炎を投射するのに、通常、ガス燃焼バーナーが用いられる。このガス燃焼式の取鍋予熱器(ladle preheater)は、例えば米国特許第4359209号、第4229211号、第4014532号及び第3907260号に示されている。取鍋を電力で加熱することも公知であり、例えば米国特許第4394566号に示されている。 【0006】図1は、制御温度(取鍋内の熱電対により実際に測定された取鍋耐火材の高温面温度)と設定温度(取鍋の望ましい高温面温度として予め設定される温度)に関して、取鍋予熱器へ供給する燃料ガスの流量を変える従来の方法の代表例を示している。図1に示されるように、予熱の初期時間中は取鍋が比較的冷たいため、燃料流量を最大にする。設定値温度に達すると、取鍋が完全に加熱されるまでの間、燃料の流量を徐々に減少させる。図1に示されるとおり、制御温度が設定温度に達するまでの時間は、一般的には約2時間であり、取鍋の耐火材が完全に加熱された状態に達するまでの時間は、一般的には約20時間である。 【0007】現在、取鍋予熱器の温度制御は、予熱器の蓋に設けられた熱電対からフィードバックすることにより行われている。この熱電対は、取鍋耐火材のホットフェイス(hot face)の平均的な温度を測定する。まず最初に、取鍋が予熱器に配置されると、バーナーから最大能力で火炎が発せられ、熱はできるだけ速やかに取鍋に入力される。取鍋のホットフェイス、つまり取鍋の高温面の温度が設定温度に近づくにつれて、バーナーを絞ることにより、その設定温度を維持し、過熱されないようにする。つまり、取鍋の高温面が設定温度に近づくにつれて、燃料の流量(fuel flow rate)を減じることにより、入熱量(rate of heat input)と、耐火材に吸収される熱量とが一致するようにする(図1参照)。 【0008】実際的にも、燃料の流量は、予熱中の取鍋への入熱量に相当すると見なすことができる。主な相違点は、例えば天然ガスのような燃焼用燃料から、主として廃棄ガス(燃焼ガス)になるとき幾らかの熱損失があることである。それゆえ、取鍋の熱含量については、入熱量の方が、ガス流量よりも正確である。 【0009】このような先行技術として米国特許第1512008号があり、この特許は、熱電対によって決定される炉温度の広範な変動に応答して、入熱量を迅やかに変化させることにより、例えば、所望温度まで急速に昇温させて、次に所望温度に近づくと入熱量をゆっくりと変化させることにより、例えば電気加熱炉内の運転温度を維持する方法及び装置を開示している。 【0010】米国特許第4223873号には、直接火炎式取鍋予熱システムが記載されている。このシステムは、燃焼を最大にすると共に、燃焼ガスに残存する酸素を最少にするために、燃焼ガスを所定温度に維持して、燃料−空気の比を調節する制御回路を有している。 【0011】米国特許第4718643号は、取鍋の予熱に関するもので、予熱の初期段階にて入熱を増加させ、均熱段階で最大のシステム効率を確保できるように、燃料と酸素の流量が取鍋の温度に応じて制御されるようにしている。 【0012】米国特許第4462698号は、取鍋の予熱に関するもので、ガス流量の制御を行なうために、輻射温度計を用いて、取鍋の耐火材(高温面)が測定される。 【0013】従来のこのような方法は、予熱中、取鍋耐火材の表面温度を制御するのに適しているけれども、液体金属の温度損失が一定で制御可能となるように、予熱された取鍋が十分な熱を吸収した時を表示しない。すなわち、取鍋ライニングの層厚方向の温度分布は、入熱の繰返し(例えば、液体金属が取鍋へ注湯されるとき)や、冷却時間(例えば、取鍋が空のとき)により一定しないから、これら従来の方法では、予熱により取鍋が使用可能になった状態を表示することができない。例えば、取鍋が液体金属で充満しているとき、耐火材は、例えば約2800〜3000OFもの高温の熱源にさらされ、その熱源は取鍋の耐火材ライニングの内側表面に接触し、その表面上を移動する。鋳造後、つまり液体金属を取鍋から出湯した後、空になった取鍋はかなりの時間大気中にさらされるため、その間に、耐火材ライニングの内部表面は、一般的には、約1400OF以下の温度まで冷却される。さらに、製鋼工場では、周囲温度や風状態(wind conditions)などが予測できないほど変動することがあり、その場合、取鍋の耐火材やシェルの温度に及ぼす影響はかなり大きい。従来の方法では、これらの熱変動は考慮されていない。同じように、使用サイクルが数回繰り返され、耐火材の腐食によって耐火材の層厚が変化する場合、断熱能力の損失を招き、取鍋の熱含量及び予熱時の入熱量が変化する。 【0014】取鍋の鋼製シェルの温度を測定することも、取鍋への入熱量を測定又は制御する有効な方法とはならない。例えば、取鍋は中に入れられた溶湯を鋳造した後、例えば1.5時間経過後、再び製鋼処理する場合、温度が低くなりすぎているため、予熱器の上に置かれる。耐火材ライニングの内部表面は約1200OFであるかもしれず、ライニングの使用層(液体金属に隣接し、薄肉の安全ライニングで敷設されたライニング)は、かなりの熱量を損失したかもしれない。しかし、シェル温度が約650OFであると、取鍋は使用可能状態にあると表示される。ところが実際には取鍋は冷たいため、もしこの状態で用いると、液体金属の熱損失はかなり大きくなる。従って、取鍋の高温面温度の場合と同様、取鍋のシェル温度もまた、取鍋耐火材の全体の熱的状態を正確に表すことにならない。 【0015】予熱された取鍋が使用可能状態となった時、つまり、溶融金属の熱損失が最少かつ一定になり得るほどの高温であって、取鍋の耐火材ライニングの全体に亘って均一加熱された時を、作業者に対して正確に示すことのできる実用的な監視及び信号システムが要請されている。 【0016】本発明は、ガスと燃焼用空気(ガス燃焼式予熱器用)の流量、実際の制御温度(耐火材のホットフェイスつまり高温面)、及び設定温度(所望の目標値)に関するデータを作成することにより、取鍋の予熱中、取鍋の耐火材の熱含量を監視する装置及び方法を提供する。これらのデータを利用して、例えばプログラマブル論理制御器(Programmable Logic Controller:PLC)により、制御温度と設定値温度との間で論理比較が行われる。制御温度が設定温度より低い場合、取鍋はまだ使用可能状態でないことを示す適当な信号が発せられ、取鍋耐火材への入熱量の変化量(入熱量の第1導関数)に関する計算が開始される。次に、入熱量の近似第2導関数(approximate second derivative)、つまり入熱量の時間経過における変化量(rate of change)について、計算が行われる。入熱量の変化量の最大勾配(maximum slope)の第2導関数は、不可避の変化に対して修正された平均(又は移動平均)勾配であるが、この第2導関数が、取鍋耐火材による熱吸収量がゼロまたはゼロ近傍であること、つまり取鍋が均一加熱(soaked)されて熱含量が最大の定常状態(steady state)にあることを示す設定レベルに達すると、取鍋が耐火材の層厚全体に亘って充分に予熱されて使用可能状態にあることを示す信号が発せられる。 【0017】 【望ましい実施例の説明】取鍋の予熱時における熱伝達(BTU/hr)、即ち伝熱の一般的関係は、図2に示されるように、次の式で求められる。 qin=qflue+qshell +qstorage [式1] ここで、 qin=入熱量(rate of heat input)(燃料流量) 曲線A qflue =燃焼排ガス(flue gases)における熱損失量 曲線B qshell =取鍋シェルからの熱損失量(rate of heat loss) 曲線D qstorage =取鍋耐火材における蓄熱量(rate of heat storage) 曲線C【0018】予熱中における熱バランスのこれら各量の相対量は、図2に示されている。図2を参照すると、取鍋が最初に予熱器に置かれたとき(加熱ゾーンI)、入熱量(グラフA)は、一定の高い値に保持される。従って、この状態で、制御温度が設定温度よりも低いとき、制御温度と設定値温度の比較が行われ、制御温度が設定温度より低いときは、燃料流量制御器は、前記の一定値を維持するために最大の燃料流量が供給されるように機能する。取鍋が加熱される部分では、取鍋耐火材の熱吸収量は大きいが、これとは逆に、長時間の予熱後、定常状態に到達(取鍋が均一加熱され、取鍋内の熱吸収量は無視できる状態)して、入熱量が一定(グラフA−加熱ゾーンIII)になると、熱吸収量は、耐火材の種類、耐火材の摩耗、周囲の状態、取鍋の初期の熱的状態に依存する。従って、qstorage =0(定常状態) [式2A] qflue及び qshell =定数 [式2B] qin(燃料流量)=定数 [式2C] 【0019】均熱状態に達する前で、設定温度に到達(図2の加熱ゾーンII)した後、排ガスの温度(図2、グラフB)は一定となり、その結果、排ガスからの熱損失量は、燃料ガスの入力量つまり入熱量(グラフA)に直接比例する。排ガス中の熱損失量は、取鍋シェルからの損失よりかなり多く(図2、グラフD)、その結果、燃料ガスの流量変化(時間微分)は、取鍋の蓄熱量の変化(時間微分)に比例する(図2、グラフC)。 【数8】
それ故、設定温度に達した後、取鍋耐火材が熱を吸収して定常状態(qstorage≧0)に接近するにつれて、燃料の入熱量の変化量(時間微分)はゼロに近づく。qstorageは0に近づき、dqin は0に近づく。 【0020】燃料流量の変化量は、取鍋が熱吸収可能な量を示しており、このファクターがゼロに近づくにつれて、追加の熱を吸収する耐火材の能力もまたゼロに近づく傾向にある。それゆえ、取鍋は均一加熱された状態となり使用可能な状態となる。取鍋耐火材に埋め込まれた多数の熱電対を用いて、入熱の変化量と耐火材熱含量の変化との関係を調べるテストを行った。各テストにおいて、燃料流量が一定値に近づくにつれて、測定された耐火材温度(制御温度)もまた一定値に近づいて、定常状態になる。 【0021】本発明は、サンプリングしたデータの線形回帰(linear regression)の入熱量の変化量(時間経過における入熱量又は燃料流量の変化を示すグラフの勾配)を決定することに基づいている。こうした目的のため、入熱量(燃料流量)のグラフは、例えば図1のA、B、C、Dで示されるように、経過時間毎(time increments)に分割され、入熱量(又はガス流量)の変化を示すグラフの平均勾配は、式4A及び式4Bにより決定される。移動平均勾配(CFH/時間区間)は式4Aとして示される。 【数9】
【数10】
ここで、L=時間区間を合計した時間(length of time period)n=時間Lにおける測定回数yi=取鍋への伝熱量の計算値であって、燃料ガス流量、空気流量(これら流量は1時間当たりの立方フィート(CFH)で測定される)、及び制御温度の関数である。 i=時間区間の順序xi=i番目の時間区間【0022】式4A及び式4Bを用いて、各々の時間区間xiにおける平均勾配の再計算を行ない、入熱量(ガス流量)の変化の平均勾配を絶えず再推定する。本明細書では、これを移動平均勾配(moving average slope)と規定する。図3及び図4の移動平均勾配曲線は、時間Lを3時間、xiを5分(5分間隔)とする条件の下で集めたデータを用いて、燃料ガスの変化量と時間の関係曲線の平均勾配により求めた。この場合、移動平均勾配の単位は、CFH/5分間である。ここで、n=36と、各サンプルポイントでの新たな勾配は、L時間前の区間に基づいて更新された。 【0023】数多くのデータ測定結果から推定される移動平均勾配は、常に変動があり、またデータ限界にも起因して不明確である。例えば、予熱を行なう間、制御温度が設定値温度の上下に変動することもある。このため、入熱変化曲線の実勾配(actual slope)は平均勾配より高くなったり低くなったりすることがあり、勾配の分散(variance)、即ち、データから決定され得る勾配の推定範囲の測定値に分散が起こる。このような分散は、制御温度とガス流量のこのような変動を考慮に入れて計算により求めることができ、移動平均勾配及び平均勾配の標準偏差の関数がもたらされ、これにより、入熱量の実変化量をより安全に推定できる。このように、最大勾配は、移動平均勾配の変動量を平滑化し、耐火材の入熱量の測定された変化量(移動平均勾配の第1導関数)の上限を構成し、入熱量の実変化量をより正確に推定するものであり、この最大勾配は、次の式5により決定される。 【数11】
ここで、σは、勾配の標準偏差、nは、標準偏差の数である。例えば、n=2のとき、95%の信頼水準(confidence level)があり、この水準では、耐火材の入熱量の測定された変化量は、最大勾配によって指示された変化量と同等であるか又はそれよりも少ない。それゆえ、例えば図4を参照すると、予熱時間に対してプロットされた最大勾配のグラフは、図示の移動平均勾配を示すグラフAの下にあって、例えば2σと等しい間隔があけられている。このように、勾配の上側(負が大きくなる)の境界を構成し、入熱量(又はガス流量)の変化を監視するために、修正された移動平均勾配よりも正確な基準(reference)を提供する。 【0024】取鍋の耐火材によって熱が吸収され、取鍋の熱含量が均熱状態に近づいて、取鍋が使用可能であることを示す定常状態に近づいた時を最も正確に決定するために、最大勾配の第2導関数(ある時間区間における最大勾配と、それより前の時間区間における最大勾配との比較)は、次の式6を用いて推定される。 【数12】
なお、式4A及び式4Bと同じ様に、iは時間区間の順序、xiはi番目の時間区間、Lは時間区間を合計した時間を表している。時間Lにおける測定回数をnとすると、xi=L/nである。 【0025】図8は、式6を説明するための図であり、各々の時間区間における最大勾配をプロットして示している。例えば、S3は3番目の時間区間x3における最大勾配を表す。また、例えば、時間L=8hrs、n=8とすると、xi=L/nより、xiは1hrとなる。このとき、例えば、第8番目の区間x8における第2導関数は、式6により、[S0−S8]/S0として求められ、第9番目区間x9における第2導関数は[S1−S9]/S1として求められる。 【0026】取鍋への入熱量の変化の監視において、(1)移動平均勾配がまず最初に式4A及び式4Bに基づいて計算され、次に、(2)分散が計算され、さらに、(1)と(2)の計算結果を用いて、式5に基づいて最大勾配が計算される。最後に、推定された第2導関数が、式6により計算され、これが取鍋の使用可能状態を決定するための主たる基準となる。最大勾配に関する前記第2導関数のグラフの一例が、図5のグラフAとして示されている。式4A、式4B、式5及び式6は、PLCにプログラミングされ、夫々の計算が実行される。第2導関数の推定が、所定の均熱基準(例えば、取鍋の初期状態、取鍋の伝熱特性、及び熱容量が考慮に入れられる)を下回るとき、取鍋は均一加熱された状態に達して、使用可能状態になる。この時点で、取鍋が使用可能状態にあることを示す適当な信号が発生される。 【0027】さらに具体的に説明すると、約50個の取鍋について予熱テストを実施したところ、入熱量が図1のガス流量の変化量を追随して、入熱量がガス流量と略等しくなるだけでなく、入熱量の減衰率(減少率)が指数関数的になることがわかった。その結果、予熱中の単位時間に対する指数関数etのグラフは、負の勾配を有する指数曲線であり、単位時間の各インクレメント(increment)は先の時間単位よりも36%少なかった。それゆえ、この関係を利用すると、入熱量の変化の変化率(最大勾配の第2導関数)の計算が、36%よりも大きい場合には、取鍋はまだ均一加熱されておらず、使用可能状態ではない。第2導関数の値が36%以下であるときにのみ、取鍋は均一加熱された状態で、使用可能な状態となる。この関係は、図5の中でも示されている。図3及び図4から明らかなように、移動平均勾配(又は、前記のとおり、変動を修正済みの最大勾配)を用いることにより、取鍋への全入熱について、良好な測定がもたらされる。しかしながら、図5の指数曲線で表された最大勾配の第2導関数は前述のとおり使用可能であり、この第2導関数によって、取鍋の熱含量を監視し、取鍋が使用可能な状態になるのに充分な熱含量を有する時を決定するために、さらに正確で且つ容易な方法がもたらされる。 【0028】燃料ガス燃焼式バーナーを用いて本発明を実施する装置を、図6に示している。符号(1)は、予熱装置を示しており、該予熱装置は、水平な予熱スタンド(3)を具えており、耐火材が敷設された取鍋(2)が前記スタンドの上に置かれて予熱される。装置(1)は、中央に孔(7)を有する取鍋蓋(6)を運搬するためのローラ付台車(4)をさらに具えており、バーナー(8)からの火炎は、孔(7)を通して取鍋の内部へ投射される。蓋(6)には、熱電対(9)が設けられている。この熱電対は、蓋を貫通して、取鍋(2)の蓋(6)の取付位置にて取鍋の内部まで延びており、電線(5)によりPLC(11)へ接続される。このPLC(11)は、制御温度をPLCに入力するための予熱器制御パネルとして供される。PLCには、設定値の信号(図では温度1967OFとして表示)が供給され、制御温度と設定値温度を比較することができる。これについては後でより詳しく説明する。 【0029】バーナー(8)には、ガス供給源(図示せず)に接続されたガス流量計(12)を経て、天然ガスの如き燃料ガスが供給される。このガス流量計はまた、電線(13)を介してPLC(11)へ接続されており、ガス流量信号はPLCへ入力される(図6では、毎時13000立方フィート(CFR)が表示されている)。バーナー(8)には又、空気供給源(図示せず)に接続された空気流量計(14)より燃焼空気が供給される。この空気流量計は、電線(16)によってPLC(11)へ接続されており、空気流量信号はPLCへ入力される(図6では、毎時14000立方フィート(CFR)が表示されている)に入力される。PLC(11)は又、例えば予熱表示用視覚信号(17)へ接続されており、この信号は、PLCから発せられて、取鍋が十分に均一加熱されて使用可能となった時を作業者に表示する。 【0030】本発明の方法及び装置の工程について、図7のブロック図を参照して説明する。第1の工程は、ガス燃焼式予熱器に関するもので、燃料ガス流量、空気流量及び制御温度を、所望設定温度と共プログラマブル論理制御器にPLCへ入力することである(工程I)。PLCは、制御温度と設定温度との間で論理比較を実行する(工程II)。制御温度が設定温度以上か又はそれに近い温度の場合、PLCにより、図6で示された表示器のライト(17)は赤色から黄色に変わる。黄色のライトは、取鍋がまだ充分に加熱されていないことを示しており、この時点で溶融金属を取鍋へ投入するとかなりの熱損失を伴うため、製鋼炉内の溶鋼温度を昇温する必要があることを示している。このとき、PLCは、取鍋耐火材への入熱量(燃料ガス流量、空気流量及び制御温度の関数)の計算を始める。次にPLCは、入熱量の変化を計算する(工程III)。ある時間が経過すると、入熱量の近似第2導関数、つまり入熱量の変化量が時間経過と共にどのように変化するかを計算する(工程IV)。入熱量の第2導関数が、予め設定された値(この値は、前述したとおり、取鍋の初期温度、取鍋の伝熱特性、及び取鍋の総熱容量が考慮され、図5に示される如く、36%以下)よりも小さいとき、PLCにより、表示器のライトは黄色から緑色に変わる。緑色のライトは、取鍋が十分に均一加熱された状態となり、使用可能な状態にあることを示す。 【0031】前記説明では、取鍋の予熱器が、例えばガス(例えば天然ガス)燃焼式バーナーによって加熱される例を示したが、電気加熱式予熱器にも適応可能であることは勿論である。この場合、入熱量とその変化量は、予熱器に供給される電力に基づいて求められる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】594024888 【氏名又は名称】ユーエスエックス エンジニアーズ アンド コンサルタンツ,インコーポレーテツド
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| 【出願日】 |
平成11年8月27日(1999.8.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066728 【弁理士】 【氏名又は名称】丸山 敏之 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−88247(P2000−88247A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平11−241002 |
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