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【発明の名称】 蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法
【発明者】 【氏名】中村 元親

【氏名】松尾 政博

【氏名】新井 信一

【氏名】平松 弥幸

【要約】 【課題】蓄熱式バーナをそなえた炉において、被熱物を加熱むらの少ない良好な温度分布状態に加熱できる炉温制御方法を提供する。

【解決手段】バーナと蓄熱器を組合わせて成る蓄熱式バーナを少なくとも一対そなえ、対をなす蓄熱式バーナを所定の切替サイクル時間で燃焼側と排気側に切替えて燃焼側の蓄熱式バーナの燃焼排ガスを排気側の蓄熱式バーナの蓄熱器を通して排出させるとともに、対をなす蓄熱式バーナの各バーナの燃焼量を所定の燃焼量に維持した状態で、前記切替サイクル時間内における前記各バーナの燃焼時間を調節して炉温を所定値に維持するようにした蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法において、対をなす前記蓄熱式バーナのうちの一方の蓄熱式バーナBの燃焼時間Tb を、他方の蓄熱式バーナAの燃焼時間Ta より大とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バーナと蓄熱器を組合わせて成る蓄熱式バーナを少なくとも一対そなえ、対をなす蓄熱式バーナを所定の切替サイクル時間で燃焼側と排気側に切替えて燃焼側の蓄熱式バーナの燃焼排ガスを排気側の蓄熱式バーナの蓄熱器を通して排出させるとともに、対をなす蓄熱式バーナの各バーナの燃焼量を所定の燃焼量に維持した状態で、前記切替サイクル時間内における前記各バーナの燃焼時間を調節して炉温を所定値に維持するようにした蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法において、対をなす前記蓄熱式バーナのうちの一方の蓄熱式バーナの燃焼時間を、他方の蓄熱式バーナの燃焼時間より大としたことを特徴とする蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バーナと蓄熱器を組合わせて成る蓄熱式バーナを少なくとも一対そなえ、対をなす蓄熱式バーナを所定の切替サイクル時間で燃焼側と排気側に切替えて燃焼側の蓄熱式バーナの燃焼排ガスを排気側の蓄熱式バーナの蓄熱器を通して排出させるようにした炉は、蓄熱器による燃焼排ガスの回収熱を切替後の燃焼用空気の予熱に有効利用できるので熱効率がすぐれ、加熱炉その他の各種工業用炉として多く用いられるようになった。
【0003】そしてこの蓄熱式バーナをそなえた炉における炉温制御方法として、図5に示すように、対をなす蓄熱式バーナA,Bの各燃焼量を所定の燃焼量に維持した状態で、蓄熱式バーナ設置ゾーンの検出炉温と設定炉温の偏差に応じて、切替サイクル時間Ts 内における各バーナの燃焼時間Tを調節して炉温を所定値に維持する時間比例制御方式があり、燃焼負荷や炉温設定が大巾に増減される炉においても、バーナの燃焼量を大きく絞る必要がないので、採用されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記時間比例制御方式においては、対をなす蓄熱式バーナの各バーナの燃焼時間Tは等しい。このためたとえば、上記各バーナのうち一方が炉入口から離間した位置にあり他方が炉入口部近傍にある場合や、一方が炉内搬送用コンベヤ上の被熱物の上方位置にあり他方が該コンベヤの下側位置にある場合など、各バーナと炉体や炉内収容物・障害物との相対位置が異なる場合は、大型の被熱物の一側部が加熱不足あるいは過熱状態となり、パレット等に収容された多数個の小型被熱物のうちの一部が加熱不足あるいは過熱状態となるなど、被熱物の温度分布が劣り加熱むらが生じやすいという問題があった。
【0005】この発明は上記従来の問題点を解決しようとするもので、蓄熱式バーナをそなえた炉において、被熱物を加熱むらの少ない良好な温度分布状態に加熱できる炉温制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法は、バーナと蓄熱器を組合わせて成る蓄熱式バーナを少なくとも一対そなえ、対をなす蓄熱式バーナを所定の切替サイクル時間で燃焼側と排気側に切替えて燃焼側の蓄熱式バーナの燃焼排ガスを排気側の蓄熱式バーナの蓄熱器を通して排出させるとともに、対をなす蓄熱式バーナの各バーナの燃焼量を所定の燃焼量に維持した状態で、前記切替サイクル時間内における前記各バーナの燃焼時間を調節して炉温を所定値に維持するようにした蓄熱式バーナをそなえた炉の炉温制御方法において、対をなす前記蓄熱式バーナのうちの一方の蓄熱式バーナの燃焼時間を、他方の蓄熱式バーナの燃焼時間より大としたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下図1〜図4により、この発明の実施の形態の一例を説明する。図1および図2において、1はローラハース式連続加熱炉から成る加熱炉で、入口2から炉体3内に装入された被熱物Wは、ハースロール4により炉内搬送されつつ加熱帯5,6,7を通過して加熱処理され、出口8から炉外へ送出される。炉体3の一方の側壁部に、加熱帯5用に蓄熱式バーナA,Bが、加熱帯6用に蓄熱式バーナA,Bが、加熱帯7用に蓄熱式バーナA,Bが、それぞれ上下および左右(図2における左右)に位相をずらせた状態で、取付けてある。
【0008】図3は上記加熱帯7に設けた蓄熱式バーナA,Bの配管系統を示し、蓄熱式バーナA,Bは、先端部にバーナタイル部を設けてバーナ11a,11bを形成したケーシング内に蓄熱体12を充填して、蓄熱器13a,13bを形成して成る。燃料供給管21は、手動式の流量調節弁22を経て分岐し、開閉弁(燃料弁)23,24を介してバーナ11a,11bにそれぞれ接続されている。また給気用のブロワ30に接続された給気管31は、手動式の流量調節弁32を経て分岐し、開閉弁(空気弁)33,34を介して蓄熱器13a,13b部にそれぞれ接続されている。
【0009】また41は、図示しない排気用ブロワに接続された排気管で、手動式の流量調節弁42を経て分岐し、開閉弁(排気弁)43,44を介して蓄熱器13a,13b部に接続されている。また51は炉温検出用の熱電対、52はこの熱電対51の検出炉温と設定炉温との偏差に応じて時間比例制御方式による燃焼時間信号および各開閉弁への開閉指令信号を発する制御装置(コントローラ)である。なお上記各開閉弁は電磁開閉弁から成り、また他の加熱帯5,6の各蓄熱式バーナA,Bも、上記と同様な構造および同様な配管系統を有するものである。
【0010】次に上記構成の装置を用いた炉温制御方法について、図3および図4により説明する。先ず流量調節弁22,32,42の開度は、被熱物Wに応じて予め設定された所定の開度に、手動設定しておく。熱電対51の検出炉温および設定炉温に基づいて、制御装置52は各開閉弁への開閉指令信号および蓄熱式バーナA燃焼制御用の燃焼時間信号Ta (たとえば20秒)を出力し、これによって開閉弁33,44が開き、所定のプレパージ時間Tw (たとえば1秒)後に開閉弁23が開いて、蓄熱式バーナA(詳しくはバーナ11a)において燃焼がおこなわれ、燃焼排ガスは蓄熱式バーナBの蓄熱器13bを通り排熱回収後、排気管41から排出される。燃焼の終期に開閉弁23は閉じて所定のパージ時間Tp (たとえば1秒)後に燃焼時間Ta 経過により開閉弁33,44が閉じ、各開閉弁は閉状態を維持する。
【0011】切替サイクル時間Ts (たとえば30秒)経過時に、制御装置52は開閉指令信号およびバーナB燃焼制御用の燃焼時間信号Tb (たとえば22秒)を出力し、これによって開閉弁34,43が開き所定のプレパージ時間Tw (たとえば1秒)後に開閉弁24が開いて蓄熱式バーナB(詳しくはバーナ11b)において燃焼がおこなわれ、燃焼排ガスは蓄熱式バーナAの蓄熱器13aを通り排熱回収後、排気管41から排出される。燃焼の終期に開閉弁24が閉じてパージ時間Tp (たとえば1秒)後に燃焼時間Tb 経過により開閉弁34,43も閉じ、各開閉弁は閉状態を維持する。以下、切替サイクル時間Ts (たとえば30秒)経過時に上記と同様な蓄熱式バーナAの燃焼、次いで蓄熱式バーナBの燃焼が交互に繰返しておこなわれる。
【0012】上記において燃焼時間Tb は燃焼時間Ta より大となるように設定してあり、これによって蓄熱式バーナBの燃焼熱量は蓄熱式バーナAよりも大となり、熱損失の大きい炉の出口8側でかつ干渉物であるハースロール4の下側にあるため加熱不足となる蓄熱式バーナBによる被熱物加熱特性が補正され、被熱物Wの加熱むらが減少し、良好な温度分布状態に加熱できるのである。
【0013】この例では燃焼時間Tb は燃焼時間Ta に対して、Tb =kTa [但しkは1より大となる比例定数。上記の例ではk=1.1]なる算式で算出するようにしてあり、上記比例定数kは、加熱炉設置時に各部温度測定用の熱電対を取付けた被熱物Wを用いてテスト操業をおこない、被熱物Wの温度分布状態の改善状況を見ながら決定する。
【0014】上記の制御方法は、加熱帯7について説明したが、他の加熱帯5,6においても、同様な制御をおこなえばよく、この場合前記比例定数kとしては、各加熱帯に応じた値を用いる。またバーナの配置等によって被熱物Wの温度むらが少ない加熱帯においては、Tb =Ta の通常の時間比例制御をおこなうようにしてもよい。
【0015】この発明は上記の例に限定されるものではなく、たとえば加熱炉の形式は上記以外のものでもよく、また対をなす蓄熱式バーナを対向する炉壁部に設けるなど、蓄熱式バーナの配置も上記以外のものとしてもよい。
【0016】また上記の例では、被熱物の加熱不足側の蓄熱式バーナの燃焼時間を、通常の時間比例制御による燃焼時間より大としたが、被熱物の過熱側の蓄熱式バーナの燃焼時間を、通常の時間比例制御による燃焼時間より小として、被熱物の温度分布を改善するようにしてもよく、この場合は上記の過熱側の蓄熱式バーナが本発明にいう「他方の蓄熱式バーナ」に、通常の時間比例制御による燃焼時間で燃焼をおこなう方の蓄熱バーナが本発明にいう「一方の蓄熱式バーナ」に、それぞれ相当する。
【0017】また上記の例では、対をなす蓄熱式バーナの両燃焼時間の比率(上記の例では比例定数k)を一定としたが、このかわりに一方の蓄熱式バーナの燃焼時間に所定時間(たとえば数秒)を加算あるいは減算して、両燃焼時間に差を設けるようにしてもよい。さらに上記の例では、蓄熱式バーナの燃焼時間として、バーナの実燃焼時間にプレパージ時間Tw およびパージ時間Tp を加算したTa ,Tb を用いて制御をおこなったが、上記各パージ時間を除いた実燃焼時間を用いて制御をおこなうようにしてもよい。
【0018】また上記の例では蓄熱式バーナA燃焼時の切替サイクル時間(Ts )と蓄熱式バーナB燃焼時の切替サイクル時間(Ts )を等しいとしたが、燃焼時間が長い一方の蓄熱式バーナ(上記の例ではB)燃焼時の切替サイクル時間を、他方の蓄熱式バーナ(上記の例ではA)の切替サイクル時間より大(たとえばk倍)として、燃焼時間と同様な大小関係にある切替サイクル時間としてもよく、この場合は時間比例制御による燃焼時間が長くなり切替サイクル時間に近いゾーンで制御されるケースでも、燃焼時間の大きい方の蓄熱式バーナの燃焼も支障なく(切替サイクル時間で制限されることなく)おこなえ、広範囲にわたり被熱物の温度分布状態の改善がおこなえるという点で好ましい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、蓄熱式バーナをそなえ時間比例制御方式により燃焼量を制御して炉温制御をおこなう炉において、対をなす蓄熱式バーナの各バーナ部と炉体や炉内収容物・障害物との相対位置の差等により両バーナの被熱物加熱性能に差がある場合でも、両蓄熱式バーナの燃焼時間に差を設けて被熱物の加熱不足側の加熱量追加あるいは過熱側の加熱量削減をおこなえるようにしたので、被熱物を加熱むらの少ない良好な温度分布状態に加熱することができる。
【出願人】 【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
【出願日】 平成10年7月28日(1998.7.28)
【代理人】 【識別番号】100079027
【弁理士】
【氏名又は名称】乾 昌雄
【公開番号】 特開2000−46319(P2000−46319A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−228651