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【発明の名称】 ロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの水封構造及び水飛散防止構造
【発明者】 【氏名】阿川 隆一

【要約】 【課題】ロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの下端部における水槽内でのシールを確実に行うことのできるスラグ排出ダクトの水封構造を提供すること。

【解決手段】下端部が水槽10内に浸漬されるスラグ排出ダクト30の周囲にこれを囲むようにシールダクト50を設け、しかもシールダクトの下端部をスラグ排出ダクトの下端部よりも下方に延びるように長くした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被処理物を溶融処理するためのロータリーキルンの出口側に設けられたスラグ排出ダクトの下端部を水槽中に浸漬させて、排出されてきたスラグを冷却するようにしたロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの水封構造において、前記スラグ排出ダクトの周囲にこれを囲むようにシールダクトを設け、しかも該シールダクトの下端部を前記スラグ排出ダクトの下端部よりも下方に延びるように長くしたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの水封構造。
【請求項2】 請求項1記載のスラグ排出ダクトの水封構造において、前記ロータリーキルンの出口側には更に、排ガスを排出するためのガスダクトが設けられており、前記シールダクトには、前記スラグ排出ダクトとシールダクトとの間の空間に開口し、前記空間内の空気あるいはガスを強制的に前記ガスダクトに導くためのブロワ手段を内蔵した排気ダクトを設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの水封構造。
【請求項3】 請求項1あるいは2記載のスラグ排出ダクトの水封構造に組み合わされるロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造であって、前記ガスダクトは前記水槽の上方に位置しており、前記ガスダクトの下端部には前記水槽からの水や蒸気の飛散を防止するための飛散防止板を設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造。
【請求項4】 請求項3記載の水飛散防止構造において、前記水槽の側壁であってその上端部に近い位置には、そこに作用する圧力に応じて開口を形成する1個以上の破裂板が設けられ、該破裂板に対応する側壁には更に前記開口から放出される水の側方への飛散を防止すべく上下を開放した破裂板ボックスを設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造。
【請求項5】 被処理物を溶融処理するためのロータリーキルンの出口側に、該出口から排出されるスラグを冷却するための水槽と該水槽の上方に位置して前記出口から排出される排ガスを排出するためのガスダクトとが設けられているロータリーキルンシステムにおいて、前記ガスダクトの下端部には前記水槽からの水や蒸気の飛散を防止するための飛散防止板を設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造。
【請求項6】 請求項5記載の水飛散防止構造において、前記水槽の上端部に近い側壁には、そこに作用する圧力に応じて開口を形成する1個以上の破裂板が設けられ、該破裂板に対応する側壁には更に前記開口から放出される水の側方への飛散を防止すべく上下を開放した破裂板ボックスを設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前端口から投入された被処理物を後方に移動させつつ溶融して後端口からスラグ及び排ガスを排出するロータリーキルンに関し、特に後端口に設けられたスラグ排出ダクトの下端部を水槽中に浸漬させて、排出されてきたスラグを冷却するようにしたロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの水封構造及び水槽からの水や蒸気の上方あるいは側方への飛散を防止する水飛散防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴミ処理場などの焼却灰や製鉄所における有価金属を含むダスト等を、スラグ排出型ロータリキルン溶融炉に投入して溶融処理することが行われている。このようなスラグ排出型ロータリキルン溶融炉を備えたロータリーキルンシステムについて、図6を参照して説明する。ロータリーキルンシステムは、スラグ排出型ロータリーキルン溶融炉(以下、ロータリーキルンと呼ぶ)100と、二次燃焼塔200とを有する。この種のロータリーキルンシステムは、例えば、投入されたごみを還元雰囲気で加熱することにより熱分解して可燃性ガスを排出するガス化炉(図示せず)を有するごみのガス化システムに適用される。
【0003】ロータリーキルン100は、前端口(図示せず)から投入された被処理物を後方に移動させつつ溶融し、後端口の下方に向けて形成されたスラグ排出ダクト205からスラグを下方に排出し、後端口の上方に向けて二次燃焼塔200の一部を構成するように形成されたガスダクト210から排ガスを排出する。
【0004】被処理物は、産業廃棄物、家庭ごみのごみ焼却場から排出される焼却灰、あるいは製鉄所の場合には有価金属を含むダスト等である。二次燃焼塔200では、ガスダクト210の上方においてガスダクト210から上昇してくる排ガスを集めて燃焼させる二次燃焼室220が構成されている。
【0005】スラグ排出ダクト205の下端部は、そこから排出されて落下するスラグ(溶融スラグ)を受け入れて冷却(急冷)する水槽230内に浸漬されている。これは、二次燃焼塔200内、ひいてはロータリーキルン100内に大気が侵入することを防止するためである。なお、図示はしないが、水槽230内には、通常、急冷固化されたスラグを水槽230外に排出するためのスラグコンベヤが設置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ロータリーキルン100の後端口から排出される溶融スラグを水槽230内に受ける時に、水槽230内の冷却水が水蒸気として蒸発する。蒸発が激しい時には、水槽230内の水位が急激に低下してスラグ排出ダクト205の下端部の開口が空気中に露出してしまうことがある。また、溶融スラグは、流動しながら徐々に水槽230内に入らずに、大きな塊となって水槽230内に一度に落下することがある。このような場合にも、水槽230内の水位の急激な変動が生ずる結果、スラグ排出ダクト205の下端部の開口が空気中に露出してしまうことが起こる。
【0007】いずれの場合にも、スラグ排出ダクト205の下端部の開口が空気中に露出してしまう結果、シールが破られて、大気がロータリーキルン100内に侵入し、炉内温度を低下させてしまうという問題が発生する。
【0008】また、水槽230とスラグ排出ダクト205とは熱による収縮作用があるために機械的に連結せず、スラグ排出ダクト205は水槽230に浸漬状態におかれているだけである。このために、水槽230の上部は開放状態になっているのが普通である。この場合、溶融スラグが大きな塊となって水槽230内に一度に落下すると、熱水が水槽230からオーバフローするだけでなく、熱水や蒸気が水槽230の上方や側方にも飛散する事態が発生する。このために、水槽230の周囲だけでなく、その上方も含む広範な範囲を立入り禁止区域とせざるを得ない。
【0009】そこで、本発明の課題は、ロータリキルンシステムにおいてスラグ排出ダクトの下端部における水槽内でのシールを確実に行うことのできるスラグ排出ダクトの水封構造を提供することにある。
【0010】本発明の他の課題は、ロータリキルンシステムにおける水槽からの蒸気や熱水の上方や側方への飛散を防止し、オーバフローした熱水は安全に水槽外に放出できる水飛散防止構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、被処理物を溶融処理するためのロータリーキルンの出口側に設けられたスラグ排出ダクトの下端部を水槽中に浸漬させて、排出されてきたスラグを冷却するようにしたロータリーキルンシステムにおけるスラグ排出ダクトの水封構造であり、前記スラグ排出ダクトの周囲にこれを囲むようにシールダクトを設け、しかも該シールダクトの下端部を前記スラグ排出ダクトの下端部よりも下方に延びるように長くしたことを特徴とする。
【0012】本水封構造においては、前記ロータリーキルンの出口側に更に、排ガスを排出するためのガスダクトが設けられ、前記シールダクトには、前記スラグ排出ダクトとシールダクトとの間の空間に開口し、前記空間内の空気あるいはガスを強制的に前記ガスダクトに導くためのブロワ手段を内蔵した排気ダクトが設けられても良い。
【0013】本発明によればまた、上記の水封構造に組み合わされるロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造であって、前記ガスダクトは前記水槽の上方に位置しており、前記ガスダクトの下端部には前記水槽からの水や蒸気の飛散を防止するための飛散防止板を設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造が提供される。
【0014】本発明によれば更に、被処理物を溶融処理するためのロータリーキルンの出口側に、該出口から排出されるスラグを冷却するための水槽と該水槽の上方に位置して前記出口から排出される排ガスを排出するためのガスダクトとが設けられているロータリーキルンシステムにおいて、前記ガスダクトの下端部には前記水槽からの水や蒸気の飛散を防止するための飛散防止板を設けたことを特徴とするロータリーキルンシステムにおける水飛散防止構造が提供される。
【0015】本水飛散防止構造においては、前記水槽の側壁であってその上端部に近い位置に、そこに作用する圧力に応じて開口を形成する1個以上の破裂板を設け、該破裂板に対応する側壁には更に前記開口から放出される水の側方への飛散を防止すべく上下を開放した破裂板ボックスを設けるようにしても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。本形態では、水槽10中に、ロータリーキルン20の後端口に設けられたスラグ排出ダクト30から落下して冷却されたスラグを水槽10外に排出するためのスラグコンベヤ40が配置されているようなロータリーキルンシステムについて説明する。換言すれば、図6で説明したようなロータリーキルンシステムに適用される場合について説明する。
【0017】被処理物を溶融処理するためのロータリーキルン20の出口側に設けられたスラグ排出ダクト30の下端部を水槽10中に浸漬させて、排出されてきた溶融スラグを冷却する。本形態では特に、スラグ排出ダクト30の周囲にこれを囲むようにシールダクト50を設け、しかもこのシールダクト50の下端部をスラグ排出ダクト30の下端部よりも下方に延びるように長くしたことを特徴とする。
【0018】なお、ロータリーキルン20の出口側には更に、排ガスを排出するためのガスダクト25が設けられ、シールダクト50には、スラグ排出ダクト30とシールダクト50との間の空間に開口し、図2に示されるように、前記空間内のガスを強制的に前記ガスダクトに導くためにブロワ(図示せず)を内蔵した排気ダクト60が設けられている。
【0019】上記のように、本形態によるスラグ排出ダクトの水封構造は、ロータリキルン20からスラグコンベヤ40に至るスラグ排出ダクト部分を二重構造とし、水槽10の水面に対しての埋没深さを変えた状態で浸漬している。通常は、水槽10の水位は図3に実線で示す高さにある。一方、急激な蒸発による水位低下や、水槽10に大きなスラグの塊が落下することに起因した波打ち作用による水位変動により水位が、図3に破線で示す高さまで低下したとしても、スラグ排出ダクト30、ひいてはロータリーキルン20内のガスは、図3に一点鎖線で示すように、ブロワを内蔵した排気ダクト60(図2)により上方のガスダクトに排出されるので水位の低下はこの位置にとどまり、シールが破られることは無い。したがって、ロータリーキルン20内のガスが大気に放出されるおそれもない。
【0020】同様に、ロータリーキルン20内の圧力が上昇することで、水槽10の水面が一時的に低下することもあるが、圧力上昇は排気ダクト60で吸収されるので水位の低下は図3の破線で示す高さよりは上方にとどまり、ロータリーキルン20内のガスは、排気ダクト60により上方のガスダクトに排出される。
【0021】図4、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明したスラグ排出ダクトの水封構造を持つロータリーキルンシステムに付加されるが、ロータリーキルンシステムを構成する要素の形状は変えて示している。ロータリーキルン20の出口側には二次燃焼塔の一部を構成するガスダクト25とスラグコンベヤ(図示省略)を備えた水槽10とが設けられ、ガスダクト25の下端部にはスラグ排出ダクト(図示せず)を内包するようにシールダクト50が設けられて水槽10中に浸漬されている。水槽10の一端側には、スラグコンベヤによる搬送経路をカバーするダクト10−1が設けられ、その端部開口よりスラグコンベヤからの冷却スラグが排出される。
【0022】ガスダクト25の下端部には更に、水槽10からの水や蒸気の飛散を防止するための飛散防止板26が設けられている。飛散防止板26は、水槽10の上方において水槽10とガスダクト25の下端部との間にできる空間を覆うものである。これによって、前に述べた、溶融スラグが大きな塊となって水槽10内に一度に落下した場合でも、熱水や蒸気が水槽10の上方あるいは側方に飛散することを防止する。特に、図5から明らかなように、飛散防止板26は、水槽10の上端部よりも外側にあって上端部とほぼ同じ高さ位置まで延び、水槽10の上端部との間に隙間ができるように設けられることにより、水槽10からのオーバフロー水が前記隙間を通し水槽10の側壁に沿って流れ落ちるようにされている。このために、水槽10の周囲の床には、流れ落ちた水を受けて排水槽等に導くための側溝(図示せず)が設けられる。
【0023】本形態では更に、水槽10の側壁であってその上端部に近い位置には、そこに作用する圧力に応じて開口を形成する複数の破裂板15が間隔をおいて設けられている。破裂板というのは、ある値以上の圧力が作用すると破れる性質を持つ板である。これは、溶融スラグが大きな塊となって水槽10内に一度に落下したような場合には、水槽10内の水が水槽10からオーバフローするだけでは足りずに水槽10の壁に大きな圧力が作用することがあることを考慮している。なお、破裂板15が破裂した場合には、その開口から熱水が水槽10の側方に放出される場合がある。これを防止するために、破裂板15に対応する水槽10の側壁には更に、前記開口から放出される水の側方への飛散を防止する破裂板ボックス16が設けられている。破裂板ボックス16は、水槽10のオーバフロー水を流すことができるように、上下を開放した箱状の形状を持つ。
【0024】本形態においては、高温の溶融スラグが急激に水槽10に落下して水槽10内の熱水や蒸気が水槽10とガスダクト25の隙間から一気に放出された場合でも、飛散防止板26により上方や側方に熱水や蒸気が飛散されず、その流れが下方に向けられて安全に放出される。また、水槽10に取り付いている破裂板15からの熱水の放出の場合も破裂板ボックス16により、熱水は同様に下方へ安全に放出される。
【0025】なお、破裂板15として、上記のようにある圧力になると破裂するものを用いる場合には、破裂したものは交換する必要がある。このようなものに代えて、水槽10の側壁に設けた開口を回動自在な板で塞ぐようにし、板全体の重量を大きくしたり、板の下側に錘りを付けることである圧力に達するまでは開かないタイプの破裂板を用いても良い。このようなタイプの破裂板は交換の必要が無いが、平常時の水漏れを防ぐために水槽10の開口縁部との間にシール機構を設ける必要がある。
【0026】また、上記の第2の実施の形態では、第1の実施の形態に組合わせる場合について説明したが、水飛散防止構造のみをロータリキルンシステムに備えるようにしても良い。すなわち、本発明による水飛散防止構造は、第1の実施の形態によるスラグ排出ダクトの水封構造を持たないロータリキルンシステムに適用されても良い。この場合、図5におけるシールダクト50が無く、スラグ排出ダクトのみの構造となる。
【0027】以上、本発明を2つの実施の形態について図6で説明したようなロータリーキルンシステムに適用する場合について説明したが、本発明の適用範囲はこのようなロータリーキルンシステムに限らない。例えば、ロータリーキルン20の後端口の上方に図6で説明したような二次燃焼塔の一部を構成するガスダクトではなく、単に煙突の一部を構成するガスダクトが組合わされる場合も適用可能である。この場合、第1の実施の形態について言えば、排気ダクト60の出口側はこの煙突の一部を構成するガスダクトに接続される。また、本発明は、図1におけるスラグコンベヤ40の代わりに他のスラグ排出機構を持つものや、単にスラグを水槽中に落下排出する形態のロータリーキルンシステムにも適用できる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、ゴミ焼却場などにおいて発生する焼却灰をスラグ排出型ロータリーキルン溶融炉で溶融処理する際、スラグ排出ダクトの水封構造を改良することにより、ロータリーキルンから外部へのガスの漏出も完全に防ぎ、作業環境悪化や環境汚染の問題の発生を防止することができる。一方、逆に外部からのロータリーキルン内への空気侵入を防ぐことができるので、外部からの空気侵入による炉内温度の低下やロータリーキルン内の圧力変動がなく安定的な連続運転ができる。
【0029】更に、高温の溶融スラグが急激に水槽内に落下することにより、水槽内の熱水や蒸気が上方や側方に放出されようとする場合でも、飛散防止板により上方や側方への熱水や蒸気の飛散が防止されるため周囲に大がかりな安全壁や部屋で囲む必要もなく、広範囲の立入禁止区域を設けることも必要もなくなる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成12年3月27日(2000.3.27)
【代理人】 【識別番号】100071272
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
【公開番号】 特開2000−346337(P2000−346337A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願2000−86647(P2000−86647)