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【発明の名称】 FRP製煙道のコ―ナ―・ジョイント及び煙道用面板
【発明者】 【氏名】外山 幸文

【氏名】月川 邦仁

【要約】 【課題】FRP製面板の反りの発生を抑制し、その煙道のコーナー領域の膨張・収縮による充填材の歪み・応力を吸収して、その充填物質にひびが入らないようする。

【解決手段】煙道1の第1,2面部材を形成するための第1FRP製面板2、第2FRP製面板3と、多孔質性の補強層15とから形成されている。補強層15は、第1FRP製面板2の端面と第2FRP製面板3の内側面とが突き合わせられることにより形成される内面側コーナー12に形成されている。第1FRP製面板2、第2FRP製面板3とを継ぎ合わせて連結するための継ぎ面板13は、第1FRP製面板2の内面と第2FRP製面板3の内面と補強層15の内面とが形成する連続した曲面に接合し、煙道の内部が高温になった時、補強層15が両面板の熱歪みを2次元的に有効に緩和する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】煙道の第1面部材を形成するための第1FRP製面板と、前記煙道の第2面部材を形成するための第2FRP製面板と、多孔質性の補強層とからなり、前記補強層は、前記第1FRP製面板の端面と前記第2FRP製面板の内側面とが突き合わせられることにより形成される内面側コーナーに形成されているFRP製煙道のコーナー・ジョイント。
【請求項2】請求項1において、更に、前記第1FRP製面板と前記第2FRP製面板とを継ぎ合わせて連結するための継ぎ面板とからなり、前記継ぎ面板は、前記第1FRP製面板の内面と前記第2FRP製面板の内面と前記補強層の内面とが形成する連続した曲面に接合していることを特徴とするFRP製煙道のコーナー・ジョイント。
【請求項3】請求項1において、前記第1FRP製面板と前記第2FRP製面板は、それぞれに、第1FRP層と、第2FRP層と、前記第1FRP層と前記第2FRP層との間に形成される多孔質性の中間層とを備えることを特徴とするFRP製煙道のコーナー・ジョイント。
【請求項4】請求項3において、前記中間層の材料と前記補強層の材料は同じであることを特徴とするFRP製煙道のコーナー・ジョイント。
【請求項5】請求項4において、前記材料は、独立発泡性樹脂であることを特徴とするFRP製煙道のコーナー・ジョイント。
【請求項6】第1FRP層と、第2FRP層と、前記第1FRP層と前記第2FRP層との間に形成される中間層とからなり、前記中間層は多孔質性である煙道用面板。
【請求項7】請求項6において、前記中間層の材料は、鐘淵化学社製・商品名”クレゲセル”である煙道用面板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FRP製煙道のコーナー・ジョイントに関し、特に、高温状態で温度変化が激しい煙道の内面側コーナーのひび割れを防止するためのFRP製煙道のコーナー・ジョイント又は煙道用面板に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所には、ボイラー設備が設けられている。そのボイラーに熱を供給するために燃焼した後の高温排気ガスは煙突から大気中に放出される。そのボイラー設備とその煙突との間に排気用ダクト(排気用煙道)が介設されている。火力発電所のような大型設備に用いられる排気用ダクトは、断面で1辺が1m以上である四辺形の大きな構造体であり、現場で製作され組立られることが多い。その組立は、各辺の部材を突合わせ接合することにより行われる。
【0003】このような大型のダクトを形成する壁材には、高耐熱性、高耐食性、高強度性が要求される。このような要求に適応する材料として、FRPが好適である。FRP製ダクトは、特開平10−122547号で知られている。面板を突き合わせて製作する箱体のコーナー部の隙間を埋めるための充填材を用いることは、周知慣用の技術として知られている。
【0004】このような公知のダクトは、その形成部材のFRP製面板が温度落差が大きい熱変動を受けて膨張・収縮を繰り返し、FRP製面板の反りによりその突き合わせ部位が強力な歪み・応力を受け、その部位にクラックが入り、その部位からガス漏れが生じる。
【0005】FRP製面板材の反りの発生を抑制することが望まれる。更に、FRP製面板の膨張収縮による充填材の歪み・応力を吸収して、その充填物質にひびが入らないようなコーナー・ジョイント(結合構造)の提供が望まれる。更に、FRP製面板と充填物質層との間の膨張収縮関係を考慮したコーナー・ジョイントの強化が好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、FRP製面板材の反りの発生を抑制することができるFRP製煙道のコーナー・ジョイント及び煙道用面板を提供することにある。本発明の他の課題は、FRP製面板の膨張・収縮による充填材の歪み・応力を吸収して、その充填物質にひびが入らないようなFRP製煙道のコーナー・ジョイント及び煙道用面板を提供することにある。本発明の更に他の課題は、FRP製面板と充填物質層との間の膨張収縮関係を考慮することにより、FRP製面板の膨張収縮による充填材の歪み・応力を吸収して、その充填物質にひびが入らないようなFRP製煙道のコーナー・ジョイント及び煙道用面板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中の請求項対応の技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、請求項対応の技術的事項と実施の複数・形態のうちの少なくとも1つの形態の技術的事項との一致・対応関係を明白にしているが、その請求項対応の技術的事項が実施の形態の技術的事項に限定されることを示すためのものではない。
【0008】本発明によるFRP製煙道のコーナー・ジョイントは、煙道(1)の第1面部材を形成するための第1FRP製面板(2)と、煙道(1)の第2面部材を形成するための第2FRP製面板(3)と、多孔質性の補強層(15)とからなり、補強層(15)は、第1FRP製面板(2)の端面と第2FRP製面板(3)の内側面とが突き合わせられることにより形成される内面側コーナー(12)に形成されている。
【0009】更に、第1FRP製面板(2)と第2FRP製面板(3)とを継ぎ合わせて連結するための継ぎ面板(13)とからなり、継ぎ面板(13)は、第1FRP製面板(2)の内面と第2FRP製面板(3)の内面と補強層(15)の内面とが形成する連続した曲面に接合していることが好ましい。
【0010】更に、第1FRP製面板(2)と第2FRP製面板(3)は、それぞれに、第1FRP層(4)と、第2FRP層(5)と、第1FRP層(4)と第2FRP層との(5)間に形成される多孔質性の中間層(6)とを備えることが特に好ましい。中間層(6)の材料と補強層(15)の材料は同じであることが、膨張収縮率の点で好ましい。その材料が独立発泡性樹脂であることは更に好ましい。
【0011】本発明による煙道用面板は、第1FRP層(4)と、第2FRP層(5)と、第1FRP層(4)と第2FRP層(5)との間に形成される中間層(6)とからなり、中間層(6)は多孔質性である。中間層(6)の材料は、鐘淵化学社製・商品名”クレゲセル”で特定される化学物質であることが特に好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】図に一致対応して、本発明によるFRP製煙道のコーナー・ジョイントの実施の形態には、突き合わせられるFRP製面板が用いられている。煙道1は、図1に示されるように、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3とから形成されている。煙道1は、更に、図示されていない第3FRP製面板と第4FRP製面板とを備えている。4枚のFRP製面板が互いに突き合わせられて形成される煙道1は、断面上で概ね正方形状の輪郭を有している。第1FRP製面板2、第2FRP製面板3、他の2枚のFRP製面板は、それぞれに、それらの表裏面が概ね平面に形成されている。
【0013】第1FRP製面板2と、第2FRP製面板3は、それぞれに、図2に示されるように、第1FRP層4と第2FRP層5と中間層6とから形成されている。第1FRP層4と第2FRP層5とは強度を保証するための層であり、中間層6は断熱のための層である。中間層6は、第1FRP層4と第2FRP層5との間に形成されている。このように、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3は、それぞれに、3層構造を有している。
【0014】中間層6は、多孔質性樹脂で形成されている。その多孔質性樹脂としては、独立発泡性樹脂であることが特に好ましい。このような独立発泡性樹脂としては、材料選択と試験の結果からみれば、鐘淵化学社製の商品名・”クレゲセル”が最適である。”クレゲセル”の主成分は、塩ビ系樹脂である。
【0015】図1に示されるように、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3は突き合わせられて接合されている。第1FRP製面板2の端面に、第2FRP製面板3の内側面が接合している。第1FRP製面板2の端面は、第1FRP層4の端面と第2FRP層5の端面と中間層6の端面とで形成される面であり、その面は概ね平面である。第2FRP製面板3の端面と第1FRP製面板2の外側面は、1平面に形成されて接合されている。第1FRP製面板2の第1FRP層4の内側面9と第2FRP製面板3の第1FRP層4の内側面11とは、概ね、直交している。それらの面を斜めに交叉させることができる。内側面9と内側面11とは、煙道1の内部に、図3に示されるように、内側コーナー領域12を形成している。
【0016】煙道1は、更に、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3とを内側コーナー領域12で継ぎ合わせて連結するための継ぎ面板(マット)13を備えている。継ぎ面板13は、ビニールエステル樹脂(商品名・リポキシH−630)を基材とするFRPであることが好ましい。継ぎ面板13は、内側面9に接合する接合平面と、内側面11に接合する接合平面と、内側コーナー領域12の境界面を規定する曲面14とを有している。曲面14は、概ね円筒面であることが好ましい。継ぎ面板13の両第1FRP層4に対する接合のためには、適正な接合・接着剤が用いられている。内側面9と内側面11と曲面14とで形成されるコーナー領域12に、充填材が充填されている。
【0017】その充填材は、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3の結合を補強するための補強層15を形成している。補強層15は、自らの粘着性により、両第1FRP層4と継ぎ面板13に接合している。補強層15の材料としては、中間層6の材料と同じものが用いられることが特に好ましい。補強層15の材料は、多孔質性・独立発泡性であり、”クレゲセル”であることが特に好ましい。
【0018】第1FRP製面板2と補強層15と継ぎ面板13は、X方向(第1FRP製面板2の内面に直交する方向)に層が重なる3層構造を有している。第2FRP製面板3と補強層15と継ぎ面板13は、Y方向(第1FRP製面板2の内面に直交する方向で、X方向に直交する方向)に層が重なる3層構造を有している。言い換えれば、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3と補強層15と継ぎ面板13は、2次元的3層構造を有している。
【0019】煙道1の中には、排気ガスのような高温流体が通される。中間層6により保温されているその高温流体の熱は、回収され得る。煙道1の強度は、第1FRP層4と第2FRP層5により保証されている。大きく熱変動する高温流体は、特に両第1FRP層4を膨張収縮させる。第1FRP製面板2の第1FRP層4と第2FRP製面板3の第1FRP層4との突合部位に大きな応力が発生し、そこに歪みが生起する。そのような応力は、その一部は多孔質性の中間層6に吸収され、他の一部は補強層15に吸収される。2次元的3層構造の補強層15は、X方向、Y方向の両第1FRP層4の熱変位を吸収する。
【0020】補強層15は、両第1FRP層4のコーナー領域12の部分の温度上昇を抑制し、その部位の第1FRP層4のひび割れ、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3のその部位の剥離を抑制している。継ぎ面板13は、補強層15の温度上昇を抑制し、補強層15のひび割れを抑制している。継ぎ面板13の曲面部分は、第1FRP製面板2の第1FRP層4と第2FRP製面板3の第1FRP層4との接合強度を弾力的に高めている。
【0021】図4は、本発明によるFRP製煙道のコーナー・ジョイントの実施の他の形態を示している。煙道1が、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3と補強層15と継ぎ面板13とから形成され、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3とが図2に示される第1FRP層4と第2FRP層5と中間層6とから形成されている点は、実施の既述の形態のそれらに全く同じである。
【0022】第1FRP製面板2の第2FRP層5と第2FRP製面板3の第2FRP層5とは、そのコーナー部分がそれぞれに凹状に窪まされて形成され、それぞれに外側窪み面21を形成している。両窪み面21に接合して、アングル材22が第1FRP製面板2と第2FRP製面板3に外側から接合している。アングル材22の直交する両外側面は、それぞれに、第2FRP層5のコーナー部以外の外側面に一致していることが好ましい。アングル材22は、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3の突き合わせ接合構造を外側からも補強している。
【0023】第2FRP製面板3の第2FRP層5とアングル材22の一部に接合する取巻筒枠23が設けられている。取巻筒枠23の内側には、硬質ポリウレタンボード(商品名・ソフランボード NB−35G)24が充填されている。第2FRP製面板3の第2FRP層5とアングル材22の他の一部に接合する取巻筒枠25が設けられている。取巻筒枠25の内側には、硬質ポリウレタンボード(商品名・ソフランボード NB−35G)26が充填されている。
【0024】取巻筒枠23と取巻筒枠25との互いに直交する外側面に接合するように、四角筒枠27が設けられている。取巻筒枠23の一辺部分又は取巻筒枠25の一辺部分が延長され婉曲に曲げられた曲折部分28が形成されている。曲折部分28と取巻筒枠23、取巻筒枠25のそれぞれの一辺部分とは、四角筒枠27の4周面からなる外側面を概ね完全に包囲し被覆している。曲折部分28の直交2面を包囲する包囲枠29は両側に延長され、その両延長部分は、それぞれに、取巻筒枠23と取巻筒枠25のそれぞれの一部分を形成している。曲折部分28と包囲枠29は、それぞれにイソ系ポリエステル樹脂(商品名・リゴラック258BQTN)で製作されている。このような枠組は、第1FRP製面板2と第2FRP製面板3を更に補強している。
【0025】
【発明の効果】本発明によるFRP製煙道のコーナー・ジョイント及び煙道用面板は、コーナー部分の熱応力を有効に緩和する。多孔質の補強層は、2次元方向に有効な応力吸収効果を奏している。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実 (外1名)
【公開番号】 特開2000−193230(P2000−193230A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−369066