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【発明の名称】 排ガス処理方法および装置
【発明者】 【氏名】浜口 敬三

【氏名】長田 容

【氏名】塩満 徹

【氏名】平山 敦

【氏名】鮎川 将

【要約】 【課題】飛灰処理を念頭に入れた、ダイオキシン低減により効果的な排ガス処理方法及び装置を得ること。

【解決手段】有害成分を含む焼却炉またはボイラからの排ガスを無害化処理する方法において、焼却炉またはボイラからの排ガスを130〜180℃に冷却し、バグフィルタからなるろ過式集塵手段2により排ガス中の煤塵を除去し、次いで排ガスを反応セラミックフィルタ3に導入して消石灰を噴霧するとともに排ガス中の酸性成分を除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焼却炉またはボイラからの有害成分を含む排ガスを無害化処理する方法において、焼却炉またはボイラからの排ガスを130〜180℃に冷却し、バグフイルタからなるろ過式集塵手段により排ガス中の煤塵を除去し、次いで排ガスを反応セラミックフィルタに導入して消石灰を噴霧するとともに前記排ガス中の酸性成分を除去することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項2】 ろ過式集塵を行う前の排ガス中、またはろ過式集塵手段内に直接、防食剤として消石灰を噴霧し、該消石灰の噴霧量を反応セラミックフィルタへの消石灰の噴霧量の1/5以下または酸性成分に対する当量比を0.5以下とすることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
【請求項3】 ろ過式集塵を行う前の排ガス中、またはろ過式集塵手段内に直接、炭素系多孔質粉体を噴霧して、排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去することを特徴とする請求項1または2記載の排ガス処理方法。
【請求項4】 消石灰を噴霧する際に、炭素系多孔質粉体を同時に噴霧して排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス処理方法。
【請求項5】 炭素系多孔質粉体の比表面積が200m2 /g以上の粉末活性炭であることを特徴とする請求項3または4記載の排ガス処理方法。
【請求項6】 焼却炉またはボイラからの有害成分を含む排ガスを無害化処理する装置において、焼却炉またはボイラからの排ガスを熱回収手段または水噴霧により130〜180℃に冷却する冷却装置と、冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集塵するバグフィルタと、該バグフィルタにより煤塵を除去した排ガスに消石灰を噴霧して排ガスを浄化する消石灰噴霧装置を備えた反応セラミックフィルタとを備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項7】 ろ過式集塵するバグフィルタの上流に、防食剤としての消石灰または/および排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去するための炭素系多孔質粉体を噴霧する少なくとも1つの噴霧装置を備えたことを特徴とする請求項6記載の排ガス処理装置。
【請求項8】 ろ過式集塵するバグフィルタは、防食剤としての消石灰または/および排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去するための炭素系多孔質粉体を噴霧する少なくとも1つの噴霧装置を備えたことを特徴とする請求項6記載の排ガス処理装置。
【請求項9】 消石灰噴霧装置にさらに炭素系多孔質粉体を噴霧する噴霧装置を備えたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ焼却施設、可燃性廃棄物処理施設、金属精錬工場等から排出される有害成分を含む排ガスの処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみや産業廃棄物を焼却処理する過程や、金属精錬工場などで可燃性の付着物を含むスクラップを予熱、溶解する際に排出される排ガスには、ばいじん、塩化水素等の酸性成分、窒素酸化物、水銀等の重金属、ダイオキシン類およびその前駆物質など、さまざまな有害物質が含まれている。これらの有害物質のうち、HClやSOxなどの酸性成分は、消石灰粉を排ガス中に吹き込んで、乾式反応塔などで中和反応により除去する方法がしばしば採用されている。
【0003】図9は上記の従来技術の一例を示すブロック図で、焼却炉またはボイラからの排ガスを冷却装置としての減温塔101で冷却し、消石灰粉を消石灰噴霧装置106により中和反応塔110に噴霧し、同装置内で消石灰と排ガスを混合して排ガス中の酸性成分を除去し、排ガス中の煤塵(飛灰)および中和反応生成物をバグフィルタ102で集塵除去するようにしたものである。
【0004】ところで、近年、社会問題となっている毒性の強い微量有害物質であるダイオキシン類は、その低減方法として、例えば、焼却炉の燃焼管理による発生抑制、排ガス温度管理による再合成防止、触媒による酸化分解、吸着剤による吸着除去などにより処理されている。また、ごみ焼却施設からは排ガス中のダイオキシンだけでなく、バグフィルタなどの集塵機から排出される飛灰にもダイオキシンが含まれており、飛灰中のダイオキシン処理も近年の大きな課題となっている。
【0005】飛灰中のダイオキシンは、飛灰を300〜500℃程度で加熱脱塩素処理する方法、1200℃以上で溶融処理する方法等が提案されている。排ガス中のHCl、SOxの酸性成分を除去し、処理困難な飛灰の発生量を低減し、溶融処理を容易にするための方法として、次の発明が開示されている。特開平5−71724号公報に開示された方法は、排ガスを冷却する工程、第一のバグフィルタで煤塵(飛灰)を除去する工程、煤塵除去後の排ガスを反応塔で中和する工程、次いで中和された反応生成物を第二のバグフィルタで除去する工程からなる排ガス処理方法である。
【0006】図10は上記排ガス処理方法の構成を示すブロック図で、焼却炉やボイラからの排ガスを冷却装置としての減温塔101で冷却し、排ガス中の煤塵(飛灰)を第一のバグフィルタ102で除塵し、続いて消石灰噴霧装置106により中和剤としての消石灰を中和反応塔110に噴霧して、該中和反応塔110内で消石灰が排ガスと混合する過程で排ガス中の酸性成分を中和し、続いて反応生成物を第二のバグフィルタ103で除塵する排ガス処理方法である。排ガスに含まれる煤塵(飛灰)は第一のバグフィルタ102でほとんどが除塵されるため、ときに処理困難とされる第二のバグフィルタ103から排出される飛灰の量を低減する作用がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図10に示す従来の処理方法は、第一のバグフィルタ102から排出される飛灰が消石灰(中和剤)を含んでいないので、スラグの性状が安定するなど溶融処理が容易となる利点を有するが、以下の問題が生じていた。すなわち、排ガスを冷却する工程において、排ガスをどの程度まで冷却すればよいかが明確にされていないので、ダイオキシンの発生の最も少ない温度に設定することができなかった。また、第一のバグフィルタ102で飛灰を除去したあとの中和工程は、第二のバグフィルタ103の前段の中和反応塔110によってなされるため、ガスと消石灰粉を混合させるための中和反応塔110の設置スペースが無視できない。つまり、中和反応塔110の設置のためにより多くの敷地が必要となる欠点を有していた。
【0008】さらに、第一のバグフィルタ102に導入される排ガスは、HClやSOxの酸性成分を多く含むため、第一のバグフィルタ102内は酸性となり、排ガス中の水分や装置内の低温領域形成のために、装置内壁などの酸腐食を誘発するおそれがあった。
【0009】本発明は上記の課題を克服し、飛灰処理を念頭に入れた、ダイオキシン低減により効果的な排ガス処理方法及び装置を得ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、焼却炉またはボイラからの有害成分を含む排ガスを無害化処理する方法において、焼却炉またはボイラからの排ガスを130〜180℃に冷却し、バグフィルタからなるろ過式集塵手段により排ガス中の煤塵を除去し、次いで排ガスを反応セラミックフィルタに導入して消石灰を噴霧するとともに前記排ガス中の酸性成分を除去することを特徴とする排ガス処理方法である。
【0011】排ガスを130〜180℃に冷却するので、ダイオキシン発生量を効果的に抑えられる。冷却温度を180℃以上で、例えば通常の電気集塵機の運転温度250〜350℃程度とすると、近年の公知の事実であるようにダイオキシン類の再合成が盛んになるため不適当であり、180〜250℃であっても、本発明の発明者らの研究により程度は小さいが200℃付近でダイオキシン再合成が観測されているので、望ましくない。本発明の発明者らは、排ガスの温度を180℃以下とすることにより、ダイオキシンの再合成がほぼ皆無である事実をつきとめたので、排ガスの冷却温度を180℃以下とした。しかし、130℃以下にすると、排ガス中の酸性成分が酸露点に達して装置の腐食を誘発するので、たとえダイオキシンの発生が少なくても運転上、好ましくない。以上のことから、排ガスを130〜180℃に冷却することにより、装置の安定運転を維持しながらダイオキシンの再合成を確実に防ぐことができる。
【0012】また、後段の反応セラミックフィルタでは、消石灰噴霧により、バグハウス内で消石灰と排ガス中の酸性成分が混合し、中和反応が起こるとともに、反応生成物はろ布により除塵される。また、酸性成分と反応しなかった消石灰粉は、逆洗されるまでの一定の時間集塵され、セラミックろ過体に堆積している間に酸性成分と中和反応を完了させる。すなわち、反応セラミックフィルタは、中和反応の直後集塵する形態、集塵後中和反応がなされる形態、集塵および中和反応が同時になされる形態、の複合型の反応が明確に区別できない態様でほぼ同時に生じており、これら反応がセラミックフィルタ内で効果的に行われるため、反応セラミックフィルタと称している。したがって、セラミックフィルタの上流で中和反応塔により中和反応をほぼ完了させてから、反応生成物を除塵する従来の方法とは区別されなければならない。
【0013】また、反応セラミックフィルタはろ過体の堆積層(反応層)の保持が不可欠であり、例えば、逆洗間隔等を調整することにより差圧を100mmAq程度に維持することが効果的である。一方、前述の従来のセラミックフィルタは、中和反応塔により中和反応がほぼ完了した反応生成物をほぼ除塵するのみなので、差圧の調整は特に必要でなく、集塵した煤塵を素早く系外から排出することが望まれる。反応セラミックフィルタへ消石灰を吹込む粉体供給ダクトは排ガス導入ダクト部、あるいは、反応セラミックフィルタ本体の外壁に設置すればよく、粉体供給ダクト、反応セラミックフィルタ本体および逆洗装置全体を含めて、反応セラミックフィルタを構成する。
【0014】したがって、消石灰噴霧による中和反応と反応生成物の除塵をひとつの反応器、すなわち、反応セラミックフィルタで行うので、排ガスと消石灰粉を混合させるための中和反応塔などの中和手段を別に設置する必要がなく、敷地を節約でき、コンパクトな構成となる利点を有する。また、排ガス温度を冷却装置で130〜180℃に冷却するので、後段の反応セラミックフィルタの処理温度が低く維持され、酸性成分の中和反応による除去効果をより高める作用が付随的に得られる。
【0015】さらに、前段のバグフィルタで、中和反応しないまま、ダイオキシンや重金属を含む煤塵(飛灰)が排ガスから分離されるので、バグフィルタから排出される飛灰は、塩類やカルシウムの含有量が少なく、電気抵抗式の溶融処理やセメント固化処理に適した飛灰となる。また、前段のバグフィルタで排ガス中の煤塵をすべて除去したので、後段の反応セラミックフィルタで集塵される粉体(飛灰)は中和反応から得られる反応生成物のみでほぼ構成されるため、排出量が少なく、ダイオキシンや重金属を微量に含んでいたとしても処理量が少ないため有利である。
【0016】請求項2の発明は、請求項1のろ過式集塵を行う前の排ガス中、またはろ過式集塵手段内に直接、防食剤として消石灰を噴霧し、噴霧量を反応セラミックフィルタへの消石灰噴霧量の1/5以下または酸性成分に対する当量比を0.5以下とすることを特徴とする排ガス処理方法である。
【0017】ろ過式集塵手段としてのバグフィルタの上流の煙道排ガス中、またはバグフィルタ内に直接防食剤として消石灰を噴霧するので、排ガス中に多く含まれるHCl、SOxの酸性成分による装置内壁の酸腐食を未然に防ぐことができる。防食剤として噴霧した消石灰は、バグフィルタ内のろ布に到達する一方で、装置内壁や煙道内壁に到達するものがあるので、内壁に到達した消石灰は内壁にコーティングされ、排ガス中の酸性成分や部分的な結露による内壁金属の浸食を阻止することができる。
【0018】このときの消石灰の噴霧量は、後段の反応セラミックフィルタで中和剤として用いられる消石灰の噴霧量の1/5以下または酸性成分に対する当量比を0.5以下とすることが望ましい。1/5以上(または、酸性成分に対する当量比が0.5以上)とすると、前段のバグフィルタで中和反応を積極的に行うことになり、前段のバグフィルタから排出される反応生成物や未反応消石灰を含んだ飛灰量、すなわち廃棄処理量が多くなることと、飛灰の廃棄処理が以下のように困難となる不具合を生じる。すなわち、未反応消石灰や塩化カルシウムなどの反応生成物を多く含むと、飛灰を電気抵抗式の溶融固化処理をする際に、塩化カルシウムの溶融物が多量に生成し、これが分離して溶融塩層を形成するので、電極間に流れる電流が溶融塩層に集中する障害が発生し、溶融炉の操業が著しく阻害される。
【0019】また、飛灰の廃棄処理として、セメント固化処理を行う場合は、固化物が廃棄された後に、固化物中の塩化カルシウムが溶解し、固化物が徐々に崩壊してしまうので、有害な重金属などが流出するおそれがある。これらのケースで、消石灰吹込量を反応セラミックフィルタへの消石灰の噴霧量の1/5程度(または、酸性成分に対する当量比が0.5程度)としたときに、概ね安定処理および安定操業が可能であることを確認した。
【0020】以上の理由から、消石灰吹込量は、後段の反応セラミックフィルタで用いる消石灰量の1/5以下(または、酸性成分に対する当量比が0.5以下)が望ましい。なお、通常、ごみ焼却施設で酸性成分中和のために噴霧する消石灰の酸性成分に対する当量比は2〜4程度であり、この値の1/5はほぼ前記の当量比0.5に相当する。当量比は、次の化学反応式などから算定される消石灰(Ca(OH)2 )理論必要量に対する比のことである。
2HCl+Ca(OH)2 =CaCl2 +2H2 OSO2 +Ca(OH)2 =CaSO3 +H2 OSO3 +Ca(OH)2 =CaSO4 +H2 O【0021】バグフィルタ内の温度は請求項1の発明により130〜180℃が確保されて酸露点を回避しているので、当量に満たないごく少量の消石灰噴霧であっても、装置内が極端に酸性になることを避け、以て酸腐食を回避できるので、防食剤としての役割を効果的に発揮する。したがって、防食剤としての消石灰噴霧量の下限値は特に規定しないが、酸性成分の濃度等を考慮して前述のように反応セラミックフィルタへの噴霧量の1/5(または、酸性成分に対する当量比が0.5)を超えない範囲で噴霧することが望ましい。また、防食剤として消石灰以外の公知の薬剤を用いると、薬剤サイロが余分に必要になる欠点や、噴霧した際に排ガス中の酸性成分と積極的に反応しないため、後段の反応セラミックフィルタにおける酸性成分除去の負担を軽減することができない欠点を有している。したがって、反応セラミックフィルタで用いる消石灰を防食剤として流用することにより、より簡便に防食効果を得ることができる。
【0022】請求項3の発明は、請求項1のろ過式集塵を行う前の排ガス中、またはろ過式集塵手段内に直接、炭素系多孔質粉体を噴霧して、排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去することを特徴とする排ガス処理方法である。
【0023】炭素系多孔質粉体は、賦活の程度にもよるが一般に高比表面積を有するので、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物や水銀を効率よく吸着除去できる。この炭素系多孔質粉体をろ過式集塵装置としてのバグフィルタの上流煙道またはバグフィルタ内に直接噴霧するので、排ガスに微量に含まれる有害なダイオキシン等の有機ハロゲン化合物を、煙道内またはバグフィルタ内のろ過集塵過程で吸着除去できる。バグフィルタから排出される飛灰には炭素系多孔質粉体が混入するが、例えば、飛灰を加熱処理または溶融処理する際には、飛灰中の炭素系多孔質粉体が熱源となって、外部加熱によるエネルギーを削減することができる。
【0024】請求項4の発明は、請求項1の消石灰噴霧の際に、炭素系多孔質粉体を同時に噴霧して排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去することを特徴とする排ガス処理方法である。
【0025】排ガス中のダイオキシン等の有機ハロゲン化合物は、前段のろ過式集塵手段としてのバグフィルタによりある程度除去することができる。すなわち、排ガスに含まれる飛灰は未燃炭素を含んでいるため、ダイオキシンをある程度吸着除去することができ、請求項3の発明のように炭素系多孔質粉体を噴霧すれば、さらにダイオキシンを効果的に除去することができる。しかしながら、運転の諸事情により前段のバグフィルタで炭素系多孔質粉体を噴霧しない場合や、噴霧してもさらにダイオキシンの除去を完全に行う必要があるときには、後段の反応セラミックフィルタに炭素系多孔質粉体を噴霧することが望ましい。すなわち、消石灰噴霧と同時に炭素系多孔質粉末を噴霧すれば、消石灰が反応セラミックフィルタ内のろ過体に堆積されるのと同様かつ同時に、炭素系多孔質粉体もろ過体に堆積されるので、排ガス中のダイオキシンと炭素系多孔質粉体が、反応セラミックフィルタ内およびろ布上で効果的に接触して、排ガス中のダイオキシンが吸着除去されるとともに、もちろん排ガス中の酸性成分も中和反応により除去される。
【0026】請求項5の発明は、請求項3及び4の発明で用いる炭素系多孔質粉体の比表面積が200m2 /g以上の粉末活性炭であることを特徴とする排ガス処理方法である。
【0027】前段のろ過式集塵手段であるバグフィルタまたは後段の反応セラミックフィルタに噴霧する炭素系多孔質粉体として、比表面積が200m2 /g以上の粉末活性炭を用いれば、吸着能が大きいため、排ガス中のダイオキシン等の微量有害物質を効果的に吸着除去できる。比表面積が200m2 /g以下であると、所定の吸着効果を得るためには多量の粉体を噴霧しなければならず、前段のバグフィルタまたは後段の反応セラミックフィルタから排出される廃棄処理対象の飛灰の量が極端に多くなるため好ましくない。また、噴霧量を少なくすると、十分なダイオキシン吸着除去が得られないので好ましくない。200m2 /g程度の粉末活性炭であれば、噴霧量を例えば0.2g/Nm3 として反応セラミックフィルタでの消石灰噴霧量の1/10程度とごく少量で抑えることができ、かつ十分なダイオキシン除去が得られることが、本発明者らの調査で判明した。したがって、炭素系多孔質粉体として比表面積が200m2 /gの粉末活性炭を用いることが望ましい。
【0028】請求項6の発明は、焼却炉やボイラからの有害成分を含む排ガスを無害化処理する際に、焼却炉またはボイラからの排ガスを130〜180℃に熱回収手段または水噴霧により冷却する冷却装置と、冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集塵するバグフィルタと、該バグフィルタにより煤塵を除去した排ガスに消石灰を噴霧して排ガスを浄化する消石灰噴霧装置を備えた反応セラミックフィルタとからなる排ガス処理装置である。このような排ガス処理装置を排ガス処理施設に敷設することにより、請求項1の発明方法を容易に実施でき、請求項1の発明の作用効果を得ることができる。
【0029】請求項7の発明は、請求項6の発明のろ過式集塵するバグフィルタの上流に、防食剤としての消石灰または/および排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去するための炭素系多孔質粉体を噴霧する少なくとも1つの粉体噴霧装置を備えたことを特徴とする排ガス処理装置である。このような排ガス処理装置を請求項6の発明に設けることにより、請求項1〜3の発明の作用効果が相乗的に得られる。
【0030】請求項8の発明は、請求項6の発明のろ過式集塵するバグフィルタが、防食剤としての消石灰または/および排ガスに含まれるダイオキシンなどの微量有害物質を除去するための炭素系多孔質粉体を噴霧する少なくとも1つ以上の粉体噴霧装置を備えたバグフィルタであることを特徴とする排ガス処理装置である。 このように消石灰や炭素系多孔質粉体の粉体噴霧装置を請求項6の発明の前段のバグフィルタに備えることにより、装置がコンパクトになるとともに、請求項1〜3の発明の作用効果が相乗的に得られる。
【0031】請求項9の発明は、請求項6の発明の消石灰噴霧装置にさらに炭素系多孔質粉体噴霧装置を具備させたことを特徴とする排ガス処理装置である。このように炭素系多孔質粉体噴霧装置を反応セラミックフィルタに具備させることにより、装置をコンパクトにできるとともに、請求項1及び4の発明の作用効果が相乗的に得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1〜図4は本発明の排ガス処理方法および装置をごみ焼却処理施設に実施した場合の一実施形態を示すブロック図、図5〜図7は消石灰や活性炭の粉体をバグフィルタまたは反応セラミックフィルタに噴霧する際の粉体供給ダクトの設置位置を例示するバグフィルタまたは反応セラミックフィルタの斜視図、図8は反応セラミックフィルタのろ過体の構造例を示す説明図である。
【0033】図において、1は冷却装置としての減温塔、2はろ過式集塵手段としてのバグフィルタ、3は反応セラミックフィルタ、3aは反応セラミックフィルタに付属する消石灰噴霧装置、3bは反応セラミックフィルタに付属する活性炭噴霧装置、5は飛灰処理装置、6は消石灰噴霧装置、7は活性炭噴霧装置、8は消石灰、活性炭混合物噴霧装置である。また、10はバグフィルタ又は反応セラミックフィルタの本体、11は排ガス導入ダクト、12はろ布(またはろ過体)、13は飛灰排出部、14は排ガス排出ダクト、15はパルスジェット式逆洗装置、16は粉体供給ダクト、21はハニカム状ろ過体、22はキャンドル型成型ろ過体、23は布状ろ過体、24はリテーナである。
【0034】以下、図1に基づいて排ガス処理フローの概略を説明する。なお、図1は請求項1及び6の発明を説明するためのものである。焼却炉やボイラから排出される200℃以上の排ガスは、排ガス冷却装置としての減温塔1により、ダイオキシンの発生のごく少ない130〜180℃に調温・冷却される。冷却された排ガスはろ過式集塵手段としてのバグフィルタ2に導入され、排ガスに含まれる煤塵(飛灰)が除去される。バグフィルタ2を通過した排ガスは反応セラミックフィルタ3に導入され、消石灰が消石灰噴霧装置3aにより噴霧され、反応セラミックフィルタ3内で中和剤としての消石灰と排ガス中の酸性成分とが中和反応し、排ガス中の酸性成分が除去される。反応セラミックフィルタ3を経た排ガスは、必要に応じて脱硝処理されたあと(図示しない)、煙突から清浄ガスとして排出される。一方、バグフィルタ2や反応セラミックフィルタ3から排出される飛灰は飛灰処理装置5により別途無害化処理される。なお、図1において、排ガスを誘引するための誘引ファン、消石灰サイロ、その他周辺機器の記述は省略してある。
【0035】次に、本発明の実施の形態の詳細を説明する。排ガス冷却装置としての減温塔1では、焼却炉やボイラから排出される排ガスがスプレーノズルからの水噴霧により130〜180℃に調温・冷却される。排ガスは130〜180℃に冷却されるので、ダイオキシン発生量を効果的に抑えることができる。排ガス温度が180℃以上で、例えば通常の電気集塵機の運転温度250〜350℃程度とすると、近年の公知の事実であるようにダイオキシン類の再合成が盛んになるため不適当であり、180〜250℃であっても、本発明者らの研究によれば程度は小さいが200℃付近でのダイオキシン再合成が観測されているので、望ましくない。本発明者らは、排ガス温度を180℃以下とすることにより、ダイオキシンの再合成がほぼ皆無である事実をつきとめたため、排ガスの冷却温度を180℃以下とした。しかし、130℃以下とすると、排ガス中の酸性成分が酸露点に達して装置の腐食を誘発するので、たとえダイオキシンの発生が少なくても運転上、好ましくない。このように、排ガスを130〜180℃に冷却することにより、装置の安定運転を維持しながらダイオキシンの再合成を確実に防ぐことができる。
【0036】排ガスを130〜180℃に冷却するにあたり、図1では排ガス冷却装置として水噴霧による減温塔1を用いたが、エコノマイザなどの熱回収手段やその他の冷却手段であっても同等の効果が得られる。水噴霧による減温塔1を用いると、微細水滴の蒸発潜熱により排ガスを急冷することが可能であり、急冷によるダイオキシン低減効果が付加される利点を有する。
【0037】130〜180℃に冷却された排ガスは、ろ過式集塵手段としてのバグフィルタ2内でダイオキシンの再合成がなされないまま、除塵される。除塵された排ガスはHClやSOx等の酸性成分を含んでいるので、反応セラミックフィルタ3に付属する消石灰噴霧装置3aにより、消石灰が反応セラミックフィルタ3内に導入され、中和処理がなされる。反応セラミックフィルタ3では、消石灰噴霧により消石灰と排ガス中の酸性成分が混合し、中和反応が起こるとともに、反応生成物はセラミックろ過体12(図5〜図7)により除塵される。また、酸性成分と反応しなかった消石灰粉は、逆洗されるまでの一定の時間集塵され、セラミックろ過体12に堆積している間に酸性成分と中和反応を完了させる。すなわち、反応セラミックフィルタ3は、中和反応の直後集塵する形態、集塵後中和反応がなされる形態、集塵および中和反応が同時になされる形態の複合型の反応が明確に区別できない態様でほぼ同時に生じており、これら反応がセラミックフィルタ装置内で効果的に行われるため、反応セラミックフィルタ3と称している。
【0038】したがって、セラミックフィルタの上流で中和反応塔により中和反応をほぼ完了させてから、反応生成物を除塵する従来の方法とは区別されなければならない。また、反応セラミックフィルタ3はろ過体の堆積層(反応層)の保持が不可欠であり、例えば、逆洗間隔等を調整することにより差圧を100mmAq程度に維持することが効果的である。一方、従来のセラミックフィルタは中和反応塔により中和反応がほぼ完了した反応生成物をほぼ除塵するのみなので、差圧の調整は特に必要でなく、集塵した煤塵を素早く系外から排出することが望まれる。
【0039】反応セラミックフィルタ3の粉体供給ダクト16は、反応セラミックフィルタ3の本体10の排ガス導入ダクト部11に設置するか(図5)、本体10の外壁に設置(図6、図7)すればよく、粉体供給ダクト16と本体10および逆洗装置15全体を含めて、反応セラミックフィルタ3を構成する。したがって、消石灰噴霧による中和反応と反応生成物の除塵をひとつの反応器、すなわち、反応セラミックフィルタ3で行うので、排ガスと消石灰粉を混合させるための中和反応塔などの中和手段を別に設置する必要がなく、敷地を節約でき、コンパクトな構成となる利点を有する。
【0040】また、排ガス温度を減温塔1で130〜180℃に冷却するので、後段の反応セラミックフィルタ3の処理温度が低く維持され、酸性成分の中和反応による除去効果をより高める作用が付随的に得られる。さらに、前段のバグフィルタ2で、中和反応をなさないまま、ダイオキシンや重金属を含む煤塵(飛灰)が排ガスから分離されるので、バグフィルタ2から排出される飛灰は、塩類やカルシウムの含有量が少なく、電気抵抗式の溶融処理やセメント固化処理に適した飛灰となる。また、前段のバグフィルタ2で排ガス中の煤塵をすべて除去したので、後段の反応セラミックフィルタ3で集塵される粉体(飛灰)は中和反応から得られる反応生成物のみでほぼ構成されるため、排出量が少なく、ダイオキシンや重金属を微量に含んでいたとしても処理量が少ないため有利である。
【0041】図2は、請求項2,3及び7の発明を説明するためのブロック図で、図1と同一の構成部分は説明を省略する。消石灰噴霧装置6により噴霧される消石灰粉は、減温塔1とバグフィルタ2の間の煙道に吹き込まれ、煙道内やバグフィルタ2の内壁にコーティングされるので、煙道内やバグフィルタ2の内壁などの防食剤として機能する。防食剤として消石灰を噴霧する際の噴霧量は、後段の反応セラミックフィルタ3の消石灰噴霧量の1/5以下か、酸性成分に対する当量比を0.5以下とすることが望ましい。
【0042】上記の消石灰の噴霧量を1/5以上(または、酸性成分に対する当量比が0.5以上)とすると、前段のバグフィルタ2で中和反応を積極的に行うことになり、前段のバグフィルタ2から排出される反応生成物や未反応消石灰を含んだ飛灰量、すなわち廃棄処理量が多くなって、飛灰の廃棄処理が以下のように困難となる不具合を生じる。すなわち、未反応消石灰や塩化カルシウムなどの反応生成物を多く含むと、飛灰を電気抵抗式の溶融固化処理をする際(飛灰処理装置5の一例)に、塩化カルシウムの溶融物が多量に生成し、これが分離して溶融塩層を形成するので、電極間に流れる電流が溶融塩層に集中する障害が発生し、溶融炉の操業が著しく阻害される。また、飛灰の廃棄処理として、セメント固化処理を行う場合(飛灰処理装置の一例)は、固化物が廃棄された後に、固化物中の塩化カルシウムが溶解し、固化物が徐々に崩壊してしまうので、有害な重金属などが流出するおそれがある。これらのケースで、消石灰吹込量を前述のように反応セラミックフィルタ3への消石灰の噴出量の1/5程度(または、酸性成分に対する当量比が0.5程度)としたときに、概ね安定処理および安定操業が可能であることを確認した。
【0043】以上の理由から、消石灰吹込量は後段の反応セラミックフィルタで用いる消石灰量の1/5以下(または、酸性成分に対する当量比が0.5以下)が望ましい。なお、通常、ごみ焼却施設で酸性成分中和のために噴霧する消石灰の酸性成分に対する当量比は2〜4程度であり、この値の1/5はほぼ前記の当量比0.5に相当する。当量比は、次の化学反応式などから算定される消石灰(Ca(OH)2 )理論必要量に対する比のことである。
2HCl+Ca(OH)2 =CaCl2 +2H2 OSO2 +Ca(OH)2 =CaSO3 +H2 OSO3 +Ca(OH)2 =CaSO4 +H2 O【0044】バグフィルタ2内の温度は請求項1の発明により130〜180℃が確保されて酸露点を回避しているので、当量に満たないごく少量の消石灰噴霧であっても、装置内が極端に酸性になることを避け、以て酸腐食を回避できるので、防食剤としての役割を効果的に発揮する。したがって、防食剤としての消石灰吹込量の下限値は特に規定しないが、酸性成分の濃度等を考慮して前述のように反応セラミックフィルタ3で用いる消石灰の量1/5(または、酸性成分に対する当量比が0.5)を超えない範囲で噴霧することが望ましい。また、防食剤として消石灰以外の公知の薬剤を用いると、薬剤サイロが別個余分に必要になる欠点や、噴霧した際に排ガス中の酸性成分と積極的に反応しないため、後段の反応セラミックフィルタ3における酸性成分除去の負担を軽減することができない欠点を有している。したがって、反応セラミックフィルタ3で用いる消石灰を防食剤として流用することにより、より簡便に防食効果を得ることができる。
【0045】次に、活性炭噴霧装置7により噴霧される炭素系多孔質粉体としての活性炭は、減温塔1とバグフィルタ2の間の煙道に吹き込まれ、排ガス中のダイオキシンなどの微量有害物質を吸着除去する。炭素系多孔質粉体は、賦活の程度にもよるが一般に高比表面積を有するので、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物や水銀を効率よく吸着除去できる。この炭素系多孔質粉体をろ過式集塵装置としてのバグフィルタ2の上流煙道またはバグフィルタ2内に直接噴霧するので、排ガスに微量に含まれる有害なダイオキシン等の有機ハロゲン化合物を、煙道内またはバグフィルタ2内のろ過集塵過程で吸着除去できる。バグフィルタ2から排出される飛灰には炭素系多孔質粉体が混入するが、例えば、飛灰を加熱処理または溶融処理する際(飛灰処理装置5の一例)には、飛灰中の炭素系多孔貿粉体が熱源となって、外部加熱によるエネルギーを削減することができる。
【0046】図3は、請求項2,3,7及び8の発明を説明するためのブロック図で、特に、請求項2,3の発明の別の形態として、ろ過式集塵手段としてのバグフィルタ2内に直接、消石灰噴霧装置6または/および活性炭噴霧装置7により噴霧を行い、同装置をバグフィルタ2に具備させたことを示すものである。すなわち、防食剤としての消石灰または、炭素系多孔質粉体としての活性炭は、例えば、図5に示すように、バグフィルタ2の本体10の排ガス導入ダクト11の導入部に粉体供給ダクト16を設置して、本体10内に消石灰また活性炭を噴霧するか、例えば図6に示すように、本体10の排ガス導入ダクト11の上部の本体10の外壁に粉体供給ダクト16を設置して、本体10に消石灰または活性炭を噴霧するか、あるいは、図7に示すように複数に分岐された粉体供給ダクト16を本体10の外壁に設置して、消石灰または活性炭を噴霧する。
【0047】なお、防食剤としての消石灰と炭素系多孔質粉体としての活性炭は、図4に示すように、消石灰、活性炭混合物噴霧装置8により、予め混合させてから煙道に噴霧してもよいし、図示しないが、該混合物をバグフィルタ2内に直接噴霧してもよい。
【0048】次に図4は、請求項4及び9の発明を主に説明するためのブロック図である。本例は中和剤としての消石灰噴霧装置3aを備えた反応セラミックフィルタ3に、炭素系多孔質粉体としての活性炭噴霧装置3bを具備させたものである。排ガス中のダイオキシン等の有機ハロゲン化合物は、前段のろ過式集塵手段としてのバグフィルタ2により、ある程度の除去が可能である。すなわち、排ガスに含まれる飛灰は未燃炭素を含んでいるため、ダイオキシンをある程度吸着除去することができ、請求項3の発明のように炭素系多孔質粉体を噴霧すれば、さらにダイオキシンを効果的に除去することができる。
【0049】しかしながら、運転の諸事情により前段のバグフィルタ2で炭素系多孔質粉体を噴霧しない場合や、噴霧してもさらにダイオキシンの除去を完全に行う必要があるときには、後段の反応セラミックフィルタ3に炭素系多孔質粉体(活性炭など)を噴霧することが望ましい。すなわち、消石灰噴霧と同時に炭素系多孔質粉末を噴霧すれば、消石灰が反応セラミックフィルタ3内のろ過体に堆積されるのと同様かつ同時に、炭素系多孔質粉体もろ過体に堆積されるので、排ガス中のダイオキシンと炭素系多孔質粉体が、反応セラミックフィルタ3内およびろ布上で効果的に接触して、排ガス中のダイオキシンが吸着除去されるとともに、もちろん排ガス中の酸性成分も中和反応により除去される。炭素系多孔質粉体としての活性炭噴霧装置7による噴霧手段は、例えば、図5〜図7に示すとおりであって、すでに詳細に説明したとおりである。
【0050】本発明の請求項3及び4の発明で用いる炭素系多孔質粉体は、比表面積が200m2 /g以上の粉末活性炭であることが望ましい。前段のろ過式集塵手段としてのバグフィルタ2または後段の反応セラミックフィルタ3に噴霧する炭素系多孔質粉体として、比表面積が200m2 /g以上の粉末活性炭を用いれば、吸着能が大きいため、排ガス中のダイオキシン等の微量有害物質を効果的に吸着除去できる。比表面積が200m2 /g以下であると、所定の吸着効果を得るためには多量の粉体を噴霧しなければならず、前段のろ過式集塵手段としてのバグフィルタ2または後段の反応セラミックフィルタ3から排出される廃棄処理対象の飛灰の量(飛灰処理装置5に供給される飛灰の量)が極端に多くなるため好ましくない。
【0051】また、噴霧量を少なくすると、十分なダイオキシン吸着除去が得られないので好ましくない。200m2 /g程度の粉末活性炭であれば、噴霧量を例えば0.2g/Nm3 として反応セラミックフィルタ3での消石灰噴霧量の1/10程度とごく少量で抑えることができ、かつ十分なダイオキシン除去が得られることが、本発明者らの調査で判明した。したがって、炭素系多孔質粉体として比表面積が200m2 /gの粉末活性炭を用いることが望ましい。但し、噴霧量は処理前のダイオキシン濃度や除去程度により左右されるので一概には言えないが、およそ0.01〜0.3g/Nm3 の範囲が適切である。
【0052】粉末活性炭は、製造方法として、泥炭系、椰子殻系、木炭系であっても効果はほとんど同じであり、空気搬送により装置内に沈降することなく吹込が可能であれば粒度は特に問題としない。粉末活性炭等の炭素系多孔質粉体粉末の貯蔵サイロにおける粉塵爆発の回避を考慮して、炭素系多孔質粉体は十分に揮発分を揮発される工程を含んで製造されたもので、発火点が十分に高いものが好ましい。
【0053】本発明で用いる防食剤としての消石灰および中和剤としての消石灰は、CaCO3 、CaOなどアルカリ性の粉体を用いてもほぼ同じ効果があるが、反応効率や粉体の取扱い、価格を考慮して消石灰を用いるのが好ましい。本発明で用いる消石灰噴霧装置、活性炭噴霧装置の粉体噴霧装置は、公知の装置を用いればよく、例えば、空気搬送式のテーブルフィーダなど、粉体の供給量を調整できて、供給変動の小さいものが好ましい。また、消石灰噴霧装置は、防食剤として噴霧するラインと、中和剤として反応セラミックフィルタ3に噴霧するラインとを分岐させてもよいし、消石灰噴霧装置の消石灰切り出し部分を2系列として別の搬送ラインで噴霧してもよく、活性炭噴霧装置の場合も同様であるが、これらの工夫は運用上随時なされる。
【0054】本発明で用いる反応セラミックフィルタ3におけるろ過体の構造は、例えば、図8(a)に示すような、セラミックを開口部と閉口部を交互に有するハニカム状の成型体としたハニカム状ろ過体21、図8(b)に示すような、セラミックをキャンドル型に成型したキャンドル型成型ろ過体22、あるいは、図8(c)に示すような、繊維状セラミックをフレキシブルな布状とした布状ろ過体23などが挙げられるが、その他の形状であってもかまわない。セラミックの材質は、ムライト、コージェライトなどの無機物を用いればよいが限定しない。また、表面をシリコンカーバイドやその他薬剤でコーティングしたものを用いてもよい。反応セラミックフィルタ3の逆洗方式は、逆風式、パルスジェット式などが用いられ、何れも効果は同じである。また、本発明で用いるバグフィルタ2は、織布、不織布、フェルトなどをろ布として用いたものでよく、逆洗方式は、逆風式、パルスジェット式等、何れであっても効果は同じである。
【0055】本発明で用いる減温塔1は、スプレーノズルによる水噴霧式の装置であるが、排ガスを130〜180℃に冷却できれば、エコノマイザやその他の熱回収手段、冷空気その他熱媒体による冷却手段であっても同等の効果が得られる。水噴霧式の減温塔である場合は、微細な水滴が得られる二流体式スプレーノズルや、加圧式のスプレーノズルを用いれば、未蒸発水滴が形成されずに、効果的な排ガス冷却が可能である。
【0056】以上、本発明の実施の形態をごみ焼却施設に適用した場合について詳しく述べたが、本発明は燃焼や加熱に伴って排出される排ガス中にダイオキシンなどの有機ハロゲン化合物が存在する場合に適用することができ、産業廃棄物など可燃性廃棄物やその他燃焼装置一般から排出される排ガスや、金属精錬工場でスクラップを予熱、溶解する際に排出される排ガスであっても、同様に適用することができる。
【0057】なお、炭素系多孔質粉体で除去できる有害物質としての有機ハロゲン化合物とは、厚生省により清掃工場へのガイドラインが毒性換算値により指定されているダイオキシン類、およびダイオキシン類の前駆物質、関連物質と称されるクロロベンゼン、クロロフェノール、PCBなどや、塩素以外のハロゲン元素で一部が置換されたこれら化学物質の総称である。さらに、ダイオキシン類とは、ポリジペンゾパラジオキシンとポリジベンゾフランの総称であって、通常毒性換算濃度によって評価されるものであが、本明細書においては、簡単のため単にダイオキシンと称している。
【0058】
【実施例】本発明に係る排ガス処理方法をごみ焼却処理施設に採用して得られた本発明の効果を示す実施例について説明する。表1は、本発明の請求項1の発明に基づいて実施した実施例1と、請求項2の発明に基づいて実施した実施例2と、請求項4の発明に基づいて実施した実施例3と、比較のための従来技術による比較例の4者について、排ガスのダイオキシンの濃度等について調べた結果を示すものである。なお、実施例1は、図1の装置構成によるもの、実施例2は図2の活性炭噴霧装置を除いた構成によるもの、実施例3は図4の構成によるもの、比較例は図10の構成によるものである。
【0059】本実施例では、冷却装置として二流体ノズルを用いた水噴霧式の減温塔1、反応セラミックフィルタ3のろ過体は図8(a)のハニカム状ろ過体21からなるものを用い、反応セラミックフィルタ3およびバグフィルタ2の逆洗方式は、パルスジェット式を採用した。なお、比較のため排ガス処理量や処理前のHCl、SOxの酸性成分濃度、焼却炉(説明略)の運転条件等はほぼ同じ条件とした。その他の条件は表1に記載したとおりである。
【0060】
【表1】

【0061】表1によれば、減温塔1により排ガスを130〜180℃の範囲内の170℃に冷却してバグフィルタ2に導入した本発明の実施例は、実施例1、2、3ともに、200℃に冷却した比較例と比べると、煙突でのダイオキシン濃度が大幅に低い値となった。実施例2は実施例1に対して防食剤としての消石灰噴霧がなされたのみなので、実施例1と比べるとダイオキシン濃度にほとんど変化はなかった。実施例3は、前段のバグフィルタ2と後段の反応セラミックフィルタ3に粉末活性炭を噴霧したので、効果的にダイオキシンを除去でき、十分低い値となった。
【0062】酸性成分の代表としてHCl濃度をみると、トータルの消石灰噴霧量が当量比3と同じであるにもかかわらず、3つの実施例は比較例と比較して低い濃度となった。これは温度を低くしたために中和反応が効率的に行われたためである。また、実施例2および3の前段のバグフィルタ2から排出される飛灰は、消石灰や活性炭を含んでいるが、飛灰処理としての電気抵抗式溶融処理およびセメント固化処理に供したところ、問題なく処理できたことを確認した。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、焼却炉またはボイラからの排ガスをダイオキシンの発生のごく少ない130〜180℃に冷却し、バグフィルタにより排ガス中の煤塵を除去し、次いで反応セラミックフィルタに導入して消石灰噴霧とともに排ガス中の酸性成分を除去するようにしたので、ダイオキシンの再合成を効果的に抑えることができる。また、前段のバグフィルタからは後処理の容易な飛灰を排出することができ、中和反応のための中和反応塔を省略しつつ、効率的に排ガス中の酸性成分を除去することができる。
【0064】さらに、防食剤として消石灰を前段のバグフィルタに所定量噴霧することにより、このバグフィルタから排出される飛灰を処理困難物にさせることなく、防食剤サイロを新たに設置しない簡便な方法で、装置酸腐食の回避を達成することができる。また、炭素系多孔質粉体としての活性炭を前段のバグフィルタまたは後段の反応セラミックフィルタに噴霧することにより、より一層確実なダイオキシン低減が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成10年10月16日(1998.10.16)
【代理人】 【識別番号】100061273
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 宗治 (外3名)
【公開番号】 特開2000−121031(P2000−121031A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−295849