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【発明の名称】 粉体化廃棄物の溶融固化処理装置
【発明者】 【氏名】池上 巌

【要約】 【課題】燃焼排ガスの冷却過程におけるダイオキシン類の再合成を防止できる粉体化廃棄物の溶融固化処理装置を提供することである。

【解決手段】旋回流溶融炉1の側壁11に設けた吹き込み口12から硝子粉体14を吹き込み、表面が溶融する硝子粉体14に、燃焼ガス中のガス化した塩素成分を吸着させてピット2内へ落下させ、燃焼ガス中の塩素成分をピット内の溶融スラグ4中に捕獲して、煙道17に導かれる燃焼排ガス中の塩素成分を除去するようにしたのである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部にバーナ、燃料供給口、一次空気供給口および粉体化した廃棄物の投入口が設けられ、下部に溶融スラグの排出口が設けられた溶融炉と、前記溶融スラグ排出口の下方に配置された溶融スラグのピットとを備えた粉体化廃棄物の溶融固化処理装置において、前記溶融炉の側壁部に硝子粉体の吹き込み口を設け、前記ピット内の溶融スラグを還流させる手段を設けたことを特徴とする粉体化廃棄物の溶融固化処理装置。
【請求項2】 前記溶融炉を円筒竪型の旋回流溶融炉とし、前記溶融スラグ排出口を旋回流溶融炉の横断面よりも小断面に絞って、前記ピットの溶融スラグ湯面に近接して下向きに開口させ、この排出口から燃焼ガスも排出させるようにした請求項1に記載の粉体化廃棄物の溶融固化処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、廃棄物を焼却した焼却灰や飛灰、廃棄物を乾留、粉砕したもの等、粉体化した廃棄物を溶融固化して無害化する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】廃棄物の焼却設備から排出される焼却灰や飛灰、および廃棄物の乾留設備から排出される乾留残滓には有害なダイオキシン類が含まれており、これらを無害化する技術の一つとして、溶融固化処理技術が開発されている。
【0003】この溶融固化処理技術は、焼却灰や飛灰、および乾留残滓を粉体化したものを、溶融炉で1250℃〜1450℃あるいはそれ以上の高温に加熱して、含有されるダイオキシン類等の有機化合物を分解、燃焼させ、残った溶融無機化合物を冷却して、ガラス質のスラグとして回収するものである。この技術は、焼却灰等を高い減容率で減容できるとともに、回収されるスラグをリサイクルできる利点を有するため、廃棄物処理の有力な手段として期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の溶融固化処理技術は、ダイオキシン類を分解、燃焼させて無機化合物として溶融スラグ化するものであるが、ダイオキシン類等の有機化合物を分解、燃焼させる際に発生するガス化した塩素成分が、燃焼排ガスとともに溶融炉から排出される。この塩素成分は、燃焼排ガスが冷却される過程で、ダイオキシン類を再合成させる要因となる問題がある。
【0005】そこで、この発明の課題は、燃焼排ガスの冷却過程におけるダイオキシン類の再合成を防止できる粉体化廃棄物の溶融固化処理装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は、上部にバーナ、燃料供給口、一次空気供給口および粉体化した廃棄物の投入口が設けられ、下部に溶融スラグの排出口が設けられた溶融炉と、前記溶融スラグ排出口の下方に配置された溶融スラグのピットとを備えた粉体化廃棄物の溶融固化処理装置において、前記溶融炉の側壁部に硝子粉体の吹き込み口を設け、前記ピット内の溶融スラグを還流させる手段を設けた構成を採用したものである。
【0007】本発明者らは、燃焼排ガス中の塩素成分を除去する手段について、鋭意実験を重ねた結果、燃焼排ガスを溶融した硝子中に通すことにより、燃焼排ガス中に当初2600mg/リットル含まれていた塩素成分が、12mg/リットルに激減していることを確認した。この結果は、ガス化した塩素成分が溶融した硝子に吸着され易いためと考えられる。
【0008】そこで、この知見に基づいて、溶融炉の側壁から硝子粉体を吹き込み、高温の溶融炉で表面が溶融する硝子粉体に、燃焼ガス中のガス化した塩素成分を吸着させて、溶融スラグとともに溶融スラグのピットへ落下させ、ピット内の溶融スラグを還流させることにより、硝子粉体に吸着させた塩素成分を溶融スラグ中に捕獲して、燃焼排ガス中に塩素成分が混入しないようにしたのである。
【0009】上記本発明の装置は、従来の溶融炉に硝子粉体の吹き込み口を設けるのみで安価に製作でき、既設溶融炉の改造によっても実現できる。なお、ピット内の溶融スラグを還流させる手段は、緩やかな還流が生じるものであればよく、バーナ等でピット内に温度差を与えて対流させる方法等を採用することができる。勿論、機械的や電磁的な手段で攪拌してもよい。
【0010】なお、上記知見に基づく燃焼排ガス中の塩素成分を除去する手段としては、溶融炉の燃焼排ガスを硝子溶融炉に通す方法も考えられるが、設備が大がかりなものとなる難点がある。
【0011】前記溶融炉を円筒竪型の旋回流溶融炉とし、前記溶融スラグ排出口を旋回流溶融炉の横断面よりも小断面に絞って、前記ピットの溶融スラグ湯面に近接して下向きに開口させ、この排出口から燃焼ガスも排出させることにより、前記吹き込まれる硝子粉体と燃焼ガスとの接触効率を高めるとともに、溶融スラグ湯面に近接する小断面の排出口から燃焼ガスを高速で溶融スラグ湯面に衝突させ、前記塩素成分の溶融スラグ中への捕獲効率をさらに高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3に基づき、この発明の実施形態を説明する。この粉体化廃棄物の溶融固化処理装置は、図1に示すように、円筒竪型の旋回流溶融炉1の下方に溶融スラグのピット2が配置され、溶融炉1下端に設けられた燃焼排ガスの排出口を兼ねる溶融スラグの排出口3が小断面に絞られ、蓋付きピット2内の溶融スラグ4の湯面に近接して開口している。また、ピット2にはバーナ式の釜5が取り付けられ、ピット2内の溶融スラグ4を対流させるようになっている。
【0013】前記旋回流溶融炉1の頂部には、燃料供給口6と一次空気供給口7に接続されたバーナ8が取り付けられ、このバーナ8の下方の溶融炉1上部に、廃棄物の焼却灰や飛灰、または廃棄物の乾留残滓を粉砕した廃棄物粉体9の投入口10が設けられている。この廃棄物粉体9はガスとともに、溶融炉1内を旋回するように吹き込まれる。
【0014】前記旋回流溶融炉1の側壁11には、ほぼ中央部の高さ位置に2つの硝子粉体吹き込み口12が設けられ、上下部には1つずつの二次空気供給口13が設けられている。図2に示すように、各吹き込み口12は、側壁11に垂直に開口し、吹き込まれる硝子粉体14が旋回流とほぼ直角に衝突するようになっている。また、各二次空気供給口13は、側壁11の円周方向に傾けて開口され、二次空気が旋回流に沿う方向に噴射される。
【0015】前記バーナ8や二次空気で分解、燃焼された廃棄物粉体9は、無機化合物の溶融滴15となって、ピット2内に落下する。また、溶融炉1内の燃焼ガスと衝突して表面が溶融し、燃焼ガス中の塩素成分を吸着した硝子粉体14も、溶融滴15と一緒にピット2内に落下し、釜5で加熱されて対流する溶融スラグ4中に捕獲される。
【0016】前記ピット2にはオーバフロー口16が設けられ、ここからオーバフローする溶融スラグ4は、冷却されて水砕スラグとして回収される。また、オーバフロー口16は、燃焼排ガスの煙道17に連通しており、旋回流溶融炉1内で発生した燃焼排ガスは、前記小断面に絞られた排出口3から、ピット2内の溶融スラグ4の湯面に高速で衝突し、オーバフロー口16から煙道17に排出される。
【0017】図3は、上述した溶融固化処理装置を、廃棄物の乾留残滓を処理するプラントに組み込んだ状態を示す。このプラントは、ホッパ18から投入される乾留残滓を粗解砕して、所定量ずつ供給する乾留残滓供給装置19と、粗解砕して供給される乾留残滓を粉体に解砕する解砕装置20と、粉体化された乾留残滓を、ガス供給口21から供給される高温ガスで吹き上げて乾燥する気流乾燥筒22とを備え、気流乾燥筒22の上端に接続された配管23を通して、粉体化された乾留残滓が前記旋回流溶融炉1の投入口10から吹き込まれるようになっている。
【0018】上述した実施形態では、溶融炉として旋回流溶融炉を採用したが、固定式表面溶融炉等、その他の各種溶融炉を採用することもできる。また、この実施形態では、硝子粉体吹き込み口を側壁の同一高さ位置に2箇所設けたが、1箇所または3箇所以上に設けることもでき、各吹き込み口の高さ位置を変えてもよい。ただし、旋回流溶融炉を採用する場合は、各吹き込み口を異なる旋回流の位置に開口させることが望ましい。
【0019】
【発明の効果】以上のように、この発明の粉体化廃棄物の溶融固化処理装置は、溶融炉の側壁から硝子粉体を吹き込み、高温の溶融炉で表面が溶融する硝子粉体に、燃焼ガス中のガス化した塩素成分を吸着させて溶融スラグのピットへ落下させ、燃焼ガス中の塩素成分をピット内の溶融スラグ中に捕獲するようにしたので、安価な設備費用で、燃焼排ガス中の塩素成分を効率よく除去でき、燃焼排ガスの冷却過程におけるダイオキシン類の再合成を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】398047892
【氏名又は名称】イノエンバイロテクノ株式会社
【出願日】 平成11年6月10日(1999.6.10)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−346319(P2000−346319A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願平11−164151