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【発明の名称】 廃棄物ガス化発電方法および装置
【発明者】 【氏名】福田 祐治

【要約】 【課題】固形廃棄物をガス化して発電を行なう際に熱交換器の高温腐食を最小限に抑え、より高効率の発電を行なう。

【解決手段】ごみを含む各種廃棄物を熱分解してガス化した熱分解ガスを燃焼させて生じた燃焼ガスを熱交換器に通し、熱交換した蒸気を利用して発電を行なう廃棄物ガス化発電装置において、硫黄含有燃料を燃焼炉内に導き、前記熱分解ガス中の二酸化硫黄濃度を200ppm以上にして燃焼させる。燃焼は例えば熱分解ガスを燃焼させるバーナによって行う。その際、熱交換器を設けた部位の二酸化硫黄濃度を検出するモニタを設け、このモニタ出力に応じて硫黄含有燃料の供給量を制御するとよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ごみを含む各種廃棄物を熱分解してガス化した熱分解ガスを燃焼させて生じた燃焼ガスを熱交換器に通し、熱交換した蒸気を利用して発電を行なう廃棄物ガス化発電方法において、前記熱分解ガス中の二酸化硫黄濃度を200ppm以上として燃焼させることを特徴とする廃棄物ガス化発電方法。
【請求項2】 ごみを含む各種廃棄物を熱分解してガス化した熱分解ガスを燃焼させて生じた燃焼ガスを熱交換器に通し、熱交換した蒸気を利用して発電を行なう廃棄物ガス化発電装置において、硫黄含有燃料を燃焼炉内に導き、前記熱分解ガス中の二酸化硫黄濃度を200ppm以上にして燃焼させる手段を備えていることを特徴とする廃棄物ガス化発電装置。
【請求項3】 前記燃焼させる手段が前記熱分解ガスを燃焼させるバーナであることを特徴とする請求項2記載の廃棄物ガス化発電装置。
【請求項4】 前記熱交換器を設けた部位の二酸化硫黄濃度を検出する手段と、この検出する手段の検出結果に基づいて二酸化硫黄濃度を制御する手段と、を備えていることを特徴とする請求項2記載の廃棄物ガス化発電装置。
【請求項5】 前記二酸化硫黄濃度を制御する手段が、硫黄含有燃料を供給する配管に設けられた流量制御弁であることを特徴とする請求項2記載の廃棄物ガス化発電装置。
【請求項6】 前記燃焼炉で燃料された燃焼ガスが導かれ、伝熱管を介して熱交換を行なうボイラの排ガスの一部を前記伝熱管配設位置近傍に供給する配管が設けられていることを特徴とする請求項2記載の廃棄物ガス化発電装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、可燃性の固体廃棄物をガス化し、得られた生成物を燃焼させて熱回収することにより発電を行なう廃棄物ガス化発電方法およびその方法を使用した発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみや各種廃棄物(以下、単に「ごみ」と称する場合もある)の処理方法が種々開発されている。この種の処理方法として例えば1つのシステム内でごみを熱分解し、生成した熱分解ガスやチャーを熱源として灰を溶融したり、発電を行なうシステムが特開平9−287441号公報に提案されている。
【0003】この発明は基本的には、図4に示すようにガス化炉1でごみを燃やしてガス化し、そのガスを燃焼炉21に送り込んで燃焼させ、ボイラ22で蒸気を生成して蒸気タービン23を駆動して発電を行なうように構成されている。ガス化炉1は流動層炉からなり、ごみは給じん器2の底部からスクリューフィーダ3によってガス化炉1のごみ投入口4に投入される。炉内に投入されたごみは熱分解部5で熱分解され、熱分解ガス28が発生する。発生した熱分解ガス28は第1のガス排出口11から空気予熱器17に導かれる。一方、分解されなかった残部は炉の底部に導かれ、炉の底部に配置された散気管9から供給される空気を混合して燃焼し、部分酸化ガス29となって一部は前記熱分解部5に導かれて当該部分の雰囲気温度を熱分解温度に上昇させ、他部は第2のガス排出口12から排出される。
【0004】この部分酸化ガス29はすべて第2のガス排出口12から排出された後、サイクロン14に送り込まれ、未燃チャー15およびダスト16と可燃ガスとに分離される。可燃ガスはバーナ19に送り込まれ、未燃チャー15はガス化炉1に戻され、再度、可燃物として使用される。ダスト16は未燃物8と同様に灰溶融炉などで処理される。第1のガス排出口11から空気予熱器17に導かれた可燃ガスは空気予熱器17を経てバグフィルタ18で塵埃類を除去した後、燃焼炉21のバーナ19に導入される。また、押し込み送風機20によって空気予熱器17側に送り込まれた空気は、空気予熱器17で加熱される。加熱された空気の一部はバーナ19に送られ、残りは流動化空気として散気管9に送り込まれる。
【0005】バーナ19に送り込まれた可燃ガスは、空気とともに燃焼炉21で燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。高温の燃焼ガスはボイラ22で蒸気を発生させ、バグフィルタ24で除塵された後、誘引送風機25を経て煙突26から大気中に放出される。なお、バグフィルタ24の上流側で、消石灰サイロ30から消石灰を添加し、塩分および散成分を除去する。これは熱分解ガス28のバーナ19への供給経路でも同様である。ボイラ22で過熱された蒸気は蒸気タービン23を駆動させ、さらに蒸気タービン23によって発電機を駆動して発電が行なわれる。
【0006】なお、図4中、符号13は仕切り板、7は分級機であって、FeやAlなどの金属分6を回収する。31はエゼクタ、32は部分酸化ガスのサイクロン導入経路に設けられた砂ビットである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなシステムにおいては、燃焼灰をサイクロン14によって除去し、ガス化された可燃ガスのみを燃焼炉21に供給するように構成しているが、サイクロン14における灰捕集効率は高くとも90%程度であり、ある程度の灰がボイラ22内に飛散するのは避けることができない。燃焼灰には、NaClやKClなど多量の塩化物とNa2SO4やK2SO4などの多量の硫酸塩が含まれ、さらに燃焼ガス中には例えば1000ppm近くものHClガスが含まれており、その含有量は非常に多い。このため、ボイラ22に設置される伝熱管では500℃以下の低融点化合物とガス中のHClの複合作用により激しい高温腐食が発生する。これを避けるために、従来のこの種のシステムでは、蒸気温度が400℃以下になるような発電効率の悪い低温での運転を余儀なくされている。
【0008】発電効率をあげるために、例えば、■ 過熱蒸気管の材質をAlloy625などの耐食材料とし、過熱蒸気温度を500℃まで高める方法■ 腐食の一要因であるHClガスを中和するため、炉内にNa2CO3やCaCO3などのアルカリ性物質を噴霧する方法■ 腐食原因物質である媒塵を少なくする方法■ 腐食原因物質である媒塵が蒸気管璧に付着しにくくするための燃焼技術やボイラの改善■ 最も腐食しやすい過熱蒸気管を消耗部品として交換しやすくする方法などの各方法が検討され、導入されている。
【0009】しかし、これらのいずれの方法を採用しても根本的な解決策にはなっていない。すなわち、上記のいずれの方法でも腐食を防止することは根本的に困難であり、しかも、設備の建設費や維持費が高くなるからである。
【0010】一方、ごみ中の硫黄含有量を増加させると、腐食が大きく低下するということも知られている。これは、管表面に付着する燃焼灰中の塩化物濃度が低下するためであろうと考えられている。この一例として、腐食を少なくするために必要な硫黄量としては材料にSUS316を使用した場合には、0.75%、炭素鋼を使用した場合で1.0%となっている。しかし、ごみ中に硫黄を添加してガス化した場合には、多量の硫化水素(H2S)が発生するため、硫化水素による高温腐食が発生するというという問題がある。
【0011】本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、固形廃棄物をガス化して発電を行なう際に熱交換器の高温腐食を最小限に抑え、より効率の高い発電を行なうことが可能な方法および装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、ごみを含む各種廃棄物を熱分解してガス化した熱分解ガスを燃焼させて生じた燃焼ガスを熱交換器に通し、熱交換した蒸気を利用して発電を行なう廃棄物ガス化発電方法において、前記熱分解ガス中の二酸化硫黄濃度を200ppm以上として燃焼させるようにした。
【0013】また、本発明は、ごみを含む各種廃棄物を熱分解してガス化した熱分解ガスを燃焼させて生じた燃焼ガスを熱交換器に通し、熱交換した蒸気を利用して発電を行なう廃棄物ガス化発電装置において、硫黄含有燃料を燃焼炉内に導き、前記熱分解ガス中の二酸化硫黄濃度を200ppm以上にして燃焼させる手段を設けた。
【0014】この場合、前記燃焼させる手段は例えば前記熱分解ガスを燃焼させるバーナからなり、このバーナに硫黄含有燃料を供給する。また、前記熱交換器を設けた部位の二酸化硫黄濃度を検出する手段と、この検出する手段の検出結果に基づいて二酸化硫黄濃度を制御する手段と設け、燃焼炉内の二酸化硫黄濃度をモニタしながら適切な濃度で燃焼させる。この濃度制御には、例えば硫黄含有燃料を供給する配管に流量制御弁を設け、この弁開度制御によって二酸化硫黄の濃度制御を行なう。
【0015】さらに、燃焼炉で燃料した燃焼ガスを導き、伝熱管を介して熱交換を行なうボイラの排ガスの一部を前記伝熱管配設位置近傍に供給し、二酸化硫黄濃度が200ppm以上という条件を保持するようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】図1は本発明の実施形態に係る廃棄物ガス化発電システムのシステム構成を示す図である。この実施形態は、前述の図4に示した従来例に対して燃焼炉21で可燃性ガスを燃焼させるためのバーナ19に硫黄含有燃料燃料タンク41から導かれる燃料配管40を接続し、ガス化炉1から導かれた熱分解ガス28や部分酸化ガス29からなる可燃性ガスに混入して燃焼炉21で燃焼させるもので、その他の各部は全て前述の図4に示した従来例を同等に構成されている。
【0018】このように構成すると、ガス化炉1でガス化された熱分解ガス28や部分酸化ガス29からなる可燃性ガスはバグフィルタ18で媒塵類が除去され、あるいはサイクロン14で灰と分離された後、燃焼炉21に設置されたバーナ19に供給される。バーナ19には前述のように燃料配管40が接続されているので、バーナ19に導かれた可燃性ガスは燃料配管40から供給された硫黄含有燃料とともに燃焼炉21で燃焼させる。燃焼炉21で発生した高温の燃焼ガスはボイラ22で蒸気を発生させ、バグフィルタ24および誘引通風機25を経て煙突26から大気中に放出される。その他、硫黄含有燃料を可燃性ガスとともに燃焼させることおよび燃焼温度条件が異なることを除いて前記従来例と同様の運転が行なわれる。この実施形態では、過熱器50出口の蒸気条件は500℃×100ataで、過熱器50の管材料にはSUS310(25Cr20Ni)を使用している。
【0019】熱交換器(過熱器50)を設置する部位を流れる排ガス中にSO2ガスが添加されると、熱交換器表面に付着する灰中に含まれる塩化物が硫酸塩に変化し、灰の融点を上昇させるとともに燃焼排ガス中に含まれるHClが腐食性の強いCl2ガスに変化するのを防止することができ、500℃の高温の蒸気による発電が可能になる。
【0020】図5に排ガス中のSO2濃度と腐食量との関係を示す。腐食量は実機の熱交換器の伝熱管に付着していた灰を採取してSTBA24とSUS347H表面に塗布し、SO2濃度を0ppmから1000ppmまで変化させた1000ppmHCl−10%O2−10%CO2−20%H2O−bal.N2ガスを通気して測定した。試験温度は550℃、試験時間は20時間である。この測定結果から、腐食量はガス中のSO2濃度が200ppm以上から低下し、1000ppmSO2ではSTBA24においても非常に少なくなっているのが分かる。なお、通常の廃棄物を燃焼させた場合に発生するガス中のSO2濃度は50ppm前後であり、この程度の低いSO2濃度では腐食抑制効果はない。このことも図5から明らかである。
【0021】このように腐食抑制効果を得るために必要なガス中のSO2濃度は200ppm以上であるので、燃焼ガス中のSO2濃度が少なくとも200ppm以上になるように硫黄含有燃料を可燃性ガスとともに燃焼させる必要がある。バーナ19に供給される硫黄含有燃料の硫黄量は同時に供給される可燃性ガスの硫黄含有量との和となるので、特に硫黄含有燃料の供給量や硫黄含有燃料の硫黄の含有量を限定するものではなく、可燃性ガスの硫黄含有量と硫黄含有燃料の硫黄含有量に応じて適宜硫黄含有燃料の供給量は設定される。
【0022】燃料の形態としては重油や残査油などの液体燃料やオイルコークスや石炭などの固体燃料、あるいはこれらの混合物が使用される。特に、残査油やオイルコークスは硫黄含有率が5%程度と高く、腐食を防止するのに必要なSO2濃度を達成するのに使用料が少なくて済む。また、燃料自体も安価であり、コスト上これらの燃料を使用することが好ましい。
【0023】硫黄含有燃料の供給量は、使用する燃料の硫黄含有量が燃料材によって異なることから、使用する燃料の種類や成分に応じて制御する必要がある。そこで、図1に示したシステムでは、燃料の種類や成分のデータから燃焼炉21中のSO2量を推測して硫黄含有燃料の供給量を決定している。これに対し、図2に示した他の実施形態では、ボイラ22の過熱器50の近傍の燃焼炉21内にSO2濃度を計測するためのモニタ61を設置し、このモニタ61からの信号からSO2濃度を検出するように構成している。これにより、正確にSO2濃度に基づいて硫黄含有燃料の供給量を制御することができる。この制御のために燃料タンク41からバーナ19に硫黄含有燃料を供給する燃料配管40には流量調整弁42が設けられ、流量制御器62はモニタ61からの検出信号に応じて流量調整弁42の開度を設定する。なお、図2は他の実施形態に係る廃棄物ガス化発電システムの燃焼炉およびボイラ部の構成を示す概略断面図である。
【0024】このように制御することによってガス化するごみ質の変動に対応して常にボイラ22内を流れる排ガス中のSO2が200ppm以上になるように制御することが可能になる。
【0025】図3はさらに他の実施形態に係る廃棄物ガス化発電システムの燃焼炉およびボイラ部の構成を示す概略断面図である。この実施形態は、過熱器50のうち最も高温になる部位の近傍にボイラ22からの排ガスを再び導入するようにしたもので、排ガスはボイラ22からの排ガス配管71から排ガス導入配管72を分岐し、ボイラ22内の排ガス炉内供給装置73に導くようになっている。このように構成すると、ガスの偏流などによってボイラ炉内においてSO2の濃度分布が不均一になった場合でも、最も腐食が激しくなる過熱器50の伝熱管表面のSO2濃度を200ppm以上に保持することが可能になり、腐食が防止される。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、二酸化硫黄濃度が少なくとも200ppm以上の環境下に過熱器が位置することになり、蒸気温度が400℃以上であっても高温腐食が抑制される。その結果、過熱器を高温高圧の状態で運転することが可能となり、高効率発電を行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000005441
【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
【出願日】 平成11年5月20日(1999.5.20)
【代理人】 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
【公開番号】 特開2000−329322(P2000−329322A)
【公開日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願番号】 特願平11−140514