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【発明の名称】 出滓口
【発明者】 【氏名】中村 直

【氏名】松平 恒夫

【氏名】須藤 雅弘

【氏名】山川 裕一

【氏名】鈴木 康夫

【氏名】須藤 新太郎

【氏名】渡辺 敏夫

【氏名】中野 雅庸

【要約】 【課題】廃棄物の溶融炉に設けられる出滓口であって、長期間安定して連続使用可能な出滓口を提供する。

【解決手段】廃棄物の溶融炉に設けられる出滓口である。出滓口耐火物(1)と、この出滓口耐火物(1)の上および両側に配置され、冷却ガスの還流可能な冷却ボックス(7)とを具備することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物の溶融炉に設けられる出滓口において、出滓口耐火物と、この出滓口耐火物の上および両側に配置され、冷却ガスの還流可能な冷却ボックスとを具備することを特徴とする出滓口。
【請求項2】 前記出滓口耐火物は、炉内側に配置された第1の出滓口耐火物と、この第1の出滓口耐火物の外側に配置された第2の出滓口耐火物とを含み、前記冷却ボックスは、前記第2の出滓口耐火物の上および両側に配置されている請求項1に記載の出滓口。
【請求項3】 前記冷却ボックスに供給される冷却ガスの入口温度を700℃以上に制御する第1の温度制御手段と、前記冷却ボックスから排出される冷却ガスの出口温度を1,000℃以下に制御する第2の温度制御手段とを具備する請求項1または2に記載の出滓口。
【請求項4】 前記冷却ガスは、エアーミストおよび窒素ガスから選択される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の出滓口。
【請求項5】 前記出滓口耐火物は、炭化珪素質れんがにより構成される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の出滓口。
【請求項6】 前記出滓口耐火物の両側において、この出滓口耐火物と冷却ボックスとの間に設けられたアルミナ質の不定形耐火物層をさらに具備する請求項5に記載の出滓口。
【請求項7】 前記溶融炉は、シャフト炉タイプのガス化溶融炉である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の出滓口。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物の溶融炉の出滓口に係り、特にシャフト炉タイプ(高炉型、竪型炉型)のガス化溶融炉で廃棄物中の不燃分を炉底から排出するに際し、連続的に排出(出滓)される出滓口に関する。
【0002】
【従来の技術】廃棄物を連続したプロセスでごみを直接溶融してスラグ化し、同時に効率よく電力エネルギーに回収する高炉型の高温ガス化溶融炉においてスラグを連続的に効率よく出滓できる構造は、例えば特開平9−196355号公報および特開平9−196356号公報等に記載されている。
【0003】連続的に流れる出滓口れんがの耐用性は、溶融物の性状によって大きく影響されるので、これを考慮して材質を選定することが求められる。なお、溶融物の9割は非金属、具体的にはCaO−SiO2 −Al2 3 −MgO系のスラグであり、残りの1割がメタル(鉄が主体)である。
【0004】これまで、長期に亘る試験室レベルでの合成スラグによる回転侵蝕試験やパイロットプラントを用いた実際の廃棄物からの溶融物を処理する試験から、炭化珪素質れんがが溶融物に非常に強いことが判明している。そのため、従来から炭化珪素質れんがが主要耐火物として使用されている。
【0005】しかしながら、炭化珪素質れんがは、特に保熱室にてバーナーで加熱する際の酸化性ガスには脆く、最終的には上述したようなスラグ成分により損耗してしまい、長期間安定使用することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような使用条件を考慮して、連続出滓周辺耐火物としては、従来から炭化珪素質れんがを選定して使用されており、連続使用により出滓口ブロックの内径が拡大した場合には、損傷した出滓口ブロックは新たなものに交換される。この出滓口ブロックの取り替え作業に当たっては、長期に亘って炉を休炉(停止)しなければならなかった。従来の出滓口では1炉に2つの出滓口が設けられており、マッド材による簡易補修をするために2週間に1回の取り替えが行われている。なお、この際には出滓口ブロックの交換は行われない。また、半年に一回は出滓口ブロックの交換が必要であり、そのためには炉を停止しなければならない。
【0007】図3には従来の出滓口の構造を示す。図3(a)および図3(b)は、従来の連続出滓口の部分横断面図および部分縦断面図をそれぞれ表している。
【0008】図示するように炉28の側面は側壁れんが22で囲まれ、底部には炉底れんが25が設けられている。廃棄物中の不燃分は、1つの出滓口ブロックれんが21により構成された出滓口、および出滓樋れんが23を経て炉内28から排出される。出滓樋れんが23の両側には不定形耐火物27が設けられ、これらは、保熱用キャスタブル29内に設けられた保熱室26により加熱される。
【0009】上述したように従来の出滓口は損耗しやすい状況下にあるものの、損耗した際に交換するには溶融炉の処理を停止しなければならず、長期間連続的に安定して使用することは困難であった。
【0010】そこで本発明は、廃棄物の溶融炉に設けられる出滓口であって、長期間安定して連続使用可能な出滓口を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、廃棄物の溶融炉に設けられる出滓口において、出滓口耐火物と、この出滓口耐火物の上および両側に配置され、冷却ガスの還流可能な冷却ボックスとを具備することを特徴とする出滓口を提供する。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明者らは、出滓口耐火物の損耗を低減して長期間安定した連続使用を可能とするには、これを冷却することが有効であることを見出して、本発明を成すに至った。
【0014】図1に、本発明の出滓口の一例の構成を概略的に表す部分断面図を示す。図1(a)は出滓口の部分横断面図を表し、図1(b)は、図1(a)におけるI−I断面を表している。
【0015】図示するように、炉の側面は側壁れんが2で囲まれ、底部には炉底れんが5が設けられている。出滓口は、内部ブロック出滓口れんが4および、この外側に設けられた外部ブロック出滓口れんが1を有し、外部ブロック出滓口れんが1の両側には不定形耐火物層6が設けられている。なお、外部ブロック出滓口れんが1は、1列以上に配列されたれんがにより構成してもよい。
【0016】本発明においては、内部ブロック出滓口れんが4および外部ブロック出滓口れんが1は、溶融物に強い炭化珪素質れんがを用いる。また、外部ブロック出滓口れんが1の両側に設けられる不定形耐火物層6としては、比較的熱伝導率が高く高強度のアルミナ質(Al2 3 ≦95%)のパッチング材を使用することが好ましい。
【0017】なお、冷却ジャケットの背面充填材として使用されているカーボンを含有した不定形耐火物(例えばアルミナ−カーボン質、アルミナ−炭化珪素−カーボン質)および炭化珪素質不定形耐火物は、熱伝導率が高く冷却効果が優れているものの、次のような理由から本発明の出滓口に適用することが困難である。保熱室内は弱酸化雰囲気であるため、組織の脱炭層生成〜脆化が生じやすくなる。また、出滓口ブロックの内部を洗浄する際には、O2 洗浄の影響を受けやすい。仮に冷却ボックスが漏洩した場合には、次のような不都合が生じる。カーボンを含有した不定形耐火物は、操業中にエアーの冷却ガスを強制還流させた際に、漏洩部分より組織の脱炭層生成〜脆化が起こりやすい。こうした不都合を避けるために、炭化珪素質れんがにより出滓口れんがを構成する場合には、比較的熱伝導率が高く高強度のアルミナ質(Al2 3 ≦95%)質のパッチング材を使用することが望まれる。
【0018】廃棄物中の不燃分は、こうした構成の出滓口から出滓樋れんが3を経て炉内から排出される。この出滓樋れんが3は、保熱用キャスタブル9内に設けられた保熱室10により加熱される。
【0019】さらに本発明の出滓口においては、外部ブロック出滓口れんが1の両側および上には、水冷ボックス7が配置されている。図示するように、冷却ボックス7は、出滓口の下には設けない。本発明においては、出滓口れんがとして炭化珪素質れんがを用いているので下側を流れる溶融スラグに強く、出滓口れんがの下方の溶損量が小さい。このため、出滓口の下部は特に冷却が必要とされない。また、万一溶融物が漏れた場合、出滓口の下側に冷却ボックスがあるとボックスが溶損するおそれがある。これを避けるために、本発明においては出滓口の下には冷却ボックスを設けない構成とした。
【0020】こうして配置された水冷ボックス7には入口側配管8aから冷却ガスが矢印方向に供給される。冷却ガスは、冷却ボックス7内を蛇行して流れることによって外部ブロック出滓口れんがを冷却した後、出口側配管8bから排出される。入口側配管8aには、入口側温度計11aおよび流量調整弁12が設けられており、これらの入口側温度計11aと流量調整弁12とが、第1の温度制御手段として作用して、冷却ボックスに供給されるガスの入口温度を制御する。一方、出口側配管8bには出口側内部温度計11bが設けられており、この出口側内部温度計11bと前述の流量調整弁12とが第2の温度制御手段として作用して、冷却ボックスから排出される冷却ガスの出口温度を制御する。
【0021】出滓口内部で溶融物が固まるのを避けるために、冷却ボックスに供給される冷却ガスの入口温度は、700℃以上とすることが好ましく、出滓口れんがの損耗を避けるために出口温度は1,000℃以下とすることが好ましい。
【0022】また、冷却ガスとしては、エアーミストまたは窒素ガス等を用いることができる。
【0023】本発明においては、上述したように出滓口耐火物の上および両側に冷却ボックスを配置して出滓口耐火物を冷却しているので、内部に温度勾配を発生させて出滓口耐火物の損耗を軽減することが可能となった。
【0024】ここで、冷却ガスが供給される冷却ボックス7の構造を表す概念図を図2に示す。図2(a)は横断面図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面図である。冷却ボックス7の材質は高温に耐えられるように鋳物製であり、冷却ボックスの外側となる面は膨張代(モルタル)14、内側となる面は鉄皮11である。また、冷却ボックス7の両側面には、冷却用配管8a,8bに接続される配管継手13が設けられている。
【0025】冷却ボックス7の内部には、図2(d)に示すようにボックス内仕切り板15が複数配置されて蛇管構造となっており、冷却ガスは配管継手13を経て流入し、これらの仕切り板15に沿ってボックス内を蛇行して流れる。なお、図2(d)は、図2(b)のII−II断面に相当する。
【0026】図1に示した出滓口の施工に当たっては、予め保熱室10側壁に冷却配管8aおよび8b(20A)を埋設し、冷却ボックス7を出滓口周りのれんが積みと同時に施工する。なお、冷却ボックス7は、炉補修時に取り替え可能である。次いで、外部ブロック出滓口れんが1を1列以上配列した後、ブロック両側に熱伝導率の高い不定形耐火物層6(アルミナ質のパッチング材)を配する。さらに、その上および両側に、冷却ガスの還流可能な冷却ボックス7を設ける。
【0027】ガス化溶融炉の立ち上がり後、出滓口壁面に埋設した冷却用配管8a,8bを介して、冷却ガスとして圧力1〜2kg/cm2 程度のエアーを冷却ボックス7内に流す。冷却ガスの流量は、出側冷却配管8b内に埋設された温度計11b(管理値≦700℃)で測定される温度を目安として、冷却ガス供給入口側に配置した流量計12でコントロールされる。入側配管8aから供給されたエアーは、冷却ボックス内をよどみなく流れるので、出滓口れんが1の側面や上面を均一に冷却する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】都市ごみ処理で1日24トンの処理能力をもつパイロットプラントを使用し、図1に示した冷却ボックス等の冷却手段付き出滓口を設けて連続40日の運転を行った後、出滓口の劣化状態を調べた。
【0030】なお、出滓口の材質としては、SiCの含有率93%、SiO2 の含有率5%のれんがを用いた。
【0031】操業中には、温度計11a,11bおよび流量調整弁12を用いて冷却ボックス7に供給される冷却ガスの温度を700℃以上にコントロールするとともに、冷却ボックスの出口温度を1,000℃以下にコントロールしながら長期耐用試験を行った。その結果、冷却ボックスの割れやガス漏れ等の問題なく、継続して使用することができた。
【0032】試験後における本発明の出滓口の上部損傷量および下部損傷量を、予想される耐用日数とともに下記表1にまとめる。
【0033】比較のため、冷却ボックス等の冷却手段を設けない以外は同様の出滓口を設けて同様の条件で運転した後、出滓口の劣化状態を調べ、得られた結果を下記表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】表1に示されるように、従来のような空冷手段を有しない出滓口では、れんが上部の損傷が2(mm/日)と大きいのに対して、冷却ボックスで出滓口れんがの上および両側を覆った本発明の出滓口では、出滓口上部のれんがの損傷が大幅に低減されている。具体的には、冷却ボックス無しの場合と比較して、出滓口上部の損耗が60%低減した。これは、出滓口の上および両側に冷却ボックスを設けたことで、出滓口れんがの上部が効果的に冷却されたことに起因する。
【0036】このように、本発明の出滓口を適用した溶融炉で廃棄物の処理操業を継続した際には、出滓口の損耗、特に出滓口上部における損傷を効果的に低減できることが実証された。本発明の出滓口は、シャフト炉タイプ(高炉型、竪型炉型)のガス化溶融炉に特に有効に用いられる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、廃棄物の溶融炉に設けられる出滓口であって、長期間安定して連続使用可能な出滓口が提供される。特に、連続出滓口周辺耐火物として炭化珪素質れんがを主体とした耐火物を用いることによって、出滓口耐火物の損耗を著しく低減することが可能となる。さらに、出滓口れんがを交換する場合には、冷却能力を高めることにより早期に出滓口を冷やすことが可能なので、交換時間を短縮することができる。
【0038】本発明は、連続したプロセスで廃棄物を直接処理してスラグ化するシャフト炉(高炉型、竪型炉型)のガス化溶融炉に特に好適に用いられ、その工業的価値は大きい。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川白煉瓦株式会社
【出願日】 平成11年3月31日(1999.3.31)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2000−283425(P2000−283425A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−93558