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【発明の名称】 廃棄物熱分解処理装置
【発明者】 【氏名】和田 知弘

【氏名】安藤 紀子

【氏名】武藤 武明

【氏名】石井 克幸

【要約】 【課題】外部環境に排出する排気ガス量を減少させる。

【解決手段】熱分解装置2内での廃棄物の熱分解によって生成された熱分解ガスはガス燃焼炉10で燃焼され、熱分解ガスに含まれる有害有機物質が無害化される。ガス燃焼炉10から排出された排ガスは、熱分解装置2を加熱し、排ガス加熱器9を経て蒸気発生装置4に導かれる。熱分解装置2内に残留した熱分解残留物は燃焼装置3で燃焼される。排ガス配管23を流れる排ガスの一部は排ガス再循環配管40によりガス燃焼炉10の出口付近で排ガス配管21に供給される。制御器25は排ガス温度計42で測定された排ガス温度を用いて排ガス流量制御弁41の開度を制御する。排ガス再循環配管40によって供給された排ガスは、ガス燃焼炉10から排気された排ガスの温度を低下することができる。ガス燃焼炉10から蒸気発生装置4に供給する排ガス量を減少できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】廃棄物を熱分解し、熱分解ガスを発生させる熱分解装置と、前記熱分解装置から排気された前記熱分解ガスを燃焼させる第1燃焼装置と、前記熱分解装置から排出された熱分解残留物を燃焼させる第2燃焼装置と、前記第1燃焼装置及び前記第2燃焼装置から排出されたそれぞれの排ガスが導かれる蒸気発生装置と、前記第1燃焼装置から排気された前記排ガスまたは前記第1燃焼装置から排気される前記排ガスに、前記第1燃焼装置から前記蒸気発生装置に供給する前記排ガスの一部を合流させる排ガス循環管路とを備えたことを特徴とする廃棄物熱分解処理装置。
【請求項2】乾燥用空気が供給されて廃棄物を乾燥する乾燥装置と、前記廃棄物を熱分解し、熱分解ガスを発生させる熱分解装置と、前記熱分解装置から排気された前記熱分解ガスを燃焼させる第1燃焼装置と、前記乾燥装置から排出された前記乾燥用空気を、前記第1燃焼装置から排出された排ガスによって加熱する空気加熱装置と、前記熱分解装置から排出された熱分解残留物を燃焼させる第2燃焼装置と、前記空気加熱装置及び前記第2燃焼装置からそれぞれ排出された排ガスが導かれる蒸気発生装置と、前記第1燃焼装置から排気された前記排ガスまたは前記第1燃焼装置から排気される前記排ガスに、前記空気加熱装置から排出された前記排ガスの一部を合流させる排ガス循環管路と、前記空気加熱乾燥装置から排出された前記乾燥用空気を前記第1燃焼装置に導く空気供給管路とを備えたことを特徴とする廃棄物熱分解処理装置。
【請求項3】前記空気加熱装置から排出された前記乾燥用空気の一部を前記乾燥装置に導く空気戻り管路を備えた請求項2の廃棄物熱分解処理装置。
【請求項4】前記乾燥装置から排出された前記乾燥用空気の温度を測定する温度測定装置と、前記空気戻り管路に設けられた乾燥用空気流量調節弁と、前記温度計測装置で計測された温度が設定温度になるように前記乾燥用空気流量調節弁の開度を制御する乾燥用空気流量制御装置とを備えた請求項3の廃棄物熱分解処理装置。
【請求項5】前記第1燃焼装置から排気された前記排ガスまたは前記第1燃焼装置から排気される前記排ガスに、前記空気加熱装置から排出された前記排ガスの一部を合流させた後の、排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度計と、前記空気供給管に設けられた空気供給流量調節弁と、前記酸素濃度計で計測された酸素濃度が設定濃度になるように前記空気供給流量調節弁の開度を制御する空気流量制御手段とを備えた請求項2または請求項4の廃棄物熱分解処理装置。
【請求項6】前記第1燃焼装置から排気された前記排ガスの温度を測定する温度計と、前記排ガス循環管路に設けられた排ガス流量調整弁と、前記温度計で計測された温度が設定温度になるように前記排ガス流量調整弁の開度を制御する排ガス流量制御装置とを備えた請求項1乃至請求項5のいずれかの廃棄物熱分解処理装置。
【請求項7】廃棄物を熱分解し、熱分解ガスを発生させる熱分解装置と、前記熱分解装置から排気された前記熱分解ガスを燃焼させる第1燃焼装置と、前記熱分解装置から排出された熱分解残留物を燃焼させる第2燃焼装置と、前記第1燃焼装置及び前記第2燃焼装置からそれぞれ排出された排ガスが導かれる蒸気発生装置とを備えた廃棄物熱分解処理装置において、前記第1燃焼装置から排気された前記排ガスまたは前記第1燃焼装置から排気される前記排ガスに、前記蒸気発生装置から排出された前記排ガスの一部を合流させる排ガス循環管路を設けたことを特徴とする廃棄物熱分解処理装置。
【請求項8】前記第1燃焼装置から排気された前記排ガスの温度を測定する温度計と、前記排ガス循環管路に設けられた排ガス流量調整弁と、前記温度計で計測された温度が設定温度になるように前記排ガス流量調整弁の開度を制御する制御装置とを備えた請求項7の廃棄物熱分解処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物熱分解処理装置に係り、特に都市ゴミ等の一般廃棄物、及び産業廃棄物等の廃棄物を熱分解によりガス化し、かつ熱分解残留物を燃焼する廃棄物熱分解処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ゴミ等の一般廃棄物、及び産業廃棄物の焼却処理は、廃棄物の有力な処理方法の1つとして広く行われている。特に、国土が狭くて埋立て処分が困難な日本においては、1991年時点で総ゴミ発生量の70%以上に当る約14万トンが毎日焼却されている。この大量の廃棄物の焼却の際に発生する灰は、埋立て処理されている。しかし、近年、埋立て処分場の逼迫、灰の埋立て基準の強化の動きなどにより、灰を溶融してスラグ化する灰溶融処理が注目を浴びている。この灰溶融処理は、焼却灰を電気または外部からの燃料を用いて溶融する。
【0003】他方、廃棄物の持つ熱量で灰を技術として、廃棄物を熱分解して直接灰を溶融する廃棄物熱分解処理装置の開発が進められている。この処理装置の一例が、特開昭64−49816 号公報に記載されている。その廃棄物熱分解処理装置は、まず、都市ゴミ等の廃棄物を300〜600℃の温度で空気(酸素)遮断下において低温乾留(熱分解)する。熱分解によって発生したガス(熱分解ガス)がバーナを介して燃焼室に導入される。熱分解でガス化せずに残った熱分解残留物から、篩いにて不燃性分(石,カレット,陶磁器及び金属成分等)が分離され、残った可燃性分は細かく破砕された後に粉塵バーナを介して上記燃焼室に供給される。
【0004】熱分解ガス及び可燃性分は、燃焼室内で過剰な酸素雰囲気のもとに燃焼される。燃焼温度は、1200℃以上に達する。この高温による完全燃焼により熱分解ガスに含まれる有害成分も分解されて無害化され、また可燃性分に含まれる有機有害物質も分解されて無害化される。可燃性分の燃焼により発生する灰は、溶融されてスラグ化される。予め分離された金属成分を含む粗粒子は、燃焼室に導入されない。篩で除去されずに可燃性分に含まれた微細な金属等の不燃性分は、溶融スラグ内に封入される。溶融スラグは、燃焼室から水槽内に供給されてガラス状の粒状物になる。この粒状物は道路の舗装材料、及び建材として再利用される。
【0005】廃棄物の熱分解生成物を燃焼させた排ガスを熱源として熱分解装置を加熱する廃棄物熱分解処理装置が、英国特許第1562492 号明細書に記載されている。更に、廃棄物の熱分解生成物である熱分解ガスを単独燃焼させ、熱分解ガスの燃焼排ガスを熱源として廃棄物の熱分解(熱分解炉の加熱)を行う廃棄物熱分解処理装置が、EP0426925B1に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】都市ゴミ等の廃棄物は、熱分解により、熱分解生成物としての熱分解ガスと、熱分解残留物とに分離される。熱分解ガスは、廃棄物そのものに比べて燃焼性は高くなる。しかしながら、その廃棄物は、様々な種類のプラスチックを含んでおり、熱分解装置に単位時間当りに供給される廃棄物に含まれる各プラスチックの量も異なっている。また、その廃棄物の水分の含有量も大きく変動する。
【0007】廃棄物が、水分の含有量が少なく、かつ熱分解によって発熱量の高いガスを発生するプラスチックを多く含む場合には、熱分解装置で発生した熱分解ガスの燃焼による温度上昇を押さえるために、熱分解ガスを燃焼させる燃焼炉に供給する燃焼空気量を増加し、空気過剰率を高める必要がある。逆に、廃棄物が、水分の含有量が多く、かつ熱分解によって発熱量の大きいガスを発生するプラスチックが少ない場合には、熱分解ガスの燃焼による温度上昇が少なく、燃焼空気の供給量が少なくなる。
【0008】空気過剰率が増加するとそれだけ発生する排ガス量が多くなり、外部環境に放出される排ガス量が増加する。外部環境に排気される排ガス量はできるだけ少なくすることが望まれる。
【0009】本発明の目的は、外部環境に排出する排ガス量を減少できる廃棄物熱分解処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する第1発明の特徴は、熱分解ガスを燃焼させる第1燃焼装置から蒸気発生装置に供給する排ガスの一部を、第1燃焼装置から排気された排ガスまたは第1燃焼装置から排気される排ガスに合流させる排ガス循環管路を設けたことにある。排ガス循環管路を設けているので、第1燃焼装置から蒸気発生装置に供給する排ガスの一部によって第1燃焼装置から排気された排ガスの温度を低下させることができる。その排ガスの一部は第1燃焼装置から排気されたものであり、第1燃焼装置から排気された排ガス量のうち蒸気発生装置に供給される排ガス量は排ガス循環管路によって戻される排ガス量を差し引いた値となる。このように、第1発明は、第1燃焼装置から蒸気発生装置に供給される排ガス量を減少でき、外部環境に排出する排ガス量を低減できる。また、蒸気発生装置に供給される排ガス量の減少によって、排ガス処理設備をコンパクトにすることができる。
【0011】上記の目的を達成する第2発明の特徴は、乾燥装置から排出された乾燥用空気を、第1燃焼装置から排出された排ガスによって加熱する空気加熱装置と、空気加熱乾燥装置から排出された乾燥用空気を第1燃焼装置に導く空気供給管路を備えたことにある。乾燥装置から排出された乾燥用空気を第1燃焼装置に供給するので、乾燥装置から排出された乾燥用空気に含まれている有害物質を第1燃焼装置で酸化分解させて無害化させることができる。また、乾燥装置から排出された乾燥用空気を第1燃焼装置の排ガスで加熱しているので、排ガスの保有する熱を回収することができて熱効率の上昇につながり、しかも温度が上昇した乾燥用空気を第1燃焼装置に導くことで第1燃焼装置での燃焼効率が増加する。
【0012】上記の目的を達成する第3発明の特徴は、空気加熱装置から排出された乾燥用空気の一部を乾燥装置に導く空気戻り管路を備えたことにある。空気加熱器で加熱された乾燥用空気の一部を空気戻り管路によって乾燥装置に戻しているので、乾燥装置に供給される廃棄物に含まれる水分が多い場合でも、乾燥装置から熱分解装置に供給される廃棄物に含まれる水分を従来よりも低減できる。
【0013】好ましくは、乾燥装置から排出された乾燥用空気の温度を測定する温度測定装置と、空気戻り管路に設けられた乾燥用空気流量調節弁と、温度計測装置で計測された温度が設定温度になるように乾燥用空気流量調節弁の開度を制御する乾燥用空気流量制御装置とを備える。測定した乾燥用空気の温度を用いて、空気戻り管路を通して乾燥装置に戻す乾燥用空気流量を制御するので、乾燥装置に供給される廃棄物の水分含有量が変動しても、熱分解装置に供給される廃棄物の水分含有量を所定の範囲に調節できる。このため、熱分解装置の加熱熱量を大幅に変える必要がなく、廃棄物の熱分解効率が向上する。
【0014】好ましくは、第1燃焼装置から排気された排ガスまたは第1燃焼装置から排気される排ガスに、空気加熱装置から排出された排ガスの一部を合流させた後の、排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度計と、空気供給管に設けられた空気供給流量調節弁と、酸素濃度計で計測された酸素濃度が設定濃度になるように空気供給流量調節弁の開度を制御する空気流量制御手段とを備える。このように排ガスの酸素濃度を用いて第1燃焼装置に供給する燃焼用空気の流量を調節するので、第1燃焼装置内の燃焼温度を所定範囲に制御でき、熱分解ガスに含まれる有害物質を無害化することができる。
【0015】好ましくは、第1燃焼装置から排気された排ガスの温度を測定する温度計と、排ガス循環管路に設けられた排ガス流量調整弁と、温度計で計測された温度が設定温度になるように排ガス流量調整弁の開度を制御する排ガス流量制御装置とを備える。第1燃焼装置から排気された排ガスの温度が設定温度に制御されるので、この排ガスによって加熱される熱分解装置内の廃棄物を、高い熱エネルギーを発生する熱分解残留物にすることができる。このため、第2燃焼装置でその熱分解残留物を燃焼させると高温が得られ、スラグが容易に生成される。
【0016】上記の目的を達成する第4発明の特徴は、蒸気発生装置から排出された前記排ガスの一部を第1燃焼装置から排気された排ガスまたは第1燃焼装置から排気される排ガスに合流させる排ガス循環管路を設けたことにある。排ガス循環管路を設けているので、蒸気発生装置から排出された排ガスの一部によって第1燃焼装置から排気された排ガスの温度を低下させることができる。その排ガスの一部は第1燃焼装置から排気されたものであるので、第1燃焼装置から排気された排ガス量のうち外部環境に排出される排ガス量は排ガス循環管路によって戻される排ガス量を除いた値となる。このように、第4発明は、外部環境に排出する排ガス量を低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の好適な一実施例である廃棄物熱分解処理装置を図1を用いて以下に説明する。本実施例の廃棄物熱分解処理装置は、乾燥装置1,熱分解装置2,燃焼装置3及びガス燃焼炉10を備える。乾燥装置1は、乾燥廃棄物投入装置12により熱分解装置2に連絡される。熱分解装置2は、熱分解残留物配管13によって前処理装置14に、熱分解ガス配管30によってガス燃焼炉10にそれぞれ接続される。前処理装置14は、熱分解残留物配管13によって燃焼装置3に接続される。燃焼装置3は、排ガスダクト26によって蒸気発生装置(廃熱回収ボイラ)4に連絡される。蒸気発生装置4と排気筒7を連絡する排ガスダクト27に、空気加熱器5及び排ガス処理装置6が設けられる。
【0018】ガス燃焼炉10は、排ガス配管21によって、熱分解装置2に設けられているジャケット28に連絡される。排ガス温度計42及び酸素濃度計44が、排ガス配管21に設けられる。ジャケット28は熱分解装置2の周囲を取り囲んでいる。排ガス配管22は蒸気過熱器8とジャケット28とを連絡する。蒸気過熱器8及び排ガス加熱器9のシェル側は互いに連絡されている。排ガス配管23は、ファン24を介して排ガス加熱器9と排ガスダクト26を接続する。
【0019】空気供給管16は、空気加熱器5内の伝熱管に接続される。空気加熱器5内の伝熱管に接続された空気供給管17は、乾燥装置1に連絡される。乾燥排ガス配管18は、ファン35を介して乾燥装置1と排ガス加熱器9の伝熱管とを接続する。乾燥排ガス温度計47が排ガス配管18に設けられる。排ガス加熱器9の伝熱管に接続された排ガス配管20は、空気流量制御弁43を介してガス燃焼炉10に連絡される。ファン24の吐出側で排ガス配管23に接続された排ガス再循環配管40が、ガス燃焼炉10の出口側で排ガス配管21に連絡される。酸素濃度計44は排ガス再循環配管40の接続点よりも下流側で排ガス配管21に設置される。排ガス流量制御弁41が、排ガス再循環配管40に設けられる。排ガス流量制御弁46が設けられる排ガス戻り配管45が、空気供給管17と排ガス配管20とを連絡する。
【0020】給水配管31が、蒸気発生装置4内の伝熱管に接続される。この伝熱管と蒸気過熱器8内の伝熱管が、蒸気配管32によって連絡される。蒸気過熱器8内の伝熱管に接続される過熱蒸気配管33が、タービン・発電設備34のタービンに接続される。
【0021】本実施例の廃棄物熱分解処理装置を用いた廃棄物(都市ゴミ等)の処理について以下に説明する。廃棄物は投入装置11により乾燥装置1内に供給される。乾燥装置1には、空気供給管16から供給されて空気加熱器5で加熱された空気が、空気供給管17によって供給されている。この空気の温度は、約300℃以上である。乾燥装置1内の廃棄物は、その加熱空気との直接接触によって乾燥され、水分が35%以下になる。
【0022】熱分解装置2は、ガス燃焼炉10で発生する高温の排ガスがジャケット28内に供給されることによって加熱される。ジャケット28から排ガス配管22に排出された排ガスは、ファン24の駆動により蒸気過熱器8及び排ガス加熱器9を介して排ガスダクト26に導かれる。乾燥装置1内の乾燥された廃棄物は、乾燥廃棄物投入装置12により熱分解装置2内に導かれる。熱分解装置2内の廃棄物は、ジャケット28からの熱で400〜600℃で加熱されて熱分解される。この熱分解によって、廃棄物から熱分解ガスが発生する。熱分解ガスは、熱分解ガス配管30によってガス燃焼炉10に導かれ、燃焼される。この燃焼によって発生した排ガスは、排ガス配管21に排気される。
【0023】熱分解ガスの排出により、熱分解装置2内には、チャー等の熱分解残留物が残る。この熱分解残留物は、前処理装置14に送られ、ここで冷却され、金属等の不燃物が除去される。更に、熱分解残留物は粉砕される。粉砕された熱分解残留物は、燃焼装置3で燃焼される。燃焼装置3内の温度が高温になるので、熱分解残留物に含まれていた灰分は、溶融されスラグ化される。このスラグは燃焼装置3から取り出されて水中で冷却される。燃焼装置3内での燃焼によって発生して排ガスダクト26に排出された排ガスは、蒸気発生装置4,空気加熱器5及び排ガス処理装置6を経て排気筒7から外部環境に放出される。排ガスは空気加熱器5で前述のように空気を加熱する。排ガス処理装置6は排ガスを浄化する。
【0024】排ガス加熱器9からの高温の排ガス及び燃焼装置3からの高温の排ガスは、排ガスダクト26により蒸気発生装置4に供給される。給水配管31によって蒸気発生装置4内の伝熱管内に供給された水は、その高温の排ガスによって加熱されて蒸気になる。蒸気発生装置4から排出された蒸気は、蒸気配管32によって蒸気過熱器8の伝熱管内に導かれる。この蒸気は、蒸気過熱器8に供給された、ジャケット28からの排ガスにより、加熱されて過熱蒸気となる。過熱蒸気は、過熱蒸気配管33によってタービン・発電設備34のタービンに導かれ、タービンを回転させる。タービンに連結された発電機(タービン・発電設備34)が回転されて、発電が行われる。
【0025】空気供給管17によって供給された空気は、乾燥排ガスとして乾燥装置1から排気される。この乾燥排ガスは、ファン35の駆動により排ガス加熱器9の伝熱管内に送られ、排ガス加熱器9のシェル側に供給されるジャケット28からの排ガスによって加熱される。加熱により温度が上昇した乾燥排ガスは、排ガス配管20によりガス燃焼炉10内に導かれる。排ガス加熱器9から排ガス配管22に排気された排ガスの一部は、排ガス再循環配管40によりガス燃焼炉10の出口付近で排ガス配管21に供給される。
【0026】本実施例は、排ガス再循環配管40を設けており、ガス燃焼炉10から排出されて蒸気発生装置4に供給される排ガスの一部によってガス燃焼炉10から排気された排ガスの温度を低下させることができる。排ガス再循環配管40で導かれる排ガスは、ガス燃焼炉10から排気された排気ガスである。ガス燃焼炉10から排気された排ガス量のうち蒸気発生装置4に供給される排ガス量は、排ガス再循環配管40によって戻される排ガス量を差し引いた値となる。本実施例は、ガス燃焼炉10から蒸気発生装置4に供給する排ガス量を減少でき、排気筒7から外部環境に排出される排ガス量を低減できる。また、本実施例は、蒸気発生装置4に供給される排ガス量を減少できるので、排ガスダクト27の流路断面積の低減、空気加熱器5及び排ガス処理装置6の容積の減少など排ガス系をコンパクト化できる。
【0027】ガス燃焼炉10から排気される排ガスに、排ガス加熱器9から排出された排ガスの一部を排ガス再循環配管40によって合流させた後の排ガスの温度(またはガス燃焼炉10から排出された排ガスの温度)が、排ガス温度計42によって測定される。排ガス温度計42は、ジャケット28に供給される排ガスの温度を測定しているとも言える。排ガス温度計42から出力された排ガス温度の測定値は制御器25に伝えられる。制御器25は、入力したその測定値に基づいて、その排ガスの温度が温度設定値になるように排ガス流量制御弁41の開度を制御する。ガス燃焼炉10から排出されてジャケット28に供給される排ガスの温度は、設定温度(例えば約1100℃)に保持される。本実施例は、制御器25により排ガス温度を設定温度に制御するので、熱分解装置2内を約400〜600℃に保持できる。このため、熱分解装置2内の廃棄物は、ガス化成分が少し残る炭化ができ、燃焼装置3で燃焼させたときに、高い燃焼性が得られ安定した熱エネルギーを発生する熱分解残留物になる。このような熱分解残留物を燃焼装置3で燃焼させることによって、燃焼装置3内で灰分等をスラグ化することができる。ジャケット28に供給される排ガスの温度が高過ぎると、廃棄物は完全に炭化状態になり、これを燃焼させると燃焼性及び着火性が低下し燃焼装置3内でスラグを生成する程度の高温燃焼状態を維持しその状態を安定させることが困難となる。制御器25に設定された上記設定温度は、高熱エネルギーを発生する熱分解残留物の生成が可能な温度である。
【0028】酸素濃度計44は、排ガス配管21を流れる排ガスの酸素濃度を測定し、この測定値を制御器29に伝える。制御器29は、入力したその測定値に基づいて、その酸素濃度が酸素濃度設定値になるように空気流量制御弁43の開度を制御する。これによって、ガス燃焼炉10から排出された排ガス中の酸素濃度(空気過剰率)が調節される。以上のように排ガスの酸素濃度を用いてガス燃焼炉10に供給する燃焼用空気の流量が調節され、ガス燃焼炉10内の燃焼温度を所定範囲に制御できる。このため、熱分解ガスに含まれる有害物質を効率良く無害化できる。酸素濃度計44は、ガス燃焼炉10から排出された排ガスと、排ガス再循環配管40によって導かれた排ガスとが合流した後で、排ガスの酸素濃度を測定している。しかし、排ガス再循環配管40によって導かれた排ガスは、ガス燃焼炉10から排出された排ガスの一部である。このため、酸素濃度計44は実質的にガス燃焼炉10から排出された排ガスの酸素濃度を測定することになる。
【0029】本実施例は、空気加熱器5から排ガス配管20に排出された乾燥排ガスの一部を排ガス戻り配管45により乾燥装置1に戻しており、乾燥装置1に供給される廃棄物が水分を多く含んでいる場合でも、乾燥装置1から熱分解装置2に供給される廃棄物に含まれる水分の量を従来よりも低減できる。熱分解装置2に供給される廃棄物の含有量を低減できて所定の範囲内に抑制できるので、熱分解装置2内で水分の蒸発によって消費される熱エネルギーを減少できる。水分の蒸発には、蒸発潜熱が必要であり、多量の熱エネルギーを必要とする。水分の蒸発によって消費される熱エネルギーが少ないことは、熱分解装置2に与えられる熱エネルギーが、廃棄物の熱分解に効率よく使われることになる。換言すれば、熱分解装置2において、無駄な熱エネルギーの消費が少なくなる。
【0030】乾燥排ガス温度計47は、乾燥装置1から排出された乾燥排ガスの温度を測定する。この測定温度は制御器36に伝えられる。制御器36は、入力した温度測定値を用いて、乾燥排ガスの温度が乾燥排ガス温度設定値になるように排ガス流量制御弁46の開度を調節する。乾燥装置1内に供給された廃棄物の水分含有量が多い場合には、乾燥装置1から排気された乾燥排ガスの温度が低下する。このため、乾燥排ガス温度が乾燥排ガス温度設定値よりも低くなり、制御器36は排ガス流量制御弁46の開度を増加させる。排ガス加熱器9で加熱されて、排ガス戻り配管45及び空気供給管17を通って乾燥装置1に導かれる高温の乾燥排ガスの流量が増加する。高温の乾燥排ガスの供給によって、乾燥装置1内の水分含有量が多い廃棄物も、十分乾燥されて水分含有量が35%以下になる。このように、本実施例は、戻される乾燥排ガス流量の制御によって、乾燥装置1に供給される廃棄物の水分含有量が変動しても、熱分解装置2に供給される廃棄物の水分含有量を所定の範囲(35%以下)に調節できる。従って、熱分解装置2の加熱熱量を大幅に変える必要がなく、廃棄物の熱分解効率が向上する。
【0031】本実施例は、乾燥装置1から排出された乾燥排ガスをガス燃焼炉10に供給し、乾燥装置1から排出された乾燥排ガスに含まれている有害有機物質をガス燃焼炉10で熱分解させて無害化させることができる。その有害物質は、乾燥装置1内で廃棄物が乾燥排ガスと接触する間に廃棄物から乾燥排ガス中に移行する。また、乾燥装置1から排出された乾燥排ガスを排ガス加熱器9においてガス燃焼炉10から排出された排ガスで加熱しているので、排ガスが保有する熱を回収することができて熱効率の上昇につながる。しかも、温度が上昇した乾燥排ガスをガス燃焼炉10に導くので、ガス燃焼炉10における燃焼効率が増加する。
【0032】本実施例は、乾燥装置1から排出された乾燥排ガスが燃焼用空気としてガス燃焼炉10に供給される構成としているが、この燃焼空気の流量が排ガス流量制御弁41によって制御でき、排ガス戻り配管45を流れる乾燥排ガスの流量が排ガス流量制御弁46によって制御できる。従って、排ガス配管20を通してガス燃焼炉10に供給する乾燥排ガス流量の制御により、乾燥装置1から排出される乾燥排ガス流量が増減しても、排ガス流量制御弁46の開度制御により乾燥装置1に供給する乾燥用空気流量を増減できる。
【0033】本実施例のような400〜600℃の低温熱分解においても、廃棄物に含まれる塩化ビニル等の熱分解に起因して塩化水素ガスが発生する。しかし、廃棄物に含まれる塩化ナトリウム等の塩は分解しないため、熱分解ガスを燃焼するガス燃焼炉10の排ガス中の塩化水素ガス濃度は、廃棄物をそのまま燃焼させた場合の排ガスに比べて低い。また、排ガスに含まれるばいじん濃度も低くなる。従って、蒸気過熱器8及び排ガス加熱器9の伝熱管の腐食が抑制され、蒸気過熱によるタービン・発電設備34の高効率化が可能になる。
【0034】本発明の他の実施例である廃棄物熱分解処理装置を図2を用いて以下に説明する。本実施例が図1の実施例と大きく異なる部分は、排ガス再循環配管40を排ガス再循環配管48に替え、図1の蒸気過熱器8の位置に空気加熱器5を移動させていることである。本実施例は、蒸気過熱器を備えていない。ガス再循環配管48は、排ガス処理装置6の下流側で排ガスダクト27に接続され、かつガス燃焼炉10の排ガス吐出口付近で排ガス配管21に接続される。排ガス流量制御弁41がガス再循環配管48に設けられる。空気加熱器5のシェル側が、排ガス配管22、及び排ガス加熱器9のシェル側に連絡される。
【0035】排ガス処理装置6で塩化水素ガス等の有害ガスが除去された排ガスの一部が、ガス再循環配管48を通ってガス燃焼炉10の排ガス吐出口付近で排ガス配管21に供給される。制御器25は、図1の実施例と同様に排ガス流量制御弁41の開度を制御する。ジャケット28から排気された排ガスは、空気加熱器5に導かれて、空気供給管16にて供給される空気を加熱する。本実施例の他の構成の作用は、図1の実施例と同じである。
【0036】本実施例は、排ガス系がコンパクトになること、及び蒸気過熱器8によって得られる効果を除いて、図1の実施例で生じる効果を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】第1発明及び第4発明によれば、外部環境に排出される排ガス量を低減できる。
【0038】第2発明によれば、乾燥装置から排出された乾燥用空気に含まれている有害物質を無害化できる。また、第1燃焼装置での燃焼効率が増加する。
【0039】第3発明によれば、乾燥装置から熱分解装置に供給される廃棄物に含まれる水分を従来よりも低減できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】390023928
【氏名又は名称】日立エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成11年3月15日(1999.3.15)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開2000−266324(P2000−266324A)
【公開日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願番号】 特願平11−67836