トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F23 燃焼装置;燃焼方法




【発明の名称】 加圧流動層ボイラ及びその起動方法
【発明者】 【氏名】岩瀬 徹哉

【氏名】岡田 大輔

【氏名】山本 恭功

【氏名】秋元 修平

【氏名】友安 幸治

【要約】 【課題】複数に分割した各々の火炉の燃焼空気流量制御性、ボイラ火炉での燃焼特性と環境特性を良好にすることとその起動方法を提供することと燃料流量の調節だけで水燃比のバランスを調節して主蒸気温度制御を行った場合の素早い主蒸気温度制御応答を得ることが難しい問題点を解消すること。

【解決手段】火炉1a内に蒸発器23を配置し、火炉1b内に過熱器24及び再熱器25を配置し、各火炉1a、1bを個別に収納する圧力容器27a、27bに収納し、各火炉1a、1bへ送られる燃焼用空気を調整する手段3a、3bと燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラにおいて、各火炉1a、1bの空塔速度計測器5a、5bの空塔速度検出値に応じて燃焼空気流量調整装置3a、3bを作動させる制御信号の補正因子として取り入れて、燃焼用空気流量を調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 火炉内に蒸発器、過熱器及び再熱器を配置し、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、少なくとも蒸発器を配置した火炉と少なくとも再熱器を配置した火炉とをそれぞれ別体とする少なくとも二つに分割された火炉と、分割された各火炉を個別に収納する少なくとも二つの圧力容器と、各火炉へ送られる燃焼用空気および燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラにおいて、各火炉の空塔速度の検出手段を備え、少なくとも該各空塔速度検出手段の検出値に応じて加圧流動層ボイラへ供給する燃焼用空気流量を調整する空気流量調整手段を有することを特徴とする加圧流動層ボイラ。
【請求項2】 各火炉の出口に酸素濃度計測手段を備え、該各酸素濃度計測手段による各火炉出口酸素濃度計測値から各火炉への空気供給配分を調整する空気供給配分調整手段を各火炉に備えたことを特徴とする請求項1記載の加圧流動層ボイラ。
【請求項3】 火炉内に蒸発器、過熱器及び再熱器を配置し、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、少なくとも蒸発器を配置した火炉と少なくとも再熱器を配置した火炉とをそれぞれ別体とする少なくとも二つに分割された火炉と、分割された各火炉を個別に収納する少なくとも二つの圧力容器と、各火炉へ送られる燃焼用空気および燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラの起動方法であって、ボイラ起動時には、各火炉の空塔速度に応じて加圧流動層ボイラへ供給する燃焼用空気流量を調整し、各火炉の燃料と空気の供給量が同程度になった後は、ボイラ出口の酸素濃度に応じて燃焼用空気流量を調整することを特徴とする加圧流動層ボイラの起動方法。
【請求項4】 火炉内に蒸発器、過熱器及び再熱器を配置し、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、少なくとも蒸発器を配置した火炉と少なくとも再熱器を配置した火炉とをそれぞれ別体とする少なくとも二つに分割された火炉と、分割された各火炉を個別に収納する少なくとも二つの圧力容器と、各火炉へ送られる燃焼用空気および燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラにおいて、蒸発器を有する火炉を起動した後、蒸発器で発生した蒸気を蒸発器を有する火炉以外の火炉に配置された過熱器及び再熱器に導入し、かつ前記導入蒸気量を検出して、該導入蒸気量が所定の値以上に達したことを検出してから、過熱器及び再熱器を備えた火炉を起動する起動過程で、各火炉の空塔速度と火炉出口酸素濃度が所定の値になるようボイラへ供給する空気流量を制御することを特徴とする加圧流動ボイラの起動方法。
【請求項5】 水蒸気系統が貫流ボイラの形式を持つ伝熱管群を燃料により流動化される流動層内に配置した火炉と、該火炉を収納した圧力容器からなる加圧型流動層ボイラの燃料流量と流動層高と伝熱管群へのボイラ給水流量のバランスにより決まる主蒸気温度を水燃比(ボイラ給水に与えられる熱量に対するボイラ給水流量の比率)を調節して制御する加圧型流動層ボイラの制御方法において、燃料流量調節で主蒸気温度を制御することを基本として、燃料流量調節では主蒸気温度への応答が遅く主蒸気温度を制御できなくなった緊急の場合のバックアップとして、主蒸気温度への応答が速いボイラ給水流量を調節して主蒸気温度を制御することを特徴とする加圧型流動層ボイラの制御方法。
【請求項6】 ボイラ給水が流れる伝熱管群とボイラ燃料を流動化させる流動層内に配置した火炉と、該火炉を収納した圧力容器からなる加圧型流動層ボイラのボイラ入力指令信号により求められる燃料流量設定値と燃料流量測定値との偏差に基づきボイラ燃料流量を求め、これに前記ボイラ燃料流量に対して主蒸気温度の設定値と測定値との偏差による補正を加えて燃料流量を制御し、ボイラ入力指令信号により求められるボイラ給水流量設定値と給水流量測定値との偏差に基づきベース給水流量を求め、該ベース給水流量に対して主蒸気温度の設定値と測定値との偏差に応じた補正を行い、さらにボイラ入力指令信号により求められる燃料供給量に対して前記主蒸気温度の設定値と測定値との偏差による前記補正を加えてボイラ給水流量を調節することを特徴とする加圧型流動層ボイラの制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加圧流動層ボイラとその運転方法に係わり、特にその起動方法及び水蒸気系統が貫流ボイラの形式を持つ加圧型流動層ボイラの蒸気温度を制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】流動層内に蒸発器、過熱器及び再熱器を有する流動層ボイラにおいて、蒸発器を有する流動層と過熱器及び再熱器を有する流動層に分割して、蒸発器を有する流動層を最初に起動して過熱器及び再熱器のクーリング蒸気を確保した後に過熱器、再熱器の流動層を起動することは実公平3−11521号公報等で知られている。
【0003】一方、加圧流動層ボイラにおいて、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、蒸発器を配置した火炉と再熱器を配置した火炉とを少なくとも二つの圧力容器に個別に収納することも、例えば特開平5−248601号公報記載のように知られている。
【0004】上記従来技術の加圧流動層ボイラにおいては、図8に示すように負荷に応じた燃料供給量に見合う必要空気量をコンプレッサー2からボイラに供給するプログラム制御を行い、燃焼性状偏差や燃焼状態の変動の影響に対してボイラ出口酸素濃度が一定になるようコンプレッサー2の空気流量調整装置22で流量制御を行う。
【0005】この場合、加圧流動層ボイラの起動時にはそれぞれ圧力容器27a、27b間に配置された二つの火炉1a、1bへの燃料供給開始時期と燃料投入量が異なるため、各火炉1a、1bへの供給空気が燃料投入量に対し一定の比率で供給できるように、火炉出口の酸素濃度を検出して、設定した目標濃度値になるよう各火炉への空気配分を制御する。
【0006】例えば、コンプレッサー2から供給される燃焼用空気はコンプレッサー2の空気流量調整装置22でボイラ出口酸素濃度が所定の値になるような適正値に制御され、更にボイラ空気流量調整装置3a、3bを通って流動層8a、8bを充填した火炉1a、1bにそれぞれ分配されるが、当該空気量は各火炉1a、1bに供給される燃料流量に対して一定比率で供給されるために、火炉出口ガス配管9a、9bに排ガス酸素濃度計4a、4bを設置して、ここでの酸素濃度をそれぞれ計測し、所定の値になるように空気流量調整装置3a、3bで配分される。
【0007】また、空気流量調整装置22には燃料流量計6a、6bを経由する加算器11からの信号に基づく燃料量の風量換算器20の信号とボイラ出口酸素濃度計18の信号に基づく酸素濃度偏差の風量換算器19の信号とを加算器21で加算した値が入力される。
【0008】そのために、従来技術では火炉出口ガスの酸素濃度計4a、4bの測定値が設定値との異なる値となると、その偏差を火炉出口酸素濃度偏差引算器16で計算し、得られた酸素濃度偏差とダンパ開度とを換算器17で換算して、さらに換算器17で空気流量調整信号に換算する。
【0009】一方、各火炉1a、1bの空気流量は燃料流量計6a、6bで計測した信号を加えた加算器11と火炉燃料比率計算割算器12で得られる燃料量の比率をダンパ開度に換算するダンパ開度換算器13で空気流量調整装置の指令信号を作り、これと換算器17からの信号とを加算器14で加えて、これをそれぞれの火炉1a、1bの空気流量調整装置3a、3bに信号として送る。通常、この空気流量調整装置3a、3bは空気流れ抵抗を変化させる弁又はダンパであり、このときダンパ逆動作信号関数器15を介してそれぞれ空気流量調整装置3a、3bは逆の動作をする。ボイラ起動初期であって、蒸気タービン通気前には、蒸発器23を有する火炉1aに最初に燃焼を投入し、火炉1aの蒸発器23で過熱器24と再熱器25のクーリングに必要な蒸気を確保した後、再熱器25を有する火炉1bに燃料を投入して起動する。火炉1aを起動してから火炉1bを起動するまでの時間差は概略1〜5時間程度である。
【0010】ボイラへの供給燃焼空気流量及び各火炉1a、1bへの前記空気量配分は燃料投入量に応じて前記の制御より各火炉1a、1bの出口酸素濃度が約3〜5%となるように調整される。
【0011】また、図9に従来の貫流ボイラの貫流運転中の主蒸気温度制御系統図を示し、図10に変圧貫流ボイラの系統図を示す。図10においてボイラ火炉壁74は、水管を板状に連続溶接したメンブレン壁からなり、伝熱面を構成している。ボイラ火炉壁74への給水は、まず、給水ポンプ71から給水加熱器72に送られて加熱された後、節炭器73を経てボイラ火炉壁74及び蒸発器75に送られる。給水はボイラ火炉壁74及び蒸発器75で加熱されながら上昇し、ついには蒸気を生成する。
【0012】生成した蒸気は気水分離器76、一次過熱器77、過熱器過熱低減器78及び二次過熱器80を経て高圧タービン82へ送られる。高圧タービン82で仕事をした蒸気は再熱器過熱低減器83及び再熱器85を経て中圧タービン87へ送られる。
【0013】また、過熱器過熱低減器78と再熱器過熱低減器83にはそれぞれ過熱器スプレ流量調節弁79、84により供給量を調整されたスプレ水により温度調整がなされる。なお、中圧タービン87から排出される蒸気は図示しない復水器で熱回収され、給水系へ循環使用される。高圧タービン82と中圧タービン87の供給される各蒸気温度は温度計81、86で測定される。
【0014】図9の貫流ボイラの貫流運転中の主蒸気温度制御系統図に示すように、過渡的な主蒸気温度制御は過熱器スプレ注入により行うが、恒久的な主蒸気温度制御は水燃比制御(ボイラ給水量と燃料量の比率を制御する)で行われる。このとき、従来のボイラではボイラ給水量と燃料量の比率(水燃比)が所望の値になるよう燃料量を調節することにより水燃比を調節している。
【0015】燃料流量指令101は、ボイラ入力指令91をボイラの静特性により決まるボイラ入力指令−燃料流量設定値特性を持つ関数発生器95に入力され、その出力のベース燃料流量信号103に加算器96においてスプレ量による補正を加えられ、さらに、加算器97で主蒸気温度偏差94による補正を加えられることにより作られる。
【0016】加算器96において関数発生器95の出力であるベース燃料流量信号103に加えられる補正は、過渡変化でスプレ流量が変化し、スプレ比率が計画値からずれたままでバランスしてしまった場合に、燃料流量を調節して元のスプレ比率に引き戻すための補正回路である。
【0017】この補正信号は、ボイラ静特性により決まる負荷指令−スプレ流量設定値特性を持つ関数発生器98で、負荷指令92に応じたスプレ流量設定値104を作り、関数発生器98の出力であるスプレ流量設定値104とスプレ流量実測値93から減算器99の出力信号となるスプレ流量の偏差信号を関数発生器102で燃料流量補正信号に変換して、関数発生器95の出力であるベース燃料流量信号103に加算器96で加えられる。
【0018】また、加算器97において加算器96の出力信号に加えられる補正は、主蒸気温度を制御するために燃料流量を調節するための補正回路である。この補正回路は、主蒸気温度設定値と実測値との偏差である主蒸気温度偏差94を比例積分器100にて演算した出力信号を燃料流量補正信号として、加算器97にて加算器96の出力信号に加えられる。
【0019】上記のスプレ流量偏差および主蒸気温度偏差により補正を加えられた燃料流量指令信号101で、その時の負荷に応じたボイラ給水流量と主蒸気温度に対する適切な水燃比となるように燃料流量が調節されて、主蒸気温度が所望の値となるように制御される。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上記の図8に示す従来技術の空気流量制御の考え方は、燃焼に最適な燃料/空気比率を制御するものであるが、加圧流動層ボイラにおいては供給空気量は単に燃焼に必要な空気量だけではなく、安定した流動層燃焼を維持するのに必要な流動空気を供給する目的もある。安定流動は一般に流動層の空塔速度と関係があり、加圧流動層ボイラでは空塔速度0.9〜1.0m/s程度を維持することが必要とされている。
【0021】加圧流動層ボイラの設計においては、燃料量(負荷)の増加に伴い、燃焼空気量を増加すれば、燃焼ガス量が増してボイラ火炉(流動層)ガス圧力が上昇するので、適切な流動面積(火炉断面積)を選定すれば高負荷から低負荷において供給空気量を増減しても空塔速度は、ほぼ一定(0.9〜1.0m/s程度)にバランスすることになる。
【0022】しかしながら、前述のように、従来技術の加圧流動層ボイラにおいて蒸発器23を配置した火炉1aと、過熱器24と再熱器25を配置した火炉1bの内、蒸発器23を配置した火炉1aから起動して、過熱器24と再熱器25のクーリング蒸気を確保しようとすると、起動した後の火炉1aのガス圧力は約0.1MPaから約1MPaまで次第に昇圧することになる。
【0023】そのため、蒸発器23を配置した火炉1aを先行して起動させた後、過熱器24と再熱器25を配置した火炉1bを起動させるまでに火炉1aのガス圧力が上昇するため、過熱器24と再熱器25を配置した火炉1bを起動させる際には、火炉1bの出口酸素濃度を蒸発器24を配置した火炉1aのそれと同一の値となるようにコンプレッサー2での空気流量を調整すると、燃料投入初期は供給空気量も比較的少ないため、後から起動する過熱器24と再熱器25を配置した火炉1bの空塔速度は先に起動した蒸発器23を配置した火炉1aの空塔速度よりも低く、燃料を投入しても安定した流動燃焼が維持できないおそれがあった。
【0024】ここで、火炉1bの出口酸素濃度を火炉1aの出口酸素濃度と同一の値となるようにする理由は、次の通りである。すなわち、火炉出口酸素濃度が増加するとNOxも増加する。一方の火炉の出口酸素濃度が低くても、他方の火炉の出口酸素濃度が高ければ、合流した排ガス中のNOx濃度は平均されるということはなく、NOx濃度の高い排ガスが排出することになる。したがって、できるだけ各火炉の出口酸素濃度を同一にしておく必要がある。
【0025】上記のように、従来技術の燃焼空気流量制御方法においては、燃焼の結果としての各火炉1a、1bの出口酸素濃度を空気制御の信号に使用しているが、複数の火炉を有する加圧流動層ボイラにおいては各火炉の起動タイミングに偏差を必要とするため、後から起動する火炉の空塔速度が一定範囲に維持できないおそれがあった。また、上記偏差を極力低減するためには、過熱器24と再熱器25を配置した火炉1bの起動タイミングを必要最短時間で実施する必要があった。
【0026】本発明の第1の課題は、上記の従来技術の問題点を解決し、複数に分割した各々の火炉の燃焼空気流量制御性、ボイラ火炉での燃焼特性、環境特性の良好な加圧流動層ボイラとその起動方法を提供することにある。また、図9に示す従来型の貫流ボイラの制御方法においては、燃料流量を変化させてから主蒸気温度が変化するまでの応答が加圧型流動層ボイラに比べて速いことから燃料流量で主蒸気温度を制御しているが、この従来型ボイラの技術を加圧型流動層ボイラに適用した場合においては、下記のような加圧型流動層ボイラ特有の問題点があった。
【0027】すなわち、加圧型流動層ボイラにおいても主蒸気温度制御は基本的に燃料流量を変化させて行うが、加圧型流動層ボイラの場合、粗粉炭、微粉炭、石炭石及び水を混合してペースト状にしたもの(以下CWPと呼ぶ)を燃料としており、燃料中の水分が多く(約25〜30wt%)、また石炭粒径の大きいものが含まれている理由から、微粉炭、石油、ガスなどを燃料とする従来型のボイラに比べて燃焼遅れが大きい(90〜120秒程度)ことと、燃料流量が変化して流動層への入熱量が変わり、その結果として流動層温度が変化し、その後伝熱管温度が変化して蒸気温度が変化するため、時定数が大きく蒸気温度変化までの時間がかかる。そのため、燃料流量調節だけで主蒸気温度を制御しようとすると主蒸気温度に大きな応答遅れが生じ、素早い主蒸気温度制御応答を得ることが難しい。
【0028】特に、水燃比のバランスが崩れて主蒸気温度が上昇し始めた時には、燃料流量を減少させても流動層温度がすぐには下がらないため、主蒸気温度の上昇もすぐには抑えることができず、主蒸気温度がオーバーシュートしてしまい易く、場合によっては主蒸気温度が異常高となってボイラ緊急停止に至る可能性がある。
【0029】また、主蒸気温度を制御する方法として過熱器スプレを注入する方法があるが、過熱器スプレ注入量を増加させると水壁と蒸発器を通過する給水量が減り、かえって蒸発器の温度が上昇するため、過渡的にしか効果がなく、蒸発器の温度が上昇し過ぎると伝熱管損傷に至る可能性がある。
【0030】また、加圧型流動層ボイラは、炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生量の抑制等の理由のために、流動層温度は常に規定温度範囲内に入るように制御されて運転しなければならない。このために、流動層温度の変動可能な温度範囲が狭く、それに伴い燃料流量の変化幅も制限されるため、流動層温度の変動幅を制限された状態での燃料流量調節だけによる素早い主蒸気温度制御応答を得ることが難しい。
【0031】そこで、本発明の第2の課題は、上記の燃料流量の調節だけで水燃比のバランスを調節して主蒸気温度制御を行った場合の素早い主蒸気温度制御応答を得ることが難しい加圧型流動層ボイラの問題点を解消することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明の上記第1の課題は各火炉の空塔速度の計測信号を燃焼空気流量調整装置を作動させる制御信号の補正因子として取り入れることにより達成される。すなわち、本発明は火炉内に蒸発器、過熱器及び再熱器を配置し、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、少なくとも蒸発器を配置した火炉と少なくとも再熱器を配置した火炉とをそれぞれ別体とする少なくとも二つに分割された火炉と、分割された各火炉を個別に収納する少なくとも二つの圧力容器と、各火炉へ送られる燃焼用空気および燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラにおいて、各火炉の空塔速度の検出手段を備え、少なくとも該各空塔速度検出手段の検出値に応じて加圧流動層ボイラへ供給する燃焼用空気流量を調整する空気流量調整手段を有する加圧流動層ボイラである。
【0033】ボイラ起動時には火炉内の空塔速度のみにより燃焼用空気流量を調整する場合のみならず、火炉出口ガス酸素濃度の値も勘案して燃焼用空気流量を調整することもできる。
【0034】また、本発明は、火炉内に蒸発器、過熱器及び再熱器を配置し、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、少なくとも蒸発器を配置した火炉と少なくとも再熱器を配置した火炉とをそれぞれ別体とする少なくとも二つに分割された火炉と、分割された各火炉を個別に収納する少なくとも二つの圧力容器と、各火炉へ送られる燃焼用空気および燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラにおいて、ボイラ起動時には、各火炉の空塔速度に応じて加圧流動層ボイラへ供給する燃焼用空気流量を調整し、各火炉の燃料と空気の供給量が同程度になった後は、ボイラ出口の酸素濃度に応じて燃焼用空気流量を調整する加圧流動層ボイラの起動方法である。
【0035】また、本発明には、次の発明も含まれる。すなちわ、火炉内に蒸発器、過熱器及び再熱器を配置し、蒸発器、過熱器及び再熱器のうち、少なくとも蒸発器を配置した火炉と少なくとも再熱器を配置した火炉とをそれぞれ別体とする少なくとも二つに分割された火炉と、分割された各火炉を個別に収納する少なくとも二つの圧力容器と、各火炉へ送られる燃焼用空気および燃料供給割合を調整する手段を有する加圧流動層ボイラにおいて、蒸発器を有する火炉を起動した後、蒸発器で発生した蒸気を蒸発器を有する火炉以外の火炉に配置された過熱器及び再熱器に導入し、かつ導入蒸気量を検出して、該導入蒸気量が所定の値以上に達したことを検出してから、過熱器及び再熱器を備えた火炉を起動する起動過程で、各火炉の空塔速度と火炉出口酸素濃度が所定の値になるようボイラへ供給する空気流量を制御する加圧流動ボイラの起動方法である。
【0036】上記本発明においては、複数の火炉への燃焼空気流量の配分調整は火炉入口の燃焼空気調整装置で行うが、補正する因子として空塔速度を取り入れることにより、それぞれの火炉の起動タイミングが異なり、層温度や層高に偏差を生じても一定の空塔速度範囲内に収まるように燃焼空気流量を制御するので、起動タイミングの異なる複数火炉の起動過程での安定燃焼を確保することができる。
【0037】本発明の上記第2の課題は、下記方法によって達成される。貫流運転中の水燃比のバランスを調整することにより行う主蒸気温度制御において、主蒸気温度は、燃料流量の調節で制御することを基本として、燃料流量の調節だけでは加圧型流動層ボイラ特有の蒸気温度への応答遅れにより主蒸気温度を制御できなくなった緊急の場合のバックアップとして、主蒸気温度への応答がはやく、加圧型流動層ボイラ特有の炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生量の抑制等の理由による層温度変化幅の制限にも影響されないボイラ給水流量を調節して抑制する。
【0038】加圧型流動層ボイラは、炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生の抑制等の理由により、流動層温度は常に規定温度範囲内に入るように制御されて運転しなければならない。
【0039】主蒸気温度は、燃料流量と流動層高とボイラ給水流量のバランスにより決まることから、燃料流量と流動層高とボイラ給水流量が一定に制御された状態では、主蒸気温度および流動層温度は一定となる。燃料流量またはボイラ給水流量を変化させると、ボイラ給水に与えられる熱量に対するボイラ給水流量の比率、つまり水燃比が変化し、水燃比の変化に応じて主蒸気温度も変化する。
【0040】燃料流量で水燃比を変化させた場合、燃料の燃焼遅れが大きいことと、燃料流量が変化して流動層への入熱量が変わり、その結果として流動層温度が変化し、その後伝熱管温度が変化して蒸気温度が変化するため、時定数が大きく蒸気温度の変化までの時間がかかり、主蒸気温度に大きな応答遅れが生じてしまう。これに対して、ボイラ給水流量で水燃比を変化させた場合、ボイラに入力された後に主蒸気となって出ていくボイラ給水流量を直接変化させて水燃比を変化させるので、主蒸気温度への応答遅れの大きい燃料流量にて水燃比を変化させる場合よりも主蒸気温度変化の応答がはやい。
【0041】したがって、主蒸気温度制御は、ボイラ給水流量を調節して水燃比を変化させることによって素早い応答性で行うことができ、更に、加圧型流動層ボイラ特有の燃焼遅れによる主蒸気温度変化の応答遅れ、および炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生抑制等の理由による流動層温度変化幅の制限に影響されることなく主蒸気温度を制御することができる。
【0042】しかし、ボイラ給水流量を変化させると主蒸気温度は素早く制御できるが、ボイラ給水流量を変化させると主蒸気流量も変化して蒸気タービン出力へも影響が出るため、本発明では、主蒸気温度は、燃料流量の調節により制御することを基本として、燃料流量の調節だけでは主蒸気温度への応答が遅く主蒸気温度を制御できなくなった緊急の場合のバックアップとして、ボイラ給水流量を調節して制御を行う。
【0043】すなわち、本発明は水蒸気系統が貫流ボイラの形式を持つ伝熱管群を流動層内に配置した加圧型流動層ボイラの燃料流量と流動層高と伝熱管群へのボイラ給水流量のバランスにより決まる主蒸気温度を水燃比を調節して制御する加圧型流動層ボイラの制御方法において、燃料流量調節で主蒸気温度を制御することを基本として、燃料流量調節では主蒸気温度への応答が遅く主蒸気温度を制御できなくなった緊急の場合のバックアップとして、主蒸気温度への応答が速いボイラ給水流量を調節して主蒸気温度を制御することを特徴とする加圧型流動層ボイラの制御方法である。
【0044】また、本発明は、ボイラ入力指令信号により求められる燃料流量設定値と燃料流量測定値との偏差に基づきボイラ燃料流量を求め、これに前記ボイラ燃料流量に対して主蒸気温度の設定値と測定値との偏差による補正を加えて燃料流量を制御し、ボイラ入力指令信号により求められるボイラ給水流量設定値と給水流量測定値との偏差に基づきベース給水流量を求め、該ベース給水流量に対して主蒸気温度の設定値と測定値との偏差に応じた補正を行い、さらにボイラ入力指令信号により求められる燃料供給量に対して前記主蒸気温度の設定値と測定値との偏差による前記補正を加えてボイラ給水流量を調節することを特徴とする加圧型流動層ボイラの制御方法である。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明による加圧流動層ボイラの燃焼空気流量制御方式の具体例を図1に示す。図1に示す構成の各装置で図4に示す装置と同一機能をそうするものは同一番号を付し、その説明は省略する。図1に示す加圧流動層ボイラは次のように運転する。
【0046】蒸発器23を有する火炉1aを起動した後、蒸発器23で発生した蒸気を火炉1bに配置された過熱器24及び再熱器25に導入し、かつ導入蒸気量を検出して、該導入蒸気量が所定の値以上に達したことを検出してから、過熱器24及び再熱器25を備えた火炉1bを起動し、その起動過程で、各火炉1a、1bの空塔速度と火炉出口酸素濃度が所定の値になるようボイラへ供給する燃焼用空気流量を制御するボイラの起動方法である。
【0047】蒸発器23を備えた火炉1aと過熱器24と再熱器25を備えた火炉1bを持つ加圧流動層ボイラにおいて、各々の火炉1a、1bに供給される燃焼用空気量はコンプレッサー2から供給される空気を調整装置3a、3bにより調整されて、それぞれの火炉1a、1bに配分される。
【0048】図1に示す例は、各火炉1a、1bの燃焼空気流量配分は、供給される燃焼の比率により変化させ、各火炉1a、1bの排ガス酸素濃度計4a、4bの各測定値の偏差、及び空塔速度計測器5a、5bの各測定値の偏差により燃焼空気流量配分に補正を加える制御方法である。
【0049】こうすることにより、それぞれの火炉1a、1bの起動時の層温度や流動層高差による空塔速度5a、5bの偏差を燃焼空気流量を制御する制御装置3a、3bの作用によって一定範囲内に確保することが可能となる。
【0050】例えば、火炉1bの起動時に空塔速度5bが必要値を下回った場合には空塔速度5bの酸素濃度偏差の風量換算器19によってコンプレッサー2からの供給空気量が増加されるが、火炉1aの供給空気量は火炉1a出口酸素濃度を一定に制御するよう空気流量調節装置3aで調節され、火炉1bの供給空気量はボイラ出口酸素濃度計18によって調節されるので、火炉1bは安定流動に必要な空塔速度5bを下回ることが無いように制御される。
【0051】図1に示す構成では、空塔速度の酸素濃度偏差の風量換算器19の信号でコンプレッサー2の空気流量調整装置22の制御を補正しているが、ボイラ火炉1a、1bの出口酸素濃度の検出手段4a、4bを合わせて備えているので、ボイラ起動時には排ガス酸素濃度計4a、4bの各測定値の偏差、及び空塔速度計測器5a、5bの各測定値の偏差により燃焼空気流量配分に補正を加える制御方法を行い、複数の火炉1a、1bの燃焼/空気供給量が同程度となった以降は、ボイラ出口酸素濃度計4a、4bの各測定値でコンプレッサー2の空気流量調整装置22の制御補正が可能な様に制御方法を切り替えることも可能である。
【0052】また、図1に示す加圧流動層ボイラは火炉1aに蒸発器23のみを配置しているが、火炉1aには蒸発器23の他に過熱器24の一部を配置し、残りの過熱器24の部分を火炉1bに配置し、同時に火炉1bには再熱器も配置する構成でも良い。
【0053】また、図2〜図7に本発明の実施の形態の加圧型流動層ボイラの主蒸気温度制御系の制御系統図と制御特性図を示す。
【0054】図2に示す主蒸気温度制御系の制御系統図において、ボイラ入力指令信号32は、ボイラ静特性により決まる図5に示すようなボイラ入力指令−給水流量設定値特性を持つ関数発生器38に入力され、その出力である給水流量設定値44と給水流量測定値31との偏差信号を減算器34で作成し、減算器34の出力である給水流量偏差信号を比例積分器35に入力して演算し、その出力がベース給水ポンプ出力指令45となる。ベース給水ポンプ出力指令45は、加算器42にて主蒸気温度偏差による補正を加えられ、加算器42で出力が得られ、当該出力である給水ポンプ出力指令46は自動/手動切替器43を通って給水ポンプへ出力される。
【0055】比例積分器35の出力であるベース給水ポンプ出力指令45に加算器42で加えられる補正は、主蒸気温度の設定値と測定値との間に偏差が生じた場合に給水ポンプ出力を変化させてボイラ給水流量を調節して主蒸気温度を制御するために補正回路である。
【0056】この補正回路はボイラ静特性より決まる図3に示すようなボイラ入力指令−主蒸気温度設定値特性を持つ関数発生器36の出力信号である主蒸気温度設定値47と主蒸気温度測定値33の偏差信号を減算器39で作成し、減算器39の出力である主蒸気温度偏差信号は関数発生器49に入力される。関数発生器49は、図7に示すような主蒸気温度偏差に不感帯を設定する関数であり、ボイラ給水流量調節による主蒸気温度制御を燃料流量調節による主蒸気温度制御のバックアップとして使用する目的で主蒸気温度偏差が規定値以上にならないとボイラ給水流量による主蒸気温度を働かせないようにするためのものである。
【0057】関数発生器49の出力は、関数発生器37の出力であるゲイン補正信号48を乗算器40にて掛け合わせる。図4に示すようなボイラ入力指令−主蒸気温度偏差ゲイン補正信号特性を持つ関数発生器37の出力であるゲイン補正信号48を乗算器40にて主蒸気温度偏差に掛け合わせて補正を行う理由は、ボイラ給水流量によって主蒸気温度偏差に対するボイラ給水流量への補正量を変化させないと負荷によってボイラ給水流量の補正量に対する主蒸気温度の変化量が変わってしまうためである。
【0058】乗算器40の出力は、比例器41に入力されて演算し、その出力が加算器42にて比例積分器35の出力であるベース給水ポンプ出力指令45に加えられて、加算器42の出力がボイラ給水ポンプ出力指令46となり、自動/手動切替器43を通ってボイラ給水ポンプへ出力される。比例器41の比例係数は、ボイラ給水流量変化量に対する主蒸気温度変化幅の特性より求められた係数を使用する。
【0059】また、燃料流量の調節による主蒸気温度のために、ボイラ静特性により決まる図3に示すようなボイラ入力指令−主蒸気温度設定値特性を持つ関数発生器36の出力信号である主蒸気温度設定値47と主蒸気温度測定値33の偏差信号を比例積分器50で演算し、その出力が加算器51においてボイラ静特性にて決まる図5に示すようなボイラ入力指令−ベース燃料供給ポンプ出力指令特性を持つ関数発生器52の出力であるベース燃料供給ポンプ出力指令に主蒸気温度偏差による補正を加える。加算器51で補正を加えられた燃料供給ポンプ出力指令は、自動/手動切替器54を通って燃料供給ポンプへ出力される。
【0060】上記制御例は、加圧型流動層ボイラの主蒸気温度制御において、加圧型流動層ボイラ特有の燃料の燃焼遅れによる蒸気温度変化の応答遅れおよび炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生抑制等による流動層温度の変動範囲の制限により燃料流量の調節だけでは主蒸気温度への応答が遅く、主蒸気温度を制御できなくなった緊急の場合のみのバックアップとしてボイラ給水流量を調節して主蒸気温度を制御するもので、ボイラ給水流量を調節することで加圧型流動層ボイラ特有の燃料の燃焼遅れによる蒸気温度変化の応答遅れ、および炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生抑制等による流動層温度の変動可能温度範囲の制限に影響されることなく素早く主蒸気温度を制御することができる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、2以上に分割した火炉を有する加圧流動層ボイラの起動において起動タイミングの異なる2以上の火炉の空塔速度を一定範囲内に確保することが可能となり、各火炉の起動過程で安定燃焼が達成される。
【0062】また、主蒸気温度制御において、燃料流量の調節だけ水燃比のバランスを変化させた場合の主蒸気温度への応答が遅く、燃料流量の調節だけでは主蒸気温度を制御できなくなった場合のバックアップとして、主蒸気温度への応答がはやく、加圧型流動層ボイラ特有の炉内脱硫性能の維持や排ガスNOx発生の抑制等の理由による流動層温度変化幅の制限に影響されないボイラ給水流量を調節することで素早く主蒸気温度を制御することで、主蒸気温度の制御性も向上する。
【出願人】 【識別番号】000005441
【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
【出願日】 平成11年3月10日(1999.3.10)
【代理人】 【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
【公開番号】 特開2000−257809(P2000−257809A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−64014