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【発明の名称】 減温器制御装置
【発明者】 【氏名】中井 昭祐

【氏名】山崎 益男

【要約】 【課題】制御器が飽和や発散することなく、運転条件や環境条件の変化に柔軟に対応し、過熱器の出口側の蒸気温度を常に良好に制御することにある。

【解決手段】火力発電プラントのボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン上流の過熱器1入口側に設けられた減温器2より蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁3を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、過熱器出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を有する上位制御器30と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、過熱器1の入口側蒸気温度との偏差に基づいて流量制御弁3を制御する下位制御器10とを備えたカスケード構成とし、かつ下位制御器10の出力が一定値以下のときは上位制御器40の積分要素の入力信号に対し、0または負にならないように制限を加える信号制限器32を設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 火力発電プラントであって、汽力発電プラントのボイラまたはコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン入口側に設けられた減温器より前記蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、前記タービン出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を含む演算手段を有する上位制御器と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、前記タービンの入口側蒸気温度との偏差に基づいて前記流量制御弁を制御する下位制御器とを備えたカスケード構成とし、かつ前記下位制御器の出力が一定値以下のとき前記上位制御器に対し、前記積分要素の状態量が増加しないように前記積分要素の入力信号に制限を加える制限手段を設けたことを特徴とする減温器制御装置。
【請求項2】 火力発電プラントであって、汽力発電プラントのボイラまたはコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン入口側に設けられた減温器より前記蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、前記タービン出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を含む演算手段を有する上位制御器と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、前記タービンの入口側蒸気温度との偏差に基づいて前記流量制御弁を制御する下位制御器とを備えたカスケード構成とし、かつ前記減温器内に混入する水または低温蒸気の流量が一定値以下のとき前記上位制御器に対し、前記積分要素の状態量が増加しないように前記積分要素の入力信号に制限を加える制限手段を設けたことを特徴とする減温器制御装置。
【請求項3】 火力発電プラントであって、汽力発電プラントのボイラまたはコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン入口側に設けられた減温器より前記蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、前記タービン出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を含む演算手段を有する上位制御器と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、前記タービンの入口側蒸気温度との偏差に基づいて前記流量制御弁を制御する下位制御器とを備えたカスケード構成とし、かつ前記減温器内に混入する水または低温蒸気の流量を制御する流量制御弁の開度が一定値以下になったとき前記上位制御器に対し、前記積分要素の状態量が増加しないように前記積分要素の入力信号に制限を加える制限手段を設けたことを特徴とする減温器制御装置。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一つの項に記載の減温器制御装置において、制限手段にヒステリシス特性を持たせ、積分要素の入力信号の切替動作による上位制御器の出力信号の頻繁な変動を抑制するようにしたことを特徴とする減温器制御装置。
【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一つの項に記載の減温器制御装置において、制限手段は上位制御器の信号に制限を加えるか否かの判断条件が一定時間以上継続したことを条件に制限動作を行うようにしたことを特徴とする減温器制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汽力発電プラントまたはコンバインドサイクルプラントで使用される減温器制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電プラントの中で、コンバインドサイクルプラントは、ガスタービンの排ガスと熱交換を行って蒸気を発生させ、また一般の汽力発電プラントではボイラ内での燃焼ガスの熱量を利用して蒸気を発生させている。そして、その蒸気を過熱器により過熱して蒸気タービンに送り込むことにより、蒸気タービンを回転させて発電機を駆動している。
【0003】このとき蒸気タービンへの蒸気供給系において、タービン入口の主蒸気温度は最高値となることがあり、その温度を超えて運転することは機器の安全面から望ましくない。
【0004】そこで、従来では過熱器の入口に減温器を設置し、主蒸気温度がその最高温度を超えると減温器より主蒸気中に水または低温蒸気を吹き付けて蒸気温度を最高値以下に下げる減温動作を行わせるようにしている。
【0005】図6はこのような減温器の一般的な構成及び減温器制御装置の構成例を示している。図6において、1は図示しないボイラで発生した蒸気が蒸気供給系を通して導入される過熱器で、この過熱器1で昇温された蒸気は蒸気供給系を通して次段の図示しない過熱器または蒸気タービンに供給されるようになっている。
【0006】また、2は過熱器1の入口側の蒸気供給系に設けられた減温器で、この減温器2には水または低温蒸気を吹き付けるためのノズルを備え、このノズルには冷却媒体供給系が接続され、さらにこの冷却媒体供給系には流量制御弁3が設けられている。
【0007】一方、20は温度計T1により計測された過熱器1の出口側の蒸気温度102と温度設定値100とが入力される上位制御器で、この上位制御器20は蒸気温度102と温度設定値100とを比較する比較部21と、この比較部21より蒸気温度と温度設定値との偏差が入力される比例要素22と、この比例要素22を通して得られる信号を積分する積分要素23と、この積分要素23により積分された信号と比例要素22を通して得られる信号とを加算する加算部24とから構成されている。
【0008】また、10は温度計T2により計測された過熱器1の入口側の蒸気温度と上位制御器20の出力とが入力される下位制御器で、この下位制御器10は上位制御器の出力を設定値として過熱器1の入口側の蒸気温度と比較して流量制御弁Vの開度を調節して減温器2のノズルを通して蒸気に吹込む水または低温蒸気の流量を制御するものである。
【0009】ここで、減温器2の制御はカスケード制御であり、上位制御器20の出力が下位制御器10の設定値となる。
【0010】このような構成の減温器制御装置の制御目的は、適正な流量の冷却媒体を作動蒸気に混入することにより、過熱器1の出口側の蒸気温度102を加熱器1の出口側の蒸気温度の設定値100以下に制御することにある。
【0011】本構成において、上位制御器20では過熱器1の出口側の蒸気温度102の計測値と温度設定値とを比較し、両者が等しくなるように制御出力を調節している。また、上位制御器20の出力は下位制御器10の設定値であり、過熱器1の入口温度の設定値となる。さらに、下位制御器10は上位制御器20で算出された設定値と過熱器1の入口側の温度とを比較して蒸気に吹込む水または低温蒸気の流量を調節している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の減温器制御装置においては、上位制御器20は過熱器1の出口側の蒸気温度102と設定値100とを比較し、下位制御器10の設定値である過熱器1の入口側の蒸気温度を算出し、過熱器1の出口側の蒸気温度102が設定値を超えようとすると下位制御器10により減温器2に吹込む水のまたは低温蒸気の流量が増加するように流量制御弁Vの開度が制御されるので、過熱器1の出口側の蒸気温度を最適値にすることができる。
【0013】しかし、このような減温器の制御系において、ボイラの運転条件によっては減温器に吹込む水または低温蒸気の流量(以下スプレー流量と呼ぶ)が0の場合でも、過熱器1の出口側の蒸気温度102が温度設定値100以下になることがある。この場合、スプレー流量が0であるため、減温器2の制御だけではこれ以上過熱器1の出口側の蒸気温度102を上げることができない。このため、上位制御器20では常に正の制御偏差を持つことになり、上位制御器の積分要素23の状態量が飽和および発散するという問題を発生する。
【0014】これを防ぐために、上位制御器20の積分要素23に上下限値を設定することが考えられる。しかしながら、この場合でも過熱器1の出口側の蒸気温度102の制御性がこの設定値によって大きく変化するため、設定値を決定するための調整が困難であるという問題がある。
【0015】また、過熱器1の出口側の蒸気温度102が最高値を超えることは機器の安全上好ましくないため、必要以上に制限範囲を狭めて上下限値を設定してしまうという問題もある。
【0016】加えて、この制限値の設定値には最適値があるが、コンバインドサイクルプラント内の減温器制御装置においては、その最適値は外気温等の環境条件によって異なるという問題がある。
【0017】本発明は上記のような問題点を解消し、制御器が飽和や発散することなく、運転条件や環境条件の変化に柔軟に対応し、過熱器の出口側の蒸気温度を常に良好に制御することができる減温器制御装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により減温器制御装置を構成する。
【0019】請求項1に対応する発明は、火力発電プラントのボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン上流の過熱器入口側に設けられた減温器より前記蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、前記過熱器出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を含む演算手段を有する上位制御器と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、前記過熱器の入口側蒸気温度との偏差に基づいて前記流量制御弁を制御する下位制御器とを備えたカスケード構成とし、かつ前記下位制御器の出力が一定値以下のとき前記上位制御器の入力である偏差に対し、前記積分要素の入力が増加しないように前記積分要素の入力信号に制限を加える制限手段を設けたものである。
【0020】請求項2に対応する発明は、火力発電プラントのボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン上流の過熱器入口側に設けられた減温器より前記蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、前記過熱器出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を含む演算手段を有する上位制御器と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、前記過熱器の入口側蒸気温度との偏差に基づいて前記流量制御弁を制御する下位制御器とを備えたカスケード構成とし、かつ前記減温器内に混入する水または低温蒸気の流量が一定値以下のとき前記上位制御器の入力である偏差に対し、前記積分要素の入力が増加しないように前記積分要素の入力信号に制限を加える制限手段を設けたものである。
【0021】請求項3に対応する発明は、火力発電プラントのボイラで発生させた蒸気をタービンへ供給する蒸気供給系のタービン上流の過熱器入口側に設けられた減温器より前記蒸気に混入する水または低温の蒸気の流量を流量制御弁を介して制御することにより、蒸気温度を低下させる減温器制御装置において、前記過熱器出口側の蒸気温度と温度設定値との偏差を積分する積分要素を含む演算手段を有する上位制御器と、この上位制御器の出力を設定値として入力し、前記過熱器の入口側蒸気温度との偏差に基づいて前記流量制御弁を制御する下位制御器とを備えたカスケード構成とし、かつ前記減温器内に混入する水または低温蒸気の流量を制御する流量制御弁の開度が一定値以下になったとき前記上位制御器の入力である偏差に対し、前記積分要素の入力が増加しないように前記積分要素の入力信号に制限を加える制限手段を設けたものである。
【0022】従って、上記請求項1乃至請求項3に対応する発明の減温器制御装置にあっては、減温器より蒸気供給系にスプレーされる水または低温蒸気の流量が0でしかも過熱器出口の上記温度が所定値以下になっても上位制御器の積分要素に入力される信号が制限されるので、上位制御器が飽和や発散することなく、運転条件や環境条件の変化に柔軟に対応し、蒸気温度を常に良好に制御することができる。
【0023】請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3に対応する発明のいずれかの減温器制御装置において、制限手段にヒステリシス特性を持たせ、積分要素の入力信号の切替動作による上位制御器の出力信号の頻繁な変動を抑制するようにしたものである。
【0024】請求項5に対応する発明は、請求項1乃至請求項3に対応する発明のいずれかの減温器制御装置において、制限手段は上位制御器の信号に制限を加えるか否かの判断条件が一定時間以上継続したことを条件に制限動作を行うようにしたものである。
【0025】従って、上記請求項4および請求項5に対応する発明の減温器制御装置にあっては、上記請求項1乃至請求項3に対応する発明と同様の作用効果が得られることに加えて、下位制御器の出力が上位制御器の設定値近辺で振動しても、必要以上に上位制御器の積分要素の入力切替を防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0027】図1は本発明による減温器制御装置の第1の実施の形態を示す構成図であり、図6と同一部品には同一符号を付して説明する。
【0028】図1において、1は図示しないボイラで発生した蒸気が蒸気供給系を通して導入される過熱器で、この過熱器1で昇温された蒸気は蒸気供給系を通して次段の図示しない過熱器または蒸気タービンに供給されるようになっている。
【0029】また、2は過熱器1の入口側の蒸気供給系に設けられた減温器で、この減温器2には水または低温蒸気を吹き付けるためのノズルを備え、このノズルには冷却媒体供給系が接続され、さらにこの冷却媒体供給系には流量制御弁Vが設けられている。
【0030】一方、30は温度計T1により計測された過熱器1の出口側の蒸気温度102と温度設定値100とが入力される上位制御器で、この上位制御器30は蒸気温度102と温度設定値100とを比較する比較部31と、この比較部31より入力される蒸気温度と温度設定値との偏差信号101を0または負の値に制限する信号制限器32と、固定接点Sa,Sbおよび可動接点Scを有し、固定接点Saに比較部31から偏差信号が入力され、固定接点Sbには信号制限器32の出力信号が入力される切替器33と、後述する下位制御器10の出力信号が一定値以下になったことを検出すると切替器33に切替指令を与えて可動接点Scを固定接点Sa側からSb側に切替える比較器34と、切替器33を通して入力される比較部31からの偏差信号または比較器34の出力信号をPID演算を実行してその演算結果を設定値として出力するPID演算器35とを備えている。
【0031】また、10は温度計T2により計測された過熱器1の入口側の蒸気温度と上位制御器20より出力される設定値とが入力される下位制御器で、この下位制御器10は上位制御器から入力される設定値と過熱器1の入口側の蒸気温度とを比較して流量制御弁Vの開度を調節し、減温器2のノズルを通して蒸気に吹込む水または低温蒸気の流量を制御するものである。
【0032】ここで、減温器2の制御は上位制御器30の出力を下位制御器10の設定値とするカスケード構成となっている。
【0033】次にこのように構成された減温器制御装置の作用を述べる。
【0034】図1において、上位制御器30では過熱器1の出力側の蒸気温度102の計測値と温度設定値とを比較し、両者が等しくなるように制御出力を調節している。また、上位制御器30の出力は下位制御器10の設定値であり、過熱器1の入口温度の設定値となる。
【0035】さらに、下位制御器10では上位制御器30で算出された設定値と過熱器1の入口側の温度とを比較してその偏差により流量制御弁Vの開度を制御することにより、減温器2に混入するスプレー流量を調整する。
【0036】ここで、上位制御器30において、比較器34は下位制御器10の出力が設定値に対して例えば5%開度指令値以下かどうかを常に比較している。
【0037】そして、この比較器34により下位制御器10の出力が5%開度指令値を超えている場合は、信号切替器33の可動接点Scは固定接点Sa側に接続され、比較要素31より出力される偏差信号をPID演算器35に入力している。
【0038】従って、下位制御器10の出力が5%開度指令値を超えている時は従来装置と同様に通常のカスケード制御により減温器2のスプレー流量を制御することができる。
【0039】また、比較器34により下位制御器10の出力が5%開度指令値以下になったことが検出されると、切替指令により信号切替器23の可動接点Scが固定接点Sb側に切替わり、信号制限器34の出力信号をPID演算器35に入力する。
【0040】この場合、信号制限器34は、比較要素31より出力される偏差信号101を正の値を持たない0または負になるように制限している。
【0041】従って、従来の減温器制御装置ではスプレー量が0の場合にも、過熱器1の出口側の蒸気温度102が設定値以下のとき、上位制御器30の比較要素31より出力される偏差信号が正の値を取り続けてPID演算器35の積分器が飽和し、発散する現象を生じるが、本実施の形態では上位制御器30の比較要素31より出力される偏差信号101が信号制限器32により、0または負の値を取るように制限されるので、PID演算器35での積分器の状態量は増加することがなく、積分器が飽和して発散することを防止している。
【0042】このように本実施の形態では、下位制御器10の出力信号が5%開度指令値以下になったことを検出することで、減温器2に水または低温蒸気を混入しなくても、過熱器1の出口側の蒸気温度102が設定値以下になる運転状態を検出し、この運転状態のときに上位制御器30の比較要素31より出力される偏差信号に0または負の値を取るように制限を加えているので、PID演算器35での積分器の状態量は増加することがなく、積分器の飽和および発散を防止できる。
【0043】従って、実運転状態において、減温器の動作が不要になる運転条件を的確にとらえて制御装置の動作切替を行うことにより、大気温度や燃料組成の変化に影響を受けない、すなわち運転状態や環境条件の変化にも柔軟に対応し、常に良好な制御を行うことができる。
【0044】また、従来の上位制御器において、積分器上限を設けた場合にはその上限の設定値を現地試験運転時に調整する必要があるが、本実施の形態で設定が必要なパラメータはスプレー流量が0近傍にあることを検出するための比較器30の設定値だけであり、その値は制御性能に大きな影響を与えることがない。このため、従来の場合には必要であった調整作業を省略でき、現地での調整作業を削減することができる。
【0045】図2は本発明による減温器制御装置の第2の実施の形態を示す構成図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点についてのみ述べる。
【0046】第2の実施の形態では、上位制御器40を次のような構成とするものである。即ち、図2に示すように蒸気温度102と温度設定値100とを比較する比較部41と、この比較部41より蒸気温度と温度設定値との偏差が入力される比例要素42と、この比例要素42を通して得られる信号を0または負の値に制限する信号制限器43と、固定接点Sa,Sbおよび可動接点Scを有し、固定接点Saに比例要素42からの偏差信号が入力され、固定接点Sbには信号制限器43の出力信号が入力される切替器44と、下位制御器10の出力信号が一定値以下になったことを検出すると切替器44に切替指令を与えて可動接点Scを固定接点Sa側からSb側に切替える比較器45と、切替器44を通して入力される比例要素42からの偏差信号または比較器43の出力信号を積分する積分要素46と、この積分要素46により積分された信号と比例要素42を通して得られる信号とを加算する加算部47とから構成されている。
【0047】次にこのように構成された減温器制御装置の作用を述べる。
【0048】図2において、上位制御器40では加熱器1の出力側の蒸気温度102の計測値と温度設定値とを比較し、両者が等しくなるように制御出力を調節している。また、上位制御器30の出力は下位制御器10の設定値であり、過熱器1の入口温度の設定値となる。
【0049】さらに、下位制御器10では上位制御器40で算出された設定値と過熱器1の入口側の温度とを比較してその偏差により流量制御弁Vの開度を制御することにより、減温器2に混入するスプレー流量を調整する。
【0050】ここで、上位制御器40において、比較器45は下位制御器10の出力が設定値に対して例えば5%開度指令値以下かどうかを常に比較している。
【0051】そして、この比較器45により下位制御器10の出力が5%開度指令値を超えている場合は、信号切替器44の可動接点Scは固定接点Sa側に接続され、比例要素42より出力される偏差信号を積分要素46に入力している。この積分要素46により積分された信号と比例要素42を通して得られる信号とを加算部47により加算して下位制御器10に設定値として与える。
【0052】従って、下位制御器10の出力が5%開度指令値を超えている時は従来装置と同様に通常のカスケード制御により減温器2のスプレー流量を制御することができる。
【0053】また、比較器45により下位制御器10の出力が5%開度指令値以下になったことが検出されると、切替指令により信号切替器44の可動接点Scが固定接点Sb側に切替わり、信号制限器43の出力信号を積分要素46に入力する。この積分要素46により積分された信号は比例要素42を通して得られる偏差信号と加算部47により加算され、下位制御器10に設定値として与えられる。
【0054】この場合、信号制限器34は、比例要素42より出力される偏差信号を正の値を持たない0または負になるように制限している。
【0055】従って、従来の減温器制御装置ではスプレー量が0の場合にも、過熱器1の出口側の蒸気温度102が設定値以下のとき、上位制御器40の比例要素42より出力される偏差信号が正の値を取り続けて積分要素46が飽和し、発散する現象を生じるが、本実施の形態では上位制御器40の比例要素42より出力される偏差信号が信号制限器43により、0または負の値を取るように制限されるので、積分要素46の状態量は増加することがなく、積分要素46が飽和して発散することを防止している。
【0056】従って、実運転状態において、減温器の動作が不要になる運転条件を的確にとらえて制御装置の動作切替を行うことにより、大気温度や燃料組成の変化に影響を受けない、すなわち運転状態や環境条件の変化にも柔軟に対応し、常に良好な制御を行うことができる。
【0057】また、従来の上位制御器において、積分器上限を設けた場合にはその上限の設定値を現地試験運転時に調整する必要があるが、本実施の形態で設定が必要なパラメータはスプレー流量が0近傍にあることを検出するための比較器30の設定値だけであり、その値は制御性能に大きな影響を与えることがない。このため、従来の場合には必要であった調整作業を省略でき、現地での調整作業を削減することができる。
【0058】図3は本発明による減温器制御装置の第3の実施の形態を示す構成図で、図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点についてのみ述べる。
【0059】第3の実施の形態では、図3に示すように減温器2に流入する水または低温蒸気の流量を計測するスプレー流量計測器80を冷媒供給系に接続し、このスプレー流量計測器80により計測された計測値を上位制御器40の比較器45に与えるようにしたものである。この場合、比較器45はスプレー流量計測器80の計測値が一定値以下になっているか否かを検出し、一定値以下になったことを検出すると信号切替器44に切替指令を与えるものである。
【0060】このような構成の減温器制御装置とすれば、上位制御器40の比較器45にスプレー流量計測器80により計測された計測値を入力することにより、比較器45は計測値が一定値以下であるか否かを評価し、一定値以下であることを検出すると信号切替器44に切替指令を与えて可動接点Scを固定接点Sb側に切替えるので、信号制限器43の出力信号が積分要素46に入力される。
【0061】従って、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】このような構成の減温器制御装置とすれば、上位制御器40の比較器45にスプレー流量計測器80により計測された計測値を入力することにより、比較器45は計測値が一定値以下であるか否かを評価し、一定値以下であることを検出すると切替指令により信号切替器44の可動接点Scが固定接点Sb側に切替わり、信号制限器43の出力信号が積分要素46に入力されるので、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】さらに、本実施の形態では、比較器45は下位制御器10の開度指令値ではなく、スプレー流量の実際の計測値をもとに動作するので、運転状態の把握と動作切替えがより的確に行えるという利点もある。
【0064】図4は本発明による減温器制御装置の第4の実施の形態を示す構成図で、図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点についてのみ述べる。
【0065】第4の実施の形態では、図4に示すように流量制御弁3の実開度を検出し、その検出値を上位制御器40の比較器45に与えるようにしたものである。この場合、比較器45は、流量制御弁3の開度が一定値以下になっているか否かを検出し、一定値以下になったことを検出すると信号切替器44に切替指令を与えるものである。
【0066】このような構成の減温器制御装置とすれば、上位制御器40の比較器45に流量制御弁3の開度検出値を入力することにより、比較器45では開度検出値が一定値以下であるか否かを検出し、一定値以下であることを検出すると信号切替器44に切替指令を与えて可動接点Scを固定接点Sb側に切替えて信号制限器43の出力信号が積分要素46に入力されるので、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】さらに、本実施の形態では、比較器45は下位制御器10の開度指令値ではなく、流量制御弁3の実開度検出値をもとに動作するので、第1の実施の形態および第2の実施の形態に比較してより確実な運転状態の把握と上位制御器の動作切替えが行えるという利点がある。
【0068】図5は本発明による減温器制御装置の第5の実施の形態を示す構成図で、図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点についてのみ述べる。
【0069】第5の実施の形態では、上位制御器40において、信号切替器44に切替指令を与える比較器として、下位制御器10の出力信号が一定値以下になったことをヒステリシス特性を伴って検出するヒステリシス特性比較器48を設けるものである。この場合、ヒステリシス特性比較器48は下位制御器10の出力が、つまり開度指令値が増加する時と減少する時とで設定値が異なり、検出感度が異なっている。
【0070】このような構成の減温器制御装置とすれば、上位制御器40のヒステリシス特性比較器48に下位制御器10の出力信号が一定値以下であるか否かを検出し、一定値以下であることを検出すると信号切替器44に切替指令を与えて可動接点Scを固定接点Sb側に切替えて信号制限器43の出力信号が積分要素46に入力されるので、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0071】また、本実施の形態では、前述した第2の実施の形態と比べて次のような作用効果を得ることができる。即ち、第2の実施の形態では、下位制御器10の出力信号が比較器45の設定値近辺で振動すると、その振動に同期して比較器45が動作するため、上位制御器40の動作が繁雑に切替えられる。これに対して、本実施の形態では、比較器としてヒステリシス特性比較器48を用いているので、下位制御器10の出力信号が任意の値の近辺で振動しても、出力信号の最大値がヒステリシス特性の上位設定値を超え、さらに出力信号の最小値がヒステリシス特性の下位設定値以下にならない限り、振動に同期して動作することはない。従って、第2の実施の形態のように上位制御器を必要以上に繁雑に切替動作させることが防止できる。
【0072】図6は本発明による減温器制御装置の第6の実施の形態を示す構成図で、図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点についてのみ述べる。
【0073】第6の実施の形態では、図6に示すように上位制御器40において、下位制御器10の出力信号が入力される比較器45の出力側に信号連続検出器49を設け、この信号連続検出器49より信号切替器44に切替指令を与えるようにしたものである。ここで、上記信号連続検出器49は、比較器45により下位制御器10の出力される開度指令値が一定値以下になったことを検出すると、その出力が一定時間以上継続していることを条件に信号切替器44に切替指令を与えるようにしたものである。
【0074】このような構成の減温器制御装置とすれば、上位制御器40の比較器45に下位制御器10の出力信号が一定値以下であるか否かを検出し、一定値以下であることを検出すると、信号連続検出器49は比較器45の出力が一定時間以上継続していることを条件に信号切替器44に切替指令を与えて可動接点Scを固定接点Sb側に切替え、信号制限器43の出力信号が積分要素46に入力されるようにしたので、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】また、本実施の形態では、前述した第2の実施の形態と比べて次のような作用効果を得ることができる。即ち、第2の実施の形態では、下位制御器10の出力信号が比較器45の設定値近辺で振動すると、その振動に同期して比較器45が動作するため、上位制御器40の動作が繁雑に切替えられる。これに対して、本実施の形態では、比較器45の出力側に設けられ信号連続検出器49により比較器45の出力が一定時間以上継続下ときのみ信号切替器44に切替指令を与えるようにしているので、下位制御器10の出力が任意の値近辺で振動する場合においても、振動に同期して動作することはない。
【0076】従って、第2の実施の形態のように上位制御器を必要以上に繁雑に切替動作させることが防止できる。
【0077】なお、前述した各実施の形態では、積分要素に入力される偏差信号が正の場合を例にとり、信号制限器により積分要素の入力信号を0または負の値に制限するようにしたが、積分要素に入力される偏差信号が負の場合には入力信号を0または正の値に制限することはいうまでもない。
【0078】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、制御器が飽和や発散することなく、運転条件や環境条件の変化に柔軟に対応し、加熱器の出口側の蒸気温度を常に良好に制御することができる減温器制御装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年3月16日(1999.3.16)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開2000−266304(P2000−266304A)
【公開日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願番号】 特願平11−69911