| 【発明の名称】 |
プロセスの制御方法と流動層ボイラ及びその燃料供給方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮本 英治
【氏名】伊丹 哲郎
【氏名】植中 忠男
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| 【要約】 |
【課題】高速負荷変動時においても再熱蒸気温度または層温のハンチングを防ぎ、設計計画値に入るようなプロセス制御ができるようにすることと流動層ボイラの運転停止後の燃料供給ノズル中に残存する燃料の炉内パージ時点を適切にすることで流動層温度の過上昇および燃料の燃え残りを防ぐことである。
【解決手段】第1の発明は、現時点で計測される物理量から時間差分nを推算し、現時点からn時間後の制御量を予測し、これらの対応する測定値との偏差により操作量を補正するものである。ここで現時点tから時点(t+n)の間は現時点での操作量が保持されるとする。第2の発明は、流動層ボイラの燃焼反応の頻度因子Fと活性化エネルギーEおよび燃料中水分含有率(1−wck)を用いて適切な層温範囲の上限値TB1*を算出し、層温の測定値がこの値になった時点で流動層ボイラの運転停止後の燃料供給ノズル中に残存する燃料の炉内パージを行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 計算モデルによる予測制御において、予測値を計算する時点の現時点からの時間的隔たりを、現時点のオンラインで計測できる状態量を用いて計算することを特徴とするプロセス制御方法。 【請求項2】 水を流動層火炉内の蒸発器に供給して蒸気を生成させ、該蒸気から水を分離した後、蒸気を再び流動層火炉内の過熱器で過熱して高圧タービンに送り、高圧タービンで仕事をした蒸気を流動層火炉内の再熱器で再熱して再熱蒸気を生成させ、該再熱蒸気により中低圧タービンで仕事をさせる流動層火炉を備えた流動層ボイラの蒸気温度及び流動層の層温制御方法であって、所定時間後の再熱蒸気温度の予測値と再熱蒸気温度設定値との偏差によって流動層の層高設定値を修正することを特徴とする流動層ボイラの再熱蒸気温度及び流動層の層温制御方法。 【請求項3】 所定時間後の再熱蒸気温度の予測値と再熱蒸気温度設定値との偏差によって層高設定値を修正するとともに、所定時間後の層温予測値と層温設定値との偏差によって流動層に供給する燃料流量設定値を修正することを特徴とする請求項2記載の流動層ボイラの再熱蒸気温度及び流動層の層温制御方法。 【請求項4】 所定時間後の再熱蒸気温度及び流動層の層温の予測値を計算する時点の現時点からの時間的隔たりを、流動層ボイラの出口酸素濃度と入口酸素濃度の平均値を用いて算出することを特徴とする請求項2記載の流動層ボイラの再熱蒸気温度及び流動層の層温制御方法。 【請求項5】 所定時間後の再熱蒸気温度及び流動層の層温の予測値を計算するためのパラメータとして、当該時点のオンラインで計測できる状態量を使用することを特徴とする請求項2記載の流動層ボイラ再熱蒸気温度及び層温制御方法。 【請求項6】 蒸気発生用の伝熱管を流動層内部に配置し、流動層中に燃料を供給する燃料供給ノズルを備えた流動層ボイラにおいて、運転停止後に燃料供給ノズル中に残存する燃料を火炉内パージする時点での適切な流動層の層温度範囲の上限値と下限値を、燃焼反応の頻度因子と活性化エネルギーおよび燃料中水分含有率を用いて演算する演算装置を有することを特徴とする流動層ボイラ。 【請求項7】 運転停止後に燃料供給ノズル中に残存する燃料を炉内パージする時点として、流動層の層温度が上限の温度となった時点とすることを特徴とする請求項6記載の流動層ボイラ。 【請求項8】 蒸気発生用の伝熱管を流動層内部に配置し、流動層中に燃料を供給する燃料供給ノズルを備えた流動層ボイラに燃料を供給する方法において、燃焼反応の頻度因子と活性化エネルギー、および燃料中水分含有率を用いて流動層ボイラの運転停止後に燃料供給ノズル中に残存する燃料を炉内パージする時点を決める適切な層温度範囲の上限値を演算することを特徴とする流動層ボイラの燃料供給方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、流動層ボイラなどのモデルによる予測制御装置に係わり、特に好適な計算モデルを有するプロセスの制御装置などに関する。 【0002】また、本発明は、流動層ボイラなどの燃料供給方法と燃料供給ノズル中の残存燃料を炉内パージする際に好適な流動層温度の演算装置を有する流動層ボイラに関する。本発明の適用例の一例として加圧流動層ボイラを説明するが、本発明の利用分野は加圧流動層ボイラに限定されるものではなく、通常の流動層ボイラをはじめとする各種装置のモデルによる予測制御装置および燃料供給装置に関する。 【0003】 【従来の技術】計算モデルを有するプロセスの制御において、操作量は次のように決められる。すなわち、現時点での操作量及び計測される物理量を用いて、ある時間後の時点での制御量をモデルにより計算予測し、これらの対応する測定値との偏差により操作量を補正する。 【0004】加圧流動層ボイラを例として説明する。図2に加圧流動層ボイラの水/蒸気フローを示す。給水過熱器(図示せず)からポンプ(図示せず)によって昇圧された水は火炉101内の蒸発器203において蒸気となり、汽水分離器204において水と蒸気が分離され、蒸気は再び火炉101内の過熱器205において過熱された後、高圧タービン206に到る。高圧タービン206で仕事をした蒸気は再熱器207で過熱されて火炉101外に出て、中低圧タービン208から復水器209に戻る。 【0005】次に火炉101に関して、従来技術の流動層温度及び再熱蒸気温度の制御方式を図9を用いて説明する。再熱蒸気温度は以下のように流動層の層高により制御される。すなわち、再熱蒸気温度301と負荷要求302から関数発生器303aで算出される再熱蒸気温度設定値304とを減算器305aで比較し、その偏差306aを調節器307aに導き、フィードバック信号308aを作る。 【0006】ボイラマスタ309からは関数発生器303bで構成される流動層の層高先行信号310が作られ、加算器311aでフィードバック信号308aと加算され、層高設定値312を作る。層高313と層高設定値312とを減算器305bで比較して、その偏差306bを調節器307bに導き、フィードバック信号308bを作り、再熱蒸気温度301が再熱蒸気温度設定値304に追従するように層高制御設備314にて層高313を変動させる。 【0007】層温315と負荷要求302から関数303cで構成される層温設定値316とを減算器305cで比較し、その偏差306cを調節器307cに導き、操作信号308cを作る。また、ボイラマスタ309からは関数発生器303dで構成される燃料流量先行信号317が作られる。操作信号308cと燃料流量先行信号317を加算器311bで加算し、火炉101に導く燃料流量設定値318を作るが、層高変動時に層温315を安定化させるために層高313と層高設定値312との偏差306bから調節器307dにより、操作信号308dを作り、これを加算器311bにて加算する。 【0008】また、図11に従来技術の加圧流動層ボイラの火炉運転停止後に燃料供給ノズル中に残存する燃料を炉内パージするフローを示す。炉内パージ時刻の設計計画値と現在時刻とを比較装置504で比較し、両値が等しいときパージ指令信号を作り、燃料供給設備505によりノズル内残存燃料をパージさせる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上記図9に例示した従来技術の計算モデルを有するプロセスの制御では、ある時点tにおいて予測値を計算するべき時点(t+△t)を決定する際の根拠が無く、制御対象の状態が刻々と変化するような場合には適切な制御ができず、制御量が設計計画値を逸脱することがあった。 【0010】加圧流動層ボイラを例に説明すると、火炉内の層温均一化を目的として燃料は石炭・水ペーストの形で供給されており火炉での燃焼遅れが通常のボイラに比べて大きい。すなわち石炭・水ペーストが火炉に供給されると塊状となったペーストは流動化空気によって火炉流動層内において拡散し、この拡散プロセスにおいてペースト中の水分が蒸発し、微粉炭となって着火に至る。 【0011】従来技術になる計算モデル予測に基づく再熱蒸気温度及び層温制御では、ある時点tにおいて△t後の予測計算をするが、この△tは経験等により、ある特定の値に固定されている。すなわち、水分が変動する時などには、燃焼遅れ時間が変動し、この△tが変動する。従って負荷変化時に再熱蒸気温度または流動層の層温がハンチングし、設計計算値を逸脱する場合がある。また、再熱スプレーが作動する場合にはプラント効率を低下させることになる。本発明の第1の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、高速負荷変動時においても再熱蒸気温度または層温のハンチングを防ぎ、設計計画値に入るようなプロセス制御ができるようにすることである。 【0012】また、図11に示す従来技術の加圧流動層ボイラの火炉運転停止後に燃料供給ノズル中に残存する燃料を炉内パージする燃料供給量制御方式では、運転停止後にノズル中に残存する燃料を炉内にパージする時点は、設計計画上決められた運転停止時点から所定時間経過後のある時刻として決定されており、パージ時点での適切な層温度範囲は配慮されていなかった。このため、図12に模式的に示すように、パージ時点で層温が適切な範囲より高い場合はパージした燃料は短時間で燃焼するが、層温が過度に上昇するおそれがあり、アグロメ生成または伝熱管損傷の危険があった。逆にパージ時点で層温が適切な範囲より低い場合は層温が過度に上昇することはないが層内に燃料が残ったままで失火、停止するおそれがあり、次回起動時に層温が過度に上昇する危険があった。本発明の第2の課題は、流動層ボイラの運転停止後の燃料供給ノズル中に残存する燃料の炉内パージ時点を適切にすることで流動層温度の過上昇および燃料の燃え残りを防ぐことである。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決するための、第1の発明は、現時点で計測される物理量から時間差分nを推算し、現時点からn時間後の制御量を予測し、これらの対応する測定値との偏差により操作量を補正するものである。ここで現時点tから時点(t+n)の間は現時点での操作量が保持されるとする。 【0014】加圧流動層ボイラを例として説明すると、例えば、現時点で計測される物理量から推算される燃焼の遅れ、メタル温度の遅れ、再熱蒸気温度の遅れ、層内物質(これをBMと記す)の熱容量による遅れ、及び、燃料がCWPの場合ならCWP中の水分の蒸発による遅れなどによる関数で表される時間nの後の再熱蒸気温度及び層温を予測し、これらの対応する測定値との偏差により層高設定値及び燃料流量設定値を補正する。 【0015】ここで現時点tから時点(t+n)の間は現時点での操作量が保持されるとする。これにより高速負荷変動時においても再熱蒸気温度または層温のハンチングを防ぎ、設計計画値に入るような制御ができる。また、上記第2の課題を解決するための、本発明の第2の発明は、流動層ボイラの燃焼反応の頻度因子Fと活性化エネルギーEおよび燃料中水分含有率(1−wck)を用いて適切な層温範囲の上限値TB1*を算出し、層温の測定値がこの値になった時点で流動層ボイラの運転停止後の燃料供給ノズル中に残存する燃料の炉内パージを行えばよい。こうして層温の過上昇を防ぎ、層内にパージさせて燃料を最短時間で燃え切らせることができる。 【0016】 【作用】加圧流動層ボイラを例として、本発明の第1の発明の計算モデルを有するプロセスの制御を説明する。本発明では現時点からn時間後の再熱蒸気温度及び層温を予測し、この予測値がn時間後のそれぞれの設定値に追従するようにして、高速負荷変化時においても再熱蒸気温度または層温のハンチングを防ぐものである。上記の予測値を計算するための動特性計算モデルと遅れ時間の推算方法を以下に示す。 【0017】(1)動特性モデル層温、再熱蒸気温度の動特性は下式で記述される。 【数1】
ここでtは時間[s]、d/dtは時間微分[s−1]であり、TB(t):層温 [℃ ] TS(t):再熱蒸気温度 [℃] CS:層比熱 [kcal/(kg・℃ )] ρS:層密度 [kcal/m3] X(t):層高 [m] VB(X(t)):層体積 [m3] Hu:石炭の発熱量 [kcal/kg] Gf(t):燃焼量 [kcal/s] Cg:燃焼ガス比熱 [kcal/(kg・℃ )] α(X(t)):層〜水/蒸気の熱貫流率 [kcal/(m2・℃・s)] A(X(t)):再熱器有効伝熱面積 [m2] 【0018】ρw:水/蒸気密度 [kcal/m3] Vw:再熱器水/蒸気容積 [m3] H(t):再熱器出口エンタルピ [kcal/kg] HSH(t):再熱器入口エンタルピ [kcal/kg] P(t):圧力 [at] J:単位換算係数 [at・m3/kcal] GBMin(t):BMタンクから火炉へのBM投入流量 [kg/s] GBMout(t):火炉からBMタンクへのBM抜出し流量 [kg/s] CBM:BMタンク内BM比熱 [kcal/(kg・℃)] VB(X(t)):層体積 [m3] TBM(t):BMタンク内BM温度 [℃] であり、火炉層内燃料濃度ρc(t)は、【数2】
であり、また、燃料量Gf(t)は、火炉層内燃料濃度ρc(t)を用い、【数3】
また、Ts(t)=f(H(t),P(t)) (5) の関係がある。 【0019】ここで、Mo2:酸素分子量 [kg/kmol] uh:空塔速度 [m/s] S(X(t)):層表面積 [m2] Gfuel(t):燃料流量 [kg/s] f(H、P):エンタルピHと圧力Pから温度を算出する関数 [℃] である。また層体積VB(X(t))及び層表面積S(X(t))は層高(X(t)により変化する、火炉形状から決まる関数であり、層高(X(t)の変化は次の式で決まる。 【0020】 【数4】
すなわち、【数5】
である。 【0021】(2)遅れ時間の推算以上式(1)、(2)から、層温TB(t)を制御する操作量は、燃料流量Gfuel(t)及び層高X(t)であり、再熱蒸気温度を制御する操作量は層高X(t)であり、現時点で流量Gfuel(t)を操作しても、それはn時間後の層温TB(t+n)に効果を及ぼすことになる。すなわち式(1)において再熱蒸気温度と層温の動特性式には時間遅れが含まれることが分かる。 【0022】式(3)を変形して、【数6】
式(8)より、【数7】
となる。ただし、【数8】
ρc(t):火炉層内燃料濃度 [kg/m3] ρo2(t):平均酸素濃度 [kg/m3] Pubc:未燃分飛散率 [−] K:燃焼反応速度定数 [kmol/(m3・s)]。 【0023】ここで、ρo2(t)を平均値と考えるならば、ρo2(t)は時間的に一定の値であるので、式(9)より燃焼の時間遅れτ1は、【数9】
と、火炉内平均酸素濃度ρo2(t)を使って表現できることが分かる。 【0024】メタル温度の動特性は、【数10】
である。ここで、CM:メタル管比熱 [kcal/(kg ・℃)] ρM:メタル管密度 [kg/m3] θM:メタル管温度 [℃] θs:メタル管内蒸気温度 [℃] αg:メタル管外部伝熱管係数 [kcal/(m2 ・℃・s )] αs:メタル管内部伝熱管係数 [kcal/(m2 ・℃・s )] Ag:メタル管外部表面積 [m2/m3] As:メタル管外部表面積 [m2/m3] Gw(t):給水流量 [m3/s] であり、式(12)を変形すると、【数11】
となる。 【0025】従って、メタル温度の時間遅れτ2は、【数12】
さらに、式(2)を変形して、同様に蒸気温度の時間遅れτ3を求めると、【数13】
また、式(1)を変形して、BMの熱容量による遅れτ4は、【数14】
燃料がCWPの場合は、これに加えてCWP中水分の蒸発による遅れ時間τ5を用いて、 n=f(τ1、τ2、τ3、τ4、τ5) (17) ここで、f(τ1、τ2、τ3、τ4、τ5)は、τ1、τ2、τ3、τ4、τ5からnを求める関数である。 【0026】本発明の第2の発明ではノズル内残存燃料の炉内パージ時点での適切な層温の上限値および下限値を計算し、この上限値に層温測定値が一致した時点で流動層ボイラの運転停止後の燃料供給ノズル中に残存する燃料の炉内パージを行い、層温の過上昇および燃料の燃え残りを防ぐものである。上記の上限値および下限値の計算方法については実施の形態の項で述べる。 【0027】 【発明の実施の形態】本発明の第1の発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1には本発明の好適な計算モデルを有するプロセスの制御方式の一実施の形態である加圧流動層ボイラの制御構成図を示す。図9で説明した従来技術との相違点のみ説明する。 【0028】動特性モデル401は前記微分方程式に従い、現時点tの空気流量Ga(t),給水流量Gw(t)、燃料流量Gfuel(t)402、層高X(t)313、BMタンク内BM温度TBM403、BM投入・抜出し流量GBMin(t)、GBMout(t)404を現時点からn時間後まで保持し、初期条件として現時点tでの再熱蒸気温度TS(t)301、層温TB(t)315を与え、時点(t+n)での再熱蒸気温度予測計算値TS(t+n)での層温予測計算値TB(t+n)406を算出するものである。 【0029】動特性モデル401から算出された時点(t+n)での再熱蒸気温度予測計算値405と、負荷要求302から関数407aで構成される時点(t+n)の再熱蒸気温度設定値408とを減算器409aで比較し、その偏差410aを調節器411aに導き、操作信号412aを作る。これを加算器311aで層高先行信号310及び現時点tでの再熱蒸気温度301と再熱蒸気温度設定値304との偏差306aから決る操作信号308aと加算し、層高設定値312を作る。層高313と層高設定値312とを減算器305bで比較し、その偏差306bを調節器307bに導き、操作信号308bを作つた後、層高制御設備314において層高313を再熱蒸気温度301が再熱蒸気温度設定値304に追従するように変動させる。 【0030】動特性モデル401から算出された時点(t+n)での層温計算予測値406と、ボイラマスタ309から関数407bで構成される時点(t+n)の層温設定値414とを減算器409bで比較し、その偏差410bを調節器411bに導き操作信号412bを作る。これを加算器311bで燃料流量先行信号317及び現時点tでの層温315と層温設定値316との偏差306cから決まる操作信号308cと加算し、燃料流量設定値415を作る。 【0031】 【数15】
【数16】
は、例えばρo2出とρo2入の算術平均で計算される。 【0032】 【数17】
燃料がCWPである場合はτ5も加え、nは一例として n=τ1+τ2+τ3+τ4+τ5 (22) で表される。 【0033】図3は燃焼遅れ時間τ1を求めるフローチャートを示す図であり、図4はメタル温度遅れ時間τ2を求めるフローチャートを示す図であり、また、図5は蒸気温度遅れ時間τ3を求めるフローチャートを示す図である。 【0034】本発明による負荷上げ制御の一例を図6に示す。図6でMWDはMWdemandの略号である。層温の上昇に対して、火炉出口NOx、SOxはそれぞれ単調増加、単調減少の減少の傾向にあり、火炉出口NOx、SOxの両方の値を設計計画値以下に抑える層温域が存在するので、層温をこの範囲に制御することにより、火炉出口NOx、SOxの値を設計計画値内に入れることができる。 【0035】また、ゴミ焼却炉の場合、nは n=τ1+τ2+τ3+τ4+τ5 (23) により求める。ここで、【数18】
ここで、KMは燃料中各成分の組成等から決定される値であり、τ2、τ3、τ4については、加圧流動層ボイラにおける式と同様である。 【0036】また、常圧流動層ボイラの場合は、nは n=τ1+τ2+τ3+τ4+τ5 (25) であり、τ1、τ2、τ3、τ4、τ5については、加圧流動層ボイラにおける式と同様である。 【0037】従って、ゴミ焼却炉及び常圧流動層ボイラの場合も、加圧流動層ボイラの場合と同様に予測値を計算する時点(t+n)の現時点tからの隔たりの時間nを計算することができ、時点(t+n)での制御量計算予測値と設定値の差から現時点tでの操作量を決定することができる。 [比較例]図10は、図6に示した加圧流動層ボイラの本発明による負荷上げ制御と同じ条件で、従来法による制御を行った結果である。本発明では、計算時点(t+n)の、現時点tからの時間的隔たりnを、現時点tで計測される物理量から算出するため、より有効的な制御量予測値を用いて制御を行うことができ、設定値と実際の制御量のずれが小さい。一方、従来法では、nを根拠なくある固定値としているため、計算予測する時点(t+n)での制御量が不安定になり、両者のずれが大きい。 【0038】次に第2の発明の流動層ボイラの運転停止後の燃料供給ノズル中に残存する燃料の炉内パージ時点を適切に決定する燃料供給制御の実施の形態について説明する。本例では燃料供給ノズル内残存燃料の炉内パージ時点での適切な層温の上限値および下限値を計算し、この上限値に層温測定値が一致した時点でパージすることで層温の過上昇および燃料の燃え残りを防ぐものである。層温、層内燃料濃度の動特性は下式で記述される。 【数19】
【0039】ここでt:時間[s] d/dt:時間微分[s−1] TB(t):層温 [℃ ] ρc(t):層内燃料濃度[kg/m3 ] Gair:入口空気比熱[kcal/kg] CB:層内物質(BM)比熱[kcal/kg・℃] Cg:燃焼ガス比熱 [kcal/(kg・℃ )] CH2O:水蒸気比熱[kcal/(kg・℃ )] Cpk:投入燃料比熱[kcal/(kg・℃ )] CS:層外飛散未燃分比熱[kcal/(kg・℃ )] ρB:BM密度[kg/m3 ] ρO2:層内酸素濃度[kg/s] 【0040】Gair:入口空気流量[kg/s] Gcwp:投入燃料量[kg/s] Ggm:燃焼ガス流量[kg/s] Tair:入口空気温度[℃ ] Tk:投入燃料温度[℃ ] Qevap:水の蒸発潜熱[kcal/kg] hu:無水燃料発熱量[kcal/kg] Pubc:未燃分層外飛散率[−] uh:空塔速度[m/s] MO2:酸素分子量[kg/kmol] s:層表面積[m2] v:層体積[m3] (1−wck):燃料中水分含有率[−] K(F,E,TB(t)):燃焼反応速度係数[m3/(kmol・s)] であり、 K(F,E,TB(t))=F・exp[−E/R・TB(t)] (28) である。 【0041】ここで、式(26)、(27)により、燃料パージ後の層温度TB(t)および層内燃料濃度ρc(t)の値は、頻度因子F、活性化エネルギーE、および燃料中有水分含有率(1−wck)を入力することで算出できる。燃料パージ後の層温度TB(t)の最大値がその許容値を超えないような燃料パージ時点の層温度の最大値をTB1*と決定する。また、燃料パージ後の層内燃料濃度ρc(t)の最小値がその許容値を超えないような燃料パージ時点の層温度の最小値をTB2*と決定する。 【0042】図7を用いて本発明の流動層ボイラの燃料供給装置における実施の形態について説明する。限界層温演算装置601は前頁に示した微分方程式に従い、頻度因子F、活性化エネルギーE、燃料注水分含有率(1−wck)、およびアグロメ生成と電熱感損傷の起こらないための層温最大値の許容値、次回起動時にアグロメの生成が起こらないための層内燃料残留濃度の最大値の許容値、および初期条件として運転停止時の層温度、層内燃料濃度を与え、炉内パージ時点の適切な層温度範囲の上限値TB1*と下限値TB2*を算出するものである。 【0043】限界層温演算装置601から算出された層温度範囲の上限値TB1*と下限値TB2*とを比較装置602で比較し、高温側の値TB1*をパージ時点の最適温度をTB*とする。これと層温度測定値TB(t)とを比較装置604で比較し、両値が等しいときパージ指令信号を作り燃料供給設備605にてノズル内残存温燃料をパージさせる。この場合の層温度変化を模式的に示したのが第4図で、層温度は流動層温最大値の許容値を超えることなく層を冷却することが出来る。 【0044】こうして、流動層ボイラの運転停止後にノズル内に残存する燃料を炉内パージする時点での適切な層温度範囲を算出し、その範囲内の最適層温と層温測定値が一致した時点でパージを行うため、アグロメ生成や伝熱管損傷が起こるような層音の過上昇を防ぎ、パージされた燃料を最短時間で燃やし切ることができる。 【0045】 【発明の効果】本発明の第1の発明においては、モデルを使って、現時点tよりも、計測される物理量を使って計算される時間nだけ後の時点(t+n)での制御量を計算予測し、これらがそれぞれの設定値に追従するように操作量を与えるので、遅れを補償し、高速変化時においても制御量を設計計画値内とすることができるという効果がある。 【0046】加圧流動層ボイラを例とすると、計測される物理量である入口酸素量と出口酸素量の平均の値を使って計算される燃焼遅れ時間だけ現時点より後の時点での再熱蒸気温度及び層温を計算予測し、これらがそれぞれの設定値に追従するように層高設定値及び燃料流量設定値を与え、加圧流動層に特有の燃焼遅れを補償し、高速負荷変化時においても再熱蒸気温度及び層温を設計計画値内とすることができるという効果がある。 【0047】また、再熱蒸気温度が設計計画値内に入ると非常用としての再熱スプレーが作動せず、プラント効率を落とさないという効果がある。また層温が設計計画値内に入ると火炉出口NOx、SOxを設計計画値内に入れることができ、NOxについては脱硝装置への負荷を低減し、アンモニア使用量を低減できるという効果がある。 【0048】また、本発明の第2の発明においては、流動層ボイラの運転停止後にノズル内に残存する燃料を炉内パージする時点での適切な層温度範囲を算出し、その範囲内の最適層温と層温測定値が一致した時点でパージを行うため、アグロメ生成や伝熱管損傷が起こるような層温の過上昇を防ぎ、パージされた燃料を最短時間で燃やしきることが出来るという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005441 【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月10日(1999.3.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096541 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 孝義
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| 【公開番号】 |
特開2000−257801(P2000−257801A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月22日(2000.9.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−64015 |
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