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【発明の名称】 高圧放電ランプ装置およびその冷却方法
【発明者】 【氏名】中川 由紀夫

【要約】 【課題】小型化しても、発光管にクラックが発生したり、発光管が破裂したりするのを防止した長寿命な高圧放電ランプ装置を提供する。

【解決手段】リフレクタ容器1と、このリフレクタ容器1内に設けられたメタルハライドランプ2と、リフレクタ容器1の前面の開口部4に設けられた透光性カバー3とを備えている。リフレクタ容器1は、前面に開口部4を有する反射鏡部5と、この反射鏡部5の後部に設けられた支持部6とを備えている。リフレクタ容器1には、リフレクタ容器1の内外をつなぐ通風孔17が少なくとも2つ設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に電極が設けられた発光管と、前面に開口部を有する反射鏡部とこの反射鏡部の後部に設けられ、かつ前記発光管を支持している支持部とを有するリフレクタ容器と、前記開口部に設けられた透光性カバーとを備え、前記リフレクタ容器に少なくとも2つの通風孔が設けられていることを特徴とする高圧放電ランプ装置。
【請求項2】 前記通風孔のうち少なくとも1つは、前記支持部内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ装置。
【請求項3】 前記通風孔のうち少なくとも1つは、前記反射鏡部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高圧放電ランプ装置。
【請求項4】 前記通風孔のうち1つは、前記反射鏡部に設けられ、前記発光管に電力を供給する1本のリード線を通すための貫通孔であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高圧放電ランプ装置。
【請求項5】 前記支持部内に設けられた前記通風孔は、少なくとも2つあることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高圧放電ランプ装置。
【請求項6】 前記発光管内に、水銀および希ガス、または水銀、希ガスおよび金属ハライド化物が封入されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の高圧放電ランプ装置。
【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の高圧放電ランプ装置において、通風孔からリフレクタ容器内へ気体を強制送入することを特徴とする高圧放電ランプ装置の冷却方法。
【請求項8】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の高圧放電ランプ装置において、リフレクタ容器内の気体を通風孔を通じて前記リフレクタ容器外に強制排気することを特徴とする高圧放電ランプ装置の冷却方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学機器用や映像機器用等の高圧放電ランプ装置およびその冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような高圧放電ランプ装置は、前面に開口部が設けられた反射鏡部とこの反射鏡部の後部に設けられ、かつ光源を支持している支持部とを有するリフレクタ容器と、このリフレクタ容器内に配置された光源と、リフレクタ容器の開口部に設けられた透光性カバーとを備えている。
【0003】光源には、アーク長の短いメタルハライドランプや超高圧水銀ランプが用いられている。例えば、メタルハライドランプは、石英ガラスからなり、両端部に電極を有している発光部と、この発光部の両端部に設けられた封止部とを有する発光管を備えている。電極は、封止部に封止された導入箔を介して内部リード線に接続されている。そして、この内部リード線は、外部リード線にそれぞれ接続されている。一方の外部リード線は、反射鏡部に設けられた貫通孔に挿入されて、リフレクタ容器外に導出されている。そして、このような光源は、一方の封止部がリフレクタ容器内の支持部内に挿入され、この支持部内に封着剤によって支持固定されている。
【0004】このような高圧放電ランプ装置においては、リフレクタ容器の前面に透光性カバーを設けることにより、リフレクタ容器を密閉することができるので、点灯中の発光管の温度を最適に維持して、発光出力を最大にすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような高圧放電ランプ装置は、液晶プロジェクタ等の装置内に組み込まれているために、小型化が要求されている。そのために、リフレクタ容器を小型化する必要があるが、リフレクタ容器を小型化するに従って、リフレクタ容器内がより高温になって発光管が加熱され、また反射面と発光管との距離が短縮されて反射光によって発光管がより加熱されて、発光管の温度が過度に上昇する。また、発光管内の温度も過度に上昇するので、電極が飛散して、発光管内面が激しく黒化する。これらが原因となって発光管が劣化し、その結果、従来のものでは、発光管にクラックが発生し、場合によっては発光管が破裂するという問題があった。
【0006】本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、小型化しても、発光管がクラックしたり、発光管が破裂したりするのを防止した長寿命な高圧放電ランプ装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高圧放電ランプ装置は、内部に電極が設けられた発光管と、前面に開口部を有する反射鏡部とこの反射鏡部の後部に設けられ、かつ前記発光管を支持している支持部とを有するリフレクタ容器と、前記開口部に設けられた透光性カバーとを備え、前記リフレクタ容器に少なくとも2つの通風孔が設けられている構成を有している。
【0008】この構成により、リフレクタ容器内の気体とリフレクタ容器外の気体とを循環させることができ、発光管の温度が過度に上昇するのを防止することができる。
【0009】また、本発明の請求項7記載の高圧放電ランプ装置の冷却方法は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の高圧放電ランプ装置において、前記通風孔から前記リフレクタ容器内へ気体を強制送入する構成を有している。
【0010】さらに、本発明の請求項8記載の高圧放電ランプ装置の冷却方法は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の高圧放電ランプ装置において、リフレクタ容器内の気体を通風孔を通じて前記リフレクタ容器外に強制排気する構成を有している。
【0011】上記請求項7および請求項8の構成により、リフレクタ容器内の気体とリフレクタ容器外の気体とを循環させることができ、発光管の温度が過度に上昇するのを一層防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0013】本発明の実施の形態の高圧放電ランプ装置は、図1に示すように、耐熱性ガラス、セラミックス、金属等からなるリフレクタ容器1と、このリフレクタ容器1内に設けられた定格電力150Wのメタルハライドランプ2と、リフレクタ容器1の前面の開口部に設けられた耐熱性ガラスからなる透光性カバー3とを備えている。
【0014】リフレクタ容器1は、前面に直径76mmの開口部4を有する高さ44mmの凹状の反射鏡部5と、この反射鏡部5の後部に設けられた内径11mm、高さ16mmの筒状の支持部6とを備えている。開口部4には、透光性カバー3が固定バンド4aによって密接して固定されている。反射鏡部5には、直径1mmの貫通孔7が設けられている。また、反射鏡部5の凹面状の内面には、例えば二酸化チタンと二酸化シリコンとを交互に蒸着して形成された反射面8が設けられている。
【0015】メタルハライドランプ2は、最大外径11.5mmの楕円体状の発光部9と、この発光部9の両端部に設けられた封止部10とを有する全長25mmの発光管11を備えている。発光管11の容器は、石英ガラスまたはセラミック等からなる。発光部9の両端部には、タングステンからなる電極12が設けられている。また発光部9内には、水銀、アルゴンガス、および金属ハロゲン化物がそれぞれ所定量封入されている。電極12は、封止部10に封止されたモリブデン等からなる導入箔13を介して内部リード線14に接続されている。この内部リード線14は、外部リード線15a,15bにそれぞれ接続されている。一方の外部リード線15aは、貫通孔7に挿入され、リフレクタ容器1外に導出されている。電極12の電極間距離は1.5mmである。
【0016】このようなメタルハライドランプ2は、発光管11の中心軸がリフレクタ容器1の光軸と一致するように、一方の封止部10を支持部6内に挿入された後、耐熱セメントや無機封着剤等の接着剤16によって封止部10が支持部6内に支持固定されて、リフレクタ容器1内に配置されている。
【0017】また、支持部6の接着剤16内には、リフレクタ容器1の内外をつなぐ直径1.5mmの通風孔17が2つ設けられている。この通風孔17を通じて、リフレクタ容器1内の気体がリフレクタ容器1外へ流出したり、リフレクタ容器1外の気体がリフレクタ容器1内へ流入したりすることができる。
【0018】このような高圧放電ランプ装置において、通風孔17から常温の空気を強制送風ファン(図示せず)によって、リフレクタ容器1内に送入したもの(以下、本発明品という)と、通風孔17が設けられていない点を除いて、本発明の実施の形態の高圧放電ランプ装置の構成と同じ高圧放電ランプ装置(以下、従来品という)とを各10個作製し、それぞれの外部リード線間に電源(図示せず)を接続して定格寿命の2000時間点灯経過後の発光管の状態を調べた。
【0019】その結果、本発明品は、定格寿命の2000時間点灯経過後においても、発光管11の内面には黒化の発生がほとんどなく、また発光管11にクラックが発生したり、発光管11が破裂したりせず、正常であった。一方、従来品は、発光管の内面が激しく黒化していた。特に、従来品のうち5個のものについては、300〜500時間点灯経過後に、発光管にクラックが発生したり、発光管が破裂したりしていた。
【0020】このような結果となった原因を調べると、従来品では、点灯中の発光管の外面の最高温度は約1000℃であった。一方、本発明品では、点灯中の発光管11の外面の最高温度は約890〜900℃であり、従来品に比して約100℃も低いことがわかった。つまり、従来品では、発光管の温度が過剰に高温となり、また飛散した電極の付着物によって発光管の内面が激しく黒化し、その付着物と発光管とが反応したので、発光管が劣化したためであることがわかった。
【0021】一方、本発明品では、通風孔17を通じて常温の空気をリフレクタ容器1内に強制送入されたことによって、リフレクタ容器1内の温度が下げられて、発光管11の温度が最適な温度に維持されたので、発光出力が最大となるとともに、発光管11の劣化はなかった。
【0022】以上のように、本発明の構成によると、リフレクタ容器1内の気体とリフレクタ容器1外の気体とを通風孔17を通じて循環させることによって、リフレクタ容器1内の温度を下げることができるので、発光管11の温度が過剰に高温になるのを防ぐことができ、発光管11にクラックが発生したり、場合によっては発光管11が破裂したりするのを防止することができる。
【0023】ところで、通風孔17が一つの場合、通風孔17からリフレクタ容器1へ気体が送入されると、その送入された気体量の分だけ、貫通孔7からリフレクタ容器1外へ流出する。しかし、本来、貫通孔7は、外部リード線15aを挿入するためのものであり、その大きさをあまり大きくし過ぎると、反射面8の面積が小さくなり、反射面8によって反射された反射光量に影響を及ぼすので、あまり大きくすることはできない。したがって、貫通孔7の直径は0.5mm〜1.5mmであることが好ましい。
【0024】また、リフレクタ容器1内の気体とリフレクタ容器1外の気体との循環をスムーズに行うために、通風孔17を2つ以上設けることが好ましい。しかも、反射面8によって反射された反射光量への影響を考慮して、通風孔17を支持部6内に設けることがより好ましい。
【0025】なお、上記実施の形態では、通風孔17からリフレクタ容器1内へ気体を送入する場合について説明したが、リフレクタ容器1内の気体を、強制送風ファンによって、リフレクタ容器1外へ強制的に排気しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0026】また、上記実施の形態では、メタルハライドランプとして、定格電力150Wの場合について説明したが、定格電力250W、500W等、あるいはこれらの定格電力の超高圧水銀ランプ等であっても上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、小型化しても、発光管にクラックが発生したり、発光管が破裂したりするのを防止することができ、長寿命な高圧放電ランプ装置を提供することができるものである。
【出願人】 【識別番号】000005843
【氏名又は名称】松下電子工業株式会社
【出願日】 平成11年3月8日(1999.3.8)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−260214(P2000−260214A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−59768