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【発明の名称】 前照灯
【発明者】 【氏名】大久保 泰宏

【要約】 【課題】良好なロービーム及びハイビームの配光パターンが得られる。放電アークの移動距離が小である。可動反射面がロービーム位置に高精度に切替位置できる。

【解決手段】第1、第2反射面セグメント11、12により、放電アークをロービーム位置BFに切替位置させると、傾斜線73及び水平線72からなる明暗境界線71が形成され、所定のロービームの配光パターンLPが得られ、放電アークをハイビーム位置BBに切替位置させると、中央にホットゾーンHZが形成され、所定のハイビームの配光パターンHPが得られる。放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2、A3が小で済む。可動反射面10をロービーム位置に位置させた際に、可動反射面10の周辺100が固定反射面18の開口部17の周縁180に当接ラップするので、可動反射面10をロービーム位置に高精度に切替位置させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1個の放電灯と、複合反射面から構成されている反射面と、前記放電灯の放電アークを前記反射面に対して相対的にロービーム位置とハイビーム位置とに切替える装置と、前記放電アークの下端側をカットしてロービームの明暗境界線を形成する手段とを備え、前記切替装置を操作して、前記放電アークをロービーム位置に切替位置させると、傾斜線部分及び水平線部分からなる前記明暗境界線を有する所定のロービームの配光パターンが得られ、かつ、前記放電アークをロービーム位置からハイビーム位置に切替位置させると、水平線と垂直線との交点の中央部付近にホットゾーンを有する所定のハイビームの配光パターンが得られる前照灯において、前記反射面は、前記放電アークがロービーム位置に位置している時には、前記明暗境界線の傾斜線部分を形成すると共に、最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置し、かつ、主に前記明暗境界線よりも下方におけるほぼ中央部分から自走車線側の部分にかけて照射し、また、前記放電アークがハイビーム位置に位置している時には、最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置し、かつ、主に水平線上における中央部分から自走車線側の部分にかけて照射するものである、第1反射面セグメントと、前記放電アークがロービーム位置に位置している時には、前記明暗境界線の水平線部分を形成すると共に、最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置し、かつ、主に前記明暗境界線よりも下方におけるほぼ中央部分から自走車線側の部分及び対向車線側の水平部分にかけて照射し、また、前記放電アークがハイビーム位置に位置している時には、最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置し、かつ、主に水平線上における中央部分から自走車線側の部分及び対向車線側の水平部分にかけて照射するものである、第2反射面セグメントと、前記放電アークがロービーム位置に位置している時には、主に前記明暗境界線よりも下方における中央部分から自走車線側の水平部分及び対向車線側の水平部分にかけて拡散照射し、また、前記放電アークがハイビーム位置に位置している時には、主に水平線上における中央部分から自走車線側の水平部分及び対向車線側の水平部分にかけて拡散照射するものである、第3反射面セグメントと、から構成されている、ことを特徴とする前照灯。
【請求項2】 前記第1反射面セグメントは、前記放電アークがロービーム位置に位置している時には、前記明暗境界線形成手段によりカットされた放電アーク像のカット端を前記明暗境界線の傾斜線部分に沿って配列させ、かつ、最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置するものであって、所定の配光パターンを形成する前記放電灯に対して近い部分と、前記近い部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターンを形成する前記放電灯に対して中位の部分と、集光密度が高い配光パターンで、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターンを形成する前記放電灯に対して遠い部分と、前記放電アークがハイビーム位置に位置している時には、最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置するものであって、所定の配光パターンを形成する前記近い部分と、前記近い部分の配光パターン中に完全に包み込まれる配光パターンを形成する前記中位の部分と、集光密度が高い配光パターンで、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に完全に包み込まれる配光パターンを形成する前記遠い部分と、から構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の前照灯。
【請求項3】 前記第2反射面セグメントは、前記放電アークがロービーム位置に位置している時には、前記明暗境界線形成手段によりカットされた放電アーク像のカット端を前記明暗境界線の水平線部分に沿って配列させ、かつ、最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置するものであって、所定の配光パターンを形成する前記放電灯に対して近い部分と、前記近い部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターンを形成する前記放電灯に対して中位の部分と、集光密度が高い配光パターンで、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターンを形成する前記放電灯に対して遠い部分と、前記放電アークがハイビーム位置に位置している時には、最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置するものであって、所定の配光パターンを形成する前記近い部分と、前記近い部分の配光パターン中に完全に包み込まれる配光パターンを形成する前記中位の部分と、集光密度が高い配光パターンで、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に完全に包み込まれる配光パターンを形成する前記遠い部分と、から構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の前照灯。
【請求項4】 前記第1反射面セグメントのうち、前記明暗境界線形成手段により下端側がカットされない前記放電アークが反射されるブロックは、前記明暗境界線よりも下方の部分を照射することを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の前照灯。
【請求項5】 前記反射面は、開口部を有する固定反射面と、前記開口部に対応し、かつ、前記第1、第2、第3反射面セグメントからなる可動反射面とから構成されており、前記切替装置は、前記可動反射面を前記放電灯に対してロービーム位置とハイビーム位置とに切替える装置から構成されており、前記可動反射面の疑似焦点値は、前記固定反射面の疑似焦点値よりも小であり、前記固定反射面の開口部の周縁と前記可動反射面の周辺とには、前記可動反射面をロービーム位置に位置させた際に前記周辺が前記周縁に当接ラップするストッパが、構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の前照灯。
【請求項6】 1個の放電灯と、開口部を有する固定反射面と、前記開口部に対応する可動反射面と、前記可動反射面を前記放電灯に対してロービーム位置とハイビーム位置とに切替える装置とを備え、前記切替装置を操作して、前記可動反射面をロービーム位置に切替位置させると、所定のロービームの配光パターンが得られ、かつ、前記可動反射面をロービーム位置からハイビーム位置に切替位置させると、所定のハイビームの配光パターンが得られる前照灯において、前記可動反射面の焦点値若しくは疑似焦点値は、前記固定反射面の焦点値若しくは疑似焦点値よりも小であり、前記固定反射面の開口部の周縁と前記可動反射面の周辺とには、前記可動反射面をロービーム位置に位置させた際に前記周辺が前記周縁に当接ラップするストッパが、構成されている、ことを特徴とする前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1個の放電灯(メタルハライドランプ等の高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)等)により所定のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンがそれぞれ得られる例えば自動車の前照灯に係り、特に、良好なロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが得られ、しかも、この両配光パターンを得るための放電灯又は可動反射面の切替距離、すなわち、放電アークのロービーム位置とハイビーム位置との間の切替距離が小で済む前照灯に関するものである。
【0002】また、本発明は、可動反射面をロービーム位置に高精度に切替位置させることができる前照灯に関するものである。
【0003】なお、本明細書及び本図面において、符号「F」は自動車の進行方向であって、ドライバー側から見た前方のことを示し、符号「B」は自動車の進行方向と逆方向であって、ドライバー側から見た後方のことを示す。また、符号「L」はドライバー側から前方を見た場合の左側のことを示し、符号「R」はドライバー側から前方を見た場合の右側のことを示し、符号「U」はドライバー側から前方を見た場合の上側のことを示し、符号「D」はドライバー側から前方を見た場合の下側のことを示す。さらに、符号「Z−Z」は光軸(疑似光軸)のことを示し、符号「H−H」は水平線(水平軸)のことを示し、符号「V−V」は垂直線(垂直軸)のことを示す。この結果、本明細書及び本図面において、符号「ZF−ZB」は前後光軸、符号「HL−HR」は左右水平線、符号「VU−VD」は上下垂直線のことをそれぞれ示すこととなる。
【0004】
【従来の技術】この種の前照灯は、一般に、1個の放電灯と、反射面と、前記放電灯の放電アークを前記反射面に対して相対的にロービーム位置とハイビーム位置とに切替える装置とを備える。前記切替装置を操作して、前記放電アークをロービーム位置に切替位置させると、後述する所定のロービームの配光パターンが得られ、かつ、前記放電アークをロービーム位置からハイビーム位置に切替位置させると、後述する所定のハイビームの配光パターンが得られるものである。
【0005】なお、1個の放電灯を反射面に対してロービーム位置とハイビーム位置とに切替位置させる切替装置を具備した前照灯としては、例えば、特開平8−111101号公報、特開平10−92208号公報に記載のものがある。また、反射面を1個の放電灯に対してロービーム位置とハイビーム位置とに切替位置させる切替装置を具備した前照灯としては、例えば、特開平5−144303号公報、特開平6−150702号公報に記載のものがある。さらに、1個の放電灯と反射面とを相互にロービーム位置とハイビーム位置とに切替位置させる切替装置を具備した前照灯としては、例えば、特開平10−112202号公報に記載のものがある。
【0006】以下、上述の所定のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンについて図22及び図23を参照して説明する。なお、図示の配光パターンは、左側通行区分のものであり、右側通行区分の配光パターンは、この図示の配光パターンと左右逆となる。図22はロービームの配光パターンのイメージ図、図23はハイビームの配光パターンのイメージ図である。なお、図22において、斜破線はセンターラインを示し、このセンターラインから右側の斜実線の間は対向車線77を示し、このセンターラインから左側の斜実線の間は自走車線78を示す。
【0007】そして、上述の所定のロービームの配光パターンLP、所定のハイビームの配光パターンHPとは、欧州配光規格ECEReg.、あるいはそれに準じたもの(例えば、日本国内型式認定基準等)、北米配光規格のFMVSS等の配光規格に適合する配光パターンを言う。
【0008】上述のロービームの配光パターンLPにおいては、眩惑光を制限するように配光規格化されている。この結果、上述のロービームの配光パターンLPは、図23に示すように、対向車7及び左側路肩の歩行者70に対して考慮した明暗境界線71を有するものとなる。すなわち、この明暗境界線71は、対向車7に眩惑光を与えないように、右端からほぼ中央までの間であって、水平線HL−HRよりも若干下方に位置する水平線部分72と、左側路肩歩行者70に眩惑光を与えずにかつ左側路肩歩行者70を視認できるように、ほぼ中央の水平線部分72から緩やかに傾斜する緩傾斜線部分(傾斜線部分)73とからなる。
【0009】上述のハイビームの配光パターンHPにおいては、図23に示すように、中央部付近にホットゾーンHZ(最大光度点を含む最大光度帯)を有するものとなる。ここで、欧州配光規格ECEReg.における水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vの光度値は、最大光度値の80%以上(認証)である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上述の前照灯においては、良好なロービームの配光パターンLP及びハイビームの配光パターンHPが得られ、しかも、この両配光パターンを得るための放電灯又は可動反射面の切替距離が小で済むことが重要である。
【0011】本発明の目的は、良好なロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが得られ、しかも、この両配光パターンを得るための放電灯又は可動反射面の切替距離が小で済む前照灯を提供することにある。
【0012】また、本発明の目的は、可動反射面をロービーム位置に高精度に切替位置させることができる前照灯を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明(以下、第1発明と称する)は、上記の目的を達成するために、反射面が、放電アークがロービーム位置に位置している時には、明暗境界線の傾斜線部分を形成すると共に、最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置し、かつ、主に明暗境界線よりも下方におけるほぼ中央部分から自走車線側の部分にかけて照射し、また、放電アークがハイビーム位置に位置している時には、最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置し、かつ、主に水平線上における中央部分から自走車線側の部分にかけて照射するものである、第1反射面セグメントと、放電アークがロービーム位置に位置している時には、明暗境界線の水平線部分を形成すると共に、最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置し、かつ、主に明暗境界線よりも下方におけるほぼ中央部分から自走車線側の部分及び対向車線側の水平部分にかけて照射し、また、放電アークがハイビーム位置に位置している時には、最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置し、かつ、主に水平線上における中央部分から自走車線側の部分及び対向車線側の水平部分にかけて照射するものである、第2反射面セグメントと、放電アークがロービーム位置に位置している時には、主に明暗境界線よりも下方における中央部分から自走車線側の水平部分及び対向車線側の水平部分にかけて拡散照射し、また、放電アークがハイビーム位置に位置している時には、主に水平線上における中央部分から自走車線側の水平部分及び対向車線側の水平部分にかけて拡散照射するものである、第3反射面セグメントと、から構成されている、ことを特徴とする。
【0014】この結果、第1発明の前照灯は、特に、第1反射面セグメント及び第2反射面セグメントにより、放電アークをロービーム位置に切替位置させると、傾斜線部分及び水平線部分からなる明暗境界線が形成され、所定のロービームの配光パターンが得られ、一方、放電アークをハイビーム位置に切替位置させると、中央部付近にホットゾーンが形成され、所定のハイビームの配光パターンが得られる。しかも、ロービームの配光パターンにおける最大光度帯が水平線と垂直線との交点付近に位置し、また、ハイビームの配光パターンにおける最大光度帯が水平線と垂直線との交点にさらに近くに位置するので、上述の両配光パターンを得るための放電灯又は可動反射面の切替距離、すなわち、放電アークのロービーム位置とハイビーム位置との間の切替距離が小で済み、切替装置の小型化が図られ、放電アークの切替が正確に行える。
【0015】また、請求項6に係る発明(以下、第2発明と称する)は、上記の目的を達成するために、可動反射面の焦点値若しくは疑似焦点値を固定反射面の焦点値若しくは疑似焦点値よりも小となして、固定反射面の開口部の周縁と可動反射面の周辺とに、可動反射面をロービーム位置に位置させた際に周辺が周縁に当接ラップするストッパが、構成されている、ことを特徴とする。
【0016】この結果、第2発明は、可動反射面をロービーム位置に位置させた際に、その可動反射面の周辺が固定反射面の開口部の周縁に当接ラップするので、その周辺及び周縁からなるストッパのストッパガイド作用により、可動反射面をロービーム位置に高精度に切替位置させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の前照灯の一実施形態を図1乃至図21を参照して説明する。図中、図22及び図23と同符号は同一のものを示す。なお、図示の前照灯は、左側通行区分の自動車に装備されるものであり、右側通行区分の自動車に装備される前照灯は、この図示の前照灯と左右逆となる。
【0018】[反射面の構成]図1はこの実施形態における本発明の前照灯に使用される反射面1の正面図である。この反射面1は、後述する第1反射面セグメント11と、第2反射面セグメント12と、横に3個のブロックに分割された第3反射面セグメント131、132、133と、からなる複合反射面から構成されている。この本発明の反射面1の複合反射面(所謂自由曲面)の詳細については、例えば、特開平9−306220号公報に記載されている。
【0019】この複合反射面には厳密な意味での単一の焦点を有していないが、該複合反射面を形成している複数の回転放物面相互の焦点距離の差異は僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有しているので、このほぼ同一の焦点を本明細書においては疑似焦点と言う。同様に、光軸において、厳密な意味での単一の光軸を有していないが、複数の光軸の差異は僅少であり、ほぼ同一の光軸を共有しているので、このほぼ同一の光軸を本明細書及び本図面においては疑似光軸ZB−ZFと呼ぶことにする。
【0020】この反射面1において、縦線が施された部分14は、後述する放電灯2のカットラインストライプ20により遮光される部分であり、また、斜線が施された部分15は、シェード(図示せず)により遮光される部分である。この反射面1のほぼ中央には、円形(水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vを中心とする円形)の放電灯2挿通用の透孔16が設けられている。なお、この反射面1において、上縁から水平線HL−LRまでの縦寸法T1は50mm、水平線HL−LRから下縁までの縦寸法T2は30mm、左端から垂直線VU−VDまでの横寸法W1は66mm、垂直線VU−VDから右端までの横寸法W2は66mmである。
【0021】[放電灯の構成]図2は同じくこの実施形態における本発明の前照灯に使用される放電灯2の側面図である。この1個の放電灯2は、上述の反射面1の透孔16中に挿入されてセットされる。この放電灯2の放電アークは、図3に示すように、切替装置(図示せず)により、上述の反射面1に対して相対的に前方F上側Uのロービーム位置BFと後方B下側Dのハイビーム位置BBとに切替えられるものである。
【0022】[切替装置の構成]上述の切替装置としては、1個の放電灯2を反射面1に対してロービーム位置BFとハイビーム位置BBとに切替位置させる装置、又は、反射面1を1個の放電灯2に対してロービーム位置BFとハイビーム位置BBとに切替位置させる装置、又は、1個の放電灯2と反射面1とを相互にロービーム位置BFとハイビーム位置BBとに切替位置させる装置等がある。
【0023】[明暗境界線形成手段の構成]上述の放電灯2のガラスバルブ(アウタチューブ)21には、図2に示すように、帯状塗装のカットラインストライプ20が施されている。このカットラインストライプ20は、上述の反射面1のうち縦線が施された部分14を遮光するものであって、図4に示すように、放電アークBF、BBの下端側(図4中、二点鎖線にて示された部分)をカットし、図5に示すように、ロービームの明暗境界線71を形成するものである。なお、上述の明暗境界線71形成手段としては、上述のカットラインストライプ20の他に、シェードに設けたものであっても良い。
【0024】[第1反射面セグメントの構成]そして、上述の第1反射面セグメント11においては、下記のように構成されている。すなわち、放電アークがロービーム位置BFに位置している時には、図5中の放電アーク像BF−11に示すように、カットラインストライプ20によりカットされた放電アーク像BF−11のカット端(放電アーク像BF−11の下端)を明暗境界線71の緩傾斜線部分73に沿って配列させて、明暗境界線71の緩傾斜線部分73を形成し、かつ、図5中の放電アーク像BF−11及び図9(D)に示すように、主に明暗境界線71よりも下方におけるほぼ中央部分から自走車線側(左側)の部分にかけて照射する。また、放電アークがハイビーム位置BBに位置している時には、図6中の放電アーク像BB−11及び図10(D)に示すように、主に水平線HL−HR上における中央部分から自走車線側の部分にかけて照射する。さらに、図3に示すように、放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2が小である。
【0025】また、この第1反射面セグメント11は、図面では省略したが、前記放電灯2に対して近い部分と、中位の部分と、遠い部分とから構成されている。すなわち、前記放電アークがロービーム位置BFに位置している時には、図5に示すように、前記カットラインストライプ20によりカットされた放電アーク像BF−11のカット端を前記明暗境界線71の緩傾斜線部分73に沿って配列させ、かつ、最大光度帯(図5中の黒丸にて示す部分)が水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−V付近に位置するものであって、前記近い部分は、所定の配光パターン(図5中の大の配光パターン)BF−11を形成し、前記中位の部分は、前記近い部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターン(図5中の中の配光パターン)BF−11を形成し、前記遠い部分は、集光密度が最も高い配光パターン(図5中の小の配光パターン)BF−11で、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターンを形成する。前記放電アークがハイビーム位置BBに位置している時には、図6に示すように、最大光度帯(図6中の黒丸にて示す部分)が水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vにさらに近くに位置するものであって、前記近い部分は、所定の配光パターン(図6中の大の配光パターン)BB−11を形成し、前記中位の部分は、前記近い部分の配光パターン中に完全に包み込まれる(図6中の中の配光パターン)BB−11を形成し、前記遠い部分は、集光密度が最も高い配光パターン(図6中の小の配光パターン)BB−11で、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に完全に包み込まれる配光パターンを形成する。
【0026】[第2反射面セグメントの構成]また、上述の第2反射面セグメント12においては、下記のように構成されている。すなわち、放電アークがロービーム位置BFに位置している時には、図5中の放電アーク像BF−12に示すように、カットラインストライプ20によりカットされた放電アーク像BF−12のカット端(放電アーク像BF−12の下端)を明暗境界線71の水平線部分72に沿って配列させて、明暗境界線71の水平線部分72を形成し、かつ、図5中の放電アーク像BF−12及び図9(E)に示すように、主に明暗境界線71よりも下方におけるほぼ中央部分から自走車線側の部分及び対向車線側(右側)の水平部分にかけて照射する。また、放電アークがハイビーム位置BBに位置している時には、図6中の放電アーク像BB−12及び図10(E)に示すように、主に水平線HL−HR上における中央部分から自走車線側の部分及び対向車線側の水平部分にかけて照射する。さらに、図3に示すように、放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2が小である。
【0027】また、この第2反射面セグメント12は、図面では省略したが、前記放電灯2に対して近い部分と、中位の部分と、遠い部分とから構成されている。すなわち、前記放電アークがロービーム位置BFに位置している時には、図5に示すように、前記カットラインストライプ20によりカットされた放電アーク像BF−11のカット端を前記明暗境界線71の水平線部分72に沿って配列させ、かつ、最大光度帯(図5中の黒丸にて示す部分)が水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−V付近に位置するものであって、前記近い部分は、所定の配光パターン(図5中の大の配光パターン)BF−12を形成し、前記中位の部分は、前記近い部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターン(図5中の中の配光パターン)BF−12を形成し、前記遠い部分は、集光密度が最も高い配光パターン(図5中の小の配光パターン)BF−12で、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に包み込まれる配光パターンを形成する。前記放電アークがハイビーム位置BBに位置している時には、図6に示すように、最大光度帯(図6中の黒丸にて示す部分)が水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vにさらに近くに位置するものであって、前記近い部分は、所定の配光パターン(図6中の大の配光パターン)BB−12を形成し、前記中位の部分は、前記近い部分の配光パターン中に完全に包み込まれる(図6中の中の配光パターン)BB−12を形成し、前記遠い部分は、集光密度が最も高い配光パターン(図6中の小の配光パターン)BB−12で、前記近い部分の配光パターン及び前記中位の部分の配光パターン中に完全に包み込まれる配光パターンを形成する。
【0028】[第3反射面セグメントの構成]さらに、上述の第3反射面セグメント131、132、133においては、下記のように構成されている。すなわち、放電アークがロービーム位置BFに位置している時には、図7中の放電アーク像BF−131、132、133に示すように、放電アーク像BF−131、132、133の後端側を明暗境界線71に対向させ、また、明暗境界線71の水平線部分72に対して平行に配列させ、かつ、図9(A)、(B)、(C)に示すように、主に明暗境界線71よりも下方における中央部分から自走車線側の水平部分及び対向車線側の水平部分にかけて拡散照射する。また、放電アークがハイビーム位置BBに位置している時には、図8中の放電アーク像BB−131、132、133及び図10(A)、(B)、(C)に示すように、主に水平線HL−HR上における中央部分から自走車線側の水平部分及び対向車線側の水平部分にかけて拡散照射する。さらに、図3に示すように、放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2が小である。
【0029】[本発明の実施形態の作用]この実施形態における本発明の前照灯は、以上の如き構成からなり、以下、その作用について説明する。まず、切替装置を操作して、1個の放電灯2の放電アークをロービーム位置BFに切替位置させる。すると、第1反射面セグメント11により、図5中の放電アーク像BF−11及び図9(D)中の配光パターンが得られ、また、第2反射面セグメント12により、図5中の放電アーク像BF−12及び図9(E)中の配光パターンが得られ、さらに、第3反射面セグメント131、132、133により、図7中の放電アーク像BF−131、132、133及び図9(A)、(B)、(C)中の配光パターンが得られ、その結果、反射面1全体として、図11(A)及び図22及び図23に示すように、傾斜線部分73及び水平線部分72からなる明暗境界線71を有する所定のロービームの配光パターンLPが得られる。
【0030】次に、切替装置を操作して、1個の放電灯2の放電アークをロービーム位置BFから後方B下側Dのハイビーム位置BBに切替位置させる。すると、第1反射面セグメント11により、図6中の放電アーク像BB−11及び図10(D)中の配光パターンが得られ、また、第2反射面セグメント12により、図6中の放電アーク像BB−12及び図10(E)中の配光パターンが得られ、さらに、第3反射面セグメント131、132、133により、図8中の放電アーク像BB−131、132、133図10(A)、(B)、(C)中の配光パターンが得られ、その結果、反射面1全体として、図11(B)及び図24及び図25に示すように、水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vの中央部付近にホットゾーンHZを有する所定のハイビームの配光パターンHPが得られる。
【0031】[本発明の実施形態の効果]このように、この実施形態における本発明の前照灯は、特に、第1反射面セグメント11及び第2反射面セグメント12により、放電アークをロービーム位置BFに切替位置させると、緩傾斜線部分73及び水平線部分72からなる明暗境界線71が形成され、所定のロービームの配光パターンLPが得られ、一方、放電アークをハイビーム位置BBに切替位置させると、中央部付近にホットゾーンHZが形成され、所定のハイビームの配光パターンHPが得られる。
【0032】しかも、図5に示すロービーム位置BFにおける放電アーク像BF−11、BF−12は、明暗境界線71の緩傾斜線部分73及び水平線部分72に沿って配列されるので、それらによる最大光度点(図5中の黒丸にて示す点)は、比較的明暗境界線71の際に位置させる。すなわち、交点H−Vまでの最短距離に位置させることができる。このために、放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2が小で済むので、移動精度の向上及び切替装置の小型化が図られ、放電アークの切替が正確にかつ高精度に行える。
【0033】[放電アークの切替距離]ここで、図3に示す放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2を求めてみる。A1は放電アークのロービーム位置BFの中心BFCとハイビーム位置BBの中心BBCとの上下間の距離、A2は放電アークのロービーム位置BFの中心BFCとハイビーム位置BBの中心BBCとの前後間の距離である。まず、後方の距離A2を2.0mmに固定した状態において、下側の距離A1を0mmとした場合、図12に(A)に示すように、最大光度位置(図12(A)中の×にて示す点)が水平線HL−HRから約1°下方となるために、欧州配光規格ECEReg.におけるH−V点光度値が最大光度値の80%以上(認証)であると言う項目への対応が困難となる。また、後方の距離A2を2.0mmに固定した状態において、下側の距離A1を2.0mmとした場合、図12に(B)に示すように、最大光度位置(図12(B)中の×にて示す点)が水平線HL−HRから約1°上方となるために、欧州配光規格ECEReg.におけるH−V点光度値が最大光度値の80%以上(認証)であると言う項目への対応が困難となる。
【0034】次に、下側の距離A1を1.0mmに固定した状態において、後方の距離A2を0.5mmとした場合、図13に(A)に示すように、ロービームの配光パターン(図11(A)を参照)を上方に移動したような配光パターンとなるために、水平線HL−HRから上方への光が不足し、ロービームとハイビームとの切替感に欠けたものとなる。また、下側の距離A1を1.0mmに固定した状態において、後方の距離A2を3.5mmとした場合、図13に(B)に示すように、ロービームの配光パターンをH−V点を中心に回転対称移動したような配光パターンとなるために、水平線HL−HRから下方への光が不足し、路面の視認性が低下したものとなる。
【0035】この結果、放電アークのロービーム位置BFに対するハイビーム位置BBの切替位置は、下側の距離A1が約0.5〜1.5mmであって、好ましくは約1.0mm前後であり、かつ、後方の距離A2が約1.0〜3.0mmであって、好ましくは約2.0mm前後(若しくは、約2.0〜2.5mm)である。このように、放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置BBとの間の切替距離A1、A2は、小である。
【0036】[第1反射面セグメントの変形例の構成及び効果]この第1反射面セグメントにおいては、水平線HL−HRから上方の部分を横に3個のブロック111、112、113に、水平線HL−HRからカットラインストライプ20による遮光部分14までの部分を横に3個のブロック114、115、116に、計6個のブロックに分割したものである。この6個のブロックのうち、ブロック113、116は、上述の放電灯2に対して近い部分、ブロック112、115は、上述の放電灯2に対して中位の部分、ブロック111、114は、上述の放電灯2に対して遠い部分を構成する。
【0037】上述の上3個のブロック111、112、113においては、放電アークの下端側がカットラインストライプ20によりカットされないので、放電灯2の特性(放電アークが上U方向に円弧を描くことにより生じる様々な弊害)上、ロービーム照射時に放電アークのグレア光が発生する可能性がある。このために、上3個のブロック111、112、113において反射して得られる配光パターンBF−111、BF−112、BF−113を、図15(A)、(B)、(C)中の破線にて示すように、明暗境界線71の緩傾斜線部分73よりも下方に配列させることにより、上述のグレア光の発生を防止できる。
【0038】また、第1反射面セグメントの上3個のブロック111、112、113においては、放電アークがロービーム位置BFに位置する時には、図15(A)、(B)、(C)中の破線に示す配光パターンBF−111、BF−112、BF−113が得られるように、放電アークがハイビーム位置BBに位置する時には、図16(A)、(B)、(C)中の破線に示す配光パターンBB−111、BB−112、BB−113が得られるように、それぞれ構成されている。一方、第1反射面セグメントの下3個のブロック114、115、116においては、放電アークがロービーム位置BFに位置する時には、図15(A)、(B)、(C)中の実線に示す配光パターンBF−114、BF−115、BF−116が得られるように、放電アークがハイビーム位置BBに位置する時には、図16(A)、(B)、(C)中の実線に示す配光パターンBB−114、BB−115、BB−116が得られるように、それぞれ構成されている。
【0039】この結果、良好なロービームの配光パターンLP及びハイビームの配光パターンHPの双方が得られる。すなわち、下3個のブロック114、115、116におけるロービームの配光パターンBF−114、BF−115、BF−116は、図15(A)、(B)、(C)中の実線に示すように、明暗境界線71の緩傾斜線部分73に沿って配列され、上3個のブロック111、112、113におけるロービームの配光パターンBF−111、BF−112、BF−113は、図15(A)、(B)、(C)中の破線に示すように、明暗境界線71よりも下方に配列されているので、良好なロービームの配光パターンLPが得られる。また、上3個のブロック111、112、113におけるハイビームの配光パターンBB−111、BB−112、BB−113及び下3個のブロック114、115、116におけるハイビームの配光パターンBB−114、BB−115、BB−116は、図16(A)、(B)、(C)中の破線及び実線に示すように、水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vに集中し、配光パターンBB−114を配光パターンBB−115が、配光パターンBB−115を配光パターンBB−116が、又、配光パターンBB−114を配光パターンBB−111が、配光パターンBB−115を配光パターンBB−112が、配光パターンBB−116を配光パターンBB−113がそれぞれ包み込む形となるので、良好なハイビームの配光パターンHPが得られる。
【0040】[第2反射面セグメントの変形例の構成及び効果]この第2反射面セグメントにおいては、横に3個のブロック121、122、123に分割したものである。この3個のブロックのうち、ブロック121は、上述の放電灯2に対して近い部分、ブロック122は、上述の放電灯2に対して中位の部分、ブロック123は、上述の放電灯2に対して遠い部分を構成する。
【0041】この第2反射面セグメントの3個のブロック121、122、123においては、放電アークがロービーム位置BFに位置する時には、図17(A)に示す配光パターンBF−121、BF−122、BF−123が得られるように、放電アークがハイビーム位置BBに位置する時には、図17(B)に示す配光パターンBB−121、BB−122、BB−123が得られるように、それぞれ構成されている。
【0042】この結果、良好なロービームの配光パターンLP及びハイビームの配光パターンHPの双方が得られる。すなわち、3個のブロック121、122、123におけるロービームの配光パターンBF−121、BF−122、BF−123は、図17(A)に示すように、明暗境界線71の水平線部分72に沿って配列されているので、良好なロービームの配光パターンLPが得られる。また、3個のブロック121、122、123におけるハイビームの配光パターンBB−121、BB−122、BB−123は、図17(B)に示すように、水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vに集中し、配光パターンBB−123を配光パターンBB−122が、配光パターンBB−122を配光パターンBB−121がそれぞれ包み込む形となるので、良好なハイビームの配光パターンHPが得られる。
【0043】[放電アークの左右の偏位による効果]上述の放電アークのロービーム位置BFに対するハイビーム位置BBの切替位置において、後方の距離A2が1.0mmと最小の場合(下側の距離A1は1.0mm)、図19(A)に示すように、ややロービームの配光パターンのイメージが残るために、最大光度位置(図19(A)中の×にて示す点)が左寄りとなる。そこで、放電アークのロービーム位置BFに対するハイビーム位置BBの切替位置を、後方下側に加えて、さらに左側L又は右側Rにずらす。図18において、この放電アークのロービーム位置BFの中心BFCと左右のハイビーム位置LBB、RBBの中心BBCとの左右間の距離A3は、約0.1〜1.5mmであって、好ましくは約1.0mm前後ある。
【0044】ここで、放電アークのロービーム位置BFに対するハイビーム位置BBの切替位置を、後方の距離A2が1.0mmと最小であり、かつ、下側の距離A1が1.0mmの場合、ハイビーム位置BBを左側に1.0mmにずらすと、図19(B)に示すように、最大光度位置(図19(B)中の×にて示す点)が水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vに補正されるので、良好なハイビームの配光パターンHPが得られる。また、放電アークのロービーム位置BFとハイビーム位置LBB、RBBとの間の切替距離A1、A2、A3が小で済む。
【0045】[本発明の前照灯の第1具体例の構成]図20は本発明の前照灯の第1具体例を示した縦断面図である。図中、図1乃至図19と同符号は同一のものを示す。この前照灯は、ランプハウジング3及び前面レンズ(アウターカバー)30及び後部カバー31により、灯室32が画成されている。この灯室32内には、上述の反射面1及び放電灯2及び後述する切替装置4が配置されている。
【0046】上述の反射面1は、ランプハウジング3と別体のリフレクタから構成されている。また、この反射面1は、開口部17を有する固定反射面18と、その開口部17に対応する可動反射面10とから構成されている。一方、上述の放電灯2は、光源ホルダ22及び光源ソケット23を介して固定反射面18に着脱可能に固定されている。
【0047】そして、上述の可動反射面10は、上述の第1、第2、第3反射面セグメント11(111、112、113、114、115、116)、12(121、122、123)、131、132、133からなり、一方、固定反射面18は、主に上述の遮光部分14、15及び上述の第1、第2、第3セグメントの周囲の部分からなる。この可動反射面10の疑似焦点値(例えば、26mm)を、固定反射面18の疑似焦点値(例えば、28mm)よりも小さくする。この結果、固定反射面18の開口部17の周縁180と可動反射面10の周辺100とには、可動反射面10をロービーム位置(図20中の実線にて示す位置)に位置させた際に周辺100が周縁180に当接ラップするストッパが、構成されることとなる。
【0048】上述の切替装置4は、ベース40と、ソレノイド41と、固定側のガイドレール42及び可動側のガイドレール(スライドガイドレール)43と、ステー44と、引張りコイルスプリング45とから構成されている。すなわち、ほぼU字乃至Y字形状をなすベース40の中間部が上述の固定反射面18にスクリュウ等により固定されている。このベース40の一端部と中間部とには、ソレノイド41と固定側のガイドレール42とがそれぞれ固定されている。このソレノイド41のプランジャ46と可動側のガイドレール43とには、ほぼL字形状をなすステー44の中間部と一端部とがそれぞれスクリュウ等により固定されている。このステー44の他端部には、上述の可動反射面10がスクリュウ等により固定されている。また、ステー44の中間部とベース40の他端部とには、引張りコイルスプリング45の両端がそれぞれ取り付けられている。
【0049】この結果、可動反射面10は、ガイドレール42、43により、放電アークのロービーム位置BFの中心BFCと放電アークのハイビーム位置BBの中心BBCを結ぶ方向、すなわち、光軸ZF−ZBに対してθ傾斜した方向に、放電灯2(この場合固定である)に対してロービーム位置とハイビーム位置(図20中二点鎖線にて示す位置)とに切替えられることとなる。また、可動反射面10は、引張りコイルスプリング45により、常時(ソレノイド41への通電が遮断されている時)ロービーム位置側に引張られている。
【0050】なお、図中符号29はシェードである。
【0051】[本発明の前照灯の第1具体例の作用効果]この第1具体例における本発明の前照灯は、以上の如き構成からなり、以下その作用について説明する。まず、常時においては、引張りコイルスプリング45により、可動反射面10はロービーム位置に位置するので、上述の所定のロービームの配光パターンLPが得られる。
【0052】次に、ソレノイド41に通電すると、可動反射面10は、ステー44を介し、かつ、引張りコイルスプリング45のばね力に抗し、放電灯2に対してロービーム位置からハイビーム位置に切替えられて位置するので、上述の所定のハイビームの配光パターンHPが得られる。この可動反射面10がロービーム位置からハイビーム位置に切替位置する時に、可動側のガイドレール43がベース40の中間部のストッパ47に当接するので、可動反射面10がハイビーム位置に高精度に切替位置することができる。
【0053】それから、ソレノイド41への通電を遮断すると、可動反射面10は、ステー44を介し、引張りコイルスプリング45のばね力により、放電灯2に対してハイビーム位置からロービーム位置に切替えられて位置するので、上述の所定のロービームの配光パターンLPが得られる。上述の可動反射面10がハイビーム位置からロービーム位置に切替位置する時に、可動反射面10の周辺100が固定反射面18の周縁180に当接ラップするので、可動反射面10がロービーム位置に高精度に切替位置することができる。
【0054】特に、この第1具体例においては、可動反射面10がロービーム位置に切替位置する時には、可動反射面10の周辺100が固定反射面18の周縁180に当接ラップしているので、可動反射面10が固定反射面18に確固に保持されることとなり、自動車の振動等に対しても、可動反射面10を高精度に位置させることができる。また、ランプ組み立てのイニシャライズ(初期設定)も容易となる。このように、可動反射面10をロービーム位置に高精度に位置させる必要がある前照灯に最適である。なお、可動反射面は、ハイビームパターン形成に必要な部分のみとしても良い。
【0055】[本発明の前照灯の第1具体例の変形例]上述の第1具体例において、上述の第1発明の反射面1を使用せずに、一般の単一反射面や複合反射面を使用してもよい。また、切替装置は、ソレノイド以外のアクチュエータ部分を核に構成したものでも良い。この変形例は、第2発明を構成することとなる。
【0056】[本発明の前照灯の第2具体例の構成]図21は本発明の前照灯の第2具体例を示した縦断面図である。図中、図1乃至図20と同符号は同一のものを示す。この前照灯は、放電灯2を反射面1(この場合固定である)に対してロービーム位置(図21中実線にて示す位置)とハイビーム位置(図21中二点鎖線にて示す位置)とに切替えるものである。
【0057】この第2具体例に使用される切替装置5は、ベース50と、ソレノイド51と、固定側のガイドレール52及び可動側のガイドレール(スライドガイドレール)53と、ステー54と、引張りコイルスプリング55とから構成されている。すなわち、ほぼZ形状をなすベース50の一端部が固定側の反射面1にスクリュウ等により固定されている。このベース50の他端部と中間部とには、ソレノイド51と固定側のガイドレール52とがそれぞれ固定されている。このソレノイド51のプランジャ56と可動側のガイドレール53とには、ほぼH字形状をなすステー54の両一端部(下端部)がそれぞれスクリュウ等により固定されている。このステー54の中間部には、上述の可動側の放電灯2がスクリュウ等により固定されている。また、ステー54の他端部(上端部)と固定側の反射面1とには、引張りコイルスプリング55の両端がそれぞれ取り付けられている。
【0058】[本発明の前照灯の第2具体例の作用効果]この第1具体例における本発明の前照灯は、以上の如き構成からなり、以下その作用について説明する。まず、常時においては、引張りコイルスプリング55により、放電灯2は、ロービーム位置に位置するので、上述の所定のロービームの配光パターンLPが得られる。
【0059】次に、ソレノイド51に通電すると、放電灯2は、ステー54を介し、かつ、引張りコイルスプリング55のばね力に抗し、反射面1に対してロービーム位置からハイビーム位置に切替えられて位置するので、上述の所定のハイビームの配光パターンHPが得られる。この放電灯2がロービーム位置からハイビーム位置に切替位置する時に、可動側のガイドレール53がベース50の中間部のストッパ57に当接するので、放電灯2がハイビーム位置に高精度に切替位置することができる。
【0060】それから、ソレノイド51への通電を遮断すると、放電灯2は、ステー54を介し、引張りコイルスプリング55のばね力により、反射面1に対してハイビーム位置からロービーム位置に切替えられて位置するので、上述の所定のロービームの配光パターンLPが得られる。この放電灯2がハイビーム位置からロービーム位置に切替位置する時に、ステー54反射面1のストッパ58に当接するので、放電灯2がハイビーム位置に高精度に切替位置することができる。
【0061】なお、本発明の前照灯の反射面におけるブロック111〜116、121〜123、131〜133は、ブロックの繋ぎ線が見えるもの、又は、ブロックが連続的に繋がってブロックの繋ぎ線が見えないもの等がある。
【0062】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の前照灯は、第1反射面セグメント及び第2反射面セグメントにより、放電アークをロービーム位置に切替位置させると、傾斜線部分及び水平線部分からなる明暗境界線が形成され、所定のロービームの配光パターンが得られ、一方、放電アークをハイビーム位置に切替位置させると、中央部付近にホットゾーンが形成され、所定のハイビームの配光パターンが得られる。しかも、放電アークのロービーム位置とハイビーム位置との間の切替距離が小で済むので、移動精度の向上、及び切替装置の小型化が図られ、放電アークの切替が正確に行える。
【0063】また、本発明は、可動反射面をロービーム位置に位置させた際に、その可動反射面の周辺が固定反射面の開口部の周縁に当接ラップするので、その周辺及び周縁からなるストッパのストッパガイド作用により、可動反射面をロービーム位置に高精度に切替位置させることができる。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【出願日】 平成11年2月26日(1999.2.26)
【代理人】 【識別番号】100059269
【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開2000−251521(P2000−251521A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−50875