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【発明の名称】 照明カバ―用アクリル樹脂フイルムおよび照明カバ―
【発明者】 【氏名】畠山 宏毅

【氏名】北池 幸雄

【要約】 【課題】製造が容易であり、且つ光拡散性に優れた照明カバー用アクリル樹脂フイルムを提供する。

【解決手段】全光線透過率が90%以上、曇価が30%以上、60゜表面光沢度が25%以下であり、且つプレス成形機を用いて鏡面転写を行い表面光沢度を130%以上にした時に、全光線透過率が90%以上、曇価が10%以下である500μm以下の厚みを有する照明カバー用アクリル樹脂フィルム;および、このアクリル樹脂フィルムを表面に有する照明カバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 全光線透過率が90%以上、曇価が30%以上、60゜表面光沢度が25%以下であり、且つプレス成形機を用いて鏡面転写を行い表面光沢度を130%以上にした時に、全光線透過率が90%以上、曇価が10%以下である500μm以下の厚みを有する照明カバー用アクリル樹脂フィルム。
【請求項2】 以下に示される熱可塑性重合体(A−1)0〜20重量部、ゴム含有重合体(A−2)5〜100重量部、および、熱可塑性重合体(A−3)0〜95重量部[成分(A−1)〜(A−3)の合計100重量部]を主成分として含有するアクリル樹脂(A)と、以下に示される有機非架橋艶消し剤(B)5〜40重量部とからなる樹脂混合物をフィルム化して成る請求項1記載の照明カバー用アクリル樹脂フィルム。
(A−1) 熱可塑性重合体メタクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/gを超える熱可塑性重合体。
(A−2) ゴム含有重合体アクリル酸アルキルエステル35〜99.9重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜64.9重量%と、共重合性の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量体混合物を重合して得られる一層以上の構造を有する弾性共重合体100重量部の存在下に、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%からなる単量体または単量体混合物10〜2000重量部を重合させることにより得られるゴム含有重合体。
(A−3) 熱可塑性重合体炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエステル1〜50重量%と、これらと共重合可能な他のビニル単量体0〜49重量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である熱可塑性重合体。
(B) 有機非架橋艶消し剤アルキル基の炭素数が1〜8のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよび/またはアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(b−1)1〜80重量%と、アルキル基の炭素数が1〜13のメタクリル酸アルキルエステル(b−2)10〜99重量%と、アルキル基の炭素数1〜8のアクリル酸アルキルエステル(b−3)0〜79重量%とからなる有機非架橋艶消し剤。
【請求項3】 請求項1または2記載の照明カバー用アクリル樹脂フィルムを表面に有する照明カバー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な光拡散性を示す照明カバー用アクリル樹脂フイルムおよびこのフィルムを表面に有する照明カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】光拡散性の良い樹脂板を得る方法としては、透明性の良い樹脂材料に無機顔料を混ぜるのが最も一般的である。無機顔料としては硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硝子ビーズなどがある。無機顔料は安価で使い易いが、樹脂板の全光線透過率が下がり易く、使用できる種類や量が限定されやすい。
【0003】この問題を解決する方法として、樹脂板基材と屈折率の異なる架橋重合体を基材となる合成樹脂に添加する方法が、特公昭39−10515号公報、同46−11834号公報、同55−7471号公報、同58−11463号公報、特願昭62−302085号公報、同63−34862号公報に開示されている。これらに記載の技術により、高透過率、高拡散性のメタクリル樹脂板の製造が可能になった。
【0004】また、特開平3−237133号公報には、高透過率、高拡散性であり、且つ柔軟性、伸度等に優れた光拡散性フィルムが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平3−237133号公報に開示された技術に従えば、良好な光拡散性を有するフィルムが得られるが、重合が煩雑であったり、粉砕工程があるために容易にフィルムを得ることはできなかった。
【0006】また、アクリル樹脂中に芳香族ビニルモノマー等を含むために必然的に若干の全光線透過率の低下は避けられなかった。
【0007】本発明は、上述の従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、製造が容易であり、且つ光拡散性に優れた照明カバー用アクリル樹脂フイルムおよびこのフィルムを用いた照明カバーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、全光線透過率が90%以上、曇価が30%以上、60゜表面光沢度が25%以下であり、且つプレス成形機を用いて鏡面転写を行い表面光沢度を130%以上にした時に、全光線透過率が90%以上、曇価が10%以下である500μm以下の厚みを有する照明カバー用アクリル樹脂フィルムである。
【0009】さらに本発明は、この照明カバー用アクリル樹脂フィルムを表面に有する照明カバーである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0011】本発明のアクリル樹脂フイルムは、その全光線透過率が90%以上、曇価が30%以上、60゜表面光沢度が25%以下であることが必要である。
【0012】全光線透過率が90%未満であると、照明カバーに加工したときの輝度が不足する。また、曇価が30%未満、あるいは60゜表面光沢度25%を超えると、光拡散性が低下する。特に、曇値が50%以上、表面光沢度が20%以下であることが好ましい。
【0013】さらに本発明のアクリル樹脂フイルムは、プレスラミネートで鏡面転写を行い、表面光沢度を130%以上にした時に、全光線透過率が90%以上、曇価が10%以下であることが必要である。プレスラミネートで鏡面転写を行い表面光沢度を130%以上にした時の曇価が10%を超えると、照明カバーに加工したときの輝度が不足する。この時の曇価は、特に5%以下であることが好ましい。
【0014】本発明のアクリル樹脂フィルムは、以下に説明する特定の熱可塑性重合体(A−1)0〜20重量部、ゴム含有重合体(A−2)5〜100重量部、および、熱可塑性重合体(A−3)0〜95重量部[成分(A−1)〜(A−3)の合計100重量部]を主成分として含有するアクリル樹脂(A)と、以下に説明する特定の有機非架橋艶消し剤(B)5〜40重量部とからなる樹脂混合物をフィルム化して成るものであることが好ましい。
【0015】以下、アクリル樹脂(A)の各成分(A−1)〜(A−3)の好適な構成について説明する。
【0016】熱可塑性重合体(A−1)は、好ましくは、メタクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/gを超える熱可塑性重合体である。この熱可塑性重合体(A−1)は、フィルム成形性に対し重要な役割を担う成分である。
【0017】熱可塑性重合体(A−1)の還元粘度は重要である。この還元粘度が0.1L/gを超えることにより、厚み精度の良好なフィルムが得られる。また、この還元粘度は、通常2L/g以下、好ましくは1.2L/g以下である。
【0018】熱可塑性重合体(A−1)において、メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物等が挙げられる。
【0019】熱可塑性重合体(A−1)の製造は、乳化重合法によることが好ましく、通常の乳化重合法および後処理法により、粉末状で回収することができる。
【0020】ゴム含有重合体(A−2)は、好ましくは、アクリル酸アルキルエステル35〜99.9重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜64.9重量%と、共重合性の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量体混合物を重合して得られる一層以上の構造を有する弾性共重合体100重量部の存在下に、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%からなる単量体または単量体混合物10〜2000重量部を重合させることにより得られるゴム含有重合体である。
【0021】このゴム含有重合体(A−2)は、例えば、弾性共重合体用の上記各成分を少なくとも一段以上で乳化重合法等で重合させることにより弾性共重合体を得、この弾性共重合体の存在下に、メタクリル酸エステル等を少なくとも1段以上で乳化重合法等で重合させることにより得られる。この重合によりメタクリル酸エステル等は弾性共重合体にグラフト共重合され、グラフト鎖を有する架橋弾性共重合体が生成する。
【0022】すなわち、ゴム含有重合体(A−2)は、アクリル酸アルキルエステルをゴムの主成分として含む多層構造を有するグラフト共重合体である。このゴム含有重合体(A−2)は、フィルムに優れた耐衝撃性および伸度を付与する作用を有する。
【0023】ゴム含有重合体(A−2)において、弾性共重合体を構成するために用いるアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数1〜8のものが挙げられる。特に、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましい。
【0024】ゴム含有重合体(A−2)において、弾性共重合体を構成するために所望に応じて用いるアクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等が好ましい。
【0025】ゴム含有重合体(A−2)において、弾性共重合体を構成するために用いる共重合性の架橋性単量体としては、特に限定されないが、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ブタンジオール、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメチロールトリアクリレート、アリルシンナメート等が挙げられる。これらは、単独または組み合わせて用いることができる。
【0026】弾性共重合体は、1層または2層以上の構造とすることができる。2層以上の構造とする場合でも、弾性共重合体の全体におけるアクリル酸アルキルエステルの使用量が35重量%以上であればよい。したがって、例えば弾性共重合体をハード芯構造にする場合、1層目のアクリル酸アルキルエステルの使用量を35重量%未満にすることもできる。
【0027】弾性共重合体にグラフトさせるメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル等が挙げられる。
【0028】弾性共重合体にグラフトさせる共重合可能な他のビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0029】グラフトさせる単量体またはその混合物は、弾性共重合体100重量部に対し好ましくは10〜2000重量部、より好ましくは20〜200重量部使用し、少なくとも一段以上で重合することができる。
【0030】ゴム含有重合体(A−2)は、例えば、乳化重合で得られる。重合時に連鎖移動剤、その他の重合助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤としては、従来より知られる各種のものが使用でき、特にメルカプタン類が好ましい。
【0031】熱可塑性重合体(A−3)は、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエステル1〜50重量%と、これらと共重合可能な他のビニル単量体0〜49重量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である熱可塑性重合体である。
【0032】熱可塑性重合体(A−3)において、メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。特に、メタクリル酸メチルが好ましい。アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0033】熱可塑性重合体(A−3)において、共重合可能な他のビニル単量体としては、従来より知られる各種単量体が使用でき、例えば、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物等が挙げられる。
【0034】熱可塑性重合体(A−3)の重合方法は、特に限定されないが、通常の懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法で行うことができる。重合時に連鎖移動剤、その他の重合助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤としては、従来より知られる各種のものが使用でき、特にメルカプタン類が好ましい。
【0035】次に、有機非架橋艶消し剤(B)の好適な構成について説明する。
【0036】有機非架橋艶消し剤(B)は、好ましくは、アルキル基の炭素数が1〜8のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよび/またはアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(b−1)1〜80重量%と、アルキル基の炭素数が1〜13のメタクリル酸アルキルエステル(b−2)10〜99重量%と、アルキル基の炭素数1〜8のアクリル酸アルキルエステル(b−3)0〜79重量%とからなる有機非架橋艶消し剤である。
【0037】アルキル基の炭素数が1〜8のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよび/またはアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(b−1)としては、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらの中でも、特にメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0038】アルキル基の炭素数が1〜8のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよび/またはアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(b−1)の使用量は、1〜80重量%が好ましい。この使用量が1重量%以上であると、十分な光拡散効果が得られる。また80重量%以下であると、伸度の低下や表面状態の不良が生じ難くなる。光拡散性発現の為には、この使用量は5〜50重量%であることがより好ましく、20〜50重量%であることが特に好ましい。
【0039】アルキル基の炭素数が1〜13のメタクリル酸アルキルエステル(b−2)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の低級メタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、メタクリル酸メチルが好ましい。このメタクリル酸アルキルエステル(b−2)の使用量は、10〜99重量%であることが好ましく、30〜90重量%であることがより好ましい。
【0040】アルキル基の炭素数1〜8のアクリル酸アルキルエステル(b−3)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等の低級アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。このアクリル酸アルキルエステル(b−3)の使用量は、0〜79重量%であることが好ましく、0.5〜40重量%であることがより好ましく、5〜25重量%であることが特に好ましい。
【0041】有機非架橋艶消し剤(B)の固有粘度は、0.05〜0.3L/gの範囲に調節することが光拡散性の点から好ましい。この調節には、メルカプタン等の重合調節剤を用いればよい。メルカプタンとしては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。ただし、これらに限定されず、従来より知られる各種の重合調節剤を用いればよい。
【0042】有機非架橋艶消し剤(B)の配合量は、アクリル樹脂(A)の主成分である成分(A−1)〜(A−3)の合計100重量部を基準として、5〜40重量部であることが好ましい。この配合量が5重量部以上であると、艶消し剤の十分な効果が発現する。良好な光拡散性を得る為には、この配合量は、8重量部以上であることがより好ましい。
【0043】有機非架橋艶消し剤(B)の製造方法は、特に限定されないが、コスト面から懸濁重合による方法が好ましい。懸濁重合は、通常、懸濁安定剤の存在下にモノマー類を重合開始剤と共に水性懸濁して行なう。ただし、モノマーに可溶な重合物をモノマーに溶かし込んで使用して重合することもできる。
【0044】懸濁重合の重合開始剤としては、従来より懸濁重合に使用可能なことが知られる各種の開始剤を用いればよく、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。また、懸濁安定剤も、従来より知られる各種の懸濁安定剤を用いればよく、例えば、有機コロイド性高分子物質、無機コロイド性高分子物質、無機微粒子およびこれらと界面活性剤との組み合わせが挙げられる。
【0045】上述した各成分に加えて、必要に応じて、一般の配合剤、例えば安定剤、滑剤、加工助剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充鎮剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等をさらに配合することができる。また、その物性を損なわない範囲内で、一般の光拡散剤を併用することもできる。
【0046】本発明では、フィルム表面の凹凸で光拡散性を発現しているため、フィルムの厚みと光拡散性には相関が無い。したがって、コスト面から500μm以下の厚みにすることが好ましい。
【0047】本発明の照明カバー用アクリル樹脂フイルムは、好適には上述した各成分を含む樹脂混合物をフィルム化することにより得られる。その製造方法としては、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法、カレンダー法等、いずれの方法を用いてもよい。特に経済性の点から、Tダイ法が好ましい。
【0048】本発明の照明カバーは、このようなアクリル樹脂フィルムを表面に有するものである。この照明カバーは、例えば、基材の表層としてアクリル樹脂フィルムを積層することにより得られる。
【0049】照明カバーの基材としては、従来より知られる各種の熱可塑性樹脂を好適に使用できる。また、熱融着しない熱硬化性樹脂等の基材でも接着剤を使用して貼り合わせることは可能である。
【0050】基材へのアクリル樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限無く、従来より知られる各種の積層方法を採用できる。また、基材とアクリル樹脂フィルムとの間に、必要に応じて中間層を設けてもよい。
【0051】また、本発明の照明カバーは、エンボスロールにより表面凹凸が付けられたものとは異なり、加熱成形によっても表面凹凸が消失し難いので、良好な光拡散性を保持することができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を表わす。また、実施例の評価は、以下の方法により実施した。
【0053】(1)60゜表面光沢度ASTM−D523に準拠して、村上色彩技術研究所製、光沢計GM−26Dを使用して60°表面光沢度を測定した。
【0054】(2)全光線透過率、曇価ASTM−D1003に準拠して、村上色彩技術研究所製、反射・透過率計HR100を使用して全光線透過率、曇価を測定した。
【0055】(3)還元粘度、固有粘度還元粘度、固有粘度の測定は、三電子工業(株)製、AVL−2C自動粘度計を使用し、溶媒にクロロホルムを使用して行なった。還元粘度はクロロホルム100mlにサンプルを0.1g溶かしたもので測定した。
【0056】(4)鏡面転写鏡面仕上げされたSUS板にフィルムを挟み、140℃、5MPaの条件下で約5分プレス成形を行い鏡面転写を行った。
【0057】<実施例1>■.熱可塑性重合体(A−1)の製造反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、乳化剤オレイン酸カリ1部、過硫酸カリ0.3部を仕込んだ。続いてメタクリル酸メチル40部、アクリル酸n−ブチル10部、n−オクチルメルカプタン0.005部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間撹拌し重合を完結させた。ひき続いてメタクリル酸メチル48部、アクリル酸n−ブチル2部からなる単量体混合物を2時間にわたり滴下し、滴下終了後2時間保持して重合を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加し、重合体を酸析後脱水、水洗、乾燥し、粉体状で重合体を回収した。得られた重合体の還元粘度ηsp/cは0.38L/gであった。
【0058】■.ゴム含有重合体(A−2−1)の製造反応容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲気下50℃で4時間撹拌を行いながら重合を完結させ、弾性体ラテックスを得た。
【0059】
アクリル酸ブチル 77 部 スチレン 22.7部 メタクリル酸アリル 0.3部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.0部 脱イオン水 300 部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部。
【0060】この弾性体共重合体100部(ラテックスの固形分として)を反応容器に取り撹拌しながら充分窒素置換した後80℃に昇温し、硫酸第二鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0002部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.125部、脱イオン水2部からなる水溶液を添加後、温度を80℃に保ちながらメタクリル酸メチル60部、n−オクチルメルカプタン0.05部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.125部からなる混合物を2時間にわたり滴下し、この後2時間保持し重合を完結させた。得られた共重合体ラテックスを塩析後脱水し、水洗、洗浄を行い粉体状のゴム含有重合体(A−2−1)を得た。
【0061】■.有機非架橋艶消し剤(B)の製造撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口等を備えた反応容器に、次の混合物を仕込んだ。
【0062】
アクリル酸メチル 20 部 メタクリル酸メチル 60 部 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 20 部 n−オクチルメルカプタン 0.08部 ラウロイルパーオキサイド 1 部 第三リン酸カルシウム 5 部 イオン交換水 250 部。
【0063】容器内を十分に窒素ガスで置換した後、上記混合物を撹拌しながら75℃まで加熱し、窒素ガス気流中で重合を進めた。2時間後に90℃に昇温して、さらに45分保持して重合を完了し、脱水、乾燥して有機非架橋艶消し剤(B)を得た。この有機非架橋艶消し剤(B)は、直鎖状重合体から成り、その固有粘度は0.11L/gであった。
【0064】上述のようにして得た熱可塑性重合体(A−1)2部、ゴム含有重合体(A−2−1)30部、および、熱可塑性重合体(A−3)であるメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=90/10、ηsp/c=0.051L/g)68部からなるアクリル樹脂(A)100部と、上述のようにして得た有機非架橋艶消し剤(B)10部と、抗酸化剤(旭電化工業(株)製、商品名アデカスタブPEP8F)0.5部とをヘンシェルミキサーで混合した。
【0065】次いで、40mmφのスクリュー型押出機(L/D=26)を用いて、シリンダー温度200〜260℃、ダイ温度250℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを乾燥した後、Tダイを用いて押出成形し、厚さ150μmのアクリル樹脂フイルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0066】<実施例2〜4>各成分の配合量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の手順でアクリル樹脂フィルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0067】<実施例5>ゴム含有重合体(A−2−1)の代わりに、以下に示すゴム含有重合体(A−2−2)を使用し、かつ、各成分の配合量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の手順でアクリル樹脂フィルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0068】■.ゴム含有重合体(A−2−2)の製造反応容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲気下50℃で4時間撹拌を行いながら重合を完結させ、弾性体ラテックスを得た。その評価結果を表1に示す。
【0069】
アクリル酸ブチル 77 部 スチレン 22.7部 メタクリル酸アリル 0.3部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.0部 脱イオン水 300 部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部。
【0070】この弾性共重合体100部(ラテックスの固形分として)を反応容器に取り、撹拌しながら充分窒素置換した後、80℃に昇温し、硫酸第二鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0002部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.125部、脱イオン水2部からなる水溶液を添加後、温度を80℃に保ちながらメタクリル酸メチル200部、n−オクチルメルカプタン0.05部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.125部からなる混合物を6時間にわたり滴下し、2時間保持して重合を完結させた。得られた共重合体ラテックスを塩析後脱水し、水洗、洗浄を行い粉体状でゴム含有重合体(A−2−2)を得た。
【0071】<実施例6>アクリル樹脂(三菱レイヨン製、商品名アクリペットVH)を240℃で押し出して2mmシート状に成形する際に、溶融アクリル樹脂と冷却ロールの間に実施例1で得たアクリル樹脂フィルムを導入することにより、押し出しラミネーションし照明カバーを得た。
【0072】得られた照明カバーを27W白色蛍光灯に5cmまで近付けたが、蛍光灯の輪郭は見えなかった。
【0073】<比較例1>有機非架橋艶消し剤(B)を使用しないこと以外は、実施例1と同様の手順でフィルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0074】<比較例2>有機非架橋艶消し剤(B)を使用する代わりに、以下のようにして得られた重合体(C)を使用したこと以外は、実施例1と同様の手順でフィルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0075】■.重合体(C)の製造スチレン100部とジビニルベンゼン5部を混合して重合させ、平均粒径9μmのポリスチレン粒子を得た。このポリスチレン微粒子20部、メチルメタクリレート80部およびアゾビスイソブチロニトリルを混合し重合した。さらに、この重合体を粉砕して微粉とした。
【0076】<比較例3>実施例1で得たアクリル樹脂フィルムの代わりに、比較例2で得たフィルムを用いたこと以外は、実施例6と同様の手順で押し出しラミネーションを行ない、照明カバーを得た。
【0077】得られた照明カバーを27W白色蛍光灯に5cmまで近付けると、蛍光灯の輪郭が見えた。また、実施例6の照明カバーと比較すると輝度が不足していた。
【0078】
【表1】

【0079】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、製造が容易であり、且つ光拡散性に優れた照明カバー用アクリル樹脂フイルムおよびこのフィルムを用いた照明カバーを提供できる。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成11年1月13日(1999.1.13)
【代理人】 【識別番号】100100893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 勝 (外3名)
【公開番号】 特開2000−207914(P2000−207914A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−6398