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【発明の名称】 前照灯
【発明者】 【氏名】大久保 泰宏

【要約】 【課題】路肩の視認性、路肩側コーナーの視認性遠方視認性の向上。

【解決手段】反射面4のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する扇形部分85の上方部分に、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860が設けられている。この結果、このセグメント860により、光源バルブ5からの光の一部を自走車線78の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線78の路肩側コーナーの視認性が向上され、ハイビームによる遠方視認性も向上される。反射面4のうち、扇形部分85の下方部分に、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870が設けられている。この結果、このセグメント870により、光源バルブ5からの光の一部を自走車線78の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線78の路肩の視認性と路肩側コーナーの視認性とが向上され、ハイビームによる遠方視認性も向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプハウジング及びレンズにより灯室が画成されており、前記灯室内には光源バルブ及びリフレクタが配置されており、前記光源バルブは、ロービーム用フィラメントがハイビーム用フィラメントよりも上方に配置されており、前記リフレクタは、複合反射面から構成されている反射面を有しており、前記ロービーム用フィラメントを点灯すると、前記反射面の全面反射配光により、所定のロービームの配光パターンが形成され、前記ハイビーム用フィラメントを点灯すると、前記反射面の全面反射配光により、所定のハイビームの配光パターンが形成される前照灯において、前記反射面のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する部分の上方部分には、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントが設けられており、前記路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントにより、前記光源バルブからの光の一部を自走車線の路肩側に反射させて、ロービームによる自走車線の路肩側コーナーの視認性が向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される、ことを特徴とする前照灯。
【請求項2】 ランプハウジング及びレンズにより灯室が画成されており、前記灯室内には光源バルブ及びリフレクタが配置されており、前記光源バルブは、ロービーム用フィラメントがハイビーム用フィラメントよりも上方に配置されており、前記リフレクタは、複合反射面から構成されている反射面を有しており、前記ロービーム用フィラメントを点灯すると、前記反射面の全面反射配光により、所定のロービームの配光パターンが形成され、前記ハイビーム用フィラメントを点灯すると、前記反射面の全面反射配光により、所定のハイビームの配光パターンが形成される前照灯において、前記反射面のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する部分の下方部分には、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントが設けられており、前記路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントにより、前記光源バルブからの光の一部を自走車線の路肩側に反射させて、ロービームによる自走車線の路肩の視認性と路肩側コーナーの視認性とが向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される、ことを特徴とする前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の前照灯であって、反射面の全面反射配光により所定のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンがそれぞれ得られる前照灯に係り、特に、ロービームによる自走車線の路肩の視認性又は及び路肩側コーナーの視認性が向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される前照灯に関するものである。
【0002】なお、本明細書において、「前方」とは、自動車の進行方向であって、ドライバー側から見た前方を言う。また、本明細書及び本図面において、符号「L」はドライバー側から前方を見た場合の左側のことを示し、また符号「R」はドライバー側から前方を見た場合の右側のことを示し、さらに符号「U」はドライバー側から前方を見た場合の上側のことを示し、さらにまた符号「D」はドライバー側から前方を見た場合の下側のことを示す。また、符号「H−H」は水平線(水平軸)のことを示し、符号「V−V」は垂直線(垂直軸)のことを示す。
【0003】
【従来の技術】以下、この種の前照灯を図18乃至図37を参照して説明する。なお、図示の前照灯は、左側通行区分の自動車の左側(ドライバー側から前方を見た場合の左側であって、前方から自動車の正面側を見た場合は右側となる)に装備されるものである。また、右側通行区分の自動車に装備される前照灯はこの図示の前照灯と左右逆となる。さらに、自動車の右側に装備される前照灯はこの図示の前照灯とほぼ左右対称となる。
【0004】この前照灯は、ランプハウジング1及びレンズ(アウターレンズ)2により、灯室3が画成形成されている。この灯室3内には、ランプハウジング1と別体のリフレクタ4が、ピボット機構(図示せず)及び光軸調整装置(図示せず)等により上下方向及び又は左右方向に、回動可能に配置されている。このリフレクタ4は、複合反射面から構成されている反射面40を有している。この反射面40、すなわち、複合反射面は、上下左右に複数個に区画された反射面セグメント(図示せず)からなるもので、所謂自由曲面と称されている。この自由曲面は、例えば、特開平9−306220号公報に記載されている。この複合反射面には厳密な意味での単一の焦点を有していないが、該複合反射面を形成している複数の回転放物面相互の焦点距離の差異は僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有しているので、図に示した焦点Fは厳密に言えば疑似焦点であるが、本明細書においてはこれを焦点Fと言う。同様に、図に示した光軸Z−Zも厳密に言えば疑似光軸であるが、本明細書においてはこれを光軸と呼ぶことにする。
【0005】上述のリフレクタ4には、光源バルブ5が着脱可能に取り付けられている。この光源バルブ5は、遮光フードがない光源バルブであって、ガラス管球50中にロービーム用フィラメント51及びハイビーム用フィラメント52が配置されており、かつ、このガラス管球50の先端部に例えば黒色塗装の被膜54(ロービーム用フィラメント51及びハイビーム用フィラメント52からの直射光がレンズ2に達するのを遮断するもの)が設けられてなるものである。上述のロービーム用フィラメント51は、反射面40の光軸Z−Zとほぼ平行であり、かつ反射面40の焦点Fよりも前方に位置している。また、ハイビーム用フィラメント52は、光軸Z−Zとほぼ平行であり、また焦点Fの近傍に、さらにロービーム用フィラメント51よりも斜下方(左側通行区分の場合左下、右側通行区分の場合右下)若しくは下方に位置している。
【0006】なお、図において、6はシェードである。このシェード6は、前記リフレクタ4に固定されており、かつ、前記光源バルブ5の前方を覆っており、ロービーム用フィラメント51及びハイビーム用フィラメント52からの直射光がリフレクタ4の無効部42やレンズ2に達するのを遮断するものである。また、60はゴムキャップである。このゴムキャップ60は、取付キャップ61により、光源バルブ5の口金とランプハウジング1の後部開口部との間に水密に着脱可能に取り付けられており、灯室3内を水密に保つものである。
【0007】そして、上述の複合反射面から構成された反射面40のリフレクタ4と、上述のロービーム用フィラメント51及びハイビーム用フィラメント52から構成された光源バルブ5とを使用した上述の前照灯において、ロービーム用フィラメント51を点灯すると、このロービーム用フィラメント51からの光が反射面40全面に亘って反射され、その反射光がレンズ2を経て外部に図21及び図22に示す所定のロービームの配光パターンLPで照射される。一方、ハイビーム用フィラメント52を点灯すると、このハイビーム用フィラメント52からの光が反射面40全面に亘って反射され、その反射光がレンズ2を経て外部に図23及び図24に示す所定のハイビームの配光パターンHPで照射される。なお、図22のロービームの等照度曲線図及び図24のハイビームの等照度曲線図においては、リフレクタ4の反射面40が90mm×190mmであり、ロービームの光源光量が1020lmであり、ハイビームの光源光量が1550lmであり、10m前方のスクリーンへ照射したものである。また、図24のハイビームの等照度曲線図において、斜破線はセンターラインを示し、このセンターラインから右側の斜実線の間は対向車線77を示し、このセンターラインから左側の斜実線の間は自走車線78を示す。
【0008】このように、反射面40の全面反射配光により、所定のロービームの配光パターンLPと所定のハイビームの配光パターンHPとがそれぞれ制御形成されるものである。この複合反射面の反射面40及び光源バルブ5を使用した前照灯としては、例えば、特開平8−329703号公報に記載のものがある。
【0009】上述の所定のロービームの配光パターンLP、所定のハイビームの配光パターンHPとは、欧州配光規格ECEReg.、あるいはそれに準じたもの(例えば、日本国内型式認定基準等)、北米配光規格のFMVSS等の配光規格に適合する配光パターンを言う。
【0010】上述のロービームの配光パターンLPにおいては、眩惑光を制限するように配光規格化されている。この結果、上述のロービームの配光パターンLPは、図21に示すように、対向車7及び左側路肩の歩行者70に対して考慮した明暗境界線71を有するものとなる。すなわち、この明暗境界線71は、対向車7に眩惑光を与えないように、右端からほぼ中央までの間であって、水平線HL−HRよりも若干下方に位置する水平線部分72と、左側路肩歩行者70に眩惑光を与えずにかつ左側路肩歩行者70を視認できるように、ほぼ中央の水平線部分72から緩やかに、例えば15°左上方に傾斜する緩傾斜線部分73と、その緩傾斜線部分73から再び水平線部分72に左下方に傾斜して戻る傾斜線部分74とからなる。また、このロービームの配光パターンLPにおいて、最大光度値に関する規格はない。
【0011】一方、上述のハイビームの配光パターンHPにおいては、最大光度値や最大光度帯が配光規格化されている。この結果、上述のハイビームの配光パターンHPは、図23に示すように、中央部分にホットゾーンHZ(最大光度点を含む最大光度帯)を有するものとなる。ここで、欧州配光規格ECEReg.における最大光度値は、48〜240lx(1lx=625cdであって、25m離れたスクリーン上の測定)であり、また、水平線HL−HRと垂直線VU−VDとの交点H−Vの光度値は、最大光度値の80%以上(認証)である。
【0012】上述の前照灯においては、ロービームによる自走車線の路肩の視認性又は及び路肩側コーナーの視認性が向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上されることが重要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そして、上述の前照灯において、図25に示すように、リフレクタ4の反射面40のうち、第3象限83(右側通行区分の場合は第4象限84)中の扇形部分85(図25中実線斜線にて示す部分)は、ロービームの路肩側の配光パターン(図21中の緩傾斜線部分73及び傾斜線部分74により囲まれた配光パターン)を形成する部分である。これは、上述の扇形部分85における反射光の出射パターンの形状が図26に示すように、右下に緩やかに傾斜した形状をなし、路肩配光用に適した形状をなし、かつ、曲面の生成も容易に行えるからである。
【0014】また、上述の前照灯において、図25に示すように、リフレクタ4の反射面40のうち、上述の扇形部分85(ロービームの路肩側配光パターン形成部分)の上方部分、すなわち、第2象限82(右側通行区分の場合は第1象限81)中の長方形部分86(図25中破線斜線にて示す部分)は、ロービームの自走車線の明暗境界線71の水平線部分72より手前を照す側方拡散配光パターンと、ハイビームの自走車線の水平線HL−HR近傍乃至その下方を照す側方拡散配光パターンと(図27(A)及び(B)中の左下に緩やかに傾斜した配光パターン)を形成する部分である。なお、ロービームの自走車線の明暗境界線71の水平線部分72より手前を照す側方拡散配光パターンは、上述の扇形部分85の下方部分の三角形部分87(図29中横線にて示す部分)により形成される側方拡散配光パターン(図33中の右下に急に傾斜した配光パターン)も重畳されている。
【0015】上述の図25において、上述の第1象限81、第2象限82、第3象限83、第4象限84は、リフレクタ4を正面視した場合の各象限であり、上述の扇形部分85の中心角θは20°前後であり、符号T1は20mm前後の寸法を示す。
【0016】上述の前照灯のロービームの配光パターンLPにおいて、路肩側配光パターンと側方拡散配光パターンとが急勾配で交わる形となって、明暗境界線71の傾斜線部分74と水平線部分72とが急勾配で交差する。このために、上述の前照灯の路肩側コーナーの自走車線における路面照射パターンは、図28に示すように、光を手前だけ残して、明暗境界線71の水平線部分72と傾斜線部分74とのV字形状にカットされた形状なる。このV字形状にカットされた部分(図28中×にて示す部分)は、自走車線の路肩側コーナーの視認性を確保するために光が欲しい部分である。この結果、上述の前照灯は、ドライバーにとって、自走車線の路肩側コーナーの視認性に課題がある。
【0017】一方、上述の前照灯において、リフレクタ4の反射面40のうち、第3象限83中の扇形部分85(図29中実線斜線にて示す部分)にて形成される配光パターンは、図30中の符号75に示すように、ロービームの路肩側の配光パターンに適した、右下に緩やかに傾斜した形状をなし、これに対して、扇形部分85の下方の三角形部分87(図29中実線横線にて示す部分)にて形成される配光パターンは、図30中の符号76に示すように、右下に急に傾斜した形状をなす。なお、図29中符号T2は15mm前後の寸法を示す。ここで、仮に、三角形部分87にて形成される配光パターン76を、扇形部分85にて形成される配光パターン75と同様に配光した場合は、図31に示すように、連続変化してかたまる。すると、図21に示すように、自走車線の路面上に大きな光のかたまり79が現われることになる。この光のかたまり79は、ドライバーの視認を妨げる配光ムラである。なお、79は緩傾斜線部分73に沿って若干拡散した場合のパターンイメージである。
【0018】このために、扇形部分85と三角形部分87とを分割独立させて、図32に示すように、三角形部分87にて形成される配光パターン(3、4)を、扇形部分85にて形成される配光パターン(1、2)から切り離して下方向に配光させ、かつ、図33に示すように、三角形部分87にて形成される配光パターン76を、その配光パターン76の上端が明暗境界線71の水平線部分72に沿う形で側方に拡散して配光させている。一方、リフレクタ4の反射面40の第4象限84にて形成される配光パターン(1、2、3、4)は、図34及び図35に示すように、ロービーム及びハイビームにおいて連続変化して主に右方向に拡散された形状をなす。
【0019】しかしながら、上述の第4象限84にて形成される連続変化の側方拡散の配光パターンに対して、第3象限83の三角形部分87にて形成される配光パターン(3、4)を、扇形部分85にて形成される配光パターン(1、2)から切り離して下方向に配光させるために、図36及び図37に示すように、ハイビームの時に、扇形部分85にて形成される配光パターン(1、2)75と三角形部分87にて形成される配光パターン(3、4)76との間に隙間(×にて示す)が形成されてしまう。この隙間は、垂直線VU−VDから左側の水平線HL−HR付近に相当し、ハイビームの遠方視認性能を左右する重要な部分でもある。この結果、上述の前照灯は、ハイビームの遠方の視認性に課題がある。
【0020】本発明の目的は、ロービームによる自走車線の路肩の視認性又は及び路肩側コーナーの視認性が向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される前照灯を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明(以下、第1発明と称する)は、上記の目的を達成するために、反射面のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する部分の上方部分に、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントが設けられている、ことを特徴とする。
【0022】この結果、第1発明の前照灯は、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントにより、光源バルブからの光の一部を自走車線の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線の路肩側コーナーの視認性が向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される。
【0023】また、請求項2に係る発明(以下、第2発明と称する)は、上記の目的を達成するために、反射面のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する部分の下方部分に、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントが設けられている、ことを特徴とする。
【0024】この結果、第2発明の前照灯は、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントにより、光源バルブからの光の一部を自走車線の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線の路肩の視認性と路肩側コーナーの視認性とが向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の前照灯の実施形態のうちの3例を図1乃至図17を参照して説明する。図1乃至図7は、本発明の前照灯の第1実施形態(第1発明の前照灯の一実施形態)を示す。図中、図18乃至図37と同符号は同一のものを示す。なお、図示の前照灯は、左側通行区分の自動車の左側に装備されるものである。また、右側通行区分の自動車に装備される前照灯はこの図示の前照灯と左右逆となる。さらに、自動車の右側に装備される前照灯はこの図示の前照灯とほぼ左右対称となる。
【0026】この実施形態における本発明の前照灯は、図1に示すように、リフレクタ4の反射面40のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する部分、すなわち、第3象限83中の扇形部分85の上方部分に、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860が設けられている。この路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860は、図1中実線斜線にて示すように、第2象限82中において長方形部分に設定される。なお、図示はされていないが、このセグメント860は、複数個のブロックに分割されている。この長方形の各寸法は以下の通りである。すなわち、垂直線VU−VDから右辺までの寸法T3は最小30mmであり、垂直線VU−VDから左辺までの寸法T4は最大100mmであり、水平線HL−HRから上辺までの寸法(高さ)T5は最大30mmである。
【0027】この路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860は、先の前照灯において述べた第2象限82中の長方形部分(図25中破線斜線にて示す部分)86に対応しており、この長方形部分86にて制御形成されるロービームの自走車線の明暗境界線71の水平線部分72より手前を照す側方拡散配光パターン(図27(A)及び(B)中の左下に緩やかに傾斜した配光パターン)を、図2及び図5に示すように、自走車線の路肩側及び路肩側上方に振分けるための自由曲面をなす。特に、図2に示すように、左下に緩やかに傾斜した配光パターンの上角がロービームの配光パターンLPにおける緩傾斜線部分73に沿うように制御配光するものである。
【0028】この実施の形態における本発明の前照灯は、以上の如き構成からなるので、ロービーム用フィラメント51を点灯すると、図3及び図4に示すように、そのロービーム用フィラメント51からの光の一部が路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860にて自走車線78の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線78の路肩側コーナーの視認性が向上される。すなわち、扇形部分85にて制御配光される配光パターン(図26参照)に、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860にて制御配光される配光パターン(図2中の左下に緩やかに傾斜した配光パターン)が交わることにより、図4中の実線にて示すように、緩傾斜線部分73から再び水平線部分72に戻る傾斜線部分740が緩やかとなる。この結果、路肩側コーナーにおける路面照射パターンは、図3に示すように、従来V字カットされたように光がなかった部分Dに光を振分けるので、路肩側コーナー視認性が向上される。
【0029】また、ハイビーム用フィラメント52を点灯すると、図6及び図7に示すように、そのハイビーム用フィラメント52からの光の一部が路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860にて自走車線78の路肩側に反射させるので、ハイビームによる遠方視認性も向上される。すなわち、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860にて制御配光される配光パターン(従来水平線HL−HRよりも下方の側方拡散配光パターン)は、図5に示すように、水平線HL−HRよりも上方に制御配光されるので、図6中の斜線部分(ホットゾーンサポート部分)HZ′に示すように、ホットゾーンHZをサポートする形で制御配光される。この結果、ホットゾーンHZ及びホットゾーンサポート部分HZ′により、高光度部分が横ワイドなって、遠方視認性も向上される。
【0030】図8乃至図14は、本発明の前照灯の第2実施形態(第2発明の前照灯の一実施形態)を示す。図中、図1乃至図7及び図18乃至図37と同符号は同一のものを示す。なお、図示の前照灯は、左側通行区分の自動車の左側に装備されるものである。また、右側通行区分の自動車に装備される前照灯はこの図示の前照灯と左右逆となる。さらに、自動車の右側に装備される前照灯はこの図示の前照灯とほぼ左右対称となる。
【0031】この実施形態における本発明の前照灯は、図8に示すように、リフレクタ4の反射面40のうち、ロービームの路肩側の配光パターンを形成する部分、すなわち、第3象限83中の扇形部分85の下方部分に、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870が設けられている。この路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870は、図8中実線横線にて示すように、第3象限83中において扇形部分85の下方の三角形部分に設定される。なお、図示はされていないが、このセグメント870は、複数個のブロックに分割されている。
【0032】この路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870は、先の前照灯において述べた第3象限83中の三角形部分(図29中実線横線にて示す部分)87に対応しており、この三角形部分87にて制御形成されるロービームの自走車線の明暗境界線71の水平線部分72より手前を照す側方拡散配光パターン(図33及び図37中の配光パターン76に対応する配光パターン)760を、図9及び図12に示すように、自走車線の路肩側(水平線HL−HRの左側)に振分けるための自由曲面をなす。
【0033】この実施の形態における本発明の前照灯は、以上の如き構成からなるので、ロービーム用フィラメント51を点灯すると、図10及び図11に示すように、そのロービーム用フィラメント51からの光の一部が路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870にて自走車線78の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線78の路肩の視認性及び路肩側コーナーの視認性が向上される。すなわち、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870にて制御配光される配光パターン760(図9参照)により、図10中の太実線にて示すように、自走車線78の前方、すなわち、従来光がなかった水平線HL−HRの左側の部分に光を振分けるので、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性が向上される。
【0034】また、ハイビーム用フィラメント52を点灯すると、図13及び図14に示すように、そのハイビーム用フィラメント52からの光の一部が路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870にて自走車線78の路肩側に反射させるので、ハイビームによる遠方視認性も向上される。すなわち、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870にて制御配光される配光パターン(従来水平線HL−HRよりも下方の側方拡散配光パターン76図37参照)は、図12に示すように、水平線HL−HR(左側)よりも上方に制御配光されるので、図13中の太実線部分(ホットゾーンサポート部分)HZ′に示すように、ホットゾーンHZをサポートする形で制御配光される。この結果、ホットゾーンHZ及びホットゾーンサポート部分HZ′により、高光度部分が横ワイドなって、遠方視認性も向上される。
【0035】図15及び図16は、本発明の前照灯の第3実施形態を示す。この第3実施形態のものは、上述の第1実施形態(第1発明の前照灯の一実施形態)の路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント860と、上述の第2実施形態(第2発明の前照灯の一実施形態)の路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント870とを具備したものであって、上述の第1実施形態及び第2実施形態のものと同様の作用効果を達成することができる。
【0036】なお、図4、図7、図11、図14、図15及び図16の等照度曲線図においては、リフレクタ4の反射面40が90mm×190mmであり、ロービームの光源光量が1020lmであり、ハイビームの光源光量が1550lmであり、10m前方のスクリーンへ照射したものである。
【0037】図17は本発明の前照灯によるハイビームの配光と従来の前照灯によるハイビームの配光とを北米配光規格FMVSS#108の遠方視認性に関するポイントで比較した場合の説明図である。この説明図からの明らかなように、本発明の前照灯は、ハイビームによる遠方視認性が良く、しかも、左右のバランスも良い。
【0038】なお、上述の実施形態においては、反射面40の全面反射配光により、所定のロービームの配光パターンLP及びハイビームの配光パターンHPが制御形成されるものであるから、レンズ2としては、素通しのものであっても良いし、また、拡散系光学素子群(所謂、拡散系プリズム素子群)等を有するものであっても良い。また、上述の実施形態においては、ランプハウジング1と反射面40を有するリフレクタ4とが別体の例について説明したが、本発明の前照灯は、ランプハウジングとリフレクタとが一体のものにも適用できる。
【0039】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の前照灯は、路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメント、及び又は、路肩視認性及び路肩側コーナー視認性及び遠方視認性向上用反射面セグメントにより、光源バルブからの光の一部を自走車線の路肩側に反射させるので、ロービームによる自走車線の路肩側コーナーの視認性、及び又は、路肩の視認性とが向上されると共に、ハイビームによる遠方視認性も向上される。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【出願日】 平成10年9月25日(1998.9.25)
【代理人】 【識別番号】100059269
【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開2000−100226(P2000−100226A)
【公開日】 平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願番号】 特願平10−272048