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【発明の名称】 赤外透過形照明器具
【発明者】 【氏名】青木 久美

【氏名】小林 孝

【要約】 【課題】前面、側面からの赤外領域の波長の光を透過させて、内部温度の上昇を防ぎ、また発光効率の低下を防いだ照明器具を得る。

【解決手段】発光源からの光の放射方向に概略垂直な面で覆った照明カバーとして、(光の波長に対して透過するとともに、)赤外領域における透過率が10パーセント以上ある材料を用いた。また更に、照明カバーにおいて、ポリエチレン系樹脂を、赤外領域である3ミクロンm以上の波長における透過率が高い材料として照明カバーの主成分となるよう混入した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発光源からの光の放射方向に概略垂直な面で覆った照明カバーとして、(光の波長に対して透過するとともに、)赤外領域における透過率が10パーセント以上ある材料を用いることを特徴とする赤外透過形照明器具。
【請求項2】 照明カバーにおいて、ポリエチレン系樹脂を、赤外領域である3ミクロンm以上の波長における透過率が高い材料として照明カバーの主成分となるよう混入することを特徴とする請求項1記載の赤外透過形照明器具。
【請求項3】 発光源を含む内部の所定位置の温度を検出して、該検出温度に基づいて上記発光源への供給電力を制御する電力制御手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の赤外透過形照明器具。
【請求項4】 発光源の輝度を検出して、該検出輝度に基づいて上記発光源への供給電力を制御する電力制御手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の赤外透過形照明器具。
【請求項5】 電力制御手段は、検出値が設定値を超えると、通電デューティレイトを下げるように制御することを特徴とする請求項3または請求項4記載の赤外透過形照明器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内部に発光源を持ち、発生した熱を外部に放熱し、内部温度の上昇を防いだ照明機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の照明器具では、機器の構造上密閉筐体としたものがある。こうした密閉筐体による照明器具によれば、内部のランプ等による発光源からの放熱は、密閉器具内の自然対流と密閉部材を経由しての輻射にたよる構造となっており、内部温度が上昇する傾向がある。こうした温度上昇により、発光源及び周辺機器の寿命が短くなり、また、内部温度上昇により60℃を超える状態にあっては光変換効率が低下することになる。もちろん、密閉構造を改めて開放型の器具とすればよいが、機器の構造上密閉構造を要求される場合も多い。従来の密閉構造による照明器具の放熱を促進する構造として、実開平4−31255号公報及び特開昭62−256302号公報等がある。その要旨は、側面又は背面に赤外線を透過する物質又はコーティング膜を設けて、これら側面ないし背面からの熱輻射を促進するものである。しかし、これらの方式によれば、可視光を反射し、赤外線に対しては透過する相反する性質を持つ特殊なコーティングが必要であったり、反射効率を高めたり取付制約などのために、その形状に制約を生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の照明器具は上記のように構成されており、内部で発生する熱を取り付け面の制約なしに放熱する考慮が十分でなく、内部での温度上昇のために発光源または照明器具の寿命が短くなるという課題があった。また、発生する熱のため、蛍光管ランプ等の特殊な発光源においては光変換効率が低下するという課題もあった。
【0004】本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、前面、側面からの赤外領域の波長の光を透過させて、内部温度の上昇を防ぎ、また発光効率の低下を防いだ照明器具を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係る赤外透過形照明器具は、発光源からの光の放射方向に概略垂直な面で覆った照明カバーとして、(光の波長に対して透過するとともに、)赤外領域における透過率が10パーセント以上ある材料を用いた。
【0006】また更に、照明カバーにおいて、ポリエチレン系樹脂を、赤外領域である3ミクロンm以上の波長における透過率が高い材料として照明カバーの主成分となるよう混入した。
【0007】また更に、発光源を含む内部の所定位置の温度を検出して、この検出温度に基づいて発光源への供給電力を制御する電力制御手段を備えた。
【0008】また更に、発光源の輝度を検出して、この検出輝度に基づいて発光源への供給電力を制御する電力制御手段を備えた。
【0009】また更に、電力制御手段は、検出値が設定値を超えると、通電デューティレイトを下げるように制御する。
【0010】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形態1における赤外透過形照明器具を説明する。図1は、本実施の形態における照明器具の例を示す図である。図2は、図1の証明器具における放熱経路を示した図である。図3は、図1もしくは図2の形状における照明器具の照明カバーの透過率を変えた場合の内部温度変化を示す図である。図4は、発光源としての熱陰極蛍光管ランプの周囲空気温度と輝度の関係を示す特性図である。図5は、材料としてのポリエチレンとアクリルとを比較した赤外領域における透過特性図である。
【0011】図1ないし図5に基づいて、赤外透過形照明器具の放熱特性を説明する。図1は、典型的な家庭用照明機器の構成を示す図である。図において、1は取付台座、2はインバータ回路基板、3は蛍光管ランプ、4は本発明における重要な部品である赤外透過率の高い照明カバーである。図において、取付台座1と照明カバー4による、発熱体である発光源の蛍光管ランプ3とインバータ回路基板2を、密閉した構造となっている。内部には、冷却ファンはなく、自然対流と輻射により放熱を行っている。図2の放熱経路図によれば、主な発熱源である蛍光管ランプ3からの放熱経路は、まず、自然対流による放熱aと輻射による放熱bとが主なものであり、その比率はおよそ前者が4対後者が6であることが分かっている。放熱bは、更に照明カバー4による内部への反射eと照明カバー4から外部への再放射cと、更に蛍光管ランプ3から直接照明カバー4の外部への直接放熱となる透過dとに区分される。本実施の形態においては、この透過dを大きくして、内部温度上昇を抑えようとするものである。ちなみに、従来の照明器具においては、この透過dがほとんどなく、従って、放熱効率が悪かった。
【0012】図3は、照明カバーの透過率を変えた場合の機器内部の温度上昇のシミュレーション結果を示した図である。現在、照明カバーとして用いられているアクリル系材料は、赤外領域での透過がほとんどない。即ち、透過率はゼロである。図3から明らかなように、透過率を大きくすることで、内部温度上昇が低下することが分かる。例えば、透過率20%で平均3K、透過率50%で平均6Kの温度軽減が得られる。
【0013】図5は、アクリルとポリエチレンによる赤外領域での光線透過率を実測した特性図である。この図で、アクリルの特性が示すように、赤外の透過が難しく、従って熱が内にこもる材質ではなく、ほとんどを透過するポリエチレン系材料に変更することで、内部温度の低下が得られる。このことは、周囲温度が50〜60℃と高温になることを防ぎ、図4から明らかなように、周囲温度を40℃付近に抑えることで最も効率よく発光させることができる。
【0014】図7は、比較としての従来の家庭用照明器具内部における気流の流れについてのシミュレーションを示す図である。従来の密閉型構造においては、照明カバー内部での空気流速は、0.1m/sec以下であり、対流による外部への放熱効果はほとんどない。また、図8は、従来の照明機器内部の温度分布についてのシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーション結果によれば、蛍光管周りの空気温度は、60℃以上にも達する。更に、外部への放射による放熱は、約60%が輻射によるという結果が得られている。赤外領域の波長帯の波を透過させることによって放熱が進む別の根拠を説明する。図9は、表面温度350Kないし1400K(77℃ないし1127℃)における黒体の単色放射能を示した図である。照明カバー表面温度は約45℃、蛍光管ランプの管壁温度が90℃であり、図9において、T=350K,T=400Kで示される放射能曲線から輻射に有効な波長領域は赤外領域であり、3μm以上の波長帯であることが分かる。
【0015】一方、図10は、従来の一般的な照明カバーの材料となっているアクリル材3mm厚さの透過特性を示した図である。この図によると、このようにアクリル材によれば、3μm以上での透過率はほとんどゼロであることが分かる。一方、図4によれば、蛍光管ランプ(熱陰極蛍光ランプ)の周囲空気温度と輝度との関係を示す図であり、蛍光管ランプは、摂氏40℃近傍において、最も光変換効率が高いことが分かる。従って、蛍光管ランプの周囲温度をこの近辺の温度に制御すれば、電力効率がよいことが推測できる。
【0016】図6は、本実施の形態における電力制御回路を併用した照明器具の回路構成を示す図である。従来は、電力制御回路7がなく、インバータ回路2の出力で蛍光管ランプ3を駆動していた。本構成の回路による動作を説明する。図6(b)において、電力制御回路7は、図示されていない蛍光管ランプ3の近傍に設置された温度センサ7bからの検出温度を入力とし、電圧比較器7cで設定温度と比較して設定温度を超えると、インバータ回路2の通電デューティレイトを周期間引き回路7aで低減する動作を行う。このようにして、供給電力が過剰に蛍光管ランプ3に供給されることを防ぐ。上記構成で、蛍光管ランプ3の周囲温度の検出を温度によって行うことに変えて輝度を検出し、その輝度に基づいて設定値と比較し、蛍光管ランプ3への供給電力を制御するようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】上記のように、この発明によれば、照明カバーとして赤外領域における透過率が高い材料を用いたので、温度上昇に大きく寄与する輻射熱の放熱効果が高く、照明器具を低温に保ち、照明器具の寿命を長くする効果がある。
【0018】また更に、温度又は輝度を検出して供給電力を制御するので、発光効率を高め過剰電力供給を防ぐ効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成10年9月14日(1998.9.14)
【代理人】 【識別番号】100102439
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−90715(P2000−90715A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−259758