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【発明の名称】 光源装置
【発明者】 【氏名】今村 賢二

【要約】 【課題】光源ランプの発光管の上部とランプ封止部、および凹面反射鏡の上側の反射鏡面は十分に冷却できるが、発光管の下部はあまり冷却することがなく、かつ奥行寸法が大型化することのない光源装置を提供する。

【解決手段】前面開口23が光透過性ガラス40で覆われた凹面反射鏡20内に放電ランプ10が水平姿勢で配置され、冷却風送風孔51を有する通風部材50が凹面反射鏡の前面開口に取り付けられた光源装置において、凹面反射鏡の前面開口の下側の周縁に切欠き部25を形成し、通風部材の冷却風送風孔をこの切欠き部に位置させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前面開口が光透過性ガラスで覆われた凹面反射鏡内に放電ランプが水平姿勢で配置され、冷却風送風孔を有する通風部材が該凹面反射鏡の前面開口に取り付けられ、該通風部材の冷却風送風孔から該凹面反射鏡内に送風された冷却風が該凹面反射鏡および放電ランプを冷却して該凹面反射鏡の中心孔から排風される光源装置において、前記凹面反射鏡の前面開口の下側の周縁に切欠き部が形成され、該通風部材の冷却風送風孔が該切欠き部に位置することを特徴とする光源装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶プロジェクターなどの投影機器に使用される光源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶プロジェクターなどの投影機器に使用される光源装置には、光源ランプとして、メタルハライドランプや超高圧水銀ランプなどの放電ランプが使用される。そして、この放電ランプの光は凹面反射鏡により集光され、さらにインテグレータレンズなどの各種光学レンズでスクリーンにおける照度が均一になるように工夫され、液晶面に照射される。
【0003】例えば、光源ランプとして使用されるショートアーク型の放電ランプは、点灯時には、発光管内の動作圧力が20〜150atm程度のものがあるが、通常使用されるランプ寿命の期間内において、発光管が劣化して放電ランプが破損する恐れがある。放電ランプが破損すると破片が外部に飛散して危険であり、また非常に大きな破裂音が発生する。
【0004】この破裂対策として、凹面反射鏡の前面開口を光透過性ガラスで覆い、万一放電ランプが点灯中に破損しても、その破片が外部に飛散しないようにし、また、光透過性ガラスで覆うことによって破裂音を消音して大きな破裂音が聞こえないようにした光源装置が知られている。かかる光源装置は、例えば特開平5−251054号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、凹面反射鏡の前面開口を光透過性ガラスで覆うと凹面反射鏡内がほぼ完全な密封空間になるので、点灯時に放電ランプや凹面反射鏡が極めて高温になる。このため、冷却風送風孔を有する通風部材を凹面反射鏡の前面開口に取り付け、この冷却風送風孔から凹面反射鏡内に送風された冷却風で凹面反射鏡や放電ランプを冷却することが考えられる。
【0006】光源ランプであるショートアーク型の放電ランプは水平姿勢で点灯されるので、発光管の上部が最も高温になり、例えば150Wの放電ランプを点灯した場合、冷却風を送風しない状態では1060℃程度になる。このため、発光管の上部の石英ガラスが失透現象を起し易い。同じく水平姿勢に配置される凹面反射鏡は、上側の反射鏡面が高温になる。また、凹面反射鏡の反射鏡面側に位置するランプ封止部も高温になるが、ランプ封止部に埋設された金属箔の温度が350℃以上になると、金属箔が酸化して膨張し、ランプ封止部にクラックが発生する恐れがある。一方、光源ランプの発光管の下部の温度は880℃程度であり、発光管の下部の石英ガラスが失透現象を起すことはないために、発光管の下部を冷却する必要性は低く、逆に、発光管の下部をあまり冷却すると、発光管に封入された水銀の蒸気圧が低下して発光効率が低下する。従って、光源ランプの発光管の上部とランプ封止部、および凹面反射鏡の上側の反射鏡面は十分に冷却するが、発光管の下部はあまり冷却しないようにする必要がある。
【0007】このため、冷却風送風孔から送風された冷却風で放電ランプや凹面反射鏡を冷却するとき、冷却風は、凹面反射鏡の前面開口近傍の下側に位置する冷却風送風孔から斜め上向きに凹面反射鏡内に送風され、先ず、下側からランプ封止部に当ってランプ封止部を冷却し、次に、凹面反射鏡の上側の反射鏡面に当って上側の反射鏡面を冷却し、そして、凹面反射鏡の上側の反射鏡面で折り返した下向きの冷却風が凹面反射鏡の奥底部近傍に位置する発光管の上部を冷却するのが好ましい。また、全ての冷却風をランプ封止部に当てる必要はなく、他の冷却風送風孔から送風された冷却風は、ランプ封止部の周辺を通って最初に凹面反射鏡の上側の反射鏡面に当り、ここで折り返した下向きの冷却風が発光管の上部を冷却するのもよい。
【0008】いずれにしても、光源ランプの発光管の上部とランプ封止部、および凹面反射鏡の上側の反射鏡面は十分に冷却するが、発光管の下部はあまり冷却しないようにするためには、冷却風は、凹面反射鏡の前面開口近傍の下側から凹面反射鏡の奥底部近傍の上側に向けて、つまり凹面反射鏡の光軸に対して斜め方向に送風する必要があるので、通風部材の冷却風送風孔も凹面反射鏡の光軸に対して斜め方向に形成する必要がある。
【0009】しかしながら、通風部材に冷却風送風孔を凹面反射鏡の光軸に対して斜め方向に形成すると、通風部材の水平方向の寸法(奥行寸法)が大きくなる。このため、奥行寸法の大きい通風部材を、水平姿勢で配置された凹面反射鏡の前面開口に取り付けると、光源装置の奥行寸法が大きくなって、装置の小型化の要請に反することになる。
【0010】そこで本発明は、凹面反射鏡の前面開口が光透過性ガラスで覆われた光源装置において、光源ランプの発光管の上部とランプ封止部、および凹面反射鏡の上側の反射鏡面は十分に冷却できるが、発光管の下部はあまり冷却することがなく、かつ奥行寸法が大型化することのない光源装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明は、前面開口が光透過性ガラスで覆われた凹面反射鏡内に放電ランプが水平姿勢で配置され、冷却風送風孔を有する通風部材が凹面反射鏡の前面開口に取り付けられ、通風部材の冷却風送風孔から凹面反射鏡内に送風された冷却風が凹面反射鏡および放電ランプを冷却して凹面反射鏡の中心孔から排風される光源装置において、凹面反射鏡の前面開口の下側の周縁に切欠き部を形成し、通風部材の冷却風送風孔をこの切欠き部に位置させる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1は、液晶プロジェクター用の光源装置の断面図を示す。図1において、凹面反射鏡20で取り囲むように配置された光源ランプ10は、例えば、定格消費電力が150Wの放電ランプであり、石英ガラス製の発光管11の両端にランプ封止部12,12が一体に連設された両端封止型の放電ランプである。発光管11内には陽極13と陰極14が対向配置され、また、所定量の水銀、アルゴン、希土類ハロゲン化物が封入されており、水平姿勢で点灯される。ランプ封止部12,12内には図示しない金属箔が埋設されており、ランプ封止部12,12の端面から、陽極13ないし陰極14に金属箔を介して電気的に接続されたリード棒15,15が延び出し、リード棒15,15にリード線16,16がそれぞれ接続されている。
【0013】凹面反射鏡20は、例えば、肉厚が4mmの硼珪酸ガラス製であり、前面開口23の内径は70mmφであるが、開口部は、上下が55mm、左右が60mmの角形形状である。そして、反射面24にはTiO2 とSiO2 の多層膜が蒸着されており、光源ランプ10から放射する可視光は反射するが赤外線は透過するコールドミラーである。また、凹面反射鏡20の頚部21には中心孔22が形成されているが、図3に示すように、前面開口23の一部に切欠き部25が形成されている。この切欠き部25は、略4角形状の前面開口周縁の下側の一辺を例えば7mmの深さで切り欠いたものである。切欠き部25は、かかる形状に限られるものではなく、後に説明する通風部材50を填め込むことができるものであればよい。つまり、切欠き部25の形状は通風部材50の形状により定まる。また、切欠き部25の形状は、金型によるプレス成形の都合上、丸形にしたり、傾斜をつけた形にすることも可能である。
【0014】図1に示すように、光源ランプ10の一方のランプ封止部12が凹面反射鏡20の中心孔22に、光源ランプ10と凹面反射鏡20の光軸が一致した状態で挿入されている。このランプ封止部12には、ランプ封止部12及びリード棒15の補強、及び光源ランプ10と凹面反射鏡20の光軸を一致させる光学調整時のランプ保持用にベース36が接着剤39で固着されている。そして、ランプ封止部12には、接着剤漏れ止め用の外側キャップ38が被せられ、ランプ封止部12がセラミック製のスリーブ30に接着剤39で固定されている。一方、スリーブ30は排風孔31を有し、このスリーブ30には、凹面反射鏡20にスリーブ30を固着するための接着剤39の漏れ止め、及びスリーブ30の排風孔通路形成用の内側キャップ37が組み込まれ、接着剤39により凹面反射鏡20の頚部21に固定されている。つまり、光源ランプ10と凹面反射鏡20は、両者の水平方向の光軸が一致した状態でスリーブ30を介して固定されている。
【0015】凹面反射鏡20の前面開口23には、通風部材50と一体になった枠体41が固定されている。そして、この枠体41に光透過性ガラス40が取り付けられており、凹面反射鏡20の前面開口23は光透過性ガラス40で覆われている。光透過性ガラス40は、例えば硼珪酸ガラスからなり、発光管11が破裂した時の瞬発的な力で外れないように、専用の取付具や耐熱性の接着剤などにより強固に取り付けられている。
【0016】通風部材50の奥行寸法は枠体41の奥行寸法より大きく、一体に形成された枠体41の後端面から突出した形状をしており、この突出した部分が凹面反射鏡20の切欠き部25に填め込まれている。そして、通風部材50には冷却風送風孔51が形成されており、冷却風送風孔51の吹き出し口51aが凹面反射鏡20の内部に向けて開口している。すなわち、通風部材50の冷却風送風孔51は切欠き部25に位置している。冷却風送風孔51の外部開口には図示しない送風パイプが接続されており、送風パイプから送られた冷却風が、吹き出し口51aから凹面反射鏡20の内部に吹き出し、光源ランプ10や凹面反射鏡20を冷却するようになっている。
【0017】ここで、冷却風送風孔51は、凹面反射鏡20の光軸に直交するものではなく、例えば24゜傾いている。冷却風送風孔51の最適の傾斜角度は、光源ランプ10の大きさなどによって異なるが、光源ランプ10と凹面反射鏡20の全長が長いほど傾斜角度を大きくする必要がある。つまり、通風部材50の奥行寸法を大きくする必要がある。
【0018】冷却風送風孔51は、例えば図2に示すように、中央寄りの2本の冷却風送風孔51B,51Bと端部側の2本の冷却風送風孔51A,51Aの4本が形成されている。そして、冷却風送風孔51Bから吹き出した冷却風は光源ランプ10のランプ封止部12に当つてから凹面反射鏡20の上側の反射面24に当り、冷却風送風孔51Aから吹き出した冷却風は光源ランプ10のランプ封止部12に当らずに、その周辺を通って、凹面反射鏡20の上側の反射面24に直接当るようになっている。
【0019】図1に示す実施例では、冷却風送風孔51が形成された通風部材50と枠体41が一体になった例を示したが、図4に示すように、枠体41を使用せず、光透過性ガラス40を凹面反射鏡20の前面開口23に直接取り付けても良い。この場合は、通風部材50は光透過性ガラス40と凹面反射鏡20の切欠き部25の間に填め込んだ状態で固定される。
【0020】また、かかる光源装置は、図5に示すように、ケーシング60内に配置されるが、冷却風送風孔51が形成された通風部材50をケーシング60と一体に成形するとともに、光透過性ガラス40もケーシング60に固定し、光源装置をケーシング60に設置したときに、凹面反射鏡20の前面開口23が光透過性ガラス40で覆われるとともに、通風部材50が凹面反射鏡20の切欠き部25に填め込まれるようにすることもできる。かかる構造にすると、凹面反射鏡20の内部を保守点検する際に、光透過性ガラス40を凹面反射鏡20の前面開口23から取り外す作業が不要になる。
【0021】しかして、光源ランプ10を点灯すると、凹面反射鏡20で反射した光は光透過性ガラス40を透過し、図示しないインテグレータレンズなどの各種光学レンズを通して液晶面に照射される。このとき、凹面反射鏡20内部が密封空間であるために、光源ランプ10や凹面反射鏡20が高温になるが、冷却風送風孔51から冷却風を凹面反射鏡20内部に送風すると、前述のとおり、図2に示す冷却風送風孔51Bから吹き出した冷却風は光源ランプ10のランプ封止部12に当ってランプ封止部12を冷却し、その後、凹面反射鏡20の上側の反射面24に当って上側の反射面24を冷却する。また、冷却風送風孔51Aから吹き出した冷却風は光源ランプ10のランプ封止部12の周辺を通って凹面反射鏡20の上側の反射面24に直接当り、上側の反射面24を冷却する。
【0022】凹面反射鏡20の上側の反射面24に当った冷却風は、折り返して下向きの冷却風となるが、冷却風送風孔51が傾いているので、図1の矢印で示すように、光源ランプ10の発光管11の方向に反射するように移動し、発光管11の上部を冷却する。そして、発光管11の上部を冷却した冷却風は、図1の矢印で示すように、凹面反射鏡20の中心孔22およびスリーブ30内を通って排風孔31から排出される。
【0023】このように、冷却風送風孔51が凹面反射鏡20の光軸に対して斜め方向に形成されているので、冷却風送風孔51から吹き出した冷却風は、光源ランプ10の発光管11の上部とランプ封止部12、および凹面反射鏡20の上側の反射鏡面24は十分に冷却するが、発光管11の下部はあまり冷却せず、極めて好都合である。
【0024】しかし、冷却風送風孔51の軸線が凹面反射鏡20の光軸に直交せずに傾いているので、通風部材50の奥行寸法を大きくする必要があるが、本発明においては、凹面反射鏡20の前面開口23の下側の周縁に切欠き部25を形成し、通風部材50の冷却風送風孔51を切欠き部25に位置させたので、冷却風送風孔51を傾けたことによる通風部材50の奥行寸法の増大分を切欠き部25によって吸収することができる。従って、光源装置の奥行寸法が増大せず、光源装置の小型化の要請に応えることができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、前面開口が光透過性ガラスで覆われた凹面反射鏡内に放電ランプが水平姿勢で配置され、冷却風送風孔を有する通風部材が凹面反射鏡の前面開口に取り付けられ、通風部材の冷却風送風孔から凹面反射鏡内に送風された冷却風が凹面反射鏡および放電ランプを冷却して凹面反射鏡の中心孔から排風される光源装置において、凹面反射鏡の前面開口の下側の周縁に切欠き部を形成し、通風部材の冷却風送風孔をこの切欠き部に位置させたので、光源ランプの発光管の上部とランプ封止部、および凹面反射鏡の上側の反射鏡面は十分に冷却できるが、発光管の下部はあまり冷却することがなく、かつ奥行寸法が大型化することなく、小型化の要請に応えることができる光源装置とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
【出願日】 平成10年7月31日(1998.7.31)
【代理人】 【識別番号】100084113
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 寅之助
【公開番号】 特開2000−57825(P2000−57825A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−229536