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【発明の名称】 車両用前照灯
【発明者】 【氏名】中村 康弘

【要約】 【課題】遮光キャップを備えた車両用前照灯において、遮光キャップの耐振強度向上と灯具効率向上とを両立させる。

【解決手段】遮光キャップ22においてキャップ本体24の下端部から後方へ延びる取付ステー26の左右両側縁部に、略垂直に立ち上がるフランジ部26fを一体形成する。これら各フランジ部26fは、キャップ本体24の後端縁24aよりも前方位置からリフレクタ取付端部26bの終端縁まで延びるように形成する。これにより取付ステー26の剛性を極めて高いものとし、取付ステー26の左右幅を狭く設定しても所要の耐振強度を確保できるようにする。そして、取付ステー26の前後方向中央部26cの幅をキャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bよりも狭くし、光源バルブからリフレクタ反射面へ向かう光が取付ステー26により遮蔽されてしまうのを最小限に抑えて灯具効率を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させるリフレクタと、上記光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽する遮光キャップとを備えてなる車両用前照灯において、上記遮光キャップが、キャップ本体と、このキャップ本体を上記リフレクタに固定支持せしめる取付ステーとを備えてなり、上記取付ステーの両側縁部に、該両側縁部から略垂直に立ち上がるフランジ部が一体形成されている、ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】 上記取付ステーの幅が、該取付ステーのリフレクタ取付端部側から中央部側へ向けて徐々に狭まるように設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項3】 上記取付ステーの幅が、該取付ステーのキャップ本体接続端部側から中央部側へ向けて徐々に狭まるように設定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用前照灯。
【請求項4】 上記フランジ部が、上記取付ステーのリフレクタ取付端部の終端縁まで延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用前照灯。
【請求項5】 上記フランジ部が、上記キャップ本体の後端縁よりも前方位置まで延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、遮光キャップを備えた車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用前照灯においては、対向車ドライバや歩行者にグレアを与えないようにするため、光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽する遮光キャップが設けられる場合が多い。
【0003】上記遮光キャップは一般に、図6に示すように、キャップ本体2と、これをリフレクタに固定支持せしめる取付ステー4とからなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の遮光キャップにおいては、その取付ステー4が、図7に示すように、平面状に形成されたもの(a)あるいはこれにビード4aが形成されたもの(b)に過ぎないので、剛性が低く車両振動に対して十分な強度が得られないという問題がある。一方、剛性を確保しようとすると取付ステー4の幅が広くなるため、光源バルブからリフレクタ反射面へ向かう光が取付ステー4により多く遮蔽されてしまい、灯具効率がその分低下してしまうという問題が生じる。
【0005】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、耐振強度向上と灯具効率向上とを両立させることができる遮光キャップを備えた車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明は、取付ステーの両側縁部に所定のフランジ部を一体形成することにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0007】すなわち、本願発明は、請求項1に記載したように、光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させるリフレクタと、上記光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽する遮光キャップとを備えてなる車両用前照灯において、上記遮光キャップが、キャップ本体と、このキャップ本体を上記リフレクタに固定支持せしめる取付ステーとを備えてなり、上記取付ステーの両側縁部に、該両側縁部から略垂直に立ち上がるフランジ部が一体形成されている、ことを特徴とするものである。
【0008】上記「取付ステー」は、キャップ本体と一体形成されたものであってもよいし、別体で形成されたものであってもよく、また、その本数についても、1本であってもよいし複数本であってもよい。
【0009】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明においては、遮光キャップのキャップ本体をリフレクタに固定支持せしめる取付ステーの両側縁部に、該両側縁部から略垂直に立ち上がるフランジ部が一体形成されているので、取付ステーの剛性を極めて高いものとすることができる。このため取付ステーの幅を狭く設定しても所要の耐振強度を確保することができる。そして、これにより光源バルブからリフレクタ反射面へ向かう光が取付ステーにより遮蔽されてしまうのを最小限に抑えて灯具効率を高めることができる。
【0010】このように本願発明によれば、車両用前照灯における遮光キャップの耐振強度向上と灯具効率向上とを両立させることができる。
【0011】上記取付ステーの幅は、これを一定値に設定してもよいが、請求項2に記載したように、該取付ステーのリフレクタ取付端部側から中央部側へ向けて徐々に狭まるように設定すれば、遮光キャップのリフレクタ取付強度を十分に確保した上で灯具効率を高めることができる。また、請求項3に記載したように、該取付ステーのキャップ本体接続端部側から中央部側へ向けて徐々に狭まるように設定すれば、該取付ステーのキャップ本体に対する支持強度を十分に確保した上で灯具効率を高めることができる。
【0012】上記フランジ部は、取付ステーの略全長にわたって形成されていれば、上記作用効果を得ることができるのであるが、請求項4に記載したように、該フランジ部を取付ステーのリフレクタ取付端部の終端縁まで延びるように形成すれば、遮光キャップのリフレクタ取付強度を一層高めることができる。また、請求項5に記載したように、該フランジ部をキャップ本体の後端縁よりも前方位置まで延びるように形成すれば、該取付ステーのキャップ本体に対する支持強度を一層高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0014】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す側断面図である。
【0015】図示のように、この車両用前照灯10は、レンズ12とランプボディ14とで形成される灯室内に、リフレクタユニット16が上下左右に傾動可能に設けられてなっている。
【0016】リフレクタユニット16は、光源バルブ18と、リフレクタ20と、遮光キャップ22とを備えてなっている。
【0017】光源バルブ18は、いわゆるH4タイプのハロゲンバルブであり、そのすれ違いビーム用フィラメント18aをリフレクタ20の光軸Ax上に位置せしめるようにしてリフレクタ20に取り付けられている。
【0018】リフレクタ20は、光軸Axを中心軸とする回転放物面上に複数の反射素子が形成されてなる反射面20aを有しており、この反射面20aにより光源バルブ18からの光を前方へ反射させるようになっている。その際、すれ違いビーム用フィラメント18aからの光は、その下方近傍に設けられたシェード18cにより反射面20aの下部領域への入射が阻止されるが、走行ビーム用フィラメント18bからの光は反射面20aの全領域に入射する。図中、LOWで示す反射ビームがすれ違いビームであり、HIGHで示すビームが走行ビームである。
【0019】遮光キャップ22は、光源バルブ18から灯具前方へ向かう直射光を遮蔽するキャップ本体24と、これをリフレクタ20に固定支持せしめる取付ステー26とからなっている。
【0020】図2は、遮光キャップ22を単品で示す底面図であり、図3は、そのIIIa-IIIa 線、IIIb-IIIb 線およびIIIc-IIIc 線における断面図であり、図4は、遮光キャップ22を単品で示す斜視図である。
【0021】これらの図に示すように、遮光キャップ22のキャップ本体24は、前方へ向けて狭まる多角錐体状筒部およびその前端のドーム状曲面部からなっている。また、遮光キャップ22の取付ステー26は、キャップ本体24の下端部から後方へ延びるようにしてキャップ本体24と一体で形成されている。
【0022】取付ステー26は、その前端のキャップ本体接続端部26aがキャップ本体24の後端縁24aよりも前方位置まで入り込むように形成されており、その後端のリフレクタ取付端部26bが下方へ略垂直に折り曲げられるようにしてL字形に形成されている。そして、このリフレクタ取付端部26bの水平部および鉛直部がリフレク20に上方および後方から当接せしめられた状態で、その鉛直部に形成されたネジ挿通孔26dを介してネジ28(図1参照)によりリフレクタ20にネジ止め固定されるようになっている。
【0023】取付ステー26は、その左右両側縁部に略垂直に立ち上がるフランジ部26fが一体形成されており、これにより略U宇状の断面となっている。これら左右1対のフランジ部26fは、取付ステー26の全長にわたって、すなわちキャップ本体24の後端縁24aよりも前方位置からリフレクタ取付端部26bの終端縁(鉛直部下端縁)まで延びるようにして形成されている。これに伴い、キャップ本体24におけるキャップ本体接続端部26aの左右両側は、水平面部24bとして形成されている。
【0024】取付ステー26の左右幅は、その前後方向中央部26cがキャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bに対して狭い値に設定されており、その各中間部分では前後方向中央部26cへ向けて徐々に狭まるように設定されている。一方、取付ステー26の深さは、その前後方向中央部26cがキャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bに対して深い値に設定されており、その各中間部分では前後方向中央部26cへ向けて徐々に深くなるように設定されている。
【0025】次に、本実施形態の作用について説明する。
【0026】遮光キャップ22の取付ステー26は、その左右両側縁部にフランジ部26fが一体形成されているので、その剛性が極めて高いものとなっている。このため取付ステー26の左右幅を前後方向中央部26cにおいて狭くしても所要の耐振強度を確保することができる。そしてこれにより、光源バルブ18からリフレクタ反射面20aへ向かう光が取付ステー26により遮蔽されてしまうのを最小限に抑えて灯具効率を高めることができる。
【0027】この点について、図5を用いて説明する。
【0028】図5は、リフレクタユニット16を単品で示す正面図である。
【0029】図中、実線で示す斜線領域Aは、リフレクタ20の反射面20aにおいて、光源バルブ18の走行ビーム用フィラメント18bからの光が入射しない領域である。このような斜線領域Aが生じるのは、遮光キャップ22の取付ステー26により走行ビーム用フィラメント18bから反射面20aへ向かう光が遮蔽されることによるものである。この斜線領域Aの左右両側に位置する弓形の2点鎖線で示す斜線領域Bは、取付ステー26の前後方向中央部26cの左右幅が、仮にキャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bと同一であるとした場合に光非入射領域として加わる領域である。したがって、取付ステー26の左右幅を前後方向中央部26cにおいて狭くすることにより、斜線領域Bの分だけ反射面20aが有効利用されることとなり、その分灯具効率を向上させることができる。
【0030】一方、取付ステー26のキャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bの左右幅は広いので、取付ステー26のキャップ本体24に対する支持強度および遮光キャップ22のリフレクタ取付強度を十分に確保した上で、上記のような灯具効率向上を図ることができる。
【0031】しかも、取付ステー26の左右幅は、キャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bから前後方向中央部26cへ向けて徐々に狭まっているので、取付ステー26に強度上の連続性を持たせることができ、またワレ等の不具合を生じることなく取付ステー26を成形することができる。
【0032】さらに、取付ステー26の深さについても、キャップ本体接続端部26aおよびリフレクタ取付端部26bから前後方向中央部26cへ向けて徐々に深くなっているので、前後方向中央部26cが狭くなっているにもかかわらず、取付ステー26の全長にわたって剛性を高く維持することができる。
【0033】また、取付ステー26の左右両側縁部に一体形成されたフランジ部26fは、キャップ本体24の後端縁24aよりも前方位置からリフレクタ取付端部26bの終端縁まで延びるようにして形成されているので、取付ステー26のキャップ本体24に対する支持強度および遮光キャップ22のリフレクタ取付強度を一層高めることができる。
【0034】本実施形態においては、遮光キャップ22がキャップ本体24の下端部から後方へ延びる単一の取付ステー26を備えた構成となっているが、このように取付ステーが単一である場合には、遮光キャップの耐振強度を確保することが一般に困難であるため、本実施形態の構成を採用することが特に効果的である。一方、取付ステーが複数本である場合には、耐振強度確保は比較的容易となるが、取付ステーが光軸Axの上方位置にも設けられることが多く、このような場合には、走行ビーム用フィラメント18bから反射面20aの上部領域へ入射する光のみならず、すれ違いビーム用フィラメント18aから反射面20aの上部領域へ入射する光も取付ステーにより遮蔽されてしまうので、これを最小限に抑える上で本実施形態の構成を採用することが効果的である。
【0035】また、本実施形態においては、光源バルブ18がH4タイプのハロゲンバルブである場合について説明したが、放電バルブ等を採用した場合においても、本実施形態の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成10年6月25日(1998.6.25)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2000−11730(P2000−11730A)
【公開日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【出願番号】 特願平10−179441