トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F21 照明




【発明の名称】 車両用前照灯
【発明者】 【氏名】小山 広雄

【氏名】川口 嘉史

【氏名】谷内 均

【氏名】河野 克彦

【要約】 【課題】従来の発光源が1つの灯具で配光特性の切換えを行わせるときには、高い精度が要求される反射面と発光源との位置関係で行わざるを得ないものとなり、生産工程中で調整が必要となるなど手間の係るものとなっていた。

【解決手段】本発明により、焦点の位置に発光源2を配置した第一の反射面3には導光路部4を設け、第一の反射面3の外側には導光路部4の出口4bを焦点とする第二の反射面5を設けると共に光軸の近傍には導光路部4に光を集束する第三の反射面6を設け,導光路部4、第二の反射面5、第三の反射面6の何れかに駆動部8を設けて移動させ配光特性の変換を行う車両用前照灯1としたことで、1つの発光源で第一の反射面3からと第二の反射面5からとの2系統が得られるものとし、配光特性の切換えは第二の反射面5からの反射光を制御すれば良いものとして発光源2の移動を不要とし課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放物面系とされ略焦点の位置に1つの発光源を配置した第一の反射面と、適宜位置とされて前記第一の反射面の前面側から背面側に到る導光路部の少なくとも1つとが設けられると共に、前記第一の反射面の前記導光路部に対応する外側にはこの導光路部の出口近傍を焦点とする放物面系の第二の反射面が設けられ、前記第一の反射面の発光源の近傍には前記導光路部の入口近傍に光源の光を集束する第三の反射面が設けられ,前記第一の反射面、前記導光路部、前記第二の反射面、前記第三の反射面の何れかは駆動部により可動とされ、該駆動部の作動により位置の移動若しくは光路の開閉が行われて配光特性の変換が行われることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】 前記駆動部は前記第三の反射面に設けられ、この第三の反射面に光軸若しくは位置の移動を行わせることを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項3】 前記第一の反射面には複数個所に導光路部が設けられ、前記第三の反射面に設けられる前記駆動部は前記第三の反射面の光軸を移動させることで複数個所の導光路部の何れかを選択することを特徴とする請求項2記載の車両用前照灯。
【請求項4】 前記駆動部は前記第二の反射面に設けられ、この第二の反射面に光軸若しくは位置の移動を行わせることを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項5】 前記駆動部は前記第一の反射面に設けられ、この第一の反射面に光軸若しくは位置の移動を行わせることを特徴とする請求項1または請求項4記載の車両用前照灯。
【請求項6】 前記駆動部は前記導光路部に設けられ、この導光路部に光軸若しくは位置の移動を行わせることを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項7】 前記駆動部は前記導光路部に設けられ、この導光路部の光路を開閉することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車などに取付けられる前照灯に関するものであり、詳細にはメタルハライド放電灯などバルブ中に1つの発光源を有するランプを光源とする前照灯において、例えば走行ビームとすれ違いビームとの切換えを可能とする前照灯の構成に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種、1つの発光源を有するランプを光源とし、走行ビームとすれ違いビームとの切換えを行う前照灯90の構成の例としては、例えば特開平8―111101号公報に示されるものがあり、図7に要部を再録して示すように、放電灯であるランプ91を上方に支点92aが設けられ垂直方向に沿い配置された光源基板92に、バーナー(発光源)91aが略光軸Z上に位置するすれ違いビーム位置として取付けておくものである。
【0003】そして、走行ビームに切換えるときには、支点92aを回動の中心として光源基板92をモータ或いはソレノイドなどのアクチュエータ94で後方に所定角αだけ回転させ、ランプ91の位置をすれ違いビーム位置から反射鏡93に対して後方で且つ下方に移動させて走行ビーム位置とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した従来の構成においては、ランプ91に対し機械的に移動させ2つの位置を与えるものであり、且つ、その2つの位置には高い精度が要求されるものであるので、上記構成では機械的な要因、例えば、部品精度、組立精度に起因する2つの位置それぞれに対する誤差を生じ易く、確実な切換えを行わせるためには1台毎に調整などを行わなくては成らないものとなり、工程が煩雑化して生産性が低下する問題点を生じている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的な手段として、放物面系とされ略焦点の位置に1つの発光源を配置した第一の反射面と、適宜位置とされて前記第一の反射面の前面側から背面側に到る導光路部の少なくとも1つとが設けられると共に、前記第一の反射面の前記導光路部に対応する外側にはこの導光路部の出口近傍を焦点とする放物面系の第二の反射面が設けられ、前記第一の反射面の発光源の近傍には前記導光路部の入口近傍に光源の光を集束する第三の反射面が設けられ,前記第一の反射面、前記導光路部、前記第二の反射面、前記第三の反射面の何れかは駆動部により可動とされ、該駆動部の作動により位置の移動若しくは光路の開閉が行われて配光特性の変換が行われることを特徴とする車両用前照灯を提供することで課題を解決するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る車両用前照灯1の基本的な構成を説明するものであり、この車両用前照灯1は1つの発光源2と、導光路部4が設けられた第一の反射面3と、第二の反射面5と、第三の反射面6と、レンズ7とから構成されている。尚、以下の説明では、上下前後などの方向は車両用前照灯1を車両に取付けた状態を基準とし、左右は正面側から観る状態とする。
【0007】前記発光源2は1つであり、例えばメタルハライド放電灯のバーナーである。そして、前記第一の反射面3は代表的には発光源2の位置を焦点とする回転放物面の反射面で、発光源2からの光を前方に略平行光線として反射する。また、この第一の反射面3の適宜位置、例えば発光源2の左右には筒状などとした導光路部4の一対が設けられている。
【0008】前記導光路部4は前記第一の反射面3を発光源2側から背面側に貫通するようにして設けられるものであり、筒状の内部は中空若しくは高屈折率の透明部材が充填されるなどして、この導光路部4の発光源2側に設けられた入口4aに達した光を背面側に設けられた出口4bまで導くものとされている。
【0009】前記第二の反射面5は前記第一の反射面3の左右の外側に設けられるものであり、このときには、前記導光路部4の出口4b近傍を焦点F5とする回転放物面状として形成されると共に、基本的にはその光軸Qを第一の反射面3の光軸Pと略平行のものとされている。よって、導光路部4の出口4bから光が放射されるときには、その光を略平行光線として光軸Qに沿い前方に反射する。
【0010】前記第三の反射面6は、例えば前記発光源2を第一焦点とし、前記導光路部4の入口4a近傍を第二焦点F6とする回転楕円面の反射面であり、前記発光源2からの光を導光路部4の入口4a近傍に集束する。尚、このときに第一の反射面3と第三の反射面6とは同じ発光源2を焦点とする反射面であるので、発光源2からの光を捕捉するときに重複する部分を生じる。
【0011】このときには、車両用前照灯1では第一の反射面3を優先させるものであり、上記した重複する部分に対しては第三の反射面6を切欠くものである。よって、第三の反射面6は第一の反射面3が捕捉することのない発光源2からの光、言い換えれば従来は車両用前照灯1として使用されることのなかった光を捕捉するものとなる。
【0012】そして、第三の反射面6に捕捉された発光源2からの光は入口4aから導光路部4内を経由して出口4bに達して出口4bから放射され、第二の反射面5に捕捉されて車両用前照灯1としての照射光となる。従って、本発明の車両用前照灯1は発光源2に対する光束利用率の向上が可能となり、同一消費電力の発光源2であっても一層に明るい車両用前照灯1となる。
【0013】尚、図1中に符号7で示すものはレンズであり、このレンズ7は第一の反射面3および第二の反射面5の前方に設けられ、これら反射面3、5からの平行光線に対しレンズカット7aで拡散を行うなどして所定の配光特性の形状を与えるものである。
【0014】ここで、本発明では上記の構成に加えて、前記第一の反射面3、導光路部4、第二の反射面5、第三の反射面6の何れかを、例えばソレノイド、モータなどとした駆動部8により可動とするものであり、この可動によりすれ違いビームと走行ビームとの切換えなど配光特性の変換を行うものである。
【0015】図2に示すものは、第三の反射面6を駆動部8により可動とするときの例であり、このときに前記第一の反射面3には、導光路部は左右の側(図示は一方の側で行う)ともに上下の2個所に設けられるものとされ、上側のものがすれ違いビーム用導光路部4Sとされ、下側のものが走行ビーム用導光路部4Mとされている。
【0016】このときに、すれ違いビーム用導光路部4Sの出口4Sbは第二の反射面5の焦点の上方に位置させられ、走行ビーム用導光路部4Mの出口4Mbは反射面5の焦点と一致させられている。そして、第三の反射面6は駆動部8により発光源2を中心として、第二焦点F6をすれ違いビーム用導光路部4Sの入口4Saと走行ビーム用導光路部4Mの入口4Maとに切換える。
【0017】このように構成することで、第三の反射面6をすれ違いビーム用導光路部4S側に切り替えるときには第二の反射面5からの反射光は下向きとなり、第三の反射面6を走行ビーム用導光路部4M側に切り替えるときには第二の反射面5からの反射光は水平となる。
【0018】よって、第一の反射面3からの反射光をすれ違いビーム配光に適するものとしておき、第三の反射面6をすれ違いビーム用導光路部4S側とすれば、車両用前照灯1全体としての反射光は下向きでありすれ違いビーム配光に適するものとなる。また、第三の反射面6を走行ビーム用導光路部4M側とすれば、第一の反射面3からの下向き光に第二の反射面5からの水平光が加わるものとなり走行ビーム配光に適するものとなる。
【0019】尚、上記の構成において、通常の夜間走行時に選択される機会が多いすれ違いビーム用導光路部4Sが上方に位置することを利用して、第一の反射面3の天井部3aとに間隙ができるなどの構成としておけば、この間隙から発光源2により加熱され高温と成った空気が第一の反射面3内から外部に逃がすことが可能となり、熱対策も行えるものとなる。
【0020】また、反射光を上向き、下向きに制御する手段としては焦点の位置の前後方向に光源を移動する手段も公知であるので、実際の実施に当たっては導光路部の配置は上記に説明した上下方向に限定されるものではなく、前後方向としても良いものである。また、左側通行、右側通行などに備えてすれ違いビームを得るときの出口4Sbの位置を左右方向にも変位させても良い。
【0021】図3に示すものは、第二の反射面5を駆動部8により可動とするときの例であり、この実施形態では第二の反射面5は駆動部8により焦点F5の位置を中心とし、仰伏方向に光軸Qの向きを変える。従って、第一の反射面3を前の実施形態と同様な構成としておき、第二の反射面5に下向きの反射光を生じるすれ違い位置SP1と、水平方向の反射光を生じる走行位置MP1とを設定しておけば、すれ違いビーム配光と走行ビーム配光が得られるものとなる。
【0022】尚、前記第二の反射面5の移動は上記した仰伏方向に限定されるものでなく、例えば方向指示器の動作と連動させ、左折を行うときには運転席側から観て左側の第二の反射面5が外側に向かうようにすれば、自動車の旋回方向を予めに明るく照射する、いわゆるコーナリングランプの機能が得られるものとなる。
【0023】ここで、上記第二の反射面5に駆動部8を設ける構成の作用を分析すれば、第一の反射面3と第二の反射面5とを予めにすれ違いビームを得るものとして構成しておき、必要に応じて第二の反射面5からの反射光を水平方向に偏寄させるものであるので、同じ作用が第一の反射面3からの反射光を水平方向に偏寄させることでも得られるものとなる。
【0024】よって、図4に示すように第一の反射面3を駆動部8により可動とし、必要に応じて第一の反射面3側が照射方向を変換するものとしても、本発明の目的は達成されるものとなる。更に言えば、図示は省略するが第一の反射面3と第二の反射面5の双方に駆動部8を設けるものとしても良いものである。尚、このときに、発光源2、導光路部4および第三の反射面6が図1に示すたように第一の反射面3に固定されていると、第一の反射面3の回転、移動により共動するものとなるが、この共動により不具合を生じるときに、これらを第一の反射面3から分離し保持することは自在である。
【0025】図5に示すものは、導光路部4を駆動部8により可動とするときの例であり、この実施形態では、導光路部4は駆動部8により入口4aの位置を中心として出口4bが上下方向に移動する。このときに、前記出口4bは第二の反射面5の焦点F5の上方であるすれ違い位置SP2と、焦点F5に略一致する走行位置MP2との2位置が与えられるものであり、すれ違い位置SP2が与えられたときには第二の反射面5からの反射光は下向きとなり、走行位置MP2が与えられたときには反射光は水平方向となり、よって、車両用前照灯1としてはすれ違いビーム配光と走行ビーム配光が得られるものとなる。
【0026】図6に示すものは、前の実施形態と同様に導光路部4に駆動部8を設ける例であるが、この実施形態では導光路部4自体を可動させることはなく、駆動部8でシャッター9をすれ違い位置SP3と走行位置MP3とに可動することで、導光路部4の開閉を行わせるものである。従って、車両用前照灯1としての基本構成である第一の反射鏡3、導光路部4、第二の反射鏡5、第三の反射鏡6の何れも移動は行わない。
【0027】そして、この実施形態では第二の反射鏡5は常時に導光路部4の出口4bからの光を水平方向に反射するものとして設定されている。従って、導光路部4が閉止されている状態では、車両用前照灯1からの照射光は第一の反射面3からの反射光のみとなり、第一の反射面3を下向きの反射光を生じるものとして設定しておけばすれ違いビーム配光が得られるものとなる。
【0028】ここで、導光路部4を開口させると水平方向に照射される第二の反射鏡5からの反射光が加わるものとなり走行ビーム配光が得られるものとなる。尚、この実施形態ではすれ違いビーム配光とするときと、走行ビーム配光とするときでは光量が変化するものとなるが、本来、走行ビーム配光は高速走行時などの遠方確認を目的とするものであるので、光量が増加することによる支障を生じることはない。
【0029】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、放物面系とされ略焦点の位置に1つの発光源を配置した第一の反射面と、適宜位置とされて前記第一の反射面の前面側から背面側に到る導光路部の少なくとも1つとが設けられると共に、前記第一の反射面の前記導光路部に対応する外側にはこの導光路部の出口近傍を焦点とする放物面系の第二の反射面が設けられ、前記第一の反射面の発光源の近傍には前記導光路部の入口近傍に光源の光を集束する第三の反射面が設けられ,前記第一の反射面、前記導光路部、前記第二の反射面、前記第三の反射面の何れかは駆動部により可動とされ、該駆動部の作動により位置の移動若しくは光路の開閉が行われて配光特性の変換が行われる車両用前照灯としたことで、1つの発光源により、第一の反射面からの反射光と、第二の反射面からの反射光との2系統が得られるものとし、すれ違いビームと走行ビームなど配光特性の切換えに何れか一方、例えば第二の反射面からの反射光を制御すれば良いものとする。
【0030】よって、高精度が要求される第一の反射面と発光源との間の移動は行わなくても良いものとなり、それ程に精度が要求されることのない、第三の反射面、第二の反射面或いは導光路部の移動、若しくは導光路部の開閉で配光特性の切換えが行えるものとし、精度の向上、耐久性の向上を可能とし、この種の車両用前照灯の性能の向上と信頼性の向上とに極めて優れた効果を奏するものである。
【0031】特に導光路部の開閉を配光特性の切換え手段とするものにおいては、この車両用前照灯の基本構成である発光源、第一の反射面、導光路部、第二の反射面、第三の反射面の何れにも移動を生じさせることはなく、上記した精度の向上、耐久性の向上が一層確実なものとなる。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成10年6月24日(1998.6.24)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2000−11718(P2000−11718A)
【公開日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【出願番号】 特願平10−177223