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【発明の名称】 車両用標識灯
【発明者】 【氏名】前川 元

【氏名】手塚 伸孝

【要約】 【課題】インナレンズを備えた車両用標識灯において、灯具の見映えを高める。

【解決手段】アウタレンズ16とリフレクタ14の反射面14aとの間に位置するようにして設けられたインナレンズ18に、リフレクタ14の光軸Axを囲む環状壁18Aを形成し、その内側領域18Bと外側領域18Cとを互いに異なるレンズ凹凸形状で形成する。すなわち、内側領域18Bはこれを素通しレンズで構成する一方、外側領域18Cにはその後面に格子状に区分けされた複数のレンズ素子18Csを全面にわたって形成する。これにより灯具前方から灯室内を観察したとき、環状壁18Aを境にその内側領域18Bと外側領域18Cとで見え方を大きく異なったものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタと、このリフレクタの前方に設けられたアウタレンズと、このアウタレンズと上記反射面との間に位置するようにして設けられたインナレンズと、を備えてなる車両用標識灯において、上記インナレンズに上記リフレクタの光軸を囲む環状壁が形成されるとともに、該インナレンズにおける上記環状壁の内側領域と外側領域とが互いに異なるレンズ凹凸形状で形成されている、ことを特徴とする車両用標識灯。
【請求項2】 上記内側領域が略素通しレンズで構成されており、上記反射面における上記内側領域の後方に位置する反射領域に複数の反射素子が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用標識灯。
【請求項3】 上記環状壁の内周面および外周面のうち少なくともいずれか一方に反射処理が施されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用標識灯。
【請求項4】 上記インナレンズが着色レンズで構成されるとともに、上記アウタレンズがクリアレンズまたはスモークレンズで構成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用標識灯。
【請求項5】 上記内側領域が上記外側領域に対して前方側へオフセットするように形成されている、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の車両用標識灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、インナレンズを備えた車両用標識灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に車両用標識灯は、図3に示すように、光源バルブ102と、この光源バルブ102からの光を前方へ反射させる反射面104aを有するリフレクタ104と、このリフレクタ104の前方に設けられたアウタレンズ106とを備えているが、同図に示すように、アウタレンズ106と反射面104aとの間に位置するようにしてインナレンズ108が設けられたものも知られている。そして、このようにインナレンズ108を備えた車両用標識灯を採用することにより、インナレンズ108に拡散レンズ素子108sを形成する一方、アウタレンズ106を素通しレンズとすることができ、これにより通常の灯具とは異なる灯具意匠を得ることが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の車両用標識灯においては、単にインナレンズ108が平面あるいは単一曲面で構成されているに過ぎないので、灯具前方から灯室内を観察したときの見え方が平面的で単調となり灯具の見映えがあまり良くない、という問題がある。
【0004】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、インナレンズを備えた車両用標識灯において、灯具の見映えを高めることができる車両用標識灯を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明は、インナレンズの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0006】すなわち、本願発明に係る車両用標識灯は、光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタと、このリフレクタの前方に設けられたアウタレンズと、このアウタレンズと上記反射面との間に位置するようにして設けられたインナレンズと、を備えてなる車両用標識灯において、上記インナレンズに上記リフレクタの光軸を囲む環状壁が形成されるとともに、該インナレンズにおける上記環状壁の内側領域と外側領域とが互いに異なるレンズ凹凸形状で形成されている、ことを特徴とするものである。
【0007】上記「反射面」の具体的構成は特に限定されるものではなく、滑らかな曲面で構成されたものであってもよいし、複数の反射素子で構成されたものであってもよい。
【0008】上記「環状壁」は、リフレクタの光軸を囲むように形成されたものであれば、その具体的形状は特に限定されるものではない。
【0009】上記「内側領域」および「外側領域」は、互いに異なるレンズ凹凸形状で形成されたものであれば、これら各領域の具体的なレンズ凹凸形状は特に限定されるものではなく、例えば、一方が縦縞状、他方が横縞状にレンズ素子が形成されたもの、一方が縦縞状または横縞状、他方が格子状にレンズ素子が形成されたもの、いずれか一方が素通しレンズ状に形成されたもの、等が採用可能である。
【0010】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用標識灯は、アウタレンズとリフレクタの反射面との間に位置するようにしてインナレンズが設けられているが、このインナレンズにはリフレクタの光軸を囲む環状壁が形成されるとともに、その内側領域と外側領域とが互いに異なるレンズ凹凸形状で形成されているので、灯具前方から灯室内を観察したとき、環状壁を境にその内側領域と外側領域とで見え方を大きく異なったものとすることができる。
【0011】したがって、本願発明によれば、インナレンズを備えた車両用標識灯において灯具の見映えを高めることができる。
【0012】上記構成において、インナレンズの内側領域を略素通しレンズで構成するとともに、リフレクタの反射面におけるインナレンズの内側領域の後方に位置する反射領域に複数の反射素子を形成するようにすれば、インナレンズの内側領域においてはインナレンズを透して奥の方に反射面が見えることとなるので、灯具に奥行き感を持たせることができる。また、灯具点灯時においても、インナレンズの外側領域とその内側領域の奥のほうに位置する反射面とが前後方向にオフセットした位置で発光することとなるので、灯具に奥行き感を持たせることができる。しかも、インナレンズの内側領域の後方に位置する反射領域に複数の反射素子が形成されていることにより、該内側領域を略素通しレンズで形成するようにしても所要の灯具配光性能を確保することができる。上記「略素通しレンズ」の概念には、完全な素通しレンズのみならず、素通しレンズに多少のレンズ素子が形成されたものも含まれる。
【0013】また、上記構成において、環状壁の内周面および外周面のうち少なくともいずれか一方に反射処理を施すようにすれば、その光反射作用により環状壁の存在を強調することができるので灯具の立体感を高めることができる。上記「反射処理」の具体的方法は特に限定されるものではなく、例えば吹付け塗装やアルミ蒸着等の反射処理方法が採用可能である。
【0014】さらに、上記構成において、インナレンズを着色レンズ(例えば、赤色レンズやアンバ色レンズ等)で構成するとともに、アウタレンズをクリアレンズ(無色透明レンズ)またはスモークレンズ(やや褐色を帯びた透明レンズ)で構成すれば、アウタレンズを透してインナレンズが見えやすくなり、かつインナレンズ自体も目立つので、インナレンズの内側領域と外側領域との見え方の差を強調することができ、これにより灯具の見映えを一層高めることができる。
【0015】上記「インナレンズ」は、その内側領域と外側領域とを面一で形成するようにしてもよいし、前後方向にオフセットするように形成してもよいが、内側領域を外側領域に対して前方側へオフセットするように形成すれば、光源バルブとインナレンズとの間隔をある程度大きな値に設定することができるので、光源バルブが発生する熱によりインナレンズが変形してしまうおそれを回避した上で、インナレンズの内側領域と外側領域との見え方の差を強調することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0017】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用標識灯10を示す正面図であり、図2は、そのII-II 線断面図である。
【0018】これらの図に示すように、この車両用標識灯10は、テールランプ&ストップランプであって、光源バルブ12と、この光源バルブ12からの光を前方(灯具としての前方であって車両としては後方。以下同様)へ反射させる反射面14aを有するリフレクタ14と、このリフレクタ14の前方に設けられたアウタレンズ16と、このアウタレンズ16と反射面14aとの間に位置するようにして設けられたインナレンズ18とを備えてなっている。
【0019】この車両用標識灯10は、略矩形の外形形状を有しており、その外周縁部においてアウタレンズ16がリフレクタ14に溶着されている。そして、この溶着部のすぐ内周側において、インナレンズ18の外周縁部がリフレクタ14に溶着されている。
【0020】光源バルブ12は、リフレクタ14の光軸Ax上に位置するようにしてリフレクタ14の後頂部のバルブ取付部14bに取り付けられている。
【0021】反射面14aは、光軸Axを中心とする所定径の円環状領域が主反射面14Aaとして構成されており、その周囲に位置する領域が主反射面14Aaとは異なった表面形状を有する副反射面14Baとして構成されている。
【0022】主反射面14Aaは、同心円状に区分けされた複数の反射素子14Asで構成されている。これら反射素子14Asは、光軸Axから離れるに従って前方側へ立ち上がる段差を介して階段状に形成されており、その各々が光源バルブ12からの光を光軸Ax寄りに拡散反射させるようになっている。そして、主反射面14Aaからの拡散反射光により灯具配光機能をすべて果たし得るように構成されている。
【0023】副反射面14Baも、同心円状に区分けされた複数の反射素子14Bsで構成されているが、そのピッチは主反射面14Aaの反射素子14Asよりもかなり小さい値に設定されている。これら反射素子14Bsは、光軸Axから離れるに従って後方側へ立ち下がる段差を介して階段状に形成されており、その各々が光源バルブ12からの光を光軸Ax方向へ略平行光として反射させるようになっている。この副反射面14Baは、全体として主反射面14Aaに対して光軸Axから離れる方向に折れ曲がるように広がる表面形状を有するものとなる。したがって、主反射面14Aaの外周縁と副反射面14Baの内周縁との接続部は、円形の稜線14cとして形成される。
【0024】アウタレンズ16は素通しのスモークレンズで構成されており、インナレンズ18は赤色レンズで構成されている。
【0025】インナレンズ18には光軸Axを囲むようにして略前後方向に延びる環状壁18Aが形成されており、該インナレンズ18は環状壁18Aを境に内側領域18Bと外側領域18Cとに区分けされている。
【0026】環状壁18Aは、前方へ向けて僅かに径が小さくなるようにして略円筒状に形成されており、その後端部の径は稜線14cの径よりもやや小さい値に設定されている。また、内側領域18Bは外側領域18Cに対して前方側へオフセットするように形成されている、すなわち、内側領域18Bは環状壁18Aの前端面18Abよりも幾分後方の位置において環状壁18Aに接続されており、一方、外側領域18Cは環状壁18Aの後端面18Acよりも幾分前方の位置において環状壁18Aに接続されている。
【0027】内側領域18Bは、光軸Axと直交するように平面状に形成された素通しレンズで構成されている。ただし、この内側領域18Bの中央部前面には、光源バルブ12よりも多少径の大きい凸レンズ部18Baが形成されている。一方、外側領域18Cは、光軸Axと直交する平面に対して外周側が後退した円錐面状に形成されており、その後面には、格子状に区分けされた複数のレンズ素子18Csが全面にわたって形成されている。これら各レンズ素子18Csは魚眼レンズ状に形成されている。
【0028】環状壁18Aの外周面18Aaおよび前端面18Abにはアルミ蒸着による反射処理が施されている。このアルミ蒸着処理は、環状壁18Aと外側領域18Cとの接続位置から前端面18Abの内周縁までの範囲にわたって施されている。
【0029】本実施形態に係る車両用標識灯10は、環状壁18Aよりも内側の灯具中央部においては、リフレクタ14の主反射面14Aaからの拡散反射光は、いずれも素通しのインナレンズ18の内側領域18Bおよびアウタレンズ16をそのまま透過して灯具前方へ照射され、これにより所要の灯具配光パターンが得られる。ただし、主反射面14Aaからの拡散反射光の一部は、インナレンズ18の内側領域18Bにおける凸レンズ部18Baへ入射し、該凸レンズ部18Baにより光軸Ax寄りにさらに拡散偏向せしめられる。一方、環状壁18Aよりも外側の灯具周辺部においては、リフレクタ14の副反射面14Baからの平行反射光は、インナレンズ18の外側領域18Cをそのレンズ素子18Csにより上下および左右方向に拡散せしめられるようにして透過し、その拡散透過光がアウタレンズ16をそのまま透過して灯具前方へ照射される。この照射光は、光源バルブ12から副反射面14Baへの入射光量が主反射面14Aaへの入射光量に比して少ないので、灯具中央部からの照射光に比してかなり光度が低いものとなる。
【0030】以上詳述したように、本実施形態に係る車両用標識灯10は、アウタレンズ16とリフレクタ14の反射面14aとの間に位置するようにしてインナレンズ18が設けられているが、このインナレンズ18にはリフレクタ14の光軸Axを囲む環状壁18Aが形成されるとともに、その内側領域18Bと外側領域18Cとが互いに異なるレンズ凹凸形状で形成されているので、灯具前方から灯室内を観察したとき、環状壁18Aを境にその内側領域18Bと外側領域18Cとで見え方を大きく異なったものとすることができる。
【0031】したがって、本実施形態によれば、インナレンズを備えた車両用標識灯において灯具の見映えを高めることができる。
【0032】しかも、本実施形態においては、インナレンズ18の内側領域18Bが素通しレンズで構成されており、リフレクタ14の主反射面14Aa(すなわち反射面14aにおけるインナレンズ18の内側領域18Bの後方に位置する反射領域)に複数の反射素子14Asが形成されているので、インナレンズ18の内側領域18Bにおいてはインナレンズ18を透して奥の方に主反射面14Aaが見えることとなり、これにより灯具に奥行き感を持たせることができる。また、灯具点灯時においても、インナレンズ18の外側領域18Cとその内側領域18Bの奥のほうに位置する主反射面14Aaとが前後方向にオフセットした位置で発光することとなるので、灯具に奥行き感を持たせることができる。しかも、主反射面14Aaには複数の反射素子14Asが形成されているので、インナレンズ18の内側領域18Bが素通しレンズで形成されているにもかかわらず、所要の灯具配光性能を確保することができる。その際、インナレンズ18の内側領域18Bの中央部前面に、光源バルブ12よりも多少径の大きい凸レンズ部18Baが形成されているので、灯具正面視において光源バルブ12がそのまま見えてしまうのを防止することができ、これによりインナレンズ18の内側領域18Bが素通しレンズで形成されているために灯具の見映えが損なわれてしまうのを防止することができる。
【0033】また、本実施形態においては、環状壁18Aの外周面18Aaおよび前端面18Abにアルミ蒸着による反射処理が施されているので、その光反射作用により環状壁18Aの存在を強調することができ、これにより灯具の立体感を高めることができる。
【0034】さらに、本実施形態においては、インナレンズ18が赤色レンズで構成されるとともにアウタレンズ16がスモークレンズで構成されているので、アウタレンズ16を透してインナレンズ18が見えやすく、かつインナレンズ18自体も目立つものとなる。したがって、インナレンズ18の内側領域18Bと外側領域18Cとの見え方の差を強調することができ、これにより灯具の見映えを一層高めることができる。
【0035】また、本実施形態においては、インナレンズ18の内側領域18Bが外側領域18Cに対して前方側へオフセットするように形成されているので、光源バルブ12とインナレンズ18との間隔をある程度大きな値に設定することができる。このため、光源バルブ12が発生する熱によりインナレンズ18が変形してしまうおそれを回避した上で、インナレンズ18の内側領域18Bと外側領域18Cとの見え方の差を強調することができる。
【0036】さらに、リフレクタ14の反射面14aは、開口部18aの後方に位置する主反射面14Aaとその周囲に位置する副反射面14Baとからなり、両者は稜線14cを境に表面形状を全く異にしているので、灯具中央部と灯具周辺部とで反射面14aの光り方も大きく異なったものとなる。したがって、両者の発光明暗差を強調して灯具の立体感を際立たせることができる。
【0037】また、本実施形態においては、主反射面14Aaにすべての灯具配光制御機能を付与するようにしているので、灯具周辺部においては装飾のみを考慮した拡散光を照射する灯具構成とすることができ、これにより灯具の見映えを一層向上させることができる。
【0038】ところで、本実施形態においては、環状壁18Aがインナレンズ18の中心部に光軸Axを中心として形成された略円筒状の環状壁である場合について説明したが、これ以外の形状を有する環状壁であってもよいことはもちろんである。
【0039】なお、本実施形態においては、灯具に高級感を持たせるため、アウタレンズ16がスモークレンズで構成されたものについて説明したが、アウタレンズ16がクリアレンズで構成される場合には、アウタレンズ16を透してインナレンズ18が一層見えやすくなるので、本実施形態の構成を採用することが一層効果的である。また、本実施形態においては、アウタレンズ16が素通しレンズである場合について説明したが、アウタレンズ16の構成として複数のレンズ素子が形成されてなるものとしてもよい。
【0040】また、本実施形態においては、リフレクタ14がランプボディを兼ねた灯具構成となっているが、リフレクタ14がランプボディに収容された灯具構成としてもよい。
【0041】さらに、本実施形態においては、車両用標識灯がテールランプ&ストップランプである場合について説明したが、他の種類の車両用標識灯においても本実施形態と同様の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成11年5月17日(1999.5.17)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2000−322905(P2000−322905A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−136293