トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F21 照明




【発明の名称】 建築物の採光構造
【発明者】 【氏名】大橋 清文

【氏名】戸河里 敏

【氏名】八木 澄夫

【要約】 【課題】直達光の入射を防止しながらも昼光を照明光として利用可能な建築物の採光構造を提供する。

【解決手段】建築物10の上窓11bの上部から屋外側に向けて庇31を張り出させた。庇31は、半透過性を有するものとした。下窓11aと上窓11bとの間から屋内側に向けてライトシェルフ33を張り出させた。ライトシェルフ33は、反射面33aを上方に向けた状態で設けた。ライトシェルフ33の上部には、上窓11bの屋内側に沿って垂直ルーバ35を設けた。ライトシェルフ33の下部には、下窓11aの屋内側に沿って水平にブラインド37を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築物の窓の上部から屋外側に向けて張り出されたもので、遮光性または半透光性を有する庇と、反射面を上方に向けた状態で、前記窓の高さ方向の中間部から屋内側に向けて張り出されたライトシェルフとを備えたことを特徴とする建築物の採光構造。
【請求項2】 前記窓の屋内側に沿って前記ライトシェルフの上部に垂直ルーバが設けられたことを特徴とする請求項1記載の建築物の採光構造。
【請求項3】 前記窓の高さ方向の中間部には、屋外側に向けて下段庇が張り出されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の建築物の採光構造。
【請求項4】 前記下段庇の上面は、光反射機能を有することを特徴とする請求項3記載の建築物の採光構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の採光構造に関し、特には、太陽からの直射光や天空光等の昼光を照明光として利用する建築物の採光構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の建築物には、例えば図5に示すような照明方式を採用したものが知られている。すなわち、この建築物10では、屋外に臨む窓11の中間高さに、庇状のライトシェルフ12が屋外に向けて張り出された状態で取り付けられている。このライトシェルフ12は、庇の上面12aに光反射機能を持たせたものであり、このライトシェルフ12によって窓11が下窓11aと上窓11bとに分割されている。このようなライトシェルフ12を設けた建築物10では、ライトシェルフ12の上面12aで反射した直射光20が、上窓11bを通過して建築物10の天井面13に入射し、さらに天井面13で反射されて間接反射光21からなる照明として利用されるのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図5に示したような照明方式を採用した建築物10では、上窓11bに直接照射された直射光20が、そのまま直達光22として屋内空間に入射される。このような屋内空間への直達光22の入射は、在室者に対するグレアの要因になったり、屋内空間の温熱環境を悪化させたり、また夏期等においては空調負荷の増大を招く要因になる。
【0004】そこで本発明は、直達光の入射を防止しながらも昼光を照明光として利用可能な建築物の採光構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するための本発明の建築物の採光構造は、建築物の窓の上部から屋外側に向けて庇が張り出され、この窓の高さ方向の中間部から屋内側に向けてライトシェルフが張り出された構成になっている。前記庇は、遮光性を有するものであるか、または半透過性を有するものである。前記ライトシェルフは、反射面を上方に向けた状態で設けられている。
【0006】このような構成の採光構造において前記庇が遮光性を有する場合には、高い角度から照射される直射光は、窓の上部から屋外側に張り出された庇によって遮られるため、この庇とライトシェルフとの間の上窓部分に照射されることはない。このため、この上窓部分から屋内空間に直達光が入射されることはなく、天空光のみが上窓部分から屋内側に入射されて屋内空間における照明光として利用される。一方、庇で遮光されずに上窓部分に照射される低い角度からの直射光は、ライトシェルフの反射面で屋内の天井面に反射され、天空光と共に照明光として利用される。また、上窓部分から入射された直射光は、このライトシェルフで遮られるため、この下方の屋内空間に直達光として入射されることはない。
【0007】そして、前記庇が半透光性を有する場合には、高い角度から照射される直射光は、窓の上部から屋外側に張り出された庇を通過する際にその強度や照射量が減衰されて上窓部分に照射される。このため、直射光がそのまま上窓部分に照射されることはなく、この上窓部分から屋内空間に直達光がそのまま入射されることはない。そして、天空光と、このように減衰された直射光とが、ライトシェルフの反射面で天井面側に反射されて照明光として利用される。一方、庇を通過せずに上窓部分に直接照射される低い角度からの直射光は、上述の遮光性を有する庇を用いた場合と同様に、ライトシェルフの反射面で屋内の天井面に反射されて天空光と共に照明光として利用されると共に、ライトシェルフで遮られて屋内空間に直達光として入射されることはない。
【0008】また、このような構成の採光構造では、ライトシェルフの上部に、前記窓の屋内側に沿って垂直ルーバを設ける。このように垂直ルーバを設けたことで、各方位から室内に導入された直射光は、この垂直ルーバで遮蔽されかつ分散されて天井面に照射される。このため、各方位からの直射光が直達光として室内空間に入射するこが防止される。
【0009】さらに、このような構成の採光構造においては、前記窓の高さ方向の中間部に、屋外側に向けて下段庇を張り出させても良い。このように下段庇を設けたことによって、この下段庇よりも下方の下窓部分にも直射光が照射され難くなる。このため、下窓部分から屋内空間への直達光の入射が防止され、下窓部分から屋内空間へは天空光のみが入射される。
【0010】この下段庇の上面が光反射機能を有するものである場合には、下段庇の上面に照射された直射光は上窓部分に向かって反射されて屋内側に入射され、さらに天井面で反射され照明光として利用される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の建築物の採光構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】(第1実施形態)図1は、本発明の請求項1〜請求項2に係る記載の建築物の採光構造を適用した第1実施形態を説明するための立面図であり、図2は第1実施形態の平面図である。これらの図に示す建築物10には、屋外に臨む窓11が設けられている。この窓11は、例えば床から200cm〜210cmの高さまでに配置された下窓11aと、その上部に設けられた上窓11bとで構成されている。そして、この窓11の上部(すなわち上窓11bの上部)には、屋外側に張り出された庇31が設けられている。また、下窓11aと上窓11bとの間には、屋内側に張り出された庇状のライトシェルフ33が設けられている。このライトシェルフ33の上部には、上窓11bの屋内側に沿って垂直ルーバ35が設けられている。また、ライトシェルフ33の下部には、下窓11aの屋内側に沿ってブラインド37(図1のみに図示)が設けられている。
【0013】庇31は、窓11の幅方向に渡って、70cm〜80cm程度の幅で屋外側に張り出されている。この庇31は、完全な遮光性を有するものの他、半透光性を有するものであっても良い。半透光性を有する庇31としては、例えば、半透明材料で構成された庇や、ルーバ状に構成されたことで部分的に光を透過させる庇等を用いることができる。尚、図面においては、窓11と平行に配置されたルーバ状の庇31を例示した。
【0014】ライトシェルフ33は、窓11の幅方向に渡って、70cm〜80cm程度の幅で屋内側に張り出している。このライトシェルフ33は、上面が反射面33aとして構成されたものである。
【0015】垂直ルーバ35は、上窓11bの高さ方向にわたって立設させた短冊状の板材を、上窓11bの幅方向に複数配列してなるものである。この垂直ルーバ35は、各板材の両面が上窓11bの窓面に対して所定角度(例えば90°)に保たれるように立設されているか、または、その両面が上窓11bの窓面に対して任意の角度となるように回動可能なものであることとする。
【0016】ブラインド37は、水平ブラインドであり、下窓11aの幅方向に渡って設けられている。
【0017】このような構成の建築物の採光構造では、次のように昼光(すなわち太陽からの直射光20及び天空光25)を照明光として利用した採光が行われる。すなわち、庇31が遮光性を有するものである場合においては、高い角度から照射される直射光20は、窓11の上部から屋外側に張り出した庇31によって遮られるため、上窓11bに直射光20が照射されることはない。このため、上窓11bから屋内空間10aへの直達光の入射はない。そして、上窓11bからは天空光25のみが屋内側に導入され、ライトシェルフ33の反射面33aで天井面13側に反射されたり、天井面13に直接照射されたり、または屋内空間10aに直接入射して照明光として利用される。
【0018】一方、太陽高度が低く直射光20の照射角度が低い場合には、庇31で遮られずに上窓11bに照射された直射光20は、ライトシェルフ33の反射面33aで天井面13側に反射され、天空光25と共に照明光として利用される。また、この際上窓11bに照射された直射光20は、ライトシェルフ33の反射面33aで反射されると共に遮られるため、直達光として屋内空間10aに入射されることはない。
【0019】また、庇31が半透光性を有するものである場合においては、高い角度から照射される直射光20は、窓11の上部から屋外側に張り出された庇31を通過する際にその強度や照射量が減衰されて上窓11bに照射される。このため、直射光20がそのまま上窓11bに照射されることはなく、この上窓11bから屋内空間に直達光が入射されることはない。そして、天空光と、このように減衰された直射光20とが、ライトシェルフ33の反射面33aによって天井面側に反射されて照明光として利用される。例えば、この図1及び図2において例示したルーバ状の庇31では、図3に示すように庇31に照射された直射光20は、庇31によって部分的に遮られかつ複数方向に拡散されることで、その照射量や強度が減衰されて上窓11bに照射されるのである。この結果、庇31に照射された直射光20も、天空光25と共に照明光として利用することが可能になり、昼光利用による照明光度を高めることができる。
【0020】一方、庇31を通過せずに上窓11bに直接照射された低い角度からの直射光20は、この庇31が遮光性を有するものである場合と同様に、天空光25と共に照明光として利用され、屋内空間に直達光として入射されることはない。
【0021】さらに、上述のような構成の採光構造では、図2に示したように、ライトシェルフ33の上部に垂直ルーバ35を設けたことで、各方位から上窓11bに照射された直射光20が、この垂直ルーバ35によって遮られかつ複数方向に拡散されて天井面13に照射される。このため、各方位からの直射光が直達光として室内空間に入射するこが防止される。また、拡散によって減衰された直射光20が照明として用いられ、グレアを防止することが可能になる。しかも、この垂直ルーバ35が回動可能なものである場合には、垂直ルーバ35による直射光20の遮光度合いや、拡散の方向性を任意に変化させることが可能になる。
【0022】尚、図1に示したように、ライトシェルフ33よりも下方の下窓11aに照射される直射光20は、ブラインド37を下ろす事で屋内への入射が遮断される。このため、下窓11aから室内空間10aへの直達光の侵入も防止される。ただし、太陽高度が低く下窓11aに直射光20が照射されない場合には、ブラインド37を上げておくことで、天空光25のみが下窓11aから室内空間10aに入射されて照明光として利用される。
【0023】以上の結果、屋内空間10aへの直達光22の入射を防止することができ、これによって、在室者に対するグレアの発生や、屋内空間の温熱環境の悪化、さらには夏期等における空調負荷の増大等を防止しつつ、昼光を照明光として利用することが可能になる。
【0024】(第2実施形態)図4は、本発明の請求項1〜請求項4に係る建築物の採光構造を適用した第2実施形態を説明するための断面図である。この図に示す採光構造は、図1及び図2を用いて説明した第1実施形態の採光構造に下段庇41を設けた構成であり、その他の構成は第1実施形態と同様であることとする。
【0025】すなわち、この建築物10の下窓11aと上窓11bとの間には、屋外側に向けて張り出された下段庇41が設けられている。この下段庇41は、窓11の幅方向に渡って、70cm〜80cm程度の幅で屋外側に張り出されている。この下段庇41は、完全な遮光性を有するものの他、半透光性を有するものであっても良い。半透光性を有する下段庇41としては、例えば、半透明材料で構成されたものや、ルーバ状に構成されたことで部分的に光を透過させるものを用いることができる。さらに、下段庇41は、上面41aに光反射機能を持たせた構成にしても良い。この光反射機能は、例えば下段庇41の上面41aに反射フィルムを張り付けることによって得られる。また、半透光性を有しかつ上面41aが反射機能を有する下段庇41としては、例えば、透明板材に半透過性の反射フィルムを張り付けたような構成を採用することができる。尚、図面においては、窓11と平行に配置されたルーバ状の下段庇41を例示した。またこの下段庇41の上面41aは、光反射機能を有することする。
【0026】このような構成の建築物の採光構造では、上述の第1実施形態の採光構造による効果に加え、さらに次のような効果を得ることができる。すなわち、下窓11aと上窓11bとの間に屋外側に張り出された下段庇41を設けたことで、下窓11aにも直射光20が照射され難くなる。このため、ブラインド37を下ろすことなく下窓11aから室内空間10aへの直達光の侵入を防止し、天空光25のみを下窓11aから室内空間10aに取り入れて照明光として利用することが可能になる。
【0027】さらに、下段庇41の上面41aは光反射機能を有しているため、下段庇41の上面41aに照射された直射光20は屋内の天井面13側に向かって反射され、天空光25と共に照明光として利用される。この結果、より広い太陽高度からの直射光20を照明光として利用することが可能になり、昼光利用による照明光度を高めることができる。
【0028】また、下段庇41を、半透光性を有するものとした場合には、直射光20が下段庇41を透過して減衰された光が下窓11aに照射され、この減衰された光も照明光として利用されるようになる。例えば、この第2実施形態で例示したルーバ状の下段庇41では、直射光20が下段庇41によって部分的に遮られかつ複数方向に拡散されることで減衰された光が、下窓11aに照射されるのである。この結果、下段庇41に照射された直射光20も、下窓11aからの照明光として利用することが可能になり、昼光利用による照明光度を高めることができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の建築物の採光構造では、窓の上部から屋外側に遮光性または半透光性を有する庇を張り出させたことで、高い角度からの直射光が窓に照射されることを防止したり、この直射光を減衰させた状態で窓に照射させることができる。これと共に、窓の高さ方向の中間部から屋内側にライトシェルフを張り出させたことで、庇とライトシェルフとの間の上窓部分に照射された直射光が室内空間に直達光として入射されることを防止すると共に、この直射光をライトシェルフの反射面で屋内の天井面に反射させて照明光として利用することが可能になる。以上の結果、室内空間への直達光の入射を防止しながら、直射光や天空光等の昼光を照明光として利用することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【出願日】 平成11年3月30日(1999.3.30)
【代理人】 【識別番号】100086298
【弁理士】
【氏名又は名称】船橋 國則
【公開番号】 特開2000−285710(P2000−285710A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−87425