| 【発明の名称】 |
車両灯具用ランプボディ及びそれを用いた車両用灯具並びにその製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】西本 健志
【氏名】橋本 芳彦
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| 【要約】 |
【課題】熱板融着法によりランプボディをランプレンズに接合して車両用灯具を製造する際のランプボディを構成する樹脂の糸引きを、季節や湿度の変化に関係なく、改善する。
【解決手段】ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対して帯電防止剤を0.1〜5重量部配合した樹脂組成物により成形されたランプボディ1に加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズ4に圧着してランプボディ1とランプレンズ4とを接合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゴム強化スチレン系樹脂からなるランプボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接合して車両用灯具を製造するためのランプボディであって、ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対して、帯電防止剤を0.1〜5重量部配合してなる樹脂組成物により成形された車両灯具用ランプボディ。 【請求項2】 前記帯電防止剤が、アルカンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール系共重合体、及びポリエーテルエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項3】 前記帯電防止剤が、アルカンスルフォン酸塩及びアルキルベンゼンスルフォン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項4】 前記ゴム強化スチレン系樹脂が、下記グラフト共重合体(A)100〜10重量部と下記ビニル系共重合体(B)0〜90重量部との合計100重量部を主成分とする樹脂組成物(C)である請求項1〜3のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 (A)ゴム状重合体20〜95重量部に単量体混合物80〜5重量部をグラフト重合させてなり、前記単量体混合物が、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、及びアルキル(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも一種のビニル系化合物99.9〜60重量%、他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%、及びα,β―不飽和酸のグリシジルエステル化合物0.1〜40重量%からなるグラフト共重合体。 (B)シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量%、他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%を反応させてなるビニル系共重合体。 【請求項5】 前記グラフト共重合体(A)の単量体混合物が、シアン化ビニル化合物0〜40重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量%、及びアルキル(メタ)アクリレート化合物0〜30重量%からなるビニル系化合物99.9〜60重量%、及び他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%、及びα,β―不飽和酸のグリシジルエステル化合物0.1〜40重量%からなる請求項4記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項6】 前記グラフト共重合体(A)の単量体混合物中のグリシジルエステル化合物の含有量が5〜20重量%である請求項4又は5記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項7】 前記グリシジルエステル化合物が、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、及びエタクリル酸グリシジルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4〜6のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項8】 前記グリシジルエステル化合物がグリシジルメタアクリレートである請求項4〜6のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項9】 前記ゴム状重合体の平均粒子径が0.05〜1μmである請求項4〜8のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項10】 前記ゴム状重合体が、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルアクリレートーブタジエンゴム、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブチルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチルゴム、シリコーン系/アクリル酸ブチル複合ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、及びポリジメチルシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4〜9のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項11】 前記シアン化ビニル化合物が、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの少なくとも一方である請求項4〜10のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項12】 前記芳香族ビニル化合物が、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、及びブロムスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4〜11のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項13】 前記アルキル(メタ)アクリレート化合物が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種である請求項4〜12のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項14】 前記他の共重合可能なビニル化合物が、アクリル酸、メタクリル酸、N−フェニルマレイミド、酢酸ビニル及びエチルビニルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種である請求項4〜12のいずれかに記載の車両灯具用ランプボディ。 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載のランプボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接合することを特徴とする車両用灯具の製造法。 【請求項16】 熱板を250〜500℃に加熱して行う請求項15記載の車両用灯具の製造法。 【請求項17】 前記ランプレンズとして、メタアクリル酸メチル樹脂からなるレンズを用いる請求項15又は16記載の車両用灯具の製造法。 【請求項18】 請求項1〜14のいずれかに記載のランプボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接合してなる車両用灯具。 【請求項19】 前記ランプレンズとして、メタアクリル酸メチル樹脂からなるレンズを用いてなる請求項18記載の車両用灯具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム強化スチレン系樹脂からなるランプボディと、メタクリル酸メチル樹脂等からなるランプレンズとを熱板融着法により接合してなる、ヘッドランプ、ウィンカー、ストップランプ等の車両用灯具、及びそれに用いるランプボディ並びにその車両用灯具の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】合成樹脂からなるランプボディとランプレンズを接合する方法としては、接着剤で両者を固着する方法もあるが、一般的なABS樹脂等の熱可塑性樹脂からなるランプボディに熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をメタクリル酸メチル樹脂等からなるランプレンズに圧着する、いわゆる熱板融着法が、接着剤により固着する場合とは異なり溶剤を全く使用しないことより、環境問題の観点から採用されることが増えてきた。しかしながら、このような熱板融着法では、前記ABS樹脂等のランプボディを構成する熱可塑性樹脂を熱板により溶融した後、熱板を引き離す際に、溶融した樹脂が糸状に引き伸ばされ(以下、『糸引き』という。)、これがランプレンズやランプボディの成形品表面に付着することにより外観不良となる不具合が生じることがあった。この熱板融着法における糸引きを改善する方法として、例えば、特開平9−12902号公報には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッソ樹脂をランプボディを構成するポリカーボネートやABS樹脂等の熱可塑性樹脂に対して添加する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、冬場の様な低湿度環境下で熱板融着法を行った場合には、完全に糸引きが解消されない場合があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の問題点に鑑み、熱板融着法によりランプボディをランプレンズに接合して車両用灯具を製造する際のランプボディを構成する樹脂の糸引きを、季節や湿度の変化に関係なく、改善することを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題を達成すべく鋭意検討した結果、ゴム強化スチレン系樹脂に対して帯電防止剤を添加した樹脂組成物によりランプボディを成形すること、更には前記ゴム強化スチレン系樹脂として、特定の成分を含有したグラフト共重合体とビニル系共重合体とを配合して得られる樹脂組成物を用いることにより、冬期のような低湿度環境下においても熱板融着法にてランプボディとランプレンズとを接合して車両用灯具を製造する際の糸引きを大幅に改善しうることを見いだし、本発明に至ったものである。 【0005】すなわち本発明は、ゴム強化スチレン系樹脂からなるランプボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接合して車両用灯具を製造するに際し、前記ランプボディとして、ゴム強化スチレン系樹脂に対して帯電防止剤を0.1〜5重量部配合した樹脂組成物により成形されたものを用いるというものであり、特に、前記ゴム強化スチレン系樹脂として、下記グラフト共重合体(A)100〜10重量部と下記ビニル系共重合体(B)0〜90重量部との合計100重量部を主成分とする樹脂組成物(C)を用いるというものである。 (A)ゴム状重合体20〜95重量部に単量体混合物80〜5重量部をグラフト重合させてなり、前記単量体混合物が、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、及びアルキル(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種のビニル系化合物99.9〜60重量%、他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%、及びα,β―不飽和酸のグリシジルエステル化合物0.1〜40重量%を含有してなるグラフト共重合体。 (B)シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量%、及び他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%を反応させてなるビニル系共重合体。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明で特に重要なのは、ランプボディの成形に用いる樹脂組成物中に帯電防止剤が配合されていることである。帯電防止剤としては、通常ABS樹脂に使用されているものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、アルキルアミン塩等の陽イオン界面活性剤、高級アルコールの硫酸塩、高級アルコールの酸化エチレン付加体の硫酸エステル塩、アルキルフェノールの酸化エチレン付加体の硫酸エステル塩、アルカンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸エステル塩、ナフタリンスルフォン酸ホルマリン縮合体の塩、高級アルコールの酸化エチレン付加体の燐酸エステル塩、アルキルフェノールの酸化エチレン付加体の燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、高級脂肪酸のソルビタンエステル、高級脂肪酸のモノグリセリンエステル、高級脂肪酸のモノグリセリンエステルの酸化エチレン付加体、高級アルコールの酸化エチレン付加体、高級脂肪酸の酸化エチレン付加体、アルキルフェノール酸化エチレン付加体、アミド酸化エチレン付加体、アルキルアミンの酸化エチレン付加体等の非イオン界面活性剤、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール系共重合体、ポリエーテルエステルアミド等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルカンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコール系共重合体、及びポリエーテルエステルアミドが好ましく、特にアルカンスルフォン酸塩、及びアルキルベンゼンスルフォン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の帯電防止剤が特に好ましい。 【0007】前記アルカンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩のアルカンまたはアルキルの炭素数に特に制限はないが、炭素数6〜29が好ましく、より好ましくは8〜18である。また、1分子当たりのスルフォン酸基の数も特に制限はないが、スルフォン酸基の数は1〜3が好ましい。炭素数、スルフォン酸基の数が上記範囲外では衝撃強度が低下したりする傾向がある。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられ、特にナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。 【0008】帯電防止剤の使用量はゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部である。0.1重量部未満では特に低湿度下での糸引き性改善効果が充分でない。 【0009】本発明で用いるゴム強化スチレン系樹脂としては、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂等が挙げられるが、特に、グラフト共重合体(A)100〜10重量部とビニル系共重合体(B)0〜90重量部との合計100重量部を主成分とする樹脂組成物(C)が好ましく、前記グラフト共重合体(A)としては、以下に示す組成が好ましい。すなわち、グラフト共重合体(A)は、ゴム状重合体20〜95重量部に単量体混合物80〜5重量部をグラフト重合させる際に、α,β―不飽和酸のグリシジルエステル化合物0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%を必須成分とし、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、及びアルキル(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種のビニル系化合物99.9〜60重量%、より好ましくは、シアン化ビニル化合物0〜40重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量%、及びアルキル(メタ)アクリレート化合物0〜30重量%からなるビニル系化合物99.9〜60重量%、及び他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%を反応させたグラフト共重合体である。前記ビニル系共重合体(B)としては、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量%、及び他の共重合可能なビニル化合物0〜30重量%を反応させてなるビニル系共重合体が好ましい。このグラフト共重合体(A)において、ゴム状重合体が20重量部未満ではランプボディの衝撃強度が低下し、また95重量部を越えると樹脂の流動性が極端に劣るため好ましくない。更に、前記ゴム状重合体にグラフト重合させる単量体混合物中のα,β―不飽和酸のグリシジルエステル化合物が0.1重量%未満では熱板融着法によりランプレンズと接合する際に十分な糸引き改善効果が得られず、40重量%を越えるとランプボディ成形時の樹脂の流動性、成形されたランプボディの耐衝撃性が低下して好ましくない。 【0010】グラフト共重合体(A)で使用されるゴム状重合体としては、特に制限はないが、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルアクリレートーブタジエン等のジエン系ゴム、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブチルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチルゴム、シリコーン系/アクリル酸ブチル複合ゴム等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のポリオレフィン系ゴム重合体、ポリジメチルシロキサンゴム等のシリコーン系ゴム重合体が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 【0011】また、このゴム状重合体の平均粒子径は0.05〜1μmのものが好ましく、0.07〜0.4μmのものが更に好ましい。ゴム状重合体としては、酸基含有ラテックスを使用して凝集肥大法により製造されたものも使用することができる。 【0012】前記ゴム状重合体にグラフト重合するα,β―不飽和酸のグリシジルエステル化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、及びエタクリル酸グリシジル等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいグリシジルエステル化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレートを挙げることができる。 【0013】グラフト共重合体(A)、及びビニル系共重合体(B)で使用されるシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が例示され、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が例示される。また、アルキル(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が例示される。更に、他の共重合可能なビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、例えばN−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 【0014】上記グラフト共重合体(A)及びビニル系共重合体(B)は好ましくは乳化重合によって得られるが、いかなる重合法を用いて製造したものでもよい。例えば、公知の塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法等、本発明の目的とする範囲内の組成に制御できればどの重合法よって製造したものでもよい。例えば、グラフト共重合体(A)の場合、前記単量体混合物をゴム状重合体の存在下に、水溶媒体中、ラジカル開始剤で重合させればよい。その際、前記グラフト重合させる単量体混合物は、混合物として使用しても、また必要に応じ、分割して使用しても良い。さらに、前記単量体混合物の添加方法としては、一度に全量を仕込んでも、また逐次添加しても良く、特に制限されるものではない。 【0015】ラジカル開始剤としては、過硫酸カリウム等の熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイド等のレドックス系開始剤等、公知の開始剤が使用できる。その他、重合促進剤、重合度調節剤、乳化剤も適宜選択して使用できる。重合温度としては30〜90℃が好ましい。 【0016】本発明のランプボディを構成する樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)のとブレンド比率は、目的とする物性特性を得るために適宜決定すれば良いが、グラフト共重合体(A)が100〜10重量部、好ましくは60〜10重量部、ビニル系共重合体(B)が0〜90重量部、好ましくは40〜90重量部である。また、グラフト共重合体(A)を重合した後に、同一の反応器でビニル系共重合体(B)を重合させることも可能である。 【0017】上記グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)とを主成分とする樹脂組成物(C)の極限粘度は、メチルエチルケトン可溶成分で0.25〜1.5(dl/g)(N,N−ジメチルホルムアミド溶液、30℃)の範囲が好ましい。 【0018】グラフト共重合体(A)やビニル系共重合体(B)のラテックスから樹脂組成物(C)を得る方法は公知の方法でよい。例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸アンモニウム等の無機塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸類により凝固して得られる。また必要に応じて、樹脂ブレンドする場合は、一般的な方法、例えばヘンシェルミキサーやリボンブレンダー等のブレンダーを用い、所望の安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、無機充填材、ガラス繊維を必要に応じて適宜使用することもできる。特に、スチレン系樹脂に用いられるフェノール系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系の安定剤、抗酸化剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、及びオルガノポリシロキサン、エチレンビスステアリン酸アマイド、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等の滑剤等は成形用樹脂として、より高性能なものとするために用いることができる。これらの安定剤、滑剤は、単独でもまた2種以上混合して使用することもできる。 【0019】また、ランプボディを構成する樹脂組成物(C)は、上記グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)に加えて、通常のABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂とブレンドして使用する事も可能である。 【0020】本発明では、上記のような樹脂組成物(C)等のゴム強化スチレン系樹脂から成形されたランプボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接合して車両用灯具を製造する。前記の場合の熱板の温度は、250〜500℃に加熱して行うことが好ましい。また、前記ランプボディに接合されるランプレンズとしては、メタアクリル酸メチル樹脂からなるレンズを用いることが好ましい。 【0021】 【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。尚、実施例の記載中で、特に断らない限り、『部』は重量部を、『%』は重量%を表す。 【0022】(イ)グラフト共重合体(A)の製造撹拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に下記の物質を仕込んだ。 純水 250部 ゴム状重合体 表1に記載した種類、量 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 硫酸第一鉄 0.0025部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01部反応器を撹拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。60℃に到達した後、表1に示す単量体混合物を連続的に5時間で滴下し、添加終了後、さらに60℃で1時間撹拌を続けて重合を終了した。 【0023】 【表1】
【0024】(ロ)ビニル系共重合体(B)の製造撹拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に下記の物質を仕込んだ。 純水 250部 ラウリン酸ソーダ 3部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.4部 硫酸第一鉄 0.0025部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01部反応器を撹拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。60℃に到達した後、表2に示すモノマー(I)を仕込んだ。十分乳化させた後、表2に示すモノマー(II)を連続的に6時間で滴下し、添加終了後、60℃で1時間撹拌を続けて重合を終了した。 【0025】 【表2】
【0026】(ハ)車両灯具用ランプボディ樹脂組成物(C)の製造及び糸引き性評価前記(イ)、(ロ)で製造したグラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)をそれぞれラテックス状態で表3に記載した比率(固形分)で混合し、この混合ラテックスに酸化防止剤を添加し、塩化カルシウムで凝固させた後、加熱、脱水、水洗、乾燥後、得られたパウダーにフェノール系の抗酸化剤(AO−20:旭電化工業株式会社製、0.3部)、リン系の安定剤(PEP−24G:旭電化工業株式会社製、0.3部)、滑剤EBS(エチレンビスステアリン酸アマイド1.0部)を共通の添加剤として、また、帯電防止剤(テトラデカンスルホン酸ナトリウム又はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を表3に示すようにブレンドして、250℃の温度で押出機(大阪精機(株)製、40mmφ単軸押出機)にてペレットを得た。得られたペレットを150ton射出成形機(FANUC製)を使用し、250℃の温度でASTMの1号ダンベルと図1に示すランプボディ製品を成形し、それを用いて下記の糸引き性の評価を実施し、結果を表3に示した。 【0027】(ニ)ダンベル試験片を用いての糸引き性評価射出成形にて得られたASTM1号ダンベルを成形直後すぐ下記■、■の条件の環境下に放置した。 条件■:23℃、相対湿度50%の恒温室に1週間放置。 条件■:冬場の低湿度を想定して、5℃、15%RHの恒温室に1週間放置。 この試験片を用いて、320℃に加熱したアルミニウム製の平板に、10kgf/cm2の圧力で10秒間押しつけた後、このダンベルを500mm/minの速度で引き上げた時に溶融面に発生した糸の長さ[cm]を測定した。 【0028】(ホ)ランプボディ製品を用いての糸引き性評価射出成形にて得られた図1に示すランプボディ製品を成形直後すぐ下記■、■の条件の環境下に放置した。 条件■:23℃、相対湿度50%の恒温室に1週間放置。 条件■:冬場の低湿度を想定して、5℃、15%RHの恒温室に1週間放置。 この製品を熱板融着機を用いて、融着温度320℃、10kgf/cm2の圧力でアルミニウム製の熱板に10秒間押しつけた後、50mm/minの速度で引き上げた時に融着面に糸引きが発生するかどうかを判定した。 【0029】 【表3】
【0030】表3の結果から明らかなように、低湿度下にてコンディショニングさせたものでも本発明によれば、従来から使用されている比較例のABS樹脂組成物からなるランプボディを用いた場合に比べて、熱板融着法における糸引き性が大幅に改善されている。 【0031】 【発明の効果】本発明によれば、帯電防止剤を配合してなるゴム強化スチレン系樹脂を用いることで、従来からランプボディの材料として使用されている一般的なゴム強化スチレン系樹脂を用いる場合に比べて、例えば冬期のような低湿度環境下において、ランプボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接合して車両用灯具を製造する際の、ランプボディを構成する樹脂の糸引きを大幅に改善しうるものであり、特にヘッドランプ、ウィンカー、ストップランプ等の車両用灯具の製造に有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000941 【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073874 【弁理士】 【氏名又は名称】萩野 平 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−276909(P2000−276909A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月6日(2000.10.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−361203 |
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