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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】間部 三千広

【氏名】中村 浩一

【要約】 【課題】ランプボディの外側に形成された反射層の光反射効率を高めることにより、実際の実施に適した、レンズとランプボディが一体に形成されてなる車両用灯具を提供すること。

【解決手段】光透過性樹脂を材料として、レンズ2とランプボディ3を一体に形成した車両用灯具1において、前記ランプボディ3の外側表面301には、前記ランプボディ3内部に配設された光源15からの出射光P0を前方に反射する反射層10を、塗装形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光透過性の合成樹脂を材料として、レンズとランプボディをブロー成形等により一体に形成した車両用灯具において、前記ランプボディの外表面には、前記ランプボディ内部に配設された光源からの出射光を前方に反射するための反射層を、塗装形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 前記反射層の表層には、保護膜層が形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】 前記反射層は、アルミニウム塗料から形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具。
【請求項4】 前記アルミニウム塗料に顔料成分とし混合されたアルミニウム粉末が、前記ランプボディの外表面に沈着して、反射面が形成されたことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】 前記アルミニウム粉末は、薄いフレーク状に形成されたアルミニウム片から構成されたことを特徴とする請求項4記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車両用灯具に関し、更に詳細には、光透過性樹脂を材料として、レンズとランプボディを一体に形成し、そのランプボディの外側表面に反射層を設けた車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車等に使用される車両用灯具において、該車両用灯具のランプボディと、このランプボディの灯室内に配設された光源からの光を透過して外部へ出射する(前面)レンズと、を光透過性樹脂を材料としてブロー成形等により一体に形成する技術が、採用されている。
【0003】この技術においては、光源からの光を反射させる反射層をランプボディに形成する場合、一般に「ドブ浸け」とも称されている浸漬法によって、ランプボディ内面側に反射層を塗装形成する。
【0004】この浸漬法は、ランプボディの後頂部に開口形成された光源装着孔を塗料浸漬口として利用し、ランプボディの全体を塗料中に浸漬した後に引き上げて、ランプボディ内面側に塗料を付着させ、この付着塗料を乾燥させることにより、反射層を形成する方法である。
【0005】この方法によって形成された反射層は、ランプボディ部材よりも光源に近い側に形成されているため、ランプボディ部材の影響による光損失がないことから、光源からの光を効率よく反射させるという点においては、好適なものであった。
【0006】しかし、レンズとランプボディを一体に形成する場合においては、ランプボディ内面が、レンズとランプボディ部材によって略閉塞状態とされてしまうため、ランプボディ内面側の塗装して反射層を形成するためには、必然的に、工程、構造が複雑で手間のかかる上記浸漬法による他がなく、改善の余地を残していた。そこで、透明なランプボディの外側に、反射層を形成する技術が想定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ランプボディの外側に反射層を形成するためには、車両への組み付け時に生ずる工具への当接等によって、容易に反射層の損傷、剥離を起こしてしまうという問題や、光源からの光がランプボディ部材を介して反射層に到達する分だけ、反射層の反射効率を極力良くして置く必要があるという課題を有していた。
【0008】即ち、上記、反射層剥離の問題と反射層の反射効率向上という課題は、レンズとランプボディが一体に形成されてなる車両用灯具を市場に普及させるための大きな障壁となっていた。
【0009】そこで、本発明の目的は、反射層のさらに外側に保護膜を形成することで、ランプボディの外側に形成された反射層を有効に保護し、かつ光反射効率を高めるための反射層自体の構成を工夫することにより、実際の実施に適した、レンズとランプボディが一体に形成されてなる車両用灯具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。請求項1では、光透過性の合成樹脂を材料として、レンズとランプボディをブロー成形等により一体に形成した車両用灯具において、前記ランプボディの外表面に、前記ランプボディ内部に配設された光源からの出射光を前方に反射するための反射層を、塗装形成する。この手段では、ランプボディの外側表面に反射層を塗装形成して設けることとしたため、レンズとランプボディを一体に形成した車両用灯具における反射層形成作業、容易化する。
【0011】請求項2では、請求項1記載の反射層の表層に、保護膜層を形成する。この手段では、保護膜層の存在により、ランプボディの外側に形成された反射層が、車両への組み付け時に生ずる工具への当接等によって、傷ついたり、剥離を起こしてしまうのを防止するとともに、耐候性が向上する。
【0012】請求項3では、請求項1又は2のいずれかに記載の反射層を、アルミニウム塗料によって形成する。この手段では、反射層中に含まれるアルミニウム顔料によって、光源からの光がランプボディ内側方向へ反射される。
【0013】請求項4では、請求項3記載のアルミニウム塗料に顔料成分とし混合されたアルミニウム粉末を前記ランプボディの外表面に沈着させて、反射面を形成する。この手段では、アルミニウム粉末が、反射層内に分散したり、浮遊した状態ではなく、ランプボディ部材の外表面に沈着されて反射面が形成されるため、ランプボディ部材を透過して入射してきた光が、即座に反射されるので、光損失が少なくなる。
【0014】請求項5では、請求項4記載のアルミニウム粉末を、薄いフレーク状に形成されたアルミニウム片から構成する。この手段では、薄いフレーク状に形成されたアルミニウム片が、ランプボディの外表面に配向して沈着されるため、均一かつ平滑な反射面が形成され、光散乱が抑えられて、正反射率が高まる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る、レンズとランプボディが一体に形成された車両用灯具の全体斜視図、図2は、反射層、保護膜層が形成された同車両用灯具の縦方向断面図、図3(A)は、同車両用灯具の反射層および保護膜層が形成されたランプボディ部材S部周辺の拡大断面図、図3(B)は、同反射層に顔料として含まれるフレーク状のアルミニウム片の拡大図、図4(A)は、塗料顔料として使用された粒状のアルミニウム粉末が浮遊した状態で形成された反射層を採用したランプボディ部材周辺の拡大断面図、図4(B)は、塗料顔料として使用された粒状のアルミニウム粉末が分散した状態で形成された反射層を採用したランプボディ部材周辺の拡大断面図、図5は、アルミニウム顔料の状態別に、反射層の光の反射効率を調べたデータをまとめた図(表)、である。
【0016】まず、図1に示す符号1は、レンズ2とランプボディ3をブロー成形等によって一体に形成された、車両用灯具を構成する成形体を表している。ここで、ブロー成形とは、合わせ金型内において、パリソン(樹脂材)又はシートを空気圧などを用いて膨らませ、金型に密着させると同時に冷却して固化させ、中空体からなる成形体を形成する方法である。尚、車両用灯具本体を構成する成形体1の一体形成方法は、ブロー成形に限定するものではない。
【0017】車両用灯具本体を構成する成形体1は、光透過性の合成樹脂材料で形成されているため、一体成形工程が終了した時点において、該成形体1を構成するレンズ2とランプボディ3は、その全体が透明な状態に形成されている。
【0018】尚、図1に示す符号9は、灯室8の内外間において呼吸作用を営むために、ランプボディ3側に設けられた空気孔で、成形体1をブロー成形する際のエアブロー供給孔を利用したものである。
【0019】一体成形された成形体1は、次に、反射層10の形成工程に移される。この工程は、ランプボディ3の外表面301に塗料7を噴霧器6等で吹き付け、乾燥炉内で所定時間乾燥させて、反射層10を形成するものである。
【0020】この反射層形成工程で形成された反射層10は、光源装着取付部4の内側に形成された光源挿着孔5に(バルブ)ソケット14を介して灯室8内に臨むように配設された光源15から出射される光P0を、該光源15周辺を取り囲む透明なランプボディ3部材の層を透過させて後に、反射層10の反射面103で反射させ、再びランプボディ3部材の層を透過させて灯室8内方向に反射させる役割を果たしている(図2参照)。
【0021】ここで、この反射層10のさらに外側には、合成樹脂材料によって保護膜層13を形成している。この保護膜層13は、車両への組み付け時に生ずる工具への当接等によって、反射層10が容易に損傷や剥離を起こさないようにするという役割を果たすとともに、耐候性の向上に役立っている。
【0022】以下、ランプボディ3及び反射層10の具体的な構成(構造)を詳説する。上記反射層形成工程は、成形工程を終えた成形体1を逆さまにして、ランプボディ3の上方から噴霧器6等により、塗料7を吹き付ける。
【0023】塗料7は、樹脂(アクリルシリコン系樹脂等)と乾性油を加熱溶解等して形成された油ワニス102に薄いフレーク状のアルミニウム片101を顔料として混合したアルミニウム塗料(「アルミニウムペイント」と呼ばれる場合がある。)を使用する。アルミニウム塗料によって形成される反射層は、反射効率に優れているからである。
【0024】尚、フレーク状のアルミニウム片101(図3参照)は、一般に、ポリエステルフィルムにアルミ蒸着を行った後、この薄膜のアルミ蒸着部分(アルミニウム箔)をポリエステルフィルムから剥離させて粉砕することにより形成される。
【0025】上記アルミニウム塗料をランプボディ3の上方から吹き付けると、油ワニス102に対して比重の大きいアルミニウム片101が、ランプボディ3の外表面301に重なり合うようにして配向して沈着し、均一かつ平滑な反射面103を形成する。
【0026】尚、アルミニウム片101を、ランプボディ3の外表面301全体に均等に広がるようにして、この外表面301に確実に沈着させるために、アルミニウム片101に、いわゆる「濡れ性」を持たせる添加材を混入し、更に、沈んでくるアルミニウム片101をランプボディ3の外表面301に密着させるために、所定のカップリング剤を添加することによって、より確実に、均一な反射面103を形成することができる。
【0027】図3に示すように、光源15(図2参照)から出射された光P0は、ランプボディ3部材を透過して、ランプボディ3と反射層10の界面に形成された反射面103に入射して、反射光P1を灯室8内(全方のレンズ2方向)に出射する。
【0028】尚、アルミニウム片101の厚みDは、0,01μm未満の場合では、光P0が、反射面103を形成するアルミニウム片101を透過してしまうため、正反射率(中心光度)が低下させてしまう。
【0029】また、厚みDが、0,6μm以上になると、沈着され積層するアルミニウム片101間に隙間が過剰に生じてしまったりするので、均一な反射面103を形成するという観点では、好適とは言えない。したがって、アルミニウム片101部分の厚みDは、0.01μm〜0.6μmの範囲が好適である。
【0030】ここで、油ワニス102に混合するアルミニウム片101からなるアルミニウム顔料の混合比を適宜調整するか、アルミニウム顔料(比重2.6)がより沈降しやすい比重の油ワニス102を適宜選択することで、ランプボディ3の外表面に沈着するアルミニウム片101の上層に、ある一定の油ワニス102層を形成することができる。
【0031】この場合は、保護膜層13の形成工程が省略できるので、反射層形成工程全体をより簡素化できることになる。尚、油ワニス102の量は、輝度を低下させないという観点から、できるだけ少量とするのが好ましい。
【0032】上記アルミニウム顔料が、第4図(A)に示すように、粒状に形成されたアルミニウム粉末111で構成されているアルミニウム塗料によって、反射層11を形成した場合においては、油ワニス112の表層部にアルミニウム粉末111が浮上して密集し、ランプボディ3から離れた位置、即ち、反射層11の表層周辺に、反射面113が形成されてしまう。
【0033】このため、該反射面113に到達する光P0及び反射光P2は、油ワニス層112を透過する分、光損失が大きくなってしまうことになる。加えて、反射面113には、凹凸があって平滑でないことから、光散乱も起こりやすくなるため、正反射率が減少し、反射層としては好適なものとは言えない。
【0034】また、同様に粒状のアルミニウム粉末122からなるアルミニウム顔料では、該アルミニウム粉末121が、油ワニス122の成分との関係で、該油ワニス122中に分散されてしまう場合もある(図4(B)参照)。
【0035】この場合では、平坦な反射面が形成されず、個々のアルミニウム粉末121の表面に光P0が入射してしまうため、散乱光P3が多くなり、正反射率が大きく低下してしまう。従って、反射層としては好適なものとは言えない。
【0036】尚、粒状のアルミニウム粉末111,121は、アルミニウム箔をステアリン酸のような脂肪系潤滑剤とともにスタンプまたは湿式ボールミルで粉砕することによって形成される。
【0037】ここで、アルミニウム顔料の状態別の反射層10,11,12のそれぞれの正反射率、拡散反射率、全反射率を所定の反射率計で測定し、各測定データを比較した図(表)5を参照し、その反射特性を見てみることにする。粒状アルミニウムが浮いた状態の反射層11,分散した状態の反射層12はの正反射率(中心光度)は、それぞれ45%、12%であり、フレーク状のアルミニウム片がランプボディ3に沈着した反射層10の正反射率68%と比較して、低いことがわかる。
【0038】また、反射層11、12の拡散反射率は、それぞれ22%、39%であるのに対して、反射層12の拡散反射率は、7%と極めて低い。更に、反射層11,12の全反射率は、それぞれ67%、51%であるのに対して、反射層12の全反射率は、75%と高い。
【0039】以上の測定データから、フレーク状のアルミニウム片101をアルミニウム顔料として使用した塗料、更には、該アルミニウム片101をランプボディ外表面301に確実に沈着配向させて、該ランプボディ外表面301に反射面103を形成してなる反射層12は、光源15から出射された光を、大きく光損失させることなく、効率よく正反射するという顕著なる特性を有することがわかる。
【0040】
【発明の効果】本願によって開示される発明によれば、ブロー成形等の手段によってレンズとランプボディを一体に形成して、車両用灯具の本体を構成する成形体を形成する場合に、閉塞されたランプボディ内面ではなくて、ランプボディ外表面に反射層を形成することとしたため、手間の掛かる浸漬法によることが不要となるため、反射層形成工程が簡素化し、作業性が向上する。
【0041】また、ランプボディ外表面に反射層は、該反射層の表面に保護膜層を設けることにより、外部からの損傷(剥離)を有効に防止できるとともに、耐候性を向上させることができる。
【0042】更に、フレーク状に形成されたアルミニウム片からなるアルミニウム顔料を混合したアルミニウム塗料で反射層を形成することにより、ランプボディ外表面にアルミニウム片が沈着配向して、均一かつ平滑な反射面を、形成することができる。
【0043】これによって、光源から出射される光を、効率よくレンズ側前方に反射させることができるので、レンズから前方に出射する光量が増加し、前方の照射エリアにおける視認性が向上するとともに、発光部における輝度が高まって、前方視界の視認性が大きく向上する。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成11年3月26日(1999.3.26)
【代理人】 【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
【公開番号】 特開2000−276908(P2000−276908A)
【公開日】 平成12年10月6日(2000.10.6)
【出願番号】 特願平11−83064