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【発明の名称】 車両用前照灯
【発明者】 【氏名】芦沢 和久

【氏名】四ノ宮 裕

【氏名】大石 和民

【要約】 【課題】ランプボディと前面レンズとで形成される灯室内にメインビーム用リフレクタとサブビーム用リフレクタとが左右に並設され、サブビーム用リフレクタに放電バルブが取り付けられた4灯式の車両用前照灯において、前面レンズの内面に曇りが発生するのを効果的に防止する。

【解決手段】放電バルブ24を点灯させる点灯回路ユニット32を、メインビーム用リフレクタ18Mの下方に設ける。これにより、サブビーム照射状態において、灯室16内におけるサブビーム用リフレクタ18Sの周辺空間は放電バルブ24の発熱により温度が上昇し、一方、メインビーム用リフレクタ18Mの周辺空間は点灯回路ユニット32の発熱により温度が上昇するので、灯室16内を略均一温度に維持することが可能となり、前面レンズ14の内面14aに曇りが発生するのを効果的に防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプボディと前面レンズとで形成される灯室内にメインビーム用リフレクタとサブビーム用リフレクタとが左右に並設され、上記サブビーム用リフレクタに放電バルブが取り付けられてなる車両用前照灯において、上記放電バルブを点灯させる点灯回路ユニットが、上記メインビーム用リフレクタの下方に設けられている、ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】 上記灯室内に、上記点灯回路ユニットで発生した熱を上記メインビーム用リフレクタの前方部位に導く流路が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項3】 上記灯室内における上記両リフレクタの前方にエクステンションリフレクタが設けられてなり、上記エクステンションリフレクタの下端部における上記メインビーム用リフレクタの前方部位に切欠き部が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用前照灯。
【請求項4】 上記ランプボディにおける上記メインビーム用リフレクタ側の端部の下端部近傍部位に、該ランプボディを貫通する空気孔が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、4灯式の車両用前照灯に関するものであり、特に、そのサブビーム用リフレクタに放電バルブが取り付けられた車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】放電バルブは高輝度照射が可能なことから、近年、車両用前照灯の光源としても採用されるようになってきている。特に、4灯式の車両用前照灯においては、サブビーム用リフレクタに放電バルブを取り付けることによりサブビーム照射状態での視認性を高めることができる。
【0003】ところで、このような放電バルブを備えた車両用前照灯においては、放電バルブに高電圧を印加してこれを点灯させるための点灯回路ユニットを設けることが必要となる。この点灯回路ユニットは、従来の車両用前照灯においては放電バルブが取り付けられるリフレクタの下方に設けられている。すなわち、放電バルブがサブビーム用リフレクタに取り付けられている場合には、点灯回路ユニットはサブビーム用リフレクタの下方に設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば図5に示すように、ランプボディ102と前面レンズ104とで形成される灯室106内にメインビーム用リフレクタ108Mとサブビーム用リフレクタ108Sとが左右に並設された4灯式の車両用前照灯において、放電バルブ110が取り付けられたサブビーム用リフレクタ108Sの下方に点灯回路ユニット112を設けるようにした場合には、次のような問題がある。
【0005】すなわち、4灯式の車両用前照灯においては、サブビームすなわちすれ違いビームパターン照射状態では、メインビームすなわち走行ビームは非点灯の状態にあり、灯室106内におけるサブビーム用リフレクタ108Sの周辺空間は放電バルブ110および点灯回路ユニット112の発熱により温度が上昇するのに対し、メインビーム用リフレクタ108Mの周辺空間は低温状態のままであるため、前面レンズ104におけるメインビーム用リフレクタ108Mの前方部位の内面に曇りが発生しやすくなるという問題がある。
【0006】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、サブビーム用リフレクタに放電バルブが取り付けられた4灯式の車両用前照灯において、前面レンズの内面に曇りが発生するのを効果的に防止することができる車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は、点灯回路ユニットの配置に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0008】すなわち、本願発明は、請求項1に記載したように、ランプボディと前面レンズとで形成される灯室内にメインビーム用リフレクタとサブビーム用リフレクタとが左右に並設され、上記サブビーム用リフレクタに放電バルブが取り付けられてなる車両用前照灯において、上記放電バルブを点灯させる点灯回路ユニットが、上記メインビーム用リフレクタの下方に設けられている、ことを特徴とするものである。
【0009】上記「メインビーム用リフレクタの下方に設けられている」とは、点灯回路ユニットの左右方向の中心位置がメインビーム用リフレクタの光軸とサブビーム用リフレクタの光軸との中心位置よりもメインビーム用リフレクタの光軸寄りに位置していることを意味するものである。その際、点灯回路ユニットは、「メインビーム用リフレクタの下方」であれば、灯室内に設けてもよいし灯室外に設けてもよい。
【0010】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯は、ランプボディと前面レンズとで形成される灯室内にメインビーム用リフレクタとサブビーム用リフレクタとが左右に並設されており、サブビーム用リフレクタに放電バルブが取り付けられているが、放電バルブを点灯させる点灯回路ユニットがメインビーム用リフレクタの下方に設けられているので、サブビーム照射状態では、灯室内におけるサブビーム用リフレクタの周辺空間は放電バルブの発熱により温度が上昇し、一方、メインビーム用リフレクタの周辺空間は点灯回路ユニットの発熱により温度が上昇することとなる。このため灯室内を略均一温度に維持することが可能となり、これにより前面レンズの内面に曇りが発生するのを効果的に防止することができる。
【0011】また、従来の車両用前照灯では、寒冷地におけるサブビーム照射時、前面レンズのメインビーム用リフレクタ前方部位に付着した雪が融けにくいため、サブビームからメインビームへ切り換えたときにメインビーム用リフレクタからの反射光が前面レンズの前方へ十分に照射されず、所期の配光性能を確保することが困難になるという問題がある。その点、本願発明の構成を採用することにより、サブビーム照射状態においても灯室内全体を昇温させることができるので、前面レンズの全面に融雪機能を持たせることができ、これによりサブビームからメインビームへ切り換えたときのメインビーム配光性能を十分に確保することができる。
【0012】上記構成において、請求項2に記載したように、点灯回路ユニットで発生した熱をメインビーム用リフレクタの前方部位に導く流路を灯室内に形成するようにすれば、サブビーム照射状態において前面レンズのメインビーム用リフレクタ前方部位の昇温効率を高めることができるので、前面レンズ内面の曇り発生防止効果および融雪効果を高めることができる。
【0013】上記「流路」の具体的構成は特に限定されるものではないが、請求項3に記載したように、上記灯室内における上記両リフレクタの前方にエクステンションリフレクタが設けられている場合には、該エクステンションリフレクタの下端部におけるメインビーム用リフレクタの前方部位に切欠き部を形成することにより上記流路を形成することができ、これにより点灯回路ユニットで発生した熱をメインビーム用リフレクタの前方部位に効果的に導くことができる。
【0014】ところで、サブビーム照射状態では、灯室内におけるメインビーム用リフレクタの周辺空間のうち特に下端コーナ部が低温になりやすく曇りが発生しやすいので、請求項4に記載したように、ランプボディにおけるメインビーム用リフレクタ側の端部の下端部近傍部位に該ランプボディを貫通する空気孔を形成し、該空気孔を介して外気を灯室内に導入するようにすれば、一層効果的に曇り防止を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0016】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す正面図であり、図2、3および4は、図1のII-II 線、III-III 線、およびIV-IV 線断面図である。
【0017】これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、4灯式前照灯であって、ランプボディ12と前面レンズ14とで形成される灯室16内にメインビーム用リフレクタ18Mとサブビーム用リフレクタ18Sとが左右に並設されてなっている。これら各リフレクタ18M、18Sは、上下方向および左右方向に傾動可能にランプボディ12に支持されている。そして、灯室16内における両リフレクタ18M、18Sの前方には、エクステンションリフレクタ20が設けられている。
【0018】前面レンズ14は素通しレンズで構成されており、灯具配光制御機能は両リフレクタ18M、18Sに付与されている。
【0019】すなわち、メインビーム用リフレクタ18Mは、複数の反射素子18Msが形成された反射面18Maを有しており、その光軸Ax1上に位置するようにしてハロゲンバルブ22が取り付けられている。そして、ハロゲンバルブ22からの光を反射面18Maにより拡散偏向反射させてメインビーム用照射光を生成するようになっている。
【0020】一方、サブビーム用リフレクタ18Sは、複数の反射素子18Ssが形成された反射面18Saを有しており、その光軸Ax2上に放電バルブ(メタルハライドバルブ)24が取り付けられるとともに、該放電バルブ18の前方を覆うようにしてシェード26が設けられている。そして、放電バルブ24からの光を反射面18Saにより拡散偏向反射させてサブビーム用照射光を生成するようになっている。
【0021】本実施形態に係る車両用前照灯10においては、放電バルブ24の点灯によるサブビーム用照射光のみによりサブビーム用配光パターンを形成し、放電バルブ24およびハロゲンバルブ22の同時点灯によるサブビーム用照射光とメインビーム用照射光との合成によりメインビーム用配光パターンを形成するようになっている。
【0022】上記放電バルブ22は、その点灯のために高電圧を必要とするため、バルブソケット28および高圧コード30を介して点灯回路ユニット32に接続されている。この点灯回路ユニット32は、始動回路および安定回路が点灯回路ケース内に収容されてなり、ランプボディ12の下面壁12aの下側におけるメインビーム用リフレクタ18Mの下方位置に形成されたユニット収納部12bに収納されている。この点灯回路ユニット12bは、その左右方向の中心位置がメインビーム用リフレクタ18Mの光軸Ax1よりも僅かにサブビーム用リフレクタ18Sの光軸Ax2寄りに位置している。
【0023】上記ユニット収納部12bの後方側には開口部12cが形成されており、該開口部12cにカバー34が装着されることにより該ユニット収納部12bが密閉されるようになっている。これらユニット収納部12bおよびカバー34には、点灯回路ユニット32を保持するためのリブ12d、12e、12fおよび34a、34bが形成されている。また、ランプボディ12の下面壁12aの後部には、高圧コード30を挿通させるためのコード挿通孔12gが形成されている。
【0024】上記エクステンションリフレクタ20は、前面レンズ14の内面14aに沿って形成された前面パネル部20Aと、この前面パネル部20Aの外周縁部に形成された外周フランジ部20Bと、両リフレクタ18M、18Sの前方に形成された左右1対の筒状部20C、20Dとからなっている。各筒状部20C、20Dは後方へ向けてややテーパ状に形成されており、その後端縁20Ca、20Daは、各リフレクタ18M、18Sの前端開口部18Mb、18Sbと略同一形状で形成されている。このエクステンションリフレクタ20の下端部におけるメインビーム用リフレクタ18Mの前方部位には切欠き部20aが形成されている。この切欠き部20aは、前面パネル部20Aから外周フランジ部20Bにわたって形成されている。
【0025】上記ランプボディ12の左右両端部の下端部近傍部位および左右中央部の上端部近傍には、該ランプボディ12を前後方向に貫通する空気孔12h、12i、12jが形成されている。これら各空気孔12h、12i、12jは、ラバーチューブ36により下方に開口するように形成されている。また、ランプボディ12における各空気孔12h、12i、12jの上方側には、該空気孔を囲むガードリブ12kが形成されている。
【0026】以上詳述したように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、ランプボディ12と前面レンズ14とで形成される灯室16内にメインビーム用リフレクタ18Mとサブビーム用リフレクタ18Sとが左右に並設されており、サブビーム用リフレクタ18Sに放電バルブ24が取り付けられているが、放電バルブ24を点灯させる点灯回路ユニット32がメインビーム用リフレクタ18Mの下方に設けられているので、サブビーム照射状態では、灯室16内におけるサブビーム用リフレクタ18Sの周辺空間は放電バルブ24の発熱により温度が上昇し、一方、メインビーム用リフレクタ18Mの周辺空間は点灯回路ユニット32の発熱により温度が上昇することとなる。このため灯室16内を略均一温度に維持することが可能となり、これにより前面レンズ14の内面14aに曇りが発生するのを効果的に防止することができる。
【0027】特に、本実施形態のように前面レンズ14が素通しレンズで構成されている場合には、その内面14aに曇りが発生すると配光性能に支障は生じなくても灯具の外観品質を損なう原因となるので、本実施形態の構成を採用することが極めて効果的である。
【0028】また、このようにサブビーム照射状態においても灯室16内全体を昇温させることができるので、寒冷地でのサブビーム照射状態において前面レンズ14の全面に融雪機能を持たせることができ、これによりサブビームからメインビームへ切り換えたときのメインビーム配光性能を十分に確保することができる。
【0029】本実施形態に係る車両用前照灯10は、灯室16内における両リフレクタ18M、18Sの前方にエクステンションリフレクタ20が設けられているが、該エクステンションリフレクタ20の下端部におけるメインビーム用リフレクタ18Mの前方部位には切欠き部20aが形成されているので、図3において矢印Aで示すように、点灯回路ユニット32で発生した熱を灯室16内におけるメインビーム用リフレクタ18Mの前方部位に導く流路を灯室16内に形成することができる。そしてこれにより、サブビーム照射状態において前面レンズ14のメインビーム用リフレクタ18M前方部位の昇温効率を高めることができるので、前面レンズ14の内面14aの曇り発生防止効果および融雪効果を高めることができる。
【0030】さらに、本実施形態に係る車両用前照灯10は、ランプボディ12におけるメインビーム用リフレクタ18M側の端部の下端部近傍部位に該ランプボディ12を貫通する空気孔12hが形成されているので、該空気孔12hを介して外気を灯室16内に導入することができ、これにより一層効果的に曇り防止を図ることができる。サブビーム照射状態では、灯室16内におけるメインビーム用リフレクタ18Mの周辺空間のうち特に下端コーナ部が低温になりやすく曇りが発生しやすいので、上記空気孔12hを形成することが極めて効果的である。本実施形態においては、ランプボディ12の左右方向中央部の上端部近傍に空気孔12jが形成されているので、灯室16内におけるメインビーム用リフレクタ18Mの周辺空間に容易に対流を生じさせることができ、これにより曇り防止効果をより高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成11年3月10日(1999.3.10)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2000−260208(P2000−260208A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−63732