| 【発明の名称】 |
車両用灯具及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】玉井 裕之
【氏名】瀧 秀雄
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| 【要約】 |
【課題】一体化レンズを多色成形法により成形する際に、先打ちレンズが可動金型と基に確実に離型することを可能にして成形性を高めるとともに、高品質なレンズを備えた車両用灯具とその製造方法を提供する。
【解決手段】先打ちしたレンズ4と後打ちしたレンズ3が接合され、これらレンズの接合部に沿ってレンズ面から後方に向けて立ち上げリブ31,41が設けられている一体化レンズ2を有しており、先打ちレンズ4の立ち上げリブ41を後打ちレンズ3の立ち上げリブ31よりも立ち上げ高さを高くする。可動金型MKと、先打ち金型FK及び後打ち金型SKを用いた成形法により一体化レンズ2を成形する場合においても、先打ちレンズ4の成形時に立ち上げリブ41と可動金型MKとの密着性が高められ、先打ちレンズ4が確実に可動金型MKに保持されることになり、成形不良を未然に防止することが可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先打ちしたレンズと後打ちしたレンズが接合され、前記両レンズの接合部に沿ってレンズ面から後方に向けて立ち上げリブが設けられている一体化レンズを有する車両用灯具であって、前記先打ちレンズの前記立ち上げリブは、前記後打ちレンズの立ち上げリブよりも立ち上げ高さが高くされていることを特徴とする車両用灯具。 【請求項2】 前記先打ちレンズの立ち上げリブの厚さが、前記後打ちレンズの立ち上げリブの厚さよりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。 【請求項3】 可動金型と先打ち金型とで先打ちレンズを成形し、前記可動金型と後打ち金型とで前記先打ちレンズに接合する後打ちレンズを成形して前記先打ちレンズと後打ちレンズとを一体化したレンズを製造する工程を含む車両用灯具の製造装置において、前記先打ちレンズの成形工程では前記後打ちレンズとの接合部にレンズ面から後方に立ち上がる所要高さの立ち上げリブを一体に成形し、前記後打ちレンズの成形工程では、前記先打ちレンズの立ち上げリブに接合する前記先打ちレンズの立ち上げリブよりも高さの低い立ち上げリブを一体に成形することを特徴とする車両用灯具の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は複数のレンズを一体に成形したレンズを有する車両用灯具に関し、特に先打ちしたレンズと後打ちしたレンズを接合して一体化したレンズの成形の作業性を改善した車両用灯具とその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】自動車のリアコンビネーションランプのように、複数の機能を有する補助ランプを一体化した灯具では、灯具ボディの前面開口に取着されるレンズは各補助ランプに対応してそれぞれ異なる色の樹脂で成形したレンズを一体化して形成している。このような、一体化レンズはいわゆる多色成形法によって形成されることが多く、一の色のレンズを一の金型によって先に樹脂成形し、次いで成形した一のレンズを他の金型にセットした状態で他のレンズを樹脂成形することで、一のレンズと他のレンズとを一体化したレンズとして成形することが可能である。ここで、本願明細書では、先に行う一の樹脂成形を「先打ち」と称し、後に行う樹脂成形を「後打ち」と称する。例えば、図7に示すリアコンビネーション用の一体化レンズ2Aは、テール&ストップランプ用の赤色レンズ3Aと、バックアップランプ用の白色(クリア)レンズ4を一体化したレンズとして構成されている。このような一体化レンズ2Aの製造方法では、例えば、白色レンズ4Aを先打ちにより形成し、その先打ち形成した白色レンズ4Aを用いて赤色レンズ3Aを後打ちにより形成する。また、このような一体化レンズでは、先打ちしたレンズと後打ちしたレンズとの一体性を高めるために、同図に示すように、各レンズが接合される接合部に沿ってレンズ面から立ち上げられた立ち上げリブ31A,41Aを設けておき、これらの立ち上げリブ31A,41Aの側面において各レンズ3A,4Aを相互に接合する構成がとられている。このような立ち上げリブを設けることにより、レンズの接合面積を広くとることができ、接合強度に優れた多色成形レンズを形成することが可能になる。 【0003】ところで、前記したレンズを形成する場合には、図8(a)に概略構成を示すように、上金型を可動金型MKとし、白色レンズ4Aを成形する下金型を先打ち金型FK、赤色レンズ3Aを成形する下金型を後打ち金型SKとする。可動金型MKには、先打ちレンズと後打ちレンズを成形するためのキャビティ面C1が形成されており、先打ち金型FKには前記可動金型MKとで先打ちレンズを成形するためのキャビティFCを構成する一方で、前記可動金型MKのキャビティ面C1の一部に当接して後打ちレンズを形成するキャビティ部分を無効にするキャビティ面C2が形成される。また、図8(b)のように、後打ち金型SKには前記可動金型MKとで後打ちレンズを成形するためのキャビティSCを構成するキャビティ面C3が形成されている。 【0004】そして、図9(a)のように、可動金型MKを先打ち金型FKに合わせたときに前記キャビティ面C1,C2で構成されるキャビティFCで先打ちレンズ4Aを成形し、次いで、図9(b)のように、成形した先打ちレンズ4Aを可動金型MKに保持した状態で離型し、次いで図8(b)に示したように、可動金型MKを後打ち金型SKに合わせ、キャビティ面C1,C3によって先打ちレンズ4Aを除く領域に構成されるキャビティSCで後打ちレンズ3Aを成形する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このようなレンズの成形方法では、図9(a)に示したように、可動金型MKには、先打ちレンズ4Aの立ち上げリブ41Aを形成するためのキャビティ部分C21とともに、この立ち上げリブ41Aに対して接合する後打ちレンズ3Aの立ち上げリブ31Aを形成するためのキャビティ部分C22も形成されているが、先打ち成形時には、前記後打ちレンズ3Aの立ち上げリブ41Aのキャビティ部分には先打ち金型FKの一部C23が進入されている。したがって、先打ち成形された先打ちレンズ4Aの立ち上げリブ41Aはその外面において先打ち金型FKのキャビティ部分23接触した状態になる。そのため、先打ち成形を行った後に可動金型を離型する際には、図9(c)に示すように、先打ちレンズ4Aの立ち上げリブ41Aと先打ち金型FKの前記キャビティ部分C23との接触による摩擦力等の密着力によって、先打ちレンズ4Aが可動金型MKと一体的に離型されることなく先打ち金型FK側に残されてしまう状況が生じる。そのため、次に後打ちレンズの成形工程を行うとしても目的とする一体化レンズが成形できなくなる。また、先打ち金型に成形された先打ち金型が残されていると、次の先打ちレンズの成形もできなくなり、結果として一体化レンズの成形性が悪化され、かつ高品質のレンズの成形が困難になる。 【0006】本発明の目的は、先打ちレンズが可動金型と基に確実に離型することを可能にして成形性を高めるとともに、高品質なレンズを備えた車両用灯具とその製造方法を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の車両用灯具は、先打ちしたレンズと後打ちしたレンズが接合され、前記両レンズの接合部に沿ってレンズ面から後方に向けて立ち上げリブが設けられている一体化レンズを有する車両用灯具において、前記先打ちレンズの前記立ち上げリブは、前記後打ちレンズの立ち上げリブよりも立ち上げ高さが高くされていることを特徴としている。ここで、前記先打ちレンズの立ち上げリブの厚さが、前記後打ちレンズの立ち上げリブの厚さよりも薄く形成されていることが好ましい。 【0008】また、本発明の製造方法は、可動金型と先打ち金型とで先打ちレンズを成形し、前記可動金型と後打ち金型とで前記先打ちレンズに接合する後打ちレンズを成形して前記先打ちレンズと後打ちレンズとを一体化したレンズを製造する工程を含む車両用灯具の製造装置において、前記先打ちレンズの成形工程では前記後打ちレンズとの接合部にレンズ面から後方に立ち上がる所要高さの立ち上げリブを一体に成形し、前記後打ちレンズの成形工程では、前記先打ちレンズの立ち上げリブに接合する前記先打ちレンズの立ち上げリブよりも高さの低い立ち上げリブを一体に成形することを特徴としている。 【0009】本発明によれば、先打ちレンズの立ち上げリブが後打ちレンズの立ち上げリブよりも高く形成することで、可動金型と、先打ち金型及び後打ち金型を用いた成形法により一体化レンズを成形する場合においても、先打ちレンズの成形時に立ち上げリブと可動金型との密着性が高められ、先打ちレンズが確実に可動金型に保持されることになり、成形不良を未然に防止することが可能となる。また、立ち上げリブを設けたことが要因となるひけの発生を防止し、かつ灯具の外観上の見栄えを向上することも可能となる。 【0010】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の車両用灯具を自動車のリアコンビネーションランプに適用した実施形態の正面図、図2はそのAA線断面図である。この実施形態では、テール&ストップランプT&SLとバックアップランプBULを一体化したリアコンビネーションランプRCLに適用した例を示しており、灯具ボディ1の前面開口には、前記各ランプT&SL,BULに対応して赤色レンズ3と白色レンズ4を一体化した一体化レンズ2が装着されており、その周縁部に設けられたシール脚21を前記灯具ボディ1の開口縁に設けたシール溝1a内においてシール剤5によって封止している。また、前記灯具ボディ1の内面には、前記バックアップランプBULの周縁に沿って前方に突出したシェード1bが一体に形成されており、このシェード1bによって前記灯具ボディ1内を前記各ランプのランプ室11,12に区画形成している。前記バックアップランプBULのランプ室12内には、前記灯具ボディ1の背面に開口した電球取付穴13に取着される電球ソケット14により光源としての電球15が支持されている。また、前記テール&ストップランプT&SLのランプ室11内にも同様に電球ソケット16により電球17が支持されている。 【0011】前記一体化レンズ2は、図3に前記赤色レンズ3に一体化されている白色レンズ4を含む領域の断面図を拡大図示するように、両レンズ3,4の前面は平坦面を構成するように同一面上に位置されており、また両レンズ3,4の境界部では各レンズ3,4は共にそれぞれの内面にレンズ面とほぼ垂直な方向に突出した立ち上げリブ31,41が形成されており、両レンズ3,4はこれら立ち上げリブ31,41の側面において相互に接合されている。ここで、前記白レンズ4の立ち上げリブ41の高さ寸法H4、すなわちレンズ面からの立ち上げ寸法が、赤レンズ3の立ち上げリブ31の高さ寸法H3よりも大きくされており、これにより白レンズ4の立ち上げリブ41の先端部が赤レンズ3の立ち上げリブ31の先端部よりも突出されている。また、その一方で、白レンズ4の立ち上げリブ41のt4厚さは、赤レンズ3の立ち上げリブ31の厚さt3よりも薄く形成されている。 【0012】図4は前記した一体化レンズの製造方法を説明するための図である。基本的には図9に示した多色成形法と同じであり、可動金型MKと先打ち金型FK及び後打ち金型SKからなる成形装置を用いている。ここで、前記白色レンズ4を先打ちレンズとし、赤色レンズ3を後打ちレンズとして成形する。可動金型MKには、先打ちレンズ4と後打ちレンズ3を成形可能なキャビティ面C1の形状とされ、先打ち金型FKには前記可動金型MKとで先打ちレンズ4を成形するためのキャビティFCを構成する一方で前記可動金型MKの金型面に当接して後打ちレンズ3を成形するためのキャビティ部分を無効にするキャビティ面C2の形状とされている。また、後打ち金型SKには前記可動金型MKと、先打ち成形された先打ちレンズ4とで後打ちレンズ3を成形するためのキャビティ面C3の形状とされている。ここで、可動金型MKのキャビティ面C1では、前記した白色レンズ4と赤色レンズ3の各立ち上げリブ31,41の高さ寸法の相違により、白色レンズ4の立ち上げリブ41を成形する部分C11は、そのリブ41の先端部に相当する部分が、当該高さ寸法の差の分だけ立ち上げリブの外側の側面にまで回り込んだ部分C12を有する構成となっている。 【0013】前記成形装置を用いて前記レンズを成形する際には、先ず、図5(a)のように、前記可動金型MKを先打ち金型FKに合わせて構成されるキャビティFCで先打ちレンズとして前記白色レンズ4を樹脂成形する。次いで、図5(b)のように、成形した白色レンズ4を可動金型側MKに保持した状態で離型する。このとき、成形された白色レンズ4は、立ち上げリブ41の先端側の外面に可動金型MKのキャビティ面の一部C12が接しているため、図8に示した従来の可動金型を用いる場合よりも白色レンズ4の立ち上げリブ41は可動金型MKのキャビティ面C1との接触面積が増大されることになり、白色レンズ4は確実に可動金型MKに保持されるようになる。次いで、図5(c)のように、可動金型MKを後打ち金型SKに合わせ、先打ちレンズ4を除く領域に構成されるキャビティSCで後打ちレンズとして赤色レンズ3を成形する。この後打ちにより、白色レンズ4の立ち上げリブ41の外面に赤色レンズ3の立ち上げリブ31の側面が接合され、前記した一体化レンズ2の成形が可能となる。このように、先打ちレンズ4の立ち上げリブ41が後打ちレンズ3の立ち上がりリブ31よりも高い寸法とすることで、可動金型MKを離型する際に先打ちレンズ4を可動金型MK側に確実に保持させ、先打ちレンズ4が先打ち金型FK内に残されることがなくなり、成形不良が防止でき、かつ成形性が改善されることになる。 【0014】また、この実施形態では、先打ちレンズである白色レンズ4の立ち上げリブ41を、後打ちレンズである赤色レンズ3の立ち上げリブ31よりも薄く形成しているので、白色レンズ4の立ち上げリブ41の高さが前記したように高くされた場合でも、そのリブ41の体積が増加することはない。そのため、樹脂成形において、白色レンズ4の立ち上げリブ41の前面箇所に「ひけ」X、すなわち表面が凹状に変形する現象が発生することはなく、外観上の見栄え低下のない高品質のレンズが形成できる。因みに、白色レンズ4の立ち上げリブ41の厚さが赤色レンズ3の立ち上げリブ31の厚さ以上であると、白色レンズ4の立ち上げリブ41の体積が大きくなり、立ち上げリブ41に対向する箇所のレンズ面に「ひけ」Xが生じるおそれがある。 【0015】さらに、白色レンズ4と赤色レンズ3の各立ち上げリブ31,41の高さが相違していることにより、両立ち上げリブの先端面は異なる面位置に配置されることになる。そのため、図6(a)に示すように、両立ち上げリブ31,41の先端面がほぼ同じ面位置に配置されている従来構造では、例えば白色レンズ4の立ち上げリブ41に入射した外光がその先端面で反射され、接合面を透過して赤色レンズ3の立ち上げリブ31に入射されるために、赤色レンズ3と白色レンズ4との接合部近傍が際立って明るくなってしまうことになる。これに対し、前記本発明では、図6(b)に示すように、白色レンズ4の立ち上げリブ41に入射してその先端面で反射した光は、赤色レンズ3の立ち上げリブ31の先端面において反射されるため、赤色レンズ3の前面側に出射されることがなく、前記したような見栄えの低下が生じることはない。なお、この実施形態の場合には、前記した見栄えの低下はそれほど大きなものとは言えないが、例えば、前記実施形態とは逆に、先打ちレンズが赤色レンズで、後打ちレンズが白色レンズの場合には、白色レンズの赤色レンズとの接合部近傍が赤色に着色してしまうことになり、見栄えの低下が著しいものとなるが、本発明ではこのような場合でも白色レンズの当該領域が赤色に着色してしまうようなこともない。 【0016】以上、本発明を自動車のテール&ストップランプとバックアップランプを一体化したリアコンビネーションランプに適用した実施形態について説明したが、他のランプを一体化したコンビネーションランプ、さらに3つ以上のランプを一体化したコンビネーションランプにおいても、各ランプに対応するレンズを多色成形法によって成形する際には本発明を同様にして適用することができ、高品質のレンズを成形することが可能である。 【0017】 【発明の効果】以上説明したように本発明は、先打ちレンズの立ち上げリブは、これに一体化される後打ちレンズの立ち上げリブよりも立ち上げ高さが高くされているので、可動金型と、先打ち金型及び後打ち金型を用いた成形法により一体化レンズを成形する場合においても、先打ちレンズの成形時に立ち上げリブと可動金型との密着性が高められ、先打ちレンズが確実に可動金型に保持されることになり、成形不良を未然に防止することが可能となる。先打ちレンズの立ち上げリブの厚さが、前記後打ちレンズの立ち上げリブの厚さよりも薄く形成されていることにより、立ち上げリブを設けたことが要因となるひけの発生を防止することが可能となる。したがって、本発明によれば、成形性に優れるとともに、高品質のレンズを有する車両用灯具を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001133 【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
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| 【出願日】 |
平成11年3月10日(1999.3.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081433 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 章夫
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| 【公開番号】 |
特開2000−260207(P2000−260207A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月22日(2000.9.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−63355 |
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