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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】堀場 健

【要約】 【課題】リフレクタがランプボディに収容されるとともに該ランプボディに素通し状の前面レンズが取り付けられた車両用灯具において、エクステンションリフレクタ等を設けることを必要とせずに低コストで灯具の見映え向上を図る。

【解決手段】前面レンズ12のシール脚12a近傍領域に非素通し処理を施す。この非素通し処理は、前面レンズ12の背面におけるシール脚12aの外周側の全領域および内周側の所定領域に複数の凸状シリンドリカルレンズ素子12sを縦縞状に形成することにより行う。これにより、リフレクタ22およびランプボディ14間に形成される隙間Gが灯具正面視において暗く見えてしまうのを防止するとともに、ランプボディ14のシール溝14bがそのまま見えてしまうのを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタと、このリフレクタを収容するランプボディと、このランプボディの前端開口周縁部において該ランプボディに取り付けられた素通し状の前面レンズと、を備えてなる車両用灯具において、上記前面レンズにおけるランプボディ取付部の近傍領域に非素通し処理が施されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 上記前面レンズにおいて上記非素通し処理が施された部分の内周縁の位置が、灯具正面視において上記リフレクタの前端周縁と略一致する位置に設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】 上記ランプボディの少なくとも一部が、上記前端開口周縁部近傍において前方へ向かって広がるランプボディ拡張部として形成されており、上記リフレクタが、上記反射面の端部から前方へ延びる壁面部を有するとともに、該壁面部における上記ランプボディ拡張部の近傍部位が、前方へ向かって広がるリフレクタ拡張部として形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、リフレクタがランプボディに収容されるとともに該ランプボディに素通し状の前面レンズが取り付けられた車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リフレクタがランプボディに傾動可能に支持されたリフレクタ可動型の車両用前照灯やインナリフレクタ型のリフレクタを有する標識灯等のように、リフレクタがランプボディに収容された車両用灯具においては、リフレクタおよびランプボディ間に必然的に隙間が形成されるが、この隙間は灯具正面視において暗く見えてしまう。特に、前面レンズが素通し状に構成されている場合には、上記隙間の暗さがそのまま灯具前方から見えてしまうので、非常に見映えの悪いものとなってしまう。
【0003】このため従来より、リフレクタおよびランプボディ間の隙間をエクステンションリフレクタ等で遮蔽して灯具の見映え向上を図る工夫がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エクステンションリフレクタ等を設けることは、その分だけ灯具コストが高くなってしまうという問題がある。
【0005】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エクステンションリフレクタ等を設けることを必要とせずに低コストで灯具の見映え向上を図ることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明は、前面レンズにおけるランプボディ取付部の近傍領域に非素通し処理を施すことにより、リフレクタおよびランプボディ間の隙間が暗く見えてしまうのを防止し、もって上記目的達成を図るようにしたものである。
【0007】すなわち、本願発明は、請求項1に記載したように、光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタと、このリフレクタを収容するランプボディと、このランプボディの前端開口周縁部において該ランプボディに取り付けられた素通し状の前面レンズと、を備えてなる車両用灯具において、上記前面レンズにおけるランプボディ取付部の近傍領域に非素通し処理が施されている、ことを特徴とするものである。
【0008】上記「車両用灯具」の種類は特に限定されるものではなく、ヘッドランプ、フォグランプ等の前照灯であってもよいし、テールランプ、ターンシグナルランプ等の標識灯であってもよい。
【0009】上記「非素通し処理」は、素通し状の前面レンズを透して灯具内部がそのまま見えてしまわないようにすることができるものであれば、その処理範囲および処理方法は特に限定されるものではなく、処理方法の具体例としては、例えば、フロスト処理、レンズ素子形成処理、塗装処理、蒸着処理等が採用可能である。
【0010】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、リフレクタがランプボディに収容されるとともに該ランプボディに素通し状の前面レンズが取り付けられているが、前面レンズのランプボディ取付部近傍領域には非素通し処理が施されているので、リフレクタおよびランプボディ間に形成される隙間が灯具正面視において暗く見えてしまうのを防止することができる。
【0011】したがって、本願発明によれば、エクステンションリフレクタ等を設けることを必要とせずに低コストで灯具の見映え向上を図ることができる。
【0012】上記「非素通し処理」の処理範囲が特に限定されるものでないことは上述したとおりであるが、請求項2に記載したように、非素通し処理が施された部分の内周縁の位置を、灯具正面視においてリフレクタの前端周縁と略一致する位置に設定すれば、上記隙間が暗く見えてしまうのを防止した上で、前面レンズにおける素通しレンズ部分の面積を最大限に確保することができ、これにより灯具の透明感を十分に維持確保することができる。
【0013】ところで、車両用灯具においては、車体への取付スペース等の制約から、ランプボディの少なくとも一部を、その前端開口周縁部近傍において前方へ向かって広がるランプボディ拡張部として形成せざるを得ない場合も少なくなく、また、リフレクタにその反射面の端部から前方へ延びる壁面部が形成される場合も少なくない。このような場合には、請求項3に記載したように、リフレクタの壁面部におけるランプボディ拡張部近傍部位を前方へ向かって広がるリフレクタ拡張部として形成すれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0014】すなわち、上記リフレクタ拡張部を形成することにより、その分だけリフレクタの前端周縁をランプボディの前端開口周縁部に近接させることができ、これにより非素通し処理を施すべき面積を小さくすることができる。また、上記リフレクタ拡張部を形成することにより、リフレクタおよびランプボディ間に形成される隙間が奥の方まで見えてしまうのを防止することができ、これにより上記隙間が暗く見えてしまうのを一層効果的に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0016】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図であり、図2および3は、そのII-II 線およびIII-III 線断面図である。
【0017】これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、リフレクタ可動型のフォグランプであって、前面レンズ12とランプボディ14とで形成される灯室16内に、リフレクタユニット18が上下方向に傾動可能に設けられてなっている。
【0018】前面レンズ12は、ランプボディ14の前端開口周縁部14aにおいて該ランプボディ14に取り付けられている。すなわち、前面レンズ12の周縁部近傍には環状のシール脚12a(ランプボディ取付部)が形成されており、ランプボディ14の前端開口周縁部14aには環状のシール溝14bが形成されている。そして、シール脚12aをシール溝14bにシール剤を介して挿入することにより、前面レンズ12のランプボディ14への取付けが行われるようになっている。
【0019】前面レンズ12は素通し状に形成されているが、そのシール脚12aの近傍領域には非素通し処理が施されている。すなわち、前面レンズ12の背面におけるシール脚12aの外周側の全領域および内周側の所定領域(その具体的範囲については後述する)には、複数の凸状シリンドリカルレンズ素子12sが所定ピッチで縦縞状に形成されている。
【0020】ランプボディ14は、車体側構造物との干渉を回避するため、その上壁面部14cが前端開口周縁部14aに対して低い位置に形成されている。そして、この上壁面部14cは、前端開口周縁部14a近傍において前方へ向かって上方へ広がるランプボディ拡張部14dとして形成されている。
【0021】リフレクタユニット18は、光源バルブ20と、リフレクタ22と、シェード24とを備えてなっている。
【0022】光源バルブ20は、いわゆるC−8タイプのフィラメント20aを有するハロゲンバルブであって、灯具基準軸Ax上において該リフレクタ22に取り付けられている。リフレクタ22は、灯具基準軸Axに対してやや前方下向きの軸線を中心軸とする回転放物面上に複数の反射素子22sが縦縞状に形成されてなる反射面22aを有しており、この反射面22aにより光源バルブ20からの光を前方へ拡散偏向反射させるようになっている。シェード24は、光源バルブ20を所定範囲にわたって囲むようにしてリフレクタ22にネジ止め固定されている。
【0023】リフレクタ22における反射面22aの周囲には壁面部22bが形成されている。この壁面部22bは、反射面22aの全周にわたってその外周端部から前方へ延びるように形成されているが、上記ランプボディ拡張部14dの近傍部位においては、前方へ向かって上方へ広がるリフレクタ拡張部22cとして形成されている。このリフレクタ拡張部22cは、その前端周縁22dの高さ位置が上記ランプボディ拡張部14dの内面後端縁(すなわち上壁面部14cの一般部の内面前端縁)よりもやや高い位置となるように形成されている。
【0024】前面レンズ12において凸状シリンドリカルレンズ素子12sが形成されている領域の内周縁の位置は、灯具正面視においてリフレクタ22の前端周縁22dと略一致する位置に設定されている。
【0025】次に、本実施形態の作用について説明する。
【0026】本実施形態に係る車両用灯具10は、リフレクタ22がランプボディ14に収容されるとともに該ランプボディ14に素通し状の前面レンズ12が取り付けられているが、前面レンズ12の背面のシール脚12a近傍領域には凸状シリンドリカルレンズ素子12sが形成されているので、リフレクタ22およびランプボディ14間に形成される隙間Gが灯具正面視において暗く見えてしまうのを防止することができる。
【0027】したがって、本実施形態によれば、従来のようにエクステンションリフレクタ等を設けることを必要とせずに低コストで灯具の見映え向上を図ることができる。
【0028】特に、本実施形態に係る車両用灯具10は、リフレクタユニット18が上下方向に傾動するリフレクタ可動型のフォグランプであり、リフレクタ22の壁面部22bとランプボディ14との間の隙間Gはリフレクタ22の上下両側において比較的大きなものとなるので、上記凸状シリンドリカルレンズ素子12sを形成して見映え向上を図ることが極めて効果的である。
【0029】しかも、本実施形態においては、凸状シリンドリカルレンズ素子12sが形成されている領域の内周縁の位置が、灯具正面視においてリフレクタ22の前端周縁22dと略一致する位置に設定されているので、隙間Gが暗く見えてしまうのを防止した上で、前面レンズ12における素通しレンズ部分の面積を最大限に確保することができ、これにより灯具の透明感を十分に維持確保することができる。
【0030】さらに、本実施形態においては、ランプボディ14の上壁面部14cが、その前端開口周縁部14a近傍において前方へ向かって上方へ広がるランプボディ拡張部14dとして形成されているが、このランプボディ拡張部14dの近傍部位においては、リフレクタ22の壁面部22bが前方へ向かって上方へ広がるリフレクタ拡張部22cとして形成されているので、リフレクタ22の前端周縁22dをランプボディ14の前端開口周縁部14aに近接させることができ、これにより隙間Gを覆うために必要な凸状シリンドリカルレンズ素子12sの形成面積を小さくすることができる。また、上記リフレクタ拡張部22cを形成することにより、隙間Gが奥の方まで見えてしまうのを防止することができ、これにより隙間Gが暗く見えてしまうのを一層効果的に防止することができる。
【0031】また、本実施形態においては、上記凸状シリンドリカルレンズ素子12sが前面レンズ12におけるシール脚12aの内周側のみならず、その外周側の全領域にも形成されているので、灯具正面視においてランプボディ14のシール溝14bがそのまま見えてしまうのを防止することができ、これにより灯具の見映えを一層向上させることができる。
【0032】なお、本実施形態においては、前面レンズ12における素通しレンズ部分が完全な素通しレンズとして構成されているが、該素通しレンズ部分に多少の装飾用レリーフ等が形成された構成としてもよい。
【0033】また、本実施形態においては、前面レンズ12の背面のシール脚12a近傍領域に凸状シリンドリカルレンズ素子12sが縦縞状に形成された構成について説明したが、凸状シリンドリカルレンズ素子12sに代えて、凹状シリンドリカルレンズ素子、波形レンズ素子、魚眼レンズ素子、微小凹凸等を形成するようにしてもよい。また、これらレンズ素子等を前面レンズ12の表面(前面)側に形成するようにしてもよい。
【0034】さらに、このようなレンズ素子等を形成する代わりに、図4(a)に示すように、前面レンズ12の背面(または表面)のシール脚12a近傍領域にスモーク塗装等の表面処理による遮光被膜26を形成するようにしてもよいし、あるいは、図4(b)に示すように、前面レンズ12を、素通しレンズ12Aおよび該素通しレンズ12Aを囲む非素通しレンズ12Bからなる2色成形レンズで構成するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成11年2月25日(1999.2.25)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2000−251510(P2000−251510A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−49157