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【発明の名称】 自動車用灯具
【発明者】 【氏名】吉田 幸生

【氏名】梅山 直弥

【氏名】穂積 衛

【氏名】橋本 和典

【氏名】野呂 数博

【要約】 【課題】1つのランプハウジング内に、光の配光特性を調整するためのエーミング調整機構付きの複数のランプが内装されている自動車用灯具において、外観見栄えを損なうことなく、構造を簡易化してコスト低減を図る。

【解決手段】1つのランプハウジング1と1つのアウタレンズ2とによって形成される灯室3内に、エーミング調整式のプロジェクタヘッドランプ4とセミシールドヘッドランプ5が内装されている2灯式ヘッドランプにおいて、セミシールドヘッドランプ5のリフレクタ5cに、灯室3内の内蔵物が外から見えないように隠すためのエクステンションリフレクタ6を延長して設ける。また、エクステンションリフレクタ6で隠し切れない部分をアウタレンズ2に設けたステップ又はシボのような不透視部2aによって隠す構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプハウジングとアウタレンズとによって形成される灯室内に、配光特性調整式の複数のランプが内装されている自動車用灯具であって、前記ランプのうちの少なくとも1つのランプのリフレクタに、前記灯室内の内蔵物が外から見えないように隠すためのエクステンションリフレクタを一体に延長して設ける一方、前記アウタレンズには前記エクステンションリフレクタによって隠しきれない部分を隠すための不透視部を設定した自動車用灯具。
【請求項2】 ランプハウジングとアウタレンズとによって形成される灯室内に、配光特性調整式の複数のランプが内装されている自動車用灯具であって、前記ランプのうちの少なくとも1つのランプのリフレクタに、該ランプの胴体及びその付近を隠すための先広がりの筒状に形成されたエクステンションを設ける一方、前記アウタレンズには前記エクステンションによって隠しきれない部分を隠すための不透視部を設定した自動車用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、灯室内の外観上の見栄えを向上するために、エクステンションリフレクタを備える自動車用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】図6〜図8は従来の自動車に用いられているエクステンション付きヘッドランプを示している。図示のヘッドランプは、ロービームにプロジェクターヘッドランプ101を、ハイビームに異型セミシールドヘッドランプ102を採用した2灯式であり、それら両ランプ101,102は、1つのランプハウジング103とアウタレンズ104とによって構成される灯室105内に内装され、光の配光特性を調整するための図示省略のエーミング調整機構によって図7及び図8に示すO1点、O2点を支点にして上下及び左右の角度が調整可能に構成されている。そして、灯室105内には、アウタレンズ104の内面に沿って該アウタレンズ104よりやや小さい略相似形の射出成形品からなるエクステンション106が配設されており、これによって灯室105の内蔵物、詳しくはプロジェクターランプ101の胴体や取付用ビス101a、ランプハウジング103の内面(暗色地肌)、リフレクタ107とランプハウジング103との隙間C1,C2等(以下、内蔵物という)が外部から見えないように隠している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のような従来のヘッドランプの構造では、内蔵物を隠す専用部品として、アウタレンズ104の内面に沿って配設される該アウタレンズ104と略同程度の大型のエクステンション106を用いて両ランプ101,102の照射範囲を除いた領域を隠す構造のため、部品点数が増加することに加え、構造が複雑化して製作コストが高く付くという問題があった。
【0004】なお、上記の問題を解決するものとして、1つのランプハウジング内に複数のランプが内装された自動車用灯具において、1つのランプのリフレクタにエクステンションリフレクタを一体に設けることによって、構造の簡素化を図るようにしたものが提案されている。このような技術としては、例えば特開平7−249303号公報がある。しかし、上記公報記載の自動車用灯具は、固定構造のランプのリフレクタを対象としたものであって、エーミング調整機構付きランプのリフレクタに適用したものではない。
【0005】本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1つのランプハウジング内にエーミング調整機構付きの複数のランプが内装されている自動車用灯具において、外観見栄えを損なうことなく、構造を簡易化してコスト低減を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、本発明は次のように構成したものである。即ち、請求項1の発明は、ランプハウジングとアウタレンズとによって形成される灯室内に、配光特性調整式の複数のランプが内装されている自動車用灯具であって、前記ランプのうちの少なくとも1つのランプのリフレクタに、前記灯室内の内蔵物が外から見えないように隠すためのエクステンションリフレクタを一体に延長して設ける一方、前記アウタレンズには前記エクステンションリフレクタによって隠しきれない部分を隠すための不透視部を設定したことを特徴とする。ここで、内蔵物とはランプの胴体や取付用ビス、ランプハウジングの内面、リフレクタとランプハウジングとの隙間等をいう。
【0007】上記のように構成された請求項1の発明によれば、リフレクタに設けられたエクステンションリフレクタとアウタレンズに設けた不透視部によって灯室の内蔵物を外側から見えないように隠し、灯具の外観上の見栄えを向上できる。そして、この発明ではエクステンションリフレクタと、アウタレンズの不透視部との組み合わせによって灯室内部を隠す構成のため、従来の専用のエクステンションリフレクタを用いて隠す構成の場合に比べて、部品点数を削減して構造の簡易化とコストの低減を達成することができる。ところで、光の配光特性を調整するためのエーミング調整機構付き式ランプの場合、そのランプのリフレクタを延長する形態で設けられるエクステンションリフレクタは、延長量によっては角度調整時に他のランプ又はランプハウジングやアウタレンズに対して干渉する虞がある。本発明では、エクステンションリフレクタによって隠しきれない部分をアウタレンズの不透視部によって隠す構成としたことによって、エクステンションリフレクタを必要以上に延長しないで済む。その結果、干渉問題を回避した上で、所要の隠し効果を確保することが可能となり、配光特性調整式灯具への適応性に優れる。
【0008】請求項2の発明は、ランプハウジングとアウタレンズとによって形成される灯室内に、配光特性調整式の複数のランプが内装されている自動車用灯具であって、前記ランプのうちの少なくとも1つのランプのリフレクタに、該ランプの胴体及びその付近を隠すための先広がりの筒状に形成されたエクステンションを設ける一方、前記アウタレンズには前記エクステンションによって隠しきれない部分を隠すための不透視部を設定したことを特徴とする。
【0009】上記構成によると、請求項1の発明の場合と同様に、リフレクタに設けられたエクステンションとアウタレンズに設けた不透視部との組み合わせによって灯室の内蔵物を外側から見えないように隠し、灯具の外観上の見栄えを向上できる。特に、この発明では、部品点数の削減はできないが、エクステンション自体の小形化が可能となり、簡易にして低コストの隠し構造を有する灯具を提供でき、また、配光特性調整式灯具への適応効果についても請求項1の発明と同様である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1〜図3に基づいて第1の実施の形態を説明する。図1は自動車の2灯式ヘッドランプの構成部材の概略を示す分解斜視図であり、図2は同じくヘッドランプの縦断面図、図3は図2のA−A線に沿った断面図である。本実施の形態に係る自動車用灯具は、2灯式のヘッドランプを適用対象としたものである。ランプハウジング1は暗色樹脂によって形成されており、その前面開口には透明樹脂によって形成されたアウタレンズ2が取り付けられ、これによってランプを収容する灯室3が形成されている。
【0011】灯室3は前後方向に段差状に区画され、図2において上段にはロービーム用としてのプロジェクタヘッドランプ4(以下、ロービームランプという)が配置され、下段側にはハイビーム用としての異型セミシールドヘッドランプ5(以下、ハイビームランプという)が配置されている。ロービームランプ4は、電球(バルブ)4a、電球取付用のソケット部4b、略楕円形に形成された樹脂製のリフレクタ4c、電球4aからの光が直接前方に照射されることを防止するためのシェード4d及び凸レンズ4eからなり、光の配光調整のために図示省略のエーミング調整機構によって図中のO1点を支点にして上下及び左右の角度が調整可能に構成されている。また、ソケット部4bと、ランプハウジング1の後部(底部)に形成された取付孔1aとの間は、ゴム製や樹脂製の柔軟性のある防水カバー11によって封鎖され、これによってエーミング調整に対する対応性を確保し、同時に防水性及び防塵性を確保している。
【0012】一方、ハイビームランプ5は、電球5a,電球取付用のソケット部5b、樹脂製のリフレクタ5cからなり、ロービームランプ4の場合と同様に、図示省略のエーミング調整機構によって図中のO2点を支点にして上下及び左右の角度が調整可能に構成され、ソケット部5bと、ランプハウジング1の後部(底部)に形成された取付孔1aとの間は、ゴム製や樹脂製の柔軟性のある防水カバー12によって封鎖され、これによってエーミング調整に対する対応性を確保した上で防水性及び防塵性を確保している。
【0013】次に、上記のような構成の2灯式でかつエーミング調整機構付きヘッドライトにおいて、ロービームランプ4の胴体(リフレクタ4c及びシェード4d)やレンズ取付用のビス4f、ランプハウジング1の内面(暗色地肌)、ハイビームランプ5のリフレクタ5cとランプハウジング1との隙間C1,C2等(以下、これらを総称して内蔵物という)を隠すために設定される灯室3の内部隠し手段について説明する。本実施の形態においては、上記手段が前記ハイビームランプ5におけるリフレクタ5cに一体に設けられるエクステンションリフレクタ6と、アウタレンズ2に設定される不透視部2aとの組み合わせによって構成されている。
【0014】エクステンションリフレクタ6は、リフレクタ5cの周縁部から外側に向かって張出状に延長され、特にロービームランプ4側には、該ロービームランプ4の胴体外周の約半分を被う半円筒状又は半角筒状をなすように大きく延長されている。これによってロービームランプ4の配光に影響の無い範囲で灯室3内の外側から見せたく無い部分を隠している。即ち、アウタレンズ2を通して外側から見える可視範囲にエクステンションリフレクタ6による制限を加えている。ところで、リフレクタ5cに対してこれを延長する態様で形成されるエクステンションリフレクタ6は、ロービームランプ4の全体を被うように大きく延長した場合、O2点を支点とするハイビームランプ5の角度調整、特に図2における上下方向の角度調整時において、ロービームランプ4側の端末等、支点となるO2点より離間した部位の変位量が大きくなり、ロービームランプ4やランプハウジング1又はアウタレンズ2に干渉する虞がある。そこで、本実施の形態では、上記のエクステンションリフレクタ6の大きさを角度調整時の支点となるO2からの距離により制限し、エクステンションリフレクタ6によって隠し切れない部分については、アウタレンズ2に不透視部2aを設定することによって内部隠しを補足する構成としている。不透視部2aは、アウタレンズ2の内面側にステップ又はシボ(凹凸状の縞模様)を形成することによって構成されており、ロービームランプ4及びハイビームランプ5の適正な照射範囲を除く領域、即ち、図1に示す円形線と方形外郭線とで囲まれる領域に設定されている。
【0015】上記のように構成された本実施の形態に係る自動車用灯具によれば、ハイビームランプ5のリフレクタ5cにエクステンションリフレクタ6を設ける一方、アウタレンズ2に不透視部2aを設けることによって、灯室3の内蔵物を外側から見えないように隠し、灯具の外観上の見栄えをすることが向上できる。そして、本実施の形態では、エクステンションリフレクタ6をロービーム5のリフレクタ5cを延長して構成したので、従来の専用のエクステンションを用いて隠す構成の場合に比べて、部品点数及び製作工程を削減して構造の簡易化とコストの低減を達成することができる。また、エクステンションリフレクタ6により隠し切れない部分については、アウタレンズ2に設けた不透視部2aによって隠す構成としたことによって、エクステンションリフレクタ6を必要以上に大型化する必要がなくなる。このため、上記のように、エーミング調整機構付きのヘッドランプに適用したときの干渉問題を解消し、良好な組付性を得ることができる。
【0016】次に、本発明の第2の実施の形態を図4及び図5に基づいて説明する。この実施の形態においては、2灯式ヘッドランプに内部隠しのためのエクステンション7を、ロービームランプ4側に該ロービームランプ4の配光に影響のない範囲で設定したものであり、内部隠しに関係しない部分については前述した第1の実施の形態と同様に構成されている。従って、同一構成部品については同一符号を付してその説明を省略する。第2の実施の形態におけるエクステンション7は、前方がやや拡開されるとともに、前端縁がアウタレンズ2の内面形状に対応するように延長された筒状部品からなり、その、後端部側がシェード4dの外周に嵌合した状態で取り付けてある。この場合、エクステンション7の取り付けは、レンズ取り付け用のビス4fを共用することが望ましい。
【0017】そして、上記エクステンション7の設定によって、図4に示すように、ハイビームランプ5寄りのロービームランプ4の胴体やハイビームランプ5のリフレクタ5cとランプハウジング1との隙間C1、さらにはランプハウジング1の内面の一部等が隠される。一方、エクステンション7によって隠しきれない部分については、第1の実施の形態と同様に、アウタレンズ2にステップ又はシボからなる不透視部2aを設定することによって内部隠しを補足している。
【0018】従って、第2の実施の形態によるときは、ロービームランプ4側に設けたエクステンション7と、アウタレンズ2に設けた不透視部2aとの組み合わせによって灯室3内の内蔵物を効果的に隠すことができる。そして、第2の実施の形態の場合は、エクステンション7を別途に成形する構成のため、部品点数の削減には至らないが、ロービームランプ4を被う程度の小形の簡易な構造であるため、従来のような大型のエクステンションに比べて製作が容易で材料費が少なくて済み、製作コストの低減が達成される。また、エクステンション7が小形であるため、ロービームランプ4のO1点を支点にしての角度調整時おいて、ハイビームランプ5のリフレクタ5cやランプハウジング1あるいはアウタレンズ2に対するエクステンション7前端部の干渉が回避し易い。
【0019】なお、図示の実施の形態においては、ロービームランプ4とハイビームランプ5との2灯式ヘッドビームの場合で説明しているが、上記の2つのランプにさらにクリアランスランプやターンシグナルランプ等を内装した3灯式に適用しても差し支えない。また、ロービームランプ4にプロジェクターヘッドランプを用い、ハイビームランプ5に異型セミシールドランプを用いたが、ランプの形式については特に限定するものではない。さらにまた、第2の実施の形態におけるエクステンション7は、ロービームランプ4におけるシェード4dの前端縁に延長する形態で一体に設けることも可能である。
【0020】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、1つのランプハウジング内にエーミング調整機構付きの複数のランプが内装されている自動車用灯具において、外観見栄えを損なうことなく、構造を簡易化してコスト低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成10年12月28日(1998.12.28)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
【公開番号】 特開2000−195310(P2000−195310A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−374320