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【発明の名称】 太陽光採光装置
【発明者】 【氏名】加藤 昇三

【要約】 【課題】簡単な構成で、実際の太陽の位置に対応して採光プリズムの回転位置を制御できる太陽光採光装置を提供する。

【解決手段】太陽光を採光する上下1対の採光プリズム20A、20Bと、この1対の採光プリズムを駆動する駆動装置22A、22Bと、1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度を検出する検出装置34と、上下1対の採光プリズム同士の相対位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、検出装置34によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの方位位置を制御すると共に、採光プリズムの方位位置から上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、検出装置34によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの仰角位置を制御する制御装置30とを備えた構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズム同士の相対位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの方位位置を制御すると共に、前記採光プリズムの方位位置から上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの仰角位置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする太陽光採光装置。
【請求項2】 太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの仰角位置を制御すると共に、前記上下1対の採光プリズム同士の仰角位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの方位位置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする太陽光採光装置。
【請求項3】 太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズム同士の相対位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの方位位置を制御すると共に、前記採光プリズムの方位位置から上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの仰角位置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする太陽光採光装置。
【請求項4】 太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの仰角位置を制御すると共に、前記上下1対の採光プリズム同士の仰角位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの方位位置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする太陽光採光装置。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽光採光装置において、上記1対の採光プリズムの方位制御及び仰角制御を所定時間おきに行うようにしたことを特徴とする太陽光採光装置。
【請求項6】 採光プリズムの方位位置及び仰角位置を記憶させておくための記憶装置を備えるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽光採光装置。
【請求項7】 上記記憶装置を不揮発性メモリとしたことを特徴とする請求項6に記載の太陽光採光装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根等に取り付け、太陽光を採光し、好適な角度で太陽光を室内に導くようにした太陽光採光装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽の位置に応じて太陽光を採光する採光プリズムの位置を制御して、太陽光を常時好適な角度で採光できる太陽光採光装置が実用に供されている。以下、この太陽光採光装置について図7(A)、(B)、及び図8を用いて説明する。図7は、従来の太陽光採光装置70の概略構成を示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は縦断側面図である。また、図8は、この太陽光採光装置70を取り付け、実際に太陽光採光装置70により室内に太陽光を採光する状態を示す縦断側面図である。
【0003】先ず、図7(A)、(B)を用いて、この太陽光採光装置70の具体的構成を説明する。図7(A)、(B)において、72a、72bは、採光プリズムで、76は採光プリズム72a、72bの、例えばステッピングモータ等からなる駆動装置である。また、78は採光プリズム72a、72bを保持すると共に採光プリズム72a、72bを回転させるための回転リング、74は配光板、82は内枠(枠体)、84は外枠、86は太陽電池である。
【0004】ドーム状のカバー(以下「ドームカバー」という。)52を透過し、所定の間隔をおいて配置された2枚の採光プリズム72a、72bに照射された太陽光は、これらの採光プリズム72a、72bの屈折作用により、好適な角度に屈折され配光板74を介して建物室内に誘導される。
【0005】一方、採光プリズム72a、72bの駆動装置76は、図示は省略したが、駆動ギアを含むギア機構と、電動機と、この電動機を制御する制御装置と、この制御装置に制御指令を与える設定装置等とを内蔵しており、先ず、太陽の高度・方位等の状態を検出する太陽光状態検出装置(図示せず)からの検出出力が設定装置に与えられる。
【0006】次に、設定装置の駆動指令を受けて、制御装置の制御信号により、電動機及びギア機構を介して、採光プリズム72a、72bを回転させ、それらの回転位置が常に太陽光を好適な角度で採光できる位置となるように調整される。この時、電動機を駆動するための電力の供給源となるのが、太陽電池86である。また、採光プリズム72a、72bは、回転リング78を介して複数個の支承ローラ88a〜88fにより回転支持される。
【0007】以上の構成で、太陽光採光装置70により太陽光Lを常時好適な角度で室内に採光する方法を図8を用いて説明する。図8は、太陽光Lの採光口58に、太陽光採光装置70を取り付けた状態を示しているが、同図に示すように、太陽S1、S2から照射された太陽光Lは、ドームカバー52及び採光板56を透過し、採光プリズム72a、72bに入射する。採光口58に取り付けるカバーとしては、透明ドーム、又はドーム状の乳白色の光散乱体としたもの、或いは平板ガラスを取り付けたものなどが提供されている。
【0008】なお、図8において、64は太陽光Lを室内に導くための導光路で、周囲を導光壁66で囲むことにより形成される。導光壁の壁面66aは、白色のクロス張り、又は白色に塗装されて光反射面とされているか、或いは、鏡面的な光反射面とされている。また、40は建物の屋根、42は天井、44は太陽光採光装置70を設置するための架台、60は太陽光Lの出射口で、62は、太陽光採光装置70の結露予防、及び太陽光Lを拡散するための配光板である。
【0009】図8においてS1に示すように、太陽高度が低い場合は、太陽光Lが低い入射角度で上段の採光プリズム72aに入射し、採光プリズム72aの屈折作用により採光装置50の出射口60方向に曲げられて、下段の採光プリズム72bにより、更に出射口60方向に曲げられ、配光板62に直接入射し、当該配光板62により拡散されて、室内に照射される。
【0010】一方、S2に示すように太陽高度が高い場合も、太陽光Lが高い入射角度で上段及び下段の採光プリズム72a、72bに入射し、出射口60方向に曲げられて、直接配光板62に入射して、上記同様に配光板62に拡散されて、室内に照射される。このため、太陽光採光装置70を用いた場合は、一般居住用住宅では、昼間は常時好適な角度で太陽光Lを採光でき、照明器具が不要或いは弱い照明で充分となり、省エネルギーに寄与する。一方、自然光を常時植物に好適な角度で照射できるため、植物プラントへの応用も試みられ、成長促進或いは食味の向上等の一定の成果を挙げている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の太陽光採光装置では、次のような手順で採光プリズムの回転位置を制御していた。
(1)先ず、太陽光採光装置の設置場所の緯度や経度及び採光プリズムの方位を正確に把握する。
(2)太陽光採光装置に内蔵された時計の時刻を正確にセットする。
(3)太陽光採光装置から見た太陽の位置は、太陽光採光装置を設置した緯度や経度及び日月と時刻から正確に予測できるので、制御装置のメモリー等の記憶装置に予め採光プリズムからの出射光が垂直となるような採光プリズムの位置を記録しておき、その記録に基づいて駆動装置で採光プリズムを回転駆動し、当該位置に採光プリズムの回転位置を合わせる。
即ち、予め記憶された回転位置に採光プリズムを駆動装置により回転移動させることにより、太陽を追尾する。
【0012】しかし、上述した採光プリズムの回転位置の制御方法では次のような問題があった。
(1)太陽光採光装置の設置場所の緯度や経度、及び採光プリズムの方位を正確に把握することが困難かつ煩雑である。
(2)太陽光採光装置に内蔵された時計に狂いが生じ始めると、制御装置の記憶装置に記録された位置データに基づく太陽の位置と、実際の太陽位置との間にずれが発生して、採光プリズムの出射光が正確な垂直方向から外れてしまい、太陽光採光装置が備えている優れた機能を発揮できなくなる。
即ち、従来の太陽光採光装置では、太陽光採光装置を一度設定してしまうと、長期間使用した後に生じる誤差を補正する機能が十分ではなかった。
【0013】この対策に、定期的にメンテナンスを行うようにすると、太陽光採光装置の維持コストが増大するという問題が新たに発生する。また、太陽位置センサを取り付け、定期的に実際の太陽の位置と、記憶装置に記録された位置データに基づく太陽の位置とのずれを検出して採光プリズムの回転位置を随時補正するようにすると、高価な太陽位置センサを新たに取り付けなければならず、そのため太陽光採光装置の製造コストが増大するという問題が発生する。
【0014】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、簡単な構成で、実際の太陽の位置に対応して採光プリズムの回転位置を制御できる太陽光採光装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の太陽光採光装置は、上記課題を解決するために、請求項1に記載のものでは、太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズム同士の相対位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの方位位置を制御すると共に、前記採光プリズムの方位位置から上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの仰角位置を制御する制御装置とを備えた構成とした。このように構成すると、常時、実際の太陽位置に対応して上下の採光プリズムの回転位置を制御できるようになるので、正確に垂直方向に出射する太陽光を採光することができる。また、採光プリズムから出射される太陽光の出射角度を検出する簡単な検出装置を備えるだけで採光プリズムの回転位置の制御が可能になるために、当該機能を付加するために発生する太陽光採光装置の製造コストの増大を最小限に抑えることができる。更に、常に実際の太陽の位置に対応して採光プリズムを制御するために、長期間の使用による誤差の補正が不要になり、太陽光採光装置の維持コストを大幅に低減することができる。
【0016】請求項2に記載の太陽光採光装置は、太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの仰角位置を制御すると共に、前記上下1対の採光プリズム同士の仰角位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の出射角度が最適値となるように採光プリズムの方位位置を制御する制御装置とを備えた構成とした。請求項1に記載した太陽光採光装置に対して、採光プリズムの方位制御と仰角制御の順番を入れ替えたもので、このように構成しても上記同様の効果が得られる。
【0017】請求項3に記載の太陽光採光装置は、太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズム同士の相対位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの方位位置を制御すると共に、前記採光プリズムの方位位置から上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの仰角位置を制御する制御装置とを備えた構成とした。請求項1に記載の太陽光採光装置に対して、採光プリズムを透過した太陽光に関して、出射角度の検出装置の代わりに光量の検出装置を用いるように構成したもので、このようにすると、光量の検出装置の方が構造が簡単であるために、太陽光採光装置の製造コストのコストダウンを図ることが可能となる。
【0018】請求項4に記載の太陽光採光装置は、太陽光を採光する上下1対の採光プリズムと、前記1対の採光プリズムを駆動する駆動装置と、前記1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量を検出する検出装置と、前記上下1対の採光プリズムの相対位置を変化させて、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの仰角位置を制御すると共に、前記上下1対の採光プリズム同士の仰角位置を固定してこの1対の採光プリズムを同時に同方向に回転駆動して、前記検出装置によって検出された1対の採光プリズムを透過した太陽光の光量が最大となるように採光プリズムの方位位置を制御する制御装置とを備えた構成とした。請求項3に記載した太陽光採光装置に対して、採光プリズムの方位制御と仰角制御の順番を入れ替えた場合に対応するもので、このように構成しても上記同様の効果が得られる。
【0019】請求項5に記載の太陽光採光装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽光採光装置において、上記1対の採光プリズムの方位制御及び仰角制御を所定時間おきに行うように構成した。このように構成すると、随時、太陽位置に対応した最適な採光プリズムの回転位置を制御でき、太陽光採光装置の機能を最大限に発揮できる。また、上記所定時間の長さを調整することにより、太陽光採光装置の消費電力を調整したり、太陽光の出射方向の安定度を調整したりできるので、太陽光採光装置の省エネルギ化に寄与したり、太陽光採光装置の利用態様の幅を広げることが可能となる。
【0020】請求項6に記載の太陽光採光装置は、採光プリズムの方位位置及び仰角位置を記憶させておくための記憶装置を備えるように構成した。このように構成すると、記憶された方位位置及び仰角位置に基づいて、実際の太陽を追尾することができるようになるので、採光プリズムの位置制御に掛かる電力を抑えることができ、省電力型の太陽光採光装置とすることができる。
【0021】請求項7に記載の太陽光採光装置は、上記記憶装置を不揮発性メモリとした構成とした。このように構成すると、停電時や、夜間においても採光プリズムの位置データが保存されているために、不揮発性メモリに記憶された位置データに基づき採光プリズムを即座に好適な位置に制御することができるので、一層省電力型の太陽光採光装置とでき、維持コストを削減することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の太陽光採光装置の第1及び第2の実施の形態について順次説明を行う。
第1の実施の形態:先ず、本発明の太陽光採光装置の第1の実施の形態について図1乃至図5を用いて説明する。
【0023】図1は、本発明の太陽光採光装置の第1の実施の形態の概略構成を説明するためのブロック図である。図2は、採光プリズムを方位制御した場合において、採光プリズムを出射した太陽光の出射角度と、その際の採光プリズムの方位位置(「方位角度」という場合がある。)との関係を示す特性図である。図3は、採光プリズムを仰角制御した場合において、採光プリズムを出射した太陽光の出射角度と、その際の採光プリズムの仰角位置(「仰角角度」という場合がある)との関係を示す特性図である。
【0024】先ず、本発明の太陽光採光装置10の基本構成を図1を用いて説明する。本発明の太陽光採光装置10の基本構成は図7(A)、(B)に示す太陽光採光装置70とほぼ同一であり、採光プリズムの位置制御を行う制御装置を変更した点に構成上の特徴があるので、以下、この制御装置による採光プリズムの位置制御方法を中心に説明する。
【0025】図1において、20A、20Bは夫々上下1対の採光プリズムである。また、22Aは、上の採光プリズム20Aを回転駆動する駆動装置、同じく22Bは、下の採光プリズム20Bを回転駆動する駆動装置である。30は、駆動装置22A、22Bを介して採光プリズム20A、20Bの方位制御及び仰角制御を行うための制御装置、34は、採光プリズム20A及び20Bを透過した太陽光の出射角度を検出する検出装置である。また、36は、採光プリズム20A、20Bの位置を随時記憶させておくための、不揮発性メモリ等の記憶装置である。
【0026】次に、本発明の太陽光採光装置10の採光プリズム20A、20Bの位置制御の基本原理を図2乃至図5を用い、図1を参照して説明する。一般に、太陽光採光装置10に入射する太陽光の入射方向は、太陽光採光装置10が設置された地点を含む水平面上に、太陽光採光装置10と太陽とを結ぶ直線を射影した方位と、この水平面と太陽光が交差する仰角によって一意に定まる。
【0027】上述したように、従来の太陽光採光装置70では、実際の太陽の位置を検出せずに、太陽光採光装置70の設置個所の緯度経度及び時刻データから太陽の位置を算出して、算出した太陽の位置に合わせて採光プリズム72a、72bの回転位置を制御するようにしていた。それに対して、本実施の形態における太陽光採光装置10では、次のような手法で、実際の太陽の位置に対応して採光プリズム20A、20Bの回転位置の制御を行う。以下順に、採光プリズム20A、20Bの方位制御及び仰角制御について説明する。
【0028】採光プリズムの方位制御(1)先ず、上の採光プリズム20Aと下の採光プリズム20Bとのプリズム向きを一致させる。ここでプリズム向きとは、採光プリズム20A、20Bに形成された微小プリズムの最大傾斜方向をいうものとする。なお、図示による説明は省略するが、採光プリズム20A、20Bを回転支持する回転リングの外周面には、採光プリズム20A、20Bの回転位置のずれを随時補正するための基準となる小突起が設けられており、上下1対の採光プリズム20A、20Bの小突起の位置合わせをすることにより簡単に採光プリズム20A、20Bのプリズム向きを一致させることができる。
【0029】(2)上下1対の採光プリズム20A、20Bのプリズム向きを一致させた後は、両者の相対位置を固定したままで、この1対の採光プリズム20A、20Bを同方向に回転駆動する。このとき、図1に示す太陽光の出射角度の検出装置34により、1対の採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度を随時並行して検出する。なお、ここで太陽光の出射角度とは、水平面と採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光とが交差する角度で、最大値は90度である。
【0030】(3)採光プリズム20A、20Bをゆっくり回転させて行くと、採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度が最適値(本実施の形態では最大値)となる採光プリズム20A、20Bの回転位置が検出できる。この回転位置が、実際の太陽の方位に対応した採光プリズム20A、20Bの方位位置となり、採光プリズム20A、20Bは好適な方位位置に制御され、方位制御が終了する。
【0031】太陽高度が低い場合は、採光プリズム20A、20Bによる屈折角が大きければ大きいほど太陽光の出射角度は大きくなるために、屈折角が最大となるプリズム向きは太陽の方位に一致する。一方、太陽高度が高い場合は、屈折角が大きくなると太陽光は過剰に屈折作用を受けるので、逆に太陽光の出射角度は小さくなる。しかし、プリズム向きと太陽の方位が不一致の場合は、太陽の方位(以下「縦方向」という場合がある。)と垂直の方向(以下「横方向」という。)に太陽光が屈折されその結果太陽光の出射角は小さくなる。従って、上述した方位制御を行うと、この横方向の屈折を矯正することになるために、結果的にはプリズム向きと太陽の方位は一致する。
【0032】この検出した太陽の方位を原点とし、採光プリズム20A、20Bの回転角度と採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度の関係を図2に示す。図2において、曲線Aは概ね太陽高度が低い場合の特性曲線であり、一方、曲線Bは概ね太陽高度が高い場合の特性曲線である。図2に示すように、採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度は、曲線A及び曲線B共に、最大値となる原点に近づくにつれて大きくなり、原点を離れるに従って小さくなることが分かる。
【0033】このとき、曲線Aの場合は、プリズム向きが太陽の方位に一致することにより、最大の屈折を受ける作用と横方向の屈折が矯正されるという相乗効果のために比較的顕著なピークを示す。一方、曲線Bの場合は、太陽光が過剰に屈折される作用と、横方向の屈折を矯正するという効果が相殺し合って、結果的に平坦なピークを示す。
【0034】採光プリズムの仰角制御上述したように、太陽光の入射角度は水平面上に射影した方位と、水平面との交差する角度である仰角とによって一意に定められる。従って、採光プリズム20A、20Bの実際の太陽の方位に対応した方位制御が終了すると、次は、太陽光の仰角に対応した採光プリズム20A、20Bの仰角制御を行うことになるが、この仰角制御は以下の手順で行われる。
【0035】(1)先ず、方位制御によって制御された採光プリズム20A、20Bの位置を基準にして、上下の採光プリズム20A、20Bを図1に示す駆動装置22A、22Bを介して夫々逆方向に回転駆動する。この場合、上の採光プリズム20Aと下の採光プリズム20Bの回転速度は同一でも良いし、また、異なる値でも良い。
【0036】(2)この際、採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度は常時検出しているが、この出射角度が最適値(本実施の形態では最大値)となるまで採光プリズム20A、20Bを回転駆動し続け、この位置を最適な仰角位置とすることにより採光プリズム20A、20Bの仰角制御を完了する。
【0037】採光プリズム20A、20Bの移動回転角度と採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度の関係を図3に示す。なお、図3に示す曲線は、上の採光プリズム20Aと下の採光プリズム20Bの回転速度は同一という条件のものである。
【0038】図3に示すように、採光プリズム20A、20Bを透過した太陽光の出射角度は、最大値となる回転位置に近づくにつれて大きくなり、この回転位置を離れるに従って小さくなることが分かる。また、図3に示すように、太陽光の出射角度の最大値は90度であり、上述したような方位制御、仰角制御を順に行うことにより、最終的には垂直方向の太陽光を採光できることが示されている。
【0039】なお、本発明の太陽光採光装置10による仰角制御について、図4により具体的な事例を用いて詳細な説明を行う。図4は、太陽高度と採光プリズム20A、20Bのプリズム向きとの関係を示す平面図で、同図(A)は太陽高度が低い場合、同図(B)は太陽高度が中低高度の場合、同図(C)は太陽高度が中高高度の場合、同図(D)は太陽高度が高高度の場合を夫々示している。なお、上の採光プリズム20Aのプリズム向きは実線矢印で、下の採光プリズム20Bのプリズム向きは破線矢印で示している。また、同図において、α1、α2は、上の採光プリズム20Aの方位位置からの回転角度、β1、β2は下の採光プリズム20Bの方位位置からの回転角度である。
【0040】例えば、図4(A)に示すように、太陽高度が低い場合は、上下とも採光プリズム20A、20Bの採光プリズム向きは太陽光の入射方向にほぼ平行であり、採光プリズム20A、20Bの方位制御した回転位置からほとんど回転移動していないことになる。上述したように、採光プリズム向きとは採光プリズム20A、20Bの表面に形成した微細なプリズムの最大傾斜角度方向であり、この方向が太陽光を屈折させる最大の方向であるために、太陽高度が低い場合は、採光プリズム20A、20B面に入射する際の太陽光の入射角度も小さく、垂直方向の太陽光を採光するためには屈折作用を最大限に利用する必要があり、結果として太陽光の入射方向とプリズム向きが平行の関係となる。
【0041】また、図4(B)に示すように、太陽高度が中低高度の場合は、採光プリズム20A、20Bの縦方向の屈折作用をある程度調節するために上の採光プリズム20Aは太陽光の入射方向に対して、回転角度α1だけ回転した回転位置に制御されている。一方、上の採光プリズム20Aがα1だけ回転しているために、太陽光は縦方向に屈折されるのみならず、横方向にも屈折されるために、その横方向の屈折を矯正するために、下の採光プリズム20Bはβ1だけ回転させられている。この場合、ほぼ垂直な太陽光を採光しようとすれば、α1とβ1を同じ値とすれば、横方向の光の屈折が相殺されて、縦方向にのみ垂直方向に屈折した光を採光できることになる。
【0042】また、太陽高度が中高程度の場合は、太陽光の縦方向の屈折の度合いが小さくて済むので、採光プリズム20A、20Bの縦方向の屈折率を小さくするためにα2とβ2の値は、α1やβ1の値よりも大きいものとなる。また、上記同様の理由から、採光プリズム20A、20Bの回転方向は上下で反対方向となっている。
【0043】最後に太陽高度が高高度の場合は、太陽光は採光プリズム20A、20Bに対してほぼ垂直に入射し、縦方向の屈折作用は不要となるために採光プリズム向きは共に太陽光の入射方向に垂直の関係になる。一方、横方向の屈折作用を相殺するために採光プリズム20Aと20Bの回転位置は夫々逆方向となる。
【0044】次に、上記構成及び基本原理を基に、本発明の太陽光採光装置10の基本動作を図5を用い、図1を参照して説明する。図5は、本実施の形態の太陽光採光装置10の基本動作を説明するためのフローチャートである。例えば、所望の時刻において、実際の太陽の位置に合わせて採光プリズム20A、20Bの回転位置を制御する場合は、図5に示すフローチャートのような手順で制御を行う。なお、本実施の形態の太陽光採光装置10では、採光プリズム20A、20Bの方位制御を行い、次に仰角制御を行う。
【0045】制御開始(ST1)後、次に、ST2において、図1に示す太陽光の出射角度の検出装置34から出射光の出射角度の出力があるか否かの判断を行い、出力がある場合はST3に進む。一方、例えば、太陽が雲に隠れて太陽光の強度が不十分で出射角度の検出ができない場合等においては、ST2に留まり、検出装置34からの出力があるまで待機する。
【0046】次に、検出装置34からの出力を検知した後は、ST3において採光プリズム20A、20Bの方位制御を行う。このとき、方位制御の方法は上述した通りであるが、採光プリズム20A、20Bを出射した太陽光の出射角度を常時検出し、ST4において、出射角度が最適値(最大値)であるか否かの判断を行う。そして、出射角度が最適値ではない場合は、採光プリズム20A、20Bの方位制御を継続し、最適値であると判断した場合は方位制御を終了し、ST5に進む。
【0047】ST5では、採光プリズム20A、20Bの仰角制御を行う。このとき、採光プリズム20A、20Bを出射した太陽光の出射角度を、常時、方位制御の場合同様に検出装置34により検出しており、ST6において、その出射角度が最適値(最大値)であるか否かの判断を行う。出射角度が最適値ではない場合は、採光プリズム20A、20Bの仰角制御を継続し、最適値と判断した場合は仰角制御を終了し、ST7に進んで、採光プリズム20A、20Bの回転位置の制御が完了する。
【0048】このとき、採光プリズム20A、20Bの位置を記憶装置36に出力して、位置データを保存しておけば、次回採光プリズム20A、20Bの位置制御を行うときの参考となり、位置制御が簡易に行え、太陽光採光装置10の消費電力を削減することにつながる。
【0049】なお、採光プリズムを透過した太陽光の出射方向を検出する検出装置について簡単な補足説明を行う。検出装置は、円柱又は多角柱形状をしており、上面の中心軸上にピンホール、スリット、或いは色相の異なる光学マークが設けられ、底面には2次元的に光センサが多数配列された構成である。太陽光が、例えばピンホールを透過すると、底面に配列された光センサが太陽光を検出するので、その光センサの配列位置から、簡単な計算式で太陽光の出射角度を逆算できるようになっている。
【0050】これらの採光プリズム20A、20Bの回転位置の制御を所定時間おきに行えば、実際の太陽の位置に対応した最適の回転位置に設定できる。また、随時、実際の太陽の位置に対応した設定が行えるので、長期使用した場合に発生する誤差を補正する必要がないために、太陽光採光装置10のメンテナンスの負担が軽減できるので、維持コストを抑えることができる。
【0051】一方、採光プリズム20A、20Bを制御する時間間隔を短くすれば、常時、太陽の位置変化を追尾した太陽光採光装置10とできるし、また、時間間隔を大きくとれば、太陽光の採光方向の安定性は多少劣化するが、採光プリズム20A、20Bを駆動する頻度が少なくなり、省電力型の太陽光採光装置10とできるなど、太陽光採光装置10の利用態様を広げることができる。
【0052】第2の実施の形態:本発明の太陽光採光装置10の第2の実施の形態を図6を用いて簡単に説明する。図6に示すように、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したものとは、採光プリズム20A、20Bの方位制御と仰角制御との順番を入れ替えたものである。
【0053】即ち、設定開始(SP1)後、SP2において、出射角度の検出装置から出射光の出射角度の出力があるか否かの判断を行い、出力がある場合はSP3に進む。次に、採光プリズム20A、20Bの仰角制御を行い(SP3)、SP4において、出射角度の最適値(最大値)化を行う。また、SP5では、方位制御を行い、SP6で、出射角度の最適値(最大値)化をし、ほぼ垂直方向の太陽光が得られるようになると採光プリズム20A、20Bの回転位置の制御が完了する(SP7)。
【0054】本発明の太陽光採光装置10は上記実施の形態には限定されず、様々な変更が可能である。先ず、上記実施の形態では、太陽光を最も垂直方向とするようにするために、採光プリズムからの太陽光の出射角度が最大値となる設定で説明したが、太陽光採光装置の利用用途によっては、例えば、太陽光を傾斜させて採光したい場合等においては、方位・仰角制御の最適値は必ずしも最大値とはならないケースも想定される。
【0055】また、上記実施の形態では、太陽光の出射角度を検出する検出装置を用いる例で説明したが、この検出装置の代わりに、光量を検出する検出装置を用いるようにしても良い。このようにすると、入射角度が最も垂直に近づいたときに最大光量となるために、簡単に採光プリズムの回転位置を好適な位置に制御できると共に、光量の検出装置の方が構造が簡単で構成部品も少なく廉価であり、太陽光採光装置の製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0056】
【発明の効果】本発明の太陽光採光装置は、上述のように構成したために、以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載したような検出装置と制御装置を備えた構成すると、常時、実際の太陽位置に対応して上下の採光プリズムの回転位置を制御できるようになるので、正確に垂直方向に出射する太陽光を採光することができる。
(2)また、採光プリズムから出射される太陽光の出射角度を検出する簡単な検出装置を備えるだけで採光プリズムの回転位置の制御が可能になるために、当該機能を付加するために発生する太陽光採光装置の製造コストの増大を最小限に抑えることができる。
(3)更に、常に実際の太陽の位置に対応して採光プリズムを制御するために、長期間の使用による誤差の補正が不要になり、太陽光採光装置の維持コストを大幅に低減することができる。
【0057】(4)請求項2に記載したように、採光プリズムの方位制御と仰角制御の順番を入れ替ても上記同様の効果が得られる。
【0058】(5)請求項3に記載したように、光量の検出装置と制御装置を備えるようにすると、光量の検出装置の方が構造が簡単であるために、太陽光採光装置の製造コストのコストダウンを図ることが可能となる。
【0059】(6)請求項4に記載したように、採光プリズムの方位制御と仰角制御の順番を入れ替えても上記同様の効果が得られる。
【0060】(7)請求項5に記載したように、1対の採光プリズムの方位制御及び仰角制御を所定時間おきに行うようにすると、随時、太陽位置に対応した最適な採光プリズムの回転位置を制御でき、太陽光採光装置の機能を最大限に発揮できる。
(8)また、所定時間の長さを調整することにより、太陽光採光装置の消費電力を調整したり、太陽光の出射方向の安定度を調整したりできるので、太陽光採光装置の省エネルギ化に寄与したり、太陽光採光装置の利用態様の幅を広げることが可能となる。
【0061】(9)請求項6に記載したように、採光プリズムの方位位置及び仰角位置を記憶させておくための記憶装置を備えるようにすると、記憶された方位位置及び仰角位置に基づいて、実際の太陽を追尾することができるようになるので、採光プリズムの位置制御に掛かる電力を抑えることができ、省電力型の太陽光採光装置とすることができる。
【0062】(10)請求項7に記載したように、記憶装置を不揮発性メモリとすると、停電時や、夜間においても採光プリズムの位置データが保存されているために、不揮発性メモリに記憶された位置データに基づき採光プリズムを即座に好適な位置に制御することができるので、一層省電力型の太陽光採光装置とでき、維持コストを削減することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成10年12月11日(1998.12.11)
【代理人】 【識別番号】100075797
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 春弥 (外1名)
【公開番号】 特開2000−182415(P2000−182415A)
【公開日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願番号】 特願平10−352291