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【発明の名称】 採光装置
【発明者】 【氏名】横谷 良二

【要約】 【課題】比較的簡単な構成で1日を通して効率よく且つ安定した採光量を得る。

【解決手段】2枚の1次反射鏡11,12は、採光口3の東西両側の各端縁近傍に配設された回動手段4の回動軸4aに、鏡面1aが上方あるいは採光口3側を向くようにして下端が固定されている。したがって、モータ等により回動軸4aを回動することで回動軸4aに固定されている各1次反射鏡11,12を東西方向に回動させることができる。而して、1次反射鏡11,12を所定の傾斜角度で傾斜させて太陽光を水平あるいは水平よりも鉛直下方に反射すれば、2次反射鏡21,22での反射光は採光口3を含む平面上で採光口3の東西両端近傍に設定されている焦点よりも2次反射鏡21,22側を通過して採光口3に入射する。故に、比較的簡単な構成で1日を通して効率よく且つ安定した採光量が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建物に設けられた採光口の東西方向に対向する両端部近傍に下端部が配置され且つ上端部が東西方向の採光口の外側に傾斜する2枚の1次反射鏡と、放物面鏡から成り採光口の東西方向略中央部に下端部が配置されるとともに各1次反射鏡に近接する側に上端部を有し且つ焦点が東西方向に対して採光口の端部より内側に位置する2枚の2次反射鏡と、水平面からの傾斜角度を可変するように2枚の1次反射鏡を回動させる回動手段とを備えたことを特徴とする採光装置。
【請求項2】 東西方向並びに鉛直方向に平行な平面への太陽光の正射影と水平面とのなす角度を太陽光入射角度δとし、採光口の略中央より東側に配置される第1の1次反射鏡の水平面東方向からの傾斜角度αと、採光口の略中央より西側に配置される第2の1次反射鏡の水平面西方向からの傾斜角度βとが、東方向を基準としてδ≦90°のときに下記式1/2×δ≦α<δ(90°−1/2×δ)≦β<90°を満足するとともに、δ>90°のときに下記式(90°−1/2×δ)≦α<90°1/2×δ≦β<δを満足するように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とする請求項1記載の採光装置。
【請求項3】 太陽光入射角度δにかかわらず少なくとも一方の1次反射鏡での太陽光の反射方向が略水平となるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とする請求項2記載の採光装置。
【請求項4】 太陽光入射角度δが90°以下のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが太陽光入射角度δの2分の1に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが90°から太陽光入射角度δの2分の1の角度を減算した角度に略等しくなり、太陽光入射角度δが90°よりも大きいときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが90°から太陽光入射角度δの2分の1の角度を減算した角度に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが太陽光入射角度δの2分の1に略等しくなるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とする請求項2記載の採光装置。
【請求項5】 1日における太陽光入射角度δの変化範囲をλ<δ<η(但し、η<2λ)となる複数の領域に分割するとともに、各領域において上限値η≦90°のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが上限値ηの2分の1に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが90°から上限値ηの2分の1の角度を減算した角度に略等しくなり、上限値η>90°のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが90°から上限値ηの2分の1の角度を減算した角度に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが上限値ηの2分の1に略等しくなるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とする請求項2記載の採光装置。
【請求項6】 2枚の1次反射鏡を互いのなす角度が略90°となるように固定して成ることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の採光装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物に設けられた採光口に太陽光を導く採光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、建物の屋上等に設けられた採光口に設置されて採光口に太陽光を導く採光装置が提供されている。そして、本発明者は、平板状の1次反射鏡を所定の傾斜角度に固定して太陽光を受光し、この1次反射鏡の反射光を採光口の略中央に配設されている放物面形状の2次反射鏡で反射させて採光口内に入射させる構造の採光装置を既に提案している(特願平9−314033号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例は、太陽高度が南中付近の時に受光面積が最大となって最大の採光量が得られるように1次反射鏡の傾斜角度が設定されているため、太陽の直射光を採光できる有効な採光時間帯の初期及び終期における採光効率が上記南中付近(正午頃)に比べて低下してしまう。また、有効な採光時間帯も、太陽光が1次反射鏡の2次反射鏡側に入射する時間帯のみであるため、全天空からの採光しか期待できない朝夕の採光効率が低下してしまう。
【0004】一方、特開平4−167302号公報には、4枚のレンズの中心部空間に端部を露出させながら配置した光センサからの信号によって駆動手段を駆動し、レンズの集光面を常に太陽の方向に追尾させるようにした採光装置が記載されている。この公報記載の従来例においては、太陽を追尾することで時間帯による採光効率の低下を抑制することができるが、レンズを3次元的に駆動する駆動手段及び制御手段を要するために構造が複雑になり、重量の増大及びコストが高くなるという問題があった。
【0005】本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり、比較的簡単な構成で1日を通して効率よく且つ安定した採光量が得られる採光装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記目的を達成するために、建物に設けられた採光口の東西方向に対向する両端部近傍に下端部が配置され且つ上端部が東西方向の採光口の外側に傾斜する2枚の1次反射鏡と、放物面鏡から成り採光口の東西方向略中央部に下端部が配置されるとともに各1次反射鏡に近接する側に上端部を有し且つ焦点が東西方向に対して採光口の端部より内側に位置する2枚の2次反射鏡と、水平面からの傾斜角度を可変するように2枚の1次反射鏡を回動させる回動手段とを備えたことを特徴とし、太陽の動きに応じて回動手段により1次反射鏡の傾斜角度を変えることで太陽光を常に効率よく採光口に集光させて採光量を増加させることができる。しかも、1次反射鏡を1軸で東西方向にのみ回動させているから、回動手段が簡易化され、装置全体が軽量且つ安価になるとともに容積が小さくできる。
【0007】請求項2の発明は、請求項1の発明において、東西方向並びに鉛直方向に平行な平面への太陽光の正射影と水平面とのなす角度を太陽光入射角度δとし、採光口の略中央より東側に配置される第1の1次反射鏡の水平面東方向からの傾斜角度αと、採光口の略中央より西側に配置される第2の1次反射鏡の水平面西方向からの傾斜角度βとが、東方向を基準としてδ≦90°のときに下記式1/2×δ≦α<δ(90°−1/2×δ)≦β<90°を満足するとともに、δ>90°のときに下記式(90°−1/2×δ)≦α<90°1/2×δ≦β<δを満足するように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とし、請求項1の発明と同様の作用を奏する。
【0008】請求項3の発明は、請求項2の発明において、太陽光入射角度δにかかわらず少なくとも一方の1次反射鏡での太陽光の反射方向が略水平となるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とし、請求項2の発明の望ましい実施態様である。
【0009】請求項4の発明は、請求項2の発明において、太陽光入射角度δが90°以下のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが太陽光入射角度δの2分の1に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが90°から太陽光入射角度δの2分の1の角度を減算した角度に略等しくなり、太陽光入射角度δが90°よりも大きいときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが90°から太陽光入射角度δの2分の1の角度を減算した角度に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが太陽光入射角度δの2分の1に略等しくなるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とし、最も効率よく太陽光を集光することができる。
【0010】請求項5の発明は、請求項2の発明において、1日における太陽光入射角度δの変化範囲をλ<δ<η(但し、η<2λ)となる複数の領域に分割するとともに、各領域において上限値η≦90°のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが上限値ηの2分の1に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが90°から上限値ηの2分の1の角度を減算した角度に略等しくなり、上限値η>90°のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが90°から上限値ηの2分の1の角度を減算した角度に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが上限値ηの2分の1に略等しくなるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成ることを特徴とし、請求項2の発明の作用に加えて、さらに回動手段が簡易化されるとともに装置全体が軽量且つ安価になる。
【0011】請求項6の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、2枚の1次反射鏡を互いのなす角度が略90°となるように固定して成ることを特徴とし、請求項1〜4の発明の作用に加えて、2枚の1次反射鏡を連動させることができることから回動手段をさらに簡素化できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
【0013】(実施形態1)図1に示すように、家屋やビルのような建物に各端縁が東西南北の各方向に略平行となるように設けられた矩形の採光口3の上に本実施形態の採光装置が設置される。この採光装置は、矩形のアルミ板の片面に銀を蒸着して正反射率の高い鏡面1aが形成された2枚の1次反射鏡11,12と、断面形状が放物線となる面(以下、このような面を「放物面」と呼ぶ。)を有する矩形のアルミ板の内側面に銀を蒸着して正反射率の高い鏡面2aが形成された放物面鏡から成る2枚の2次反射鏡21,22と、水平面からの傾斜角度を可変するように2枚の1次反射鏡11,12を回動させる回動手段4とを備える。
【0014】2枚の1次反射鏡11,12は、採光口3の東西両側の各端縁近傍に配設された回動手段4の回動軸4aに、鏡面1aが上方あるいは採光口3側を向くようにして下端が固定されている。したがって、モータ等により回動軸4aを回動することで回動軸4aに固定されている各1次反射鏡11,12を東西方向に回動させることができる。ここで、以下の説明を簡単にするため、1次反射鏡11が東側の端縁近傍に配置され、1次反射鏡12が西側の端縁近傍に配置されているものとする。なお、1次反射鏡11,12の上端及び下端の幅寸法は、採光口3の東西両端の長さ寸法と略同一に設定してある。
【0015】一方、2次反射鏡21,22は、採光口3の東西方向略中央に下端が固定して設置され、鉛直線を軸とし焦点が採光口3の東端並びに西端とそれぞれ一致するような放物面を有している。また2次反射鏡2の上端及び下端の幅寸法は採光口3の南北方向の長さ寸法と略同一に設定してあり、さらに採光口10を含む平面と2次反射鏡21,22の上端との距離(高さ)が東西方向に対向する採光口3端部の長さ寸法に略等しくしてある。このため、2次反射鏡21,22の上端が採光口3の東西両端の真上に位置することとなる。なお、1次反射鏡11,12及び2次反射鏡21,22は上記材料で形成されるものに限定されず、しかるべき面に鏡面1a,2aが形成されればよい。
【0016】而して、図2に示すように、太陽光を1次反射鏡11,12の鏡面1aで反射(以下、「1次反射鏡11,12で反射する」といった場合には鏡面1aで反射することをいうものとする)した反射光を2次反射鏡21,22の鏡面2aで反射(以下、「2次反射鏡21,22で反射する」といった場合には鏡面2aで反射することをいうものとする)して採光口3に集光して採光することができる。ここで、図2(b)に示すように、1次反射鏡11,12での反射光が水平よりも鉛直上方に進行すると、2次反射鏡21,22で反射されないかあるいは反射されても採光口3に集光されない。故に、1次反射鏡11,12は、太陽光を水平あるいは水平よりも鉛直下方に反射するように水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜させる必要がある。すなわち、図2(a)に示すように、1次反射鏡11,12を所定の傾斜角度で傾斜させて太陽光を水平あるいは水平よりも鉛直下方に反射すれば、2次反射鏡21,22での反射光は採光口3を含む平面上で採光口3の東西両端近傍に設定されている焦点よりも2次反射鏡21,22側を通過して採光口3に入射する。これにより、採光装置を採光口3に設置することで、採光装置を設置していない単なる採光口3からの採光量よりも多くの採光量が得られることになる。
【0017】ところで、太陽光を水平あるいは水平よりも鉛直下方に反射することができる1次反射鏡11,12の傾斜角度は、太陽高度、すなわち太陽光の入射角度によって変わることになる。そこで、回動手段4により1次反射鏡11,12を回動し、太陽光入射角度の変化に応じて1次反射鏡11,12の傾斜角度を調節すれば、1日の内で太陽が地上に出ている明け方から夕方までの間で効率よく且つ安定した採光量を得ることが可能となる。しかも、1次反射鏡11,12を1軸で東西方向にのみ回動させているから、従来例のように多軸で太陽光を追尾する構造に比較して回動手段4が簡易化され、装置全体が軽量且つ安価になるとともに容積が小さくできるという利点がある。
【0018】本発明者は、本実施形態の採光装置と、採光装置が設置されない採光口(単純な採光窓)と、1次反射鏡11,12が所定の傾斜角度に固定された従来の採光装置とで採光量を比較するシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいて、採光口3(採光窓)は1辺が300〔mm〕の正方形であり、1次反射鏡11,12の長さ寸法が519〔mm〕であって、採光口3及び採光装置として代表的なサイズのものを用いている。また、図3及び図4に示すように東西方向並びに鉛直方向に平行な平面Sへの太陽光の正射影と水平面とのなす角度を太陽光入射角度δ〔°〕とし、東側の1次反射鏡11の水平面東方向からの傾斜角度をα〔°〕、西側の1次反射鏡12の水平面西方向からの傾斜角度をβ〔°〕としている。このような条件で太陽光入射角度δが30°〜90°の範囲で変化するときに、本実施形態の採光装置において1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βをそれぞれ0°〜88°まで変化させた場合に採光口3に入射する光量(採光量)を、採光装置の設置されていない上記採光窓に対して鉛直方向から太陽光が入射した場合の採光量を1としたときの比率(採光量比率)で表したシミュレーション結果を図5及び図6に示す。ここで、図5は東側の1次反射鏡11と2次反射鏡21による採光量を示し、図6は西側の1次反射鏡12と2次反射鏡22による採光量を示している。なお、太陽光入射角度δが90°〜150°の範囲では東側と西側でのシミュレーション結果が入れ替わるだけであるから図示は省略する。而して、採光装置の寸法は採光口3のサイズによって決まるものであるから、太陽光入射角度δと1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βと採光量比率の関係は採光口3のサイズによらないので、上記シミュレーション結果で一般性を保つことができる。
【0019】図5及び図6のシミュレーション結果より明らかなように、太陽光入射角度δ(≦90°)に対して東側の1次反射鏡11の傾斜角度αを1/2×δ≦α<δの範囲とし、西側の1次反射鏡12の傾斜角度βを(90°−1/2×δ)≦β<90°の範囲とすれば、傾斜角度α,βがこれ以外の範囲にあるときに比較して採光量を増加させることができる。なお、太陽光入射角度δがδ>90°の場合には東西の1次反射鏡11,12の関係が逆転し、(90°−1/2×δ)≦α<90°、1/2×δ≦β<δの範囲になるようにすればよいことはいうまでもない。
【0020】ところで、図5及び図6の各折れ線グラフにおける頂点、すなわち傾斜角度αがα=1/2×δ、傾斜角度βがβ=(90°−1/2×δ)であるときに最も採光量が増えることになる。つまり、太陽光入射角度δに応じて傾斜角度α=1/2×δ、傾斜角度β=(90°−1/2×δ)となるように回動手段4によって1次反射鏡11,12を回動させれば、図7に示すように太陽光を1次反射鏡11,12にて常に水平方向に反射させることができるのである。
【0021】ここで、太陽光入射角度δに応じて傾斜角度α=1/2×δ、傾斜角度β=(90°−1/2×δ)となるように回動手段4によって1次反射鏡11,12を回動させた場合の本実施形態の採光量比率を、採光窓の採光量比率及び1次反射鏡を固定した従来の採光装置の採光量比率との比較結果を下記表1及び図8に示す。
【0022】
【表1】

【0023】表1及び図8からも明らかなように、本実施形態の採光装置では、太陽光入射角度δによらずに採光窓並びに従来の採光装置よりも採光量比率を高くすることができる。なお、1次反射鏡11,12の長さ寸法は上記の値に限定されるものではなく、長くなればなるほど採光量が増加する。また、1次反射鏡11,12の幅寸法も上記値に限定されるものではなく、幅寸法を大きく取る程、季節変化による太陽光の南北方向のずれに対して安定した採光が可能となる。
【0024】ところで、太陽光入射角度δに応じて回動手段4により1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βを調節するために、図9に示すように制御部5を備えるようにしても良い。この制御部5は、マイクロコンピュータを具備して年月日、現在時刻、緯度及び経度の各データから現在時刻における太陽光入射角度δの値を算出するとともに、太陽光入射角度δの値から上記式に従って傾斜角度α,βの最適値(δ≦90°のときにα=1/2×δ、β=(90°−1/2×δ)、δ>90°のときにα=(90°−1/2×δ)、β=1/2×δ)を求め、さらに1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βが求めた値と一致するように回動手段4を制御するものである。但し、制御部5において太陽光入射角度δを算出する方法は上記の例に限られるものではなく、例えば、適当なセンサを用いて太陽光入射角度δを検出するようにしても良い。
【0025】ところで、本実施形態の採光装置は、図10に示すようにガラスのような透光性部材によって天面が半球状で胴部が略円筒形に形成されたカバー6と、略台形のアルミ板の片面に銀を蒸着することで鏡面7aが形成され、その鏡面7aを南側に向けるようにして採光口3の北端縁に下端が設置された補助反射鏡7とを備えている。カバー6は、1次反射鏡11,12、2次反射鏡21,22、補助反射鏡7並びに採光口3を覆うように配設される。ここで、1次反射鏡11,12は東西方向にのみ回動するものであるからカバー6の容積が小さくでき、そのため、装置全体が軽量且つ安価になるとともに容積が小さくできるという利点がある。而して、補助反射鏡7を採光口3の北端縁に配置することにより、太陽光並びに反射光のうちで北側にずれる分を補助反射鏡7の鏡面7aで反射させて採光口3へ入射する光量(採光量)を増加させることができる。なお、補助反射鏡7は上記材料で形成されるものに限定されず、しかるべき面に鏡面が形成されればよい。
【0026】本実施形態の採光装置Aは、図11〜図16に示すようにして設置される。すなわち、図11は家屋Hの天井に採光口3を設けて採光装置Aを設置し、天窓として利用している例を示し、図12は採光装置Aの採光口3と家屋Hの天井に配設された照明器具Kとの間を導光ダクトDにより接続している例を示し、図13は家屋Hの壁面に設けた明かり取り用の窓Wと採光装置Aとを導光ダクトDで接続している例を示している。
【0027】また、図14は家屋Hの壁面に設けた窓の外側に設置され屋内に開口する開口面10aを有する箱体10と採光装置Aとを導光ダクトDで接続している例を示している。なお、図15に示すように箱体10内部には導光ダクトDから導入される光を前方の開口面10aに向けて拡散反射する拡散反射シート11が収納されるとともに、箱体10の開口面10aに障子紙12が貼着されている。つまり、家屋が隣接している場合に、太陽光が直接入射しない部屋の壁面に上記箱体10を設置し、採光装置Aで採光した太陽光を導光ダクトDを介して部屋内に照射することで出窓式の疑似窓とすることができる。また、図16は採光装置Aと家屋Hの天井に配設された所謂ライトガイドLGとを導光ダクトDにより接続している例を示している。但し、本実施形態の採光装置は上述のような設置例に限定されるものではない。
【0028】(実施形態2)ところで、実施形態1においては制御部5において太陽光入射角度δを算出して2枚の1次反射鏡11,12を回動手段4により回動させて傾斜角度α,βを調節するようにしているが、このようにすると制御部5で上記処理を常時行う必要があり、回動手段4としても1次反射鏡11,12を任意の傾斜角度α,βで保持させなければならず、回動手段4並びに制御部5の構成が複雑になってしまう。
【0029】そこで、1日における太陽光入射角度δの変化範囲をλ<δ<ηとなる複数の領域に分割し、太陽光入射角度δが各領域内にある時には、1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βをその領域に対応して最大の採光量が得られる傾斜角度に固定するようにすれば、回動手段4並びに制御部5の構成を簡素化することが可能となる。
【0030】図5に示すように、東側の1次反射鏡11の採光量は、任意の太陽光入射角度δに対して、傾斜角度αがα<1/2×δの範囲では低く、α=1/2×δで最大となり、α>1/2×δの範囲ではδが大きくなるにつれて徐々に低下している。このことから、λ<δ<ηの範囲で採光量が最も大きくなるようにするためには、δ=ηの時に最大値を取る傾斜角度αm(=1/2×η)に1次反射鏡11を固定すればよい。また、下限値λをλ<αmとした場合には、太陽光入射角度δが上記下限値λ近傍の時に太陽光が1次反射鏡11の2次反射鏡21側(鏡面1a側)に入射しないために充分な採光量を得ることができない。従って、太陽光入射角度δの下限値λは、αm>λとならないような値(λ>1/2×ηを満足する値)に設定する。
【0031】一方、図6に示すように、西側の1次反射鏡12の採光量は、任意の太陽光入射角度δに対して傾斜角度βがβ=90°−1/2×δで最大となり、それ以上では徐々に減少し、またそれ以下では略ゼロとなる。従って、設定された範囲(λ<δ<η)で採光量がゼロとならないようにしつつ最大の採光量を得るためには、太陽光入射角度δが下限値λに等しいときに最大の採光量が得られる傾斜角度βm(=90°−1/2×λ)に1次反射鏡12を固定すればよい。なお、太陽光入射角度δが下限値λの近傍で採光量が略ゼロになることが許容されるならば、βmは上記の値に限定されず、さらに大きくしても良い(但し、βmの最大値はδ=ηのときに最大の採光量が得られる角度(=90°×1/2×η)である)。
【0032】例えば、太陽光入射角度δを朝(δ=30°〜60°)、午前(δ=60°〜90°)、午後(δ=90°〜120°)、夕方(120°〜150°)の4つの領域に分けた場合には、1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βをそれぞれ朝(α1≒30°,β1≒75°)、午前(α2≒45°,β2≒60°)、午後(α3≒60°,β3≒45°)、夕方(α4≒75°,β4≒30°)と設定すればよい。而して、制御部5は、太陽光入射角度δに応じて、上記朝の領域では図17(a)に示すように東側の1次反射鏡11を傾斜角度α1、西側の1次反射鏡12を傾斜角度β1に固定し、上記午前の領域では図17(b)に示すように東側の1次反射鏡11を傾斜角度α2、西側の1次反射鏡12を傾斜角度β2に固定し、午後の領域では図17(c)に示すように東側の1次反射鏡11を傾斜角度α3、西側の1次反射鏡12を傾斜角度β3に固定し、夕方の領域では図17(d)に示すように東側の1次反射鏡11を傾斜角度α4、西側の1次反射鏡12を傾斜角度β4に固定する。
【0033】而して、本実施形態においては、予め決められた傾斜角度α1〜α4,β1〜β4にのみ回動させることができればよいから、回動手段4や制御部5の構成が簡素化できるとともに、装置全体が軽量且つ安価になる。
【0034】(実施形態3)ところで、実施形態1で説明したシミュレーション結果において、太陽光入射角度δに対して最大の採光量が得られる傾斜角度α,βを求めた結果を下記表2及び図22に示す。
【0035】
【表2】

【0036】既に説明しているが、表2及び図5からも明らかなように、太陽光入射角度δの各値に対して最大の採光量が得られる傾斜角度α,βは、δ≦90°のときにそれぞれα≒1/2×δ,β≒90°−1/2×δ、δ>90°のときにそれぞれα≒90°−1/2×δ、β≒1/2×δとなる。ここで、この場合に2枚の1次反射鏡11,12がなす角度は常に略90°となる。従って、図18に示すように、2枚の1次反射鏡112を互いのなす角度が略90°となるように固定し、回動手段4によって一体に回動させて傾斜角度α,βを同時に調節することが可能である。
【0037】そこで、本実施形態においては、図19〜図21に示すように1次反射鏡11,12の南北方向両端縁に角筒状の保持ガイド13を設け、この保持ガイド13内に角柱状の保持体14を進退自在に挿通するとともに、各1次反射鏡11,12の南北両側に位置する一対の保持体14の下端部を互いのなす角度が略90°となるように連結固定している。但し、南北両端に位置する両連結部15は固定されており、一体に移動可能としてある。また、1次反射鏡11,12は回動軸4aによって東西方向に回動自在に枢支されている。なお、7は採光口3の北側端縁に配設される補助反射鏡である。
【0038】而して、回動手段4によって保持体14の連結部15を東西方向並びに鉛直方向に移動させれば、保持体14が保持ガイド13内で進退し互いのなす角度を略90°に保ったままで2枚の1次反射鏡11,12を一体且つ同時に回動させて傾斜角度α及びβを調節することができる。なお、太陽光入射角度δに対する傾斜角度α,βは、実施形態1で説明した範囲あるいは値となるように制御部5によって回動手段4を制御するようにすればよい。
【0039】本実施形態によれば、回動手段4によって保持体14を移動をさせることで2枚の1次反射鏡11,12を一体且つ同時に回動させて傾斜角度α及びβを調節することができるから、各1次反射鏡11,12毎に別個独立に回動機構を設ける必要がないことから、回動手段4がさらに簡素化され、装置全体が軽量且つ安価になるという利点がある。
【0040】(実施形態4)本実施形態は、図23に示すように東側の1次反射鏡11と2次反射鏡21の間及び西側の1次反射鏡12と2次反射鏡22の間の採光口3下方に光電素子等から成る光センサ11を配設し、光センサ11の出力が最大となるように回動手段4により各1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βを調節するフィードバック制御を行う点に特徴がある。なお、その他の構成は実施形態1と共通であるから説明は省略する。
【0041】而して、採光口3に入射する光量を光センサ11で検出し、この光センサ11の出力が常に最大となるように回動手段4によって1次反射鏡11,12の傾斜角度α,βを調節すれば、太陽光入射角度δの変化に応じて常時最大の採光量が得られる。
【0042】
【発明の効果】請求項1の発明は、建物に設けられた採光口の東西方向に対向する両端部近傍に下端部が配置され且つ上端部が東西方向の採光口の外側に傾斜する2枚の1次反射鏡と、放物面鏡から成り採光口の東西方向略中央部に下端部が配置されるとともに各1次反射鏡に近接する側に上端部を有し且つ焦点が東西方向に対して採光口の端部より内側に位置する2枚の2次反射鏡と、水平面からの傾斜角度を可変するように2枚の1次反射鏡を回動させる回動手段とを備えたので、太陽の動きに応じて回動手段により1次反射鏡の傾斜角度を変えることで太陽光を常に効率よく採光口に集光させて採光量を増加させることができ、しかも、1次反射鏡を1軸で東西方向にのみ回動させているから、回動手段が簡易化され、装置全体が軽量且つ安価になるとともに容積が小さくできるという効果がある。
【0043】請求項2の発明は、東西方向並びに鉛直方向に平行な平面への太陽光の正射影と水平面とのなす角度を太陽光入射角度δとし、採光口の略中央より東側に配置される第1の1次反射鏡の水平面東方向からの傾斜角度αと、採光口の略中央より西側に配置される第2の1次反射鏡の水平面西方向からの傾斜角度βとが、東方向を基準としてδ≦90°のときに下記式1/2×δ≦α<δ(90°−1/2×δ)≦β<90°を満足するとともに、δ>90°のときに下記式(90°−1/2×δ)≦α<90°1/2×δ≦β<δを満足するように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成るので、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0044】請求項3の発明は、太陽光入射角度δにかかわらず少なくとも一方の1次反射鏡での太陽光の反射方向が略水平となるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成るので、請求項2の発明と同様の効果を奏する。
【0045】請求項4の発明は、太陽光入射角度δが90°以下のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが太陽光入射角度δの2分の1に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが90°から太陽光入射角度δの2分の1の角度を減算した角度に略等しくなり、太陽光入射角度δが90°よりも大きいときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが90°から太陽光入射角度δの2分の1の角度を減算した角度に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが太陽光入射角度δの2分の1に略等しくなるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成るので、最も効率よく太陽光を集光することができるという効果がある。
【0046】請求項5の発明は、1日における太陽光入射角度δの変化範囲をλ<δ<η(但し、η<2λ)となる複数の領域に分割するとともに、各領域において上限値η≦90°のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが上限値ηの2分の1に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが90°から上限値ηの2分の1の角度を減算した角度に略等しくなり、上限値η>90°のときに第1の1次反射鏡の傾斜角度αが90°から上限値ηの2分の1の角度を減算した角度に略等しく且つ第2の1次反射鏡の傾斜角度βが上限値ηの2分の1に略等しくなるように回動手段によって第1及び第2の1次反射鏡を回動させて成るので、請求項2の発明の効果に加えて、さらに回動手段が簡易化されるとともに装置全体が軽量且つ安価になるという効果がある。
【0047】請求項6の発明は、2枚の1次反射鏡を互いのなす角度が略90°となるように固定して成るので、請求項1〜4の発明の効果に加えて、2枚の1次反射鏡を連動させることができることから回動手段をさらに簡素化できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成10年12月15日(1998.12.15)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2000−182414(P2000−182414A)
【公開日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願番号】 特願平10−356146