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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】松原 雅夫

【要約】 【課題】レンズ端部が後方側へ回り込むように湾曲形成された車両用灯具において、灯具の外観品質を損なうことなく、レンズとランプボディとの取付けの際のランス係合機能を十分に発揮させる。

【解決手段】後方側へ回り込むように湾曲形成されたレンズ12の右端部の後方に位置するランプボディ14の取付溝部14cの外側壁面にランス14dを形成する。取付溝部14cに挿入されるレンズ12の取付脚部12aの外側壁面に、ランス14dと係合するランス係合部12dを形成する。このランス係合部12dの前端面12d1は、レンズ外周縁部12cの後壁面12c1と略平行に形成する。これにより、ランス係合部12dの前端面12d1に返し角度を持たせ、取付溝部14c内への取付脚部12dの挿入によりランス14dがランス係合部12dに一旦係合されたとき、両者を容易に外れないようにして係合状態を確実に維持する。また、レンズ外周縁部12cを断面台形状にしなくてもスライド型を成立させ、レンズ12の表面のヒケ発生を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 端部が後方側へ回り込むように湾曲形成されたレンズと、このレンズの後方側に設けられたランプボディとを備え、上記レンズの外周縁近傍部位に、後方へ延びる取付脚部が形成されるとともに、上記ランプボディの前端開口周縁部に、上記取付脚部が挿入される取付溝部が形成されてなる車両用灯具において、上記端部の後方に位置する上記取付溝部の外側壁面にランスが形成されるとともに、上記取付脚部の外側壁面に上記ランスと係合するランス係合部が形成されており、上記ランス係合部の前端面が、上記取付脚部よりも外周側に位置するレンズ外周縁部の後壁面に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 上記ランスが、上記取付溝部の外側壁前端面から前方へ突出するように延長形成された突出片の先端部に形成されており、上記取付溝部の外側壁前端面における上記突出片の両側近傍部位が、凹状に形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】 上記レンズ外周縁部の肉厚が、上記取付脚部よりも内周側に位置するレンズ一般部の肉厚と略同一の値に設定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、いわゆる回り込みレンズを備えた車両用灯具に関するものであり、特にそのレンズとランプボディとの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具におけるレンズとランプボディとの取付構造としては、従来より、図4(a)に示すように、レンズ2の外周縁近傍部位に形成された取付脚部2aを、ランプボディ4の前端開口周縁部4aに形成された取付溝部4b内に挿入するとともに、両者をランス係合させるようにしたものが知られている。このランス係合は、取付脚部2aの外側壁面に形成されたランス2bを取付溝部4bに形成されたランス係合孔4cに係合させることにより行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4(b)に示すように、レンズ2の端部が後方側へ回り込むように湾曲形成された車両用灯具において、上記従来のランス係合構造を採用した場合には、次のような問題が生じる。
【0004】すなわち、取付脚部2aよりも外周側に位置するレンズ外周縁部2cの後壁面2c1は、レンズ成形用金型の構成上、ランス2bの前端面2b1に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成し、これによりアンダカットの発生を防止してスライド型の使用を可能とする必要がある。一方、上記ランス係合を確実に行うためには、ランス2bの前端面2b1をランス係合孔4cの前端面と直角またはそれ以上の角度で係合するように形成することが必要となる。
【0005】このため、ランス係合機能を確保しようとすると、同図に実線で示すように、レンズ外周縁部2cが断面台形状になり、その基端部が厚肉となるので、レンズ2の表面にヒケが発生してしまい、これにより灯具の外観品質を低下させてしまうという問題が生じる。
【0006】一方、同図に2点鎖線で示すように、レンズ2の表面のヒケ発生を防止するためにレンズ外周縁部2cを肉厚略一定に形成した場合には、ランス2bの前端面2b1がランス係合孔4cの前壁面に対して斜めに当接するように係合することとなるので、ランス2bがランス係合孔4cから外れやすくなり、このためランス係合機能を十分に発揮させることができなくなってしまうという問題が生じる。
【0007】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、レンズ端部が後方側へ回り込むように湾曲形成された車両用灯具において、灯具の外観品質を損なうことなく、レンズとランプボディとの取付けの際のランス係合機能を十分に発揮させることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、ランス係合構造に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】すなわち、本願発明は、請求項1に記載したように、端部が後方側へ回り込むように湾曲形成されたレンズと、このレンズの後方側に設けられたランプボディとを備え、上記レンズの外周縁近傍部位に、後方へ延びる取付脚部が形成されるとともに、上記ランプボディの前端開口周縁部に、上記取付脚部が挿入される取付溝部が形成されてなる車両用灯具において、上記端部の後方に位置する上記取付溝部の外側壁面にランスが形成されるとともに、上記取付脚部の外側壁面に上記ランスと係合するランス係合部が形成されており、上記ランス係合部の前端面が、上記取付脚部よりも外周側に位置するレンズ外周縁部の後壁面に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されている、ことを特徴とするものである。
【0010】上記「端部」は、上下左右いずれの端部であってもよく、また1つの端部であってもよいし複数の端部であってもよい。
【0011】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、後方側へ回り込むように湾曲形成されたレンズ端部の後方に位置するランプボディの取付溝部の外側壁面にランスが形成されるとともに、このランスと係合するランス係合部がレンズの取付脚部の外側壁面に形成されており、このランス係合部の前端面がレンズ外周縁部の後壁面に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0012】すなわち、ランス係合部の前端面がレンズ外周縁部の後壁面に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されているので、ランス係合部に返し角度を持たせることができる。したがって、取付溝部内への取付脚部挿入によりランスがランス係合部に一旦係合されると、両者は容易に外れてしまうことなく係合状態を確実に維持することとなる。
【0013】また、レンズ成形用の金型に関しては、ランス係合部を形成するためのスライド型が必要となるが、ランス係合部の前端面はレンズ外周縁部の後壁面に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されているので、従来のようにアンダカット防止のためにレンズ外周縁部を断面台形状にする必要がなく、したがってその基端部が厚肉となってしまうこともないので、レンズの表面にヒケが発生するのを防止または最小限に抑えることができ、これにより灯具の外観品質が損なわれるのを防止することができる。
【0014】このように、本願発明によれば、レンズ端部が後方側へ回り込むように湾曲形成された車両用灯具において、灯具の外観品質を損なうことなく、レンズとランプボディとの取付けの際のランス係合機能を十分に発揮させることができる。
【0015】上記構成において、ランスの形成位置は、取付溝部の外側壁面自体に形成してよいことはもちろんであるが、請求項2に記載したように、取付溝部の外側壁前端面から前方へ突出するように延長形成された突出片の先端部にランスを形成するようにしてもよく、その際、同請求項に記載したように、取付溝部の外側壁前端面における突出片の両側近傍部位を凹状に形成するようにすれば、取付脚部を取付溝部内へ挿入する際、突出片を弾性変形により撓ませてランスをランス係合部に容易に係合させることができ、かつ一旦係合した後は両者を外れにくくすることができる。
【0016】また、上記構成において、レンズ外周縁部の肉厚は、レンズの表面にヒケが発生するのを防止または最小限に抑えることができるような値に適宜設定すればよいが、請求項3に記載したように、この肉厚を、取付脚部よりも内周側に位置するレンズ一般部の肉厚と略同一の値に設定するようにすれば、取付脚部の内外でレンズの見え方が大きく異なってしまうのを防止することができ、これにより灯具の外観品質を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0018】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す平断面図である。
【0019】図示のように、この車両用灯具10は、車体右側後端部に設けられるテールランプであって、右端部が後方側(灯具としての後方であって車体としては前方。以下同様)へ回り込むように湾曲形成されたレンズ12と、このレンズ12の後方側に設けられたランプボディ14と、このランプボディ14の後頂部に挿着された光源バルブ16とを備えてなっている。
【0020】レンズ12の外周縁近傍部位には、後方へ延びる取付脚部12aが全周にわたって形成されている。レンズ12は、取付脚部12aの内周側に位置するレンズ一般部12bとその外周側に位置するレンズ外周縁部12cとで、互いに肉厚が略同一となるように形成されている。
【0021】ランプボディ14には、光源バルブ16からの光を反射させる反射面14aが形成されており、この反射面14aの周囲の前端開口周縁部14bには、取付脚部12aが挿入される取付溝部14cが形成されている。そして、レンズ12とランプボディ14との固定は、取付溝部14c内にガスケット18を配した状態で該取付溝部14c内に取付脚部12aを挿入し、両者を複数箇所においてランス係合することにより行われるようになっている。
【0022】図2は、図1のII部分解詳細図であり、図3は、図1のIII 方向矢視詳細図である。
【0023】これらの図に示すように、レンズ12の右端部の後方に位置するランプボディ14の取付溝部14cの外側壁面には、ランス14dが形成されている。一方、取付脚部12aの外側壁面には、ランス14dと係合するランス係合部12dが形成されている。このランス係合部12dは門形に形成されており、その前端面12d1は、レンズ外周縁部12cの後壁面12c1に対して略平行に(外周側へ向けて僅かに広がるように)形成されている。
【0024】レンズ12を成形する金型は、ランス係合部12dを形成するためのスライド型を有するものとなるが、該スライド型の抜き方向は、図2の白抜き矢印方向(すなわちランス係合部12dの前端面12d1と同じ方向)に設定されている。
【0025】ランス14dは、取付溝部14cの外側壁前端面14c1から前方へ突出するように延長形成された突出片14eの先端部に形成されている。このランス14dは、その前端面が後傾湾曲面状に形成されるとともに、その後端面がランス係合部12dの前端面12d1と略同一の後傾角度を有する平面状に形成されている。取付溝部14cの外側壁前端面14c1における突出片14eの両側近傍部位14c1aは、滑らかな曲線形状で凹状に形成されている。
【0026】図示のランス係合箇所以外の他のランス係合箇所においても同様のランス係合構造が採用されているが、他のランス係合箇所においては、レンズ外周縁部12cの後傾角が小さくなるので、ランス係合部12dの前端面12d1とレンズ外周縁部12cの後壁面12c1とが外周側へ向けて広がったものとなる。
【0027】以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具10は、ランプボディ14の複数箇所に形成された各ランス係合部12dの前端面12d1が、レンズ外周縁部12cの後壁面12c1に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されているので、ランス係合部12dに返し角度を持たせることができる。したがって、取付溝部14c内への取付脚部12aの挿入によりランス14dがランス係合部12dに一旦係合されると、両者は容易に外れてしまうことなく係合状態を確実に維持することとなる。
【0028】また、各ランス係合部12dの前端面12d1は、レンズ外周縁部12cの後壁面12c1に対して平行または外周側へ向けて広がるように形成されているので、従来のようにアンダカット防止のためにレンズ外周縁部12cを断面台形状にしなくても、レンズ成形用金型のスライド型を成立させることができる。このため、レンズ外周縁部12cの基端部が厚肉となってしまうことがないので、レンズ12の表面にヒケが発生するのを防止または最小限に抑えることができ、これにより灯具の外観品質が損なわれるのを防止することができる。
【0029】このように、本実施形態によれば、レンズ端部が後方側へ回り込むように湾曲形成された車両用灯具において、灯具の外観品質を損なうことなく、レンズ12とランプボディ14との取付けの際のランス係合機能を十分に発揮させることができる。
【0030】しかも、本実施形態においては、ランス14dが、取付溝部14cの外側壁前端面14c1から前方へ突出するように延長形成された突出片14eの先端部に形成されており、また、取付溝部14cの外側壁前端面14c1における突出片14eの両側近傍部位14c1aが凹状に形成されているので、取付脚部12aを取付溝部14c内へ挿入する際、突出片14eを弾性変形により撓ませてランス14dをランス係合部12dに容易に係合させることができ、かつ一旦係合した後は両者を外れにくくすることができる。
【0031】さらに、本実施形態においては、レンズ外周縁部12cの肉厚が、レンズ一般部12bの肉厚と略同一の値に設定されているので、取付脚部12aの内外でレンズ12の見え方が大きく異なってしまうのを防止することができ、これにより灯具の外観品質を高めることができる。
【0032】上記実施形態においては、車両用灯具10がテールランプである場合について説明したが、他の標識灯やヘッドランプ等の車両用灯具においても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成10年12月15日(1998.12.15)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2000−182408(P2000−182408A)
【公開日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願番号】 特願平10−355279