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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】小川 芳弘

【要約】 【課題】車両の左右に装備される複合型灯具の共通化を図るとともに、運転席からの方向指示灯の点灯を確認することが可能な車両用灯具を提供する。

【解決手段】車両の左右にそれぞれ配置する灯具として、灯具ボディ101、レンズ130、カバー140で構成される前照灯HLと方向指示灯TSLとが上下方向に配置されて一体化された複合型の灯具として構成される。方向指示灯TSLは、レンズ130の両側面にくさびステップ135を有し、カバー140に設けた開口143、窓145を通して車両の前方及び両側方に向けて光を出射し、フロント及びサイドの各ターンシグナルランプとして機能するとともに、車両の運転者に向けても光を出射することが可能となり、方向指示灯のモニタ用としても機能する。方向指示灯を左右対称に構成できるため、1つの灯具を車両の左右いずれの方向指示灯としても利用でき、灯具の共用化を図り、低コスト化を可能とし、かつ管理の簡易化が実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の左右にそれぞれ配置され、前照灯と方向指示灯とが一体化された複合型の車両用灯具において、前記前照灯と方向指示灯とは上下方向に配置され、前記方向指示灯は、車両の前方及び両側方に向けて光を出射する出射面を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 前記前照灯及び方向指示灯は、1つの灯具ボディ内にそれぞれ区画配置され、前記前照灯及び方向指示灯の各レンズは前記灯具ボディに取着される1つのレンズの上部領域と下部領域とで構成され、前記方向指示灯は、前記レンズの正面及び両側面からそれぞれ光を出射可能とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】 前記前照灯が前記方向指示灯の上部に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフォークリフト等の産業用車両の前照灯として用いられる車両用灯具に関し、特に前照灯機能と方向指示用機能を備える複合型の車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図5に示すようなフォークリフト1に装備される灯具(100)として、前照灯機能を有する部分(以降、前照灯)と方向指示機能を有する部分(以降、方向指示灯)とを一体化した複合型灯具が提供されている。図8はその概略構成を示す図であり、前照灯HLの灯具ボディと、方向指示灯TSLの灯具ボディとが灯具ハウジング201として一体に形成されており、各灯具ボディ内にはそれぞれ電球202,203が内装支持されている。前記灯具ハウジング201の前記前照灯HLの領域の正面開口には前照灯用レンズ204が取着され、一方前記方向指示灯TSLの領域には正面から側面にわたって開口され、この開口に方向指示灯用レンズ205が取着されている。前記各レンズ204,205にはそれぞれ所要のレンズステップが形成されており、これらのレンズステップにより前記前照灯HLではフォークリフトの前方に向けての配光特性が得られ、方向指示灯TSLではフォークリフトの前方及び側方に向けての配光特性が得られている。前記灯具は、前記灯具ハウジング201の上面及び下面にそれぞれ取付用ねじ206が突出されており、この取付用ねじ206によって図5に示したように、フォークリフト1の左右に立設されているフレーム7の一部に設けられている固定枠6を介して取着される。
【0003】このような複合型灯具では、前照灯HLと方向指示灯TSLが一体化できるため、前照灯と方向指示灯とを個別に設ける必要がなく、灯具の低価格化と共にフォークリフトの構成の簡略化が実現できる。また、これに加えて、方向指示灯TSLの電球203が点灯されると、電球203から出射した光は灯具ボディ内面の反射面で反射され、レンズ205のレンズステップにより屈折、拡散されて前方及び側方に向けて所要の配光特性で出射される。このため、方向指示灯TSLのレンズ205の正面領域はフォークリフトのフロントターンシグナルランプとして機能し、側面領域はサイドターンシグナルランプとして機能するため、1つの方向指示灯TSLでフロントターンシグナルランプとサイドターンシグナルランプが兼用でき、二種類の方向指示灯を個別に設ける必要がなくなり、フォークリフトの構成のさらなる簡略化、低価格化が実現される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した複合型灯具では、前照灯HLと方向指示灯TSLとが水平横方向に配列されているため、方向指示灯による左右の方向指示機能であるサイドターンシグナルランプとして機能させるためには、前照灯HLがフォークリフトの左右方向の内側に配置される必要がある。そのため、フォークリフトの左右に配置される複合型灯具はそれぞれ左右が対称である必要があり、そのために左右の各灯具をそれぞれ個別に製造しなければならず、製造コストが高くなるという問題がある。また、左右の複合型灯具をそれぞれ管理する必要があり、フォークリフトの部品管理が煩雑なものとなる。
【0005】一方、前記複合型灯具の機能面から見ても、方向指示灯TSLが前照灯HLの外側に配置されているため、方向指示灯TSLの点灯状態をフォークリフトの運転席から確認することは難しい。そのため、運転席の計器盤に方向指示灯TSLの点灯状態を示すモニタを配設し、運転者はこのモニタを見て方向指示灯の点灯を確認しなければならず、計器盤の構成を簡略化する上での障害になり、また、運転者はフォークリフトの前方を確認しての運転を行いながら目を移して計器盤での確認を行う必要があり、安全作業の点で好ましくない点もある。
【0006】本発明の目的は、車両の左右に装備される複合型灯具の共通化を図るとともに、運転席からの方向指示灯の点灯を確認することが可能な車両用灯具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、車両の左右にそれぞれ配置され、前照灯と方向指示灯とが一体化された複合型の灯具として、前記前照灯と方向指示灯とは上下方向に配置され、前記方向指示灯は、車両の前方及び両側方に向けて光を出射する出射面を有する構成とする。特に、本発明では、前記前照灯及び方向指示灯は、1つの灯具ボディ内にそれぞれ区画配置され、前記前照灯及び方向指示灯の各レンズは前記灯具ボディに取着される1つのレンズの上部領域と下部領域とで構成され、前記方向指示灯は、前記レンズの正面及び両側面からそれぞれ光を出射可能とすることが好ましい。さらに、前記前照灯は、前記方向指示灯の上部に配置されることが好ましい。
【0008】本発明においては、方向指示灯は前方及び両側方向に向けて光を出射することで、フロント及びサイドの各ターンシグナルランプとして機能するとともに、車両の運転者に向けても光を出射することが可能となり、方向指示灯のモニタ用としても機能する。また、方向指示灯を左右対称に構成できるため、1つの灯具を左右いずれの灯具としても利用でき、灯具の共用化を図り、低コスト化を可能とし、かつ管理の簡易化が実現できる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本発明の灯具は図5に示したフォークリフト1に装備可能であり、前記フォークリフト1の運転席2よりも若干前方位置の車体の左右に2本のポスト3が上下(鉛直)方向に立設されており、リフト機構4によってフォーク5が前記ポスト3に沿って上下に移動可能に構成されている。そして、前記左右の各フレーム7の上部寄りの位置にそれぞれ固定枠6が一体に設けられ、この固定枠6に前照灯と方向指示灯とを一体化した本発明にかかる複合型灯具100がそれぞれ支持されている。
【0010】図1はフォークリフト1の左側ポスト3に装備される前記複合型灯具100の外観斜視図、図2はその部分分解斜視図である。また、図3は図1のAA線に沿う縦断面図、図4はBB線に沿う水平断面図である。前記複合型灯具100は前方から見て上下方向に若干長い長方形の箱型をした灯具ボディ101を有しており、前記灯具ボディ101の正面は開口され、この開口102には矩形をした浅皿状のレンズ130が取着されている。ここで、前記灯具ボディ101の開口102の周縁にはシール溝103が設けられ、また前記レンズ130の周縁にはシール脚131が設けられ、前記シール脚131が前記シール溝103内に挿入され、シール剤104によって固着封止されている。また、前記灯具ボディ101の内部は灯具ボディ101の一部で構成される水平方向の隔壁105によって上部領域と下部領域とに区画されており、上部領域は下部領域よりも若干上下方向の長さが長くされて前照灯HLとして構成され、下部領域は方向指示灯TSLとして構成されている。
【0011】すなわち、前記灯具ボディ101内の前照灯HLの領域には、放物反射面を有するリフレクタ106が内装されており、前記リフレクタ106の焦点位置には、前記リフレクタ106の背面に設けられたソケット取付穴107を通して前照灯用電球108が電球ソケット109によって内装支持されている。前記リフレクタ106はその周壁110が前記灯具ボディ101の正面開口102から前方に突出された状態に延長形成されており、この周壁110によって前記前照灯用電球108の光は前記灯具ボディ101の正面開口方向にのみ出射されるように構成される。また、この実施形態では、前記前照灯用電球108の直下位置の前記リフレクタ106にソケット取付穴113が設けられ、このソケット取付穴113にクリアランス灯用電球111が電球ソケット112によって内装支持されている。一方、前記灯具ボディ101内の方向指示灯TSLの領域は、前記隔壁105の内面と灯具ボディ101の内面とで灯室が構成されており、前記灯具ボディ101の背面に設けたソケット取付穴114に、アンバー色光を発光する方向指示灯用電球115が電球ソケット116によって支持されている。なお、隔壁105の耐熱性が問題となるような場合には、この実施形態のように前記隔壁105の下面には方向指示灯用電球115の熱から隔壁105を保護するための遮熱板117をL字型をした支持片118によって両端支持する構成とする。なお、前記灯具ボディ101の上面及び下面にはそれぞれ当該複合型灯具100を前記フォークリフト1のポスト3に取着するための取付用ねじ119,120がそれぞれ一体に突出形成されている。また、灯具ボディ101の背面の開口122は、図4に示すように、カバー121によって閉塞されている。
【0012】前記レンズ130は全体が白色(クリア)レンズで構成されており、前記前照灯HLと方向指示灯TSLとに対応して上部領域と下部領域とに区画されている。そして、その正面の上部領域の前記前照灯HLの領域の内面には、前記フォークリフトの前照灯として要求される所要の配光特性を得るためのレンズステップ132が形成されている。また、下部領域の方向指示灯TSLの領域の内面には、フレネルレンズステップ133が形成され、外面にはかまぼこ型ステップ134が形成されている。さらに、前記レンズ130の方向指示灯TSLの領域の左右側面の外面には、それぞれ表面に断面が三角形をした微小の縦縞構造のくさびステップ135が形成されている。このくさびステップ135は、図4に示すように、灯具の後方への光照射を確保するように、前方部位から後方部位に向けてそのステップ厚さが徐々に薄くなるようなテーパ状として前記レンズ130の外面に突出されており、このくさびステップ135により、前記方向指示灯用電球115から出射した光を、灯具の側方の比較的に広い前後方向の角度範囲(ここでは前後方向に約45度の範囲)に向けて照射する構成とされている。
【0013】そして、前記灯具ボディ101とレンズ130で構成されたる灯体に対し、前記レンズ130の前方からカバー140が被せられる。前記カバー140は黒色樹脂等のように遮光性のある材料によって樹脂成形されており、前記レンズ130ないし前記灯具ボディ101の上下、左右の側面部を覆うように被せられた状態で、その上側内面に設けられた係止突部141が前記灯具ボディのシール溝103の外面に係止され、かつ下側面に設けられた係止穴142が前記シール溝103の下面に設けられた突起123に嵌入することによって前記灯具ボディ101に一体的に支持される。前記カバー140は、正面は前記レンズ130の正面全領域を露呈させるように開口されており、その開口143の一部には前記レンズ130を外力から保護するための2本の横桟144が設けられる。また、前記カバー140の側面には、前記レンズ130の左右側面のくさびステップ135を露呈させるために、フォークリフトの車体外側に向けられた側面に外側窓145が開口され、車体内側に向けられた側面に内側窓146が開口される。ここで、図6(a),(b)にカバーの左側面図と右側面図をそれぞれ示すように、前記外側窓145は前記くさびステップ135のほぼ全領域を露呈させるようにその幅寸法が設定されているが、内側窓146は前記くさびステップ135の全領域のうち前側のほぼ1/2の領域を露呈するように、前記外側窓145よりも小さい幅寸法に設定されている。なお、フォークリフト1の右側に装備される複合型灯具においては、この複合型灯具100とはカバー140の外側窓145と内側窓146が左右反対の位置に設けられている。すなわち、前記したカバーとは対称型に形成されている。
【0014】このような複合型灯具では、図5に示したように、フォークリフト1の左右のフレーム7に装備される。装備する際には、上下の各取付ねじ119,120をフレーム7に設けた固定枠6にボルトを用いて締結する。図7は複合型灯具100を装備した状態の平面位置関係を示す図であり、このように装備した状態で、前照灯用電球108を点灯すれば、前照灯用電球108から出射された光はリフレクタ106で反射され、レンズ130の上部領域を透過して所要の配光特性でフォークリフトの前方を照明し、複合型灯具の上部領域が前照灯HLとして機能する。また、クリアランス灯用電球111を点灯すれば、フォークリフトの車体幅を表示するクリアランス灯として機能する。一方、方向指示灯用電球115を点滅すれば、前記方向指示灯用電球115から出射された光の一部は、レンズ130の正面の下部領域を透過してフォークリフトの前方に照射され、フロントターンシグナルランプとして機能する。また、他の一部の光は、レンズ130の外側面に設けられたくさびステップ135を透過し、さらにカバー140の外側窓145を通してフォークリフトの左右外側方向に照射される。これにより、サイドターンシグナルランプとして機能する。さらに、他の一部の光は、レンズ130の内側面に設けられたくさびステップ135を透過するが、そのうち前側の1/2の幅の領域を透過した光のみがカバー140の内側窓146を通してフォークリフト1の内側方向に向けて照射される。このため、この内側方向の光はフォークリフト1の運転席に着座している運転者Mから目視でき、これにより方向指示灯の点滅を運転者が確認することができ、方向指示灯のモニタとして機能する。このとき、外側窓145はくさびステップ135を透過した光を全て出射するために、ターンシグナルランプに要求されるのに十分な光量を出射する。一方、内側窓146は外側窓145よりも幅寸法が小さくされているため、過度の光が運転者の目に入ることはなく、運転者を眩惑するようなこともない。
【0015】したがって、この複合型灯具では、前照灯と、フロントターンシグナルランプ及びサイドターンシグナルランプとからなる方向指示灯の両機能に加えて、方向指示灯のモニタとしても機能することになる。このため、フォークリフトの計器盤に方向指示灯のモニタを配設する必要がなくなり、計器盤の構成を簡略化することが可能である。また、運転者が方向指示灯の点滅を確認する際には、運転者の視線を計器盤に向けずに前方を注視した状態でも方向指示灯から出射されてくるモニタ光が視野内に入るため、安全作業を行う上で好ましいものとなる。
【0016】さらに、この複合型灯具100は、前照灯HLと方向指示灯TSLとを上下に配置して一体化した構成であるため、フォークリフトの左右のそれぞれに装備される灯具は、灯具ボディ101とレンズ130で構成される灯体は同一構成でよく、カバー140のみを左右対称のものとして構成すればよい。このため、1種類の複合型灯具の灯体を製造すれば、その灯体を左右のいずれにも装備することが可能となり、従来の左右対称構造に比較して製造用の金型が1/2でよく、コストの低減が実現できるとともに、灯具の管理も簡易なものとなる。
【0017】なお、前記したように、カバー140は左右側面に設けた外側窓145と内側窓146の幅寸法が相違しているために、左右対称に構成しているが、モニタとしての光が運転者を眩惑するおそれがない場合には、内側窓146の幅を外側窓145と同じ寸法に設定してもよく、この場合には灯体のみならずカバー140についても左右で共通化することが可能となる。あるいは、カバー140を樹脂により成形する場合には、両側の窓をそれぞれ内側窓の幅寸法に製造しておき、フォークリフトに装備する際に、外側に位置される窓の一側を治具等を用いて切削し、窓の幅をて拡大することによって幅広の外側窓を形成するようにしてもよく、この場合でもカバーを左右で共通化することができる。
【0018】ここで、前記実施形態では、複合型灯具の上部領域を前照灯とし、下部領域を方向指示灯として構成しているが、上下を反対に構成してもよい。ただし、複合型灯具が運転者の目の位置よりも高い位置にある場合には、方向指示灯が前照灯よりも下にある方が運転者による方向指示灯の点灯確認がし易くなり、また発熱量の多い前照灯を上に位置することで耐熱面でも優れている。また、カバーは必ずしもレンズないし灯具ボディを覆う構成でなくてもよく、レンズから出射する光を制限する構成であれば、遮光膜をレンズの表面、あるいは内面に配置し、あるいは塗布する構成であってもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、車両の左右にそれぞれ配置されて前照灯と方向指示灯とが一体化された複合型の灯具として、前記前照灯と方向指示灯とは上下方向に配置され、前記方向指示灯は、車両の前方及び両側方に向けて光を出射する出射面を有する構成としているので、方向指示灯をフロント及びサイドの各ターンシグナルランプとして機能するとともに、車両の運転者に向けても光を出射することが可能となり、方向指示灯のモニタ用としても機能する。また、方向指示灯を左右対称に構成できるため、1つの灯具を左右いずれの灯具としても利用でき、灯具の共用化を図り、低コスト化を可能とし、かつ管理の簡易化が実現できる。さらに、前照灯を方向指示灯の上部に配置することで、視認性及び耐熱性の面で有利になる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成10年12月1日(1998.12.1)
【代理人】 【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
【公開番号】 特開2000−173314(P2000−173314A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−341277