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【発明の名称】 光ダクト用光拡散装置
【発明者】 【氏名】海宝 幸一

【氏名】新井 秀雄

【要約】 【課題】光の減衰が少なく、光ダクト内に入射した光を効果的に拡散することができる光ダクト用拡散装置を提供すること。

【解決手段】自然光を光ダクト4に取り入れ、室内照明等に使用する光ダクト装置において、光ダクト4内に入射する自然光を拡散する拡散装置を設け、光ダクト装置内の光の密度を均一化する。拡散装置は、例えば、光ダクト4の長手方向に平行で断面が半円状の反射材15から構成され、光の入射位置に応じて、入射光を異なる方向に反射させ、光ダクト4内の光の密度を均一化する。拡散装置の反射面の断面形状としては、曲線、又は、直線と直線の組み合わせからなる曲線に近似した形状等、各種形状とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自然光を照明に利用する光ダクト装置に使用され、光ダクト装置に取り入れた平行光を光ダクト内部で拡散させるための光ダクト用光拡散装置であって、上記光拡散装置は、光ダクトの長手方向に平行で、光の入射位置に応じて、入射光を異なる方向に反射させる形状の反射面を有する反射材から構成され、光ダクトに入射した光を拡散させ、光ダクト内の光の密度をほぼ均一化することを特徴とする光ダクト用光拡散装置。
【請求項2】 自然光を照明に利用する光ダクト装置に使用され、光ダクト装置に取り入れた平行光を光ダクト内部で拡散させるための光ダクト用光拡散装置であって、上記光拡散装置は、光ダクトの長手方向に平行な反射面を有する反射材から構成され、光ダクトの奥行き方向に垂直な平面に現れる上記反射面の断面形状は、曲線、又は、隣接する線の角度が鈍角をなす直線と直線、直線と曲線、もしくは曲線と曲線の組み合わせからなる曲線に近似した形状であることを特徴とする光ダクト用光拡散装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ダクトを介して建築物内部に光を導き建築物内部を照明する光ダクトに使用される光拡散装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーや二酸化炭素の排出削減による環境保護の必要性が注目されており、この要望に答えるための手段の一つとして太陽光を内面に反射率の高い部材で構成したダクトを介して室内に取り込み、照明光源として利用する光ダクト装置が提案されている。この装置は、エネルギーを電気など他のエネルギーに変換せず、そのまま活用するため、エネルギーの利用効率が高く、省エネルギーや二酸化炭素排出削減に貢献できる。
【0003】図11、図12は、本発明が適用される光ダクト装置の概念図であり、図11はビルの南側壁面から光を取り込んでオフィスなどの照明に利用する水平型光ダクト装置、図12は地下や屋上など採光位置と照明位置の高低差がある場合に光を下方に搬送する部分を持つ垂直型光ダクト装置を示している。また、図11(b)は水平型ダクト本体の斜視図である。図11、図12において、1は自然光(太陽光)、2は採光口、3は反射材、4は光ダクト、5はビル壁面、6は室内、7はガラスカバー、8は放光口、9は屋上または地上である。光ダクト4は図11(b)に示すように断面が矩形状で、内面が反射面で構成されている。図11,図12において、太陽光1は、採光口2から直接、あるいは反射材3に反射した後、ダクト4内部に取り込まれ、内面での反射を繰り返しながら照射位置まで運ばれ、放光口8から照射される。
【0004】図13は水平の光ダクト装置に太陽光が入射したときの光路を概念的に示す図である。図13(a)は斜視図、図13(b)は光ダクト内の光路を同図(a)のA方向から見た図、図13(c)は光ダクト内の光路を同図(a)のB方向から見た図、図13(d)は光ダクト内の光路を同図(a)のC方向から見た図である。同図に示すように、光ダクト装置に入射した光は、光ダクトの反射面で反射を繰り返しながら、光ダクトの奥行き方向に進む。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光ダクト装置に入射した光は、前記図13に示したような光路で光ダクト内部を進行する。一方、光ダクトに入射する太陽光は、時間や季節によって照射方向が大きく変化する平行光線である。したがって、平行光線が光ダクト装置に入射すると、図14に示すように、ダクト内部の光密度に大きな濃淡が生ずる。これをそのまま放光口8から室内に照射すると、室内位置の照度分布にばらつきを生じたり、光の照射面に濃淡模様を映し出すなどの問題を発生する。このような問題を解決するには、光を拡散させる手段を光ダクト装置に取り付けることが考えられる。
【0006】光を拡散させる手段としては、例えば、図15に示すように光拡散機能を持ったフィルム10を光路の途中に挿入して拡散効果を得る方法がある。しかし、この方法は、強い指向性を持つ太陽光の拡散には充分な効果が得られず、さらに、フィルムやこれを貼るガラスや樹脂を透過する際に20%以上の大きな光の減衰が起こり装置の効率低下を招く。本発明は上記した事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、光の減衰が少なく、光ダクト内に入射した光を効果的に拡散することができる光ダクト用拡散装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】光ダクト装置にダクトの斜め上方から太陽光が入ってくるとき、その光路の途中に光ダクトの奥行き方向に平行で入射光に対して傾けた反射材を置くと、光ダクト内の光路を変えることができる。以下、説明の便宜上、光ダクトの奥行き方向をX軸方向、X軸を含む水平面上にありX軸に直交する方向をY軸方向、XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。図1は上記のようにX軸に平行でXY平面に対して傾けた反射板12を置いたときの光路を示す図であり、同図は、YZ平面上を斜めに入射する光が反射板12で反射したときの光路を示しており、実線が反射板12を置いたときの光路、点線は反射板12を置かない場合の光路である。また、図1(a)は斜視図を示し、同図(b)は光ダクト内の光路をX軸方向から見た図、同図(c)は光ダクト内の光路をY軸方向から見た図、同図(d)は光ダクト内の光路をZ軸方向から見た図である。
【0008】図1に示すように、光ダクトの斜め上方から入射し反射板12で反射した光は、光ダクトの右側面R→上面U→左側面L→右側面Rと反射を繰り返し、光ダクトのX軸方向に進む。すなわち、上記反射板12を置くことにより、点線で示す光路1’を実線で示す光路1のように変えることができる。ここで、図2(a)に示すように上記反射材12の反射面をX軸を中心に回転させると、光ダクトに対して入射角αで入射する光の反射光は、同図(b)に示すように、点14とX軸の成す角度がαの円錐面上を移動する。上記反射光をYZ平面に投影すると、反射光の方向は同図(c)に示すように360度全周方向に変わり、反射面の回転角度に応じて、光ダクトに入射する平行光の反射方向を変えることができる(ここでは、光を異なった方向に分散させることを拡散すると呼ぶこととする)。
【0009】すなわち、X軸に直交する平面に現れる反射面の断面直線の傾き、もしくは、断面曲線の接線の傾きが光の反射点によって異なる反射面は、光ダクト内部で光を拡散する機能を有する。例えば、図3(a)に示すように、X軸方向に平行で、X軸に直交する平面に現れる断面形状が曲線である反射材15を光ダクト内に設置すると、同図(b)に示すように、光1は反射材15に接する平面16で反射した場合と同じ光路となるため、平行光が入射した場合でも、その反射位置によって反射光の光路を異なる方向に変えることができ、図2で説明したように高い拡散効果を得ることができる。すなわち、この場合は、1枚の反射材15が拡散装置20としての機能を持つ。
【0010】図4は図3に示した断面形状が曲線である反射材15による入射光の拡散の様子を示す図であり、実線(同図の1)は反射材15を設けた場合の光路、点線(同図1’)は反射材15を設けない場合の元の光路を示している。また、同図(a)は光ダクト内の光路をX軸方向から見た図、同図(b)はY軸方向から見た図、同図(d)はZ軸方向から見た図である。同図に示すように、光ダクトの斜め上方から平行光が入射すると(同図では、Y軸方向に一列の平行光が入射した場合を仮定している)、半円形の反射材15への入射位置に応じて、反射光の光路は異なった経路となり、光ダクト内の光の密度は均一化する。このため、前記図14に示したように、ダクト内部の光密度に大きな濃淡が生ずることがない。
【0011】上記反射材15は例えば後述する図6に示すように、相互の角度が鈍角をなす直線の集合からなる曲線に近似した形状であっても類似した効果を得ることができる。また、上記のような半円形状だけでなく、後述する図8に示すように、断面形状が曲線の集合、直線の集合であっても同様な効果を得ることができる。上記構成の拡散装置を光ダクトの採光口側、終端側、もしくは適当な箇所に1もしくは複数に設けることにより、光ダクト内の光の密度を均一化することができ、室内の照度分布を均一化し、光の照射面に濃淡模様が生ずるといった問題を解消することができる。
【0012】本発明は上記点に着目してなされたものであって、前記課題を次のようにして解決する。
(1)自然光を照明に利用する光ダクト装置に使用され、光ダクト装置に取り入れた平行光を光ダクト内部で拡散させるための光ダクト用光拡散装置において、上記光拡散装置を、光ダクトの長手方向に平行で、光の入射位置に応じて、入射光を異なる方向に反射させる反射面を有する反射材から構成し、光ダクト内に入射した平行光を拡散し、光ダクト内の光の密度を均一化する。
(2)自然光を照明に利用する光ダクト装置に使用され、光ダクト装置に取り入れた平行光を光ダクト内部で拡散させるための光ダクト用光拡散装置において、上記光拡散装置を、光ダクトの長手方向に平行な反射面を有する反射材から構成し、光ダクトの奥行き方向に垂直な平面に現れる上記反射面の断面形状を、曲線、又は、隣接する線の角度が鈍角をなす直線と直線、直線と曲線、もしくは曲線と曲線の組み合わせからなる曲線に近似した形状とする。また、本発明は次のように構成することもできる。
(3)上記光拡散装置を、光ダクトの長手方向に平行な反射面を有する反射材から構成し、光ダクトの奥行き方向に垂直な平面に現れる上記反射面の断面形状を、2以上の曲線の組み合わせとする。
(4)上記光拡散装置を、光ダクトの長手方向に平行な反射面を有する反射材から構成し、光ダクトの奥行き方向に垂直な平面に現れる上記反射面の断面形状を、離間した2以上の曲線の組み合わせとする。
【0013】
【発明の実施の形態】図5は本発明の実施例の拡散装置の構成例を示す図であり、同図は円弧状に形成された反射材を用いた拡散装置を示している。図5(a)は本実施例で使用される半円形の反射材を示しており、2枚のアルミニウム鏡面材17(例えば、ドイツ、アラノッド社製のアルミニウム鏡面材ミロ板厚さ0.5mm)を、同図に示すようにダクト底面の幅と同じ直径の半円に曲げ加工し、両面が鏡面になるようにエポキシ系の接着剤で張り合わせたものである。以上のようにして形成した反射材を2組用意し〔同図(b)(c)の15a,15b〕、それを背中合わせにして反射材15a,15bに設けた固定用穴17aを介してリベット止めすることにより、両者を固定し、図5(b)に示すように組み立て、図5(c)に示すように光ダクト内に設置する。以上のように構成した拡散装置21を光ダクト内に設置することにより、前記図3、図4に示したように光ダクトに入射する平行光を拡散し、光ダクト内の光の密度を均一化することができる。
【0014】図6は拡散装置の他の構成例を示す図である、同図は、多角形状に形成した反射材を用いた拡散装置を示している。図6において、反射材18は、前記したように2枚のアルミニウム材料を鏡面が外側になるように貼り合わせた反射材であり、反射材18は、同図に示すようにその断面が、多角形状(相互の角度が鈍角をなす直線の集合からなる曲線に近似した形状)である。上記のような反射材18を、前記図5に示したように背中合わせにしてリベット等で固定することにより、図5と同様な拡散装置を構成することができる。図6においては、隣接する線が直線と直線の組み合わせである例を示したが、隣接する線が直線と曲線、曲線と曲線の組み合わせてとしてもよい。
【0015】なお、上記反射材の断面形状は、必ずしも光ダクトの中心軸に対して点対象もしくは中心軸を通る直線に対して線対称にする必要はない。例えば、光ダクトに対する光の入射方向が偏っている場合等には、線対称もしくは点対象でない断面形状の拡散装置を用いることにより、光を効率的に拡散することができる。図7は、右上方の斜め方向から光が光ダクト4に入射する場合に好適な拡散装置22の断面形状を示しており、同図は光ダクトをX軸方向から見た図を示している。光ダクト4の右上方から斜めに入射する場合には、同図に示すように、断面が1/4円状に形成された円弧状の2枚の反射材19a,19bを用い、2枚の反射材19a,19bの向きを同心円状に揃えて光ダクトの対角線方向に配置し、反射材19a,19bの反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト4内に設置する。これにより、斜め右上方から入射する光を、効率的に拡散することができる。
【0016】図8は拡散装置の構成例を示す図であり、拡散装置は次にように構成することができる。
(1)図8(a)に示すように断面形状が半円の反射材を用い反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する(前記図3に示した構成と同じ)。
(2)図8(b)に示すように断面形状が半円の反射材を背中合わせに接続し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する(前記図5に示した構成と同じ)。
(3)図8(c)に示すように、断面が1/4円状に形成された円弧状の4枚の反射材を用い、断面が菱形に近似した形状となるように4枚の反射材の円弧の端部を接続する。そして、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する。
【0017】(4)図8(d)に示すように、反射材を円筒形状に形成し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する。
(5)図8(e)に示すように、断面が1/4円状に形成された円弧状の2枚の反射材を用い、2枚の反射材の向きを同心円状に揃えて光ダクトの対角線方向に配置し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト4内に設置する(前記図7を90°回転させた形状)。
(6)図8(f)に示すように、くの字状に折り曲げた反射材を両端部を接触させ、中間部分を離間させて複数枚重ね合わせ、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト4内に設置する。
(7)図8(g)に示すように、断面が放物線の反射材を用い、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する。
【0018】(8)図8(h)に示すように、円筒形の第1の反射材の周囲に、板状の第2の反射材の一方端を取り付け、第2の反射材の他方端を光ダクトに取り付け、第1、第2の反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト4内に設置する。
(9)図8(i)に示すように、波型の反射材を光ダクトの対角線方向に配置し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト4内に設置する。
(10)図8(j)に示すように、断面が半円形状に形成された2枚の反射材を離間させ、円弧の頂部を対向させて2枚の反射材を水平方向に配置し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように光ダクト内に設置する。
【0019】(11)図8(k)に示すように、断面が略1/4円状に形成された円弧状の2枚の反射材を円弧の頂部を対向させて離間し、2枚の反射材を光ダクトの対角線方向に配置し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する。
(12)図8(l)に示すように、断面が半円形状に形成された2枚の反射材の端部を半円形の凸部が上側と下側になるように接続して反射面を形成し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する。
(13)図8(m)に示すように、断面が放物線状に形成された2枚の反射材の頂部を接続して、2枚の反射材を水平方向に配置し、反射材の反射面が光ダクト装置の長手方向に平行になるように、光ダクト内に設置する。なお、上記図8(a)〜(m)に示した拡散装置を光ダクトのX軸を中心に任意の角度回転させて使用してもよい。
【0020】拡散装置を上記のように構成することにより、前記図3、図4で説明した原理に基づき、光ダクトに入射した平行光を効果的に拡散することができる。また、より高い拡散効果を必要とする場合には、図9に示すように異なる形状の拡散装置を組み合わせて複数使用してもよい。図9は前記図8(c)に示した拡散装置23と、前記図5に示した拡散装置21を組み合わせた例を示しているが、その他前記した各種形状の拡散装置を適宜組み合わせることができる。さらに、図8に示した各種拡散装置を図10に示すように採光口2側とダクト終端側に設置する等、複数箇所に設置してもよい。拡散装置を光ダクト終端側に設けることにより終端で反射された光を再拡散し活用することができる。
【0021】なお、拡散装置のX方向の長さが長くなると光の反射回数が増え、減衰が大きくなるので拡散装置のX方向の長さは適切に設定する必要がある。また、拡散装置の曲線の形状は、上記したように円弧もしくは円、放物線にする外、楕円曲線等のその他の曲線にしてもよい。さらに、図8に示した各種形状の拡散装置の断面を、前記図6に示したように隣接する線の角度が鈍角をなす直線と直線の組み合わせからなる曲線に近似した形状としてもよい。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては、光ダクト装置内に、光を拡散させる拡散装置を設けたので、光ダクト内の光の密度を均一化することができ、室内の照度分布を均一化することができ、また、光の照射面に濃淡模様が生ずるといった問題を解消することができる。
【出願人】 【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
【識別番号】596056678
【氏名又は名称】東京伸銅株式会社
【出願日】 平成10年11月2日(1998.11.2)
【代理人】 【識別番号】100100930
【弁理士】
【氏名又は名称】長澤 俊一郎
【公開番号】 特開2000−149627(P2000−149627A)
【公開日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【出願番号】 特願平10−312481