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【発明の名称】 照明構造
【発明者】 【氏名】伊藤 由起

【氏名】平賀 健治

【氏名】東 和寿

【要約】 【課題】勾配天井を有する空間の照明に関し、この空間の天井面による圧迫感を緩和して、居住者に空間の狭さをあまり感じさせない照明構造を得る。

【解決手段】勾配天井2にスポットライト6,6を取り付け、このスポットライト6,6の照明光の照射方向を略下向きに設定する。勾配天井2,3の天井面を照明せず暗いままとする。居住者に、勾配天井2,3の存在をあまり意識させず勾配天井2,3による圧迫感を緩和できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 勾配天井を有する室内と、この室内を照明する照明器具とを備えた照明構造において、照明器具をスポットライトとし、このスポットライトを、照明光の照射方向を略下向きにして室内の勾配天井に取り付けていることを特徴とする照明構造。
【請求項2】 請求項1記載の照明構造において、スポットライトは、取り付け基板を備え、この取り付け基板が勾配天井にボルト止めされていることを特徴とする照明構造。
【請求項3】 請求項2記載の照明構造において、スポットライトは、ライト本体が、取り付け基板から延びるアームに回動自在に連結されて構成されていることを特徴とする照明構造。
【請求項4】 請求項1記載の照明構造において、妻側の室内壁面に、この壁面及びその周辺部を照明する照明器具が設けられていることを特徴とする照明構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は勾配天井を有する室内、つまり室内高さ寸法が屋根によって制約を受ける空間を照明するための構造に係る。特に、本発明は、この室内の狭さを感じさせないための照明手法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、住宅の最上階の部屋の一例として、屋根勾配に応じて天井面が部屋の外側に向かって下方に傾斜する所謂勾配天井を有しているものが知られている。
【0003】このような勾配天井を有する部屋は天井面による圧迫感があり、居住者は、室内空間を、実際の広さよりも狭く感じてしまうことがある。特に、寒冷地仕様の住宅にあっては、屋根に降り積もった雪を落下し易くするために、屋根の傾斜角度が一般の住宅よりも大きくなっている。このため、この寒冷地仕様の住宅の最上階の部屋が勾配天井を有するものである場合には、勾配天井の傾斜角度も大きくなり、天井面による圧迫感はより顕著である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者らは、この勾配天井を有する室内の狭さを感じさせないための手法について検討した。そして、日中は太陽光が室内に入射するために、この勾配天井の存在を居住者が認識してしまうことは止むを得ないものの、夜間については、照明器具による照明手法を改良することで、居住者に勾配天井の存在をあまり意識させないようにすることが可能であることを見出した。そこで、本発明の発明者らは、居住者に勾配天井の存在を意識させない照明手法に関して熟考した。
【0005】本発明は、このようにしてなされたものであり、その目的とするところは、勾配天井を有する室内の照明に関し、この室内の天井面による圧迫感を緩和して、居住者に室内の狭さをあまり感じさせない照明構造を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】−発明の概要−上記目的を達成するために、本発明は、照明光が勾配天井から下向きに照射させるように照明器具を配置して、居住者に勾配天井の存在をあまり意識させないようにした。
【0007】−解決手段−具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、勾配天井を有する室内と、この室内を照明する照明器具とを備えた照明構造を前提としている。この照明構造として、照明器具をスポットライトで構成する。また、このスポットライトを、照明光の照射方向を略下向きにして室内の勾配天井に取り付けている。
【0008】この特定事項により、スポットライトからの照明光は勾配天井の天井面から下向きに照射されて、室内空間及び床面を照明する。従って、勾配天井の天井面はあまり目立たなくなり、居住者は、勾配天井の存在をあまり意識することがない。その結果、この室内の勾配天井による圧迫感を緩和できる。
【0009】第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、スポットライトに取り付け基板を備えさせ、この取り付け基板を勾配天井にボルト止めしている。
【0010】この特定事項により、スポットライトを取り付けるための構造として、勾配天井の天井面にはボルト孔のみが形成される。つまり、スポットライトを取り付けるために天井面に大きな開口を設けるといったものではない。このため、照明器具の取り付け部分において天井内部の断熱材を削除するといった必要が無く、天井の断熱性を良好に確保したままでスポットライトを取り付けることができる。
【0011】第3の解決手段は、上記第2の解決手段において、スポットライトを、ライト本体が取り付け基板から延びるアームに回動自在に連結された構成としている。
【0012】この特定事項により、ライト本体の回動位置を変更することによって照明光の照射方向を変更することができる。このため、照明光による空間内の演出を居住者の嗜好に応じて変更したり、家具等のレイアウトに応じ照明光の照射方向を変更することが可能である。
【0013】第4の解決手段は、上記第1の解決手段において、妻側の室内壁面に、この壁面及びその周辺部を照明する照明器具を設けている。
【0014】この特定事項により、上述した第1の解決手段に係る作用を確保したままで、空間の水平方向の広がり感を演出することができる。つまり、この妻側の室内壁面を照明したとしても居住者に勾配天井を意識させることはないので、室内の水平方向の広がり感を強調することができる。
【0015】
【発明の第1実施形態】以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本例では、寒冷地仕様の住宅における2階室の照明手法として本発明を適用した場合について説明する。
【0016】図1は本形態に係る室内1を示している。この室内1は、住宅の2階室であって、屋根勾配に応じて天井面が外側に向かって下方に傾斜する勾配天井2,3を有している。特に、寒冷地仕様の住宅の場合、屋根に降り積もった雪を落下し易くするために、屋根の傾斜角度が一般の住宅よりも大きくなっている。このため、勾配天井2,3の傾斜角度も大きくなっており、この室内1の左右両側の天井高さは極端に低くなっている。例えば、この室内1の中央部分の天井高さは2.3mであるのに対し、左右両側部分の天井高さは50cmとなっている。
【0017】この室内1の1つの壁4(図1における奥側の壁)には窓5が設けられている。日中は、この窓5から太陽光が入射し、室内1への採光が行えるようになっている。
【0018】−照明器具の説明−本形態の特徴は、この室内1を照明するための照明器具6,7にある。この室内1は、複数のスポットライト6,6,…及び蛍光灯7により照明される。以下、各照明器具6,7について説明する。
【0019】スポットライト6,6,…は、左右の勾配天井2,3のうち図1において右側の勾配天井2に設けられている。詳しくは、図2に示すように、勾配天井2にボルト止め等の手段によって取り付けられた円盤状の基板61からアーム62が延びており、このアーム62の先端にランプ63が取り付けられている。このランプ63は、有底円筒状の本体64の内部に電球65が収容されている。また、この本体64の背面にはアーム62に接続する一対のブラケット66,66が取り付けられている。この一対のブラケット66,66によりアーム62が挟み込まれ、このブラケット66,66及びアーム62に亘って水平方向に延びるピン67が挿通されている。これにより、ランプ63は、このピン67を回動中心として回動(首振り)できるようになっている(図2の矢印参照)。本形態では、このランプ63が勾配天井2の天井面に略直交する斜め下方を向く回動位置に設定され、電球65を点灯することによって室内の床面8の中央部に向かって照明光を照射するようになっている。
【0020】上述の如く、このスポットライト6は、基板61がボルト止めによって勾配天井2に取り付けられている。このため、天井面にはボルト孔が形成されるのみである。つまり、スポットライト6を取り付けるために天井面に大きな開口を設けるといったものではなく、スポットライト6の取り付け部分において天井内部の断熱材を削除するといった必要はない。このため、天井の断熱性を良好に確保したままでスポットライト6を取り付けることができる。特に、本形態のように寒冷地仕様の住宅に対しては有効な構成である。
【0021】蛍光灯7は、左右の勾配天井2,3のうち図1において左側の勾配天井3に設けられている。この蛍光灯7の照明光が斜め下方に照射され、室内1の比較的広範囲を照明できるようになっている。
【0022】これら照明器具としてのスポットライト6及び蛍光灯7は、勾配天井2,3のうち高さが例えば2mの部分にそれぞれ配設されている。つまり、これら照明器具6,7の位置は、容易に居住者の手が届く位置となっている。また、これら照明器具6,7は、一般的なものに比べて小型に構成されている。つまり、勾配天井2,3に取り付けられた状態でのこれら照明器具6,7の存在感をできるだけ小さくして、居住者に勾配天井2,3の存在感をあまり意識させないようにしている。
【0023】また、スポットライト6の電球65としては、クリプトンを封入したミニクリプトン電球が採用されている。この電球は、一般のアルゴン電球よりも高効率で長寿命である。このため、電球の取り換え頻度の低減を図ることができる。
【0024】また、この室内1の図示しない入口部分の壁面には、上記各照明器具6,7を点灯及び消灯させるためのスイッチが設けられている。このスイッチは、スポットライト6及び蛍光灯7を同時に点灯及び消灯するものである。また、このスイッチとしては、スポットライト6及び蛍光灯7の点灯及び消灯が個別に行えるものであってもよい。
【0025】−照明状態の説明−以下、上述した各照明器具6,7による室内1の照明状態について説明する。
【0026】夜間において各照明器具6,7のスイッチをONする。これにより、各スポットライト6,6,…及び蛍光灯7が点灯する。これら照明器具6,7の照明光は、斜め下方に照射され、室内空間及び床面8を照明する。これにより、室内全体の明るさが良好に得られ、居住者が読書する場合等には、手元の明るさが良好に確保されることになる。
【0027】このような照明状態であるために、勾配天井2,3の天井面及びその周辺空間には、照明光があまり届かず、この勾配天井2,3の天井面は目立たない状態となっている。従って、居住者は、勾配天井2,3の存在をあまり意識することがない。その結果、この室内1の勾配天井2,3による圧迫感を緩和でき、居住者に空間の狭さをあまり感じさせないようにすることができる。
【0028】特に、スポットライト6は、回動自在に支持されているので、この回動位置を変更することによって照明光の照射方向を変更することができる。このため、照明光による室内空間の演出を居住者の嗜好に応じて変更することが可能である。また、このスポットライト6の回動により、家具等のレイアウトに応じて照明光の照射方向を変更することも可能である。
【0029】また、蛍光灯7は、広がり感のある照明光を放つので、この蛍光灯7からの照明光により、室内空間や床面8に陰影を生じさせないようにすることができ、上記スポットライト6とは異なった空間の演出が可能となる。
【0030】更に、各照明器具6,7の配設高さ位置は、居住者の手が容易に届く位置となっている。このため、各照明器具6,7の清掃や電球65の取り換え取え等の作業を比較的容易に行うことができる。
【0031】
【発明の第2実施形態】次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0032】図3は、上述した第1実施形態の蛍光灯7に代えて、上述と同様のスポットライト6,6,…を左側の勾配天井3に配設している。
【0033】また、図3における奥側の壁4(住宅の妻側の内壁)における窓5の両側には室内ランプ10,10が配設されている。この室内ランプ10,10は、半透明体のランプ本体11の内部に図示しない電球が収容されている。この電球を点灯させることにより、壁4及びその周辺空間を照明するようになっている。
【0034】本形態によれば、室内空間に上方から照明光を照射する照明器具の全てをスポットライト6,6,…としている。このため、指向性の高いスポットライト6,6,…からの照明光のみにより室内1を照明することになる。その結果、室内空間に「すっきり感」を演出することができ、これに伴って「シンプル」で「シャープ」な感じ(室内の明るい部分と暗い部分とのコントラストが際立った感じ)の室内演出を行うことができる。
【0035】また、室内ランプ10,10によって図3における奥側の壁4及びその周辺部分を照明していることにより、室内の水平方向の広がり感を演出することもできる。つまり、この壁4を照明したとしても居住者に勾配天井2,3を意識させることはないので、室内の水平方向(図3における奥行き方向)の広がり感を強調することができる。
【0036】
【その他の実施形態】上述した各実施形態では、寒冷地仕様の住宅における2階室の照明手法に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、寒冷地仕様でない通常の住宅における勾配天井を有する空間の照明手法として適用することも可能である。また、2階室に限らず、勾配天井を有する1階部分である吹き抜け空間や天井裏空間(所謂ロフト)の照明手法としても適用することが可能である。
【0037】上述した各実施形態では、各スポットライト6,6,…を同一高さ位置に配設していたが、これらの配設高さ位置を互いに異ならせるようにしてもよい。この場合には、天井面にリズム感を引き出すことができ、従来には無かった空間の演出手法を得ることができる。
【0038】更には、手元の明るさを確保する照明器具としてフロアスタンドやテーブルスタンドを付加してもよい。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下のような効果が発揮される。請求項1記載の発明では、勾配天井を有する空間の照明に関し、照明器具の照明光を勾配天井から下向きに照射させるようにして、居住者に勾配天井の存在をあまり意識させないようにした。つまり、勾配天井の天井面を目立たなくして、居住者が受ける勾配天井による圧迫感を緩和できるようにした。このため、居住者に空間の狭さをあまり感じさせないようにすることができる。言い換えると、勾配天井を有する空間でありながらも、照明手法を改良することで、天井が勾配していない空間であるかのように演出することができる。また、スポットライトを使用したことにより、照明される空間や床面に対し部分的に陰影をもたせるといった独特な演出を行うことができ、空間の演出効果を高めることができる。
【0040】請求項2記載の発明は、スポットライトをボルト止めのみによって勾配天井に取り付けている。つまり、スポットライトを取り付けるために天井に大きな開口を設けるといったものではない。このため、天井の断熱性を良好に確保したままでスポットライトを取り付けることができる。特に寒冷地の住宅のように、外気温度と室内温度との差が大きくなる住宅に対して有効である。
【0041】請求項3記載の発明は、スポットライトの首振りを可能にしている。このため、照明光の照射方向を任意に変更することができ、照明光による室内空間の演出を居住者の嗜好に応じて変更することが可能であり、この居住者の嗜好に応える照明手法を実現できる。また、室内の家具等のレイアウトに応じて照明光の照射方向を変更することも可能である。
【0042】請求項4記載の発明は、空間の妻側の内壁面に、この内壁面及びその周辺部を照明する照明器具を設けている。このため、請求項1記載の発明に係る効果を確保したままで、空間の水平方向の広がり感を演出することができる。つまり、この妻側の内壁面を照明したとしても居住者に勾配天井を意識させることはないので、室内の水平方向の広がり感を強調することができる。その結果、空間をよりいっそう広く見せることが可能であり、空間の居住性を良好に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
【出願日】 平成10年11月16日(1998.11.16)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
【公開番号】 特開2000−149609(P2000−149609A)
【公開日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【出願番号】 特願平10−325342