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【発明の名称】 屋内用照明器具
【発明者】 【氏名】岩井 彌

【氏名】齋藤 良徳

【氏名】野口 公喜

【氏名】山口 昌男

【要約】 【課題】部屋空間の明るさ感を、少ないワット数、すなわち省エネルギで得ることができる。

【解決手段】室内全体を照明する主照明とは別に補助照明器具として、住宅屋内の壁から30cm〜90cmの位置の天井1に設置され、照明器具2の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角10度から60度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも45%以上で、かつ壁方向の鉛直角10度から壁方向と対向する側の鉛直角60度までの範囲内の総光束量よりも多くする。これにより、壁面の輝度が高くなり、従来と同じ光束であれば、従来照明器具よりも高い明るさ感を得る。また、壁方向の鉛直角30度から40度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも15%以上にすることによって壁面の輝度を効果的に高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 室内全体を照明する主照明とは別に補助照明器具として、住宅屋内の壁から30cm〜90cmの位置の天井に設置される屋内用照明器具であって、前記照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角10度から60度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも45%以上で、かつ壁方向の鉛直角10度から壁方向と対向する側の鉛直角60度までの範囲内の総光束量よりも多いことを特徴とする屋内用照明器具。
【請求項2】 照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角30度から40度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも15%以上である請求項1記載の屋内用照明器具。
【請求項3】 照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも4%以上である請求項2記載の屋内用照明器具。
【請求項4】 照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向と対向する側の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも1%以上である請求項2記載の屋内用照明器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、住宅屋内の壁から30cm〜90cmの位置の天井に設置され、室内全体を照明する主照明とは別で、主照明と共に設置される補助照明器具に適用される屋内用照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、住宅屋内の部屋の照明は、シーリングライトやペンダント等の照明器具を1灯、部屋内中央部天井に設置して行っていた。しかし、この照明手法では、読書等の視作業を行うための部屋の比較的中央部に置かれる机の机上面の照度を確保しつつ、部屋全体を照明しなければならないために、どうしても壁面輝度と部屋の隅部の輝度が低くなり、明るさ感は器具全体の総光束に比べて低くなる。ここで言う明るさ感とは、部屋空間全体に対して感じる明るさの印象のことを示しており、机上面照度で評価される視作業面の明るさとは異なるが、視作業面の明るさと同様、部屋の照明の良否を決める重要な人間の感覚量である。壁面輝度や部屋の隅部の輝度は明るさ感に対する影響が強く、明るさ感を高めるためには、壁面輝度や部屋の隅部を照射するためのダウンライトを設置して、壁面輝度と部屋の隅部の輝度を上げ、明るさ感を高める方法が従来取られていた。
【0003】しかし、従来から上記目的で使用されていたダウンライトの配光には指向性はなく、壁面に向かう光量と、壁と反対側へ向かう光量に差はほとんどなかったため、明るさ感に与える影響は決して効果的ではなかった。そして、その解決策として、壁面方向に対する光量を特に増やすように光学設計された積極的に壁面を照明するウォールウォッシャー照明器具を指向性のないダウンライトに代わりに設置することが行われた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来から上記目的で使用されていたウォールウォッシャー照明器具は、壁方向に対する光量は確かに多いものの、今度は逆に壁反対方向に向かう光がほとんどなく、光源そのもの、または光源から反射板等に映ることにより観察される高輝度の領域が存在しない。ここで言う観察とは、器具の直下から器具を観察するような特殊な観察ではなく、部屋に入った時や部屋内で行う作業中に照明器具が視野内に入った時に観察される日常的で自然な観察を意味している。そして、器具自身に高輝度な領域が観察できないと、その照明器具から発せられる光により壁面が照明されているという認識がされにくく、器具自身の壁面の輝度が上昇しても、その上昇に対し期待できるほど、効果的に明るさ感を高めることはできない。
【0005】上記述べるように、部屋の明るさ感を高めるためには、■ 壁面輝度と部屋の隅の輝度が高いこと■ 器具を観察した時に器具自身に高輝度の領域が存在することが必要であるが、上記2条件を満足するよう考えられた主照明とは別に設置される屋内用補助照明器具は今まで存在していない。
【0006】したがって、この発明の目的は、部屋空間の明るさ感を、少ないワット数、すなわち省エネルギで得ることができる屋内用照明器具を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためにこの発明の請求項1記載の屋内用照明器具は、室内全体を照明する主照明とは別に補助照明器具として、住宅屋内の壁から30cm〜90cmの位置の天井に設置される屋内用照明器具であって、前記照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角10度から60度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも45%以上で、かつ壁方向の鉛直角10度から壁方向と対向する側の鉛直角60度までの範囲内の総光束量よりも多いことを特徴とする。
【0008】このように、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角10度から60度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも45%以上で、かつ壁方向の鉛直角10度から壁方向と対向する側の鉛直角60度までの範囲内の総光束量よりも多くすることにより、壁面の輝度が高くなり、従来と同じ光束であれば、従来照明器具よりも高い明るさ感を提供することができる。
【0009】請求項2記載の屋内用照明器具は、請求項1において、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角30度から40度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも15%以上である。このように、上記鉛直平面において、壁方向の鉛直角30度から40度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも15%以上とすることにより、壁面の輝度を高めることが特に効果的であり、さらに部屋の明るさ感を高めることができる。
【0010】請求項3記載の屋内用照明器具は、請求項2において、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも4%以上である。このように、上記鉛直平面において、壁方向の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が、器具全光束量の少なくとも4%以上とすることにより、部屋の隅部の輝度が高くなり、さらに部屋の明るさ感を高めることができる。
【0011】請求項4記載の屋内用照明器具は、請求項2において、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向と対向する側の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも1%以上である。このように、上記鉛直平面において、壁方向と対向する側の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が、器具全光束量の少なくとも1%以上であるので、この壁反対方向に向かう光によって器具を観察した時に器具自身に光輝度の領域が存在する。このため、照明器具から発せられる光により壁面が照明されているという認識がされ、器具自身の配光により壁面の輝度が上昇が一層効果的になり、明るさ感を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態の屋内用照明器具を図1〜図4に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態の屋内用照明器具の配光を示す説明図、図2はこの発明の実施の形態と従来例の明るさ感評価実験結果を示すグラフ、図3はこの発明の実施の形態の明るさ感を説明するための明るさ感評価実験結果を示すグラフ、図4はこの発明の実施の形態の屋内用照明器具を示す概念図である。
【0013】図1において、1は天井で、その開口部に臨むように天井裏側に屋内用照明器具2が設置されている。この屋内用照明器具2は、室内全体を照明する主照明(図示せず)とは別に補助照明器具として、住宅屋内の壁から30cm〜90cmの位置に主照明と共に設置される。図4に示すようにその構成は、下面が開口した筐体3と、筐体3の内部に取付けた反射板4と、反射板4で包囲された光源5と、光源5を点灯させるための点灯回路6および電源コード7とを備えている。反射板4は、ウォールウォッシャ照明器具と同等の形状を有しその軸心が壁方向に傾斜しており、開口部付近に観察者側から見て光輝度領域が存在するように、壁反対方向に光源の光を反射する拡散性反射物体8が形成してある。
【0014】上記構成の照明器具の配光を、図1に示す照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の垂直な平面を用いて説明する。その鉛直平面において、Wを壁面の輝度を高めるのに必要な壁方向の鉛直角10度から60度までの範囲内領域、SWを壁面の輝度を高めるのに特に必要な壁方向の鉛直角30度から40度までの範囲内領域、Cを部屋の隅部の輝度を高めるのに必要な壁方向の鉛直角60度から180度までの範囲内領域、Lを器具を観察した時に器具自身に高輝度の領域が存在するために必要な壁方向と対向する側の鉛直角60度から180度までの範囲内領域、Fを明るさ感を高める上で必要とされない上記4領域以外の壁方向の鉛直角10度から壁方向と対向する側の鉛直角60度までの範囲内領域と領域分けすると、部屋の明るさ感を高めるために必要な条件、■ 壁面輝度と部屋の隅の輝度が高いこと■ 器具を観察した時に器具自身に高輝度の領域が存在することを満足するために、L領域の総光束量が器具全体の総光束量の少なくとも1%以上、W領域の総光束量が器具全体の総光束量の少なくとも45%以上でかつF領域の総光束量よりも多く、SW領域の総光束量が器具全体の総光束量の少なくとも15%以上、C領域の総光束量が器具全体の総光束量の少なくとも4%以上になるように設定されている。
【0015】次にこの実施の形態の照明器具と従来の照明器具の明るさ感を比較すると、図2に示す実験結果が得られた。この場合、6畳部屋に、72W蛍光ランプを光源とする主照明器具(総光束:7200lm)を部屋中央部天井に設置すると共に、壁側天井に13W蛍光ランプ(総光束:800lm)を光源とする鏡面仕上げの反射板と白色塗装バッフルを有する照明器具(以下、基準照明器具と呼ぶ)を2灯設置する。この部屋全体に対して感じる明るさ感を100としたときの、上記部屋と並列に設置された6畳相当の部屋に、同じ72W蛍光ランプを光源とする主照明器具を部屋中央部天井に設置すると共に、壁側天井に13W蛍光ランプを光源とするこの発明の実施の形態の配光を有する照明器具を2灯設置した時の明るさ感を数値で観察者に対して回答させた実験結果を示している。
【0016】図2の実験結果には、同様の実験方法で求めた従来から用いられている白塗装の反射板を有する照明器具に対する実験結果と、鏡面仕上げの反射板を有する照明器具に対する実験結果も同時に示してある。また、これら実験により評価した各器具を設置した時の、正面壁の輝度と部屋の隅の輝度、そして観察者の観察位置から測定した器具反射板の輝度の値を表1にまとめる。
【0017】
【表1】

【0018】表1に示すように、72Wの主照明器具とこの発明の実施の形態の照明器具では、コーナ部平均輝度は26.1(cd/m2 )、正面壁平均輝度は59.4(cd/m2 )、器具の見かけの輝度は5500(cd/m2 )である。72Wの主照明器具と鏡面仕上げ反射板を有する照明器具では、コーナ部平均輝度は17.7(cd/m2 )、正面壁平均輝度は44.4(cd/m2 )、見かけの輝度は700(cd/m2 )である。72Wの主照明器具と白塗装反射板を有する照明器具では、コーナ部平均輝度は21.4(cd/m2 )、正面壁平均輝度49.6(cd/m2 )、見かけの輝度は4500(cd/m2 )である。
【0019】図2と表1は、この発明の実施の形態の照明器具は、正面壁の輝度と部屋の隅の輝度が高く、観察者から見たときに高い高輝度領域が存在していることから、従来の照明器具よりも同じ光束でありながら、従来照明器具よりも高い明るさ感を提供することができることを示している。また、この発明の実施の形態の照明器具は省エネルギにも貢献することを図3に示す。この場合、6畳相当の部屋中央部に一般的に用いられる72W蛍光ランプを光源とする主照明器具1灯(総光束:7200lm)を設置した時の部屋全体に対して明るさ感を100としたとき、上記部屋と並列に設置された6畳相当の部屋に、40W蛍光ランプを光源とする主照明器具1灯(総光束:3760lm)を部屋中央部天井に設置すると共に、壁側天井部に前述の実験で用いた13W蛍光ランプ(総光束:800lm)を光源とする基準照明器具を2灯を設置した時(総光束:3760lm+800lm×2=5360lm、約5400lm)の部屋全体に対して感じる明るさ感を観察者に数値で評価してもらった時の結果である。
【0020】図3の結果は40Wの主照明器具と13Wの基準照明器具2灯設置した時の部屋の明るさ感は、72Wの主照明器具1灯の時と同等の明るさ感であることを示しており、光束にして25%、ワット数5%の省エネルギを実現していることを示している。具体的には、40Wの主照明器具と基準照明器具2灯では、コーナ部平均輝度は16.3(cd/m2 )、正面壁平均輝度34.5(cd/m2 )、床面の照度は325(lx)であり、72Wの主照明器具1灯では、コーナ部平均輝度16.0(cd/m2 )、正面壁平均輝度28.9(cd/m2 )、床面の照度は400(lx)である。図1に示すように、この発明の実施の形態の照明器具は、この実験で比較対象として用いられた基準照明器具よりも同光束でより高い明るさ感を実現している器具であるので、基準照明器具よりも更なる省エネルギを実現できる。
【0021】この発明の実施の形態の照明器具を主照明器具と共に用いることで、従来と同光束でありながら、従来器具よりも高い部屋の明るさ感を得ることができるようになる。部屋の照明に対して「明るさ」を望む声は高く、この照明器具の使用により、人にとって快適な照明空間を提供することができる。
【0022】
【発明の効果】この発明の請求項1記載の屋内用照明器具によれば、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角10度から60度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも45%以上で、かつ壁方向の鉛直角10度から壁方向と対向する側の鉛直角60度までの範囲内の総光束量よりも多くすることにより、壁面の輝度が高くなり、従来と同じ光束であれば、従来照明器具よりも高い明るさ感を提供することができる。
【0023】請求項2では、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角30度から40度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも15%以上とすることにより、壁面の輝度を高めることが特に効果的であり、さらに部屋の明るさ感を高めることができる。請求項3では、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも4%以上とすることにより、部屋の隅部の輝度が高くなり、さらに部屋の明るさ感を高めることができる。
【0024】請求項4では、照明器具の器具中心を通り、器具中心から壁に向かう方向の鉛直な平面において、壁方向と対向する側の鉛直角60度から180度までの範囲内の総光束量が器具全光束量の少なくとも1%以上であるので、この壁反対方向に向かう光によって器具を観察した時に器具自身に光輝度の領域が存在する。このため、照明器具から発せられる光により壁面が照明されているという認識がされ、器具自身の配光により壁面の輝度が上昇が一層効果的になり、明るさ感を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成10年9月16日(1998.9.16)
【代理人】 【識別番号】100076174
【弁理士】
【氏名又は名称】宮井 暎夫
【公開番号】 特開2000−90708(P2000−90708A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−261245