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【発明の名称】 二輪自動車用前照灯
【発明者】 【氏名】野村 直史

【氏名】永野 浩一

【要約】 【課題】従来のこの種、車体の傾斜に対応させる二輪自動車用前照灯においては、反射鏡の一部を移動させ配光を形成するものであったので、被駆動部分の重量が大きく、移動量も大きくなり駆動部が大型化する問題点を生じていた。

【解決手段】本発明により、主反射部5cと右反射部5aと左反射部5bとが設けられて固定が行われた反射鏡5と、固定された固定フード部3cに付随して設けられ、車体に傾斜を生じないときには右反射部5aと左反射部5bとを遮蔽し、車体に傾斜を生じ対応する一方が駆動されたときには右反射部5aと左反射部5bとの対応する側に光を与える右可動フード部3aと左可動フード部3bとから構成されている二輪自動車用前照灯1としたことで、格段に軽量で且つ移動量も小さい部位である右可動フード部および左可動フード部を駆動する構成として課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可動部が設けられ、車体に傾斜を生じたときには前記可動部を駆動することで配光特性を補正する構成とされた二輪自動車用前照灯において、前記二輪自動車用前照灯は、主反射部と右反射部と左反射部とが設けられて固定が行われた反射鏡と、固定された固定フード部に付随して設けられ、車体に傾斜を生じないときには前記右反射部と左反射部とを遮蔽し、車体に傾斜を生じ対応する一方が駆動されたときには前記右反射部と左反射部との対応する側に光を与える右可動フード部と左可動フード部とから構成されていることを特徴とする二輪自動車用前照灯。
【請求項2】 前記右可動フード部と左可動フード部との駆動は、車体の傾きの程度に応じる駆動量として行われることを特徴とする請求項1記載の二輪自動車用前照灯。
【請求項3】 前記右反射部と左反射部とによる配光は、車体の正立時において車両の略正面と成るポイントから上方に左右各20°で拡がる扇形の範囲よりも外側を照射するものとされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の二輪自動車用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二輪自動車(オートバイ)用の前照灯に関するものであり、詳細には二輪自動車特有の動作である旋回時に車体が傾くと同時に前照灯も傾き、これにより生じる配光特性の不具合を補正する機構が設けられている前照灯に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の二輪自動車用前照灯の構成の例としては、例えば、特開平4−331678号公報に示されるように、反射鏡の一部に可動リフレクタを設けておき、車体に設けられた傾斜センサなどからの出力によりソレノイドなど駆動部で可動リフレクタを駆動することで、一部の光線の向きを変え配光特性の補正を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した従来の構成の二輪自動車用前照灯においては、可動リフレクタを駆動するときのストロークに比較的に大きな寸法が必要であるのと、可動のための機構部などが必要となり可動部の重量が増加するのとで、ソレノイドなど駆動部としては大型の駆動力の強力なものが要求され、前照灯全体としてはコストアップが避けられない問題点を生じている。
【0004】同時に、反射鏡を固定部と可動リフレクタとに分割して形成しなければならず、上記したように構成が煩雑化すると共に、固定部と可動リフレクタとの間に隙間を生じるなどして、レンズ面から覗き込むときには観視者に違和感を生じさせるという美観上の問題点も生じるものとなり、これらの点の解決が課題とされるものとなっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記した従来の課題を解決するための具体的な手段として、可動部が設けられ、車体に傾斜を生じたときには前記可動部を駆動することで配光特性を補正する構成とされた二輪自動車用前照灯において、前記二輪自動車用前照灯は、主反射部と右反射部と左反射部とが設けられて固定が行われた反射鏡と、固定された固定フード部に付随して設けられ、車体に傾斜を生じないときには前記右反射部と左反射部とを遮蔽し、車体に傾斜を生じ対応する一方が駆動されたときには前記右反射部と左反射部との対応する側に光を与える右可動フード部と左可動フード部とから構成されていることを特徴とする二輪自動車用前照灯を提供することで課題を解決するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1〜図4に符号1で示すものは本発明に係る二輪自動車用前照灯であり、この二輪自動車用前照灯1においても、旋回時などの車体の傾斜時において生じる配光特性の不具合を、可動部を設けることで解消を図るものである点は従来例のものと同様である。尚、以下の説明において前後、左右、上下などの方向は運転席から見る状態を基準とする。
【0007】ここで、本発明においては、従来は光源2からの直射光を遮蔽するのを主目的とされていたフード3に可動部としての右可動フード部3aと左可動フード部3bとを設けるものであり、この左右の両可動フード部3a、3bは固定フード部3cに適宜範囲で回動自在とするように軸3dにより軸支されている。
【0008】そして、軸3dの反対側の端部にはソレノイドなど適宜な駆動部4が設けられ、この駆動部4を駆動することにより、図2に示すように、前記右可動フード部3aと左可動フード部3b(図示は右可動フード部3aの例である)は軸3dを中心とする回動を行い、その大部分が固定フード部3c内に収納されるものとされている。
【0009】前記二輪自動車用前照灯1の反射鏡5には、右反射部5aと左反射部5bと主反射部5cとが形成されていて、駆動が行われないときには前記右可動フード部3aは光源2からの光が右反射部5aに達するのを遮蔽し、同様に左可動フード部3bは左反射部5bを遮蔽するものとされている。
【0010】従って、両可動フード部3a、3bが何れも駆動されないときには、光源2からの光は主反射部5cのみに達する(図1参照)ものとされ、この主反射部5cからの反射光はレンズ(図示は省略する)で適宜に拡散が行われて、車体が傾斜していないときのすれ違い配光を形成するものとされている。
【0011】そして、例えば右可動フード部3aに対し駆動が行われると、この右可動フード部3aは固定フード部3c内に収納される(図2参照)ものとなり、光源2からの光が右反射部5aに達するものとなる、尚、この実施形態においては右旋回を行い車体が右に傾斜するときには、左可動フード部3bが駆動されて左反射部5bに光が達するものとなり、このときに左反射部5bは車体の右方向に向かう反射光を生じるものとされている。
【0012】図3は上記フード3を、前記二輪自動車用前照灯1の車両への取付状態における上方から見る状態で示すものであり、右可動フード部3aと左可動フード部3bとはこの状態で前記光源2を通る中心線に沿い分離され、ここでの図示は省略するがそれぞれにソレノイドなどの駆動部4が設けられて個別に駆動が行えるものとされている。
【0013】図4は前記反射鏡5を前方正面から見る状態で示すものであり、主反射部5cの上方には右反射部3aと左反射部3bとが設けられている。尚、図示は前方正面から見る状態で示すものであるので、運転席側から見る状態とは左右が反対となっている。
【0014】次いで、上記の構成とした本発明の二輪自動車用前照灯1の作用および効果について説明する。図5に示すものは左旋回により車体が左に40°傾き、これにより右可動フード部3aが駆動されて右反射部5aからの反射光を生じたときの配光特性の例であり、主反射部5cからのすれ違い配光H1も左下がりに40°傾くものとなっている。
【0015】従って、これから進入しようとする左前方の路面には全く光は到達せず照明が行われることはないものとなる。そこで、本発明では前記右反射部5aからの反射光を車体が傾かない状態ですれ違い配光H1の上方左寄りに向かわせるものであり、このようにすることで車体が左側に傾いた状態では前記右反射部5aからの反射光は左前方の路面を照射するものとなる左旋回用配光H2となる。
【0016】図6は、図5に示したすれ違い配光H1と左旋回用配光H2とによる実際の走行時における路面の照射状態を示す説明図であり、前記すれ違い配光H1は上記にも説明したように左下がりとなり、車両の正面から右寄りの路面を照射するものとなり、これに対して左旋回用配光H2はすれ違い配光H1から枝別れする状態で左前方の路面を照射するものとなり、よって、これから進入する路面の確認が行えるものとなる。
【0017】また、同様に右旋回のときには左可動フード部3bが駆動されて左反射部5aからの反射光を生じ右旋回用配光(図示は省略する)が得られるものとなる。尚、このときに、本発明では図7に示すように、車体の正立時において車両の略正面と成るポイントから上方に左右各20°で拡がる扇形の範囲Dよりも外側を照射するものとされ、更に好ましくは範囲Eで示す部位を照射するものとして対向車などに対する眩惑光を生じないものとしている。
【0018】ここで、再び図1、図2を参照して本発明の構成としたときの作用、効果について考察してみると、従来例のものが部分的であるとはいえ比較的に大型である反射鏡を移動させていたのに対し、本発明ではフードの一部分、即ち、両可動フード部3a、3bを移動させるものであるので、移動させる対称物の質量が格段に小さく、よって、駆動部4も小出力のもので良いものとなる。
【0019】加えて、従来例の反射鏡の一部を可動させる構成では、所望する配光特性を得るためには前記駆動部に相当量のストロークが必要とされていたが、本発明の構成では、両可動フード部3a、3bの移動のために駆動部4に要求されるストロークは格段に小さく、この点でも駆動部4の小型化が可能となる。
【0020】更に、従来例の構成では、移動が行われる反射鏡(の一部)をもって、旋回用配光を得るものであるので、反射鏡の移動量に精度が要求されるものとなるが、本発明によれば、移動が行われる両可動フード部3a、3bは、予めに旋回用配光が設定されている両反射部5a、5bを遮蔽するか否かの作用を行えば良いものであるので、それ程に精度が要求されることはなく、構成が簡素化する。
【0021】図8に示すものは、本発明の別の実施形態であり、前の実施形態では右反射面5aと左反射面5bとは主反射面5cの上方に設けられるものとされていたが、本発明はこれを限定するものではなく、図示のように主反射面5cの左右に右反射面5aと左反射面5bとを分離して設けても良いものであり、このときには、前記両可動フード部3a、3bおよび固定フード部3cの形状も上記反射面に対応し適宜に変更すれば良いものとなる。
【0022】図9に示すものは、本発明の更に別の実施形態であり、上記の実施形態では両可動フード部3a、3bはソレノイドなど、二位置にのみに移動を行う駆動部4で駆動を行うものとして説明を行ったが、本発明はこれも限定するものではなく、例えばステッピングモータ6aと減速歯車6bとによる駆動部6としても良い。
【0023】この場合には、例えば、車体に生じる傾斜の度合いに応じて、徐々に右可動フード部3a(あるいは、左可動フード部3b)を可動させて行けば、右反射面5a(あるいは、左反射面5b)に光が達する面積も次第に拡がるものとなる。よって、右反射面5a(左反射面5b)の当初に光が達する部位には、比較的に大きな回転半径の曲路に対応する旋回用配光を割り付けておき、以下、次第に小さな回転半径の曲路に対応するものとしておけば、車体の傾きの度合いに旋回用配光も対応するものとなり、一層に現実の二輪自動車の走行に適するものとすることができる。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、主反射部と右反射部と左反射部とが設けられて固定が行われた反射鏡と、固定された固定フード部に付随して設けられ、車体に傾斜を生じないときには前記右反射部と左反射部とを遮蔽し、車体に傾斜を生じ対応する一方が駆動されたときには前記右反射部と左反射部との対応する側に光を与える右可動フード部と左可動フード部とから構成されている二輪自動車用前照灯としたことで、格段に軽量で且つ移動量も小さい部位である右可動フード部および左可動フード部を駆動することで旋回用配光が得られるものとして、駆動部の小型化を可能とし、また、上記両可動フード部を駆動することで精度もそれ程に要求されないものとし、以て、この種の二輪自動車用前照灯の構成の簡素化を可能としてコストダウンに極めて優れた効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成10年8月3日(1998.8.3)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2000−57811(P2000−57811A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−219003