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【発明の名称】 車両用前照灯装置
【発明者】 【氏名】垣添 孝成

【要約】 【課題】簡素な構造によってLOビームモードにおける前照灯装置の発光面積を増大させ、前方からの視認性と外観的なバランスを向上させる。

【解決手段】本発明に係る車両用前照灯装置は、LOビームランプ3と、これに隣接するプロジェクター方式のHIビームランプ4と、LOビームランプ3の光を一部変向させてHIビームランプ4のレンズ面17aに投光する変向投光手段を備えて構成される。上記変向投光手段としては、LOビームランプ3のリフレクター12に反射した反射光の一部をさらに反射させてHIビームランプ4のレンズ面17aに導く反射部24とするのが好ましい。この反射部24の形状は、HIビームランプ4の周囲を同心円状に囲む円錐面状に造形される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 LOビームランプ3と、上記LOビームランプ3に隣接するプロジェクター方式のHIビームランプ4と、上記LOビームランプ3の光を一部変向させて上記HIビームランプ4のレンズ面17aに投光する変向投光手段とを備えて構成されたことを特徴とする車両用前照灯装置。
【請求項2】 前記LOビームランプ3をリフレクター方式とし、前記変向投光手段を、LOビームランプ3のリフレクター12に反射した反射光の一部をさらに反射させて前記HIビームランプ4のレンズ面17aに導く反射部24とした請求項1に記載の車両用前照灯装置。
【請求項3】 前記反射部24の形状を、前記リフレクター12に反射した反射光の一部が前記HIビームランプ4の周囲からレンズ面17aに投光されるように、HIビームランプ4の周囲を同心円状に囲む円錐面状に造形した請求項2に記載の車両用前照灯装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LOビームランプとHIビームランプを兼備した車両用前照灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車や自動車のような車両の前照灯装置には、近くの走行路面を照らすLOビームランプと、遠方まで照らすHIビームランプとが兼備された形式のものが多い。なお、近年ではバルブとレンズが一体化されたプロジェクター方式のランプがHIビームランプ用として多用されている。
【0003】図7に示す自動二輪車の前照灯装置100 は上下2灯式のもので、上側がリフレクター方式のLOビームランプ101 、下側がプロジェクター方式のHIビームランプ102 となっている。LOビームランプ101 とHIビームランプ102 の切り替えは、ハンドルバー103 等に設けられたディマースイッチにより行われ、LOビームモードではLOビームランプ101 のみが点灯し、HIビームモードではLOビームランプ101 とHIビームランプ102 が共に点灯する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のようにLOビームモードではLOビームランプ101 のみしか点灯せず、前照灯装置100 の一部(ここでは上部)しか発光しないため、自動二輪車を前方から見た時の視認性が良くないばかりか、この前照灯装置100 のようにLOビームランプ101 とHIビームランプ102 が一体化されたようなデザインの前照灯装置では、LOビームモードにおける前照灯装置100 の外観的なバランスが悪くなる場合がある。
【0005】本発明に係る車両用前照灯装置は、このような問題点を解決するために発明されたものであり、その目的は、簡素な構造によってLOビームモードにおける前照灯装置の発光面積を増大させ、前方からの視認性と外観的なバランスを向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明に係る車両用前照灯装置は、請求項1に記載したように、LOビームランプと、上記LOビームランプに隣接するプロジェクター方式のHIビームランプと、上記LOビームランプの光を一部変向させて上記HIビームランプのレンズ面に投光する変向投光手段とを備えて構成されたことを特徴とする。
【0007】また、同じく前記目的を達成するため、本発明に係る車両用前照灯装置は、請求項2に記載したように、前記LOビームランプをリフレクター方式とし、前記変向投光手段を、LOビームランプのリフレクターに反射した反射光の一部をさらに反射させて前記HIビームランプのレンズ面に導く反射部とした。
【0008】さらに、目的を達成するため、本発明に係る車両用前照灯装置は、請求項3に記載したように、前記反射部の形状を、前記リフレクターに反射した反射光の一部が前記HIビームランプの周囲からレンズ面に投光されるように、HIビームランプの周囲を同心円状に囲む円錐面状に造形した。
【0009】請求項1に記載したように車両用前照灯装置を構成すれば、LOビームモードにした際に、変向投光手段によってLOビームランプの光が一部変向され、プロジェクター方式のHIビームランプのレンズ面に投光される。このため、HIビームランプが発光しているように見え、前照灯装置の発光面積が増大し、車両の前方からの視認性が向上するとともに、前照灯装置が全体的に発光するので外観的なバランスも良くなる。
【0010】また、請求項2に記載したように車両用前照灯装置を構成すれば、非常に簡素な構造により、LOビームモードにおける前照灯装置の発光面積を増大させることができる。
【0011】さらに、請求項3に記載したように車両用前照灯装置を構成すれば、リフレクターに反射したLOビームランプの反射光の一部が、HIビームランプの周囲からレンズ面に投光されるので、より多くの反射光を集めてHIビームランプのレンズ面に均等に投光させ、HIビームランプの照度を向上させることができる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る前照灯装置の第1実施形態を示す正面図であり、図2は図1の II-II線に沿う前照灯装置の縦断面図である。この前照灯装置1は、図7に示した自動二輪車に用いられるものである。
【0012】前照灯装置1は縦型2灯式であり、そのランプハウジング2の上部にLOビームランプ3が配置され、このLOビームランプ3の下方に隣接してHIビームランプ4が配置されている。なお、HIビームランプ4の前下部にはポジションランプ5が設けられる。
【0013】ランプハウジング2は、ハウジング本体7と、その前面を覆うように被装される透明なハウジングレンズ8とが接合される構造であり、ハウジング本体7の周囲に突設された6つの固定アーム9が図示しないスクリューにより自動二輪車のフロントカウリング等に締結固定されるようになっている。
【0014】LOビームランプ3は、例えばハロゲンバルブ11の光を凹面鏡状のリフレクター12で集光し、前方に反射させて路面を照射するリフレクター方式のランプである。リフレクター12は、例えば表面にアルミ蒸着やクロームメッキが施された合成樹脂成型品であり、ハロゲンバルブ11と共にキャップ13に取り付けられ、キャップ13がハウジング本体7の上段に設けられたリセプター14に固定される。
【0015】一方、HIビームランプ4は、ハロゲンバルブ16の光を半球形のプロジェクターレンズ17で増幅して前方を照射するプロジェクター方式のランプであり、そのランプボディー18の後部がキャップ19を介してハウジング本体7の下段のリセプター20に固定されている。
【0016】さらに、図3にも示すような形状のエクステンション22がランプハウジング2内に設置されている。このエクステンション22は、リフレクター12と同様に、表面にアルミ蒸着やクロームメッキが施された合成樹脂成型品であるが、例えばアルミやステンレス等の金属材料をプレス成型してクロームメッキ仕上げや研磨仕上げを行ってもよい。
【0017】エクステンション22は、LOビームランプ3(リフレクター12)の周囲を囲むリム部23と、その下部に繋がってHIビームランプ4の上側半周を囲む形状に形成された反射部24と、リム部23の内周縁に形成されてリフレクター12側に延びる短い筒状のエクステンションスリーブ25とを備えて構成されており、リム部23の左右および上部に形成された3つの固定片26がビス27でハウジングレンズ8の内面に固定されるようになっている。反射部24は、請求項1に記載した変向投光手段の一例として機能するものであり、反射部24の前縁には細い扇状のフランジ28が形成されている。
【0018】ところで、リフレクター12の下面12aの形状は、HIビームランプ4の上方を覆うような湾曲面に造形されているが、エクステンションスリーブ25の下面25aは、リフレクター12の下面12aに対し、一定の間隙Sを持って上方に位置するように造形されている。また、この下面25aの角度は、リフレクター12の下面12aの角度にほぼ平行するように浅く前下がりに設定されている。
【0019】一方、反射部24の形状は、HIビームランプ4の周囲を同心円状に囲む半径R(図3参照)の円錐面状に造形されており、反射部24の前後位置は、HIビームランプ4のプロジェクターレンズ17とランプボディー18の接合部のほぼ真上に設定されている。このため、反射部24前縁のフランジ28がプロジェクターレンズ17の上部にかかる位置となっている。
【0020】また、反射部24の角度は、図4に拡大して示すように、反射部24からリフレクター12の凹面鏡部12bまでを結ぶ導線L1の、反射部24に対する相対角度αと、反射部24からHIビームランプ4のレンズ面17aまでを結ぶ導線L2の、反射部24に対する相対角度βとがほぼ等しくなるように設定される。なお、反射部24の下面(後面)には、反射率を高めるために、リフレクター12の凹面鏡部12b等と同様な鏡面仕上げが施されるが、例えば鏡面状の反射材を反射部24の下面に貼着して反射率を高めてもよい。
【0021】以上のように構成された前照灯装置1は、自動二輪車のハンドルバー等に設けられたディマースイッチによってLOビームモードかHIビームモードが選択される。LOビームモードが選択されると、LOビームランプ3のみが点灯し、HIビームモードが選択されると、LOビームランプ3とHIビームランプ4が同時に点灯する。
【0022】LOビームモードにおいて、LOビームランプ3のハロゲンバルブ11が点灯すると、その光はリフレクター12の凹面鏡部12bに反射し、その大部分の反射光Aがエクステンションスリーブ25の内側を通ってハウジングレンズ8を透過し、前方(走行路面)に照射される。
【0023】しかし、一部の反射光Bは、図4に示す導線L1と導線L2に沿ってHIビームランプ4のレンズ面17aに導かれる。即ち、一部の反射光Bはリフレクター12の下面12aとエクステンションスリーブ25の下面25aとの間の間隙Sを抜けて反射部24に反射して変向され、HIビームランプ4のレンズ面17aに投光される。
【0024】このため、LOビームランプ3しか点灯しないLOビームモードにおいても、HIビームランプ4が発光しているように見え、正面から見た前照灯装置1の発光面積が増大する。これにより、前方からの自動二輪車の視認性が格段に向上するとともに、前照灯装置1が全体的に発光する(ハウジングレンズ8が全体的に光る)ので前照灯装置1および自動二輪車の外観的なバランスも良くなる。
【0025】反射部24の形状は、前に述べたようにHIビームランプ4の周囲を同心円状に囲む半径Rの円錐面状であるため、反射部24に反射した反射光BはHIビームランプ4の周囲からレンズ面17aに投光される。これにより、より多くの反射光Bが集められてHIビームランプ4のレンズ面17aに均等に投光され、HIビームランプ4の照度が高められるため、前記効果が助長される。
【0026】また、この前照灯装置1では、変向投光手段となる反射部24がエクステンション22に一体に形成されており、変向投光手段として他に格別な構造を設ける必要が一切ないため、非常に簡素な構造によってLOビームモードにおける前照灯装置1の発光面積を増大させることができる。
【0027】ところで、図5は本発明に係る前照灯装置の第2実施形態を示す横断面図である。この前照灯装置31は自動二輪車用の横型2灯式のものであり、そのランプハウジング32内の右側にLOビームランプ33が配置され、左側にHIビームランプ34が配置されている。なお、ランプハウジング32は、ハウジング本体35と透明なハウジングレンズ36とが接合された構造である。
【0028】LOビームランプ33は、例えば高圧放電バルブ38の光をリフレクター39で集光し、前方に反射させるリフレクター方式であり、リフレクター39は高圧放電バルブ38と共にキャップ40に取り付けられ、キャップ40がハウジング本体35右側のリセプター41に固定される。また、プロジェクター方式のHIビームランプ34は、そのランプボディー43の後部がキャップ44を介してハウジング本体35左側のリセプター45に固定される。
【0029】そして、合成樹脂製または金属製のエクステンション47がLOビームランプ33とHIビームランプ34の前方に設置される。このエクステンション47にはアルミ蒸着やクロームメッキ等により鏡面仕上げが施されており、左右一対の開口部48,49が形成されている。
【0030】各開口部48,49は、それぞれLOビームランプ33とHIビームランプ34の位置に整合する。そして、右側の開口部48の中央寄りの縁部に、変向投光手段としての反射部50が形成されている。なお、外観向上のため、エクステンション47は左右対称の形状を付与されている。
【0031】反射部50の角度は、図6に拡大して示すように、反射部50からリフレクター39の凹面鏡部39aまでを結ぶ導線M1の、反射部50に対する相対角度γと、反射部50からHIビームランプ34のレンズ面34aまでを結ぶ導線M2の、反射部50に対する相対角度δとがほぼ等しくなるように設定される。
【0032】この前照灯装置31の場合も、LOビームランプ33のみが点灯するLOビームモードにおいて、高圧放電バルブ38の光は、リフレクター39の凹面鏡部39aに反射し、その大部分の反射光Cがエクステンション47の右側の開口部48を通過して前方に照射されるが、一部の反射光Dはエクステンション47の反射部50で反射して変向され、HIビームランプ34のレンズ面34aに投光される。
【0033】よって、LOビームランプ33しか点灯しないLOビームモードにおいても、HIビームランプ34が発光しているように見え、正面から見た前照灯装置31の発光面積が増大して自動二輪車の視認性が向上し、前照灯装置31および自動二輪車の外観的なバランスも良くなる。
【0034】なお、前記第1および第2実施形態では自動二輪車用の前照灯装置に本発明に係る構成を適用した例について説明したが、自動二輪車用の前照灯装置に限らず、自動車や他の車両の前照灯装置にも本発明の構成を幅広く適用することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る車両用前照灯装置は、LOビームランプと、上記LOビームランプに隣接するプロジェクター方式のHIビームランプと、上記LOビームランプの光を一部変向させて上記HIビームランプのレンズ面に投光する変向投光手段とを備えて構成されたことを特徴とするものであり、これによれば、LOビームモードにおいてもHIビームランプが発光しているように見えるため、前照灯装置の発光面積を増大させて前方からの視認性を向上させるとともに、外観的なバランスを良好にすることができる。
【0036】また、本発明に係る車両用前照灯装置は、前記LOビームランプをリフレクター方式とし、前記変向投光手段を、LOビームランプのリフレクターに反射した反射光の一部をさらに反射させて前記HIビームランプのレンズ面に導く反射部としたため、非常に簡素な構造によってLOビームモードにおける前照灯装置の発光面積を増大させることができる。
【0037】さらに、本発明に係る車両用前照灯装置は、前記反射部の形状を、前記リフレクターに反射した反射光の一部が前記HIビームランプの周囲からレンズ面に投光されるように、HIビームランプの周囲を同心円状に囲む円錐面状に造形したため、より多くの反射光を集めてHIビームランプのレンズ面に均等に投光させ、HIビームランプの照度を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成10年8月10日(1998.8.10)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【公開番号】 特開2000−57807(P2000−57807A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−226337