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【発明の名称】 車両灯具用レンズ
【発明者】 【氏名】丸山 淳子

【氏名】小原 禎二

【要約】 【課題】透明性、低吸湿性、耐熱性、機械的強度などに優れ、薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、しかも高温高湿度環境下における白濁防止性に優れた車両灯具用レンズを提供すること。

【解決手段】脂環式構造含有熱可塑性樹脂に、白濁防止剤として、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有するアルコール性化合物、(2)エラストマー、(3)脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な前記以外の化合物、及び(4)有機または無機のフィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含有せしめてなる樹脂組成物から形成された車両灯具用レンズ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脂環式構造含有熱可塑性樹脂に、白濁防止剤として、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有するアルコール性化合物、(2)エラストマー、(3)脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な前記以外の化合物、及び(4)有機または無機のフィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含有せしめてなる樹脂組成物から形成された車両灯具用レンズ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂製の車両灯具用レンズに関し、さらに詳しくは、透明性、低吸湿性、耐熱性、機械的強度などに優れ、薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、しかも高温高湿度環境下における白濁防止性に優れた車両灯具用レンズに関する。本発明の車両灯具用レンズは、自動車、二輪車、トラック、バス、電車等の各種車両の灯具用レンズとして使用される。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車などの各種車両に対する低燃費化、車体の低空気抵抗化、高性能化、高品質化、低コスト化などの要求が高まるに伴って、車両の各種部品に対する軽量化、デザインの複雑化、精密加工化、ガラスや金属部品からのプラスチック部品への代替化などが急速に進められている。車両灯具に関しても、灯具用レンズのプラスチック化とともに、レンズの薄肉化や微細な表面構造の形成などが図られている。ところが、以下に詳述するように、従来の樹脂材料では、近年の高度化する諸要求に対応し得る車両灯具用レンズを作製することが困難になっている。
【0003】車両灯具としては、照明灯及び表示灯があり、より具体的には、前照灯、補助前照灯、車幅灯、番号灯、尾灯、駐車灯、制動灯、後退灯、方向指示器灯、補助方向指示器灯、非常点滅表示灯などがある。これらの車両灯具では、光源または反射鏡から照射された光を所望の方向に収束もしくは拡散させて、所望の方向への輝度を上げるために、灯具ひとつ当たり通常1〜3枚程度のレンズが使用されている。車両灯具には、アウターレンズ及びインナーレンズからなる二重レンズ構造のものや、一重レンズ構造のものが多い。これらの車両灯具に使用されるレンズには、凸レンズ、魚眼レンズ、曲面状レンズ、平板状レンズなど様々の種類があるが、多くの場合、その表面に複数のプリズムパターンなどのレンズカットが形成されており、それによって、光の到達距離や広がりを、用途や目的によって調整している。
【0004】微細な表面構造が形成された車両灯具用レンズとしては、例えば、出射光束を収束または拡散させるためにプリズムカット状の多数の凹凸が形成されたもの、同心円状に屈折型または反射型のフレネルカットが形成されたもの、微小間隔で干渉縞を形成したホログラム部を有するものなどがある。プリズムの形状には、波状のものやパルス状のもの、これらを組み合わせたものなど多種類がある。また、一枚のレンズに、フレネル部とホログラム部を形成したものなどもある。車両灯具では、ランプ(光源)性能の向上により、照度が上がるとともに、ランプ自体の発熱量が大きくなってきている。同時に、車両灯具自体の小型化や薄型化、部品の小型化や軽量化が進められている。また、車両灯具には、透明感などの外観上の高級感も要求されている。
【0005】このような状況下において、車両灯具用レンズに使用されるプラスチック材料には、透明性や機械的強度などに優れると共に、薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、かつ、高度の耐熱性を有することが求められている。すなわち、レンズ使用枚数を減らしたり、レンズ自体を軽量化するため、薄肉かつ微細な表面構造を持つレンズの開発が進められており、例えば、フレネルレンズの場合、レンズ表面に数十μm幅の多数の細い溝を形成する必要がある。したがって、プラスチック材料には、溶融加工時の流動性に優れ、かつ、精密加工性を有することが求められる。また、車両灯具には、ランプ性能の向上と車両灯具の小型化や薄型化に伴って、従来以上にレンズのごく近くにランプを設置し、点灯時の低温から連続使用中の高温まで、一定方向に光を安定して収束または拡散することができる性能が要求されるため、レンズ用のプラスチック材料に対して、ますます高い耐熱性が求められている。
【0006】従来より、車両灯具用レンズ用のプラスチック材料としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂などが使用されている(例えば、特開平9−45112号公報、特開平9−45113号公報、特開平9−39653号公報)。これらのうち、ポリスチレン樹脂及びアクリル樹脂は、溶融流動性が高く成形加工性に優れているが、耐熱性が低い。したがって、これらの樹脂製のレンズは、ランプの発熱で変形しやすい。そのため、これらの樹脂製のレンズを用いた車両灯具では、レンズとランプとの間に充分な距離を取る必要があり、ランプ性能の向上と車両灯具の小型化や薄型化に対応することが困難である。しかも、これらの樹脂は、耐衝撃性に劣るため、車両の衝突や飛来した小石により、レンズが割れ易いという問題があった。また、アクリル樹脂は、吸水率が高く、吸水による変形を生じることがあるため、ランプカバー等の外部環境に直接触れるレンズの材料には適さない。ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂は、荷重たわみ温度が130℃以上と高い耐熱性を有しているが、溶融流動性に劣り、薄肉成形や精密加工が困難である。これらの樹脂は、溶融流動性を高めるために成形温度を上げると、成形機内で加水分解し易く、外観が良好なレンズを安定的に得ることが難しい。
【0007】近年、耐熱性及び耐水性(低吸湿性)に優れたプラスチック材料として、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が開発されており、レンズなどの光学材料としての用途展開も図られている。具体的に、特開昭61−292601号公報には、エチレンとノルボルネン系モノマーを付加重合して得た熱可塑性ノルボルネン系樹脂を光学材料として使用することが提案されており、光学材料のひとつとして、自動車や自転車のライトまたはランプに使用するフレネルレンズが挙げられている。しかし、この熱可塑性ノルボルネン系樹脂製のレンズは、車両や車両用灯具がしばしば曝される高温高湿度環境下において、白濁が生じて透明性が消失しまうという問題点があった。レンズの透明性が消失すると、照明や表示の機能が阻害されるだけではなく、車両灯具の透明感や奥行感などの外観上の高級感も損なわれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透明性、低吸湿性、耐熱性、機械的強度などに優れ、薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、しかも高温高湿度環境下における白濁防止性に優れた車両灯具用レンズを提供することにある。本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性ノルボルネン系樹脂などの脂環式構造含有熱可塑性樹脂に、多価アルコールの部分エーテル化物や部分エステル化物などの特定のアルコール性化合物、エラストマー、該脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な化合物、有機または無機のフィラーなどの一種以上を配合した樹脂組成物を用いて、プレス成形や射出成形などによりレンズを作製したところ、薄肉や微細な表面構造の成形が可能で、しかも、透明性、低吸湿性、耐熱性、機械的強度に優れ、さらには、高温高湿度環境下における白濁防止性が顕著に優れ、特に車両灯具用レンズに適したレンズの得られることを見いだした。熱可塑性ノルボルネン系樹脂などの脂環式構造含有熱可塑性樹脂を光学材料の用途に使用する場合、一般に、このような物質は配合されていない。ましてや、脂環式構造含有熱可塑性樹脂にこれらの物質を配合した樹脂組成物によりレンズを形成した場合、高温高湿度条件下で、白濁が防止されることは、予期し得ないことであった。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、脂環式構造含有熱可塑性樹脂に、白濁防止剤として、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有するアルコール性化合物、(2)エラストマー、(3)脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な前記以外の化合物、及び(4)有機または無機のフィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含有せしめてなる樹脂組成物から形成された車両灯具用レンズが提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】脂環式構造含有熱可塑性樹脂本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環式の環構造を有するものであり、機械的強度や耐熱性などの観点から、主鎖に脂環構造を含有するものが好ましい。脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン構造)や不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度や耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好適である。脂環構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
【0011】本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性に劣り好ましくない。脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の環構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。かかる脂環式構造を有する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物などの熱可塑性ノルボルネン系樹脂、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物がより好ましい。
【0012】(1)ノルボルネン系重合体及びその水素添加物ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などで開示される方法によって、ノルボルネン系モノマーを重合したものが用いられる。具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性や耐候性を高度にバランスさせる上で、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
【0013】ノルボルネン系モノマーは、上記各公報や特開平2−227424号公報、特開平2−276842号公報などに開示されている公知のモノマーであって、例えば、ノルボルネン構造を有する多環炭化水素;そのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体;ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換誘導体;これら極性基を有するアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体;などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン構造を有する多環炭化水素、及びそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体などが、高温高湿度環境下における白濁防止性などに優れ好適である。
【0014】ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3−エン;テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン;8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14.01,10.0 3,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシクロ[6.5.11,8.13,6.0 2,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.13,6.1 10,13.01,9.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン;などを挙げることができる。
【0015】これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ノルボルネン系重合体中のノルボルネン系モノマー単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上であるものが耐熱性に優れ好適である。ノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらのビニル化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】ノルボルネン系モノマーまたはノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物との(共)重合方法及び水素添加方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、ノルボルネン系モノマーを、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩、またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で開環(共)重合させることにより得ることができる。触媒系に、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などの第三成分を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。
【0017】ノルボルネン系モノマーとビニル化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に従って、開環(共)重合体などの不飽和結合を有するノルボルネン系重合体を、水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
【0018】(2)単環の環状オレフィン系重合体単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系モノマーの付加重合体を用いることができる。
【0019】(3)環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系モノマーを1,2−または1,4−付加重合した重合体、及びその水素添加物などを用いることができる。
【0020】(4)ビニル脂環式炭化水素重合体ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、特開昭51−59989号公報に開示されているビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどの脂環式構造含有ビニル系モノマーを重合した重合体及びその水素添加物、特開昭63−43910号公報や特開昭64−1706号公報などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマーを重合した重合体の芳香環部分の水素添加物などを用いることができる。本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜150,000、より好ましくは5,000〜100,000、最も好ましくは10,000〜80,000の範囲である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときに、機械的強度と成形加工性のバランスが保たれ好適である。本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサンを溶媒とするGPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表すと、通常5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下である。
【0021】本発明で使用する脂環式構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50〜350℃、好ましくは70〜320℃、より好ましくは90〜300℃の範囲である。樹脂のTgが高いほど、レンズ使用時のランプの発熱による変形に耐えられる耐熱性が高くなり、当該樹脂製のレンズをランプに近接して使用しても変形しないため好ましい。樹脂のTgが高すぎると、成形時に成形材料を加温する温度が高温となるため加工しにくい場合が生じることがある。したがって、樹脂のTgは、前記範囲にある時に、耐熱性と成形加工性が高度にバランスして好適である。本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂の温度280℃、荷重2.16kgfにおけるJIS K6719により測定したメルトフローレートは、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常1〜100g/10min、好ましくは2〜70g/min、より好ましくは3〜50g/10minの範囲である時に、薄肉や微細構造の成形性が最適となり好ましい。これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】白濁防止剤本発明の車両灯具用レンズは、レンズ材料の脂環式構造含有熱可塑性樹脂に、白濁防止剤として、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有するアルコール性化合物、(2)エラストマー、(3)脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な前記以外の化合物、及び(4)有機または無機のフィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を配合することにより、透明性、低吸湿性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、高温高湿度環境下における白濁防止性を改善した点に特徴を有する。白濁防止剤は、これらの中でも、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有するアルコール性化合物及び(2)エラストマーが、透明性、耐熱性、成形加工性、及び高温高湿度環境下における白濁防止性を高度にバランスさせ好適である。
【0023】(1)アルコール性化合物本発明に使用されるアルコール性化合物は、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合とを有する化合物、あるいは、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合とを有する化合物である。少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合を有する化合物とは、フェノール性の水酸基ではないアルコール性の水酸基を少なくとも1個と、分子中にエーテル結合単位を少なくとも1個とを有する有機化合物であれば特に限定はされない。例えば、好ましくは2価以上の多価アルコール、より好ましくは3価以上の多価アルコール、さらに好ましくは3〜8個の水酸基を有する多価アルコールなどの水酸基の一部がエーテル化された部分エーテル化合物が挙げられる。また、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合とを有する化合物とは、フェノール性の水酸基ではないアルコール性の水酸基を少なくとも1個と、分子中にエステル結合単位を少なくとも1個とを有する有機化合物であれば特に限定はされない。例えば、好ましくは2価以上の多価アルコール、より好ましくは3価以上の多価アルコール、さらに好ましくは3〜8個の水酸基を有する多価アルコールなどの水酸基の一部がエステル化された部分エステル化合物が挙げられる。
【0024】2価以上の多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビトール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサンペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、これらのうち、特に3価以上の多価アルコール、さらには3〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。また、部分エステル化物を得るには、α、β−ジオールを含む部分エステル化物が合成可能なグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどが好ましい。
【0025】このような部分エーテル化物及び部分エステル化物として、具体的には、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートなどの多価アルコールのエステル化物、及び対応するエーテル化物;3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、1,6−ジヒドロオキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキシ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化物、p−オクチルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化物、p−オクチルフェニルエーテルとジシクロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化物などが挙げられる。これらの多価アルコールのエーテル化合物またはエステル化合物の分子量は、特に限定されないが、通常100〜3000、好ましくは200〜2000、より好ましくは300〜1500の範囲であるときに、透明性と白濁防止効果が高度にバランスされ好適である。
【0026】(2)エラストマーエラストマーは、ガラス転移温度が40℃以下の重合体であって、通常のゴム質重合体及び熱可塑性エラストマーが含まれる。なお、ブロック共重合したゴム質重合体などで、ガラス転移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であれば、本発明のガラス転移温度が40℃以下のエラストマーとして用いることができる。エラストマーの例としては、イソプレンゴム、その水素添加物;クロロプレンゴム、その水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などの飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体などのジエン系共重合体、これらのハロゲン化物、ジエン系重合体またはそのハロゲン化物の水素添加物;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、その水素添加物;フッ化ビニリデン・三フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン・四フッ化エチレン共重合体、プロピレン・四フッ化エチレン共重合体などのフッ素ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエーテル系ゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレンアクリルゴムなどの特殊ゴム;ノルボルネン系モノマーとエチレンまたはα−オレフィンとの共重合体、ノルボルネン系モノマーとエチレンとα−オレフィンの三元共重合体、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物などのノルボルネン系ゴム質重合体;乳化重合または溶液重合したスチレン・ブタジエンゴム、ハイスチレンゴムなどのランダムまたはブロックのスチレン・ブタジエン系共重合体、これらの水素添加物;スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンゴムなどの芳香族ビニル系モノマーと共役ジエンのランダム共重合体、これらの水素添加物;スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンゴムなどの芳香族ビニル系モノマーと共役ジエンとの直鎖状または放射状ブロック共重合体、これらの水素添加物などのスチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;等が挙げられる。
【0027】これらの中でも、芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーとの共重合体、及びその水素添加物が、脂環式構造含有熱可塑性樹脂との分散性が良好で好ましい。芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーとの共重合体はブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。耐熱性の点からは、芳香環以外の部分を水素添加している水添共重合体がより好ましい。具体的には、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0028】(3)脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な前記以外の化合物脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な前記以外の化合物は、前記のアルコール製化合物やエラストマー以外の化合物であって、かつ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な化合物である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶な化合物は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂に完全に溶解しない非相溶化合物であれば特に限定はされない。非相溶については、樹脂工業界の常法に従って判断される。例えば、脂環式構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対し、化合物5重量部を溶融混合した組成物を、電子顕微鏡で10万倍に拡大観察し、10cm×15cmの範囲の中に1mm2以上のドメインまたは粒子を少なくとも1個以上有するものを非相溶と定義することができる。
【0029】非相溶な化合物としては、通常、脂環式構造含有熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂が用いられる。脂環式構造含有熱可塑性樹脂と非相溶なその他の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテルなどのポリエーテルまたはポリチオエーテル;芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどのポリエステル系重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−ペンテン−1などの鎖状ポリオレフィン系重合体;ポリメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレート共重合体、ポリアクリロニトリルスチレン(AS樹脂)などの汎用の透明樹脂;アクリル樹脂;MS樹脂;液晶プラスチックなどが挙げられる。
【0030】これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂に非相溶の化合物を添加すると、多くの場合、成形品に多数の分散したミクロドメインが形成される。ミクロドメインを形成する場合には、電子顕微鏡で観察したドメインの平均粒径[(長径+短径)/2]は、通常0.001〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.3μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmの大きさである時に、成形品の透明性と、高温高湿度環境下での白濁防止効果が高度にバランスされ好適である。
【0031】(4)有機または無機のフィラー有機または無機のフィラーは、高分子工業分野で一般に使用されているものであれば、特に限定されない。有機フィラーとしては、通常の有機重合体粒子または架橋有機重合体粒子を用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテンなどのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどのハロゲン含有ビニル重合体;ポリアリレート、ポリメタクリレ―ト、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル共重合体などのα,β−不飽和酸またはその誘導体から誘導された(共)重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスレアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの不飽和アルコール及びアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールから誘導された重合体;ポリエチレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルから誘導された重合体;ポリフェニレンオキシド;ポリカーボネート;ポリスルフォン;ポリウレタン及び尿素樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−ジメチロール・シクロヘキサンテレフタレートなどのポリエステル;フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒドと、フェノール、尿素またはメラミンとから誘導された架橋構造を有する重合体;アルキッド樹脂;セルロース、ゴム、蛋白質、またはそれらの誘導体、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどの天然高分子化合物;などの粒子または架橋粒子を挙げることができる。
【0032】無機フィラーとは、1族、2族、4族、6族、7族、8〜10族、11族、12族、13族、または14族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩、及びこれらの含水化合物、これらを中心とする複合化合物、これらの化学的組成を持つ天然鉱物粒子である。具体的には、フッ化リチウム、硼砂(硼酸ナトリウム含水塩)などの1族元素化合物;炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム含水塩(タルク)、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、フッ化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウム、燐酸バリウム、硫酸バリウム、亜燐酸バリウムなどの2族元素化合物; 二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、一酸化ジルコニウムなどの4族元素化合物;二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデンなどの6族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガンなどの7族元素化合物;塩化コバルト、酢酸コバルトなどの8〜10族元素化合物;沃化第一銅などの11族元素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛などの12族元素化合物;酸化アルミニウム(アルミナ)、フッ化アルミニウム、アルミノシリケート(珪酸アルミナ、カオリン、カオリナイト)などの13族元素化合物;酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラスなどの14族元素化合物;カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱などの天然鉱物の粒子が挙げられる。
【0033】フィラーの平均粒径は、使用用途に応じて適宜選択されるが、(長径+短径)/2の平均粒径で、通常0.01〜50μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲である。フィラーの平均粒径がこの範囲にある時に、透明性と高温高湿度環境下での白濁防止効果とが高度にバランスされ好適である。また、粒子形状は、格別な限定はないが、長辺と短辺の長さの比が2対1以下である球状粒子が好適である。本発明に使用される白濁防止剤の屈折率は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の屈折率との差が、通常0.5以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下であるものが、透明性と高温高湿度環境下における白濁防止性が高度にバランスされ好適である。これらの白濁防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。白濁防止剤の配合割合は、白濁防止効果が発揮され得る範囲で適宜選択すればよいが、脂環式構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部の割合で配合する場合に、耐熱性、透明性、及び高温高湿度環境下における白濁防止効果が高度にバランスされて好適である。
【0034】車両灯具用レンズ本発明の車両灯具用レンズは、脂環式構造含有熱可塑性樹脂に、白濁防止剤、及び必要に応じてその他の配合剤を添加した樹脂組成物を、レンズ状に成形して得ることができる。その他の配合剤としては、例えば、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、着色剤、ブロッキング防止剤、天然油、合成油、ワックス、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤などが挙げられる。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、その配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0035】レンズの成形方法としては、常法に従えばよく、例えば、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などの成形方法が挙げられる。これらの中でも、射出成形法及びプレス成形法が、光学特性の面内のバラツキを小さくでき、かつ、肉薄で微細な表面構造の成形性にも優れるので好適である。プレス成形法としては、例えば、溶融押出法により作製したシートまたはフィルム等を、成形しようとするレンズ形状の金型内で加温・加圧する方法が挙げられる。成形条件は、成形法及び使用する脂環式構造含有熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、樹脂温度が通常100〜400℃、好ましくは200〜350℃で、圧力が通常1〜1000kg重/cm2、5〜500kg重/cm2で、加温時間が通常数秒間〜数十分間の範囲で適宜選択される。
【0036】本発明の車両灯具用レンズの種類は、格別な限定はなく、例えば、前照灯、補助前照灯、車幅灯、番号灯、尾灯、駐車灯、制動灯、後退灯、方向指示器灯、補助方向指示器灯、非常点滅表示灯などの車両灯具において、光源または反射鏡から照射された光を所望の方向に収束もしくは拡散させて、所望の方向への輝度を上げるために使用されるレンズであればよい。例えば、車両灯具の内側表面または外側表面に光を収束または拡散させるための凹凸を設けたランプカバーや、ランプとランプカバーとの間に設置するインナーレンズなどが挙げられ、好ましくはインナーレンズである。
【0037】本発明の車両灯具用レンズの形状は、格別な限定はなく、使用灯具に応じて適宜選択される。例えば、インナーレンズの場合は、特開平5−290606号公報、特開平6−176608号公報、特開平7−254302号公報、特開平8−96609号公報、特開平9−39653号公報、特開平9−45112号公報、特開平9−45113号公報、特開平9−185905号公報などに開示されているような形状をとることができる。具体的には、凸レンズ、魚眼レンズ、曲面状レンズ、平板状レンズなどがある。多くの場合、その表面に複数のプリズムパターンなどのレンズカットが形成されている。レンズカットとしては、例えば、出射光束を収束または拡散させるためにプリズムカット状の多数の凹凸が形成されたもの、同心円状に屈折型または反射型のフレネルカットが形成されたもの、微小間隔で干渉縞を形成したホログラム部を有するものなどがある。プリズムの形状には、波状のものやパルス状のもの、これらを組み合わせたものなどがある。また、一枚のレンズに、フレネル部とホログラム部を形成したものなどもある。
【0038】具体的な形状の一例としては、例えば、図1に示すようなフレネルレンズ形状がある。この形状は、レンズ面(最外周)の直径が1mm〜1000mm程度、曲面の分割数(レンズ面が幾つかに分割されているか、例えば、図1では、レンズ面が5つの同心リング状に分かれており。5分割と呼ぶものとする。)が、2以上で、その上限には格別な制限はない。図2は、図1のフレネルレンズの断面図であり、フレネルレンズ1の厚み3の方向にフレネルカット2が施されていることを示す。
【0039】本発明の車両灯具用レンズは、必要に応じて、成形品にキズや汚れが付かないように保護層を設けてもよい。保護層の形成の方法は、特に限定されない。例えば、紫外線硬化型樹脂または熱硬化型樹脂を、スピンコート、スプレー塗装、ディッピング、フローコーティング等の方法で、レンズ表面に塗布後、硬化する方法が挙げられる。レンズと保護層との密着性を向上させるために、レンズ表面に改質処理及び/またはプライマー処理を施してもよい。表面改質処理の例としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などのエネルギー線照射処理や、重クロム酸カリウム溶液等の酸化剤水溶液と接触させる薬品処理が挙げられる。本発明の車両灯具用レンズは、薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、透明性、低吸湿性、耐熱性、及び機械的強度に優れ、しかも高温高湿度環境下における白濁防止性に優れるので、自動車、二輪車、トラック、バス、電車等の通常の乗り物の各種灯具のレンズとして好適に用いることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明について、製造例、実施例、及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。これらの例において、部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。また、各種物性の測定法は、次のとおりである。
(1)ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC法)により測定した。
(2)分子量は、特に記載しない限り、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算値として測定した。
(3)水素添加率は、1H−NMR法により測定した。
(4)メルトフローレートは、JIS K6719により、温度280℃、荷重2.16kgfで測定した。
(5)透明性試験片の可視光の光線透過率を測定し、次の基準で評価した。
◎:可視光の光線透過率が92%以上(非常に良好)、○:可視光の光線透過率が90%以上、92%未満(良好)、×:可視光の光線透過率が90%未満(不良)。
【0041】(6)成形加工性試験片表面の溝の状態を顕微鏡で観察し、ボイド、クラック、欠け等の欠陥の有無を評価した。評価基準は、次のとおりである。
◎:欠陥の無いものが10枚中0枚(非常に良好)、○:欠陥の無いものが10枚中1〜3枚(良好)、△:欠陥の無いものが10枚中4〜6枚(やや不良)、×:欠陥の無いものが10枚中7枚以上(不良)。
(7)機械的強度試験片上に、3/4インチ半径のミサイル型の重り(重さ100g)を1mの高さより自然落下させて、割れや亀裂が入るかどうか観察し、以下の基準で評価した。
◎:割れや亀裂の無いものが10枚中0枚(非常に良好)、○:割れや亀裂の無いものが10枚中1〜3枚(良好)、△:割れや亀裂の無いものが10枚中4〜6枚(やや不良)、×:割れや亀裂の無いものが10枚中7枚以上(不良)。
【0042】(8)吸湿変形試験試験片を、温度23℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に1000時間放置し、試験片の吸湿変形(反り)の有無を確認し、以下の基準で評価した。
◎:反りの大きさが0.2mm未満(非常に良好)、○:反りの大きさが0.2mm以上0.4mm未満(良好)、△:反りの大きさが0.4mm以上0.6mm未満(やや不良)、×:反りの大きさが0.6mm以上(不良)。
(9)耐熱性試験片を、温度80℃、相対湿度20%の恒温恒湿槽に1000時間放置し、試験片の吸湿変形(反り)の有無を確認し、以下の基準で評価した。
◎:反りの大きさが0.2mm未満(非常に良好)、○:反りの大きさが0.2mm以上0.4mm未満(良好)、△:反りの大きさが0.4mm以上0.6mm未満(やや不良)、×:反りの大きさが0.6mm以上(不良)。
【0043】(10)高温高湿度環境下の耐久試験試験片を、温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に1000時間放置し、急激に室温環境(試験機外)に取り出して数分経過後の白濁状態(光線透過率の変化)を評価した。可視紫外分光光度計にて700nmの光線透過率を測定し、(試験後の光線透過率/成形直後の光線透過率)×100の値を算出して、以下の基準で評価した。
◎:この値が98%以上(非常に良好)、○:この値が96%以上、98%未満(良好)、△:この値が94%以上、96%未満(やや不良)、×:この値が94%未満(不良)。
【0044】[実施例1]窒素雰囲気下、脱水したトルエン400部に、1−ヘキセン0.68部、イソプロピルエーテル0.25部、イソブチルアルコール0.18部、イソブチルアルミニウム0.48部、及び六塩化タングステン0.77重量%トルエン溶液42部を室温で重合反応器に入れ混合した後、45℃で、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン100部、テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕ドデカ−3−エン100部、及び六塩化タングステン0.77重量%トルエン溶液25部を2時間かけて連続添加し、重合を行った。この重合反応液300部を攪拌機付きオートクレーブに移し、アルミナ担持ニッケル触媒9部を加え、190℃、45kgf/cm2で8時間反応させた。この溶液をケイソウ土をろ過助剤としてポアサイズ1μmのろ紙でろ過した。得られた反応溶液を2000部のイソプロピルアルコール中に攪拌下に注いで、水素添加樹脂を沈澱させ、ろ過して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、1torr以下、100℃に設定した真空乾燥器中で24時間乾燥し、開環重合体水素添加物を得た。
【0045】開環重合体水素添加物の主鎖の水素添加率は100%、側鎖6員環の水素添加率は99.9%であった。シクロヘキサンを移動相に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリイソプレン換算)より、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は、25,900、重量平均分子量(Mw)は、53,400、分子量分布(Mw/Mn)は、2.06であった。また、この開環重合体水素添加物のガラス転移温度は、160℃、メルトフローレートは、15g/minであった。得られた開環重合体水素添加物100部に、ゴム質重合体(旭化成社製タフテックH1052、ガラス転移温度0℃以下)0.2部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、押出機で加熱混練後、樹脂温度220℃で溶融押出成形し、冷却後300×300×3mmの基板を得た。次いで得られた基板をフレネルレンズ金型内に配置し、成形温度150℃、成形圧力30kg/cm2、成形時間10分で加熱プレス成形した後、10分間水冷して成形品(レンズ)を得た。フレネルレンズ部の形状は、最外周の直径が200mmで、球状曲面を20分割したレンズであった。結果を表1に示す。
【0046】[実施例2]実施例1のゴム質重合体(旭化成社製タフテックH1052)0.2部の代わりに、ノニルフェニルエーテル1分子にグリシドール2分子の割合で反応しているポリ(オキシ−2−ヒドロキシルトリメチレン)ノニルフェニルエーテル0.5部を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0047】[実施例3]実施例1において、モノマーとして、ジシクロペンタジエン170部及び8−メチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕ドデカ−3−エン30部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0048】[実施例4]脂環式構造含有熱可塑性樹脂として、三井石油化学社製APELを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0049】[実施例5]脂環式構造含有熱可塑性樹脂として、三井石油化学社製TOPASを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0050】[実施例6]8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕ドデカ−3−エン100g、1,2−ジメトキシメタン60g、シクロヘキサン240g、1−ヘキセン9g、及びジエチルアルミニウムクロライド0.96モル/リットルのトルエン溶液3.4mlを内容積1リットルのオートクレーブに加えた。一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.05モル/リットルの1,2−ジメトキシメタン溶液20mlとパラアルデヒドの0.1モル/リットルの1,2−ジメトキシメタン溶液10mlを混合した。この混合液4.9mlを前記オートクレーブ中の混合物に添加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して3時間攪拌を行った。得られた重合体溶液に1,2−ジメトキシエタンとシクロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒を加えて重合体/溶媒が1/10(重量比)にした後、トリエタノールアミン20gを加えて10分間攪拌した。この重合溶液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌して静置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノールを加えて攪拌、静置後上層を除いた。同様の操作をさらに2回行い、得られた下層をシクロヘキサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10%のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエタン溶液を得た。この溶液に20gのパラジウム/シリカマグネシア(日揮化学社製、パラジウム量=5%)を加えて、オートクレーブ中で水素圧40kg/cm2として165℃で4時間反応させた後、水添触媒をろ過によって取り除き、水添重合体溶液を得た。また、この水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を水添重合体に対して0.1%加えてから380℃で減圧下に脱溶媒を行った。
【0051】得られた重合体水素添加物の数平均分子量(Mn)は、17000、重量平均分子量(Mw)は、46000、分子量分布(Mw/Mn)は、2.71であった。また、この重合体水素添加物のガラス転移温度は、168℃、メルトフローレートは、13g/minであった。得られた重合体水素添加物100部に、ゴム質重合体(旭化成社製タフテックH1052、ガラス転移温度0℃以下)0.2部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、実施例1と同様にしてフレネル部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0052】[実施例7]白濁防止剤として、ゴム質重合体0.2部に代えて、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)(三井石油化学社製TPX DX−820)0.5部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0053】[実施例8]白濁防止剤として、ゴム質重合体0.2部に代えて、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製R−972)0.3部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0054】[比較例1]脂環式構造含有熱可塑性樹脂として三井石油化学社製APELを用い、白濁防止剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造し、同様の条件で射出成形しフレネルレンズ部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0055】[比較例2]プラスチック材料としてポリカーボネート(帝人社製パンライト)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフレネル部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0056】[比較例3]プラスチック材料としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製アクリペットVH)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフレネル部を有するレンズを作製した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】

表1の結果から明らかなように、本発明の車両灯具用レンズ(実施例1〜6)は、透明性、成形加工性、機械的強度、耐湿性、耐熱性などの諸特性を保持しつつ、耐高温高湿度性(白濁防止性)が顕著に改善されていることがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、透明性、低吸湿性、耐熱性、機械的強度などに優れ、薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、しかも、高温高湿度環境下における白濁防止性に優れた車両灯具用レンズが提供される。本発明の車両灯具用レンズは、自動車、二輪車、トラック、バス、電車等の各種車両の灯具用レンズとして好適である。
【出願人】 【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
【出願日】 平成10年7月30日(1998.7.30)
【代理人】 【識別番号】100093528
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 繁明
【公開番号】 特開2000−48608(P2000−48608A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−230169