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【発明の名称】 照明方式
【発明者】 【氏名】石渡 正紀

【氏名】斎藤 孝

【氏名】阪口 敏彦

【要約】 【課題】先行車との追突事故を減少し、道路およびトンネル照明等によって走行中の先行車の見え方を向上させる照明方式を提供する。

【解決手段】先行車の存在しうる環境で先行車の背面を照明する照明方式であって、先行車背面輝度が2.0cd/m2 以上としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先行車の存在しうる環境で先行車の背面を照明する照明方式であって、先行車背面輝度が2.0cd/m2 以上であることを特徴とする照明方式。
【請求項2】 前記先行車の存在しうる環境はトンネル内である請求項1記載の照明方式。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、道路やトンネルに設置される照明器具を用いて先行車の認識度(挙動の把握)を向上させる照明方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トンネル入口部で生じるブラックホール現象(明るい環境から急にトンネルに進入することにより突然前方が真っ暗になり見えなくなる現象)を防ぐ目的で、トンネル入口部で先行車の背面を照明する照明方式や、トンネル基本部で照明器具からの直接光が起因して発生する光幕を低減する目的でドライバー側への光をカットする照明器具(特開平9−259611号)は存在した。
【0003】しかしながら、先行車の見え(挙動の把握)を向上させる目的で先行車の背面を積極的に照明する照明方式は存在しなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高速道路での交通事故原因を調査した報告によると、先行車への追突が一番多い。このような状況であるにもかかわらず、追突事故を減少させる目的で先行車の見え方を向上させるような照明方式は考案されなかった。また、先行車の見え方を誤認させる理由として、テールランプの存在があげられる。テールランプはその輝度によって先行車そのものの存在は明確にするが、テールランプしか見えないような状況では、テールランプの左右の間隔や高さが車種によって異なるため、自車との距離や速度差を誤認させる要因となる。
【0005】追突事故は、先行車が自車と同じスピードで走っているのか、減速しているのか、停止しているのかといった、自車との相対的な速度差をドライバーが認識できていない場合に起きる。このことから、追突事故を減少させるための、先行車の見え方の向上とは、先行車との相対的な速度差を認識しやすくすることである。
【0006】したがって、この発明の目的は、先行車との追突事故を減少し、道路およびトンネル照明等によって走行中の先行車の見え方を向上させる照明方式を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の照明方式は、先行車の存在しうる環境で先行車の背面を照明する照明方式であって、先行車背面輝度が2.0cd/m2 以上であるものである。請求項1記載の照明方式によれば、道路およびトンネル照明等によって走行中の先行車の見え方を向上し、先行車の相対速度が認識しやすくなり、先行車との追突事故を減少可能である。
【0008】請求項2記載の照明方式は、請求項1において、前記先行車の存在しうる環境はトンネル内としたものである。請求項2記載の照明方式によれば、請求項1と同様な効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の一実施の形態を図1から図3により説明する。すなわち、この照明方式は、トンネル1内において先行車2の背面3を照明する照明方式であって、先行車背面輝度が2.0cd/m2 以上としている。4は路面、5は壁面、6は天面であり、壁面輝度は路面輝度の1.5倍に設定している。図1において、高さ1524mm、幅6130mmである。先行車2の背面を照らすための照明器具は壁面5等に設置しているが、詳細は省略している。
【0010】コンピュータグラフィックスを用いた動的な視環境評価実験を行い、自車と先行車2との相対的な速度差の認識と先行車2の背面輝度との関係を明確にした。実験の概要は以下の通りである。実験は、図1に示すような動画像を被験者に呈示して行なった。図1の平均路面輝度は2.5cd/m2 から16.0cd/m2 の間で変化させ、先行車2の背面輝度としては、図2における先行車2の背面3のほぼ中央で、直径約60cmの円7内の平均輝度を0.5cd/m2 から7.0cd/m2 の間で変化させた。この円7の中心は縦方向は窓の最下点、横方向は先行車2の中心に位置する。また背面3の部分■、■は窓およびテールランプでほぼ一定輝度の0.1cd/m2 程度、■はタイヤで輝度はほぼ一定、部分■、■は輝度を変化させた部分であり、円7内の輝度は平均輝度である。自車の走行速度は常に時速100kmとし、先行車2の速度は時速35kmから時速60kmの間で変化させた。この時、被験者からは先行車2があたかも接近してくるように見えている。
【0011】次に実験パラダイムを説明する。まず被験者は5分間の暗順応を行い、目を暗闇に慣らした後、2組の動画像を5秒間ずつ観察する。1組目は先行車2との相対速度差が常に一定の動画像であり、これを基準動画像と定めた。2組目の動画像は実験トライアル毎に先行車2との相対速度差を変化させ、これら2組の動画像を観察し、どちらの動画像の相対速度が速かったかを二者択一の強制選択で応答した。そしてこの正答率が50%となるときの相対速度差を先行車2の相対速度差認識閾値と定め、この閾値を各先行車背面輝度ごとに求めた。結果は図3〜図6に示す。すなわち、これらのグラフは横軸が先行車背面輝度に対する感度(1/速度差閾値)であり、(a)は平均路面輝度16cd/m2 の場合、(b)は平均路面輝度10cd/m2 の場合、(c)は平均路面輝度5cd/m2 の場合、(d)は平均路面輝度2.5cd/m2 の場合である。被験者は20歳代から40歳代までの視環境評価実験に慣れた視覚清浄な男性5名であった。
【0012】図3(a)〜(d)の結果より、全体的な傾向としては、先行車2の背面輝度が高い方が先行車2の相対速度差の認識がしやすいことがわかった。つまり、先行車2の背面輝度をできるだけ高くした方が追突事故防止のために良いといえる。また、もう少し詳細に実験結果を見てみると、トンネル1の路面4の平均輝度が10cd/m2 以上の場合、先行者の背面輝度が2.0cd/m2 付近で感度の低下が見られ、2.0cd/m2 以下で若干の感度上昇が見られた。これは路面輝度に対して先行車2の背面輝度が極端に低いため両者の輝度対比が極めて高くなっていることに起因すると考えられる。しかしながら、実際のトンネル1を考えてみると、平均路面輝度が10cd/m2 以上の状況で先行車2の背面輝度が2.0cd/m2 以下になることはあり得ないということから、2.0cd/m2 以下での感度上昇は無視する。
【0013】現状の一般的なトンネル1での先行車2の背面輝度を調べてみると、その値は2.0cd/m2 付近であり、ちょうど今回の実験結果において最も先行車2の相対速度差が認識しずらい背面輝度となっており、最も追突事故が起こりやすい状況になっている。よって、ますます制限速度が速くなるこれからの高速道路のトンネル1においては、先行車2の背面輝度を2.0cd/m2 よりできるだけ高くしなければならない。
【0014】以上の結果、先行車2の背面輝度(ドライバーが見る先行車の明るさ)を変化させて相対速度差認識率を用いた被験者実験の結果、輝度が2.0cd/m2 以上のとき認識率が上昇することがわかった。したがって、この条件を満たす照明方式を採用することにより、従来の平均路面輝度を確保しつつ、先行車2の背面を照明して反射率の低い車でも2.0cd/m2 以上の背面輝度を達成できる。
【0015】この照明方式によれば、道路やトンネルといった先行車2の存在しえる環境での自車のヘッドライトを除く照明を対象とし、どんな反射率(色)をもつ先行車でも挙動把握が向上する先行車背面輝度(図2の直径60cmの円内の輝度)が2.0cd/m2 以上であることにより、先行車2との相対速度差が認識しやすくなる。
【0016】このため、たとえばトンネル基本部において照明器具から進行方向に向かって光を積極的に照射し、先行車(安全側を考えて黒い塗装の自動車)2の背面輝度を2.0cd/m2 より高い値にし、ドライバからの先行車2の見えを向上させ、先行車2へ追突する危険性を低下させることができる。また道路照明(ポール照明、高欄照明、カテナリー照明、遮音壁照明など)において、照明器具から進行方向に向かって光を積極的に照射し、先行車2の背面輝度を2.0cd/m2 より高い値にし、ドライバーからの先行車2の見えを向上させ、先行車2へ追突する危険性を低下させることができる。
【0017】さらに、道路やトンネル路面上に存在する再起反射性の高い物体(再起反射性のレーンマークや反射率の高い障害物など)の反射輝度が高くなり、その物体の視認性が向上する。なお、背面輝度の下限は2.0cd/m2 以上であるが、上限は照明器具の消費電力やまぶしさ等を考慮して決定される。
【0018】
【発明の効果】請求項1記載の照明方式によれば、道路およびトンネル照明等によって走行中の先行車の見え方を向上し、先行車の相対速度が認識しやすくなり、先行車との追突事故を減少可能である。請求項2記載の照明方式によれば、請求項1と同様な効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成10年7月10日(1998.7.10)
【代理人】 【識別番号】100076174
【弁理士】
【氏名又は名称】宮井 暎夫
【公開番号】 特開2000−30502(P2000−30502A)
【公開日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願番号】 特願平10−195834