| 【発明の名称】 |
圧電発光素子、表示装置およびそれらの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】邱 宏
【氏名】角 浩二
【氏名】西脇 学
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| 【要約】 |
【課題】摩擦ルミネセンス現象を利用した発光素子を提供する。
【解決手段】圧力を加えることにより発光する圧力発光層(14)、電極膜(11,13)で挟持された圧電膜(12)を備え、圧力発光層に圧力を加えることが可能に配置された圧電体素子を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧力を加えることにより発光する圧力発光層と、電極膜で挟持された圧電膜を備え、前記圧力発光層に圧力を加えることが可能に配置された圧電体素子と、を備えたことを特徴とする圧電発光素子。 【請求項2】 前記圧力発光層は、N−イソプロピルカルバゾール、酸化珪素ガラスまたはEu(TTA)3のうちいずれか一の発光材料で形成されている請求項1に記載の圧電発光素子。 【請求項3】 前記圧力発光層と前記圧電体素子とを基板間に挟持させ、両基板の間隙が変動しないように構成した請求項1に記載の圧電発光素子。 【請求項4】 前記基板のうち前記圧力発光層に対して前記圧電体素子が設けられていない側の基板が光透過性を備えている請求項3に記載の圧電発光素子。 【請求項5】 請求項4に記載の圧電発光素子を備えた表示装置において、少なくとも前記圧電膜、一方の前記電極および前記圧力発光層からなる圧電発光単位が、画素領域に対応させて独立して駆動可能に両前記基板間に挟持されている表示装置。 【請求項6】 前記圧力発光層からの光が射出される側にある前記基板上に、当該圧電発光単位に対応させて当該圧力発光層の波長を変換する蛍光変換層を備えた請求項5に記載の表示装置。 【請求項7】 前記圧力発光層からの光が射出される側にある前記基板上に、当該圧電発光単位に対応させて特定波長を透過するカラーフィルタを備えた請求項5に記載の表示装置。 【請求項8】 基板上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に圧電膜を形成する工程と、前記圧電膜上に上部電極を形成する工程と、前記上部電極上に圧力を加えることにより発光する圧力発光層を形成する工程と、前記圧力発光層上に基板を貼り合わせる工程と、を備えたことを特徴とする圧電発光素子の製造方法。 【請求項9】 前記圧力発光層を形成する工程は、樹脂にN−イソプロピルカルバゾール粉末を混合したものを前記上部電極上に塗布する工程と、塗布した混合樹脂を一定の温度で乾燥させる工程と、を備える請求項8に記載の圧電発光素子の製造方法。 【請求項10】 前記圧力発光層を形成する工程は、前記上部電極上に非晶質シリコン膜を形成する工程と、前記シリコン膜を酸素雰囲気中で熱処理し酸化珪素ガラス膜を形成する工程と、を備える請求項8に記載の圧電発光素子の製造方法。 【請求項11】 前記圧力発光層を形成する工程は、ポリカーボネートとユウロピウム化合物とを混合してメチレン塩化物溶液を生成する工程と、当該溶液を前記上部電極上に塗布する工程と、塗布した溶液を乾燥させる工程と、を備える請求項8に記載の圧電発光素子の製造方法。 【請求項12】 前記圧電膜を形成する工程では、圧電性セラミックス前駆体を塗布し、乾燥および脱脂させる工程と、当該圧電性セラミックス前駆体を結晶化させる工程と、を備える請求項8に記載の圧電発光素子の製造方法。 【請求項13】 前記圧電性セラミックスを結晶化させる工程では、レーザ照射、一定濃度のアルカリ溶液中への浸漬または高温熱処理のいずれかにより結晶化させる請求項12に記載の圧電発光素子の製造方法。 【請求項14】 基板上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に圧電膜を形成する工程と、前記圧電膜上に上部電極を形成する工程と、前記上部電極上に圧力を加えることにより発光する圧力発光層を形成する工程と、前記圧電膜、上部電極および圧力発光層を、画素領域に合わせたパターンでエッチングする工程と、エッチングされた前記圧力発光層上に基板を貼り合わせる工程と、を備えたことを特徴とする表示装置の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば表示装置に使用可能な発光素子に係り、特に、圧力に感応して発光する材料を使用した新規な発光素子の提案に関する。 【0002】 【従来の技術】物質に様々なエネルギーを加えると、物質中の電子が基底状態から励起状態に遷移し再び基底状態に戻る際に光を放出することがある。これを一般にルミネセンス現象という。特定の物質については、摩擦や圧力を加えると光を発する摩擦ルミネセンス(tribo-luminescence)現象を示すことが確認されている。 【0003】例えばN−イソプロピルカルバゾール(N-isopropylcarbozole)の結晶に圧力を加えると波長400nm〜500nmの青色光を発する旨が、R. Nowakらによる論文"Eefficient Triboluminescence in N-isopropylcarbazole", Chemical Phisics Letters, Vol. 94. No. 3, 21/01/1983に記載されている。また、SiO2の非晶質のガラスが、青色、赤色または白色の光を発することが、 A.J.Smielによる論文"Triboluminescence of silica core optical fibers", Appl. Phys.Lett. 40(2), 15/01/1982や、論文"Broadband triboluminescence in silica core fiber optic waveguides", Appl. Phys. Lett. 41(4), 15/08/1982に記載されている。さらにEu(TTA)3という物質が赤色の光を発することが、高田氏らによる論文"Transient Behavior of Mechanoluminescence from EuropiumComplex in Powder and in Polymer-Dispersed Film",UPS-8, (1997)に記載されている。その他、J. I. Zink氏による論文"Accounts of Chemical Research",Vol. 11, No. 8, 08/1978, pp289-295、Linda M. Sweeting氏らによる論文"Crystral Structure and Triboluminescence 2. 9-Anthracenecarboxylic Acid andIts Esters", Chem. Mater. Vol. 9, No. 5, 1997, pp.1103-1115には、摩擦ルミネセンス現象を示す物質について記載されている。従来、この摩擦ルミネセンス現象は学術的には研究されていたものの、工業化されてはいなかった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明者は、長年の研究により工業化を推進してきた圧電体素子の経験を生かし、この摩擦ルミネセンス現象を利用した発光素子や表示装置を実施化するための具体的な構成および製造方法について考案した。すなわち本発明の第1の課題は、摩擦ルミネセンス現象を利用した圧電発光素子を提供することである。本発明の第2の課題は、摩擦ルミネセンス現象を利用した表示装置を提供することである。本発明の第3の課題は、摩擦ルミネセンス現象を利用した圧電発光素子の具体的な製造方法を提供することである。本発明の第4の課題は、摩擦ルミネセンス現象を利用した表示装置の具体的な製造方法を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決する発明は、圧力を加えることにより発光する圧力発光層と、電極膜で挟持された圧電膜を備え、圧力発光層に圧力を加えることが可能に配置された圧電体素子と、を備えたことを特徴とする圧電発光素子である。 【0006】上記圧力発光層は、例えばN−イソプロピルカルバゾール、酸化珪素ガラスまたはEu(TTA)3のうちいずれか一の発光材料で形成されている。 【0007】また本発明は、圧力発光層と圧電体素子とを基板間に挟持させ、両基板の間隙が変動しないように構成してもよい。ここで基板のうち圧力発光層に対して圧電体素子が設けられていない側の基板が光透過性を備えていることが好ましい。 【0008】上記第2の課題を解決する発明は、本発明の圧電発光素子を備えた表示装置において、少なくとも圧電膜、一方の電極および圧力発光層からなる圧電発光単位が、画素領域に対応させて独立して駆動可能に両基板間に挟持されている表示装置である。 【0009】またこの表示装置は、圧力発光層からの光が射出される側にある基板上に、当該圧電発光単位に対応させて当該圧力発光層の波長を変換する蛍光変換層を備えていてもよい。 【0010】またこの表示装置は、圧力発光層からの光が射出される側にある基板上に、当該圧電発光単位に対応させて特定波長を透過するカラーフィルタを備えていてもよい。 【0011】上記第3の課題を解決する発明は、基板上に下部電極を形成する工程と、下部電極上に圧電膜を形成する工程と、圧電膜上に上部電極を形成する工程と、上部電極上に圧力を加えることにより発光する圧力発光層を形成する工程と、 圧力発光層上に基板を貼り合わせる工程と、を備えたことを特徴とする圧電発光素子の製造方法である。 【0012】ここで例えば圧力発光層を形成する工程は、樹脂にN−イソプロピルカルバゾール粉末を混合したものを上部電極上に塗布する工程と、塗布した混合樹脂を一定の温度で乾燥させる工程と、を備える。 【0013】また例えば圧力発光層を形成する工程は、上部電極上に非晶質シリコン膜を形成する工程と、シリコン膜を酸素雰囲気中で熱処理し酸化珪素ガラス膜を形成する工程と、を備える。 【0014】さらに例えば圧力発光層を形成する工程は、ポリカーボネートとユウロピウム化合物とを混合してメチレン塩化物溶液を生成する工程と、当該溶液を上部電極上に塗布する工程と、塗布した溶液を乾燥させる工程と、を備える。 【0015】さらにまた圧電膜を形成する工程では、圧電性セラミックス前駆体を塗布し、乾燥および脱脂させる工程と、当該圧電性セラミックス前駆体を結晶化させる工程と、を備える。 【0016】ここで、圧電性セラミックスを結晶化させる工程では、レーザ照射、一定濃度のアルカリ溶液中への浸漬または高温熱処理のいずれかにより結晶化させる。 【0017】上記第4の課題を解決する発明は、基板上に下部電極を形成する工程と、下部電極上に圧電膜を形成する工程と、圧電膜上に上部電極を形成する工程と、上部電極上に圧力を加えることにより発光する圧力発光層を形成する工程と、圧電膜、上部電極および圧力発光層を、画素領域に合わせたパターンでエッチングする工程と、エッチングされた圧力発光層上に基板を貼り合わせる工程と、を備えたことを特徴とする表示装置の製造方法である。 【0018】 【発明の実施の形態】次に、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。 (実施形態1)本発明の実施形態1は、摩擦ルミネセンス現象を利用した発光素子の基本構造および製造方法に関する。図1に、本発明の圧電発光素子の断面図を示す。図中、白抜き矢印は光が放射される方向を示している。本圧電発光素子1は、図1に示すように、基板10、電極膜11、圧電膜12、電極膜13、圧力発光層14および透明基板15を備えている。 【0019】基板10および15は、ある程度の機械的強度を有する材料、例えば、シリコン、各種無機酸化物(ガラス、石英、酸化マグネシウム、酸化亜鉛)、樹脂などで構成される。ただし圧力発光層14からの光を透過させる側の基板15は、さらに光透過性があることを要する。基板の厚みは製品の仕様に合せて適宜調整可能である。 【0020】電極膜11および13は、圧電膜12に電圧を印加するための電極であり、導電性を有する材料、例えば白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ITO(In2O3+5%SnO2),SnO2、In2O3、ZnOなどで形成されている。例えばそれぞれ200nm程度の厚みに形成されている。 【0021】圧電膜12は、通常の圧電性セラミックスの結晶で構成されている。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ酸、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。圧電膜12の組成は圧電体素子の特性、用途等を考慮して適宜選択する。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)等を用いることができる。圧電膜の厚みは、電界を印加することにより生ずる変位によって圧力発光層を十分発光させることができる程度に調整されている。 【0022】圧力発光層14は、圧力を加えることにより発光するという摩擦ルミネセンス現象を生ずる材料で構成されている。例えば、N−イソプロピルカルバゾールを使用した場合、強い青色の光(波長400nm〜500nm)を発生させることができる。酸化珪素(Si0x:0<x≦2)ガラスを使用した場合、膜形成時の条件でSi原子とO原子との結合状態が変わることで、青色(波長430nm)、赤色(波長630nm)または白色(波長380nm〜900nm)の光を発生させることができる。Eu(TTA)3を使用した場合、赤色(610nm)の光を発生させることができる。その他、フェナントレン(phenanthrene)を用いると、400nm〜440nmの青色光が得られる。クマラン(coumarin)を用いると、波長390nm〜450nmの光が得られる。m−アミノフェノール(m-aminophenol)を用いると、波長340nm程度の紫外線を放出可能であり、可視光以外の光照射に使用可能である。無水フタル酸(phthalic anhydride)を用いると、波長360nm〜420nmの光が得られる。(Ch3P)2Cを用いると、波長480nm〜560nmの光が得られる。ジブロモビス(トリフェニルホスフィン酸)マンガンや臭酸ウラニル6水和物、9−アトランセンカルボン酸とそのエステルなども、摩擦ルミネセンス現象を生ずることが確認されており、圧力発光層として使用可能である。 【0023】(作用)上記構成において、電極11と13間に所定の電圧を印加すると、電極間に発生する電界によって圧電膜12の結晶が電気機械変換作用を示し変形しようとする。この変形による応力は、圧電膜の面方向に作用する。しかし基板10と15との間隙は距離dに設定されており変動しないので、圧電膜の変位により圧力発光層14が直接変形させられる。変形が生じると圧力発光層の表面部分に強い電場が生じる。この電場が表面近傍に存在するN2を活性化させてそこから光がでる。さらにこの光が発光層材料を活性化させて他の部分からも光がでる。また、圧力発光層に加えられた圧力によって、圧力層内の電子が励起され再び基底状態に戻る際に圧力発光層が発光する。この光が透明電極15を透過して外部に照射される。前記文献によれば、摩擦ルミネセンス材料内に存在する不純物および欠陥、または摩擦ルミネセンス材料に添加した稀土類要素が発光特性を規定すると記載されている。したがってこれらの条件を調整することで、発光色などを調整可能となる。 【0024】(製造方法)次に、図2の製造工程断面図に基づいて本発明の圧電体素子の製造方法を説明する。 【0025】圧電体素子形成工程(図2(a)〜(c)): 圧電体素子形成工程は、基板10の表面に、電極膜11と13とに圧電膜12を挟持させた圧電体素子を形成する工程である。 【0026】まず、基板10上に電極膜11を形成する(図2(a))。電極膜の材料は、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ITO(In2O3+5%SnO2),SnO2、In2O3、ZnOなどである。電極膜の形成方法は、導電性金属薄膜を形成する通常の方法を適用する。例えば電極膜としてPtを使用する場合にはスパッタ法を、ITOを使用する場合には、スパッタ法または電子ビーム蒸着法を用いる。厚みは、数百nm程度で十分である。 【0027】次いで圧電膜12を形成する(図2(b))。圧電膜の形成方法には、通常用いられる圧電体セラミックスの結晶方法を適用する。例えば、まずPZTなどの金属アルコキシド溶液からなるゾルをスピンコーディング法等の塗布法で塗布する。次いで180℃程度で10分間程度乾燥させ、さらに400℃程度で30分間程度脱脂させる。これらの乾燥や脱脂により、ゾル中の金属アルコキシドと酢酸塩とは配位子の熱分解を経て金属−酸素−金属のネットワークを形成する。以上を一定回数(例えば8回)繰り返して多数の圧電体薄膜を積層する。一定回数圧電体薄膜層を積層した後には、積層したゲルを結晶化させる結晶化処理を行う。 【0028】結晶化処理としては、レーザーを使用する方法、水熱処理を行う方法や高速熱処理を行う方法などを種々に採用可能である。レーザーを使用する場合には、例えば発光波長248nmのKrFレーザを用いる。このレーザ光をパルス30ns、出力300〜700mJ/cm2程度で照射する。水熱処理を行う場合には、例えば0.05モル程度の濃度のアルカリ水溶液(Ba(OH)2)内で130℃程度で90分間程度水熱処理する。高速熱処理を行う場合には、例えば650℃程度で5分間程度、900℃程度で1分間程度焼成する。これらの処理によりアモルファス状態のゲルからいずれかの結晶構造を備えたペロブスカイト結晶構造が形成される。 【0029】次いで電極膜13を形成する(図2(c))。この電極膜は、電極膜11と同様にして形成する。 【0030】圧力発光層形成工程(図2(d)): 圧力発光層形成工程は、圧電体素子上に摩擦ルミネセンス現象を示す材料により圧力発光層を形成する工程である。使用する発光材料によって適する製造方法が異なる。 【0031】例えば、発光材料として、N−イソプロピルカルバゾールを使用する場合、まずバイレダー樹脂にN−イソプロピルカルバゾール粉末を混合させる。次いでこの粉末が混合された樹脂を、圧電体素子の電極膜13上に塗布する。塗布法としては、通常用いられる各種の塗布法を使用可能である。例えば印刷によって塗布してもよい。塗布した樹脂は、一定の温度(例えば100℃)で乾燥させ硬化させる。樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合には加熱処理で硬化させることができる。 【0032】発光材料として、Si0x(0<x≦2)ガラスを用いる場合、まず電極膜13上に非晶質(アモルファス)シリコン膜を形成する。このシリコン膜を酸素雰囲気中で一定温度(例えば800℃〜1200℃)で熱処理し酸化珪素ガラス膜とする。このとき熱処理温度を変えることでSiとOとの結合状態を調整すれば、発光色を赤色、青色、白色と変更することが可能である。 【0033】発光材料としてEu(TTA)3を用いる場合、まず、ポリカーボネートとユウロピウム化合物とを混合してメチレン塩化物溶液を生成する。例えばポリカーボネートを90wt%、ユウロピウムを10wt%混合する。次いでこの溶液を電極膜13上に塗布する。塗布した溶液は一定の条件で乾燥させる。 【0034】基板貼り合わせ工程(図2(e)): 圧力発光層が形成できたら、最後に基板15を圧力発光層上に貼り合わせる。基板を貼り合わせたら、基板10と15との間隙dが自由に変動しない様に、間隙dをほぼ一定に固定可能な筐体に入れるか樹脂で周囲を固めるか等の措置を採る。このとき圧電体素子に電界を印加するための配線を行っておくことはもちろんである。 【0035】上記したように本実施形態1によれば、摩擦ルミネセンス現象を生ずる発光材料に圧電体素子で圧力を加え圧力を生じさせるので、熱を発生することなく発光する発光素子を提供することが可能である。したがって発熱のない発光素子を提供することが可能である。 【0036】本実施形態1によれば、発光材料として、N−イソプロピルカルバゾールを使用することで強い青色を発光させることが可能である。 【0037】本実施形態1によれば、発光材料としてSi0x(0<x≦2)ガラスを用い製造条件を調整することで、多彩な色彩の光を発生させることが可能である。 【0038】本実施形態1によれば、Eu(TTA)3を使用することで赤色を発光させることが可能である。 【0039】(実施形態2)本発明の実施形態2は、摩擦ルミネセンス現象を利用した発光素子により構成された表示装置およびその製造方法に関する。 (構成)図3に、本実施形態の表示装置の断面図を示す。図中、矢印は光が放射される方向を示している。本表示装置2は、図3に示すように、基板10、電極膜11、圧電膜12、電極膜13、圧力発光層14、透明基板15およびカラーフィルタまたは蛍光変換層16を備えている。基板10、電極膜11、圧電膜12、電極膜13、圧力発光層14、透明基板15については、上記実施形態1と同様に考えられる。ただし本実施形態では画素ごとに独立して発光させる必要があるため、圧電膜12、電極膜13および圧力発光層14からなる画素領域に対応させてパターニングされた電界発光単位1r、1gまたは1bが多数設けられている。隣接する電界発光単位の間には適当なギャップが設けられている。 【0040】カラーフィルタまたは蛍光変換層16は、圧力発光層14からの光の波長を調整したい場合に必要となる構成要素である。例えばカラー表示装置では、赤色、緑色および青色の三原色が必要である。 【0041】圧力発光層として白色発光を行う酸化珪素ガラスを使用した場合、白色のうち原色に相当する波長をそれぞれ透過させるためのカラーフィルタ16を設ける。赤色に相当する画素では赤色フィルタ16r、緑色に相当する画素では緑色フィルタ16g、青色に相当する画素では青色フィルタ16bをそれぞれ設ける。 【0042】また、圧力発光層としてN−イソプロピルカルバゾール等を使用した場合には発光色が青色であるため、赤色に相当する画素や緑色に相当する画素では発光色を変更する必要がある。このような場合に、赤色に相当する画素では、青色の光を吸収し赤色の光に変換して発光することが可能な波長変換物質で構成された蛍光変換層16rを用いる。例えば赤の波長変換物質としてペリレンが使用可能である。緑色に相当する画素では、青色の光を吸収し緑色の光に変換して発光することが可能な波長変換物質で構成された蛍光変換層16gを用いる。例えば緑の波長変換物質としてクマリン6を用いることが可能である。青色に相当する画素では、蛍光変換層を設けず、圧力発光層からの光をそのまま透過可能にしておく。この他、蛍光変換層の材料としては、DCM1、キナクリドン誘導体、ルブレン、DCJT、ナイルレッドなどを用いることができる。 【0043】電極膜11は、共通電極として機能させるため、図示しない駆動回路の接地電極と接続しておく。各電界発光単位の電極膜13は、個別に駆動回路の駆動端子に接続しておく。この構成は、能動素子により各画素を駆動するアクティブマトリクス方式に関する。なお当該表示装置を単純マトリクス方式で構成するならば、電極膜11と13とをともにストライプ状に独立してパターニングしX−Yマトリクス構造の配線を行なっておく必要がある。 【0044】上記構成において、共通電極である電極膜11といずれかの電極膜13間に図示しない駆動回路から電圧が印加されると、その電界発光単位(画素領域)1r、1gまたは1bのいずれかの圧電体素子に変形が生じる。その変形がその電界発光単位の圧力発光層14に作用して摩擦ルミネセンス現象を生じ発光する。赤色画素に対応する電界発光単位1rに電圧を印加すれば赤色が、緑色画素に対応する電界発光単位1gに電圧を印加すれば緑色が、青色画素に対応する電界発光単位1bに電圧を印加すれば青色が射出される。これらの発光層により構成されるカラー画素では、各原色発光の有無や強度に応じて色が合成され任意の色彩で発光させることが可能となる。 【0045】(製造方法)次に図4の製造工程断面図に基づいて本実施形態の表示装置の製造方法を説明する。 【0046】圧力発光層14の形成までの工程(図4(a))は、上記実施形態1(図2(a)〜(d))と同様である。次いで基板15を貼り合わせる前に、画素ごとにパターニングし電界発光単位に切り分けるための工程に移行する。 【0047】まずフォトレジスト21を圧力発光層14上に塗布し、画素領域のパターンに合せて露光・現像することで、画素領域にのみフォトレジスト21を残す(図4(b)。この工程には通常のフォトリソグラフィ法を用いることができる。画素領域間のギャップは任意に選択可能であるが、余りにギャップが狭く隣接する電界発光単位が接近しすぎると駆動時の変形で隣接する画素領域も発光してしまう。また余りにギャップが広いと表示装置の発光面が少なくなるため効率が悪くなる。これらのバランスで適当なギャップを定める。 【0048】次いでエッチング処理を行って圧力発光層14、電極膜13および圧電膜12を取り除く(図4(c))。エッチング法としてはドライエッチングでもウェットエッチングでもよいが、エッチングの深さを微妙に調節可能なドライエッチングが好ましい。電極膜11を共通電極として残すことが可能な様にエッチング深度を微妙に制御する必要がある。 【0049】エッチング処理が終了したら、図2(e)と同様にして透明基板15を貼り合わせる。そしてカラー表示装置にする場合には、画素領域に設定する色彩に応じて、カラーフィルタまたは蛍光変換層16を形成する。カラーフィルタを採用するか蛍光変換層を採用するかは、上述したように圧力発光層の発光色に応じて定まる。カラーフィルタを設ける場合は、透明樹脂に顔料を混ぜたり染料を用いたりした後にパターニングする。蛍光変換層を設ける場合には、蛍光変換材料を塗布した後にパターニングする。画素領域間に仕切り部材を形成し、カラーフィルタ用の材料や蛍光変換材料を画素領域ごとに選択して充填し乾燥させてもよい。 【0050】本実施形態2によれば、上記実施形態1と同様の効果を奏する他、画素ごとに原色の発光を可能に構成したので、カラー表示が可能な表示装置を提供可能である。 【0051】(その他の変形例)本発明は上記各実施形態に限定されることなく、種々に変更して適用可能である。例えば、圧力発光層の材料については、上記実施形態に限定されず、摩擦ルミネセンス現象を生ずるあらゆる材料を使用可能である。 【0052】また圧電発光素子や表示装置の層構造についても上記に限定されること無く、種々に積層数や層配置を変更可能である。例えば一つの圧電体素子だけでは十分な応力を発生できない場合には、二つ以上の圧電体素子を設け、両者の応力が同時に圧力発光層に加わるように構成することができる。二つの圧電体素子の間に圧力発光層を挟持する構成がそれに相当する。 【0053】 【発明の効果】本発明によれば、従来工業化されていなかった摩擦ルミネセンス現象を利用した新規な発光素子および表示装置を提供可能である。この発光素子や表示素子によれば、光熱の光源を使用しないので、温度上昇が少なく信頼性の高い発光源を提供可能である。 【0054】また発光の強さを検出することによって、圧電体の変位を間接的に測定するという用途にも使用可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年12月10日(1998.12.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079108 【弁理士】 【氏名又は名称】稲葉 良幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−173301(P2000−173301A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願平10−351076 |
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