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【発明の名称】 ガス導管への漏水流入範囲の特定方法
【発明者】 【氏名】岡本 英樹

【要約】 【課題】ガス導管に漏水が流入する範囲を迅速かつ精度よく特定する。

【解決手段】情報センタ10から顧客のマイコンメータ11,12,13,…の有する自動検針の機能を利用して、圧力異常や湿度変化についての情報も随時収集する。湿度が増加したマイコンメータ11,12,13,…が存在する範囲を湿度増加範囲21として、さらに3次元的な配管図情報を作成し、低所範囲25を特定する。低所範囲25と湿度増加範囲21とが重複する範囲を、漏水流入範囲26として特定し、漏水を除去する対策を施す対象とする。ガス導管22に漏水23が溜まってガスの供給に支障が来すようになれば、圧力異常としても検出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスの顧客への供給量を計測するガスメータで、ガス中の湿度変化を検出可能にしておき、複数のガスメータからの湿度変化についての情報を収集し、湿度が増大しているガスメータにガスを供給している導管網の範囲を推定し推定された導管網の範囲のうち、導管網が低い位置に設けられる範囲を、漏水流入範囲として特定することを特徴とするガス導管への漏水流入範囲の特定方法。
【請求項2】 前記ガスメータは自動検針用に計測データを送信する機能を備え、前記情報の収集はいずれかのガスメータからの異常検出時に随時行うことを特徴とする請求項1記載のガス導管への漏水流入範囲の特定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ガスなどのガスを供給するガス導管に漏水などが浸入した場合に、漏水が溜まっている範囲を絞り込むためのガス導管への漏水流入範囲の特定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】広い範囲の顧客に都市ガスなどのガスを供給するために、ガス導管が地中に埋設され、導管網を形成している。地中には地下水が存在したり、あるいは同様の範囲の顧客に水道水を供給するための水道管なども設けられている。
【0003】図3は、地表面1の下方に埋設されているガス導管2の近傍に水道管3が存在している状態を示す。何らかの原因で水道管3に漏水が生じ、ガス導管2側に水が噴出する状態を想定する。水道管3から単に水が噴出するだけでは、ガス導管2内に水が浸入することはなく、漏水の問題は生じない。しかしながら、地中の砂などが水道管3から噴出する水とともにガス導管2の外周に当たると、サンドブラスト現象でガス導管2の外周が削り取られる。そのような状態が継続すると、ガス導管2の外周に開口部が生じ、ガス導管内に水分が浸入してくる。万一ガス導管2内に漏水などが浸入した場合には、その量によってはガス導管2内のガスが流れる断面積が狭められ、ガスの供給に支障を来すようになる。このような場合には、漏水の浸入位置と水が溜まっている範囲とをできるだけ早く特定し、ガス導管2内の水を排出する必要がある。
【0004】ガス導管2内に漏水が浸入している位置について、従来は都市ガスの供給を受ける顧客に対し個々に供給に支障があるか否かを確認し、支障を受ける顧客の位置を地図上にプロットして範囲の特定を行い、漏水の流入範囲を推定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】漏水が生じている位置の特定を、各顧客から供給に支障が生じている旨の情報を収集して行う場合には、多くの人員と時間とを要し、対象となる顧客の数が少なければ、漏水浸入個所の特定精度が悪くなり、ガス導管2内に溜まっている水を排出するのに手間がかかってしまう。
【0006】本発明の目的は、漏水がガス導管内に溜まっている範囲を迅速かつ精度よく特定することができるガス導管への漏水流入範囲の特定方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガスの顧客への供給量を計測するガスメータで、ガス中の湿度変化を検出可能にしておき、複数のガスメータからの湿度変化についての情報を収集し、湿度が増大しているガスメータにガスを供給している導管網の範囲を推定し推定された導管網の範囲のうち、導管網が低い位置に設けられる範囲を、漏水流入範囲として特定することを特徴とするガス導管への漏水流入範囲の特定方法である。
【0008】本発明に従えば、ガス導管で構成するガス導管網からガスの供給を受ける顧客には、供給量を計測するガスメータが備えられ、ガスメータでガス中の湿度変化を検出可能にしておく。複数のガスメータからの湿度変化についての情報を収集すると、湿度が増大しているガスメータにガスを供給しているガス導管の範囲から関連する導管網の範囲が推定される。推定された導管網のうち、導管網が低い位置に設けられている範囲には、特に水が溜まりやすいと推定することができる。このようにして特定される範囲を、漏水流入範囲とするので、漏水が溜まっている範囲を迅速かつ精度よく特定することができる。
【0009】また本発明で、前記ガスメータは自動検針用に計測データを送信する機能を備え、前記情報の収集はいずれかのガスメータからの異常検出時に随時行うことを特徴とする。
【0010】本発明に従えば、ガスメータが自動検針用に計測データを送信する機能を備えて、いずれかのガスメータが異常を検出すると、湿度変化についての情報を随時収集するので、漏水の浸入量が多くなってガスの供給に支障を来す前に、漏水の浸入を検知し、漏水の浸入範囲を特定して適切な対策を施すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で漏水浸入範囲を特定する考え方を示す。図1(a)に示すように、都市ガスの供給を受ける顧客からの情報は、情報センタ10で自動的に収集される。情報センタ10で顧客からの情報を収集するために、各顧客にはマイクロコンピュータを内蔵し、自動検針機能を備えるガスメータであるマイコンメータ11,12,13,…が備えられる。マイコンメータ11,12,13,…は、都市ガスの供給量を計測するばかりではなく、湿度センサ等を備えて都市ガス中に含まれる水分も検出可能である。また、圧力も検出可能にされている。マイコンメータ11,12,13,…に対する自動検針は、たとえば1カ月毎など定期的に行われ、情報センタ10からの要求に従って計測データが情報センタ10に送信される。或る顧客に対して、都市ガスの供給に支障が生じているときには、随時、情報センタ10にその旨が通知される。情報センタ10は、その顧客およびその周囲の顧客に備えられるマイコンメータ11,12,13,…に対して、圧力や湿度の検出値についての情報の収集を行う。一般に、実際に供給支障が生じている供給支障範囲20よりも広い範囲に、湿度が増加する湿度増加範囲21が存在する。湿度増加範囲21に埋設されている導管網には、漏水が浸入している可能性がある。なお、情報の収集は、無線や有線のデータ通信によって行われる。
【0012】図1(b)は、ガス導管22の埋設位置と、漏水23の溜まっている場所との関係を示す。ガス導管22は、一般に地表面24から一定の埋設深さGLに埋設される。埋設深さGLは、1.5m程度である。したがって、地表面24の標高DLが低い位置で、相対的に低くなり、漏水23が溜まりやすくなる。
【0013】図1(c)は、図1(a)の湿度増加範囲21に対し、図1(b)に示すような標高の低い位置とを重ね合わせた状態を示す。湿度増加範囲21と標高の低い位置である低所範囲25との重複する範囲が、漏水流入範囲26として特定することができる。漏水流入範囲26が特定されれば、特定された漏水流入範囲について、地表面24から掘削してガス導管22を露出させ、漏水の浸入位置を直接探して原因の除去を行ったり、ガス導管22内に溜まっている水分を除去してガス供給の障害を除去したりすることができる。
【0014】図2は、本発明を適用して情報センタ10が漏水流入範囲を精度よく特定する手順を示す。ステップs1から手順を開始し、ステップs2ではマイコンメータ11,12,13,…からのガス供給量についての情報を収集する自動検針を行う。ステップs3では、湿度の異常な増加が検出されるマイコンメータ11,12,13,…が存在するか否かを判断する。湿度増加が検出されるマイコンメータ11,12,13,…があると判断されるときには、ステップs4で、湿度が異常に増加していることが検出されるマイコンメータ11,12,13,…およびその周辺のマイコンメータの湿度計測データの分布に基づいて、湿度増加範囲21の特定が行われる。次にステップs5で、湿度増加範囲21内で、地表面24の位置が低くなっている範囲である低所範囲25の特定を行う。ステップs6では、低所範囲25と湿度増加範囲21との重複範囲、すなわち湿度増加範囲21内での低所範囲25を、漏水流入範囲26として特定する。ステップs7では、ステップs6で特定された漏水流入範囲26に対し、溜まった漏水を排除するなどの漏水対策を行う。ステップs7の漏水対策が終了した後、またはステップs3で湿度の異常な増加が無いと判断されるときには、ステップs8で1回の処理手順を終了する。
【0015】図2に示すようにステップs3での湿度異常検出時に随時、他の湿度変化についての情報も併せて収集するようにすれば、自動検針システムの機能を利用して漏水流入個所の特定を迅速かつ確実に行うことができ、実際にガスの供給に支障が生じる前に適切な処置を施すことができる。
【0016】なお、自動検針の機能は備えていなくても、各ガスメータに湿度変化を検出し、表示する機能が備えておけば、ガスの検針の際に湿度変化の有無も判断し、自動検針システムが構成されていなくても湿度増加範囲21を容易に特定することができる。
【0017】図1(b)に示すような低所範囲25の判断は、3次元の配管図を作成し、これから導管網の低い位置を求めることによっても行うことができる。3次元の配管図は、ガス導管網の平面配管図と標高とを重ね合わせることによって作成することができ、3次元の配管図から導管網の低い位置を求め、浸入した水がどの辺に溜まりやすいかを確認することができる。これらの情報を合成すれば、迅速にかつ精度よく、浸入した水の溜まっている範囲を特定することができる。
【0018】以上の説明では、地中でガス導管に漏水が浸入して水が溜まっている場合について説明しているけれども、何らかの原因で地表に出ている供給管中に水が浸入し、低い位置にある導管網に水が流入してガスの供給に支障を来している場合にも、本発明を同様に適用することができる。すなわち、水の浸入位置は必ずしも低い位置ではないけれども、水が溜まっている位置は低い位置であるので、ガス導管内に溜まってガスの供給に支障を来している水が溜まっている範囲を迅速に特定し、除去してガスの供給の円滑化を図ることができる。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ガスメータで検出する湿度変化に基づき、湿度が増大するときに漏水流入と推定し、湿度増大を検出した複数のガスメータの設置位置に基づいて漏水流入が生じている可能性がある導管網の範囲を推定し、さらに導管網の位置が低い範囲を漏水流入範囲として特定するので、迅速かつ簡単に特定を行うことができ、漏水浸入に対する適切な処置を迅速に行うことができる。
【0020】また本発明によれば、ガスメータが自動検針の機能を備え、異常発生時には随時、自動検針の機能を利用して湿度変化についての情報を収集し、漏水浸入の影響がガスの供給に支障を来す前に、漏水浸入範囲を迅速かつ精度よく特定することができる。
【出願人】 【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【出願日】 平成11年3月30日(1999.3.30)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【公開番号】 特開2000−283400(P2000−283400A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−89736