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【発明の名称】 ノズルの熱疲労防止方法
【発明者】 【氏名】平野 明彦

【氏名】小島 直樹

【氏名】榎本 邦夫

【要約】 【課題】本発明の目的は,熱疲労損傷を受ける可能性のあるノズルの熱疲労防止に関する。

【解決手段】本発明によるノズル部の熱疲労防止方法及びシステムは、高温流体溜りが発達するノズル部に温度センサーを設け、高温流体溜りが発達することにより、上昇した温度が熱疲労上問題となるまで高くなったことを温度センサーで検知し、検知した直後に流体循環ポンプの回転数を上昇させて、高温流体溜りを追い出すことにより熱疲労を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】高温水溜りが発達するノズル部に温度センサーを設け、高温水溜りが発達することにより、上昇した温度が熱疲労上問題となるまで高くなったことを温度センサーで検知し、検知した直後に流体循環ポンプの回転数を上昇させて、高温水溜りを追い出すことを特徴とするノズルの熱疲労防止方法。
【請求項2】流体供給配管及びノズルの温度測定結果に従い、配管及びノズルの下側を電気ヒーターで加熱して配管及びノズルの温度を均一化し、熱応力の発生を防止することを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【請求項3】ノズルからエルボ部までの外周をヒーターで加熱し、位置毎に加熱量を変えることにより、ノズルからエルボ部までの内部の流体の温度を一定に保持し、熱応力の発生を防止することを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【請求項4】ノズルに近い配管の上部外周に冷却ジャケットを設け、高温流体溜りが発達したときに冷却ジャケットに低温流体を供給して冷却することにより熱応力の低減を図ることを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【請求項5】アニュラス部上部に流体導入管を貫通させ、流体導入管を通してアニュラス部上部への冷却用流体の吹き込みを行い、サーマルスリーブで熱交換を行って、サーマルスリーブ内の上部に発達した高温流体溜りの温度を低下させることを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【請求項6】高温流体溜りの発達による当該部位表面の温度を温度センサーで検知し、発生する熱応力を解析し、有意な熱応力を生じさせるほど温度が上昇する以前に、熱疲労防止装置(ヒーター加熱,冷却水の導入)を駆動させるシステムであることを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【請求項7】疲労モニタリングシステムと本発明による熱疲労防止方法のシステムを融合し、疲労損傷の最小化と累積疲労損傷の評価を併せて行う疲労制御システムであることを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【請求項8】本システムを備えた、熱疲労の起こらないプラント起動システムであることを特徴とする請求項1記載のノズルの熱疲労防止方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力プラントや原子力プラント等の、温度の異なる流体が扱われるプラント等に利用される。
【0002】
【従来の技術】これまでに公知となっている配管等の熱疲労防止方法は、例えば特願平5− 173954号出願(参照)に示されている、高温流体と低温流体が混合する前に伝熱を行うことによって、混合時の流体の温度差を十分に低減することができるとともに、流体の混合性能をも高めた優れた方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】低温の流体と高温の流体が混合する部位を有する流体循環機器のうち、流体の循環流量が非常に低い条件で用いられる機器においては、低温の流体と高温の流体が混合する点の低温の流体側のやや上流において、高温の流体の有する熱が対流,熱伝導,熱伝達等の機構により移動することによって高温流体の溜りを生ずることがある。
【0004】このとき、高温流体溜りを生じた配管あるいはノズルにおいて材料の内部に温度差を生じることによってある程度大きな熱応力が発生する場合がある。この熱応力の発生と消滅、あるいは大きさの異なる熱応力の発生が繰り返されることによって、材料が熱疲労を受けることがある。
【0005】配管あるいはノズルといった機器の健全性を保持するためには、この高温流体溜りに起因する熱疲労の発生を防止する必要がある。上記従来技術では、流体の流量が低い場合に発達する高温流体溜りに起因する熱疲労の防止には対応していなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解決するために、低温の流体と高温の流体の混合点の、低温流体側のやや上流部において、高温流体溜りが形成されたとしても、その高温流体溜りの形成を検知する機構と、形成された高温流体溜りを排除する機構を設けて熱疲労の発生を防止する。
【0007】また、高温流体溜りが形成される可能性のある部位の全体を高温に保持することにより、熱疲労の発生を防止する。
【0008】即ち、高温の流体と低温の流体が混合する点の、低温流体側のやや上流部において、配管あるいはノズルといった構造体の外周、または肉厚中間部、または流体に接することができる内部に温度センサーを取り付けておく。また、低温の流体を供給する供給管の中間に循環流量を変えることのできるポンプを設置しておき、さらに温度センサーで検知した温度がある条件を満たした場合にポンプを自動的に駆動させることができるポンプ回転制御装置を備えておく。
【0009】ポンプ回転数が低い条件で流体が循環されている際に、高温流体溜りが形成されて温度センサーで計測している温度がある限界温度TC を超えた時、瞬時にしてポンプ回転制御装置を用いてポンプの回転数を高め、温度の低い流体を高い循環流量で供給することにより、配管あるいはノズルに高い熱応力が発生する以前に高温流体溜りを排除することによって熱疲労の発生を抑止する。
【0010】また、高温の流体と低温の流体が混合する点の、低温流体側のやや上流部において、高温流体溜りが形成されない下側に電気ヒーターを設けておく。配管あるいはノズルといった構造体の上部の外周、または肉厚中間部、または流体に接することができる内部に取り付けられた温度センサーにより、高温流体溜りが形成されたと考えられる、あらかじめ決定しておいた限界温度TC を検出した場合に、電気ヒーターに自動的に電力を供給し、配管あるいはノズルの上下において生じていた温度差を小さくして、配管あるいはノズルに発生する熱疲労を防止する。
【0011】また、高温の流体と低温の流体が混合する点の、低温流体側の上流部にエルボが存在し、流体が下側から上側に上がってくるような構造の場合には、エルボ部から高温の流体と低温の流体の混合部まで、エルボ,配管,ノズルの外周を電気ヒーターで覆い、エルボ,配管,ノズルを全周から加熱することにより、その内部に存在する流体が温度分布を有しないようにすることにより、エルボ,配管,ノズルの熱疲労を防止する。
【0012】また、高温の流体と低温の流体が混合する点の、低温流体側のやや上流部において、高温流体溜りが形成される上側に冷却ジャケットを設けておく。配管あるいはノズルといった構造体の上部の外周、または肉厚中間部、または流体に接することができる内部に取り付けられた温度センサーにより、高温流体溜りが形成されたと考えられる、あらかじめ決定しておいた限界温度TC を検出した場合に、冷却ジェケットに冷却用流体を自動的に供給し、高温流体溜りを配管あるいはノズルを介して冷却し、高温流体溜りを消滅させることによって熱疲労を防止する。
【0013】また、高温流体溜りが形成されると想定される部位がノズルであり、ノズルの内部にサーマルスリーブが設けられている場合には、ノズルとサーマルスリーブとの間隙であるアニュラス部とノズル外部との間を貫通する穴を設け、ノズルの上側に冷却流体供給管を、またノズルの下側に冷却流体排出管を設置し、冷却流体貯蔵タンク内に貯蔵してある冷却流体を冷却流体供給ポンプで冷却流体供給配管を通してアニュラス部内に供給し、それと同時に冷却流体排出ポンプで冷却流体排出管を通して冷却流体を排出することにより、サーマルスリーブを介して熱伝達及び熱伝導を起こさせ、形成された高温流体溜りを冷却して消滅させることにより熱疲労の発生を防止する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1を用いて本発明のひとつの実施例を説明する。高温流体保持容器1には低温流体循環配管2が流体供給ノズル3及び流体排出ノズル4を介して接続されている。流体供給ノズル3の上部の外周、または肉厚中間部、または流体に接することができる内部には温度センサー5が接続されている。また、低温流体循環配管2の中間には循環ポンプ6が設置されている。
【0015】ポンプ回転制御装置7は、温度センサー5が検出する温度8があらかじめ定めておいた温度条件を満足したら循環ポンプ6の回点数を変えることが可能である。はじめ、循環ポンプ6は低い回転数で回転しており、わずかな低温流体が高温流体保持容器1に流入しているとする。このとき、流体供給ノズル3の内部は低温流体で満たされているが、時間の経過と共に、対流,熱伝導,熱伝達によって次第にその内部の上部に高温流体溜りが形成されていく。
【0016】温度センサー5で検知する高温流体溜りの温度が、あらかじめ解析等によって有意な熱疲労損傷を与えると評価される温度よりもやや低いが、その温度以上に流体が加熱された場合には熱疲労による損傷を懸念しなければならない限界温度10よりも高い温度になった場合に、ポンプ回転制御装置7が自動的に稼動し、ポンプ回転数上昇開始時間11において循環ポンプ6の回転数を上昇させる。
【0017】このとき、流体供給ノズル3には低温の流体が勢い良く供給されるため、流体供給ノズル3の内部の上部に形成されていた高温流体溜りは排出されて、流体供給ノズル3の内部に流体の温度勾配は消失し、熱疲労の発生はなくなる。温度センサー5で検出している温度8が十分に低くなったとき、再びポンプ回転制御装置7が自動的に働き、ポンプ回転数降下時間12においてポンプの回転数を低下させ、当初の運転モードに戻る。高温流体溜りの発達に応じて以上の動作を繰り返すことにより、熱疲労の発生を防止することができる。
【0018】本発明の別の実施例を、図2を用いて説明する。ノズル20の配管側には低温流体29が、またその反対側には高温流体28が存在しており、低温流体29は高温流体28側に流入している。低温流体29の高温流体28への流入量、すなわち循環ポンプの回転数が低い場合には、時間の経過とともにノズル20の内部に高温流体溜り27が形成される。高温流体溜り27ははじめ高温流体28側に形成されるが、時間の経過に伴って次第に大きくなり、低温流体29側に次第に発達してくる。高温流体溜り27が相当大きくなりノズル20と配管の接続部にまで到達するようになるとノズル20あるいは配管にある程度大きな熱応力が発生するようになる。
【0019】高温流体溜り27が大きく発達してきたことを温度センサー23により温度の上昇で検知し、温度センサー23で計測している温度が限界温度よりも高くなったときに電気ヒーター制御装置26が自動的に稼動し、電気ヒーター25に電力が供給される。電気ヒーター25に電力が供給されるとノズル20の下側は加熱されて温度が上昇する。このノズル20の下側の温度の上昇を温度センサー24で検出し、温度センサー23で測定しているノズル20の上側の温度と、温度センサー24で測定しているノズル20の下側の温度とがほぼ同じ温度になるように、電気ヒーター制御装置26の出力を調整する。このときノズル20の温度は周方向でほぼ均一となり、温度分布が存在しなくなるため熱疲労は発生しない。本発明の別の実施例を図3を用いて説明する。ノズル35には配管36が接続されており、配管36にはさらにエルボ30が接続されており、エルボ30にはさらに上昇配管31が接続されている。上昇配管31の内部は低温流体34で満たされており、低温流体34は比較的低い流量でエルボ30,配管36,ノズル35の順にその内部を流動している。配管36及びエルボ30の外周には電気ヒーター32が巻き付けられている。
【0020】電気ヒーター32には常時電力が供給されており、配管36及びエルボ30の内部の流体は、配管36及びエルボ30を介して電気ヒーターにより加熱されており、高温流体33となっている。高温流体33は全周から加熱されているため、温度分布はほとんどなく、ほぼ均一の温度となっている。この状態においてはノズル35の内部や配管36の内部に高温流体溜りは形成されず、そのためノズル35及び配管36そのものに温度分布もつかないため、熱疲労は発生しない。本発明の別の実施例を図4を用いて説明する。ノズル40の配管側には低温流体42が、またその反対側には高温流体41が存在しており、低温流体42は高温流体41側に流入している。低温流体42の高温流体41への流入量、すなわち循環ポンプの回転数が低い場合には、時間の経過とともにノズル40の内部に高温流体溜り43が形成される。高温流体溜り43ははじめ高温流体41側に形成されるが、時間の経過に伴って次第に大きくなり、低温流体42側に次第に発達してくる。高温流体溜り43が相当大きくなりノズル40と配管の接続部にまで到達するようになるとノズル40あるいは配管にある程度大きな熱応力が発生するようになる。
【0021】ノズルに近い配管の外周部に冷却ジャケット44を設けておく。高温流体溜り43が大きく発達してきたことを温度センサー49により温度の上昇で検知し、温度センサー49で計測している温度が限界温度よりも高くなったときに制御装置50を用いて冷却流体循環ポンプ46を駆動させ、冷却流体貯溜タンク45内の冷却流体を冷却流体供給配管47を介して冷却ジャケット内に供給する。冷却ジャケット44からは冷却に用いられた冷却流体が冷却流体排出配管48を通して排出される。高温流体溜り43は冷却ジャケット44の位置で冷却されるため、大きく発達することが妨げられ、そのため熱応力の発生が妨げられて熱疲労損傷を受けないようになる。
【0022】本発明の別の実施例を図5を用いて説明する。ノズル60の配管側には低温流体62が、またその反対側には高温流体61が存在しており、低温流体62は高温流体61側に流入している。低温流体62の高温流体61への流入量、すなわち循環ポンプの回転数が低い場合には、時間の経過とともにノズル60の内部に高温流体溜り70が形成される。高温流体溜り70ははじめ高温流体61側に形成されるが、時間の経過に伴って次第に大きくなり、低温流体62側に次第に発達してくる。高温流体溜り70が相当大きくなりノズル60と配管との接続部にまで到達するようになるとノズル60あるいは配管にある程度大きな熱応力が発生するようになる。
【0023】高温流体溜り70が大きく発達してきたことを温度センサー68により温度の上昇で検知し、温度センサー68で計測している温度が限界温度よりも高くなったときに制御装置69を用いて冷却流体循環ポンプ66を駆動させ、冷却流体貯溜タンク71内の冷却流体を冷却流体供給配管64を介してアニュラス部63の中に供給する。
【0024】冷却流体はアニュラス部63を冷却流体供給配管64のあるアニュラス部63の上部から、冷却流体排出配管65のあるアニュラス部63の下部に流れる。このとき冷却流体は高温流体溜り70の熱を奪い、高温流体溜り70のさらなる発達を抑えるとともに、高温流体溜り70の大きさを小さくすることができる。加熱された冷却流体は、冷却流体排出ポンプ67を駆動させることにより冷却流体排出配管65を通過して排出される。
【0025】
【発明の効果】本発明により,高温流体溜りが発達する可能性のあるノズル部の高温流体溜りの発達を抑えることができるため、熱応力の発生による構造物の損傷が起こらないようにすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】598086556
【氏名又は名称】日立エンジニアリングコンサルティング株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開2000−193200(P2000−193200A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−368946