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【発明の名称】 液体移送配管の洗浄殺菌方法およびそのシステム
【発明者】 【氏名】吉葉 正美

【氏名】打越 香悦

【氏名】赤松 卓

【要約】 【課題】洗浄液、殺菌液の使用量が少なくとも十分な洗浄・殺菌効果を得ることができ、かつ、洗浄,殺菌後の廃水量を少なくすることにより、環境保全に有効な洗浄殺菌システムを提供すること。

【解決手段】移送元経路配管2から移送配管1へ移送液体が移送された後、洗浄・殺菌ユニット3から移送配管1へ、第1ピグ32−1が洗浄液により送り込まれ、移送配管1内の残留物を回収しつつ、洗浄が行われる。次に第2ピグ32−2が殺菌剤により送り込まれ、続けて第3ピグ32−3が仕上げ洗浄液により送り込まれ、さらに第4ピグ32−4が次の移送液体によって送り込まれる。これにより、移送配管1内に残留した洗浄液を回収しつつ、少量の殺菌剤および仕上げ洗浄液により、移送配管1内の殺菌,洗浄が行われ、かつ、続けて次の移送液体が移送される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体を移送する液体移送配管により液体を移送した後、複数のピグを、各ピグに対応して外部から供給される所定の圧力が付与された洗浄流体および殺菌流体によって、予め定められた順序で前記液体移送配管へ順次送り込み、前記液体移送配管内に複数のピグが同時に存在する状態を経て、前記液体移送配管内における前記液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄を順次連続して行うことを特徴とする液体移送配管の洗浄殺菌方法。
【請求項2】 液体を移送するための液体移送配管と、外部から所定の圧力が付与されて供給される洗浄流体および殺菌流体の各々に対応して設けられたピグを、各々対応する流体によって前記液体移送配管へ送り込む洗浄・殺菌ユニットとを備え、前記液体移送配管により液体を移送した後、前記洗浄・殺菌ユニットから、前記複数のピグを各々対応する流体によって予め定められた順序で前記液体移送配管へ送り込み、前記液体移送配管内に複数のピグが同時に存在する状態を経て、前記液体移送配管内における前記液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄を順次連続して行うことを特徴とする液体移送配管の洗浄殺菌システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、シャンプー、ボディソープ、液体ベビー洗剤、練歯磨等を移送するための液体移送配管内を洗浄、殺菌する液体移送配管の洗浄殺菌システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、シャンプー、ボディソープ、液体ベビー洗剤、練歯磨等の流体製品の移送は、配管(以下、移送配管という)の中を通して行っている。この移送配管内には、上述した様々な製品および品種が通ることになるが、例えば、ある製品を移送した後、他の製品を移送する場合、上記他の製品の移送を開始する前に、移送配管内を洗浄・殺菌する必要がある。
【0003】ここで、従来の移送配管内の洗浄・殺菌作業は、まず、移送配管内に残留した移送液体を、ピグと呼ばれる移送配管内容物押し出し器具(上記移送配管の内径よりもやや大きい外径を持つ、弾性材料(例えばゴム等)からなる栓状物体)を用いて押し出す。そして、移送配管を継ぎ手のボルトを人手により取り外して分解し、分解した移送配管を上水,精製水等で順次洗浄する。この時、さらに移送配管内の殺菌が必要な場合は、移送配管内をアルコールに浸漬して殺菌する。そして、移送配管を乾燥(自然乾燥)させた後、再び人手により移送配管を元の状態に組み立てる。
【0004】また、他の移送配管内の洗浄・殺菌方法としては、ピグにより移送配管内の残留移送液体を押し出した後、噴射ノズルを移送配管内に挿入し、その噴射ノズルから洗浄液を噴射させて移送配管内を洗浄した後、当該噴射ノズルから蒸気を噴射させることによって加熱殺菌する方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、移送配管内の洗浄・殺菌作業には、上述したように多くの人手と時間を要すると共に、移送配管の分解,再組立等は、通常、高所作業となるため安全性にも問題があった。また、噴射ノズルを用いた移送配管内の洗浄・殺菌方法では、移送配管の長さによっては、管内全体が十分に殺菌作用が得られる程度に加熱されるまで時間がかかり、同時に大量の蒸気が必要になるという問題がある。また、一旦移送配管を加熱した後、次の液体を移送する場合、移送配管が十分に冷却されるまで待たなくてはならず、生産効率の低下の一因になっていた。
【0006】さらに、移送配管が長い場合には、液体による洗浄のみでも洗浄液が大量に必要になり、また、殺菌作業を行うにあたり、殺菌剤のような高価な液体を用いると、当該高価な殺菌剤が大量に必要となるため、製品コストを高価にしてしまうという問題があった。さらに、洗浄液および殺菌剤の大量使用は、移送配管の洗浄・殺菌後に廃水を大量に発生させるという問題も含んでいる。
【0007】本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、洗浄液、殺菌液の使用量が少なくとも十分な洗浄・殺菌効果を得ることができ、かつ、洗浄,殺菌後の廃水量を少なくすることにより、環境保全に有効な洗浄・殺菌システムを提供することを目的としている。また、洗浄・殺菌作業後、直ちに次の液体を移送することができる液体移送配管の洗浄・殺菌システムを提供することを目的としている。さらに、人手による作業を極力少なくし、移送配管内の洗浄および殺菌作業を効率よく行うことができる液体移送配管の洗浄・殺菌システムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、液体を移送する液体移送配管により液体を移送した後、複数のピグを、各ピグに対応して外部から供給される所定の圧力が付与された洗浄流体および殺菌流体によって、予め定められた順序で前記液体移送配管へ順次送り込み、前記液体移送配管内に複数のピグが同時に存在する状態を経て、前記液体移送配管内における移送液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄を順次連続して行うことを特徴とする液体移送配管の洗浄殺菌方法である。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、液体を移送するための液体移送配管と、外部から所定の圧力が付与されて供給される洗浄流体および殺菌流体の各々に対応して設けられたピグを、各々対応する流体によって前記液体移送配管へ送り込む洗浄・殺菌ユニットとを備え、前記液体移送配管により液体を移送した後、前記洗浄・殺菌ユニットから、前記複数のピグを各々対応する流体によって予め定められた順序で前記液体移送配管へ送り込み、前記液体移送配管内に複数のピグが同時に存在する状態を経て、前記液体移送配管内における移送液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄を順次連続して行うことを特徴とする液体移送配管の洗浄殺菌システムである。
【0010】上述した請求項1および2に記載の発明によれば、複数のピグが各ピグに対応する洗浄流体または殺菌流体によって予め定められた順序に従って、順次液体移送配管へ送り込まれる。そして、液体移送配管内に複数のピグが同時に存在する状態を経て、当該液体移送配管から上記各ピグ、および、各ピグを送り込んだ洗浄流体および殺菌流体を回収した時点で、上記液体移送配管内における移送液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄が連続して行われることになる。
【0011】ここで、予め定められた順序とは、例えば、まず、最初のピグを洗浄流体により液体移送配管へ送り込み、液体移送配管内に残留した液体を押し出すと共に、液体移送配管内を洗浄し、次のピグを殺菌流体により液体移送配管へ送り込み、上記最初のピグおよび洗浄流体を押し出すと共に、液体移送配管内を殺菌し、さらに、3番目のピグを再度洗浄流体により液体移送配管へ送り込むことによって、上記最初のピグ、洗浄流体、次のピグ、および、殺菌流体を押し出すと共に、液体移送配管内を再洗浄するという順序が考えられる。
【0012】また、上記予め定められた順序として、例えば、実施形態における図2のステップS2〜ステップS6に示す順序も考えられるが、この場合、液体移送配管内に同時に存在する複数のピグは、第2ピグ32−2および第3ピグ32−3の2つとなる。
【0013】また、上述した洗浄,殺菌は、必要に応じて複数回繰り返してもよい。すなわち、例えば、まず、最初のピグを洗浄流体により液体移送配管へ送り込み、液体移送配管内に残留した液体を押し出すと共に、液体移送配管内を洗浄した後、次のピグを再度洗浄液で押し出して、続けて洗浄を行うようにしてもよい。
【0014】さらに、洗浄流体および殺菌流体に付与される所定の圧力(ゲージ圧)は、移送配管の口径や長さによって変わるが、通常は0.2〜2MPaの範囲であり、好ましくは、0.3〜1.0MPaの範囲が適当である。また、上記洗浄流体としては、上水、精製水(イオン交換水)等が使用可能である。また、殺菌流体としてはオゾン水,強酸化水,次亜塩素酸ソーダ,エタノール等が使用可能である。また、殺菌流体として、ピュアスチーム(イオン交換水のスチーム)等を用いてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る液体移送配管の洗浄殺菌システムの一実施形態ついて説明する。図1は本実施形態における洗浄殺菌システムの概略的な構成を示す概略構成図である。この図において、1はヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、シャンプー、ボディソープ、液体ベビー洗剤、練歯磨等の各種液体製品を移送するための移送配管であり、本実施形態における洗浄殺菌システムの洗浄,殺菌対象である。
【0016】2は移送元経路配管であり、図示せぬポンプによって移送元の貯槽から送られてくる上記各種液体製品(移送液体)等を通過させる。3は洗浄・殺菌ユニットであり、ピグを用いて洗浄液,殺菌剤,仕上げ洗浄液,次の移送液体(後述する)等のいずれか1つを切り替え可能に移送配管1へ供給する。なお、この洗浄・殺菌ユニットの構成については後述する。4は回収経路配管であり、洗浄・殺菌ユニット3から移送配管1を通過してきたピグ,洗浄液,殺菌剤,仕上げ洗浄液等を、図示せぬ回収部へ送るための配管である。5は移送先経路配管であり、移送配管1を通過してきた各種液体製品を移送先の貯槽(図示略)へ送るための配管である。
【0017】6−1,6−2は、それぞれ第1三方弁および第2三方弁であり、第1三方弁6−1は、移送元経路配管2から送られてきた液体製品、または、洗浄・殺菌ユニット3から送られてきたピグや各種液体のいずれか一方を移送配管1へ流出する。また、第2三方弁6−2は、移送配管1から送られてきたピグや各種液体を、回収経路配管4または移送先経路配管5へ流出する。なお、図1に示す第1三方弁6−1および第2三方弁6−2は、それぞれ洗浄・殺菌ユニット3から移送配管1への経路、および、移送配管1から移送先経路配管5への経路(すなわち、実線で示す経路)が形成されている状態を示している。
【0018】次に、前述した洗浄・殺菌ユニット3の構成について説明する。洗浄・殺菌ユニット3は、内部に各々独立した4つの配管系を有し、これら4つの配管系の各々に対応して、それぞれ所定の圧力(ゲージ圧)が付与された、洗浄液、殺菌剤、仕上げ洗浄液、次の移送液体(移送元経路配管2を通して移送される液体製品の次に移送される液体製品)が外部から供給されている。
【0019】ここで、上記洗浄液は、移送液体の種類によって決められるが、水溶性の移送液体の場合は、水が適当であり、特に、洗浄性から40〜80℃の温水、とりわけ、移送液体が化粧品や医薬部外品の場合は、異物混入防止の点から40〜80℃の温精製水が最適である。なお、これらの水は、微生物を混入させないという観点から、滅菌水の使用が好ましい。
【0020】また、殺菌剤は、殺菌の対象となる菌や、移送配管の材質によって決められるが、耐熱性のある金属等の移送配管の場合は、非接触部のガスケット裏側等も伝熱により殺菌可能である水蒸気や、80℃以上の熱水を用いる加熱殺菌が確実で最適である。この場合、とりわけ次に移送する流体製品として化粧品や医薬部外品を移送する場合は、精製水蒸気や熱精製水を用いれば、異物混入防止ができ、仕上洗浄を削除可能となるメリットがある。一方、耐熱性のない移送配管の場合は、通常殺菌に用いられるオゾン水、強酸化水、次亜塩素酸ソーダ、エタノール等が使用可能であるが、このうち、廃液処理の負担が小さいオゾン水が最適である。
【0021】さらに仕上げ洗浄液は、移送液体の種類によって決められるが、水溶性の移送液体の場合は、滅菌水、より好ましくは、確実に殺菌できる80℃以上の温水が適当であり、特に、次に移送する流体製品として化粧品や医薬部外品を移送する場合は、異物混入防止の点から、80℃以上の温精製水が最適である。
【0022】また、洗浄液が供給される配管系を第1配管系、殺菌剤が供給される配管系を第2配管系、仕上げ洗浄液が供給される配管系を第3配管系、次の移送液体が供給される配管系を第4配管系とする。これら4つの配管系は1つの配管にまとめられ、第1三方弁6−1へ接続されている。また、各配管系には、それぞれ2つのバルブ31a,31bと、これら2つのバルブの間に、ピグ32を配管内にセットするためのピグ挿入部33が設けられている。そして、各配管系において、ピグ挿入部33から配管内にセットされたピグ32を所定の順序に従って、外部から供給される各種液体により、順次、移送配管1へと送り出す。
【0023】なお、各配管系に設けられた上記各構成の配管系毎の区別は、各符号の後に、ハイフンとその配管系の番号を付与することによって区別するものとする。例えば、洗浄液が供給される配管系(第1配管系)に設置されるバルブ31a,31bおよびピグ挿入部33は、それぞれ、バルブ31a−1,31b−1およびピグ挿入部33−1と表す。また、第1配管系から送り出されるピグを第1ピグ32−1と表す。
【0024】また、洗浄・殺菌ユニット3内の各配管系に使用される配管の口径は、移送配管1の口径と同一寸法になっている。さらに、バルブ31a,31bは、それぞれ図1中、第1配管系のバルブ31a−1および31b−1の状態が開状態を示し、第2〜第4配管系のバルブ31a−2〜31a−4および31b−2〜31b−4の状態が閉状態を示している。また、ピグ32の材質としては、通常、フッ素樹脂、ニトリルゴム等が使用可能であるが、移送する液体の性質、洗浄・殺菌に用いる洗浄液および殺菌剤の種類,使用温度等に応じて適宜選択される。
【0025】次に上述した液体移送配管の洗浄殺菌システムを用いた移送配管1の線上,殺菌作業の手順について図2を参照して説明する。ここで、初期状態では、第1三方弁6−1は移送元経路配管2から移送配管1への経路を形成しており、第2三方弁6−2は移送配管1から移送先経路配管5への経路を形成している。また、線上・殺菌ユニット3内の全バルブ31a−1〜31a−4および31b−1〜31b−4は、閉状態になっている。
【0026】そして、図示せぬポンプにより、移送元貯槽から移送元経路配管2⇒第1三方弁6−1⇒移送配管1⇒第2三方弁6−2⇒移送先経路配管5の経路により、移送液体の移送が終了すると、洗浄・殺菌作業者(以下、単に作業者という)は、図2に示すフローチャートに従って、移送配管1の洗浄,殺菌作業を行う。
【0027】すなわち、まず、ステップS1で、第1三方弁6−1を、洗浄・殺菌ユニット3から移送配管1への経路に切り替える。そして、ステップS2へ進み、洗浄・殺菌ユニット3のバルブ31a−1および31b−1を開き、外部から供給された洗浄液の圧力により、第1ピグ32−1を移送配管1に向けて押し出させる。これにより、第1ピグ32−1は、洗浄液の背圧を受けて移送配管1内に残留した移送液体を移送先貯槽へと押し出しつつ、移送配管1内を移動していく。またこの時、洗浄液により移送配管1内に僅かに残った移送液体の残液が洗浄される。
【0028】次に、ステップS3へ進み、第1ピグ32−1が第2三方弁6−2の入力端に達するまで洗浄・殺菌ユニット3から洗浄液を送り出す(ステップS3の判断結果がNOの間)。やがて第1ピグ32−1が第2三方弁6−2の入力端に到達したら(ステップS3の判断結果がYES)、ステップS4へ進み、第2三方弁6−2の流路を移送先経路配管5側から回収経路配管4側へ切り替える。
【0029】そして、第1ピグ32−1が第2三方弁6−2および移送先経路配管5を経て図示せぬ回収部に回収されると、洗浄・殺菌ユニット3のバルブ31a−1および31b−1を閉める。次にステップS5へ進み、バルブ31a−2および31b−2を開ける。これにより、殺菌剤によって第2ピグ32−2が移送配管1へ押し出され、移送配管1内が洗浄液により完全に洗い落されると同時に、殺菌剤によって移送配管1内が殺菌される。なお、第2ピグ32−2により押し出された洗浄液は回収部へ回収される。
【0030】そして、予め定められた量の殺菌剤が移送配管1へ送り出されると、洗浄・殺菌ユニット3のバルブ31a−2および31b−2を閉める。この時、必要に応じて殺菌剤を移送配管1内に所定時間滞留させて(詳しくは後述する)殺菌をより徹底的に行なうようにしてもよい。なお、上述した予め定められた量とは、移送配管1の全容積よりも少ない量(例えば、移送配管1の全容積の1/2以下の量)である。
【0031】次にステップS6へ進み、バルブ31a−3および31b−3を開けて、仕上げ洗浄液により第3ピグ32−3を移送配管1へ移動させる。これにより、移送配管1内の第2ピグ32−2および殺菌剤が、第3ピグ32−3によって押し出され、かつ、第2ピグ32−2の背後において仕上げ洗いが行われる。そして、予め定められた量の殺菌剤が移送配管1へ送り出されると、洗浄・殺菌ユニット3のバルブ31a−3および31b−3を閉める。
【0032】次にステップS7へ進み、洗浄・殺菌ユニット3のバルブ31a−4および31b−4を開けて、次の移送液体の圧力により、第4ピグ32−4を移送配管1へと移動させる。これにより、移送配管1内の仕上げ洗浄液が押し出され、殺菌剤を洗い流していくと共に、次の移送液体が移送配管1へ送られる。
【0033】図3に、この時の移送配管内の状態を模式的に示す。移送配管1内には、第2ピグ32−2を先頭に、第3ピグ32−3および第4ピグ32−4が同時に存在し、これらのピグは、次の移送液体の背圧を受けて移送配管1内を移動する。その際、殺菌剤および仕上げ洗浄液は、それぞれ、第2ピグ32−2と第3ピグ32−3の間、第3ピグ32−3と第4ピグ32−4の間で移送配管内に隙間なく満たされ、なおかつ、その状態のまま移送配管内を移動することになるので、口径の大きい移送配管であっても少量の殺菌剤および仕上げ洗浄液により、移送配管内をまんべんなく殺菌および仕上げ洗浄することができる。さらには、殺菌および仕上げ洗浄を行いつつ、直ちに次の移送液体を移送することも実現されている。
【0034】そして、次の移送液体を移送配管1へ送り続け、ステップS8の判断結果がYESになると、すなわち、第2ピグ32−2、殺菌剤、第3ピグ32−3、仕上げ洗浄液が図示せぬ回収部に回収され、次いで第4ピグ32−4が回収されると、ステップS9へ進み、第2三方弁6−2の流路を回収経路配管4側から移送先経路配管5側に切り替え、これにより洗浄・殺菌操作が終了する。以後は、洗浄・殺菌ユニット3から次の移送液体が、移送先貯槽へと移送される。
【0035】なお、特に高度な洗浄が必要な場合は、洗浄工程を2〜3回繰り返してもよい。すなわち、まず、第1ピグ32−1を洗浄液により送り出し、移送配管1内に残留した移送液体を押し出しつつ洗浄した後、一旦バルブ31a−1,31b−1を閉めて、ピグ挿入部33−1から再度第1ピグ32−1をセットし、再びバルブ31a−1,31b−1を開けて、2度目の洗浄を行うようにしてもよい。この時、再度セットする第1ピグは、前回使用した第1ピグを回収して再使用してもよいし、別の第1ピグを洗浄工程を繰り返す回数分、予め用意して順次使用してもよい。
【0036】また、殺菌剤の移送配管内における滞留時間は、使用する殺菌剤の種類、殺菌剤の温度、殺菌対象の菌等に応じて決められるが、一般的に、移送配管内の一定箇所が殺菌剤に30分以上さらされるように、ピグの送出速度を調節することが好ましい。例えば、1〜2ppmのオゾン水を殺菌剤として使用した場合、10分以上の滞留が好ましい。なお、これらの薬剤により殺菌する場合は、非接触部に対する殺菌効果がないため、定期的に加熱殺菌を併用することが好ましい。
【0037】また、必要に応じて移送配管内全体を殺菌液で満たして一定時間保持することも効果的である。この時、熱伝導率の大きい移送配管の場合、殺菌剤の保持中に殺菌効果を発揮する所定温度以下に低下することが懸念されるが、そのような場合は、前述した洗浄行程と同様にして、殺菌工程を2〜3回行うようにしてもよい。
【0038】ここで、洗浄・殺菌ユニット3から送り出されるのピグの数は、洗浄・殺菌対象の移送配管に対して要求される洗浄・殺菌の程度によって決定されるが、上述した洗浄工程および殺菌工程を繰り返す場合を考慮しても、2〜8個が適当である。例えば、洗浄・殺菌ユニット3から送り出すピグの数を8個とした場合、最初のピグ,洗浄液,2番目のピグ,洗浄液,3番目のピグ,洗浄液,4番目のピグ,殺菌剤,5番目のピグ,殺菌剤,6番目のピグ,殺菌剤,7番目のピグ,仕上げ洗浄液,8番目のピグ,次の移送液体という順序で送り出すことが考えられる。
【0039】さらに、ピグを押し出すための各種液体の圧力(ゲージ圧)は、移送配管の口径や長さによって変わるが、通常は0.2〜2MPaの範囲であり、好ましくは、0.3〜1.0MPaの範囲が適当である。これ以下の圧力では、ピグの移動が不良となる(滞る)場合があり、また、これ以上の圧力では、ピグの移動が速すぎて、移送配管の内壁に残留した各種液体の掻き落としが不十分になる場合がある。
【0040】また、洗浄・殺菌ユニット3は、洗浄する移送配管に固定して設置しても良いが、洗浄・殺菌すべき同口径の移送配管が複数のある場合、移動可能な構造にして、必要な時に必要な場所へ接続して=使用すると、設備費が安価に済み、有利である。また、上述した洗浄・殺菌システムにおいて、バルブの開閉動作を自動化し、さらに、バルブ開閉動作のタイミングおよび図2に示したフローチャートの各ステップの所要時間を予め設定し、自動的に実行するように構成すれば、ほとんど無人で一連の操作が可能となる。
【0041】
【実施例】本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するために、以下にシャンプーの移送配管に対する洗浄・殺菌作業の比較例および実施例を示す。ここで、比較例では従来の洗浄・殺菌作業に準じた方法により移送配管を洗浄・殺菌を行い、実施例では、上述した本願発明に係る栓状殺菌システムを用いて移送配管を洗浄・殺菌を行った。
【0042】図4に、比較例および実施例により、洗浄・殺菌作業を行う移送配管の構成を模式的に示す。この図において、10は洗浄・殺菌対象の移送配管であり、17ヶ所の継手を有している。また、この移送配管10の材質はSUS304であり、口径は50A,長さは約50mである。11は移送液体であるシャンプーを移送配管1へと送り込むポンプである。12は移送配管10とポンプ11との間の経路を遮断または開放するバルブである。
【0043】13は比較例においては外部から、また、実施例においては図1に示した洗浄・殺菌ユニット3から、移送配管10へ送り込む洗浄液,殺菌剤等を阻止または通過させるバルブである。14は移送配管10と図示せぬ回収部(前述した「実施形態」で説明した回収部と同様のもの)との間の経路を遮断または開放するバルブである。15は移送配管10と図示せぬ移送先貯槽との間の経路を遮断または開放するバルブである。
【0044】上記の移送配管の構成において、洗浄・殺菌の対象範囲は、ポンプ11の出口のバルブ12から、移送先貯槽へと続く配管手前のバルブ15までの範囲である。
【0045】次に、比較例1,比較例2,実施例1,実施例2,実施例3の各々における洗浄・殺菌手順を記す。
【0046】[比較例1]
■バルブ15を開状態、バルブ12,13,14を閉状態にし、バルブ13の外側開口部にエアーホースを接続して、圧力をかけた状態にしてから、バルブ13を開け、圧力(ゲージ圧)0.4MPaで、移送配管10中の残液を移送先貯槽へとパージした。
■移送配管10の継手部17ヶ所を分解して、図示せぬ洗浄槽に運び、約60℃の温水で洗浄した。
■ 洗浄済の短管(分解された移送配管10の各々の管)から順次、一方から水蒸気を吹き込み、全部位が80℃になったのを確認後、さらに30分間、水蒸気吹き込みを継続して殺菌した。
■ 殺菌済の短管から順次、約80℃の温精製水で仕上洗浄した後、移送配管10を再度組み立てた。
■ 移送配管10の組み立て終了後、ポンプ11により、移送元貯槽からの次品種のシャンプーを移送配管10に充満させた。
【0047】[比較例2]
■バルブ13,14を開状態、バルブ12,15を閉状態にし、バルブ13の外部側の開口部から直接ピグを打ち込み、このピグに圧力(ゲージ圧)1.5MPaの背圧を付加して、移送配管10中の残液を移送先貯槽へと押し出した。ピグがバルブ14の手前まで来た時、バルブ15を閉め、バルブ14を開けて、上記ピグを図示せぬ回収部において回収した。
■次にバルブ13の外部側開口部から、直接約60℃の温水を約50L/分で送り込み、移送配管10内を洗浄した。廃液はバルブ14を通して図示せぬ回収部で回収した。そして、廃液中のTODを時系列的に測定し、50ppm以下になった時点で、洗浄を終了した。
■次にバルブ13の外部側の開口部から、水蒸気を吹き込み、移送配管10の全部位が80℃になったのを確認した後、さらに30分間、水蒸気の吹き込みを継続して行い殺菌した。ドレーンはバルブ14を通して図示せぬ回収部で回収した。
■次にバルブ13の外部側開口部から、約80℃の温精製水をポンプ(図示略)で送り込み、移送配管10内を仕上げ洗浄した。廃液はバルブ14を通して図示せぬ回収部で回収した。
■最後にバルブ12,15を開状態、バルブ13,14を閉状態にし、ポンプ11により、移送元貯槽からの次品種のシャンプーを移送配管10に充満させた。
【0048】実施例1〜3では、図4のバルブ13の外部側開口部に、図1で示した洗浄・殺菌ユニット3を接続し、下記の手順および条件により洗浄・殺菌作業を実施した。
【0049】[実施例1,実施例2]
■まず、バルブ13,15を開状態、バルブ12,14を閉状態にし、洗浄・殺菌ユニット3の第1配管系へ約80℃の温精製水を供給し、第1ピグ32−1を移動させて、移送配管10内の残液を移送先貯槽へと押し出すと同時に、僅かに配管内壁に残った付着液を洗浄した。この時、第1ピグ32−1の操作圧力(ゲージ圧)は、実施例1では1.0MPa,実施例2では、0.4MPaとした。
■次に、第1ピグ32−1が移送配管10の1/2まで達する量だけ、上記温精製水を供給した後、0.4MPaの水蒸気を第2配管系に供給し、第2ピグ32−2を移動させて、移送配管10内に残っている温精製水を、第1ピグ32−1と共に押し出す。そして、第1ピグ32−1がバルブ14の手前に達したところでバルブ15を閉状態、バルブ14を開状態とし、バルブ14を通して第1ピグ32−1,温精製水,第2ピグ32−2が回収部で回収された時点で、バルブ14を閉状態にして、移送配管10内を水蒸気で充満させ、移送配管10の全部位が、90℃以上になった時点で水蒸気の流入を止めた。
■ 殺菌後、再度バルブ14を開け、約80℃の温精製水を第3配管系へ供給し、第3ピグ32−3を作動させて、移送配管10内に残ったドレーンをバルブ14を通して回収部へ押し出すと共に、移送配管10内を仕上洗浄した。そして、第3ピグ32−3が移送配管10の1/2まで達した時点で、第3配管系へ供給する温精製水を停止した。
■最後に、次に移送するシャンプーを第4配管系へ供給し、第4ピグ32−4を移動させて、移送配管10内に残った温精製水をバルブ14を通して回収部へ押し出すと共に、移送配管10内を次に移送するシャンプーで充満させた。そして回収部において第4ピグ32−4が回収されたことを確認した時点で、バルブ14を閉状態、バルブ15を開状態にして、流路を移送先貯槽側に切り替え、洗浄・殺菌作業を終了した。
【0050】[実施例3]
■まず、バルブ13,15を開状態、バルブ12,14を閉状態にし、洗浄・殺菌ユニット3の第1配管系へ約80℃の温精製水を供給し、第1ピグ32−1を移動させて、移送配管10内の残液を移送先貯槽へと押し出すと同時に、僅かに配管内壁に残った付着液を洗浄した。この時、第1ピグ32−1の操作圧力(ゲージ圧)は0.4MPaとした。そして、第1ピグ32−1がバルブ14の手前に達した時点で、バルブ14を開状態、バルブ15を閉状態にし、回収部で排出液を回収し、また、第1ピグ32−1を回収したところで、温精製水の供給を停止した。
■次に第1ピグ32−1を回収した後、濃度2ppmのオゾン水(殺菌剤)を圧力(ゲージ圧)0.4MPaで、第2配管系に供給し、第2ピグ32−2を移動させて、移送配管10内に残った温精製水を回収部へと押し出した。ここで、上記オゾン水は移送配管10の容積の、1/2の量を導入した。
■次に約80℃の温精製水を第3配管系へ供給し、第3ピグ32−3を移動させて、第2ピグ32−2およびオゾン水を押し出すと共に、移送配管10内を仕上洗浄した。そして、第3ピグ32−3が移送配管10の1/2まで達した時点で、第3配管系へ供給する温精製水を停止した。この時、第3ピグ32−3の移動速度を調節して、移送配管10内のどの部分においても殺菌剤が30分以上滞留するようにした。
■最後に、次に移送するシャンプーを第4配管系へ供給し、第4ピグ32−4を移動させて、移送配管10内に残った第2ピグ32−2,オゾン水,第3ピグ32−3,温精製水を、バルブ14を通して回収部で回収し、回収部において第4ピグ32−4が回収されたことを確認した時点で、バルブ14を閉状態、バルブ15を開状態にして、流路を移送先貯槽側に切り替え、洗浄・殺菌作業を終了した。
【0051】以上に記載した比較例1,2および実施例1〜3において、洗浄・殺菌作業に要した労力,時間,排水量等を[表1]に示す。
【0052】
【表1】

【0053】なお、[表1]において、廃水中のTOD物質量は、(廃水量)×(平均TOD濃度)により算出した。
【0054】[表1]に示したように、実施例1〜3は、いずれも要員,所要時間,廃水量とも、比較例に比べ大幅に削減することが分かる。また、実施例1と実施例2とを比較した場合、第1ピグ32−1の作動圧(背圧)を高くすると、ピグの移動が速すぎて、移送配管中に残存する液量が多くなり、廃水中のTOD物質が多くなることがわかる。いずれにせよ、実施例の方法で洗浄することによって精製水や殺菌水の量を大幅に節約でき、コスト面に加え、廃水等の環境に対する面でも有効であることが確認された。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による液体移送配管の洗浄殺菌方法およびそのシステムによれば、複数のピグが各ピグに対応する洗浄流体または殺菌流体によって予め定められた順序に従って、順次液体移送配管へ送り込まれ、液体移送配管内に複数のピグが同時に存在する状態を経て、当該液体移送配管から上記各ピグ、および、各ピグを送り込んだ洗浄流体および殺菌流体を回収した時点で、上記液体移送配管内における移送液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄が連続して行われることになる。
【0056】この時、各ピグ間において、洗浄流体および殺菌流体が液体移送配管内に隙間なく満たされ、なおかつ、その状態のまま移送配管内を移動することになるので、口径の大きい液体移送配管であっても少量の洗浄流体および殺菌流体によって、十分な洗浄・殺菌効果を得ることができる。また、洗浄,殺菌後の廃水量を少なくすることが可能となり、環境保全に有効となる。
【0057】さらに、移送液体の回収、洗浄、殺菌、再洗浄が連続して行われるので、本発明の洗浄殺菌方法を実行後、直ちに次の液体を移送することが可能となり、また、人手による作業が削減され、液体移送配管内の洗浄および殺菌作業を効率よく行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外9名)
【公開番号】 特開2000−193199(P2000−193199A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−371671