| 【発明の名称】 |
海水汲み上げ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】西脇 洋二
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| 【要約】 |
【課題】モータやエンジン等の動力源を用いることなく海水を海面より高い位置まで汲み上げることができる海水汲み上げ装置を提供する。
【解決手段】干潮時には海面の高さKが満潮時の高さMより下がるため海水面16kは押し下げられ、満潮時の海水面16mとの差の体積分だけ第一のタンク4から第二のタンク14に海水が供給されて海水面14kは上昇する。再び満潮になると、海水面14m及び海水面16mに戻り、第二のタンク14内の海水は干潮時に押し上げられた体積分だけ押し下げられる。第二の逆流防止弁12があるために、押し下げられた第二のタンク14内の海水は第一のタンク4へは戻れず、海水汲み上げ管18を介して第三のタンク22内の海水が押し上げられ、第三のタンク22内の海水面は満潮時の海面の高さMよりも高くなり、最初の満潮時の海水面22mとの差の分だけの海水が汲み上げられたことになる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部が開放されており、その開放部分の高さが満潮時の海面よりも高く設けられている第一のタンクと、その第一のタンクの干潮時の海面より低い位置に開口した海水取り入れ口と、その海水取り入れ口に前記海中から前記第一のタンクに向かう方向にのみ海水が流れるように設けられた第一の逆流防止弁と、干潮時の海面より低い位置に設置され、下部が前記海中に開放されており、内部に気体が溜められている気体貯溜室と、その気体貯溜室の気体中に上部が開放されている第二のタンクと、その第二のタンクを前記第一のタンクと接続する海水供給管と、その海水供給管に前記第一のタンクから前記第二のタンクに向かう方向にのみ海水が流れるように設けられた第二の逆流防止弁と、上部が開放されており、その開放部分の高さが満潮時の海面よりも高く設けられている第三のタンクと、その第三のタンクと前記第二のタンクとを接続する海水汲み上げ管と、その海水汲み上げ管に前記第二のタンクから前記第三のタンクに向かう方向にのみ海水が流れるように設けられた第三の逆流防止弁とを有し、全体が海中に固定されていることを特徴とする海水汲み上げ装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、モータやエンジン等の動力源を用いることなく、潮の満ち干きを利用して、海水を海面より高く汲み上げる装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、海水を海面より高く汲み上げるには、海中にチューブやパイプ等の配管の先端を入れて、その配管に接続された吸引ポンプ等を動かすことによって、海面より高い位置まで海水を汲み上げていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法においては、吸引ポンプ等を動かすためにモータやエンジン等の動力源を必要としていた。このような動力源を用いずに海水を汲み上げることができれば、大幅なエネルギーの節約になる。そこで、本出願の請求項1に係る発明においては、モータやエンジン等の動力源を用いることなく海水を海面より高い位置まで汲み上げることができる海水汲み上げ装置を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで、上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明においては、上部が開放されており、その開放部分の高さが満潮時の海面よりも高く設けられている第一のタンクと、その第一のタンクの干潮時の海面より低い位置に開口した海水取り入れ口と、その海水取り入れ口に前記海中から前記第一のタンクに向かう方向にのみ海水が流れるように設けられた第一の逆流防止弁と、干潮時の海面より低い位置に設置され、下部が前記海中に開放されており、内部に気体が溜められている気体貯溜室と、その気体貯溜室の気体中に上部が開放されている第二のタンクと、その第二のタンクを前記第一のタンクと接続する海水供給管と、その海水供給管に前記第一のタンクから前記第二のタンクに向かう方向にのみ海水が流れるように設けられた第二の逆流防止弁と、上部が開放されており、その開放部分の高さが満潮時の海面よりも高く設けられている第三のタンクと、その第三のタンクと前記第二のタンクとを接続する海水汲み上げ管と、その海水汲み上げ管に前記第二のタンクから前記第三のタンクに向かう方向にのみ海水が流れるように設けられた第三の逆流防止弁とを有し、全体が海中に固定されていることを特徴とする海水汲み上げ装置を創出した。 【0005】この海水汲み上げ装置は、かかる構成を有するために、潮の満ち干きのみによって海水を第三のタンク内に海面より高い位置まで汲み上げることができる。従って、モータやエンジン等の動力源を必要としないため、大幅な省エネルギー化を図ることができる。 【0006】 【発明の実施の形態】次に、本発明を具現化した一実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。まず、本実施形態の海水汲み上げ装置の構造について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態の海水汲み上げ装置の構造を示す縦断面図である。図1に示されるように、本実施形態の海水汲み上げ装置2は、海水を溜める三つのタンク4,14,22を有している。第一のタンク4と第二のタンク14とは海水供給管10で接続され、第二のタンク14と第三のタンク22とは海水汲み上げ管18で接続されている。そして、これらの構造全体が、図示しない固定部材によって海底に固定されている。また、第二のタンク14には気体貯溜室16がかぶせられている。この気体貯溜室16も、図示しない固定部材によって海底に固定されている。 【0007】第一のタンク4は、その上面が大気中に開放されている。図1に示されるように、第一のタンク4の上端は満潮時の海面Mよりも高くなっている。また、第一のタンク4の底部側面には、海水取り入れ管6が接続されている。この海水取り入れ管6の先端6aは、干潮時の海面Kよりも低い位置に配置されている。海水取り入れ管6は、本発明における海水取り入れ口に相当する。この海水取り入れ管6内には、第一の逆流防止弁8が設けられている。この第一の逆流防止弁8は、海中から第一のタンク4に向かう海水の流れのみを許容し、第一のタンク4から海中に向かう流れは遮断する。 【0008】第一のタンク4と第二のタンク14とを接続する海水供給管10内には、第二の逆流防止弁12が設けられている。この第二の逆流防止弁12は、第一のタンク4から第二のタンク14に向かう海水の流れのみを許容し、第二のタンク14から第一のタンク4に向かう流れは遮断する。第二のタンク14の上面は、気体貯溜室16内に溜められた圧縮空気16a中に開放されている。 【0009】さらに、第二のタンク14と第三のタンク22とを接続する海水汲み上げ管18内には、第三の逆流防止弁20が設けられている。この第三の逆流防止弁20は、第二のタンク14から第三のタンク22に向かう海水の流れのみを許容し、第三のタンク22から第二のタンク14に向かう流れは遮断する。なお、本実施形態においては、第三のタンク22の底面は満潮時の海面Mよりも低く、かつ干潮時の海面Kよりも高い位置にある。しかし、第三のタンク22の底面は、満潮時の海面Mより高くても、干潮時の海面Kより低くても構わない。さらに、第三のタンク22が海水汲み上げ管と同一形状で、一体に海面上まで伸びた構造でも良い。 【0010】さて、かかる構造を有する海水汲み上げ装置2によって海水を汲み上げるメカニズムについて、図1乃至図3を参照して説明する。まず、海中に海水汲み上げ装置2が設置されて最初に満潮になったときの状態について、図1を参照して説明する。海水汲み上げ装置2を海中に設置するときには、第二のタンク14内及び第二のタンク14と気体貯溜室16の間には海水が満たされ、これによって、気体貯溜室16内の圧縮空気16aが逃げてしまうのを防止する。 【0011】さて、海面Mが満潮時の高さとなると、海水取り入れ管6の開口部6aから海水が第一のタンク4内に流入する。流入した海水は第一のタンク4から海水供給管10を通って第二のタンク14内に流入し、さらに海水汲み上げ管18を通って第三のタンク22内に流入する。この結果、第一のタンク4内の海水面4m及び第三のタンク内の海水面22mは、満潮時の海面Mと同じ高さとなる。 【0012】また、第二のタンク14内の海水面14mは、第一のタンク4内の海水面4mにかかる大気圧に第一のタンク4内の海水面4mから海水面14mまでの高さ分の海水によってかかる圧力を加えた圧力によって押し上げられる。一方、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面16mは、海面Mにかかる大気圧に海面Mから海水面16mまでの高さ分の海水によってかかる圧力を加えた圧力によって押し上げられる。海水面4mと海面Mの高さが同じであるために、海水面14m及び海水面16mにかかる圧力の大きさも同じになる。この結果、第二のタンク14内の海水面14mは、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面16mと同じ高さとなる。 【0013】この状態から潮が引いて、干潮になったときの状態を示したのが図2である。図2に示されるように、干潮時には海面Kの高さが海水汲み上げ装置2に対して満潮時の海面Mの高さより下がるため、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面を押し上げる圧力が低下する。一方、第一の逆流防止弁8があるために、海面が下がっても、第一のタンク4内の海水は海水取り入れ管6から流出することはない。従って、第一のタンク4内の海水によって第二のタンク14内の海水面を押し上げる圧力は維持される。 【0014】この結果、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面16kは押し下げられるとともに、第二のタンク14内の海水面14kは上昇する。このとき、海面Kから海水面16kまでの距離に応じた圧力と圧縮空気16aの圧力が釣り合い、海水面4kから海水面14kまでの距離に応じた圧力と圧縮空気16aの圧力が釣り合うように、海水面14k,16k,4kの位置が決定される。なお、第三のタンク22内の海水も第二のタンク内に流れ込もうとする。しかし、第三の逆流防止弁20があるために、第三のタンク22内の海水は第二のタンク方向に流れることはなく、第三のタンク22内の海水面22mの高さは満潮時の高さに保持される。 【0015】そして、この状態から再び潮が満ちて、満潮になったときの状態を示したのが図3である。満潮になるに従って海面の高さが高くなり、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面を押し上げる圧力が大きくなる。これによって、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面が押し上げられて、気体貯溜室16内の圧縮空気16aが圧縮される。このとき、第二の逆流防止弁12があるために第二のタンク14内の海水は第一のタンク4方向へは流れることができない。このため、圧縮空気16aの圧力に第二のタンク14内の海水によってかかる圧力を加えた圧力が、第三のタンク22内の海水及び第三のタンク22と第三の逆流防止弁20との間の海水によってかかる圧力より高くなると、両者の圧力が釣り合うように第二のタンク14内の海水が第三の逆流防止弁20を介して第三のタンク22に流入する。 【0016】ここで、第三のタンク22の満潮時の海面Mとほぼ同じ高さの位置に排水口を設けておけば、第二のタンク14から第三のタンク22に流入した海水は、排水口から排出される。また、海面の高さが第一のタンク4内の海水面より高くなると、第一の逆流防止弁8を介して海水が第一のタンク4内に流入する。そして、第一のタンク4内の海水によって第二のタンク14内の海水面を押し上げる力が圧縮空気16aの圧力と釣り合うように、第二の逆流防止弁12を介して第一のタンク4内の海水が第二のタンク14内に流入する。 【0017】以上の動作の結果、第一のタンク4内の海水面4mの高さは満潮時の海面Mの高さと同じになり、また第二のタンク14内の海水面14mは気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面16mと同じ高さとなる。ここで、第三のタンク22に満潮時の海面Mとほぼ同じ高さの位置に排水口を設けた場合には、干潮時の第二のタンク14内の海水面14kの高さと満潮時の第二のタンク14内の海水面14mの高さとの差の分だけ、すなわち干潮時に押し上げられた海水の体積分だけ第二のタンク14から第三のタンク22に流入することになる。これによって、第三のタンク22内に海水を汲み上げることができる。 【0018】なお、図3には、第三のタンク22に満潮時の海面Mの高さより高い位置に排水口を設けた場合を示している。満潮時及び干潮時の海面の高さは月齢によって大潮から小潮まで変化するので、第三のタンク22に設ける排水口の高さは、満潮時の海面の高さより低くならないように適切な位置に設定することが必要である。 【0019】そして、干潮と満潮が繰り返されるたびにこのサイクルが繰り返されて、第三のタンク22内に海水が汲み上げられる。なお、汲み上げられた海水は、一回汲み上げられるたびに利用しても良く、また複数回汲み上げられて大量に溜まるのを待って利用しても良い。利用の方法としては、例えば汲み上げられた海水を第三のタンク22に設けられた排水口から海面に落下させて、その落下力を利用してタービンを回し発電する等の方法が考えられる。このようにして、本実施形態の海水汲み上げ装置2によれば、潮の満ち干きを利用することによって、動力源を用いることなく海水を汲み上げることができる。 【0020】本実施形態においては、「海水取り入れ口」として第一のタンク4から水平に伸びて先端部が下方に屈曲した海水取り入れ管6を用いている。「海水取り入れ口」としては、このように第一のタンクの側面または底面に接続され、その先端が干潮時の海面より低い位置に開口した配管からなるものに限られず、単に第一のタンクの壁面が開口したものも含まれる。また「気体」としては、空気を始めとして、窒素ガス・アルゴンガス等の種々の気体が含まれる。 【0021】本実施形態においては、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面の面積は、第一のタンク4内の海水面の面積及び第三のタンク22内の海水面の面積よりも小さい。しかし、気体貯溜室16の内径を第二のタンク14の外径に比べて十分に大きくすることによって、気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面の面積を、第一のタンク4内の海水面の面積及び第三のタンク22内の海水面の面積よりも十分に大きくすることができる。こうすることによって、干潮時に気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面が下降する高さは一定であるため、気体貯溜室16と第二のタンク14との間で押し下げられる海水の体積はより大きくなる。そして、この体積分だけ第二のタンク14内の海水面が上昇し、満潮時には同じくこの体積分だけの海水が第三のタンク22内に汲み上げられる。従って、より多くの海水を第三のタンク22内に汲み上げることができる。さらに、気体貯溜室16の内径を第二のタンク14の外径に比べて大きくすればするほど、より大量の海水を汲み上げることができる。 【0022】また、本実施形態の海水汲み上げ装置2において、第二のタンク14内の海水面の高さ及び/または気体貯溜室16と第二のタンク14との間の海水面の高さを検出するセンサを設けることもできる。かかるセンサは、第二のタンク14の内面または外面もしくは気体貯溜室16の内面に設けることができる。これによって、各海水面が潮の干満に応じて上下することをセンサによって常時監視することができる。そして、もし各タンクまたは各配管の破損あるいは各逆流防止弁の故障等が生じて、各海水面が前述したメカニズム通り上下しない場合は、直ちに検知して対策を講じることができる。これによって、より確実に、第三のタンク22内に海水を汲み上げることができる。 【0023】さらに、本実施形態においては、気体貯溜室16を不透明な材質で作製しているが、気体貯溜室16の一部または全部を透明な材質で作製することもできる。これによって、気体貯溜室と第二のタンクとの間の海水面あるいは第二のタンク内の海水面が上下するのを、目視によって確認できる。従って、特別なセンサ等を用いることなく、前述したメカニズムが確実に実現されていることを常時監視することができる。気体貯溜室の一部または全部を透明な材質で作ることは、センサを設置することに比べればほとんど装置のコストを上げることなくできるので、装置のコストを上げることなく、より確実に海水を汲み上げることができる。 【0024】また、本実施形態においては、海水汲み上げ装置2を固定部材によって海底に固定しているが、海水汲み上げ装置2を海岸近くに設置する場合には、固定部材によって海岸に固定しても良い。 【0025】さらに、各タンク4,14,22及び気体貯溜室16の形状は、水平方向の断面が円形(すなわち全体が円筒形),正方形(すなわち全体が箱形),長方形,楕円形その他いかなる形状であっても構わない。また、各タンク4,14,22,気体貯溜室16及び各配管6,10,18は、海水によって腐食しないものであれば、いかなる材質からなるものでも良い。例えば、錆止め塗装を施した金属材料,ステンレス鋼,各種プラスティック材料,コンクリート等を用いることができる。 【0026】特に、気体貯溜室の一部または全部を透明な材質とする場合には、気体貯溜室の大部分を金属,コンクリート等の不透明な材料で作製し、上板の一部を開口部として強化ガラスをはめ込む、上板全体を強化ガラスとする、あるいは気体貯溜室全体をアクリル樹脂等の透明プラスティックで作製する、等の方法がある。海水汲み上げ装置のその他の部分の構造,形状,寸法,材質,接続関係等についても、本実施形態に限定されるものではない。 【0027】 【発明の効果】本発明においては、モータやエンジン等の動力源を用いることなく、海水を海面より高い位置まで汲み上げることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598123714 【氏名又は名称】西脇 洋二
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| 【出願日】 |
平成10年9月9日(1998.9.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064344 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−88200(P2000−88200A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−255627 |
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