トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F17 ガスまたは液体の貯蔵または分配




【発明の名称】 管路システム
【発明者】 【氏名】松村 健一

【氏名】清木 敦史

【要約】 【課題】地中に埋設しても変形することなく管路を保持でき、地震等による負荷に対しても破損するおそれが少ない、耐震性に優れた管路システムを提供する。

【解決手段】塩化ビニル系樹脂とエラストマーとからなる( A) 、( B) 、(C) 、( D) 及び( E) の何れかの原料により成形された、曲げ弾性率が100〜200kgf/mm2 の可撓性を有するマス又は継手の管路受け口に、曲げ弾性率が200〜290kgf/mm2 である上記原料により成形されたパイプが組み合わされており、上記マス又は継手の曲げ弾性率は上記パイプの曲げ弾性率よりも小さいので、地中埋設しても土圧等の外部からの圧力により変形することなく管路を確保でき、地震などによる外力の負荷に対しても変形に対する追従性に優れ破損するおそれの極めて少ない、耐震性に優れた管路システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エラストマーに塩化ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフト体(A)、エラストマーと塩化ビニル系樹脂とのブレンド体(B) 、前記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂とのブレンド体(C) 、前記グラフト体(A) と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D) 及び、前記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E) の何れかの原料により成形されたマス又は継手と、前記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料により成形されたパイプとが組み合わされてなる管路システムであって、前記マス及び継手の曲げ弾性率が、前記パイプの曲げ弾性率よりも小さく、前記マス及び継手の曲げ弾性率が100〜200kgf/mm2 であり、このマス又は継手の管路受け口に、曲げ弾性率が200〜290kgf/mm2 である前記パイプが組み合わされてなることを特徴とする管路システム。
【請求項2】 上記マス又は継手の曲げ弾性率と上記パイプの曲げ弾性率の差が、30〜190kgf/mm2 であることを特徴とする請求項1記載の管路システム。
【請求項3】 上記マス及び継手は、エラストマー10〜25重量%に塩化ビニルモノマーが90〜75重量%グラフト重合されたグラフト体(A1) 、エラストマー12〜30重量%と塩化ビニル系樹脂88〜70重量%とのブレンド体(B1) ,上記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂からなるブレンド体であって、グラフト体(A) を構成するエラストマー成分の含有量がブレンド体中12〜30重量%であるブレンド体(C1) 、前記グラフト体(A1) と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D1) 及び、前記グラフト体(A1) と塩化ビニル系樹脂と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E1) の何れかの原料により成形されたものであり、これに組み合わされるパイプは、エラストマー2〜10重量%に塩化ビニルモノマーが98〜90重量%グラフト重合されたグラフト体(A2) 、エラストマー3〜12重量%と塩化ビニル系樹脂97〜88重量%とのブレンド体(B2),上記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂からなるブレンド体であって、グラフト体(A) を構成するエラストマー成分の含有量がブレンド体中3〜12重量%であるブレンド体(C2) 、前記グラフト体(A2) と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D2) 及び、前記グラフト体(A2) と塩化ビニル系樹脂と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E2) の何れかの原料により成形されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の管路システム。
【請求項4】 上記エラストマーが、エチレン- 酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ) アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル- ブタジエン共重合体、塩素化ポリエチレン、(メタ) アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル- スチレン- ブタジエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン及びポリウレタンからなる群より選択された少なくとも1種類である請求項1〜3のいずれかに記載の管路システム
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震性に優れた複合塩化ビニル系樹脂組成物の成形品からなる管路システムに関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、機械強度、耐候性、耐薬品性等において優れた材料であるので、水道管や下水道管をはじめとした管工機材、建築部材、住宅資材などの分野に広く用いられている。水道管や下水道管は地中に埋設されるため、補修や再敷設が困難なため、水道管や下水道管として用いられる塩化ビニルパイプは、短期的性能に優れているだけでなく、長期的性能、特に疲労強度に優れ信頼性が高いものであることが重要である。
【0003】ところが近年、地震後の塩化ビニル系樹脂管路が破損や管の抜け等の為、使用不能となる問題が顕在化してきており、これら塩化ビニル系樹脂管路の耐震性の要求が大きくなっている。そこで、地震に強い管路システムとして、塩化ビニル系樹脂管路を構成するそれぞれの部材に、適切な耐震性を付与する必要性が生じている。
【0004】例えば応力の集中しやすい継手、マス部は、大きな可撓性、高速変形性が求められる。一方で、比較的長いパイプ部は、成形品全体で地震時の変形を吸収しやすいため、継手部ほどの可撓性、高速変形性は要求されず、むしろ埋設に耐え得る機械強度や耐薬品性といった塩化ビニル系樹脂本来の特性を残しておく必要がある。
【0005】現在、一般的に使用されている硬質ポリ塩化ビニル樹脂を用いた管路は、各部材の剛性が高いために、地震波による縦及び横振動に追随できずに、管路各所で破損や抜けが発生している。従来の水道管、排水管などを接続する伸縮継手としては、実開昭61- 126180号公報に開示されている構造が良く知られている。この伸縮継手は、構造上、高速変形性に優れているものの、地震等により生じる地盤振動で被接続管に許容範囲を超えた大きな抜け力が作用すると、被接続管は継手本体から抜けはずれることがあった。
【0006】そこで、伸縮継手に耐震性を付与するために、伸縮継手本体に、接続管を嵌挿する部分に一対の抜け止めコアと、互いに対向する先端部外周にパッキングを係止する係止突起とを設け、締め付け手段にて全体を締め付けることによりパッキングが一対の抜け止めコアの外周面を圧接し、地震等により生じる地盤振動で被接続管に伸縮許容範囲を超えた大きな抜け力が作用しても、被接続管が継手本体から抜けはずれることを防ぐようにされた耐震用伸縮継手が提案されている。(特開平9- 4774号公報参照)【0007】一方、特開平7- 3874号公報には、外側に突出した沈下防止リブを有する立ち上がり管が、排水枡本体に接続され、地上からの多大な加重により沈下することのない排水枡と排水管路からなる管路システムが提案されている。しかしながら、実開昭61- 126180号公報に記載の伸縮継手は成形品の構造が複雑であり、精密な後加工を必要とするため、成形品の生産性に問題があり、施工も簡便な接着接合に比べて非常に手間がかかるという問題点があった。
【0008】又、特開平7- 3874号公報に記載の管路システムでは、排水枡に構造的工夫はあるものの、マスとして特に可撓性、高速変形性を具備させるものではなく、かつ管として耐久性を備えたものとされていないので、耐震性の管路としては要求される性能を十分に満足するものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み、構成する部材ごとの耐震性を考慮し、地中に埋設しても変形することなく管路を保持でき、かつ、地震などによる外力の負荷に対しても破損するおそれが極めて少ない、耐震性に優れた管路システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、エラストマーに塩化ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフト体(A) 、エラストマーと塩化ビニル系樹脂とのブレンド体(B) 、前記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂とのブレンド体(C) 、前記グラフト体(A) と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D) 及び、前記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E) の何れかの原料により成形されたマス又は継手と、前記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料により成形されたパイプとが組み合わされてなる管路システムであって、前記マス及び継手の曲げ弾性率が、前記パイプの曲げ弾性率よりも小さく、前記マス及継手の曲げ弾性率が100〜200kgf/mm2 であり、このマス又は継手の管路受け口に、曲げ弾性率が200〜290kgf/mm2 である前記パイプが組み合わされてなることを特徴とする管路システムである。
【0011】請求項2記載の本発明は、上記マス及び継手の曲げ弾性率と上記パイプの曲げ弾性率の差が、30〜190kgf/mm2 であることを特徴とする請求項1記載の管路システムである。
【0012】請求項3記載の本発明は、上記マス又は継手は、エラストマー10〜25重量%に塩化ビニルモノマーが90〜75重量%グラフト重合されたグラフト体(A1) 、エラストマー12〜30重量%と塩化ビニル系樹脂88〜70重量%とのブレンド体(B1) ,上記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂からなるブレンド体であって、グラフト体(A) を構成するエラストマー成分の含有量がブレンド体中12〜30重量%であるブレンド体(C1) 、前記グラフト体(A1) と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D1) 及び、前記グラフト体(A1) と塩化ビニル系樹脂と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E1) の何れかの原料により成形されたものであり、 これに組み合わされるパイプは、エラストマー2〜10重量%に塩化ビニルモノマーが98〜90重量%グラフト重合されたグラフト体(A2) 、エラストマー3〜12重量%と塩化ビニル系樹脂97〜88重量%とのブレンド体(B2) ,上記グラフト体(A) と塩化ビニル系樹脂とからなるブレンド体であって、グラフト体(A) を構成するエラストマー成分の含有量がブレンド体中3〜12重量%であるブレンド体(C2) 、前記グラフト体(A2) と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D2) 及び、前記グラフト体(A2) と塩化ビニル系樹脂と前記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E2) の何れかの原料により成形されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の管路システムである。
【0013】請求項4記載の本発明は、上記エラストマーが、エチレン- 酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ) アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル- ブタジエン共重合体、塩素化ポリエチレン、(メタ) アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル- スチレン- ブタジエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン及びポリウレタンからなる群より選択された少なくとも1種類である請求項3記載の管路システムである。以下に本発明を詳述する。
【0014】本発明で用いられる上記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料により成形されたマス又は継手は、組み合わされる上記 (A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料により成型されたパイプの曲げ弾性率よりも小さく、前記マス又は継手の曲げ弾性率は、100〜200kgf/mm2 である。前記曲げ弾性率が100kgf/mm2 未満であると、地中埋設時に土圧により変形し、200kgf/mm2 を越えると、地震による高速衝撃に耐えられず破壊されるために上記範囲に限られる。
【0015】尚、本発明における「マス」は、例えば地中に埋設した汚水枡、雨水枡、宅地枡等いわゆる排水枡として好適に用いられるもので、上述の通りパイプと組み合わされて管路システムを構成する。又、継手としては特に限定されず、例えば、ソケット、エルボ、チーズ、マンホール継手等が挙げられる。
【0016】本発明で用いられる上記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料により成形されたパイプは、曲げ弾性率が、200〜290kgf/mm2である。好ましくは240〜290kgf/mm2 である。前記曲げ弾性率が、200kgf/mm2 未満であると、地震時において、マス又は継手との嵌合部直前の管部に応力が集中して亀裂が走る危険性があり、290kgf/mm2を越えると、地震による高速衝撃に耐えられず接着部が剥離、もしくは管が破壊するために上記範囲に限定される。
【0017】本発明管路システムは、上記マス又は継手に、必要により支管等も含むパイプが組み合わされたシステムであり、その用途により、必要とされる部材は多少異なるが、システムを構成する部材全てを示すものとする。
【0018】上記マス又は継手の曲げ弾性率は、これの管路受け口に組み合わされる上記パイプの曲げ弾性率よりも小さく、前記マス又は継手の曲げ弾性率と前記パイプの曲げ弾性率の差は、30〜190kgf/mm2 が好ましく、より好ましくは、40〜120kgf/mm2 である。上記曲げ弾性率の差が30kgf/mm2 未満であると、地震時において、マス又は継手との嵌合部直前の管部に応力が集中して亀裂が走る可能性があり、190kgf/mm2 を越えると、マス又は継手の強度が不足し、地中埋設時に土圧により変形し管路を保持できなくなる。
【0019】本発明で用いられる上記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料は、塩化ビニル系樹脂とエラストマーからなる。
【0020】上記塩化ビニル系樹脂としては特に限定されず、例えば、塩化ビニルのホモポリマー、塩化ビニルと共重合可能なモノマーとの共重合体等が挙げられる。上記塩化ビニルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα- オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、イソプロピルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、α- メチルスチレン等のスチレン誘導体類、n- ブチルアクリレート、2- エチルへキシルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類(以下これらを(メタ) アクリル酸エステル類と略記する) 、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等のN- 置換マレイミド類、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0021】上記塩化ビニル系樹脂中の上記塩化ビニルと共重合可能なモノマーの含有量は、目的に応じて適宜使用されるが、20重量%以下が好ましい。含有量が20重量%を越えると、塩化ビニル樹脂が持つ本来の特性が失われてしまう。
【0022】上記エラストマーとしては、常温で柔軟性を有している高分子材料であれば特に限定されず、例えば、エチレン- 酢酸ビニル共重合体(EVA) 、エチレン-(メタ) アクリル酸エステル共重合体(EA) 、アクリロニトリル- ブタジエン共重合体(NBR) 、塩素化ポリエチレン(CPE) 、(メタ) アクリル酸エステル共重合体(AC) 、メタクリル酸メチル- ブタジエン- スチレン共重合体(MBS) 、クロルスルホン化ポリエチレン(CSPE) 、ポリウレタン(PU) 等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0023】上記EVAとしては、例えば、酢酸ビニル含有量が10〜80重量%でJISK 6760に準じて測定されたメルトフローレート(MFR) 値が0. 5〜300のものが挙げられる【0024】上記EAとしては、例えば、アクリル酸エステルの種類がエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2- エチルヘキシルアクリレート等で、アクリル酸エステルの含有量が10〜80重量%、MFR値が0. 1〜100のものが挙げられる。
【0025】上記NBRとしては、例えば、アクリロニトリルの含有量が20〜50重量%、ムーニー粘度が10〜200( ML( 1+4) 、100℃) のものが挙げられる。
【0026】上記CPEとしては、例えば、塩素化度が20〜50重量%、MFR値が0.1〜100のものが挙げられる。
【0027】上記ACとしては、例えば、アクリル酸エステルとして、ホモポリマーのガラス転移点温度( Tg) がー20℃以下のエチルアクリレート、n- プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、へキシルアクリレート、2- エチルへキシルアクリレート等のモノマーを主体とした重合体、メチルメタクリレート等の高Tgのモノマーが共重合又は多段階重合により多層構造になっているもの、2官能以上のモノマーを用いて重合体が架橋構造を有しているもの等が挙げられる。平均粒子径は特に限定されず、一般的には0. 01〜5μmのもの等が挙げられる。
【0028】上記MBSとしては、例えば、メチルメタクリレート成分が5〜45重量%、ブタジエン成分が50〜90重量%、スチレン成分が5〜45重量%のもの等が挙げられる。平均粒子径は特に限定されず、一般的には0. 01〜5μmのもの等が挙げられる。
【0029】上記CSPEとしては、例えば、塩素含有量が20〜50重量%、イオウ含有量が0. 5〜20重量%、ムーニー粘度が10〜200( ML( 1+4) 、100℃) のものが挙げられる。
【0030】上記PUとしては、例えば、ポリオール等の多官能基活性水素化合物と全反応系のイソシアネート化合物を反応させて、線状高分子又は一部架橋構造をとるもの等が挙げられ、一般的には、カプロラクトン型、アジペート型、エーテル型等のものが挙げられる。
【0031】本発明では、マス又は継手に用いられる上記原料として、エラストマー10〜25重量%に塩化ビニルモノマーが90〜75重量%グラフト重合されたグラフト体(A1) を用いても良い。上記エラストマーが10重量%未満であると、得られる成形体の耐震性が得られず、25重量%を越えると、地中埋設時に土圧により変形するために上記範囲が好ましい。
【0032】又、上記マス又は継手に用いられる上記原料として、エラストマー12〜30重量%と塩化ビニル系樹脂88〜70重量%とのブレンド体(B1) を用いても良い。上記エラストマーが12重量%未満の場合、得られた成形体の耐震性が得られず、30重量%を越えると、地中埋設時に土圧により変形するため上記範囲が好ましい。
【0033】更に、上記マス又は継手に用いられる上記原料として、上記グラフト体(A)と塩化ビニル系樹脂からなるブレンド体であって、グラフト体(A) を構成するエラストマー成分の含有量がブレンド体中12〜30重量%であるブレンド体(C1) 、上記グラフト体(A1) と上記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D1) 又は、上記グラフト体(A1) と塩化ビニル系樹脂と上記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E1) を用いても良い。上記ブレンド体(B1) と同様の理由で、ブレンド体(C1) 、(D1) 及び(E1) の各成分の範囲は上記範囲が好ましい。
【0034】本発明では、パイプに用いられる上記原料として、エラストマー2〜10重量%に塩化ビニルモノマーが98〜90重量%グラフト重合されたグラフト体(A2) を用いても良い。上記エラストマーが2重量%未満であると、地震による高速衝撃に耐えられず接着部が剥離もしくは管が破壊し、10重量%を越えると、地震時においてマス又は継手との嵌合部直前の管部に応力が集中して亀裂が走る危険性があるため上記範囲が好ましい。
【0035】また、パイプに用いられる上記原料として、エラストマー3〜12重量%と塩化ビニル系樹脂97〜88重量%とのブレンド体(B2) を用いても良い。上記エラストマーが3重量%未満であると、地震による高速衝撃に耐えられず接着部が剥離もしくは管が破壊し、12重量%を越えると、地震時において、マス又は継手との嵌合部直前の管部に応力が集中して亀裂が走る危険性があるため上記範囲が好ましい。
【0036】更に、上記パイプに用いられる上記原料として、上記グラフト体(A2) と塩化ビニル系樹脂からなるブレンド体であって、グラフト体(A) を構成するエラストマー成分の含有量がブレンド体中3〜12重量%であるブレンド体(C2)、上記グラフト体(A2) と上記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(D2) 、又は、上記グラフト体(A2) と塩化ビニル系樹脂と上記エラストマーと同種又は異種のエラストマーとのブレンド体(E2) を用いても良い。上記ブレンド体 (B2) と同様の理由で、ブレンド体(C2),(D2) 及び(E2) の各成分の範囲は上記範囲が好ましい。
【0037】上記塩化ビニル系樹脂とエラストマーからなる樹脂原料中の塩化ビニルのみの重合度は、400〜2000が好ましく、より好ましくは600〜1800である。重合度が400未満であると、耐久性に劣り、重合度が2000を越えると、成形性が悪くなる。上記グラフト重合は、常法に従い重合される。例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられるが、一般的には、懸濁重合法が用いられる。
【0038】上記懸濁重合法には、分散剤、重合開始剤等が用いられる。上記分散剤としては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用しても良い。
【0039】上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、2,2' −アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤、連鎖移動剤等が添加されても良い。
【0040】上記懸濁重合法には、通常以下の方法が用いられる。すなわち、ジャケット及び撹拌機付きの重合器にイオン交換水,分散剤,重合開始剤,エラストマーを仕込み、真空により重合器内から空気を排除した後、塩化ビニルモノマーを重合器内に導入する。エラストマーを塩化ビニルモノマー中に分散又は溶解させた後に、ジャケットにより昇温し、所望の重合温度で、重合を開始させる。反応終了後、残存モノマーを重合器外に排出しスラリーを得る。脱水機で脱水した後に乾燥して、エラストマーに塩化ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフト体(A) を得る。
【0041】上記ブレンド体(B) 、(C) 、(D) 及び(E) を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の混合方法が用いられて良い。
【0042】本発明の管路システムに用いられるマス、継手、パイプは、上記の方法で得られた(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) に、必要に応じて、安定剤、滑剤等が配合されて成形される。上記安定剤としては特に限定されず、例えば、熱安定剤、熱安定化助剤等が挙げられる。
【0043】上記熱安定剤としては特に限定されず、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫系安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上併用して用いても良い。
【0044】上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上併用し用いても良い。
【0045】本発明で使用される滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤等が挙げられる。前記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、モンタン酸エステル系ワックス等のワックス系;ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用しても良い。
【0046】上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂のゲル化を速め、流動粘度を下げ樹脂同志の摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ化大豆油、モノグリセライド、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用しても良い。
【0047】本発明においては、必要に応じて、上記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) に、更に、加工助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料等の添加剤を添加しても良い。上記加工助剤としては特に限定されず、例えば、平均分子量10万〜500万のメチルメタクリレートを主成分としたアクリル系加工助剤が挙げられる。
【0048】上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0049】上記充填剤としては特に限定されず、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が挙げられる。上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
【0050】上記添加剤を上記(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) に混合する方法としては、ホットブレンドによる方法でも、コールドブレンドによる方法でもよい。
【0051】本発明の管路システムを構成するマス、継手、パイプ等を成形する方法としては特に限定されず、上記各成分を、混合粉体やペレットとして、またそれらの混合物として、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー,ニーダーミキサー,ミキシングロール等の混練装置を用いて混練し、従来公知の任意の方法で成形することができる。一般的には、パイプは押出成形機が用いられ、任意の形状が必要とされるマスや継手などは、射出成形機を用いて成形する方法が用いられる。
【0052】
【実施例】本発明をさらに詳しく説明するために実施例を示し説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1[エラストマー成分の作製]攪拌機及び還流冷却器を備えた反応容器に、純水240重量部、アニオン系乳化剤(第一工業製薬社製、ハイテノールN−08)1重量部、過硫酸アンモニウム0. 1重量部、n−ブチルアクリレート100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート1重量部を入れ、容器内の酸素を窒素により置換した後、攪拌条件下で反応容器を65℃に昇温し、5時間加熱攪拌することにより固形分濃度30重量%のアクリル系共重合体ラテックスを得た。
【0053】[マス用のグラフト体の作製]次いで、攪拌機及びジャケットを備えた重合器に、純水170重量部、上記アクリル系共重合体ラテックス50重量部(アクリル系共重合体固形分15重量部)、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ社製、クラレポバールL−8)の3%水溶液5重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製、メトローズ60SH50)の3%水溶液2. 5重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0. 03重量部、CaCl2 0. 05重量部を一括投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に攪拌条件下で塩化ビニル100重量部を投入した後、ジャケット温度の制御により重合温度64℃にてグラフト重合を開始した。
【0054】重合器内の圧力が5. 6kgf/cm2 圧力まで低下することで反応終了を確認し、消泡剤(東レ社製、東レシリコンSH5510)を加圧添加した後に反応を停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、更に脱水乾燥することによりグラフト体(A1) を得た。
【0055】[マスの作製]上記マス用のグラフト体(A1) 100重量部、安定剤としてジブチル錫メルカプト(三共有機社製、ONZ−41F)3重量部、内外滑兼用滑剤としてモンタン酸エステルワックス(ヘキスト社製、WAX−OP)0. 5重量部、内部滑剤としてモノグリセライド(理研ビタミン社製、S−100)1. 0重量部の割合でヘンシェルミキサーでブレンドし、配合粉を作製した。さらに、この配合粉を30mmツイン押出機を用い、樹脂温度が170℃となるようにシリンダー温度を調整し、ペレタイザーによりペレット化した。
【0056】このペレットを用いてマスとするために、下記の条件において射出成形した。作製したペレットを原料に型締め圧1200トンの射出成形機(東芝社製、IS−1200DE)を用いて、日本下水道協会規格JSWAS K−7に記載される宅地マス90度合流左(略号:90Y左、マス径150)を成形した。射出条件は、バレル部温度165〜185℃、金型部温度30℃であった。
【0057】[パイプ用のグラフト体の作製]マス用のグラフト体の作製において、上記アクリル系共重合体ラテックスの量を23重量部(アクリル系共重合体の固形分6.9重量部)としたこと以外は、マス用のグラフト体の作製と同様にしてパイプ用のグラフト体(A2) を得た。
【0058】[パイプの作製]上記パイプ用のグラフト体(A2) 100重量部、安定剤としてジブチル錫メルカプト(三共有機社製、ONZ−41F)1. 5重量部、内外滑兼用滑剤としてモンタン酸エステルワックス(ヘキスト社製、WAX−OP)0. 5重量部、外滑剤として酸化ポリエチレンワックス(三井化学社製、HIWAX220RKT)0. 5重量部の割合でヘンシェルミキサーでブレンドし、配合粉を作製した。さらに、この配合粉を30mmツイン押出機を用い、樹脂温度が170℃となるようにシリンダー温度を調整し、ペレタイザーによりペレット化し、下記の条件で押出成形した。
【0059】作製したペレットを原料に直径90mmの二軸異方向押出機(積水工機社製、SLM−90)を用いて、樹脂温度を190℃に保ち、JIS K 6741に記載される下水道用硬質塩化ビニル管(プレーンエンド直管VU100:内径100mm)に対応する形状の管を成形した。このマスとパイプを用いて以下の評価を行い、測定結果を表1に示した。
【0060】
【表1】

【0061】なお、表1〜5中のSt−PVcは、塩化ビニルのホモ重合体「TS−800E」(重合度:800、徳山積水工業社製)、P(Vc−Et)は、塩化ビニル−エチレン共重合体「VE−T」(重合度:700,エチレン含有量8重量%、徳山積水工業社製)、AC1は、実施例1に示すアクリル系共重合体、EVA1は、エチレン−酢酸ビニル共重合体「エバフレックス45LX」(酢酸ビニル含有量45重量%,MFR3,三井デュポンケミカル社製)、EVA2は、エチレン−酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン634」(酢酸ビニル含有量26重量%,MFR4,東ソー社製)、EAは、エチレン−アクリル酸エステル共重合体「エバフレックスEEA A−709」(MFR25,三井デュポンケミカル社製)、NBRは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体「JSR PN30A」(アクリルニトリル含有量35重量%,ムーニー粘度42ML( 1+4) 100℃,日本合成ゴム社製)、CPEは、塩素化ポリエチレン「エラスレン351A」(塩素含有量35wt%,MFR2,昭和電工社製)、AC2は、アクリル酸エステル系共重合体「カネエースFM−21」(分散後の平均粒径0. 1〜1μm,鐘淵化学社製)、MBSは、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体「BTA−751」(分散後の平均粒径0. 1〜2μm,呉羽化学社製)、CSPEは、クロルスルホン化ポリエチレン「ハイパロン40」(塩素含有量35wt%,イオウ含有量1. 1wt%,ムーニー粘度30ML( 1+4) 100℃、東ソー社製)、PUは、ポリウレタン「パンデックス500E」(カプロラクトン系,大日本インキ社製)を表す。
【0062】[評価方法]
〔粘度平均重合度〕得られた複合塩化ビニル系樹脂組成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。架橋されたアクリル系共重合体はTHFに溶解しないことを利用して、可溶成分であるPVCのみを抽出分離した。THFを蒸発して乾燥させた樹脂を、JIS K 6721に準拠して粘度平均重合度を測定した。
【0063】〔曲げ弾性率測定試験〕上記マス成形用ペレットを180℃のロールで3分間混練した後、200℃のプレス機で加熱、冷却して試験片を作成した。この試験片を用いて、JIS K7203に準拠して、23℃における曲げ弾性率を測定した。
【0064】〔繰り返しパイプ挿入曲げ試験(対象製品:マス)〕得られた宅地マス90Y左に、同じく成形したパイプ(プレーンエンド直管VU100)を規格JSWAS K−1の[参考資料3]中に記載される接着接合(接着剤:積水化学工業社製エスダイン#73)の方法に準じて接着接合した後、23℃で24時間養生した。
【0065】その後、図1に示すように、プレーンエンド直管2を接着接合した宅地マス1を、宅地マス1が実際の敷設現場と同様に立った状態で、固定具3によって土台4に固定し、可搬型疲労試験機(カヤバ工業社製、商品名「HTM30−200−07」)の油圧シリンダー5先端に連結されたパイプ固定具6にプレーンエンド直管2(長さ60cm)の自由端を滑動自在に支承し、振幅を±8度、振動周期0. 4Hzの条件下に、図1中の矢印の方向に繰り返し振動を与え、プレーンエンド直管2の接着接合面の剥離や接着接合部手前での亀裂破損、また宅地マス1の破損等の管路の機能に影響が及ばない範囲の最大繰り返し曲げ回数を測定した。
【0066】また、宅地マス1、固定具3及び土台4は、プレーンエンド直管2が含まれている測定部と同様、同一恒温槽7内にあるもので、宅地マス1、固定具3及び土台4を明示するために該部の恒温槽7の壁面を総て切欠した。先の阪神大震災に関する、各種測定値(最大加速度818gal,最大速度91kine,最大変位21cm:神戸海洋気象台発表)を用いたコンピューターシミュレーションの結果、最大曲げ角度は8度であることが算定された。
【0067】本発明においては、耐震性の有無の判断基準を最大曲げ角度8度以上とした。上記曲げ角度8度の振幅を与えるため、プレーンエンド直管5の長さ60cmとし、上記可搬型疲労試験機に付属するコントローラーで振幅を±8. 4cmに設定して測定を行った。
【0068】また、地震時における最大振動回数は、一般に50回程度と言われており、その振幅は、震動と共に減衰して行くものであるので、本測定の上記振動条件において、繰り返し曲げ回数が100回以上であれば充分な耐震性を有するものといえる。
【0069】〔圧縮強度〕上記で得られた成形品を圧縮試験装置に固定し、圧縮速度10mm/分で圧縮した。試験時の温度は、23℃であった。JSWAS K−7に記載される荷重試験規格により荷重12KN時に割れ、ひび、座屈等外観に異常がなければ充分な圧縮強度があると判断した。
【0070】実施例2〜11実施例1と同様にして、添加するエラストマーの種類及び添加量を変化させて、グラフト体を作製し、マス及びパイプを成形した。得られたマス及びパイプの各種特性値を測定し、その結果を表1に示した。
【0071】実施例12[マスの作製]重合度800のポリ塩化ビニル(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800)84重量%、カネエースFM−21(分散後の平均粒径0.1〜1μm,鐘淵化学社製)16重量%、の割合で混合したブレンド体(B1) 100重量部に対して、安定剤としてジブチル錫メルカプト(三共有機社製、ONZ−41F)3重量部、内外滑兼用滑剤としてモンタン酸エステルワックス(ヘキスト社製、WAX−OP)0. 5重量部、内滑剤としてモノグリセライド(理研ビタミン社製、S−100)1. 0重量部の割合でヘンシェルミキサーでブレンドし、配合粉を作製した。さらに、この配合粉を30mmツイン押出機を用い、樹脂温度が170℃となるようにシリンダー温度を調整し、ペレタイザーによりペレット化した。
【0072】このペレットを用いてマスとするために、下記の条件において射出成形した。作製したペレットを原料に型締め圧1200トンの射出成形機(東芝社製、IS−1200DE)を用いて、規格JSWAS K−7に記載される宅地マス90度合流左(略号:90Y左、マス径150)を成形した。射出条件は、バレル部温度165〜185℃、金型部温度30℃であった。
【0073】[パイプの作製]重合度800のポリ塩化ビニル(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800)92重量%、カネエースFM8重量%の割合で混合したブレンド体(B2) 100重量部に対して、安定剤としてジブチル錫メルカプト(三共有機社製、ONZ−41F)1. 5重量部、内外滑兼用滑剤としてモンタン酸エステルワックス(ヘキスト社製、WAX−OP)0. 5重量部、外滑剤として酸化ポリエチレンワックス(三井化学社製、HIWAX220RKT)0. 5重量部の割合でヘンシェルミキサーでブレンドし、配合粉を作製した。さらに、この配合粉を30mmツイン押出機を用い、樹脂温度が170℃となるようにシリンダー温度を調整し、ペレタイザーによりペレット化した。
【0074】このペレットを用いてパイプとする為に、下記の条件において押出成形した。作製したペレットを原料に直径90mmの二軸異方向押出機(積水工機社製、SLM−90)を用いて、樹脂温度を190℃に保ち、JIS K 6741に記載される下水道用硬質塩化ビニル管(プレーンエンド直管VU100:内径100mm)に対応する形状の管を成形した。
【0075】このマスとパイプを用いて実施例1同様の評価を行い、測定結果を表2に示した。
【0076】実施例13〜24ブレンドするエラストマーの種類及び添加量を表2、3に示した量としたこと以外は実施例12と同様にしてブレンド体(B1)、(B2) のペレットを得た。得られたペレットを用いて実施例12と同様にして、マスとパイプを成形して成形品の評価を行った。
【0077】測定結果を表2、3に示した。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】実施例25マスの原料として実施例1記載のグラフト体(A1) 、パイプの原料として実施例12記載のブレンド体(B2) を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。得られたマスの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてマスを成形して成形品の評価を行った。又、得られたパイプの原料用ペレットを用い実施例12と同様にしてパイプを成形して成形品の評価を行った。測定結果を表4に示した。
【0081】実施例26マスの原料として実施例12記載のブレンド体(B1) 、パイプの原料として実施例1記載のグラフト体(A2) を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。得られたマスの原料用ペレットを用い実施例12と同様にしてマスを成形して成形品の評価を行った。又、得られたパイプの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてパイプを成形して成形品の評価を行った。測定結果を表4に示した。
【0082】実施例27マスの原料として実施例1記載のグラフト体(A1) 、パイプの原料として、実施例1記載のマス用原料のグラフト体(A1) 50重量部とポリ塩化ビニルのホモポリマー(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800)50重量部とのブレンド体(C2) を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。得られたマスの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてマスを成形して成形品の評価を行った。又、得られたパイプの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてパイプを成形して成形品の評価を行った。測定結果を表4に示した。
【0083】実施例28マスの原料として実施例12記載のブレンド体(B1) 、パイプの原料として、実施例1記載のマス用原料のグラフト体(A1) 50重量部とポリ塩化ビニルのホモポリマー(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800)50重量部とのブレンド体(C2) を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。 得られたマスの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてマスを成形して成形品の評価を行った。又、得られたパイプの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてパイプを成形して成形品の評価を行った。測定結果を表4に示した。
【0084】実施例29マスの原料として実施例1記載のグラフト体(A1) 75重量部とポリ塩化ビニルのホモポリマー(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800)25重量部とのブレンド体(C2) 、パイプの原料として、実施例1記載のパイプ用原料のグラフト体(A2) を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。 得られたマスの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてマスを成形して成形品の評価を行った。又、得られたパイプの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてパイプを成形して成形品の評価を行った。測定結果を表4に示した。
【0085】実施例30マスの原料として実施例1記載のグラフト体(A1) 75重量部とポリ塩化ビニルのホモポリマー(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800)25重量部とのブレンド体(C2) 、パイプの原料として、実施例12記載のパイプ用原料のブレンド体(B2) を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。得られたマスの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてマスを成形して成形品の評価を行った。又、得られたパイプの原料用ペレットを用い実施例1と同様にしてパイプを成形して成形品の評価を行った。測定結果を表4に示した。
【0086】
【表4】

【0087】比較例1ポリ塩化ビニルのホモポリマー( 徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800) を、マス、パイプの両方に用いたこと以外は、実施例1と同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。マス、パイプ共に可撓性が不足し、繰り返しパイプ挿入曲げ試験において、1回で接着剥離を起こした。
【0088】比較例2実施例1において、マスに用いるグラフト体(A2) 中のアクリル系共重合体量を5重量%になるように重合したこと以外は、同様にしてマスを得た。マスの各種特性値を測定し、その結果を表5に示した。マスの可撓性が不足し、繰り返しパイプ挿入曲げ試験において、5回で接着剥離を起こした。
【0089】比較例3実施例1において、パイプに用いる樹脂をポリ塩化ビニルのホモポリマー(特山積水工業社製、TS−800E、重合度800) としたこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。パイプの可撓性が不足し、55回で接着剥離を起こした。
【0090】比較例4実施例1において、マスに用いるグラフト体(A1) 中のアクリル系共重合体量を35重量%になるように重合したこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。マスは、ゴム成分が多すぎて強度不足となり、埋設に耐えることができないものであった。
【0091】比較例5実施例1において、パイプに用いるグラフト体(A2) のアクリル系共重合体量を15重量%になるように重合したこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。パイプの強度が不足し、繰り返しパイプ挿入曲げ試験において、53回でパイプが裂けてしまった。
【0092】比較例6実施例12において、マスに用いるブレンド体(B1) 中のエラストマー(AC2) 量を5重量%になるようにブレンドしたこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。マスの可撓性が不足し、繰り返しパイプ挿入曲げ試験において、3回で接着剥離を起こした。
【0093】比較例7実施例12において、パイプに用いる樹脂をポリ塩化ビニルのホモポリマー(徳山積水工業社製、TS−800E、重合度800) としたこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。パイプの可撓性が不足し、繰り返しパイプ挿入曲げ試験において、52回で接着剥離を起こした。
【0094】比較例8実施例12において、マスに用いるブレンド体(B1) 中のエラストマー(AC2) 量を40重量%になるようにブレンドしたこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。マスのゴム量が多すぎて、強度不足となり、埋設に耐えることができない。
【0095】比較例9実施例12において、パイプに用いるブレンド体(B2) 中のエラストマー(AC2) 量を20重量%になるようにブレンドしたこと以外は、同様にして各種の特性値を測定した。その結果を表5に示した。パイプの強度が不足し、繰り返しパイプ挿入曲げ試験において、53回でパイプが裂けてしまった。
【0096】
【表5】

【0097】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の管路システムは、上述の構成からなり、塩化ビニル系樹脂とエラストマーとからなる(A) 、(B) 、(C) 、(D) 及び(E) の何れかの原料により成形された、曲げ弾性率が100〜200kgf/mm2 の優れた可撓性を有するマス又は継手の管路受け口に、曲げ弾性率が200〜290kgf/mm2 である上記原料により成形されたパイプが組み合わされており、上記マス又は継手の曲げ弾性率は、上記パイプの曲げ弾性率よりも小さいので、地中に埋設しても土圧等の外部からの圧力により変形することなく管路を確保でき、かつ、上記優れた可撓性を有しているマス又は継手との組み合わせが相俟って、地震などによる外力の負荷に対しても変形に対する追従性に優れ破損するおそれが極めて少ない、耐震性に優れた管路システムである。
【0098】請求項2記載の本発明の管路システムは、上述の構成からなり、上記マス又は継手の曲げ弾性率と上記パイプの曲げ弾性率の差が、30〜190kgf/mm2 であるので、上記請求項1記載の効果をより確実に奏することができる。
【0099】請求項3記載の本発明の管路システムは、上述の構成からなり、上記マス及び継手は、エラストマーと塩化ビニルモノマーとの割合が特定されたグラフト体(A1) 、エラストマーと塩化ビニル系樹脂との割合が特定されたブレンド体(B1) ,グラフト体に塩化ビニル系樹脂又は及びエラストマーが特定の割合でブレンドされたブレンド体(C1) 、(D1) 及び(E1) の何れかの原料により成形されたものであり、これに組み合わされるパイプは、エラストマーと塩化ビニルモノマーとの割合が特定されたグラフト体(A2) 、エラストマーと塩化ビニル系樹脂との割合が特定されたブレンド体(B2) ,グラフト体に塩化ビニル系樹脂又は及びエラストマーが特定の割合でブレンドされたブレンド体(C2) 、(D2) 及び(E2) の何れかの原料により成形されたものであるので、上記請求項1の本発明の効果をより確実に奏することができる。
【0100】請求項4記載の本発明の管路システムは、上述の構成からなり、上記エラストマーが特定された群より選択された少なくとも1種類であるので、上記請求項1の本発明の効果を更に確実に奏することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成11年6月10日(1999.6.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−88199(P2000−88199A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平11−163896