| 【発明の名称】 |
平底円筒型低温タンクの耐震構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】茨田 高志
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| 【要約】 |
【課題】タンク自体の熱膨張・熱収縮を拘束せず、自由に熱膨張・熱収縮ができ、かつ、過大な水平力が作用した場合には、タンクの水平移動を防止することができる平底円筒型低温タンクの耐震構造を提供する。
【解決手段】内槽底板21に周囲より高い中央隆起部25を設け、基礎コンクリート6に、中央隆起部25の下部に位置するコンクリート隆起部6aを設け、その間に高強度保冷材32を設ける。中央隆起部25は、水平な頂部底板25aとこれを外周部底板に連結するリング状側板25bとからなり、高強度保冷材32は、リング状側板25bに作用する水平力をコンクリート隆起部6aに伝達する。リング状側板の内周面と高強度保冷材の外周面との間には、熱収縮時に近接するように隙間Aが設けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基礎コンクリート(6)上に設置された外槽(10)と、底部保冷材(30)上に設置された内槽(20)とからなる平底円筒型低温タンクの耐震構造において、内槽底板(21)が、水平な外周部底板(24)とこれより高い中央隆起部(25)とを有し、該中央隆起部は、水平な頂部底板(25a)とこれを外周部底板に連結するリング状の側板(25b)とからなり、前記基礎コンクリート(6)は、前記中央隆起部(25)の下部に位置するコンクリート隆起部(6a)を有し、前記底部保冷材(30)は、中央隆起部(25)とコンクリート隆起部(6a)の間にリング状側板(25b)に作用する水平力をコンクリート隆起部(6a)に伝達する高強度保冷材(32)を有する、ことを特徴とする平底円筒型低温タンクの耐震構造。 【請求項2】 前記リング状側板(25b)の内周面と高強度保冷材(32)の外周面との間に、熱収縮時に近接するように隙間Aが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の平底円筒型低温タンクの耐震構造。 【請求項3】 前記高強度保冷材(32)は、断熱性を有するコンクリートブロックからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の平底円筒型低温タンクの耐震構造。 【請求項4】 前記リング状側板(25b)は、切頭円錐形または円筒形である、ことを特徴とする請求項1に記載の平底円筒型低温タンクの耐震構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、平底円筒型低温タンクの耐震構造に係り、更に詳しくは、タンクが温度変化により膨張又は収縮しても過大な局部応力がタンク構造に生じず、かつ、地震等により大きな横荷重が及んでもタンクの横移動を防止できる耐震構造に関する。 【0002】 【従来の技術】液化天然ガス等を貯蔵するために図3に例示する二重構造の平底円筒型低温タンクが従来から用いられている。この低温タンクは、基礎ぐい1a及び基礎スラブ1b(基礎コンクリート)の上部に設置された外槽10と、外槽10の内部底板上に底部保冷材2を介して設置された内槽20とからなる。外槽底板11は外槽基礎ボルト3で基礎スラブ1bに固定され、内槽側板22は内槽アンカーストラップ4により基礎スラブ1bに固定されている。また、外槽側板12と内槽側板22の間、及び外槽屋根板13と内槽屋根板23の間には、放熱防止のため側部保冷材5a、屋根部保冷材5bが充填されている。更にこの図において、内槽底部21の外周部は、肉厚のアニュラープレート21aで構成され、内槽側板22との接合部の強度を高めている。 【0003】図4は内槽下部の断面図である。この図に示すように、底部保冷材2は、中央保冷材2aと外周保冷材2bからなる。中央保冷材2aは、上層からALCコンクリート、泡ガラス、粒状パーライトコンクリート等の積層体であり、高い断熱性能を備えている。また、外周保冷材2bは、軽骨コンクリートとパーライトコンクリートからなり、アニュラープレート21aの下部を強固に支持している。軽骨コンクリートは、鉄筋を有するパーライトコンクリートである。 【0004】しかし、上述した内槽20の下部構造は、内槽20が水平方向へ移動するのを拘束する手段を備えていない。従って、タンクが暖められて膨張したり、冷やされて収縮した時は、内槽20の底板21と底部保冷材21との間で相対的に滑り、内槽20に大きな拘束力が生じないようになっている。一方、地震等によって、大きな水平力が内槽20に作用するときは、底板21と底部保冷材2の間の摩擦力により内槽20の水平移動を防止するようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の内槽下部構造では、関東大震災クラスよりもさらに大きな地震が生じた場合には、地震等による過大な水平力により、内槽20が水平移動するおそれがあった。すなわち、地震時においてタンクに作用する水平力が、タンク底板と基礎の摩擦抵抗力を超えると、タンク内槽の横滑りが発生し、その変位量によっては、タンク各部に設置されたノズル等を破壊するおそれがあった。しかし、低温タンクの場合、熱収縮を許容する構造でなければならず、底部を完全に拘束することはできない問題点がある。 【0006】言い変えれば、上述した平底円筒型低温タンクのようなタンクの下部構造は、以下の2つの相反する課題を満たす必要があった。 1.タンクはその温度変化により自由に膨張又は収縮し、タンクの底板と基礎構造の間で相対的に自由に滑れなければならない。 2.タンク底板と基礎構造との摩擦力を越える水平力がタンクに作用した場合、タンクの水平移動を防止できなければならない。 【0007】本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、タンク自体の熱膨張・熱収縮を拘束せず、従って自由に熱膨張・熱収縮ができ、かつ、過大な水平力が作用した場合には、タンクの水平移動を防止することができる平底円筒型低温タンクの耐震構造を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、基礎コンクリート(6)上に設置された外槽(10)と、底部保冷材(30)上に設置された内槽(20)とからなる平底円筒型低温タンクの耐震構造において、内槽底板(21)が、水平な外周部底板(24)とこれより高い中央隆起部(25)とを有し、該中央隆起部は、水平な頂部底板(25a)とこれを外周部底板に連結するリング状の側板(25b)とからなり、前記基礎コンクリート(6)は、前記中央隆起部(25)の下部に位置するコンクリート隆起部(6a)を有し、前記底部保冷材(30)は、中央隆起部(25)とコンクリート隆起部(6a)の間にリング状側板(25b)に作用する水平力をコンクリート隆起部(6a)に伝達する高強度保冷材(32)を有する、ことを特徴とする平底円筒型低温タンクの耐震構造が提供される。 【0009】上記本発明の構成によれば、内槽底板(21)に中央隆起部(25)が設けられ、地震時の水平荷重を高強度保冷材(32)を介して基礎コンクリートのコンクリート隆起部(6a)に伝達することにより、タンク内槽の横滑りを防止することができる。 【0010】また、内槽底板(21)の外周部は、水平な外周部底板(24)からなるので、従来のタンクと同様にタンク自体の熱膨張・熱収縮を拘束せず、従って自由に熱膨張・熱収縮ができる。 【0011】本発明の好ましい実施形態によれば、 前記リング状側板(25b)の内周面と高強度保冷材(32)の外周面との間に、熱収縮時に近接するように隙間Aが設けられている。この構成により、タンクの建設時に常温で隙間Aをもって設置することにより、LNG(沸点-162℃)等の液化ガスの貯蔵時にこの隙間が最小となり、タンク自体の自由な熱膨張・熱収縮と、タンクの水平移動防止を確実に両立させることができる。 【0012】また、前記高強度保冷材(32)は、パーライトコンクリートブロックからなる。パーライトコンクリートブロックは、強度と断熱性を兼ね備えており、保温性能を保持したままで、リング状側板(25b)に作用する水平力を確実にコンクリート隆起部(6a)に伝達することができる。 【0013】更に、前記リング状側板(25b)は、切頭円錐形または円筒形である、ことが好ましい。切頭円錐形にすることにより、リング状側板(25b)に作用する水平力を下向きの力に変換し、コンクリート隆起部(6a)による荷重伝達をより確実にできる。また、円筒形にすることにより、円筒面全体で荷重伝達ができ、リング状側板(25b)の内部応力を低く抑えることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。 【0015】図1は、本発明の耐震構造を備えた平底円筒型低温タンクの半断面図であり、図2は、図1の部分拡大図である。図1及び図2において、平底円筒型低温タンクは、基礎コンクリート6上に設置された外槽10と、底部保冷材30上に設置された内槽20とからなる。 【0016】内槽底板21は、水平な外周部底板24とこれより高い中央隆起部25とを有する。外周部底板24は、従来の内槽底部(図3参照)に相当し、その外周部は、肉厚のアニュラープレート21aで構成されている。また、中央隆起部25は、水平な頂部底板25aとこれを外周部底板24に連結するリング状の側板25bとからなる。頂部底板25aの大きさ(直径)は、頂部底板自体の熱収縮量と地震時の水平力の大きさから決定する。すなわち、地震時の最大水平力を後述する高強度保冷材32を介して基礎コンクリート6に伝達できるように、頂部底板25aの大きさ(直径)とリング状側板25bが設定される。 【0017】さらに、図2に示すように、リング状側板25bの内周面と高強度保冷材32の外周面との間に、熱収縮時に近接するように隙間Aが設けられている。この隙間Aを設けることにより、タンクの建設時に常温で隙間をもって設置し、LNG(沸点-162℃)等の液化ガスを貯蔵しても、この隙間が最小となって維持されるので、外周部底板24のみならず水平な頂部底板25aの自由な熱膨張・熱収縮を許容できる。 【0018】なお、リング状側板25bは、この図では切頭円錐形であるが、円筒形であっても良い。切頭円錐形にすることにより、リング状側板25bに作用する水平力を下向きの力に変換し、コンクリート隆起部6aによる荷重伝達をより確実にできる。また、円筒形にすることにより、円筒面全体で荷重伝達ができ、リング状側板25bの内部応力を低く抑えることができる。 【0019】図1及び図2に示すように、本発明の耐震構造では、基礎コンクリート6は、中央隆起部25の下部に位置するコンクリート隆起部6aを有する。また、底部保冷材30は、中央隆起部25とコンクリート隆起部6aの間に高強度保冷材32を有し、この高強度保冷材32により、リング状側板25bに作用する水平力をコンクリート隆起部6aに伝達するようになっている。この高強度保冷材32は、この例では、2層のパーライトコンクリートブロックからなり、上層は鉄筋を有する軽骨コンクリートであり、下層は鉄筋のないパーライトコンクリートである。また、半径方向の熱収縮を考慮するため、段差の部分にはグラスウール等の伸縮可能な保冷材を挟むのがよい。 【0020】またこの実施例では、高強度保冷材32の外側と内側は、従来の中央保冷材2a(図4参照)と同様には、上層からALCコンクリート、泡ガラス、粒状パーライトコンクリート等の積層体で構成されている。 【0021】上述した本発明の構成によれば、内槽底板21に中央隆起部25が設けられ、地震時の水平荷重を高強度保冷材32を介して基礎コンクリートのコンクリート隆起部6aに伝達することにより、タンク内槽の横滑りを防止することができる。 【0022】また、内槽底板21の外周部は、水平な外周部底板24からなるので、従来のタンクと同様にタンク自体の熱膨張・熱収縮を拘束せず、従って自由に熱膨張・熱収縮ができる。 【0023】さらに、リング状側板25bの内周面と高強度保冷材32の外周面との間に、隙間Aを設けることにより、タンクの建設時に常温で隙間をもって設置し、LNG(沸点-162℃)等の液化ガスを貯蔵しても、この隙間が最小となって維持されるので、外周部底板24のみならず水平な頂部底板25aの自由な熱膨張・熱収縮を許容できる。 【0024】本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。 【0025】 【発明の効果】上述したように、本発明の平底円筒型低温タンクの耐震構造によれば、タンク自体の熱膨張・熱収縮を拘束せず、従って自由に熱膨張・熱収縮ができ、かつ、過大な水平力が作用した場合には、タンクの水平移動を防止することができる、等の優れた効果を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月4日(1999.6.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097515 【弁理士】 【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−346294(P2000−346294A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−158633 |
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